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【発明の名称】 簡易な高さ調節機構を備えた支柱
【発明者】 【氏名】稲子 浩

【要約】 【課題】農業用の栽培床を農作業の姿勢に無理がない程度に地面上一定の高さに支持する支柱として好適に使用され、支持した栽培床の地面からの高さの調節を軽便、確実に行える高さ調節機構を備えた支柱を提供する。

【解決手段】下部支柱の上部の中空部内に、上部に支持具を有する上部支柱の下部を上下動可能に嵌め込み、位置決め板は、上部支柱を通すこと及び同上部支柱の高さ位置を固定することが可能な大きさ、形状の通孔を有し、前記通孔に上部支柱を通し、前記位置決め板の一端側は前記下部支柱の上端部から少し高く支持し、他端側は水平姿勢から傾動して一定の角度まで斜め下向きの姿勢で上部支柱を固定するように設置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下部支柱の上部の中空部内に、上部に支持具を有する上部支柱の下部が上下動可能に嵌め込まれていること、位置決め板は、上部支柱を通すこと及び同上部支柱の高さ位置を固定することが可能な大きさ、形状の通孔を有し、前記通孔に上部支柱が通されていること、前記位置決め板の一端側は前記下部支柱の上端部から少し高く支持され、他端側は水平姿勢から傾動して一定の角度まで斜め下向きの姿勢で上部支柱を固定するように設置されていることを特徴とする、簡易な高さ調節機構を備えた支柱。
【請求項2】 下部支柱の上部に高さ調節機構を備えた筒状体が着脱可能に取り付けられ、前記筒状体の上部の内側に、上部に支持具を有する上部支柱の下部が上下動可能に嵌め込まれていること、位置決め板は、上部支柱を通すこと及び同上部支柱の高さ位置を固定することが可能な大きさ、形状の通孔を有し、前記通孔に上部支柱が通されていること、前記位置決め板の一端側は前記筒状体の上端部から少し高く支持され、他端側は水平姿勢から傾動して一定の角度まで斜め下向きの姿勢で上部支柱を固定するように設置されていることを特徴とする、簡易な高さ調節機構を備えた支柱。
【請求項3】 位置決め板の他端側に、常時下向きに引っ張る弾性体が設置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した、簡易な高さ調節機構を備えた支柱。
【請求項4】 下部支柱に沈下防止板が上下方向への移動可能に取り付けられ、該沈下防止板を下部支柱へ位置決め固定する手段が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一に記載した、簡易な高さ調節機構を備えた支柱。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば農業用の栽培床を農作業の姿勢に無理がない程度に地面上一定の高さに支持する支柱として好適に使用され、特には支持した栽培床の地面からの高さの調節を軽便、確実に行える高さ調節機構を備えた支柱に関する。
【0002】
【従来の技術】栽培床は、基本的には水平に設置され、同栽培床に給水した水を均一に行き亘らせる。あるいは流水勾配を積極的に設けることも行う。従って、支柱を使用して栽培床を設置する場合、支柱を所定の高さに建てる作業と、同支柱に望ましい地上高さで栽培床を支持させる作業とが行われる。いずれにしても最終的には、支柱に高さの調節機構を設けて栽培床の支持高さを適宜に調節可能とすることが好ましい。そこで従来の技術としては例えば、■支柱で支持した栽培床の高さを挟み板等を挿入し又は抜き取って調節する技術。
■上部支柱を下部支柱に対して上下動可能とし、下部支柱に対する上部支柱の高さをボルト止め等の手段により固定する技術。
■支柱の頭部外面に取り付けたキャップと、地面に接地する沈下防止板とをネジ接合により上下方向の高さ調節が可能に組み付けた技術(実公平4−17602号の考案を参照)。
