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【発明の名称】 自然薯の栽培方法およびその装置
【発明者】 【氏名】中嶋 良一

【氏名】中嶋 拓雄

【要約】 【課題】種芋の植え付けと、栽培袋の引き抜きによる収穫とが簡単かつ短時間により行なえることができる自然薯の栽培方法およびその装置を提供する。

【解決手段】地中部に円筒体1の長さおよび外径に見合うように取付溝2を穿設させ、この取付溝2内へ内部が中空状に形成され、その上端部に開口2aを有する円筒体2を多数並べて埋設し、これら円筒体2内に用土9入りの栽培袋3を挿入して、これら栽培袋3内の用土9へ種芋4を撒く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地中部に所定幅と所定深さからなる取付溝を形成し、この取付溝内へ内部が中空状に形成されて少なくともその上端部に開口を有する円筒体を、該開口が地表部に略位置するように多数並べて埋設し、これら円筒体内へ、用土を充填した栽培袋を該円筒体の略全長に対してそれぞれ挿入し、これら栽培袋内の用土へ種芋を撒いた後、これら円筒体上に覆土を施して成育を待ち、所定の成育に達したとき、前記覆土を取り除いて、円筒体内から栽培袋ごと自然薯を取り出して収穫することを特徴とする自然薯の栽培方法。
【請求項2】 次回目からの自然薯の栽培にあって、既に埋設されている円筒体内への、用土が充填された栽培袋の入れ出しにより自然薯を成育させることを特徴とする請求項1記載の自然薯の栽培方法。
【請求項3】 地中に埋設させた円筒体内において自然薯を成育させる自然薯の栽培にあって、地中部に穿設させた前記円筒体の長さおよび外径に見合う所定に連続した取付溝と、この取付溝内へ略全長が埋入されるように多数並べて埋設し、内部が中空状に形成されて、少なくともその上端部に開口を有する円筒体と、これら円筒体内の略全長に対してそれぞれ挿入し、その内部に用土を充填した栽培袋と、これら栽培袋内の用土へ撒いた種芋とを備えさせたことを特徴とする自然薯の栽培装置。
【請求項4】 取付溝の近傍に、該取付溝に沿って育成溝を設けたことを特徴とする請求項3記載の自然薯の栽培装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植え付けおよび収穫の作業を簡便させ、かつ、良品質の自然薯の収穫を行なうことができる自然薯の栽培方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現今、天然の自然薯の収穫が激減してきているため、従来より、人工栽培によって収穫することが一般的となっているもので、その栽培法は、例えば、以下のような方法により行なっていた、すなわち、直径が5〜6cm、長さが1.3m程度の塩化ビニール製のパイプを、長さ方向に対して直径幅よりやや狭い切り除きを連続的に形成して、この切り除きから、栽培用の土を該パイプ内部へ入れておくもので、あらかじめこの土入りパイプを多数用意しておく。
【0003】そして、このパイプが所定角度でねかせた縦向きに埋設されるように、栽培地に所定深さで所定長さとなる溝を掘る。
【0004】そして、この溝へ、前記土入りパイプを多数並べ設けた状態でこのパイプを埋めた後、該パイプの地表部において、種芋を植え付けて覆土を施すもので、この種芋はパイプ内において徐々に成長して、該パイプよりは細径で略同長の自然薯が成長する。
【0005】これらの植え付け作業は春季に行なわれ、秋季には、所定に成育した自然薯の収穫作業が行なわれるものであるが、その収穫に際して、パイプ内で成育した自然薯を該地中に埋設したパイプごと取り出すために、前記溝をパイプの周囲をそのパイプの埋設した深さまで栽培地を再び掘り起こし、このパイプの一本づつを引き抜いている。
【0006】そして、このパイプの切り除きを押し広げて該切り除きから、栽培土と共に成育した自然薯を取り出していた。
【0007】したがって、植え込みに際しては、あらかじめパイプ一本づつに切り除きを形成しなければならないので、この切り除き加工が面倒な上、パイプの切り除きから栽培土を詰め込まなければならないので、この作業が面倒で、かつ、栽培土は詰め込みにくく、栽培土の充填が不完全の場合は、自然薯の成育に悪影響を及ぼす。
