| 【発明の名称】 |
温水灌水装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】柏木 博
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| 【要約】 |
【課題】農地に灌水される貯水タンク内の水を、混合手段により所定温度に均一化させて温度ムラをなくすことにより、農地の作物の生育を向上させることができる温水灌水装置を提供する。
【解決手段】貯水タンク1内の貯留水の一部は、取水パイプ13によりボイラー11に送られ所定温度に加熱され、この加熱水は還流パイプ14により貯水タンク1に還流される。還流された加熱水は、貯水タンク1内の下部領域において放水パイプ17から放出されることにより、貯留水と強制的に混合して均一な温度になる。この温水は給水ポンプ5の駆動により農業用ハウスの土壌に灌水され農作物の生育を高めることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水が貯留される貯水タンクと、該貯水タンクに接続された加熱手段と、前記貯水タンクから該加熱手段へ貯留水を送水すると共に、前記加熱手段により熱せられた加熱水を前記貯水タンクヘ還流させる還流手段とからなり、前記貯水タンク内に前記加熱水と前記貯留水とを混合させる混合手段を設けたことを特徴とする温水灌水装置。 【請求項2】 混合手段が、加熱水自体の流動エネルギーであることを特徴とする請求項1記載の温水灌水装置。 【請求項3】 混合手段が、貯水タンクの下部に位置する加熱水用放水パイプからの加熱水の噴出であって、該放水パイプの先端からの加熱水が貯水タンクの内壁にあたり水流を発生させるように設けたことを特徴とする請求項2記載の温水灌水装置。 【請求項4】 混合手段が、貯水タンクの下部に位置する加熱水用放水パイプからの加熱水の噴出であって、該放水パイプの側面に複数の噴出孔を穿設したことを特徴とする請求項2または3記載の温水灌水装置。 【請求項5】 貯水タンクの上部および下部にそれぞれ温度センサを設け、該両温度センサが検出した温度差により混合手段を作動させることを特徴とする請求項1記載の温水灌水装置。 【請求項6】 貯水タンクに接続した給水パイプに開閉可能なフィルタを設けると共に、取水パイプにフィルタを設けたことを特徴とする請求項1記載の温水灌水装置。 【請求項7】 取水パイプにおける加熱手段に近接した位置にポンプを設け、該ポンプが循環用ポンプであることを特徴とする請求項1記載の温水灌水装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ハウス内でキューリ等の作物の促成栽培をするにあたって、作物生育向上のために所要温度の温水を農地に灌水する温水灌水装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、ビニルハウスを使用したキューリやトマト等の促成栽培をするにあたっては、作物の生育を向上させるために温水を農地に灌水する方法が取られている。これは寒い時期において従来の路地栽培では育たないためで、温水により農地を所望の温度にすることにより、この季節外れの収穫を可能にしている。この方法によりハウス栽培された農作物は、高値で取引されることからその商品価値は高い。 【0003】温水を農地に灌水する装置としては、従来、冷水を貯留する貯水タンクと、これとは別個に設けられたボイラーなどの加熱水の供給手段とからなり、冷水を一旦貯水タンクに貯留した後に、冷水を貯水タンクの外部に取り出した上で、この冷水にボイラからの加熱水を配管内で合流させて温水を得、これを農地に灌水するようにしているこのように配管内での単なる合流方式となっている背景には、河川からの水はゴミなどが混入しているために、ボイラには河川の水を直接供給できず別系の水、例えば井戸水を用い、ボイラからの加熱水を冷水系の配管内に途中で加えなければならないという事情がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、このように冷水と加熱水とを単に配管内で合流させて温水を得た場合は、冷水の温度や外気温によりその水温が影響されやすく、温水自体に温度ムラが生じることが避けられないため、温水灌水の効果が十分に得られない場合があるという問題がある。さらに、水温が極端に高過ぎたり低過ぎたりし、かえって生育に悪影響を与え、望ましい収穫量がえられない危険さえある。本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みてなされたもので、灌水する温水の温度ムラをなくすことにより、農作物の生育を大幅に向上させることができ、しかも河川からの灌漑用水を直接温水にすることができる温水灌水装置の提供を目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】このため本発明の温水灌水装置は、水が貯留される貯水タンクと、該貯水タンクに接続された加熱手段と、前記貯水タンクから該加熱手段へ貯留水を送水すると共に、前記加熱手段により熱せられた加熱水を前記貯水タンクヘ還流させる還流手段とからなり、前記貯水タンク内に前記加熱水と前記貯留水とを混合させる混合手段を設けたものである。