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【発明の名称】 ベビーリーフ野菜の土壌栽培法
【発明者】 【氏名】諸橋 正行

【要約】 【課題】形状が均一で商品価値が高いベビーリーフ野野菜を効率よく生産すること。

【解決手段】プラグトレイ10のトレイ本体20に設けられている複数のセル21に対して養土を充填し、種子を供給し、覆土を供給した後、そのプラグトレイ10自体を圃場に設置するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラグトレイのトレイ本体に設けられている複数のセルに対して養土を充填し、粒径の均一な種子を供給し、覆土を供給した後、そのプラグトレイ自体を圃場に設置することでベビーリーフ野菜を栽培することを特徴とするベビーリーフ野菜の土壌栽培法。
【請求項2】 前記複数のセルの底部には前記圃場に連通する連通孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載のベビーリーフ野菜の土壌栽培法。
【請求項3】 前記セルの数は、必要とする野菜のサイズに応じて設定されていることを特徴とする請求項2又は3記載のベビーリーフ野菜の土壌栽培法。
【請求項4】 前記プラグトレイは、変形可能であり、且つ耐水性、腐敗性に優れた材質で形成されていることを特徴とする請求項1記載のベビーリーフ野菜の土壌栽培法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【考案の属する技術分野】本発明は、サイズが小さく均一なベビーリーフ野菜を栽培するためのベビーリーフ野菜の土壌栽培法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にベビーリーフ野菜を栽培する場合、苗を圃場に移植し、通常収穫される期間より早い時期に収穫することで、小さなサイズの野菜として収穫される。すなわち、ここでのベビーリーフ野菜とは、サイズが約10cm〜15cm位の幼齢期に収穫されたものをいう。
【0003】また、苗を作らず直接圃場に播種し栽培されるものは、条播きされ、これも通常収穫される期間より早い時期に収穫し、小さなサイズの野菜として出荷される。
【0004】ところで、このようなベビーリーフ野菜を土壌で栽培する場合、それぞれの野菜の科で発芽温度や生育速度が異なるために生産を安定させることが難しい。また、大量に生産する場合には非常に広い栽培面積を必要とするばかりか、移植や収穫に多大な労力が費やされる等の不具合もある。
【0005】そこで、このような土壌栽培における欠点を補うために、水耕栽培によるベビーリーフ野菜の栽培が行われるようになってきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、水耕栽培により生産される野菜は、土耕栽培の野菜に比べてその成分や味が著しく劣るため、商品価値が低いものとなっている。
【0007】また、従来の栽培による苗を移植する場合の株間及び条間は、共に15cmを標準としている。そして、その苗は、たとえば4条〜8条の栽培ベットに移植され、一ヶ月位の栽培期間を経た後、刃物等を使用し人力により収穫されるため、収穫効率が悪く、生産コストの低減の妨げとなっている。
【0008】さらに、レタス類の種子は高温時は発芽しないために必ず、苗を発芽器等で作らなければならない。このため、レタス類の場合は、直接園場に条播きすることができず、サイズの小さな野菜を直接園場にて容易に栽培することが困難とされている。
【0009】これに対し、アブラナ科等の高温でも発芽が容易な野菜の種子は、園場に直接、手や機械で播種することができる。ところが、手で播種された場合、株間が不均一となり、サイズの揃った野菜を生産することが困難となる。また、機械播種の場合、その機構上、条間を狭めることが困難であり、サイズの小さい野菜を生産することが困難となっている。
【0010】さらに、無農薬有機栽培でのベビーリーフ野菜の栽培では、野菜の間に雑草が生えてしまうため、収穫時に多大な労力が必要とされる。
【0011】すなわち、無農薬有機栽培においては、雑草の除去作業に除草剤を使用できず、人手による除去作業を必要とするためである。
【0012】本発明は、このような事情に対処してなされたもので、形状が均一で商品価値の高いベビーリーフ野菜を効率よく生産することができるベビーリーフ野菜の土壌栽培法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明では、プラグトレイのトレイ本体に設けられている複数のセルに対して養土を充填し、粒径の均一な種子を供給し、覆土を供給した後、そのプラグトレイ自体を圃場に設置することでベビーリーフ野菜を栽培することを特徴とする。