【0008】自然薯の収穫に際して、栽培地に形成した溝を再び掘り起こさなくてはならないので、この掘削作業は重労働で、しかも、自然薯が詰まった土入りパイプを一本づつ引き抜かなければならないため、大量に作付けした自然薯の収穫は、一層大きな労働負担を与える。
【0009】特に、自然薯の植え付けにおいてその度ごとに、栽培地の溝の構築を行ない、パイプを並べて埋め込まなければならないので、高齢化する農業従事者に対する労働負担は図り知れない。
【0010】また、パイプ内で成育する自然薯は、長さ方向に対して連続した切り除きが形成されているので、この切り除きから、土壌の菌や害虫,農薬等の有害物が侵入して、成育中の自然薯を損傷させたり、雨水と共に肥料の毒性も侵入して、同様に自然薯に対して悪影響を与える。
【0011】更に、土壌に存在した菌による自然薯への害を防止するため、やむを得ず農薬により土壌を消毒しなければならないので、一層、成育中の自然薯に対する農薬被害が拡大する。等の様々な問題点を有するものであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記した問題点を解決するためになされたもので、地中部に円筒体の長さおよび外径に見合うように取付溝を穿設させ、この取付溝内へ内部が中空状に形成され、その上端部に開口を有する円筒体を多数並べて埋設し、これら円筒体内に用土入りの栽培袋を挿入して、これら栽培袋内の用土へ種芋を撒くことにより、種芋の植え付けと、栽培袋の引き抜きによる収穫とが簡単かつ短時間により行なえることができる自然薯の栽培方法およびその装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記した目的を達成するための本発明の手段は、地中部に所定幅と所定深さからなる取付溝を形成し、この取付溝内へ内部が中空状に形成されて、少なくともその上端部に開口を有する円筒体を、該開口が地表部に略位置するように多数並べて埋設し、これら円筒体内へ、用土を充填した栽培袋をこれら円筒体の略全長に対してそれぞれ挿入し、これら栽培袋内の用土へ種芋を撒いた後、これら円筒体上に覆土を施して成育を待ち、所定の成育に達したとき、前記覆土を取り除いて、円筒体内から栽培袋ごと自然薯を取り出して収穫する自然薯の栽培方法にある。
【0014】また、次回目からの自然薯の栽培にあって、既に埋設されている円筒体内への、用土が充填された栽培袋の入れ出しにより自然薯を成育させる。
【0015】そして、地中に埋設させた円筒体内において、自然薯を成育させる自然薯の栽培にあって、地中部に穿設させた前記円筒体の長さおよび外径に見合う所定に連続した取付溝と、この取付溝内へ略全長が埋入されるように多数並べて埋設し、内部が中空状に形成され、その上下端部に開口を有する円筒体と、これら円筒体内の略全長に対してそれぞれ挿入した内部に用土を充填した栽培袋と、これら栽培袋内の用土へ撒いた種芋と、を備えさせた自然薯の栽培装置の構成にある。
【0016】また、取付溝の近傍に、該取付溝に沿って育成溝を設ける。
【0017】
【実施例】次に本発明に関する自然薯の栽培方法およびその装置の実施の一例を図面に基づいて説明する。
【0018】図1〜図2においてAは自然薯の栽培方法を採用した自然薯の栽培装置で、地中に埋設させた円筒体2内において、自然薯bを成育させる自然薯栽培に用いられる。
【0019】そして、取付溝1と、円筒体2と、栽培袋3と、種芋4とにより基本的に構成される。
【0020】このうち、前記した取付溝1は、自然薯の成育に適した畑等の地中部5に穿設させてあって、後記する円筒体2の長さおよび外径に見合うように所定に連続して形成してある。
【0021】この取付溝1は、芋の品種によっても異なるが、例えば、幅80mm〜200mmで、深さ70cm〜120cm程度の直線列状に掘られるものであって、栽培効率が得られるように並列させて複数列に設けられることが好ましい。
【0022】前記した円筒体2は、取付溝1内へその深さ方向に対して、該円筒体2の略全長が埋入されるように多数並べて埋設するもので、内部が中空状に形成される慣用の塩化ビニール製等のパイプが用いられるものであって、少なくともその上端部(その上下端部の場合もあり、円筒体2の加工上はこの方が簡便)には開口2a,(2b)を有する。
【0023】なお、該円筒体2の下端部の開口2bは、後記する栽培袋3の底部を支承する受体6が形成されているもので、図3(a)に示すように、円筒体2の下端縁を所定深さに複数の切り込み7を入れ、これによって成形された切り込み片8を、図3(b)に示すように、内方へ折り曲げることで形成される。
