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【発明の名称】 育苗箱の積み重ね装置
【発明者】 【氏名】福士 浩行

【氏名】森 文男

【氏名】波多 正幸

【要約】 【課題】播種プラントから搬送される育苗箱を、傾斜したりすることがないよう精度高く積み重ねる積み重ね装置を提供する。

【解決手段】積み重ね装置28、29を、育苗箱2を下側から持ち上げるリフター32と、該リフターを昇降させるクランク装置31と、持ち上げられた最下段の育苗箱を所定高さ位置に保持する係止爪33とを用いて、育苗箱を下側から順次積み重ねる構成のものにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 播種プラントにより土および種が供給された育苗箱の複数枚を積み重ねて搬出するよう構成するにあたり、前記播種プラントから搬送される育苗箱を下側から順次所定枚数積み重ねる積み重ね手段と、該積み重ね手段により積み重ねられた育苗箱を搬出する搬出手段とを備えて構成される育苗箱の積み重ね装置。
【請求項2】 請求項1において、積み重ね手段は、育苗箱を下側から持ち上げる持ち上げ手段と、該持ち上げ手段を昇降せしめる昇降手段と、持ち上げ手段により持ち上げられた最下段の育苗箱を所定高さ位置に保持する保持手段とを備えて構成される育苗箱の積み重ね装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マット状苗等の集団苗を生産するため播種プラントで播種処理された育苗箱を積み重ねる積み重ね装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、圃場に苗を移植する場合に、育苗箱に土、種を供給し、これを出芽室にて養生してマット苗等の集団苗に生長させたものを用いる。そしてこの様な集団苗を大量に生産する場合、播種プラントで播種処理された育苗箱を複数枚積み重ねることが必要になる。そこで従来から、播種プラントから搬送されてくる育苗箱を積み重ねるための積み重ね装置として、エレベータ式の上下搬送装置で育苗箱を一枚づつ上方に送ると共に、上下搬送体の上端まで送られてきた育苗箱を横送りして別のパレットに移すときに上側から一枚づつ重ねて行くように構成したものが知られている。さらに、例えば特開平2−104206号公報や特開平2−145135号公報に示されるように、育苗箱を上下搬送体内で二段に積み重ねたものをパレットに移すようにしたものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで前記従来の積み重ね装置は、パレットまたは上下搬送体内で育苗箱を積み重ねる際に、下側育苗箱の上側から一枚の上側育苗箱を積み重ねる構成となっている。このため、例えば育苗箱に泥がついていたり変形したり等していて、下側育苗箱の上部に上側育苗箱の底部がぴったりと嵌合せずに上側育苗箱の一部が少し浮いてしまったような場合、上側育苗箱は自らの重さしかかかっていないため浮いたままの状態となって、傾斜状に積み上げられてしまったりするというトラブルがあり、問題となっていた。さらに、上下搬送体からパレットに横送りする際に、上側育苗箱が下側育苗箱上に落ち込むことになって、その時の衝撃で床土や種が跳ね上がったりして均一播種が乱れてしまうという問題もあり、ここに本発明が解決しようとする課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、播種プラントにより土および種が供給された育苗箱の複数枚を積み重ねて搬出するよう構成するにあたり、前記播種プラントから搬送される育苗箱を下側から順次所定枚数積み重ねる積み重ね手段と、該積み重ね手段により積み重ねられた育苗箱を搬出する搬出手段とを備えて構成されるものである。そして、この様に構成することにより、育苗箱を積み重ねる際に、上側育苗箱はその上に重ねられた育苗箱の重さがかかった状態で下側育苗箱に重なることになって、上側育苗箱が下側育苗箱に対して浮いてしまったり傾斜状になったりすることを回避でき、積み重ね精度の高いものとすることができる。このものにおいて、積み重ね手段は、育苗箱を下側から持ち上げる持ち上げ手段と、該持ち上げ手段を昇降せしめる昇降手段と、持ち上げ手段により持ち上げられた最下段の育苗箱を所定高さ位置に保持する保持手段とを備えて構成することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面において、1は播種プラントであって、その詳細は省略するが、育苗箱2に床土供給、播種、覆土等の必要な播種工程を経たものを第一搬送コンベア3により搬出するもので、汎用のものが採用されている。
