| 【発明の名称】 |
コットンリンターを含有するきのこ栽培用培地およびその使用方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】葛本 弘義
【氏名】松前 一士
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| 【要約】 |
【課題】安価で、堆肥化し易く、粉塵を生じないきのこ栽培用培地を提供すること。およびこの培地を用いてきのこを栽培する方法を提供すること。
【解決手段】コットンリンターおよび栄養剤を含有するきのこ栽培用培地であって、多孔構造を有するフレーク状の形状である、培地。この培地は、綿実ハルブラン、コーンコブ粉砕物、オガクズ、バガス、モミ殻、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択されるヘミセルロース含有素材をさらに含み得る。きのこの栽培方法は、この培地を用いてきのこを培養する工程を含む。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コットンリンターおよび栄養剤を含有するきのこ栽培用培地であって、多孔構造を有するフレーク状の形状である、培地。 【請求項2】 上記コットンリンターの含有量が、きのこ栽培用培地全体の乾燥重量の約20重量%〜約70重量%である、請求項1に記載のきのこ栽培用培地。 【請求項3】 前記培地が、表面積×厚さが平均約4mm2×約1mm〜約100mm2×約2.5mmである、フレーク状の形状である、請求項1に記載のきのこ栽培用培地。 【請求項4】 綿実ハルブラン、コーンコブ粉砕物、オガクズ、バガス、モミ殻、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択されるヘミセルロース含有素材をさらに含む、請求項1に記載のきのこ栽培用培地。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の培地を用いてきのこを培養する工程を含む、きのこの栽培方法。 【請求項6】 前記きのこが、エノキタケ、シロタモギダケ、シイタケ、ヒラタケ、マイタケ、またはナメコのいずれかである、請求項5に記載の栽培方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、きのこ栽培用培地およびその使用方法に関する。より詳細には、コットンリンターを含有するきのこ栽培用培地およびこの培地を用いてきのこを栽培する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、食用きのこは、主として人工栽培によって生産されるようになってきた。きのこの人工栽培は、人工のきのこ栽培用培養基を用いて屋内で行われる。そのため、天然の原木を利用するホダ木栽培と比較して管理が容易であり、かつ周年栽培が可能であるという利点がある。しかし、人工栽培が一般化して食用きのこの生産量が増加したこと、および安価な輸入品と競合することなどにより、生産コストを下げるために、より安価なきのこ栽培用培養基が望まれている。 【0003】また、現在用いられるきのこ栽培用培養基は、きのこ栽培後の処分の点で問題がある。きのこを人工栽培すると、きのこの栽培後に大量の廃培地が生じる。現在用いられているきのこ栽培用培養基は、一般にオガクズおよび米糠を主体とし、それにフスマなどを加えて製造されている。オガクズは、堆肥化の指標である炭素率(C/N比)が300〜1000であり、分解して堆肥化されるのが難しく、堆肥となるのに数年間を必要とする。そのため、現在、これら廃培地を十分に有効利用する方法はない。 【0004】これらの問題点を解決するために、近年、比較的安価で堆肥化の容易なオガクズ代替品が考案および使用されてきた。 【0005】例えば、トウモロコシの穂軸を粉砕して得られるコーンコブ粉砕物は、オガクズ代替品として用いることができる。しかし、コーンコブ粉砕物は、オガクズより高価であることに加えて、粒度にばらつきがある、および吸水性および通気性が悪いなどの問題点がある。