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【発明の名称】 芝地の造成方法
【発明者】 【氏名】岩崎 雅樹

【要約】 【課題】省力化された作業工程で切りほぐした芝苗を地中に容易に埋設して高い出芽と発根率で芝生の造成を図る。

【解決手段】切りほぐした芝苗Aを整地した地表面に均一に散布したのち、外周面に複数の突条5,5・・・を所要の間隔を存して設けた籠形車輪4を設けたプランター1で地表面に条溝B,B・・・を形成すると同時に、散布した芝苗Aを条溝B,B・・・内に差し込み、ローラーで転圧したのち通気性の保護シートで表面を保護して灌水する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 あらかじめ切りほぐした芝苗を、造成のための整地した地表面に均一に散布したのち、プランターによって該地表面に所定の幅と深さの条溝を所定の間隔で形成しつゝ散布した芝苗を当該条溝に差し込み、ついで表面をローラで転圧し、この転圧した表面を通気性のシートで覆って灌水することを特徴とする芝地の造成方法。
【請求項2】 前記プランターは、外周を囲繞して複数の突条を一定間隔で平行に固定した籠形車輪を備え、該籠形車輪の回転で地表面に所定の幅と深さの条溝を所定の間隔で形成しつゝ該条溝内に芝苗を差し込むよう構成したものであることを特徴とする請求項1記載の芝地の造成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、芝地の造成方法、特に、公園、運動競技場、ゴルフ場、競馬場および飛行場などの比較的広い面積の緑化のための芝地の造成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より芝生の造成と管理の方法には、種子を蒔く播種法、匍匐茎などからなる芝草の苗(以下、「芝苗」という)を短く切断して種子のようにして蒔く播芝法、さらには芝生として植成したものを方形又は帯状に剥いで張り付ける張芝法がある。
【0003】上記芝生の造成法のうち種子を蒔く播種法は、発芽の状態が造成の一つの支配要素となるため、発芽の如何によって確実な造成が必ずしも達成されるものとは言いえないため、播芝法又は張芝法が多く採用されている。
【0004】しかしながら、張芝法は人手(労力)と時間を要するため、広い面積の芝地の造成には不向きであるので、広域の芝地の造成は播芝法が主流となっている。この播芝法による芝地の造成は、通常、(1)芝苗を適宜の長さに切りほぐす。
(2)この切りほぐした芝苗を造成すべき整地面の表面に均一に散布する。
(3)散布した芝苗を床土の中に埋設するために床土の表面を軽く耕運する。
(4)その上に覆土を施す。
(5)施した覆土の表面をローラーなどで転圧する。
(6)ついでその上を寒冷紗などで被覆する。
(7)その上から灌水を施す。
の手順によって行なわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記播芝法による芝地の造成方法は、上記の(1)〜(7)のとおりの多くの手順を要するものであるが、特に(3)の耕運機による耕運作業を行うと、整地した床土が崩れて所定の床土面とならない、いわゆる不陸の原因を作り、播芝の前に行う整地工程が無駄なものになってしまう。また、この耕運によって芝苗がさらに切断され、あるいは土中に埋没したりして理想とする均一な芝地の造成ができない事態がしばしば生じる。このため、耕運の手順を省略して均一に散布した芝苗に直ちに覆土を施すことによって対応させることも行われているが、この場合には苗の床土との密着が小さく、また、保水性も十分に確保することができないため出芽や発根率の低下につながることになる。
【0006】この発明は、かゝる播芝法による芝地の造成の持つ問題点を改善し、少ない作業工程で切りほぐした芝苗を地中に容易に埋設して高い出芽や発根率で芝地の造成を図らんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、この発明の芝地の造成方法の発明は、あらかじめ切りほぐした芝苗を、造成のための整地した地表面に均一に散布したのち、プランターによって該地表面に所定の幅と深さの条溝を所定の間隔で形成しつゝ散布した芝苗を当該条溝に差し込み、ついで表面をローラで転圧し、この転圧した表面を通気性のシートで覆って灌水することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の芝地の造成方法に用られる芝苗は、地下匍匐茎、地上匍匐茎、あるいは直立茎など、節から発根、出芽する能力と、分けつしたものが芝地を造成する能力を有するものを用いることができる。かゝる芝草としては、コウライシバ、ノシバ、バーミューダグラス、クリーピングベントグラスなどを挙げることができるが、その中でもバーミューダグラスが特に適している。
【0009】これらの芝草による芝生の造成には下記のとおり植付の適期があり、その適期においてこの発明の方法によって造成することが望まれる。
ノシバ、コウライシバ ;4月中旬〜8月上旬クリーピングベントグラス;3月上旬〜5月下旬、9月上旬〜10月上旬バーミューダグラス ;5月上旬〜8月上旬【0010】上記による芝苗は、これを切りほぐし、この発明の方法にしたがって以下の手順で実施するものである。
(a)前記切りほぐした芝苗をあらかじめ造成のための整地した地表面に手作業によって均等となるように散布する。
(b)この散布の後の地表面にプランターを使用して所定の幅と深さの条溝の複数を所定の間隔で形成しつゝ、同時に形成した条溝に前記の散布した芝苗の差し込みを行う。
