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【発明の名称】 代かき床形成方法及び装置
【発明者】 【氏名】奈良 康則

【氏名】井手 一浩

【要約】 【課題】稲作における代かきは、水用の湛水のための重要な作業であるが、熟練者にとっても難しく、大変な作業である。毎年のこの作土による湛水作業をなくす方法が望まれている。

【解決手段】水田の地中の所定の深さから所定の厚さを攪拌し、その攪拌領域に遮水材料を供給して、前記所定の厚さの攪拌された土及び遮水材料から成る難透水層又は遮水層の代かき床を形成することを特徴とする代かき床形成方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水田の地中の所定の深さから所定の厚さを攪拌し、その攪拌領域に遮水材料を供給して、前記所定の厚さの攪拌された土及び遮水材料から成る難透水層又は遮水層の代かき床を形成することを特徴とする代かき床形成方法。
【請求項2】 適当な駆動源によって回転駆動する駆動軸と、駆動軸の先端に設けられ、駆動軸により回転駆動する駆動軸の径方向外方に延長する攪拌手段と、前記駆動軸に沿って前記攪拌手段の攪拌領域に遮水材料を供給する遮水材料供給手段とを備え、前記攪拌手段を地中に位置決めし、攪拌手段で攪拌し前記遮水材料供給手段により攪拌領域に遮水材料を供給しながら移動することで地中の所定の深さに攪拌された土及び遮水材料から成る難透水層又は遮水層の代かき床を形成していくように構成したことを特徴とする代かき床形成装置。
【請求項3】 前記攪拌手段は径方向外方に複数の攪拌刃を備えたチェーンを備えていることをを特徴とする請求項2に記載の代かき床形成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】水田の地中深部に遮水層、または難透水層を設けて代かき作業を不要とする代かき床形成方法並び代かき床形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】我が国の水田においては、地中及び側壁への水漏れを防ぎ、苗の活着を良くするために、毎年必ず、田植えの前に、代かき作業を行う。この代かき作業は古来から行われている方法と何ら変わらない湛水方法である。水で作土の土壌粒子を攪拌分散させ、鋤床層の亀裂や間隔を密封して漏水を塞ぐ苦汁的な農作業である。近年はトラクター等を使用して、行われているが、そのため土壌構造を破壊し、作土を還元化し、根の発達を阻害することもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】また、代かき作業は、熟練した者であっても、代のかき不足やかきすぎなどの過ちを冒す。代かきに失敗すれば、土壌構造の破壊をもたらすばかりではなく、水田は漏水過多、透水過多または作土の超還元化による水稲根の根腐れなどの問題を引き起こし、当然稲の品質を著しく低下させる結果となる。このたいへんな作業を毎年行わねばならず、人手不足の農家にとっては大きな負担となっており、この代かき作業を行わないで湛水できる方策の開発が農家及び農業関係者から強く望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明に係る代かき床形成方法は、水田の地中の所定の深さから所定の厚さを攪拌し、その攪拌領域に遮水材料を供給して、前記所定の厚さの攪拌された土及び遮水材料から成る難透水層又は遮水層の代かき床を形成することを特徴とするものである。また、本発明に係る代かき床形成装置は、適当な駆動源によって回転駆動する駆動軸と、駆動軸の先端に設けられ、駆動軸により回転駆動する駆動軸の径方向外方に延長する攪拌手段と、前記駆動軸に沿って前記攪拌手段の攪拌領域に遮水材料を供給する遮水材料供給手段とを備え、前記攪拌手段を地中に位置決めし、攪拌手段で攪拌し前記遮水材料供給手段により攪拌領域に遮水材料を供給しながら移動することで地中の所定の深さに攪拌された土及び遮水材料から成る難透水層又は遮水層の代かき床を形成していくように構成したことを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、添付図面にを参照して本発明に係る代かき床形成装置の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る代かき床形成装置の概略側面図、図2は、第2アーム及びコンクリート材料供給手段を備えた攪拌手段の拡大断面図、図3は図2の底面図である。
【0006】本発明に係る代かき床形成装置1は、クローラ3の駆動で移動する車体2に設けられた、可動部5と、可動部5の駆動源10及び材料を供給するための材料タンク11を備えたものである。前記可動部5は、左右一対の第1アーム12、左右一対の第2アーム13、駆動軸6、油圧シリンダ7、攪拌部8、材料供給部9、均し板27及び攪拌土押さえ板28からなる。油圧シリンダ7は、第1アーム12及び第2アーム13に接続され、油圧の伸縮によってアーム12及び13を回動させる。また、前記左右一対の第2アーム13は、各々一端が第1アーム12に回動可能に支持され、また、それらのアームの間には、回転軸14及び支持部16が設けられている。前記回転軸14には、かさ歯車17a、bを介して動力が伝達できるように回転軸15が接続され、一対のスプロケット18及び18’を介して動力が伝達できるように支持板16に軸受けされた駆動軸6が接続されてる。また、前記第2アーム13には均し板27が、駆動軸6に沿って攪拌部8の直ぐ上までに設けられ、この均し板28には、攪拌土押さえ板28が、均し板27に沿った位置から略水平になる位置までその下端部を軸として回動可能に備えられる。