等々が公知である。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】上述した■の支柱と栽培床の間に挟み板等を挿入して高さを調節する技術は、挟み板を用意し管理することが大変で、挟み板等を挿入又は抜き取る作業が煩雑である。のみならず、使用する挟み板の厚さ等により栽培床の上昇又は下降の量及び精度が規定され、支持した栽培床を自由な移動量及び高い精度で簡易に上下の微調整をして水平に又は一定の勾配に設置することに適さない欠点が有る。
【0004】上記■のボルト止め等の手段により支柱の高さを固定する技術は、それなりに広く実施されているが、支柱の載荷重の大きさと、ボルトの締め付け力との平衡が崩れるとボルトの先端にすべりが発生し、支柱の高さが変動する欠点が有る。また、ボルトを締め付けて固定するまでの作業に時間がかかり、ボルトの締め付け力にバラツキを生ずるなど作業が煩雑であり、信頼性の確認が難しい。そして、測量に基いて支柱の高さを栽培床に要求される地上高さに調節することにはあまり適さない欠点を有する。
【0005】■のネジ運動により地上高さを調節可能とした技術は、それなりの作用効果を奏するが、高さ調節機構の構造が複雑で精巧であるため、比較的コスト高になりやすい。従って、コストを無視しても相当高い精度で位置の調節が必要となる場合には適するとしても、支柱のより簡易・迅速・安価な上下の高さ調節には不向きである。
【0006】そこで、本発明の目的は、例えば農業用の栽培床を農作業の姿勢に無理がない程度に地面上一定の高さに支持すること、及び測量に基いて支持した栽培床の高さをワンタッチ的に簡単に調節することに適し、高さ調節の必要があるときには自由な移動量及び高い精度で簡易、迅速に高さの調節ができ、しかも一旦高さ位置が決まれば支柱にかかる載荷重が大きくても微動もしないように堅固に安定に固定され、様々な支持の用途に極めて汎用的に使用できる、低コストで実施容易な、高さ調節機構を備えた支柱を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係る簡易な高さ調節機構を備えた支柱の発明は、下部支柱の上部の中空部内に、上部に支持具を有する上部支柱の下部が上下動可能に嵌め込まれていること、位置決め板は、上部支柱を通すこと及び同上部支柱の高さ位置を固定することが可能な大きさ、形状の通孔を有し、前記通孔に上部支柱が通されていること、前記位置決め板の一端側は前記下部支柱の上端部から少し高く支持され、他端側は水平姿勢から傾動して一定の角度まで斜め下向きの姿勢で上部支柱を固定するように設置されていることを特徴とする。
【0008】請求項2記載の発明に係る簡易な高さ調節機構を備えた支柱の発明は、下部支柱の上部に高さ調節機構を備えた筒状体が着脱可能に取り付けられ、前記筒状体の上部の内側に、上部に支持具を有する上部支柱の下部が上下動可能に嵌め込まれていること、位置決め板は、上部支柱を通すこと及び同上部支柱の高さ位置を固定することが可能な大きさ、形状の通孔を有し、前記通孔に上部支柱が通されていること、前記位置決め板の一端側は前記筒状体の上端部から少し高く支持され、他端側は水平姿勢から傾動して一定の角度まで斜め下向きの姿勢で上部支柱を固定するように設置されていることを特徴とする。
【0009】請求項3記載の発明に係る簡易な高さ調節機構を備えた支柱の発明は、請求項1又は2に記載した位置決め板の他端側に、常時下向きに引っ張る弾性体が設置されていることを特徴とする。請求項4記載の発明に係る簡易な高さ調節機構を備えた支柱の発明は、請求項1乃至3のいずれか一に記載した下部支柱に沈下防止板が上下方向への移動可能に取り付けられ、該沈下防止板を下部支柱へ位置決め固定する手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施形態及び実施例】請求項1記載の発明に係る簡易な高さ調節機構を備えた支柱は、図1及び図2に実施例を示したように、鋼管を使用した下部支柱1の上部の中空部内に、上部に支持具20を着脱可能に取り付けた上部支柱2の下部が上下動可能に嵌め込まれている。下部支柱2にも外径が少し小さい鋼管が使用されている。
