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【発明の名称】 養液栽培装置
【発明者】 【氏名】柳沢 富美子

【要約】 【課題】根に良く行き渡るように空気と養液を分配でき、連作障害の発生し難い、廃棄処分も容易な培地を用いたものにする。

【解決手段】保水性に富む屈曲自在な可燃性平板体22を培地にし、その平板体培地22で非透水性遮根ブロック23を被って、平板体培地22を供給された溶液が下方に流れるように配設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 保水性に富む屈曲自在な可燃性平板体を培地にし、その平板体培地で非透水性遮根ブロックを被って、平板体培地を供給された溶液が下方に流れるように配設することを特徴とする養液栽培装置。
【請求項2】 非透水性遮根ブロックの平板体培地が被う少なくとも一面に、その面の一方の縁から他方の縁まで貫く分配溝を複数本設け、それ等の分配溝を養液栽培装置の短手方向とほぼ平行となるように並べることを特徴とする請求項1記載の養液栽培装置。
【請求項3】 連続した平板体培地を垂直方向に積み重ねた複数個の非透水性遮根ブロックの隣接する上下のブロック間に介在することを特徴とする請求項2記載の養液栽培装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は必要な養分を含んだ水を循環して植物を栽培する養液栽培装置、特にその植物の根を支える培地に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、土壌を使わず、必要な養分を含んだ水(養液)を循環して植物を栽培する養液栽培装置が高生産性、連作障害の回避、肥培管理等のコンピュータによる省力化等の観点から普及してきている。そして、通常養液栽培装置の培地にはロックウールというスポンジ状の素材を用い、そのブロックの中に植物の根を張らせて生育させている。なお、培地に砂を用いると、砂は保水性が悪く重いため、取り扱い難く、総合するとコスト高にもなる。
【0003】図6はこのような養液栽培装置の一例を示すその溶液栽培装置を短手方向に切った縦断面図である。この養液栽培装置1は薔薇等の植物2(2a、2b)の苗を育てる場合、通常2列に並べて植え付けるため、その短手方向に比べ長手方向をはるかに長くする。そして、容器3には底内面に排液溝4(4a、4b)を設けた発泡プラスチック成形品を用い、それ等の排液溝4の内部まで入るように内面全体を防水フィルム5で被う。しかし、そのままでは生長した植物2の根6が排液溝4の中に入り込んでしまう。
【0004】そこで、透水性遮根シート7を防水フィルム5の内側に重ねて、根6が排液溝4の中に入らないように配設する。そして、容器3の内部に例えば幅が300mm、長さが910mm、高さが75mmのロックウールブロック8を培地として用いるため収納する。なお、養液栽培装置1は細長いため、当然その長手方向に沿って多数のロックウールブロック8を1列に並べて配置する。
【0005】次に、このような養液栽培装置1の本体に対し、植物2の植え付けを行うには、植物2の位置決めと培地8の遮光を兼ねる蓋9として平板状の発泡プラスチック成形品を使用する。そして、既に育てておいた植物2を蓋9に設けた各位置決め穴を通し、それぞれ植え付ける。なお、植え付け時には筒状の遮光フィルム10で被った小形の培地たるロックウールブロック11の中は根6で一杯になっている。植え付けた後、養液供給用配管12につながる給液ノズル13から養液を適宜各植物2に供給すると、引き続き大形のロックウールブロック8を用いて植物2を栽培できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、養液栽培装置1の培地として使用する大形のロックウールブロック8は全体に養液が滲み渡り難く、排液溝4に向かって水の道ができてしまう。それ故、根6が今まで根6のないところに行こうとして広がるように伸びても、それ等の根6に行き渡るように養液を分配できない。又、ロックウールブロック8は使用回数が多くなればなる程、その中に根6が一杯に入り込むため生育が悪くなり連作障害が発生する。そこで、長年使用したものは廃棄処分しなければならないが、ロックウールブロック8は不燃性であり焼却処分できないし、量が多くて捨て場に困る。又、野積みしたりしておくと、養液の成分の付着によって劣化し易くなっているため、時間が経過すれば石の粉が空気中に飛散し、公害の問題等も発生する。
