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【発明の名称】 接ぎ木装置の穂部クランプ装置
【発明者】 【氏名】秋鹿 修

【氏名】三代 満

【要約】 【課題】穂木苗の子葉つけ根部や生長点を損傷しないように把持して、健全な接ぎ木苗を得る。

【解決手段】穂部クランプ装置15は、穂木苗11から切断した穂部11aを把持すべく開閉自在な把持部材17を備えていて、前記穂部11aを保持して、台木苗21の穂部を切断・除去した台部21bに接続する役目をなすものであって、前記穂部11aを把持する際に、把持部材17における穂部の把持軸線sに沿う下部に逃げ部50を形成し、この逃げ部50により、把持部材17を閉じたときに該把持部材17の内側壁により子葉つけ根部が強く圧迫されて、穂部11aの子葉つけ根部が損傷されるのを防止している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 穂木苗から切断した穂部を把持すべく開閉自在な把持部材を備え、前記穂部を保持して、台木苗の穂部を切断・除去した台部に接続する接ぎ木装置の穂部クランプ装置において、前記把持部材における前記穂部の把持軸線に沿う下部に逃げ部を形成し、前記穂部を把持する際の子葉つけ根部の損傷を防止するようにした、ことを特徴とする接ぎ木装置の穂部クランプ装置。
【請求項2】 前記逃げ部を、前記把持部材の対向する内側壁に凹状に形成した、ことを特徴とする請求項1記載の接ぎ木装置の穂部クランプ装置。
【請求項3】 前記逃げ部を、前記把持部材の対向する内側壁を貫通して形成した、ことを特徴とする請求項1記載の接ぎ木装置の穂部クランプ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、穂木苗を台木苗に接続する接ぎ木装置に係り、詳しくは穂木苗から切断した穂部を把持して台木苗の台部に接続する接ぎ木装置の穂部クランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この穂部クランプ装置が用いられる接ぎ木装置は、穂木苗を収納した苗ポットを列状に複数個連ねたトレイを搬送する穂木用搬送コンベヤと、台木苗を収納した苗ポットを列状に複数個連ねたトレイを搬送する台木用搬送コンベヤとを備えていて、所定の接木処理位置において、前記により搬送されてきた穂木苗から穂部を切断し、この切断した穂部を、台木苗から穂部を切断・除去した台部に向け前記穂部クランプ装置により自動的に運搬して、前記穂部を接ぎ木用のクリップを介して台部に接合する装置である。
【0003】図8は接ぎ木苗を示すものであり、同図に示すように、穂部を除去した台木苗の台部21bの先端に予めクリップ20をあてがい、穂部クランプ装置によりこのクリップ20内に穂木苗の穂部11aを自動的に差し込むようにしている。
【0004】ところで、例えばウリ科の苗木では、子葉よりも上部に茎がないため、子葉自体あるいは根元部付近を穂部クランプ装置で把持しなければならない。この場合、子葉下方の茎部を把持することもできるが、穂木苗から穂部を切断する際、その切断位置が子葉から離れると、茎が空洞となっているため活着率が低下したり、或いは接ぎ木苗の苗姿の悪さ等から、できるだけ子葉位置付近で接ぎ木することが望ましいとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の穂部クランプ装置では、子葉のつけ根部をも把持することになるので、該子葉つけ根部が損傷したり、あるいは生長点を直接把持した場合の接ぎ木後の成育に不安があるという課題があった。
【0006】この発明は、斯かる課題を解消するためになされたもので、その目的とするところは、穂木苗から穂部を切断する際、その子葉つけ根部や生長点を損傷することなく把持して健全な接ぎ木苗を得ることのできる接ぎ木装置の穂部クランプ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、穂木苗(11)から切断した穂部(11a)を把持すべく開閉自在な把持部材(17)を備え、前記穂部(11a)を保持して、台木苗(21)の穂部を切断・除去した台部(21b)に接続する接ぎ木装置(10)の穂部クランプ装置(15)において、前記把持部材(17)における前記穂部(11a)の把持軸線(s)に沿う下部に逃げ部(50)を形成し、前記穂部(11a)を把持する際の子葉つけ根部の損傷を防止するようにした、ことを特徴とする。