【0006】4は本発明の搬送積み重ね装置を構成する基台フレームであって、該基台フレーム4には、搬送始端が第一搬送コンベア3の搬送終端に直線状に連結される第二搬送コンベア(本発明の主搬送手段に相当する)5が設けられているが、この第二搬送コンベア5は、第一搬送コンベア3の搬送速度より速い速度(例えば、第一搬送コンベア3の搬送速度に対し、1.2〜1.6倍の速度)で育苗箱2を搬送するように設定されている。
【0007】また、6は搬送始端が前記第二搬送コンベア5の搬送終端に直線状に連結される第三搬送コンベア(本発明の下段副搬送手段に相当する)であって、該第三搬送コンベア6は、前記第一搬送コンベア3の搬送速度よりも遅い速度(例えば、第一搬送コンベア3の搬送速度に対し、0.7倍の速度)で育苗箱2を搬送するように設定されている。
【0008】さらに、7は第四搬送コンベア(本発明の上段副搬送手段に相当する)であって、該第四搬送コンベア7は、搬送始端が前記第二搬送コンベア5の搬送途中の上方に位置し、かつ搬送終端が前記第三搬送コンベア6の搬送途中の上方に位置する状態で、第二搬送コンベア5および第三搬送コンベア6の上側に平行状に設けられているが、この第四搬送コンベア7は、前記第三搬送コンベア6の搬送速度と略同速度で育苗箱2を搬送するように設定されている。
【0009】一方、8は選択供給装置であって、該選択供給装置8は、前記第二搬送コンベア5により搬送されてくる育苗箱2のうちの一つ置きを選択して第四搬送コンベア7に供給するものであるが、このものは、第二、第四搬送コンベア5、7の左右外方側に配設される左右一対の回転アーム9を用いて構成されている。つまり、前記回転アーム9は、その中心部が基台フレーム4に突設の支軸10に回転自在に軸支されていて、該支軸10を中心として、第二搬送コンベア5に対しては下から上へ、また第四搬送コンベア7に対しては上から下へ向かう方向(図1、7、8において時計回り方向)に回転するように設けられている。そしてこの回転アーム9は、駆動装置11にチェン等の伝動機構12を介して連動連結されていて、左右両方の回転アーム9が同じタイミングで回転するように構成されている。
【0010】また、14は前記選択された育苗箱2を第二搬送コンベア5から掬い上げて第四搬送コンベア7に載置するための箱支持体であって、該箱支持体14は、前記回転アーム9の両先端部に支軸15を介して揺動自在に軸支されているが、このものは、後述する平行機構16により常時水平状態に保持されるようになっている。
【0011】前記平行機構16は、前記回転アーム9を軸支する支軸10に一体的に取付けられる固定歯車17と、箱支持体14に前記支軸15を介して一体的に取付けられる作動歯車18と、これら両歯車17、18間に巻回される歯付きベルト19とを用いて構成されている。そして、前述したように回転アーム9が図8において時計回り方向に回転したとき、該回転アーム9の回転に伴って歯付ベルト19が矢印方向に引っ張られ、これにより作動歯車18が回転アーム9の回転と逆方向に回転して、該作動歯車18と一体の箱支持体14が水平方向に保持されるようになっている。
【0012】一方、20は前記箱支持体14にピン軸21を介して揺動自在に軸支される前後一対の受止め体であって、このものは、箱支持体14から左右内方側に突出して育苗箱2の底部を受止める受止め姿勢と、箱支持体14の下方に収納されて育苗箱2に干渉しない収納姿勢とに変姿できるようになっている。さらにこの前後一対の受止め体20は、前記ピン軸21、リンク22、連結杆23を介して連動連結されていて、両方の受止め体20が前記受止め姿勢と収納姿勢とに同時的に変姿する構成となっている。
【0013】また、24、25は前記受止め体20を変姿させるための第一、第二エアシリンダであって、第一エアシリンダ24は第二搬送コンベア5の搬送面の下方位置に設けられていて、収納姿勢の受止め体20を押圧して受止め姿勢に変姿させるよう作動し、また第二エアシリンダ25は第四搬送コンベア7の搬送面の下方位置に設けられていて、受止め姿勢の受止め体20を押圧して収納姿勢に変姿させるよう作動するが、これら第一、第二エアシリンダ24、25は、後述の近接スイッチ26の検知に基づいて作動するようになっている。