このため、コーンコブ粉砕物と他の培地素材とを配合し、水を加えてミキサーで撹拌する際に、均一な水分分布となるように水分調整をすることが難しい。水分分布が不均一であると、菌糸の培養期間のばらつきを生じ、子実体の形成が不均一となる。その結果、きのこの奇形、収量の減少、品質の劣化を招きやすい。 【0006】さらに、従来の培地素材は粉体、または粉体と類似した形態であることが多く、培地素材を配合して培地を調製する際に飛散して粉塵を発生しやすく、作業環境を悪化させ、健康に被害を与えるおそれがある。資材の運搬においては、見かけ比重が小さいためかさが大きく、運送コストの低減が難しいという問題もある。 【0007】これらのさらなる問題点を解決するために、コーンコブ粉砕物を含む配合物を造粒することにより粉塵の発生を防止した、きのこ人工栽培用培養基材(特開平第5-23049号公報)が提案されている。しかし、この培養基材は、通常円筒形(ペレット状)に成形されるために吸水速度が比較的遅い。従って、培養基の作製を迅速に行い難い。その上この培養基材は、吸水後に粒状形態を残存しやすい。従って、培養基材をきのこ栽培用容器に詰めて培養基を作製する際に余分な空隙を生じる場合がある。 【0008】以上のことから、安価で、堆肥化し易く、作業性およびきのこの生産性に優れた人工栽培用培地が望まれている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの要望を満たす培地を提供することにより、上記問題を解決することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明のきのこ栽培用培地は、コットンリンターおよび栄養剤を含有するきのこ栽培用培地であって、多孔構造を有するフレーク状の形状である。 【0011】好ましい実施態様においては、上記コットンリンターの含有量は、きのこ栽培用培地全体の乾燥重量の約20重量%〜約70重量%である。 【0012】好ましい実施態様においては、上記培地は、表面積×厚さが平均約4mm2×約1mm〜約100mm2×約2.5mmである、フレーク状の形状である。 【0013】好ましい実施態様においては、本発明のきのこ栽培用培地は、綿実ハルブラン、コーンコブ粉砕物、オガクズ、バガス、モミ殻、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択されるヘミセルロース含有素材をさらに含む。 【0014】本発明のきのこの栽培方法は、上記のいずれかの培地を用いてきのこを培養する工程を含む。 【0015】好ましい実施態様においては、上記きのこは、エノキタケ、シロタモギダケ、シイタケ、ヒラタケ、マイタケ、またはナメコのいずれかである。 【0016】 【発明の実施の形態】コットンリンターは、綿花を採取した後の綿実にわずかに残る、繊維長が通常約30mm以下の短繊維である。本発明者らは、このコットンリンターが、綿実油を採取するときに副産物として得られるために安価であること、炭素率(C/N比)が約70以下と低く容易に微生物分解され、堆肥化されること、弾性および吸水性に優れていることなどに着目し、本発明を完成するに至った。 【0017】本発明のきのこ栽培用培地の組成、その代表的な製造方法、ならびにその培地を用いてきのこを栽培する方法を、以下に詳述する。 【0018】1.培地の組成本発明のきのこ栽培用培地は、コットンリンターおよび栄養剤を含有する。コットンリンターは、培地全体の乾燥重量に対して乾燥重量比で約10重量%以上約80重量%以下、好ましくは約20重量%以上約70重量%以下、より好ましくは約40重量%以上約60重量%以下含有される。本明細書中では、乾燥重量とは、105℃において5時間乾燥を行った後の重量をいう。 【0019】上述のように、本明細書においてコットンリンターとは、綿の短繊維であり、繊維の長さが約30mm以下のものをいう。