【0011】かゝる条溝の形成と芝苗の条溝への差し込みには、図1に示すプランター(planter;植え込み機)を使用することができる。このプランター1は、エンジン2と連動する駆動軸3に対して一対の籠形車輪4,4を水平に設けたもので、該籠形車輪4の外周面には所要の間隔を存してリング状に植え込み用の突条5,5・・・を突設したものである。
【0012】このプランター1は、エンジン2を始動して籠形車輪4を前進させると、籠形車輪4が矢視の方向に回転して外周面に突設された各突条5,5・・・が整地された地表面に食い込み、突条5の幅と突出高さに応じて条溝B,B・・・を所定の間隔で形成するものである。この条溝B,B・・・の形成によって、地表面に散布されている前記芝苗A,A・・・が当該条溝B,B・・・内に差し込まれるものである。
【0013】かゝるプランター1は、通常の歩行形の耕運機などに取り付けられている回転体を、複数の突条5,5・・・を外周に設けた籠形車輪4に取り代えることによって簡単に得ることができる。
【0014】この条溝B,B・・・の寸法には特別な限定はないが、好ましくは条溝B自体の幅を約3.5mm、深さを約35mmとし、各条溝Bの間隔(ピッチ)を50mmとなるように形成するもので、これによって地表面の崩れを生ずることなく芝苗Aを条溝B内に確実に差し込むことができるものである。なお、各条溝Bの間隔を50mm以下とした場合には、籠形車輪4に床土が付着してうまく離れ落ちずに目詰まりするおそれがある。
【0015】この条溝Bの形成は、前記プランター1の仕様を然るべく設定することによって達成される。
(c)条溝B,B・・・に差し込まれた芝苗A,A・・・は、その上からローラーによる転圧を行い、これによって地表面を破壊することなく芝苗を条溝B内に確実に植込むことができる。
(d)この転圧のあとの地表面を、保温と雨による芝苗の流失を避けるために通気性の保護シートで被覆する。かゝる通気性のシートとしては、通気孔を有するプラスチックシート、繊維の編組によるネット状のシートなどの使用が可能であるが、中でも寒冷紗の使用が好ましい。
(e)その後、表面に灌水を施して芝苗の着床と出芽を促し、所定期間の経過後の芝の発根したのちに前記通気性シートを取り外し、これによって床土面の崩れのない優れた芝地を形成することができる。
【0016】
【作用】この発明の芝地の造成方法は、あらかじめ切りほぐした芝苗を、整地した地表面に均一に散布し、プランターで地表面に所定の幅と深さの条溝を所定間隔で形成しつゝ同時に芝苗を条溝に差し込み、ついで表面をローラで転圧し、この転圧した表面を通気性のシートで覆って灌水するという手段で達成され、これは前記条溝の形成と芝苗の差し込みを同時に可能としたプランターの使用によって床土面を崩すことなく、芝苗を確実に地中に保持することができるものである。
【0017】
【実施例】以下、実施例及び比較例によってこの発明の芝地の造成方法をより具体的に説明する。
<実施例1>図1に示すように整地した床土面に、切りほぐしたバーミューダグラスの芝苗A,A・・・を均一に散布し、その表面にプランター1を使用して条溝B,B・・・の形成と、芝苗A,A・・・の差し込みを行った。プランター1は、内径430mm×幅450mmの籠形車輪4の外周面に、幅3.5mm×突出幅35mmのリング状の突条5,5・・・をピッチを50mmとして溶接したもので、出力は5馬力の歩行型のものである。かゝるプランター1で形成される各条溝Bは、幅が約3.5mm、深さが35mm、条溝間はピッチ50mmである。
【0018】この条溝B,B・・・の形成と同時に前記芝苗A,A・・・は、条溝B,B・・・に差し込まれ、プランター1の通過後の表面には条溝B,B・・・の溝跡の僅かな細い溝とプランター1を操作する作業者の足跡が残るのみで、床表面自体はなんらの損傷もなく植込みの作業をすることができた。
【0019】ついで、この表面に転圧ローラをかけることによって、表面の細い溝や足跡は消失した。その後、この表面を寒冷紗で覆って灌水したが、約1ヵ月後には、地下に差し込まれた芝苗の節部から根をおろし、地表に均等に芽を出して芝地を造成することができた。
【0020】<比較例1>整地された床土面に、切りほぐしたバーミューダグラスの芝苗を均等に散布したのち、その表面を耕運し、ついで薄く覆土すると共に、転圧ローラをかけて表面の整正を行い、以後実施例1と同様にして表面に寒冷紗をかけて被覆し、灌水を実施した。この比較例1は、実施例1に比べて前記の耕運で地表面が崩れてその整正作業に余分な手間と時間を費やし、また、1ヵ月後の芝生の根付きも均等ではなく地表面の出芽は疎らであった。
【0021】
【発明の効果】この発明の芝地の造成方法は、あらかじめ切りほぐした芝苗を、整地した地表面に均一に散布し、プランターで地表面に所定の幅と深さの条溝を所定間隔で形成しつゝ同時に芝苗を条溝に差し込み、ついで表面をローラで転圧し、この転圧した表面を通気性のシートで覆って灌水するもので、条溝の形成と芝苗の差し込みを同時に可能としたプランターの使用によって床土面を崩すことなく、短時間に芝苗を確実に地中に差し込むことができるものである。
【0022】この発明の方法によれば、芝苗を規則的に設けた条溝内に確実に差し込みむことができるため、前記した芝苗の地表面への均等な散布と相俟って、芝苗を省力化された手順で均等に植え付けすることができ、芝苗の出芽や発根率を高めて短期間の造成を図ることができるものである。
【0023】この発明の芝地の造成方法は、公園、運動競技場、ゴルフ場、競馬場および飛行場などの特に広域面積の地の緑化と整地に適用して多大のメリットを有するものである。
【出願人】 【識別番号】397018154
【氏名又は名称】三井物産アグロビジネス株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 全弘
【公開番号】 特開平11−4624
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平9−160959