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【発明の名称】 養液栽培装置及び養液栽培容器
【発明者】 【氏名】成松 次郎

【氏名】土屋 恭一

【氏名】廣瀬 一郎

【要約】 【課題】塩類の析出や藻の発生をなくする。培地の温度調節のための専用の設備を設けなくても済むようにする。装置費を安くする。

【解決手段】底部に排液孔を有する容器1と、容器1の底部に設置されて容器1の底面と容器1に入れられる養液担体8との間に空間部10を形成する多孔隔壁6と、空間部10に設置した、圧送した養液を噴出する養液噴出多孔管7と、多孔隔壁6の上から容器1に入れた前記養液担体8と、養液タンク11と、養液タンク11と養液噴出多孔管7を連結する養液供給管12と、容器1の排液孔5と養液供給管12を連結する養液排出管14と、養液排出管14に設けた開閉弁装置15とを備え、かつ前記開閉弁装置15は、養液排出管14に設けた同排出管より径の大きい大径管部16と、大径管部16の中に移動可能に収納した浮き玉17とより構成した養液栽培装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 底部に排液孔を有する容器と、容器の底部に設置されて容器の底面と容器に入れられる養液担体との間に空間部を形成する多孔隔壁と、空間部に設置した、圧送した養液を噴出する養液噴出多孔管と、多孔隔壁の上から容器に入れた前記養液担体と、養液タンクと、養液タンクと養液噴出多孔管を連結する養液供給管と、容器の排液孔と養液供給管を連結する養液排出管と、養液排出管に設けた開閉弁装置とを備え、かつ前記開閉弁装置は、養液排出管に設けた同排出管より径の大きい大径管部と、大径管部の中に移動可能に収納した、養液の供給圧によって養液排出管を閉じ、供給圧の解除によって養液排出管を開く浮き玉とより構成したことを特徴とする養液栽培装置。
【請求項2】 底部に排液孔を有する容器と、容器の底部に設置されて容器の底面と容器に入れられる養液担体との間に空間部を形成する多孔隔壁と、空間部に設置した、圧送した養液を噴出する養液噴出多孔管と、多孔隔壁の上から容器に入れた前記養液担体とよりなる養液栽培容器。
【請求項3】 前記多孔隔壁が、多孔管である請求項2記載の養液栽培容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、農業生産に使用する養液栽培装置及び養液栽培容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(従来例1)図6は、上面給液構造の養液栽培装置を示す。
【0003】この装置では、栽培容器43に入れた細粒綿(養液担体)41に養液を供給する場合、細粒綿41の上面に配設した多孔給液パイプ42で供給している。給液パイプ42から出た養液は、細粒綿41を浸潤しながら下方へ移行し、過剰分は、栽培容器43の排水耳44から排出される。
【0004】冬期や夏期においては、養液を担持した担体41、すなわち培地が生育適温より低下あるいは上昇して作物根の生育が阻害される。このため、図6の装置では、養液担体41の底部に温湯供給管45を配設して培地を適温に保つ工夫がなされている。
【0005】なお、図6中、46は栽培容器43を支持するフレームで、ポール47をクロスジョイント48で組み上げ、サポーター49で補強したものである。
【0006】(従来例2)図7は、下面給液構造の養液栽培装置を示す。
【0007】この装置では、養液担体である礫51に養液を供給する場合、栽培容器52の底部に配設した多孔給排液管53にポンプで圧送している。圧送された養液は、礫51を浸潤しながら上方へ移行する。過剰の養液は、ポンプによる養液の圧送が解除されたとき、多孔給排液管53に流入して排出される。
【0008】なお、図8中、54は木枠で、栽培容器52は、ビニールシートをこの木枠54に取り付けることによって溝状に形成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来例1の上面給液構造の養液栽培装置には、次の(1),(2)の問題点がある。
【0010】(1)多孔給液パイプ42は明所に露出しているので、これに塩類が析出したり、藻類が付着する。その結果、パイプ42の孔に目詰まりが発生する。
【0011】(2)養液供給のための多孔給液パイプ42と培地の温度調節のための温湯供給管45が設けられている。すなわち、養液供給系統と培地温度調節系統がそれぞれ独立に設けられている。このため、装置費が高くつく。