【0014】この発明では、それぞれのセルの養土及び覆土間に粒径の均一な種子が供給されるとともに、これらセルを有するプラグトレイ自体が圃場に設置されるため、発芽時の水分、覆土の厚み、種子の地表よりの位置(深さ)、土の粒子、土質、温度等の均一性が保たれることから、それぞれの種子の発芽の時期を揃えることができる。
【0015】請求項2記載の発明では、前記複数のセルの底部には前記圃場に連通する連通孔が設けられていることを特徴とする。
【0016】この発明では、各セル内に供給された種子が発芽すると、その苗の根が連通孔から土壌中に容易に進行することができ、それぞれのセル内の土の量が少なくても苗は十分な発育を行うことができる。また、根が連通孔から土壌中に進行することで、土中の水分を吸収することができるため、発芽後の散水作業をほとんど必要せず、栽培管理作業の省力化が可能となる。
【0017】請求項3記載の発明では、前記セルの数は、必要とする野菜のサイズに応じて設定されていることを特徴とする。
【0018】この発明では、小さい野菜を必要とするとき、セル数の多いプラグトレイを用い、大きなサイズの野菜を必要とするとき、セル数の少ないものを用いることで、収穫時の野菜のサイズを調節することが可能となる。
【0019】請求項4記載の発明では、前記プラグトレイは、変形可能であり、且つ耐水性、腐敗性に優れた材質で形成されていることを特徴とする。
【0020】この発明では、プラグトレイが耐水性、腐敗性に優れているため、再利用が図れるばかりか、変形が容易であるため、圃場への設置の際には圃場の土質や地形に合わせることができるため、種子の地表よりの位置(深さ)の均一化が図れる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の詳細を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、本発明のベビーリーフ野菜の土壌栽培法の一実施の形態に係るプラグトレイを示すものである。
【0022】これらの図に示すように、プラグトレイ10のトレイ本体20には、複数のセル21が設けられている。各セル21の底部には、9.5φ程度の連通孔22が設けられている。
【0023】そして、各セル21内に供給された種子が発芽すると、その苗30の根31が連通孔22から土壌中に容易に進行することができるようになっているため、各セル21内の土の量が少なくても苗30の発育に支障を来すこともない。
【0024】ここで、ベビーリーフ野菜の種子は、発芽率が同じになるように、粒径が均一で種皮の剥離していないものが用いられるようになっている。
【0025】また、トレイ本体20の寸法は、たとえば59.0cm×33.3cm程度である。セル21の数は、10×20である。 但し、これらセル21は、必要とする野菜のサイズに応じて、その数が任意に設定されている。すなわち、小さい野菜を必要とするとき、セル数の多いプラグトレイ10が用いられ、大きなサイズの野菜を必要とするとき、セル数の少ないものを用いることで、収穫時の野菜のサイズを調節することが可能となる。
【0026】さらに、プラグトレイ10は、たとえば合成樹脂によって形成されているため、耐水性、腐敗性に優れたものとなっているばかりか、再利用も可能となっている。しかも、プラグトレイ10の変形は容易であるため、圃場の土質や地形に合わせることが容易となっている。
【0027】図3は、上記のプラグトレイ10に対して自動的に種子等を供給する播種機を示すものである。
【0028】同図に示すように、播種機40の操作ボックス41の操作によって搬送部42に載置されたプラグトレイ10が矢印方向に沿って順送りされるようになっている。
【0029】すなわち、充填部42では所定量の養土が上記の各セル21内に充填され、播種部43では所定数の種子が各セル21内に供給され、覆土部44では種子が培土によって覆われるようになっている。
【0030】続いて、上記のプラグトレイ10を用いてのベビーリーフ野菜の土壌栽培法について説明する。
【0031】まず、上記の播種機40によってプラグトレイ10の各セル21に養土、種子、覆土を供給する。
【0032】ここで、収穫時の野菜のサイズを調節するために、小さい野菜を必要とするとき、セル数の多いプラグトレイ10を用い、大きなサイズの野菜を必要とするとき、セル数の少ないものを用いる。
【0033】各セル21に養土、種子、覆土を供給した後、そのプラグトレイ10を圃場に設置する。このとき、プラグトレイ10は変形容易な合成樹脂で形成されているため、その土質や地形に容易に合わせることができる。
【0034】そして、各セル21内に供給された種子が発芽すると、その苗30の根31が連通孔22から土壌中に容易に進行する。このため、各セル21内の土の量が少なくても苗30は十分な発育を行うことができる。
【0035】また、根31が連通孔22から土壌中に進行することで、土中の水分を吸収することができるため、発芽後の散水作業をほとんど必要せず、栽培管理作業の省力化が可能となる。しかも、プラグ本体20によって圃場表面が覆われるため、その表面からの水分の蒸発が抑えられ、大幅な水の節約をも可能とされる。