コットンリンターは、保水性および通気性に優れているとともに、弾性に優れ、圧縮および伸長が自由にできるため、一旦フレーク状に成形しても水を吸収して速やかに原形に戻るという利点を有する。コットンリンターの有するこれらの特性は、作業性に優れたきのこ栽培用培地を提供する上で非常に好ましい。 【0020】本発明の培地は、栄養剤をさらに含む。本発明の培地は、培地全体の乾燥重量に対して栄養剤を、乾燥重量比で約20重量%以上約90重量%以下、好ましくは約40重量%以上約80重量%以下、より好ましくは約40重量%以上約60重量%以下含有する。 【0021】ここで、本明細書において栄養剤とは、大麦粉砕物、トウモロコシ糠、ムギ糠、米糠、フスマ、オカラ、豆皮などの従来からきのこ栽培に使用されているものを含む。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。これらの栄養剤の混合割合は、特に限定されない。栄養剤およびそれらの混合割合は、当業者であれば、栽培するきのこにあわせて適切に選択し得る。 【0022】本発明の培地は、さらに、コットンリンター以外のヘミセルロース含有素材、例えば、オガクズ、木材チップ、コーンコブ粉砕物、モミ殻、綿実ハルブラン(綿実の殻)、バガスなどを含有し得る。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。これらのヘミセルロース含有素材の混合割合は、特に限定されないが、好ましくは、培地全体の乾燥重量に対して約0重量%〜約70重量%のヘミセルロース含有素材を含有し得る。ヘミセルロース含有素材およびそれらの混合割合は、当業者であれば、栽培するきのこにあわせて適切に選択し得る。 【0023】栄養剤および培地素材の形状および大きさは特に限定されず、あらかじめ粒度を選別する必要はない。 【0024】本発明の培地に含まれるコットンリンター、栄養剤、およびその他の培地素材の配合割合は、きのこの種類により変化し得る。これらの配合割合は、当業者であれば、容易に決定し得る。配合割合の一例を挙げると、エノキタケ用の培地は、コットンリンター:米糠=50:50、菌床シイタケ用の培地は、コットンリンター:米糠=90:10、シロタモギダケ(ブナシメジ)用の培地は、コットンリンター:米糠:フスマ=50:30:20である。 【0025】2.培地の製造本発明のきのこ栽培用培地は、以下の方法によって製造することができる。 【0026】コットンリンターおよび栄養剤を含む必要な培地素材を混合し、当業者に周知の方法に従って水を加えて練り合わせる。練り合わせた混合物を高温高圧条件下から低圧条件下に放出することにより、混合物中に含まれた水が瞬時に蒸発して多孔構造が形成される。これを必要に応じて、通常の方法で粉砕してフレーク状に成形することにより、所望の培地が得られる。 【0027】培地の製造過程で添加される水の量は、均一に練り合わせた混合物が得られ、かつ多孔構造が形成されるに十分な量であればよく、特に限定されない。代表的には、混合される培地素材全体の乾燥重量に対して約1重量%から約8重量%の水が添加される。 【0028】上記のきのこ栽培用培地の製造は、含水混合物を高温高圧条件下から低圧条件下へ瞬時に放出することができる装置、例えば、エキスパンダーと呼ばれる機械を用いて行われる。エキスパンダーは、一般に家畜飼料の配合に用いられる。例えば、アマンダス・カール社(ドイツ)から購入できる。 【0029】本明細書中において、高温高圧条件とは、その後の低圧条件下への放出により、上記の多孔構造を形成し得る条件であればよく、特に限定されない。代表的には温度約110℃〜約150℃、圧力約20気圧〜約50気圧、好ましくは、温度約120℃〜約135℃、圧力約23気圧〜約30気圧、より好ましくは温度約126℃〜約130℃、圧力約25気圧〜約27気圧の条件である。 【0030】培地素材混合物を上記の高温高圧条件にさらす時間は、代表的には約2秒〜約30秒、好ましくは約5秒〜約10秒である。 【0031】本明細書中において、低圧条件とは、上記高圧条件下より代表的には約19気圧、好ましくは約23気圧、より好ましくは約25気圧低い気圧条件をいう。