【0012】一方、従来例2の下面給液構造の養液栽培装置には、次の(1),(2)の問題点がある。
【0013】(1)多孔給排液管53と礫(養液担体)51の間に空間部がないので、礫51に養液を充分に浸潤させるには、高出力のポンプが必要になる。このため、装置費が高くつく。
【0014】(2)多孔給排液管53 1本だけで養液の供給と排出を行う構造になっているので、その切り換えを行うための電磁弁が必要になる。このため、装置費が高くつく。
【0015】この発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたもので、(1)塩類の析出や藻の発生がなく、(2)培地の温度調節のための専用の設備を必要とせず、(3)高出力のポンプや電磁弁を必要としない、養液栽培装置と養液栽培容器を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明が提供する養液栽培装置は、底部に排液孔を有する容器と、容器の底部に設置されて容器の底面と容器に入れられる養液担体との間に空間部を形成する多孔隔壁と、空間部に設置した、圧送した養液を噴出する養液噴出多孔管と、多孔隔壁の上から容器に入れた前記養液担体と、養液タンクと、養液タンクと養液噴出多孔管を連結する養液供給管と、容器の排液孔と養液供給管を連結する養液排出管と、養液排出管に設けた開閉弁装置とを備え、かつ前記開閉弁装置を、養液排出管に設けた同排出管より径の大きい大径管部と、大径管部の中に移動可能に収納した、養液の供給圧によって養液排出管を閉じ、供給圧の解除によって養液排出管を開く浮き玉とより構成したものである。
【0017】また、この発明が提供する養液栽培容器は、底部に排液孔を有する容器と、容器の底部に設置されて容器の底面と容器に入れられる養液担体との間に空間部を形成する多孔隔壁と、空間部に設置した、圧送した養液を噴出する養液噴出多孔管と、多孔隔壁の上から容器に入れた前記養液担体とより構成したものである。
【0018】ここにいう多孔隔壁としては、例えば、多孔板,多孔円筒管,多孔半円筒管等を挙げることができる。
【0019】
【作用】
(1)養液担体の下は暗黒であるため、同担体の下に配設された多孔隔壁と養液噴出多孔管に塩類が析出したり、藻類が付着しない。このため、隔壁と多孔管に目詰まりが生じない。
【0020】(2)養液を担持した養液担体、すなわち培地の温度は、養液の温度によって温度が変化する多孔隔壁との熱交換によって調節することができる。このように、この発明においては、培地の温度調節が養液の供給系統で可能となる。
【0021】(3)養液噴出多孔管は、多孔隔壁で形成される空間部に設置されているので、低出力のポンプであっても、養液噴出多孔管から養液を空間部に噴出して養液担体に供給できる。
【0022】(4)養液タンクの養液は、これを圧送すると、養液供給管を通り、養液噴出多孔管の孔から噴出して多孔隔壁の孔から養液担体に供給される。供給された養液は養液担体を浸潤して上昇していく。養液の圧送を解除すると、養液担体に担持されない過剰の養液は、養液担体から直接または多孔隔壁の孔を通って流出して容器の底部に捕集され、排液孔から養液排出管と養液供給管を通って養液タンクに戻る。
【0023】このときの養液の供給路と排出路は、開閉弁装置の動作によって形成される。すなわち、ポンプで養液が養液タンクから圧送されると、そのときの供給圧で浮き玉が養液排出管を閉じて上述の供給路を形成する。ポンプが停止して供給圧が解除されると、浮き玉が排出管を開き、上述の排出路を形成する。
【0024】
【発明の実施の形態】
(実施例1)図1〜図4は実施例1の養液栽培装置及び養液栽培容器を示す。
【0025】まず、構成を説明する。図において、1は栽培用の容器である。この容器1は、塩化ビニル製の角樋2の中に同形の発泡スチロール製の角樋3を重ね、底部に排液溝4とこれに続く排液孔5を設けた構造のものである。角樋2の大きさ〔縦×横(上底・下底)×長さ〕は、150mm×(257mm・200mm)×12,000mmである。
【0026】6は容器1の底部に設置した塩化ビニル製の多孔管で、この発明にいう多孔隔壁である。7は多孔管6の中に設置した塩化ビニル製の養液噴出多孔管で、後述する養液タンク11からポンプPで圧送されてくる養液を孔から多孔管6に向けて噴出する。
【0027】多孔管6の内径は60mmφ、孔数は8,570個/m、開孔率は13.5%である。養液噴出多孔管7の内径は18mmφ、孔は200mm間隔に2個ずつ設けられている。孔の径は2mmφである。