【0036】このように、本実施の形態のベビーリーフ野菜の土壌栽培法では、プラグトレイ10のトレイ本体20に設けられている複数のセル21に対して養土を充填し、種子を供給し、覆土を供給した後、そのプラグトレイ10自体を圃場に設置するようにしたので、均一形状であり、しかも商品価値の高いベビーリーフ野菜を効率よく生産することが可能となる。
【0037】すなわち、ベビーリーフ野菜の重要な商品価値の一つにサイズがある。野菜のサイズは、栽培期間の他に、野菜の栽培密度と密接な関係がある。つまり、大きなサイズの野菜は隣合う野菜との距離に比例するので、小さなサイズの野菜は隣合う野菜との距離を小さくすれば生産することが可能となる。また隣り合う全ての野菜との距離を均一にすれば、その野菜の全ての横方向の形も均一にすることが可能となる。
【0038】サイズを均一にするために必要なことは、上記の栽培位置の設定以外に、発芽の時期を同時にすることによって可能となる。このためには発芽時における発芽条件を均一にすることによって可能となる。
【0039】つまり、発芽時の水分、覆土の厚み、種子の地表よりの位置(深さ)、土の粒子の均一性、土質の均一性、温度の均一性等よって発芽の時期を揃えることができる。
【0040】また、プラグトレイ10に設けられているセル21の数が必要とする野菜のサイズに応じて設定されているため、小さい野菜を必要とするとき、セル数の多いプラグトレイ10を用い、大きなサイズの野菜を必要とするとき、セル数の少ないものを用いることで、収穫時の野菜のサイズを調節することが可能となる。
【0041】さらに、トレイ本体20の複数のセル21の底部には、連通孔22が設けられているため、発芽した苗30の根31が連通孔22から土壌中に容易に進行することができ、各セル21内の土の量が少なくても苗30の発育に支障を来すこともない。しかも、連通孔22から土壌中に進行した根31は土中の水分を吸収することができるため、発芽後の散水作業の省力化が図れる。
【0042】さらにまた、プラグトレイ10は、合成樹脂によって形成されているため、圃場に設置する場合、その土質や地形に合わせることが容易となるばかりか、プラグ本体20によって圃場表面が覆われるため、その表面からの水分の蒸発が抑えられ、大幅な水の節約が可能となることから、水の管理が容易となる。
【0043】これにより、発芽後の生育が不安定な段階での野菜の水管理が容易となり、水分過多によって生じるサイズ、味、日持ち性等の不具合が解消される。
【0044】またこのように、水管理が容易となることで、一つのハウスで生育段階の異なる野菜を同時に栽培することが可能となり生産性が著しく向上させることも可能となる。さらに、同一ハウス内で生育速度の異なる作物をも同時に栽培することが可能となり、大規模な施設でより安価なベビーリーフ野菜を生産することが可能となる。
【0045】さらに、図4に示すように、圃場にて複数のプラグトレイ10を設置した場合には、隣り合う野菜の栽培位置が最密充填に近く、単位面積当りの栽培量が高められることから、面積当りの生産コストを著しく低減することができる。
【0046】しかも、プラグトレイ10が圃場の設置面を覆うので、雑草の種子が大量に土中に存在している場合であっても、全くその影響を受けることなく栽培することができ、無農薬有機栽培によるベーピーリーフ野菜の生産が可能となる。
【0047】すなわち、無農薬有機栽培を妨げる要因は雑草であり、その雑草対策をも図ることができるためである。
【0048】また、本実施の形態のベビーリーフ野菜の土壌栽培法では、収穫時においてもその栽培密度が高いため、一人当りの収穫面積が小さくなり、その収穫時間を著しく短縮することが可能となる。
【0049】また、サイズが均一となるため、選別作業も必要とせず、出荷時までの野菜の鮮度を保つことが可能となり、その商品価値を損うこともない。
【0050】さらに、電動バリカン等の機械収穫が可能となるために、さらに生産コストを低減させることもできる。
【0051】さらにまた、雑草の混入が全くないため、その除去作業もなく一人当りの収穫効率が著しく向上する。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のベビーリーフ野菜の土壌栽培法によれば、それぞれのセルの養土及び覆土間に粒径の均一な種子が供給されるとともに、これらセルを有するプラグトレイ自体が圃場に設置されるため、発芽時の水分、覆土の厚み、種子の地表よりの位置(深さ)、土の粒子、土質、温度等の均一性を保つことができ、形状が均一で商品価値が高い野菜を効率よく生産することができる。
【出願人】 【識別番号】597112863
【氏名又は名称】諸橋 正行
【出願日】 平成9年(1997)7月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】染谷 伸一
【公開番号】 特開平11−42018
【公開日】 平成11年(1999)2月16日
【出願番号】 特願平9−213906