低圧条件は、高圧条件より低温、通常は室温である。 【0032】高温高圧条件下から低圧条件下へ放出することにより、培地中に含まれる水が蒸発すると同時に、コットンリンターの油膜および組織にダメージが与えられて吸水性がより高まり得る。また、コットンリンターおよび他の培地素材の中に含まれるヘミセルロース(特にキシラン)が混合物の表面に抽出され、素材表面に細孔が形成され得る。このような細孔の存在により、きのこの活着および伸長がより促進される。抽出されたヘミセルロースはまた、バインダーとしても作用し、培地の形状を安定化させる。 【0033】本発明のきのこ栽培用培地の形状は、通常、薄片状すなわち、フレーク状である。その大きさは特に限定されないが、好ましくは表面積×厚さが平均約1mm2×約1mm〜約170mm2×約3mm、より好ましくは平均約4mm2×約1mm〜約100mm2×約2.5mm、さらにより好ましくは平均約20mm2×約1.0mm程度のフレーク状に成形加工される。 【0034】本発明の培地は、多孔構造を有しかつフレーク状の形状を有するために、従来の培地と比較して吸水速度がより速くなり得る。さらに、製造工程において培地を高温高圧条件にさらすことにより、従来の一般的なきのこ培地製造条件では困難であった、サルモネラ菌の殺菌が行われ得る。 【0035】3.きのこの人工栽培本発明のきのこ栽培用培地を用いて培養基が作製される。培養基は、本発明の培地を単独で用いて培養基を作製してもよいし、他の培養基素材と併用して培養基を作製してもよい。培養基は、例えば、本発明の培地に、水分含有率が約60〜約65%となるように水を添加して撹拌し、きのこ培養用容器に均一に詰めて滅菌を行うことにより作製され得る。 【0036】本発明の培地を用いて作製した培養基で栽培可能なきのこは、人工栽培できるきのこであれば特に限定されない。栽培可能なきのこの例として、上記のエノキタケ、シロタモギダケ、シイタケの他に、ヒラタケ、マイタケ、ナメコなどが挙げられる。栽培で用いるきのこの種菌は、天然に生じる子実体から採取した菌糸または組織を培養して得てもよいし、例えば、研究機関および寄託機関に保存されているものを培養して得てもよい。 【0037】きのこ栽培に用いられる容器は、その形状、大きさ、材料などは制限されないが、滅菌処理に耐える容器であることが好ましい。キノコ栽培で最も一般的に用いられる容量850cc、口径58mmのビンを使用してもよいし、他の菌床栽培用容器、例えば袋栽培用の袋を使用することもできる。 【0038】培養基の作製における滅菌の方法および条件は、当業者に周知の方法および条件であり得る。滅菌方法の例としては、高圧蒸気滅菌、常圧蒸気滅菌などが挙げられるが、特に121℃60分程度の高圧蒸気滅菌が好ましい。滅菌条件は、一般的に用いられる滅菌処理の条件の範囲内であれば、特に限定されないが、大量に蒸気滅菌を行う場合は、滅菌処理の時間を延長することが好ましい。 【0039】種菌は、当業者に周知の方法を用いて作製される。例えば、目的のきのこの子実体から菌糸、または組織の一部を切り取り、例えば、ペプトン加用寒天培地(水100mlに、麦芽 0.5g、リン酸一カリウム 0.03g、リン酸二カリウム 0.03g、硫酸マグネシウム 0.03g、ペプトン 0.5g、ショ糖 5g、および寒天 3gを加えて作製する)上で菌糸の増殖を行うか、または子実体から胞子を採取し、麦芽寒天培地(水1000mlに、麦芽50gおよび寒天15gを加えて作製する)上で発芽および増殖を行うことができる。次いで、増殖して得られる菌糸を、種菌作製培地(例えば、オガクズ80g、米糠20g、および炭酸カルシウム3gの混合物;水分含量約62%)に接種する。接種後、約20℃〜約25℃で約40日間培養することにより種菌が得られ得る。 【0040】次いで、種菌を、滅菌された培地に接種し、培養を行い、菌糸を増殖させ、菌廻りを完了させる(培地全体に菌糸が行き渡った状態を、菌廻りが完了した、という)。培養条件は、当業者に周知であり、きのこの菌糸が生育可能な条件であれば、特に限定されず、きのこの種類によって適宜選択される。