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【発明の名称】 水位調整器
【発明者】 【氏名】本多義光

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周壁に排水用の窓部を形成した外筒と、この外筒の内側に嵌合される内筒で成り、このうち前記外筒はその軸方向一端寄りに前記窓部を形成し該窓部を上方にして下端が排水管の一端に接続され、また前記内筒は前記外筒の軸方向に移動可能と成しその下端を前記窓部の下縁より下にして窓部に高さ調整自在な堰を形成し、更に該内筒の内部には通水域を残して操作用のハンドルが設けられることを特徴とする水位調整器。
【請求項2】 内筒はその周壁に軸方向に沿って一端から他端に通じるスリットを形成し該スリットの幅を縮小して外筒に圧入状態で嵌合されるようにした請求項1に記載の水位調整器。
【請求項3】 内筒の内側に、スリットの幅を拡張方向に付勢するばねが装備されている請求項2に記載の水位調整器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として潅漑用水を最適水位に保つために用いられる水位調整器に関し、詳細には水田に設備されている排水管を利用し、取水口などから導入した潅漑用水を最適水位に保ちつつ過剰水量を逐次排水するようにした水位調整器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、水田には潅漑用の給水路と排水路が隣接して設けられ、給水路より所要量の用水を必要に応じて引き込めるようにしてある。また、水田の底部から排水路に向けて排水管が敷設され、その排水管を通じて貯水の一部または全てを排水路に排出できるようにしてある。
【0003】ここで、水田では苗の成長や気候の変動に応じて水位を調整することが求められる。例えば、田植え初期の5〜6月には水位を3〜5cm程度にし、6月末から7月上旬にかけては中干しといって貯水を全て外部に放出し、7月中旬から8月末頃までは再度潅水して水位を10cm程度に保ち、9月中には間断潅水といって放水と潅水を交互に行い、収穫前には全てを放水して土壌を乾燥させる。
【0004】従来、その種の調整は、排水口の周囲に土嚢を積み上げるなどして用水の流出を防止し、その状態にして給水路から用水を直接流入させるか、あるいはポンプなどの動力を用いて最適な水位になるまで取水し、水位を下げるときには土嚢を崩すなどして過剰水量を放出するようにしてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、土嚢を積んだり撤去したりする作業は煩わしく重労働であり、しかも水田の中に土嚢を積み上げることには耕作面積が減少して収穫量が低下することになる。
【0006】また、潅水時には給水路からの取水口を開閉したり、ポンプなどを備えた潅水装置を操作したりして水位を調整するが、最適の水位にするまでに時間がかかるなど作業が煩わしく、これに起因して取水口を開放したままにしたり、潅水装置を運転したままにして現場を離れて苗を水没させてしまうことがあった。
【0007】なお、水位検出器を有して設定水位に到達したときに給水を自動停止する潅水装置も知られるが、その種の装置は複雑な機構にして大型であり、価格的にも高価で設備するにも負担が大きいという難点があった。
【0008】そこで、本発明は主として水田の水位を最適な状態に保つことができる軽便な水位調整器を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の目的を達成するため、周壁に排水用の窓部を形成した外筒と、この外筒の内側に嵌合される内筒で成り、このうち前記外筒はその軸方向一端寄りに前記窓部を形成し該窓部を上方にして下端が排水管の一端に接続され、また前記内筒は前記外筒の軸方向に移動可能と成しその下端を前記窓部の下縁より下にして窓部に高さ調整自在な堰を形成し、更に該内筒の内部には通水域を残して操作用のハンドルが設けられることを特徴とする水位調整器を提供するものである。
【0010】ここで、内筒はその外径が外筒の内径とほぼ等しい円筒を利用することもできるが、水密性を向上させるには請求項2の発明のように、内筒はその周壁に軸方向に沿って一端から他端に通じるスリットを形成し該スリットの幅を縮小して外筒に圧入状態で嵌合されるようにすると良い。
【0011】このような内筒によれば、その復元力によって外周面が外筒の内周面に密着するため外筒と内筒の間の水密性が向上して水漏れを防止することができるが、より好ましくは請求項3の発明の如く、内筒の内側にスリットの幅を拡張方向に付勢するばねを装備することが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。先ず、図1は本発明に係る水位調整器の使用状態を示す。図1において、1は水田、2は水田に沿って設けられる排水路であり、水田1からは排水路2に向けて排水管3が敷設される。ここで、本願に係る水位調整器4は直立状にしてその下端が例えば排水管3の一端に接続される。
【0013】次に、図2は本願に係る水位調整器を示す。この図で明らかにするように、本願に係る水位調整器4は、円筒形の外筒5と該外筒の内側に嵌合する内筒6で構成される。なお、外筒5と内筒6の両端面には面取り加工が施される。