前記混合手段としては、加熱水自体がもつ水力学的な流動エネルギーをそのまま利用して貯留水と混合するように構成できる。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明の温水灌水装置においては、従来の配管内の混合とは異なり、貯水タンク内の水全部を所望温度の温水とし、均一な水温を農地に灌水できるようにしたものである。すなわち、一旦貯水タンク内に貯留された冷水を取り出し、ボイラーなどの加熱手段により加熱水とし、これを貯水タンク内に還流させ、さらに貯水タンク内においてこの加熱水と冷水とを強制的に攪拌して混合し、貯水タンク内全体を均一な水温の温水とするものである。この貯水タンク内における混合手段としては、加熱水自体の水流を利用している。特に、灌水用として使用される貯水タンクは3kl度とその容量が大きく、これに対して例えば業務用のボイラーにより加熱水を供給しただけでは、貯水タンク内における温度ムラが生じざるを得ない。これを克服して、貯水タンク内の水温を均一にするために、タンク内の水を攪拌しながら加熱することが望ましいためである。 【0007】また、多少のゴミなどが混入した河川等の水を水源として採用できるように、貯水タンクに接続した給水パイプに開閉が容易なフィルタを設け、かつ取水パイプにもフィルタを設けることにより、不純物が除去された灌漑用水を直接ボイラー内に取り込めるようにしている。 【0008】さらに、貯水タンクとボイラーの設置が様々な条件下であっても対応できるために、ボイラーに近接した位置に十分な吸引力を有する循環ポンプを設けることにより、貯水タンクとボイラーとの間における循環を効率よく行うように設けると共に、上記した加熱水の噴水が十分になされるように設けている。 【0009】 【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1は本発明に係る温水灌水装置を示す概略配管図、図2は本実施例の放水パイプの構造例を示す貯水タンクの一部切り取り斜視図である。図1に示すように、本実施例の温水灌水装置は、約3klの水を貯留できる断熱構造の貯水タンク1と、加熱水を発生させる加熱手段としてのボイラー11と、ボイラー11の流入部と貯水タンク1の底部とを連通する取水パイプ13と、ボイラー11の流出部と貯水タンク1の上部とを連通する還流パイプ14と、還流パイプ14に連通し貯水タンク1の底部に設けられた混合手段としての放水パイプ17と、貯水タンク1とボイラー11との間の冷水と加熱水とを循環させる循環ポンプ25と、バルブの切り換えにより貯水タンク1への冷水の供給および農業用ハウス(図示せず)への温水の灌水を行う給水ポンプ5とから構成されている。 【0010】貯水タンク1上部の流入側には流入パイプ2が接続されている。流入パイプ2の先端は川や池の水場または井戸などの水源(図示せず)に達しており、流入パイプ2の途中の箇所にはボールバルブ4、給水ポンプ5、ボールバルブ6が順次設けられている。 【0011】一方、貯水タンク1底部の流出側には送水手段としての流出パイプ7が接続され、流出パイプ7の先端は農業用ハウスに達している。流出パイプ7の途中の箇所には、ボールバルブ9、給水ポンプ5及びボールバルブ10が順次設けられている。 【0012】給水ポンプ5は、貯水タンク1への給水用と、農業用ハウスへの温水の灌水用とを兼ねている。ボールバルブ4とボールバルブ6とを開放した場合は貯水タンク1内へ給水され、ボールバルブ9とボールバルブ10とを開放した場合は農業用ハウス内へ温水が灌水される。 【0013】ボイラー11の燃焼部は、その側方に配設されたオイルタンク12に接続されている。取水パイプ13にはボールバルブ15が設けられると共に、ボイラー11に近接した位置に吸引力の大きい循環ポンプ25が設けられている。また、取水パイプ13の下端部にはドレンバルブ16が設けられている。 【0014】貯水タンク1の底部には還流パイプ14に接続された放水パイプ17が設けられ、貯水タンク1で加熱水を放出することにより冷水と加熱水とを混合する混合手段として機能する。 【0015】図2に示すように、放水パイプ17の放水パイプ先端部17aは開放され、角度をもって貯水タンク1の内壁に面しており、放水パイプ先端部17aから加熱水が噴出して、貯水タンク1の内壁にあたり水流を発生し、貯水タンク1内が攪拌されるように設けられている。また、放水パイプ17の水平部分の側壁面には、複数の噴出孔18が穿設されている。噴出孔18は貯水タンク1底面の中心軸をはさんで相対抗する方向に配置され、しかも加熱水が斜め上方向に噴出するように設けられている。 【0016】図1に示すように、貯水タンク1の上部には攪拌用のスクリュー19が取り付けられ、スクリュー19は貯留水の上部領域において攪拌混合を機械的に促進するものである。また、貯水タンク1の上部、底部には温度センサー20、21がそれぞれ取り付けられ、温度センサー20、21の温度検出値は、スクリュー19やボイラー11等の作動を制御する制御部22に出力される。したがって、貯水タンク1の上下部に温度差が生じた場合、貯水タンク1内を攪拌すると共に、加熱水が再供給され、均一な水温を維持できるように設けられている。 【0017】尚、本実施例ではスクリュー19を一枚だけ例示しているが、貯水タンク1の大きさや高さなどに応じてスクリューが複数設けられたものでもよい。 