【0007】次に前記攪拌部8について説明する。攪拌部8は攪拌手段AとBとからなり、各々の手段は、一対のスプロケットとそれに掛け渡されるチェーンとからなり、手段Aは、スプロケット24a、24b及びチェーン25、手段Bは、スプロケット24a’、24b’及びチェーン25’からなる。各手段A、Bの一方のスプロケット24a、24a’は、前記駆動軸6によって回転駆動されるよう構成されている。また、このチェーン25及び25’各々は全外周にわたって、径方向外方に向いた各々複数個の攪拌刃26及び26’を備える。次に、前記材料供給部9について説明する。前記可動部5の前記駆動軸6の内部には材料供給通路21が形成されている。通路21の先端は軸6に対して垂直に左右両方向に延びる噴出管22に接続され、他端は、コンクリート材料が入った材料タンク11に接続されている。また、前記噴出管22の表面に噴出孔22aが複数個設けられる。この噴出管22は、タンク11からコンクリート材料等が所定の圧力で供給された時に、これら孔22aを介して攪拌部8の攪拌領域に、コンクリート材料等が、均一に供給される前記材料供給部9によって位置決めされる。
【0008】次に、装置1の動作について説明する。代かきを必要とする水田上に装置1を設置する。スタート前に図1のように、攪拌部8が水田の表面から1〜1.2m地中に埋まるように、可動部5を水田の表面に対して垂直になるまで振り下ろす。なお、この可動部5の操作及び装置1の移動は、オペレータが運転コントロール席4にて行う。この状態で装置1を後方に移動しながら、可動部5を操作すると、第2アーム13の軸14が回転し、その回転エネルギーが軸15を介して、駆動軸6に伝達され、攪拌手段A及びBが作動する。攪拌手段A及びBは、各々のスプロケット24a及び24a’を介してチェーン25及び25’を回転させ、攪拌刃26で地中を直線的に、例えば5〜10cmの厚さで攪拌していく。それと同時に材料タンク11から供給されたコンクリート材料が供給通路21を介して噴出管22の噴出孔22aから噴出され、攪拌部8が地中の土を攪拌した領域に供給される。このとき、均し板27が、供給されたコンクリート材料等を均していき、押さえ板18が、前記均し板27に垂直になるように回動し、攪拌した土を押さえていく。このように装置1が走行することによって地中に2〜10cmの厚さのコンクリート材料等から成る代かき床層Sが形成されていく。この代かき床層Sの厚さは難透水性の形成程度や遮水材料等により自由に変え得るものとする。このように装置1が直線的走行する作業を連続的に水田全面に行えば、その地中に隈無く代かき床層Sと形成され、水田における漏水過多及び透水過多が防止される。
【0009】この実施の形態では、代かき床層の材料にコンクリート材料を使用したが、材料は本実施例に限定されるものではなく漏水及び透水過多を防止できる遮水性のある材料であれば任意の材料でよい、例えば、別個に附記すれば、泥土、泥、粘土、ベントナイト、石灰、フライアッシュ、セメント、または、防水セメントなど土壌になじむものを使用され得る。また、この実施形態では、コンクリート材料等と土がよく混ざるように、装置が可動していくが、スクリューコンベアで攪拌した土を吸い上げ、代かき床層Sに土があまり混ざらず、遮水材料の割合が高い層を形成する装置も可能である。また、この実施の形態では、チェーン25及びチェーン25’に攪拌刃26及び26’を設けて攪拌を行っているが、地中が攪拌できれば、どんな形態でも構わず、本実施例に限定されるものではない。また、均し板27は、攪拌土押さえ板28を支持することが主な目的であり、均し作用は必須の要素ではない。
【0010】この実施の形態によって、代かき作業が容易となり、また、1回の作業で、施設化され、代かき床層が形成され土中深部に、難遮水層又は遮水層が形成され、少なくとも半永久的に在来の代かき作業が不要となる。しかも作土の土壌還元化や構造の破壊も防ぐことができる。また、従来の代かき作業のように、熟練した苦汁的な農作業技術は不必要になり、コスト低減に役立つ。さらに、特許第1728186号の「遮水シート埋設装置」を用いて遮水シートを地中に遮水シートを埋設し、従来の暗渠と組合せれば、内部排水、湛水も含めた真の排水の湛水調節自在水田の構成ができ、乾田直播水稲を含む水稲栽培や麦類をはじめとする畑作物も何れの土地でも栽培が可能になる。しかも低コスト・良質・多収の作物の稲を毎年収穫することができる。
【0011】
【発明の効果】上記説明したように構成された代かき床層形成装置によれば、適当な駆動源によって回転駆動する駆動軸と、駆動軸の先端に設けられ、駆動軸により回転駆動する駆動軸の径方向外方に延長する攪拌手段と、前記駆動軸に沿って前記攪拌手段の攪拌領域に遮水材料を供給する遮水材料供給手段とを備え、前記駆動軸が水田の表面に対してほぼ垂直になるように前記攪拌手段を地中に位置決めし、攪拌手段で攪拌し前記遮水供給手段により攪拌領域に遮水材料を供給しながら移動することで地中の所定の深さに遮水材料から成る代かき床を形成していくため、毎年の水漏れ防止のための代かき作業が不要になり、作土の土壌構造の破壊と還元かを防ぐことができる。また、発明に係る代かき床層形成装置により、代かきの作業を毎年行う必要がなくなり、農家の作業コストの大きな低減ができる。また、代かき床層形成のための材料は、水田にあったものを選べばよく、どんな水田にも1台で適用できるという効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000225094
【氏名又は名称】奈良 康則
【識別番号】000225108
【氏名又は名称】奈良 定美
【出願日】 平成10年(1998)5月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 茂 (外3名)
【公開番号】 特開平11−42025
【公開日】 平成11年(1999)2月16日
【出願番号】 特願平10−138807