菌廻りが完了した後、さらに数日間培養を続け、菌糸を熟成させ、子実体の発生を促進することができる。熟成を行う場合、その期間は、5日以上60日以下、好ましくは5日以上20日以下であり得る。熟成期間は、きのこの種類および温度、湿度などの環境条件によって変化し得る。しかし、熟成は必ずしも必要ではない。 【0041】菌廻りが完了した後または熟成後、芽出し操作を行う。芽出し操作の前に、菌掻きを行ってもよい。菌掻きを行わない場合、芽出しさせる培養物を、そのまま芽出し条件で培養する。菌掻きを行う場合は、芽出しさせる培養物に菌掻きを行った後、芽出し条件で培養する。菌掻きの方法の例としては、当業者に周知の方法が用いられ得る。菌掻きを行うと、子実体の形態が整う、子実体の成長が揃う、などの効果が得られる。 【0042】芽出し条件は、当業者に周知の条件であり、栽培されるきのこが生育可能な条件であれば、特に限定されない。芽出し条件は、種菌接種後の培養条件よりも低温および高湿度であることが好ましい。芽出し条件で培養される日数は、特に限定されず、肉眼で幼子実体の形成が認められるまでである。 【0043】幼子実体の形成が認められた後、幼子実体をさらに生育させる。生育条件は、当業者に周知であり、特に限定されない。生育工程では、光照射を行うことが好ましい。生育を行う日数は、生育条件によって変化し得る。きのこの子実体が所望の大きさに生育したら、子実体の収穫を行う。 【0044】 【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。本発明は、これら実施例に限定されるものではない実施例1原料タンク1、スクリューフィーダー2、連続ミキサー3、スチーム供給管3a、水供給管3b、エキスパンダー4(アマンダス・カール社製)、排出バルブ17、およびクラッシャー5を、図1のように連結した。コットンリンター2500kg(50重量%)および栄養剤2500kg(米糠1500kgおよびフスマ1000kg)(50重量%)を、原料タンク1に加えた。これら培地素材はスクリューフィーダー2で軽く撹拌されながら原料タンク1から連続ミキサー3に送られた。連続ミキサー3では、スチーム供給管3aおよび水供給管3bからそれぞれ水蒸気および水を供給しながら培地素材の混合を行った。ここで、添加した水の量は、約75リットル(コットンリンターに対して3重量%)、スチームの量は約8m3(コットンリンターに対して1重量%)であった。水蒸気および水が添加され、ほぼ均一に混合された培地素材は、次いでエキスパンダー4に送られた。 【0045】図2に、エキスパンダー4の詳細を示す。連続ミキサー3からエキスパンダー4内へ送られた培地素材の混合物は、羽部11で撹拌されながら材料投入部12側から排出口側へ送られる際に、圧縮部13、加圧部14および高圧部15において水蒸気によって加熱および加圧された。エキスパンダー4の内では、含水混合物は圧力および熱をかけながら練り合わされた。羽部11の撹拌速度を、混合物の材料投入部12から低圧部16までの移動時間が約6秒となるように調節した。そして、低圧部16において排出バルブ17が排出口を開口すると、低圧部16内の培地素材混合物にかかる圧力が急激に低下した。ここで、エキスパンダーの開口部の大きさを、圧力が1.5気圧、温度約115±5℃となるように調節した。開口部から放出されて混合物にかかる圧力が低下することにより、培地素材混合物中に存在する水分は急速に蒸発し、培地素材混合物は膨張した。これはクラッシャー5で平均20mm2×1.5mm程度のフレーク状に分断され、これにより、目的のきのこ栽培用培地が4975kg(収率99.5%)得られた。 【0046】得られたきのこ栽培用培地は、軽く固められたフレーク状であり、取り扱い時に粉塵を生じなかった。水分含量が少ない状態で固められているため、コンパクトであり輸送に便利であった。 