【0014】そして、回転アーム9は、始動時、図7の待機状態となっており、この待機状態では、回転アーム9の両先端部に設けられる箱支持体14のうち搬送始端側(図7の左側)に位置する箱支持体14は、第二搬送コンベア5の搬送面より少し下側に位置していると共に、受止め体20が突出して受止め姿勢になっている。一方、搬送終端側に位置する箱支持体14は、第四搬送コンベア7の搬送面より少し下側に位置していると共に、受止め体20が収納された収納姿勢になっている。この状態で、最初の育苗箱2が搬送されて来たことを光センサ27が検知すると、該育苗箱2が丁度受止め姿勢の受止め体20位置に達するタイミングに合わせて回転アーム9が前記時計回り方向に回転し、これにより前記検知された育苗箱2を受止め体20により受止めて第二搬送コンベア5から掬い上げ、図8の状態を経てさらに回転する。この掬い上げられた育苗箱2は、第四搬送コンベア7の搬送面に達することで該第四搬送コンベア7に継送され、そして回転アーム9は、前記待機姿勢に対し180度回転した状態で停止するが、この回転アーム9の180度の回転のあいだに次の育苗箱2は第二搬送コンベア5によりそのまま第三搬送コンベア6に向けて搬送される。
【0015】一方、回転アーム9が前記180度回転したことにより、初回に搬送終端側に位置していた箱支持体14が搬送始端側に移動するが、これが前記近接スイッチ26により検知され、該検知に基づいて前記第一、第二エアシリンダ24、25が作動して、前記搬送始端側に来た箱支持体14の収納姿勢の受止め体20を受止め姿勢にする一方、搬送終端側に来た箱支持体14の受止め姿勢の受止め体20を収納姿勢にする。そして次に第二搬送コンベア5により搬送されて来た育苗箱2を光センサ27が検知すると、前記最初の育苗箱2が検知されたと同じ過程を経て第四搬送コンベア7に継送され、これが繰り返されることになる。つまり、本実施の形態では、奇数番目の育苗箱2は第四搬送コンベア7に継送され、偶数番目の育苗箱は第三搬送コンベア6に継送される設定になっている。
【0016】さらに、28は第三搬送コンベア6の搬送終端部に設けられる第一積み重ね装置、また29は第四搬送コンベア7の搬送終端部に設けられる第二積み重ね装置であって、第一積み重ね装置28は第二積み重ね装置29の後側(搬送終端側)に配せられているが、該積み重ね装置28、29は、第三、第四の各搬送コンベア6、7により搬送される育苗箱2を、予め設定される枚数(例えば10枚)だけ下側から順次積み重ねていく構成となっている。
【0017】つまり、前記積み重ね装置28、29は、育苗箱2の搬送方向に対して左右両側に位置するよう前記基台フレーム4から立設される四本の支柱30と、育苗箱2を下側から持ち上げるリフター32と、該リフター32を昇降せしめるためのクランク装置31と、前記各支柱30に設けられる後述の係止爪33とを備えて構成されている。ここで、育苗箱2の上部には、外側に突出するリブ2aが形成されており、該リブ2aに上側の育苗箱2の底部が嵌合できるようになっている。
【0018】前記係止爪33は、リフター32の持ち上げ上限位置より下側位置において、支柱30内に没入する没入姿勢と支柱30から突出する突出姿勢とに揺動変姿自在な状態で各支柱30に軸支されているが、このものは、弾機39により常時突出姿勢側に付勢されている。そしてこの係止爪33は、リフター32により下側から持ち上げられる育苗箱2のリブ2aが当たることで、前記弾機39に抗して支柱30内に没入する没入姿勢となってリブ2aが上側に通過することを許容するが、該リブ2aの通過後は、弾機39の付勢力により突出姿勢に自動復帰してリブ2aの下降を規制するようになっており、これによって育苗箱2を所定高さ位置に保持できるようになっている。
【0019】また、前記積み重ね装置28、29のうち前側に配設される第二積み重ね装置29は、リフター32およびクランク装置31が左右一対のものから構成されていて、育苗箱2の左右両側を持ち上げるようになっている。これは、第二積込み装置29の下方には第三搬送コンベア6が配設されていて、該第三搬送コンベア6上を後側の第一積み重ね装置28に向けて育苗箱2が搬送されるため、該育苗箱2に第二積み重ね装置29のクランク装置31が干渉しないように配慮する必要があるからである。一方、後側に配設される第一積み重ね装置28についてはこの様な配慮は必要ないため、該第一積み重ね装置28のリフター32およびクランク装置31は、第三搬送コンベア6を構成する左右のチエン間に位置する状態で設けられている。