【0024】また、この円筒体2の適所、好ましくは、図4に示すように、円筒体2を斜めに埋設させたときに後側に位置する箇所へ、通気,通水孔2cを設けることもある。
【0025】この円筒体2にあって、その内径の設定は、収穫する自然薯bの品種によっても異なるが、必要なことは、最も成長した際の自然薯径より大きくて、しかも、この円筒体2内から成長した自然薯bが内装された栽培袋3を、引き抜きやすい最低限の余裕をもった隙間sが得られるように設定させるもので、小径に形成するほど並べ設ける数が増えて栽培効率が向上する。
【0026】この円筒体2の太さ構成は、例えば、自然薯bの最大径が約φ50であれば、円筒体2の内径は、φ70〜φ90程度の比率が好ましいものであるが、自然薯bの成育諸条件から用土9の充填量との関連を有するので、これら数値には限定されない。
【0027】前記した栽培袋3は、その内部に自然薯bの栽培に適した用土9を充填して、円筒体2内の長さ方向の略全長に対して挿入してあって、下端部を閉塞した筒状の所定強度を有するビニール製袋が用いられる。
【0028】なお、この用土9が充填された栽培袋3は、自然薯bの成長膨らみ分の太さをもって成形されているもので、円筒体2内への挿入時にあっては、図6(b)に示すように、栽培袋3の円周方向を縦に縮めて折り込み、その根元部に仮止め3aを形成しておくことにより、該栽培袋3の円筒体2内への挿入が円滑、かつ、簡便に行なえるものであり、しかも、栽培袋3の全長に亘って用土9の充填量が均一化されるものであって、自然薯bの成長に連れて施した仮止め3aは簡単に外れ、栽培袋3の円周方向へ向かっての自由な膨らみが可能となって、自然薯bの成長に支障を来さない。
【0029】前記した種芋4は、栽培袋3内の用土9へ撒いてこの用土9内において新芋を成育させるもので、円筒体2内の栽培袋3一本に付き一本の種芋4を植え込むものであって、この種芋4の発芽球(吸収根)4aから成長した芽が栽培袋3内へ向かって伸長する。
【0030】図2において10は、栽培地5において、取付溝1の近傍に、該取付溝1に沿って設けた所定幅で所定深さの育成溝で、種芋4の発芽球4aより成長して延伸した細根が地表において張りやすくするものであって、溝状に形成することで、細根の張る面積を可及的に拡大させることができる。
【0031】なお、この細根は、自然薯bの成長過程においてできるだけ地表に延伸することが、該自然薯bの成長具合を大きく作用する。
【0032】また、取付溝1の近傍においてこの育成溝10を設けることで、取付溝1付近を所定に乾燥させて湿度や通気,水分調整を行なう。
【0033】なお、図1および図2において11は、種芋4の発芽球(吸収根)4aから成長して、上方へ伸びるつる4bがからんで伸びやすくするためのネットで、慣用の網や、例えば、図示してない多数本を立設させた支柱に張った多数本の線材からなる網状のものを用いる。
【0034】したがって、前記のように構成される本発明に係る実施例の自然薯の栽培方法および栽培装置Aは、以下に述べる作用を奏する。
【0035】まず、あらかじめ、例えば、図4に示すような、内径φ75で、長さ1.2mの塩化ビニール製中空パイプによるの円筒体2を多数本用意しておき、その下端部の開口2bを、図3(b)に示すように加工して、栽培袋3の受体6を形成させておく。
【0036】次に、所定の栽培地5において、図5(a)に示すように、その地中部に所定幅(少なくも円筒体2の太さより幅広)と深さからなる取付溝1を連続的に所定長さに形成する。
【0037】そして、この取付溝1内へ、前記のように用意された円筒体2の一本ずつを、図1および図5(b)に示すように、所定に傾斜となるように、しかも、開口2aが栽培地5の地表部に略位置するように多数並べて埋設するもので、該円筒体2の周囲は、この円筒体2内へ土が入らないようにして、掘削した栽培地5の土を埋戻し地表を平らにしておく。
【0038】また、ビニール製の栽培袋3内に用土9を充填して、栽培地5に埋設した円筒体2に見合う数だけ用意しておく。