【0047】実施例2実施例1で用いたコットンリンター50重量%および栄養剤(米糠およびフスマ)50重量%の代わりに、コットンリンター50重量%および栄養剤(米糠)50重量%を用いたこと以外は、エキスパンダーの操作条件を含めて、実施例1と同様にしてきのこ栽培用培地を得た。収率は、99.7%であった。本実施例で得られたきのこ栽培用培地も、実施例1と同様の優れた培地特性を示した。 【0048】実施例3実施例1で用いたコットンリンター50重量%および栄養剤(米糠およびフスマ)50重量%の代わりに、コットンリンター20重量%、綿実ハルブラン50重量%、および栄養剤30重量%(米糠15重量%およびフスマ15重量%)を用い、水供給管3bで添加した水の量が75リットル(コットンリンターに対して3重量%)の代わりに70リットル(コットンリンターに対して7重量%)であったこと以外は、エキスパンダーの操作条件を含めて、実施例1と同様にしてきのこ栽培用培地を得た。収率は、99.3%であった。本実施例で得られたきのこ栽培用培地も、実施例1と同様の優れた培地特性を示した。 【0049】実施例4実施例1で用いたコットンリンター50重量%および栄養剤(米糠およびフスマ)50重量%の代わりにコットンリンター20重量%、コーンコブ粉砕物50重量%、および栄養剤30重量%(米糠15重量%およびフスマ15重量%)を用い、水供給管3bで添加した水の量が75リットル(コットンリンターに対して3重量%)の代わりに70リットル(コットンリンターに対して7重量%)であったこと以外は、エキスパンダーの操作条件を含めて、実施例1と同様にしてきのこ栽培用培地を得た。収率は、99.4%であった。本実施例で得られたきのこ栽培用培地も、実施例1と同様の優れた培地特性を示した。 【0050】実施例5実施例1で用いたコットンリンター50重量%および栄養剤(米糠およびフスマ)50重量%の代わりにコットンリンター20重量%、綿実ハルブラン20重量%、オガクズ30重量%、および栄養剤30重量%(米糠15重量%およびフスマ15重量%)を用い、水供給管3bで添加した水の量が75リットル(コットンリンターに対して3重量%)の代わりに70リットル(コットンリンターに対して7重量%)であったこと以外は、エキスパンダーの操作条件を含めて、実施例1と同様にしてきのこ栽培用培地を得た。収率は、99.5%であった。本実施例で得られたきのこ栽培用培地も、実施例1と同様の優れた培地特性を示した。 【0051】実施例6(きのこ栽培用培地の評価) 1.サルモネラ菌の検出テスト本発明の培地にサルモネラ菌が存在しないことを確認するために、以下のように、サルモネラ菌検出用キットである1−2テスト(BioControl Systems, Inc., Bothell, WA, 米国)を用いた。 【0052】このテストでは、小さな接種チャンバーと大きな移動性チャンバーとからなる1−2テストユニットを用いる。接種チャンバーと移動性チャンバーとは、小さな開口部により接続されている。移動性チャンバーには、1−2テスト接種直前に多価のH抗体(鞭毛の抗体)が添加される。1−2テスト接種で接種チャンバーに試験サンプルが添加される。この試験サンプル内にサルモネラ菌が含まれていると、サルモネラ菌は接種チャンバーから移動性チャンバーへと、開口部を通って移動する。このサルモネラ菌の有する鞭毛がH抗体と結合して白いバンドを形成して、サルモネラ菌陽性と判断される。 【0053】本実施例の1−2テストの方法は、製造者の使用説明書に従った。概略を述べると、まず、培地サンプル(約25g)について、リン酸緩衝ペプトンK(水1000mlに、リン酸一カリウム 1.5g、リン酸水素二ナトリウム12水塩 9g、塩化ナトリウム 5g、バクトペプトン 10g、および10% Tween-80 60mlを加えて作製する)を用い、前増菌培養を行った。前増菌培養液(約10ml)を、H.T.T.培地(水1000mlに、酵母エキス 2g、ペプトン 18g、ブドウ糖 0.5g、マンニット 2.5g、デスオキシコール酸ナトリウム 0.5g、塩化ナトリウム 5.0g、無水チオ硫酸ナトリウム 26g、沈降炭酸カルシウム 25g、ブリリアントグリーン 0.01g、およびヨード液40mlを加えて作製する;ここで、ヨード液は、ヨウ化カリウム8gを精製水40mlに溶解した後、さらにヨード5gを添加して溶解して作製し、このうち40mlを使用する)を用いて増菌培養を行った。