【0020】そして前記積み重ね装置28、29は、育苗箱2が積み重ね装置28、29内に搬入されることにタイミングを合わせて(該タイミングは、本実施の形態においては、搬送されてくる育苗箱2が前記光センサ27により検知されてから予め設定される所定のタイムラグをはかるように設定されているが、これに限定されることなく、例えば積み重ね装置28、29に育苗箱2の搬入を検知するセンサを別途設けても良い)リフター32が上昇して育苗箱2を係止爪33より上側に持ち上げた後、該リフター32が下降する際に、育苗箱2のリブ2aが突出姿勢に復帰した係止爪33に係止することで、該育苗箱2の下方に次の育苗箱2が積み重ね装置28、29に搬入される隙間を確保するように設定されている。そして該次の育苗箱2、つまり下側育苗箱2がリフター32により持ち上げられるとき、該下側育苗箱2のリブ2aが前記係止爪33に係止している上側育苗箱2の底部に嵌合し、この状態で下側育苗箱2が上側育苗箱2と共に持ち上げられ、そしてリフター32が下降するときに下側育苗箱2のリブ2aが係止爪33に係止するようになっており、この様にして育苗箱2は、予め設定される所定枚数だけ下側から順次積み重ねられる構成になっている。尚、図中、35は積み重ね装置28、29内において育苗箱2の前後方向の位置決めガイドをするガイド杆である。
【0021】また、34は搬出装置であって、該搬出装置34は、前記第一、第二積み重ね装置28、29で所定枚数積み上げられた育苗箱2群の最下段の育苗箱2のリブ2aにそれぞれ係脱自在に係止する第一、第二係止具40、41と、各係止具40、41をそれぞれ昇降させるための第一、第二昇降手段42、43と、上昇した係止具40、41を昇降手段42、43と共に予め準備されたパレット37位置まで移送するための移送手段38とを備えて構成される。そして、積み重ね装置28、29により育苗箱2が所定枚数積み重ねられたことにタイミングを合わせて係止具40、41が最下段の育苗箱2に係止して上昇し、さらに両係止具40、41が上昇したことにタイミングを合わせて移送手段38が係止具40、41をパレット37位置まで移動させ、その後、昇降手段42、43により係止具40、41を下降せしめて育苗箱2群をパレット37に載置するようになっている。尚、本実施の形態では、前記積み重ね装置28、29で積み重ねられた育苗箱2群を、さらにパレット37上において、三段(育苗箱が30枚)ほど積み重ねられたものが、平面視で2行3列となるように積載(合計で180枚の育苗箱)されてからコンベア移送によりパレット毎外部に搬出されるように設定されている。
【0022】叙述の如く構成されたものにおいて、播種プラントで土、種が供給され、第一、第二、第三、第四搬送コンベア3、5、6、7で搬送されてきた育苗箱2は、積み重ね装置28、29により積み重ねられることになるが、該積み重ね装置28、29は、育苗箱2を下側から持ち上げるリフター32と、該リフター32を昇降せしめるクランク装置31と、リフター32により持ち上げられた最下段の育苗箱2を所定高さ位置に保持する係止爪33とを備えて構成されており、そして育苗箱2は、前述したように、予め設定される所定枚数だけ下側から順次積み重ねられることになる。
【0023】この様に、本発明が実施された形態のものでは、育苗箱2は下側から順次積み重ねられることになるが、この様に下側から積み重ねることにより、下側育苗箱2のリブ2aに上側育苗箱2の底部が嵌合する際に、例えば育苗箱2のリブ2aや底部に泥がついていたり多少変形していたりしても、前記上側育苗箱2にはその上に重ねられた育苗箱2の重さが全てかかっているため、該複数の育苗箱2の重さにより上側育苗箱2の底部が下側育苗箱2のリブ2aにぴったりと嵌合することになって、上側育苗箱2が浮いてしまったり傾斜状になったりすることを回避でき、積み重ね精度の高いものとすることができる。
【0024】さらに、積み重ね装置28、29により積み重ねられた育苗箱2群をパレット37に搬出する際に、搬出装置34は、従来のように育苗箱2を横送りするのではなく、最下段の育苗箱2を持ち上げてからパレット37上に静かに載置する構成となっているから、前記横送りするもののように上側育苗箱が下側育苗箱上に落ち込んでしまうような不具合がなく、均一播種が乱れてしまうことのない円滑な搬出を行うことができる。
【0025】尚、本発明は、前記実施の形態に限定されないものであることは勿論であって、前記実施の形態では、搬送終端側の第三、第四搬送コンベア6、7が二段に設けられているため、第一、第二積み重ね装置28、29を前後に設けたが、積み重ね装置を一つ、または三つ以上設けたものにおいても同様にして実施できることは勿論である。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開平11−178447
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−365050