【0039】これら栽培袋3を、図5(c)に示すように、円筒体2内へその開口2aから次々と挿入していくもので、該栽培袋3は、それ自体の太さを、また、仮止め3aによって円筒体2の内径より細く形成させてあるので、その挿入が自重降下していたって容易に行なわれ、更に、この栽培袋3の端を少し長めに形成して地表部に露出しておけば、この露出部分をつまんでの該栽培袋3の引き抜きの際作業がしやすい。
【0040】これら栽培袋3の入った円筒体2上へ、害虫寄生防止用のビニールシート(マルチ)の覆い部材12を被せて、この上から覆土13を6〜7cmm程度をかけた後、この覆土13に、あらかじめ成育しておいた種芋4を、図6に示すように植え付ける。
【0041】なお、この覆い部材12は、円筒体2内の栽培袋3との隙間sへ、用土9や栽培地5の土あるいは覆土13が入らないようにするのにも役立つ。
【0042】これで、自然薯bの種芋4の植え付けが終了するもので、所定の管理をしつつ成育を待つもので、通常、この植え付け作業は春季に行ない、秋季まで育成させる。
【0043】このとき、自然薯bは、その種芋4の発芽球4aが、該種芋4の養分を吸収しつつ、図7に示すように、真下に向かって新芋の芽を伸ばし、覆い部材12を破って栽培袋3内へ入り込むことで、該栽培袋3内で成長を続けるものであって、また、根部は、発芽球4aから覆い部材12に沿って地表を這い、次第に育成溝10に入り込んで、その延伸の拡大がなされ自然薯bの成長を促進させる。
【0044】そして、図7および図8に示すように、自然薯bが円筒体2に沿って栽培袋3内において所定の成育に達したとき、すなわち、秋季になったとき、図8(a)に示すように、覆土13および覆い部材12を取り除いて、円筒体1の開口2aを露出させて、該開口2aから突出している栽培袋3の上端露出部分を掴んで引っ張り上げると、自然薯bは、円筒体1内から栽培袋3ごと取り出される。
【0045】この取り出された栽培袋3内から、図8(b)に示すように、引っ張り出せば簡単で軽微な引き抜き力により、年少者や高齢者であっても容易に自然薯bが取り出せて、該自然薯bの収穫が終了する。
【0046】また、次回の自然薯bの栽培にあっては、既に最初に円筒体2の埋設がなされているので、これが基礎となって、図5(b)に示す状態から、用土9を充填した栽培袋3の円筒体1内への挿入が行なえるから、一層、種芋4の植え付け作業が簡単となって、大きな力が必要となった重労働となりがちな農作業が大幅に軽減される。
【0047】
【発明の効果】前述したように本発明の自然薯の栽培方法は、自然薯の種芋の植え込みに際して、地中に埋設された円筒体内へ、その開口から用土が入った栽培袋を挿入するだけの簡単な作業であるため、植え込みのための下準備が簡便で、しかも、栽培土の詰め込みが容易に行なえる。
【0048】自然薯の収穫に際して、円筒体内から栽培袋を引き上げるだけで成長した自然薯が取り出せるため、栽培地に形成した溝を再び掘り起こさなくてもよく、大量に作付けした自然薯の収穫が簡単に行なえて、労働負担の大幅な軽減が図れて、若年者や高齢者であっても栽培作業に従事できる。
【0049】特に、一度、栽培地の溝の構築を行なって円筒体を埋設しておけば、次回からの自然薯の植え付けにおいては、栽培地の溝および既に埋設した円筒体がそのまま反復使用できて、植え付け作業の大幅な省力化が図れ、しかも、溝の構築作業や、円筒体の引き抜き等に要する労力が不要となって、大幅な労働負担の軽減が達成できる。
【0050】また、円筒体の開口は可及的に少ないため、土壌の菌や害虫,農薬等の有害物が侵入しての、成育中の自然薯を損傷させたり品質を低下させることがなく、この土壌に存在した菌の防除のための農薬による土壌消毒が不必要となるので、一層、自然薯に対する農薬被害が減少する。
【0051】取付溝の近傍に、該取付溝に沿って育成溝を設けることにより、種芋より成長して延伸した細根が、地表において張りやすくなると共に、溝状に形成することで、細根の張る面積を可及的に拡大させることができる。等の格別な効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】397041750
【氏名又は名称】中嶋 良一
【識別番号】397041761
【氏名又は名称】中嶋 拓雄
【出願日】 平成9年(1997)9月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 静富 (外2名)
【公開番号】 特開平11−75533
【公開日】 平成11年(1999)3月23日
【出願番号】 特願平9−240635