【0018】貯水タンク1の上部近傍の流入パイプ2にはフィルタ23が取り付けられており、詰まったゴミ等を適時除去できるように、上蓋が開閉容易に設けられている。ボイラー11の近傍の取水パイプ13にはフィルタ24が取り付けられ、フィルタ24は前記フィルタ23よりも網目の細かい除去能力を有している。 【0019】上記構成の温水灌水装置の作用を説明する。給水ポンプ5を駆動させ、ボールバルブを切り換えることにより、水源の水が流入パイプ2を介して貯水タンク1内に供給される。所定量以上の水が貯留されると、給水ポンプ5は停止する。その際、給水される水の中のゴミはフィルタ23により除去される。深夜または早朝において、タイマー(図示せず)により循環ポンプ25およびボイラー11が作動を開始し、貯留水の一部は取水パイプ13およびボールバルブ15を介してボイラー11に送られ、ここで所定温度の水になるまで加熱される。これにより生じた加熱水は、還流パイプ14および放水パイプ17を介して貯水タンク1の底部に還流され、貯水タンク1内の貯留水と加熱水は互いに均一に混合される。この際、加熱水が貯水タンク1の底部全領域において噴出孔18及び放水パイプ先端部17aから勢いよく噴出するので、貯留水と加熱水が短時間で効率良く強制混合される。 【0020】また、本実施例では貯水タンク1の上部には攪拌用のスクリュー19が取り付けられているので、貯水タンク1の上部領域においても高い混合効率が確保できる。すなわち、貯水タンク1の上部、底部に取り付けた温度センサー20、21の双方の温度検出値の差値が一定値以上になると、制御部22がこれを判別してスクリュー19を起動させる。これにより、貯水タンク1の上部領域においても機械的な攪拌混合が速やかに促進され、例えばキューリ等の作物の灌水に適した30度位の水温を維持できる。 【0021】ここで、温水の供給量について従来技術の灌水装置と比較する。例えば、通常のボイラーの突出量は毎分8lで、得られる水温は80〜90℃程度である。これに例えば水温5℃の水を配管内で混合して得られる30℃の温水の水量は毎分約22lであり、10アールのハウス内に3klの温水を供給するためには、136分程かかってしまい、外気温が氷点下に近かった場合は灌水が完了するまでに、土壌が冷えてしまうことになる。この点、本発明の温水灌水装置によると、10アールのハウス内に灌水するに十分な3kl温水がすでに確保されているため短時間で灌水することが可能で、土壌全体を好ましい温度に維持することができる。 【0022】したがって、温度ムラのない均一な灌水により、農業用ハウス内の作物の生育が著しく向上する。実際に本例による温水をキューリやトマトに灌水して育成したところ、従来方式の温水灌水に比べて収穫量が約1〜2割程度増加するという顕著な成果が得られた。 【0023】尚、実施例では貯水タンク1の給水と農業用ハウス内への灌水とを給水ポンプ5一台に兼用させたが、これに限定されるものではなく、例えばそれぞれ専用ポンプとして二台設置させてもよい。また、加熱手段としてはボイラー11の他に、地方によっては太陽熱や地熱を利用した加熱手段も考えられる。 【0024】また、加熱水自体の流動エネルギをより効果的に利用するため、放水パイプ17から放出される加熱水の流れ方向を渦巻き状もしくは乱流状に発生させるべく、放水パイプ17自体の外壁面あるいは貯水タンク1の底面や内壁面に、スパイラル形状や放物面形状等を有する流れ案内板を設けることもできる。 【0025】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、貯水タンク内にて加熱水と貯留水とが混合手段によって強制的に混合されることにより、温度ムラのない均一な温度の温水が短時間のうちに効率良く得られ、従来の温水灌水装置に比べて作物の生育が向上し収穫量を大幅に高めることができる。特に、加熱水自体の流動エネルギを利用して混合した場合は、特別に機械的な混合ユニットを貯水タンク内に設置する必要がなく構造の簡易化を図ることができる。また、貯水タンクの給水パイプ及び取水パイプにフィルタを設けることにより、従来直接加熱できなかった河川の水でも直接加熱することができる。さらに、ボイラーに近接した位置に循環ポンプを設けたことにより、貯水タンクに対する加熱手段の設計配置の自由度が増すと共に、放水パイプからの加熱水の噴出圧力が十分に得られ、混合効率をより一層高めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】597125025 【氏名又は名称】株式会社宮崎大弘
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月28日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】衞藤 彰
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| 【公開番号】 |
特開平11−42027 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月16日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−236402 |
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