【0014】外筒5は例えば30〜80cmの軸長にして10〜30cmの直径をもつ塩化ビニルその他の合成樹脂製円筒であり、その軸方向一端側の周壁5Aには所要の開口率をもって排水用の窓部7を開口し、他端側は内筒6の軸長とほぼ同じ長さにして周壁5Aにて全周が被われるようにしてある。ここで、窓部7は例えば外筒5の軸長の1/2〜1/3の長さと周壁の1/2〜1/4の幅を有する方形状にして、外筒5の軸方向一端寄りに形成される。そして、この外筒5によれば、その窓部7を上方にして下端5Bが水田の下から排水路に向けて延びる排水管3の一端に接続される。
【0015】一方、内筒6は外筒5と同種の円筒形にして、その外周面が外筒5の内周面に密着するようにしてある。特に、この内筒6は外筒5の1/3〜2/3の軸長にして、外筒5の軸方向に移動可能にしてあり、その下端6Aを窓部7の下縁7Aより下にして該内筒の周壁にて窓部7に高さ調整自在な堰8を形成する。つまり、窓部7はその内側に嵌合する内筒6により、上から順に開放され下から順に閉じられることになる。
【0016】図3は内筒を示した斜視図であり、この図から明らかなように、内筒6の内部において、その上方には水を通過させ得る通水域9を残してハンドル10が設けられる。また、内筒6の周壁にはその軸方向に沿って一端から他端に通じるスリット11を一連に形成している。
【0017】図4に示すように、内筒6の内部にはそのスリット11を介してブラケット12が対向して突設してあり、その相互間にはばね13を介在せしめて該ばねでスリット11を拡幅方向に付勢している。ばね13はその内部を通る軸14にて支持してあり、その軸14はブラケット12を貫通してその両端にブラケットの外側で離脱防止用の鍔部15が設けられる。
【0018】ここで、内筒6は外筒5と同径のパイプ素材を用いて形成され、外筒5との嵌合時にはスリット11の幅を縮小して外筒5に圧入状態で嵌入される。従って、その復元力とばね13の弾力とにより内筒6の外周面が外筒5の内周面に密着し、相互間の水密性を向上させることができる。
【0019】そして、その内筒6はスリット11の部分が外筒5の窓部7から表出しない状態、例えば図4の如くスリット11の部分を窓部7に対向させて外筒5に嵌入されるのであり、このため内筒6はスリット11を除く周壁で窓部7に堰8を形成して、その上端より上だけに水を通過させることができる。なお、ハンドル10はその両端をねじにて内筒6に固定しているが、内筒6の半径方向の伸縮を全体に均一にして外周全面を外筒5の内周面に密着させるためにはハンドル10を伸縮軸にて構成すると良い。
【0020】ところで、上述のように構成される水位調整器4により水田の水位を調整するには、先ず図5のように窓部7を上方にして、外筒5の下端を地中にて排水管3の一端に接続する。特に、外筒5は窓部7の下縁7Aが設置面Gすなわち水田の底部より下になるようにして下端側を埋設する。ここで、内筒6はその下端6Aが窓部7の下縁7Aより数ミリ程僅かに下となる位置を上限にして外筒5の軸方向に摺動されるのであり、上限位置にあってその上端6Bが窓部7の上縁7Bより数cm〜数十cm下になり、下限位置では該内筒の上端6Bが設置面Gより下の窓部の下縁7Aよりやや上か下になるようにしている。
【0021】そこで、潅水時には内筒6をハンドル10をもって上下に移動させ、これを所要高さにして窓部7に堰8を形成する。そして、その状態にして水田1に潅漑用水を導入するのであり、これにより水量が徐々に増して内筒6の上端まで達すると、その用水が内筒6の上端6Bを越えて窓部7から内筒6の内部に流入し、排水管3を通じて排水路2に排出されることになる。つまり、水田1の水位は内筒6の上端6Bすなわち堰8の高さ位置で保たれるようになり、それゆえ取水口を閉め忘れるなどしても水位の上昇を防止することができる。
【0022】一方、水位を下げるには内筒6を下げれば良く、このとき水位を内筒6の上端6Bの位置に調整することができる。従って、収穫前などには内筒6の上端6Bを設置面Gより低くして水田の貯水を全て放出することもできる。
【0023】以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明に係る水位調整器によれば、窓部7は外筒5の一端に一定の幅を残して形成することに限らず、図6のように窓部7を外筒5の一端側に開放する凹状に形成してもよい。また、本願に係る水位調整器は潅漑用水の水位調整としてだけでなく、池や水槽その他の水位調整に用いることもできる。
【0024】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明によれば排水用の窓部を形成した外筒とその内側に嵌合される内筒との二重構造にして、内筒の高さを調整するだけで水田の水位を調整できるようにしたため軽便で、取水口を閉め忘れるなどしても苗が水没することがなく、しかも内筒にハンドルを設けているからその操作性が良好であり、更に外筒の下端を既設の排水管に接続するだけで設備できるから設置作業が容易で、その占有面積も外筒の直径だけになるのでデッドスペースを少なくして耕地を有効利用できる。
【0025】また、内筒の周壁に一連のスリットを形成して該スリットの幅を縮小させて内筒が外筒内に圧入状態に嵌合されるようにしたため、外筒と内筒との間の水密性が高く水位調整を設定通りに行え得る。特に、そのスリットを拡幅方向に付勢するばねを装備したため、外筒と内筒との間の水密性を格段に良くして水位調整の精度を向上できる。
【出願人】 【識別番号】591018811
【氏名又は名称】本多 義光
【出願日】 平成9年(1997)7月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
【公開番号】 特開平11−28028
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−187892