次いで、得られた増菌培養液(約1ml)を用いて1−2テスト接種を行った。 【0054】上記実施例1〜5で得られた培地は、いずれもサルモネラ菌1−2テストに陰性であった。 【0055】2.吸水速度本発明の培地の吸水特性を、以下のように調べた。 【0056】容量500mlの容器に水を入れた。水面の表面積は80cm2であった。実施例2で得られたフレーク(フレークB)、オガクズ、およびコーンコブの各々20gを、上記の水を入れた容器に別々に投入した。それぞれの培地が十分に吸水し、完全に水没する時間(培地より上に水層が見られるまでの時間)を測定した。この時間を、吸水速度とした。結果を、以下の表1に示す。 【0057】 【表1】
【0058】表1から明らかなように、本発明の培地であるフレークBは、従来の培地素材と比較して極めて速やかに水分を吸収し、圧縮前の容量が非常によく復元された。また、フレークBは、吸水によりフレーク状の形態が速やかに破壊され、均一な培養基を得るために非常に好都合であった。これらのことから、本発明の培地が非常に優れた吸水特性を有することが分かった。 【0059】3.堆肥化テスト本発明の培地の堆肥化の容易さを、(i)実施例2のフレークB、(ii)オガクズ単独、(iii)オガクズ70部+フレークB30部、(iv)コーンコブ、および(v)コーンコブ70部+フレークB30部のそれぞれの培地について発酵を行い、炭素率の変化を調べることによりテストした。堆肥化を促進するために、それぞれの培地に含まれる窒素分が全有機炭素33に対して1となるように、それぞれの培地に植物粕(綿実粕)を添加することにより調整した。また、水分は67%に調整した。バチルス属の高温発酵菌14種を含む堆肥をスターター(堆肥化のための種菌)として、水分調整後の培地に混和し、生ゴミ発酵機(エヌ・アイ・テスノ製バイオメイト)を用いて65℃で発酵させた。 【0060】発酵後0日、3日、5日、10日、20日および40日での、培地の炭素率(C/N比)を、(株)住化分析センター製NC-80のCNアナライザーを用いて測定した。20以下の炭素率を有するものは良好な堆肥であるので、炭素率20を下回った後は、その後の炭素率の測定は行わなかった。結果を、以下の表2に示す。 【0061】 【表2】
【0062】表2から明らかなように、本発明のフレーク状の培地は、オガクズまたはコーンコブと比較して非常に堆肥化し易かった。また、本発明の培地を添加することにより、オガクズまたはコーンコブの堆肥化を促進できることが分かった。 【0063】実施例7(フレークAを用いたシロタモギダケの栽培)実施例1で作製したフレーク(フレークA)を用いて培養基(フレークA添加区)を調製し、シロタモギダケを栽培した。比較のために、フレークAを用いない培養基(対照区1および対照区2)を調製してシロタモギダケを栽培した。 ・培地調製それぞれの培養基について、以下の表3に示す培養基素材(1瓶当たり195g)に、水(1瓶当たり340g)を加えて混合し、水分量を培養基全体の重量に対して63.5%に調整した。瓶容量850cc、口径58mmのきのこ栽培用プラスチック瓶に、水分調整後の培養基素材の混合物を1瓶当たり535g入れ、121℃にて120分間の高圧蒸気滅菌により殺菌した後、常温になるまで放置した。培養基は、1実験区あたり48本用意した。 【0064】 【表3】
【0065】・菌糸培養常法により調製したシロタモギダケの種菌10gを、上記の培養基に接種した。これを、培養温度20℃および湿度70%で90日間培養した。この間にシロタモギダケの菌廻りが完了し、菌糸の熟成が行われた。菌回りの完了にかかった日数および菌糸の色を以下の表4に示す。90日間培養した後、ひらかき法により菌掻きを行った。 【0066】・芽出しおよび子実体の生育菌掻き後の培養基を、温度16℃および湿度80%にて培養し、芽出しおよびその後の幼子実体の生育を行った。菌掻き後21日目に子実体を収穫した。瓶当たりの平均収穫量および芽出し不良となった瓶の割合を、以下の表4に示す。 【0067】 【表4】