【0011】図2に示した支持具20は、上部支柱2のキャップ部材として上部支柱2の上端に嵌めて取り付けた構成であるが、別途ボルト止め等の公知の方法により固定すること、又は直接上部支柱2に一体的に取り付けた構成でもよい。支持具20の形態は、支持しようとする部材の形態に適応するものを選択し使用する。高さ調節機構の中心をなす位置決め板3は、鋼板に、上部支柱2を通すこと、及びその傾斜角度によって上部支柱2を支持し高さを固定することが可能な大きさ、形状の通孔30を設けた構成であり、この通孔30に上部支柱2が通されている。同位置決め板3が水平姿勢のときのA−A断面図(図3)に例示したように、通孔30の平面形状は円形のほか、例えば楕円形又は長円形でもよい。
【0012】前記位置決め板3の一端側31は、図示例の場合は前記下部支柱1の上端部から上向きに取り付けた支持部材10により、下部支柱1の上端部から少し高く支持されている。他端側32は、前記通孔30が上部支柱2と同心配置となる水平姿勢(図2の点線図示位置)から傾動して図2に実線で示したように一定の角度まで斜め下向きの姿勢で上部支柱2の高さ位置を固定するように設置されている。位置決め板3の一端側31には、前記支持部材10が嵌まる切欠き33を設け、横ずれを起こさない構成とされている。
【0013】図2中に点線で示したように、位置決め板3が水平姿勢のとき、その通孔30と上部支柱2とは略同心配置となり、上部支柱2の上下動は自由である(図3)。ところが、位置決め板3が下向き姿勢に傾斜して通孔30の左右の口縁a、bが上部支柱2の外面にそれぞれ当接すると、前記口縁a、bと上部支柱2の外周面との間に摩擦力を発生する。上部支柱2は下部支柱1の中空部内に嵌って拘束を受けているので、位置決め板3の傾斜角度が一定の大きさになると、前述した摩擦力が上部支柱2にかかる載荷重よりも卓越して摩擦止め(自動止め)状態となり、上部支柱2の高さが完全に確実に固定されるのである。
【0014】従って、位置決め板3の低い他端側32を指先で持ち上げ略水平姿勢にすると上部支柱2の高さ調節が自由にでき、同他端側32から手を放して落とすと直ちに前記の高さ位置を摩擦力で固定できるから、所謂ワンタッチ操作である。位置決め板3の一端側31を支持する支持部材10は、図示例の場合、鋼材を棒状体又は長細い板状体に加工し、下部支柱1の外面に取り付けた構成である。しかし、支持部材10は図示したような棒状体又は板状体に限らず、前記一端側31が下部支柱1の上端部から少し高く支持される構成であればよく、その形態の如何を問わない。極端な場合、支持部材10の代わりに、下部支柱1の上端を傾斜面としたり、一部分が突き出る構成でも同様に実施できる。
【0015】なお、前記位置決め板3の他端側32(自由端)が上下に振動すると、前記上部支柱2の固定状態がゆるむおそれがある。この不具合を防止するため、同他端側32を常時下向きに引っ張るコイルバネ4の上端が他端側32へ着脱可能に止着されている。同コイルバネ4の下端は下部支柱1の外面に設けたフック11に取り付けられている(請求項3に係る発明)。従って、位置決め板3は常時上部支柱2の固定が緩まないように保持され、上部支柱2の高さの安定性が高い。位置決め板3の他端側32を常時弾性的に引っ張る手段であればよく、コイルバネの限りではない。例えば板バネあるいはゴムバンドでもよい。