【0007】本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、根に良く行き渡るように空気と養液を分配でき、連作障害の発生し難い、廃棄処分も容易な培地を用いた養液栽培装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明による養液栽培装置では保水性に富む屈曲自在な可燃性平板体を培地にし、その平板体培地で非透水性遮根ブロックを被って、平板体培地を供給された溶液が下方に流れるように配設する。
【0009】そして、非透水性遮根ブロックの平板体培地が被う少なくとも一面に、その面の一方の縁から他方の縁まで貫く分配溝を複数本設け、それ等の分配溝を養液栽培装置の短手方向とほぼ平行となるように並べると好ましくなる。又、連続した平板体培地を垂直方向に積み重ねた複数個の非透水性遮根ブロックの隣接する上下のブロック間に介在するとよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付の図1〜5を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明を適用した養液栽培装置の短手方向切断による縦断面図である。この養液栽培装置14も薔薇等の植物15(15a、15b)の苗を2列に並べて植え付ける装置であり、やはり短手方向に比べ長手方向をはるかに長くする。そして、容器16には従来の養液栽培装置1と同様に排液溝17(17a、17b)を設けた発泡プラスチック成形品を用い、その内面全体を防水フィルム18で被った後、その防水フィルム18の内側に重ねて透水性遮根シート19を配設する。すると、容器16の内面全体が防水フィルム18と透水性遮根シート19の積層体20で被われているため、容器16から養液が漏れず植物15の根21が生長して排液溝17の付近に達してもそれ等の中に入らない。それ故、養液を栽培装置14の外部に速やかに排出でき、再度肥料を追加して円滑に循環させることができる。
【0011】このような容器16の防水フィルム18と透水性遮根シート19で被った内部に、保水性に富む屈曲自在な可燃性平板体22を培地にし、その平板体培地22と直方体状の非透水性遮根ブロック23(23a、23b)、平板状の非透水性遮根波板24とを組み立てた培地用構造物を収納する。その際、培地用構造物として容器16の底全体をほぼ被うように非透水性遮根波板24を配置し、その上に中央部を少し空けて2個の非透水性遮根ブロック23を対峙するように乗せ、連続した平板体培地22で各非透水性遮根ブロック23の3面と非透水性遮根波板24の周面を被ったものを用いる。但し、各非透水性遮根ブロック23の外方側面と非透水性遮根波板24の上面中央部等は被わない。
【0012】この平板体培地22には2〜4mmの厚みを有するポリエステル製等の不織布が好ましく、フェルト等を用いてもよい。当然、平板体培地22は厚い方が養液を多量に含む。又、非透水性遮根ブロック23には表面の目がつまっているポリスチレン製等の発泡プラスチック成形品が好ましく、木材等を用いてもよい。なお、このような非透水性遮根ブロック23は培地用構造物の嵩上げ材も兼ねている。
【0013】又、非透水性遮根波板24には図2に示すような縦断面形状を有する塩化ビニール製等のプラスチック波板が好ましい。この非透水性遮根波板24は等間隔で繰り返す各波25(25a、25b、…25e、…)の尾根が養液栽培装置14の幅に当る短手方向と平行となるように配置する。それ故、非透水性遮根波板24を水平に配置すると、その上側では隣接する山間をそれぞれ養液と空気の分配路26(26a、26b、…26e、…)にし、その下側では隣接する谷間を同様の分配路27(27a、27b、…27e、…)としてそれぞれ使用できる。
【0014】このような養液栽培装置14の本体に対し、従来と同じ方法により植物15の位置決めと平板体培地22の遮光を兼ねる蓋28として平板状の発泡プラスチック成形品を用い、それ等の各位置決め穴を通して、育てておいた植物15をそれぞれ植え付ける。なお、各植物15はやはり筒状の遮光フィルム29で被った小形のロックウールブロック30等を培地として育てておく。
【0015】植え付け後、従来通り養液供給用配管31につながる給液ノズル32(32a、32b)から養液を適宜各植物15にそれぞれ供給する。すると、供給された養液が小形のロックウールブロック30を通過して、非透水性遮根ブロック23の上面を被う平板体培地22の水平部に達し、その水平部に浸透していく。その際、ブロック23の非透水性上面に妨げられるため、養液は水平部より下には浸透せず、水平部内を周囲によく広がる。その後、非透水性遮根ブロック23の内方側面を被う平板体培地22の垂直部に浸透して行き、非透水性遮根波板24の上面に達する。