【0068】表4から明らかなように、本発明のフレークAを添加して調製された培養基は、菌廻りの完了にかかる日数が少なく、菌糸の色が濃く、瓶当たりの子実体の収穫量が多かった。また、芽出し不良の瓶は全く見られなかった。さらに、フレークA添加区から得られたシロタモギダケの子実体は、茎が太く、かさが硬い、品質の良好なきのこであった。 【0069】実施例8(フレークBを用いたエノキタケの栽培)実施例2で作製したフレークBを用いて培養基(フレークB添加区)を調製し、エノキタケを栽培した。比較のために、フレークBを用いない培養基(対照区)を調製してエノキタケを栽培した。 ・培地調製それぞれの培養基について、以下の表5に示す培養基素材(1瓶当たり180g)に、水(1瓶当たり300g)を加えて混合した。水分量を培養基全体の重量に対して63%に調整した。瓶容量800cc、口径52mmのきのこ栽培用プラスチック瓶に、水分調整後の培養基素材の混合物を1瓶当たり480g入れ、121℃にて120分間の高圧蒸気滅菌により殺菌した後、常温になるまで放置した。培養基は、1実験区あたり48本用意した。 【0070】 【表5】
【0071】・菌糸培養常法により調製したエノキタケの種菌10gを、培養基に接種した。これを、培養温度20℃および湿度70%で55日間培養した。この間にエノキタケの菌廻りが完了し、菌糸の熟成が行われた。菌回りの完了にかかった日数および菌糸の色を以下の表6に示す。24日間培養した後、ひらかき法により菌掻きを行った。 【0072】・芽出しおよび子実体の生育菌掻き後の培養基を、温度16℃および湿度80%にて8日間培養することにより芽出しを行い、その後、8℃にて2日間培養して低温に馴らし、次いで温度を5℃まで下げて8日間抑制培養することにより、子実体の生育を揃えた。ただし、この間に、子実体の先端が瓶の口の高さに達した時点で200ルクスの光照射を2時間行った。再度培養室の温度を8℃とし、湿度80%にて13日間生育させた後、収穫した。つまり、菌掻き後31日目に子実体を収穫した。瓶当たりの平均収穫量および芽出し不良となった瓶の割合を、以下の表6に示す。 【0073】 【表6】
【0074】表6から明らかなように、本発明のフレークBを添加して調製された培養基は、菌廻りの完了にかかる日数が少なく、菌糸の色が濃く、瓶当たりの子実体の収穫量が多かった。さらに、フレークB添加区から得られたエノキタケの子実体は、対照区と比較して茎が太く(約3.4mm)、かさが硬く、かさの開きが遅い、品質の良好なきのこであった。 【0075】 【発明の効果】本発明の培地は、コットンリンターを原料とするために安価であり、堆肥化されやすく、吸水性および通気性に優れる。また、フレーク状に成形されているために、取り扱いが便利である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391010471 【氏名又は名称】岡村製油株式会社 【識別番号】597085660 【氏名又は名称】西日本くみあい飼料株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月17日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】山本 秀策
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| 【公開番号】 |
特開平11−4626 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月12日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−160314 |
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