【0008】また、本発明は、前記逃げ部(50)を、前記把持部材(17)の対向する内側壁に凹状に形成した、ことを特徴とする。
【0009】更に、本発明は、前記逃げ部(50)を、前記把持部材(17)の対向する内側壁を貫通して形成した、ことを特徴とする。
【0010】[作用]以上の発明特定事項により、本発明において、前記穂部クランプ装置(15)は、穂木苗(11)から切断した穂部(11a)を把持すべく開閉自在な把持部材(17)を備え、前記穂部(11a)を保持して、台木苗(21)の穂部を切断・除去した台部(21b)に接続する役目をなすものであって、前記穂部(11a)を把持する際に、前記把持部材(17)における穂部の把持軸線(s)に沿う下部に形成した逃げ部(50)により、把持部材(17)を閉じたときに該把持部材(17)の内側壁により子葉つけ根部が強く圧迫されて、前記穂部(11a)の子葉つけ根部が損傷されるのを防止するようにした。
【0011】なお、上述の括弧内の符号は、図面を対照するためのものであって、この発明の構成を何ら限定するものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。なお、従来の技術で使用した部材と同一または相当する部材には同一の符号を付して説明する。
【0013】図1は、接ぎ木装置の全体構成を示す図であり、図2はその要部拡大を示す図である。接ぎ木装置10は、穂木苗11を収納した苗ポット12を列状に複数個連ねたトレイ13を搬送する穂木搬送コンベヤ14と、台木苗21を収納した苗ポット22を列状に複数個連ねたトレイ23を搬送する台木搬送コンベヤ24とを備えている。
【0014】そして、所定の接ぎ木処理位置において、前記により穂木搬送コンベヤ14にて搬送されてきた穂木苗11を、下部クランプ装置26によりその苗軸11bを保持した状態で、掻き上げ部材16にて苗葉を上方に掻き上げ、ナイフ27により穂部11aを切断する。この切断した穂部11aを、穂部クランプ装置15の把持部材17により把持して台木側に運搬する。
【0015】同時に、前記により台木搬送コンベヤ24にて搬送されてきた台木苗21は、下部クランプ装置36によりその苗軸(台部21b)を保持した状態で、掻き上げ部材37にて苗葉を上方に掻き上げ、ナイフ34により穂部21aを切断・除去し、残った台部21bに前記穂部11aを自動的に接合する。この接合の際、前記穂部11aと台部21bを内包して保持する接ぎ木用のクリップ20(前述の図8参照)が用いられる。
【0016】ここで、本発明は、前記把持部材17における前記穂部11aの把持軸線に沿う下部に逃げ部を形成し、前記穂部11aを把持する際の子葉つけ根部の損傷を防止するようにした、ことを特徴としている。
【0017】図3及び図4は、前記穂部クランプ装置15の構成を示しており、この穂部クランプ装置15は、前記穂部11aを把持すべく開閉自在な前記把持部材17,17とその下部に下部クランパ30を有すると共に、縦軸18を中心に矢印A方向およびB方向の双方向に回動自在とされている。また、この穂部クランプ装置15は、前記把持部材17が穂木苗11の穂部11aを把持するため、装置基部32(図4参照)に対しその上部に載置されているスライド部33が略々水平方向に移動可能となっている。
【0018】前記把持部材17は、その取付け基部にエアチャック19が取り付けられ、このエアチャック19によりその先端部が開閉制御される。また、図5に示すように、この把持部材17における穂部11aの把持軸線sに沿う下部に、逃げ部50が形成されている。そして、穂木搬送コンベヤ14により、所定の接ぎ木処理位置に搬送されてきた穂木苗11は、子葉検知レーザ52により前記逃げ部50に子葉つけ根部がくるように高さが調整される。
【0019】前記逃げ部50は、前記把持部材17の対向する内側壁に凹状に形成しても良いし、また、内側壁を貫通するように形成しても良い。要するに、前記把持部材17にて穂部11aを把持したときに、該穂部11aの子葉つけ根部が把持部材17によって圧迫されないようにすれば良い。
【0020】そして、本実施の形態においては、図6に示すように、前記対向する把持部材17の内側壁に、穂部11aを確実に把持するためスポンジ40が取り付けられていて、更にこのスポンジ40の下部に前記逃げ部50を形成している。この逃げ部50により、前記把持部材17にて穂部11aを把持する際の子葉つけ根部の損傷を防止するようにしている。