【0016】すると、養液は非透水性遮根波板24の山間に形成された分配路26に沿って図3の矢印で示すように中央から両方の縁に向かってそれぞれ流れる。それ故、非透水性遮根ブロック23と非透水性遮根波板24との間に挾まれた平板体培地22の水平部に分配されて広く浸透して行く。その後、非透水性遮根波板24の側面を被う平板体培地22の垂直部に浸透し、その波板24の下面側に回り込む。そして、養液は非透水性遮根波板24と防水フィルム18、透水性遮根シート19からなる積層体20との間に挾まれた平板体培地22の水平部に分配されて広く浸透して行き、最後に排液溝7に達する。
【0017】このように、平板体培地22を非透水性遮根ブロック23と非透水性遮根波板24に巻き付けて被い、その平板体培地22が空気によく触れるようにした上で、そこに養液を広く浸透させて含ませ、供給された養液が下方に流れるように配設しておくと、植物15の根21が今まで根21のない所に行こうとして広がるように伸びても、それ等の根21に行き渡るように養液を良く分配できる。そして、根21が充分長く伸びる余地がある。しかも、中央部が空気室28となり、非透水性遮根波板24の各分配路26、27に対し、充分に空気を供給できる。それ故、植物15の根21は大部分平板体培地22の表面を這い、養液の流れに誘導されて伸びて行くようになり、使用回数を多くしても連作障害が発生し難い。
【0018】又、平板体培地22を非透水性遮根ブロック23と非透水性遮根波板24に巻き付けて用いると、平板体培地22の体積が少なくて済み、平板体培地22が可燃性の材料で作ってあるため、焼却処分に適する。それ故、使用後の廃棄処分が容易である。なお、非透水性遮根ブロック23や非透水性遮根波板24等は連作障害と関係なく、劣化して使用できなくなるまで何回でも使うことができる。
【0019】上記の実施の形態では連続した平板体培地22を垂直方向に積み重ねた非透水性遮根ブロック23と非透水性遮根波板24の間に介在し、その平板体培地22で非透水性遮根ブロック23と非透水性遮根波板24とをそれぞれ被って培地用構造物を組み立てているが、図4に示すように連続した平板体培地34を垂直方向に積み重ねた複数個例えば4個の非透水性遮根ブロック35の隣接する上下のブロック35の間に介在し、その平板体培地34で非透水性遮根ブロック35をそれぞれ被ってもよい。なお、36は中央部の空気室である。
【0020】後者の場合には図5に示すように各非透水性遮根ブロック35の下面37に、その下面37の一方の縁から他方の縁まで貫く分配溝38を複数本例えば多数本設け、それ等の分配溝38を養液栽培装置の幅に当る短手方向と平行となるように並べる。すると、非透水性遮根波板24を用いなくても、各非透水性遮根ブロック35の下面37に設けた各分配溝38が空気と養液の分配路になり、それ等の各下面37を被う平板体培地34の水平部に広く空気と養液をそれぞれ分配できる。それ故、培地用構造物の組み立てが簡単になり、非透水性遮根ブロック35の高さと数を選択することによって、培地用構造物の高さがあまり高くなくても根を長く伸ばして植物を良く育てることができる。なお、このような分配溝は平板体培地34で被われる非透水性遮根ブロック35の上面や側面等にも同様に設けてよい。但し、側面に設ける場合には分配溝を養液栽培装置の高さに当る短手方向と平行になるように並べて設ける。
【0021】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、請求項1記載の発明では保水性に富む屈曲自在な平板体培地を非透水性遮根ブロックに被覆して、平板体培地に空気が良く触れるようにし、その平板体培地に供給した養液が非透水性遮根面に遮られてブロックに浸透しないようにしたため、平板体培地に養液を広く浸透させることができる。それ故、根に良く行き渡るように空気と養液を分配でき、根が平板体培地の特に表面を這うように良く伸びていくため、使用回数を多くしても連作障害が発生し難い。又、平板体培地で非透水性遮根ブロックを被うと、平板体培地の体積が小さくて済み、可燃性の材料で作ってあるため焼却処分に適し、使用後の廃棄処分が容易である。
【0022】又、請求項2記載の発明では非透水性遮根ブロックの面に複数本の分配溝を設け、それ等の分配溝を通じてその面を被う平板体培地に空気と養液を良く分配できるため、分配用の専用部材を使用しなくても、培地用構造物の組み立てを簡単に行える。
【0023】又、請求項3記載の発明では非透水性遮根ブロックの高さと垂直方向に積み重ねる非透水性遮根ブロックの数を選択することにより、培地用構造物の高さがあまり高くなくても、根を長く伸ばして植物を良く育てることができる。
【出願人】 【識別番号】597107548
【氏名又は名称】有限会社エムアールシー
【出願日】 平成9年(1997)7月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柳沢 大作
【公開番号】 特開平11−28032
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−202408