トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 張芝体およびその施工方法
【発明者】 【氏名】伊藤 雄一

【要約】 【課題】リサイクル素材を利用したコスト安な張芝体を提供する。

【解決手段】古紙や裁断くず等を再生処理して得た故紙パルプに粘着剤または接着剤を混練して所定厚みの基布1を形成し、その基布1に植生材料2を貼着してなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 古紙や裁断くず等を再生処理して得た故紙パルプに粘着剤または接着剤を混練して所定厚みの基布を形成し、その基布に植生材料を貼着してなることを特徴とする張芝体。
【請求項2】 前記基布の少なくとも表面側を腐食性もしくは生分解性の繊維材または金網で被覆してなることを特徴とする請求項1に記載の張芝体。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の張芝体を法面に敷設し、その上に網状体を被覆することを特徴とする張芝体の施工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芝生種子等を能率よく法面等の裸地面に播種するための張芝体およびその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴルフ場やゲートボール競技場等の芝生の植生や公園緑化あるいは河川敷等の芝地や法面の造成等においては、従来は、芝生種子の手作業による直播きや吹き付け、生芝の張付け等がおこなわれてきた。しかし、このような手作業や吹付け等による工法は人手を要して手間がかかりコスト高になる難点があった。
【0003】そこで、例えば適当な厚みを有する不織布等よりなる基布に芝生種子を植生基盤材と共に水溶性糊剤等によって貼着して張芝体を形成し、その張芝体を順次法面上に敷設する能率のよい施工方法がおこなわれるようになった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した張芝体による施工では、張芝体が芝生種子の上から法面上に密着するため、降雨,融雪,風蝕,凍上等によるエロージョンを効果的に防ぐことができ、また、芝生種子が保温されるため早期に発芽し、肥料や土壌改良材等が流亡することなく、安定した健全な早期緑化を図ることができる。
【0005】ところで、近時は産業廃棄物の処理が義務付けられ、コスト安にリサイクル素材が入手できるようになり、種々の分野でリサイクル商品の開発が盛んとなった。上述した張芝体においても、リサイクル素材を有効に活用するための検討が望まれていた。
【0006】本発明はこのような実情に鑑みてなされ、リサイクル素材を利用したコスト安な張芝体およびその施工方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、請求項1に記載の発明では、古紙や裁断くず等を再生処理して得た故紙パルプに粘着剤または接着剤を混練して所定厚みの基布を形成し、その基布に植生材料を貼着してなることを特徴としている。
【0008】請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明における前記基布の少なくとも表面側を腐食性もしくは生分解性の繊維材または金網で被覆してなることを特徴とするしている。
【0009】請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の張芝体を法面に敷設し、その上に網状体を被覆することを特徴としている。
【0010】故紙パルプは、例えば牛乳メーカー等からコスト安に入手することができる。また、保水性が良好であり、保温性もあり適度の柔軟性もあるため、張芝体の基布として好適な特性を具備しており、かつ、経時的に消失するため、環境が保全される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の張芝体およびその施工方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は張芝体の部分破断斜視図で、符号1は古紙や裁断くず等を再生処理して得た故紙パルプと粘着剤または接着剤を混練して綿状とした基布であり、例えば3cm厚程度の均一な厚さに調整されたものである。その基布1には、肥料や土壌改良材、保水材等の植生基盤材と芝生種子を含む植生材料2,…が貼着一体化されており、かつ、その基布1の上下両面がベンネット等の再生繊維材よりなる腐食性の不織布(繊維材)3で被覆され補強されている。
【0012】このような種子付きの張芝体4は、例えば幅1m×長さ30m程度でロール状に巻回されたものを現地に搬入し、山側から法面5上に展開して(図2参照)、止め釘又はアンカー(図示省略)等を用いて適宜に固定すればよく、きわめて作業性よくコスト安に施工することができる。また、例えば比較的に広い法面の施工用としては2m×5m程度の比較的大きな形状に形成して、施工能率を上げることも可能である。
【0013】このような張芝体4はその表裏両面がベンネット等の不織布3で被覆されているため施工時に必要な保形性を得ることができ、かつ、法面5に敷設したときには、法面5の凹凸によくなじみ密着性が良好であり、また、降雨や散水等による水分を保水性の高い基布1に浸透させて充分に保持させることができ、かつ、芝生種子や植生基盤材の流失を防ぐこともでき、エロージョンを防止することもできるため、施工初期における発芽を確実に促進させることができる。
【0014】芝生種子が発芽してさらに根を張る頃には、不織布3と基布1が部分的に崩壊して土壌と同化しはじめ、植生基盤材も土壌に落下して定着し、芝生が生育する頃には不織布3は基布1と共に消失して環境問題をあとに残すことがなく、早期安定緑化を達成することができる。なお、上述の不織布3に代えて、生分解性もしくは腐食性の合成繊維材よりなり、種子の通芽と通根を許容する程度の目合いを有するネット(図示省略)を用いてもよい。
【0015】あるいは、図3に示すように、種子を除いた植生基盤材21を基布1と一体化させる一方、芝生種子22を表側の不織布31の裏面に予め水溶性糊剤で貼着させておいてもよい。なお、32は下面側の不織布を示す。また、図示は省くが、特に保温性が求められる場合には芝生種子を基布1の下面に貼着させてもよい。
【0016】また、施工条件により、比較的長期にわたり、張芝体4を保形しておく必要がある場合には、不織布3に代えて種子の通芽と通根を許容する適当な目合いを有する金網33を基布1の表裏両面に張り合わせてもよく(図4参照)、この場合、その金網33が消失するまでの間、基布1が充分に保護され、かつ、その目合いから種子が発芽し、また、根を張り出すことができ、芝生種子の成長が妨げられることなく長期安定保護が可能となり、種子が健全に成長した後には、金網33はやがて消失し、環境は保全される。
【0017】上述の不織布3や金網33は、施工時や敷設後に必要な剛性を基布1に付与するために設けられるが、少なくとも基布1の表面側に被着されていればよく、不織布3の場合、水溶性糊剤または縫合により、金網33はニードルパンチ等により一体化させればよい。また、不織布3に代えて織布を用いてもよいのはいうまでもない。なお、金網の場合予め基布1に一体化させることなく、法面に基布1を敷設した後、その基布1の上から、別途、金網または分解性のネット等の網状体を被覆させ、止め釘やアンカー等を用いて固定するようにしてもよい。
【0018】あるいは、基布1に硬化剤を混入して必要な保形性を具備させた場合には、繊維材や金網等を被覆させることなく、そのまま法面に施工してもよく、その場合には、基布1に植生基盤材と共に芝生種子を混練一体化させてもよく、芝生種子のみを基布1の上面又は下面に貼着させてもよい。なお、本発明は芝生種子に限られることなく、その他草本種や牧草種、樹木種等を基布1と一体化させてもよいのはいうまでもない。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、安価な故紙パルプを用いて基布を形成するのでコスト安に提供することができ、資源の再利用ができる。その基布は生分解性の繊維材や金網で容易に補強することができ、また、良好な保水性を具備しており、乾燥地においても早期安定緑化を達成することができる。
【出願人】 【識別番号】000231431
【氏名又は名称】日本植生株式会社
【識別番号】598006392
【氏名又は名称】北海日植株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
【公開番号】 特開平11−178441
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−365005