【0021】ところで、前述のように、穂木搬送コンベヤ14の所定の接ぎ木処理位置において、搬送されてきた穂木苗11の処理すべき苗を、下部クランプ装置26によりその苗軸11bを保持した状態で、例えば茎以外の葉部分を誤って切断しないように、掻き上げ部材16にて苗葉を掻き上げ、ナイフ27により穂部11aを切断している。この掻き上げ部材16は、先端側に対向する半輪状のアーム16a,16aを有していて、子葉を掻き上げるときは、アーム16a,16aを閉じて輪状にした状態で上方に移動させる。
【0022】そして、この穂木苗11の切断時に、前記処理苗とこれに隣接する上流側の穂木苗(前苗)とが接近している場合は、これらの子葉が互いに接触したり絡み合ったりして処理苗の接ぎ木処理作業に支障をきたすため、処理苗の接ぎ木処理作業に先立ち、予め前苗の子葉をも別の掻き上げ部材54にて上方に掻き上げている。
【0023】しかし、例えばウリ科の苗木のように、ある程度茎が真っ直ぐに延びており、かつ本葉がないものである場合は、前苗の子葉が処理苗側に倒れるのを防ぐことができれば良く、これにより処理苗の切断作業や子葉検知レーザ52による検知にも邪魔になることがない。
【0024】そこで、本実施の形態では、図7に示すように、前記掻き上げ部材54の先端側の対向する半輪状のアーム54a,54aのうち、下流側のアーム54aのみで掻き上げることとした。これにより、前苗を掻き上げるときに、従来のように円輪状をなす掻き上げ部材54のアーム54a,54aにより引き抜いたり(首吊り)、該アーム54a,54aによる苗の損傷を防止することができる。
【0025】なお、以上は、穂木側の掻き上げ部材54のアーム54aを片側のみとしたものについて説明したが、台木側の掻き上げ部材37においても同様に適用することができる。
【0026】次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0027】図1及び図2に示すように、穂木搬送コンベヤ14により苗ポット12に収納された穂木苗11が下流側に搬送されてくると、所定の接ぎ木処理位置にて、子葉検知レーザ52により、穂木苗11の子葉つけ根部が検出される高さ位置になるように穂木苗11の高さが調節される。
【0028】続いて、下部クランプ装置26が前進移動してきて苗軸11bの下部を挟持すると共に、掻き上げ部材16により穂木苗11の穂部11aを上方に掻き上げ、その穂部11aの中間位置で停止する。これと同時に、処理苗の上流側の前苗の子葉を掻き上げ部材54にて上方に掻き上げる。この掻き上げ部材54は、その先端アーム54aが輪状ではなく半円状であるため、苗の引き抜きが防止される。
【0029】次いで、穂部クランプ装置15が、その左右把持部材17,17及び下部クランパ30,30の先端部を開いたまま水平方向に前進してきて、苗軸11bを囲んでから閉じて穂部11aをクランプする。
【0030】このとき、前記把持部材17における穂部11aの把持軸線sに沿う下部に逃げ部50が形成されているので、穂部11aを把持する際の子葉つけ根部の損傷が防止される。この苗軸11bをクランプした状態で、ナイフ27が側方から移動してきて苗軸11bを斜めに切断する。
【0031】次に、この切断した穂部11aを、穂部クランプ装置15により把持したまま、台木苗21の穂部21aを切断した台部21bに接続すべく、該穂部クランプ装置15が縦軸18を中心として台木搬送コンベヤ24側(図3のB方向)に回動し、前記穂部11aを台部21bの先端にあてがわれたクリップ20に挿入する。この穂部11aの挿入後、クリップ20を閉じて接ぎ木処理を終了する。なお、前記穂部クランプ装置15は、前記穂部11aを把持してクリップ20に挿入した後は、後退移動して次なる動作に移行する。
【0032】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明は、穂木苗から切断した穂部を把持すべく開閉自在な把持部材を備え、前記穂部を保持して、台木苗の穂部を切断・除去した台部に接続する接ぎ木装置の穂部クランプ装置において、前記把持部材における前記穂部の把持軸線に沿う下部に逃げ部を形成したことにより、前記穂部を把持する際の子葉つけ根部の損傷や、生長点の損傷を防止することができ、健全な接ぎ木苗を作ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
【公開番号】 特開平11−48
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−154128