【0016】下部支柱1に、沈下防止板5の筒部50が上下方向への移動が可能に取り付けられている。この沈下防止板5は、下部支柱1へボルト51により止めて位置決め固定される(請求項4に係る発明)。但し、沈下防止板5を位置決め固定する手段はボルト止めの限りではない。上記のように構成された簡易な高さ調節機構を備えた支柱の使用法は、まず上部支柱2及び位置決め板3を除去しておいて、下部支柱1を地面中へ一定の深さまで打ち込んで立てる。更に地面にきっちり接地させた沈下防止板5を下部支柱1へ強く固定した後に、位置決め板3と上部支柱2を組み付け、位置決め板3による高さ調節機構の操作により上部支柱2の高さを調節し、同上部支柱2の支持具20に支持せしめた栽培床の横梁7等のレベル出しの目的が達成される。既に図4のように供用中の支柱に関する高さ調節も同様に行われる。前記支持具20の形態を適宜交換することにより、様々な部材の支持に汎用的に使用できる。
【0017】なお、設置面がコンクリート床あるいは板張り床等で硬いときは、必ずしも下部支柱1を打ち込んで立てることを要さず、沈下防止板5を下部支柱1の下端部に位置せしめ固定することにより、同沈下防止板5を底板として単に床面に置いて使用することもできる。次に、請求項2記載の発明に係る簡易な高さ調節機構を備えた支柱の実施例を、図5に示した。
【0018】本実施例の場合は、管材を使用した下部支柱1の上部に、高さ調節機構を備えた筒状体6が、ボルト60により着脱可能に取り付け固定されている。この筒状体6もまた、下部支柱1の外側に嵌めることが可能な内径の鋼管により形成されている。筒状体6は、下部支柱1の上部に着脱が可能に固定できればよく、その固定手段は前記ボルト止めの方法に限らない。
【0019】前記筒状体6の上部の内側に、上部に支持具20を取り付けた上部支柱2の下部が、位置決め板3を介して上下動可能に嵌め込まれている。本実施例の場合も、位置決め板3は、やはり上部支柱2を通すこと及び上部支柱2の高さを固定することが可能な大きさ、形状の通孔30を有し、前記通孔30に上部支柱2が通されている。前記位置決め板3の一端側31は前記筒状体6の上端部に取り付けた支持部材10により同上端部から少し高く支持され、他端側32は、水平姿勢から傾動して一定の角度まで斜め下向きの姿勢で上部支柱2の高さを固定するように設置され、この他端側32には常時下向きに引っ張るコイルバネ4の上端が取り付けられ、同コイルバネ4の下端は筒状体6の外面に設けたフック11に取り付けられている(請求項3に係る発明)。要するに、本実施例の場合、筒状体6に高さ調節機構を構成する位置決め板3、支持部材10、コイルバネ4、フック11がワンセットとしてユニット化されているのである。
【0020】下部支柱1に、沈下防止板5の筒部50が上下方向への移動が可能に取り付けられ、この沈下防止板5が下部支柱1へボルト51により位置決め固定される点は、上記第1実施例と共通する。従って、本実施例の支柱の使用法は、まず筒状体6及び上部支柱2を取り外しておいて下部支柱1を地中へ打ち込む。その後、下部支柱1の上部へ筒状体6を固定し、更に上部支柱2をセットし、その高さを調整する。本実施例の支柱は、高さ調節機構をワンセットで備えた筒状体6を、下部支柱1から分離して、設置場所までの輸送、管理を軽便にできる。
【0021】
【本発明が奏する効果】本発明に係る簡易な高さ調節機構を備えた支柱は、例えば農業用の栽培床を農作業の姿勢に無理がない程度に地面上一定の高さに支持すること、及び測量に基いて支持した栽培床の高さを調節することに適する。特に、高さ調節の必要があるときは、自由な移動量及び高い精度でワンタッチ的に簡易、迅速に高さの調節ができる。しかも一旦高さ位置が決まれば、支柱にかかる載荷重が大きくても微動もしないように堅固に安定に固定される。更に、様々な支持の用途に極めて汎用的に、しかも低コストで実施容易に使用できる作用効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000126148
【氏名又は名称】株式会社みかど育種農場
【出願日】 平成9年(1997)12月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山名 正彦
【公開番号】 特開平11−178446
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−350423