【0028】8は防根透水シート9を介して容器1の中に入れた粒状綿(ロックウール)で、この発明にいう養液担体である。
【0029】上記多孔管6は、容器1に粒状綿8を入れた状態においては、容器1の底面と粒状綿8との間に空間部10を形成する隔壁として機能する。この実施例の場合、多孔管6の内径は60mmφであり、養液噴出多孔管7の内径は18mmφであるので、両管6,7の間には、最大40mm程度の間隔のある空間が形成されることになる。
【0030】11はポリエチレン製の養液タンクで、養液は250リットルである。通常、地中に埋設される。
【0031】12は養液タンク11と養液噴出多孔管7を連結する養液供給管、Pは養液タンク11の養液13を養液噴出多孔管7に圧送するポンプである。このポンプPは、水中ポンプで、出力:100V,100W、全揚程:3.8m、吐出量:35リットル/minである。ポンプPの始動、停止のタイミングは、タイマであらかじめ設定される。
【0032】14は容器1の排液孔5と養液供給管12を連結する養液排出管である。15は養液排出管14に設けた開閉弁装置である。
【0033】開閉弁装置15は、養液排出管14に設けた同排出管14より径の大きい大径管部16と、この中に移動可能に収納した中空の浮き玉17とより構成されている。この浮き玉17は、養液タンク11の養液13がポンプPで養液噴出多孔管7に圧送されると、そのときの養液13の供給圧によって排液孔5側へ移動し、養液排出管5の開口部を閉じる。ポンプPを停止すると、養液13の供給圧が解除されて前記開口部を開く。
【0034】次に、上記構成に基づく養液の供給、排出の要領を説明する。
【0035】ポンプPを始動すると、図1に示すように、養液13の供給圧によって開閉弁装置15が閉じられ、養液13は養液供給管12を通って養液噴出多孔管7に圧送され、その孔から噴出して多孔管6の孔から粒状綿8に供給される。供給された養液13は粒状綿8を浸潤して上昇していく。
【0036】ポンプPを停止すると、養液13の供給圧が解除されて、図3に示すように、開閉弁装置15が開かれる。そして、粒状綿8に担持されない過剰の養液13は、粒状綿8から直接または多孔管6の孔を通って流出し、容器1の底部に捕集される。捕集された養液13は、排液孔5から養液排出管14と養液供給管12を通って養液タンク11に戻る。
【0037】実施例1の養液栽培装置及び養液栽培容器が従来のものと比較して特徴とするところは、次の諸点である。
【0038】(1)多孔管6と養液噴出多孔管7が粒状綿8の下側の暗所に設置されているので、両管6,7に塩類が析出したり、藻類が付着しない。このため、両管6,7に目詰まりが生じない。
【0039】(2)養液13を担持した粒状綿8、すなわち培地の温度は、養液13の温度によって温度が変化する多孔管6との熱交換によって調節できる。このことは、培地の温度調節が養液の供給系統で可能になることを意味する。したがって、専用の培地温度調節系統を必要としない。
【0040】(3)養液噴出多孔管7は、多孔管6によって形成される空間部10に設置されているので、低出力のポンプPであっても、養液13を空間部10に噴出して粒状綿8に供給できる。したがって、高出力のポンプを必要としない。
【0041】(4)養液の供給路と排出路を設け、開閉弁装置15によって切り換えるようにしたので、電磁弁を使用しなくて済む。
【0042】(実施例2)図5は実施例2の養液栽培装置の容器の部分を示す断面図で、図4に対応する図である。
【0043】この実施例2は、実施例1の多孔管6に代えて多孔半円筒管18を使用した例である。作用効果は、実施例1と本質的に同じである。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、上述のような構成としたので、次の効果を奏する。
【0045】(1)多孔隔壁と養液噴出多孔管に塩類の析出や藻の発生がないので、それらの孔に目詰まりが生じない。
【0046】(2)培地の温度調節のための専用の設備を必要としない。
【0047】(3)高出力のポンプや電磁弁を必要としないので、装置費を低減できる。
【出願人】 【識別番号】000192903
【氏名又は名称】神奈川県
【出願日】 平成9年(1997)6月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 宏之 (外1名)
【公開番号】 特開平11−4633
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平9−161355