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【発明の名称】 バラの切り花栽培方法
【発明者】 【氏名】古柳 修男

【要約】 【課題】従来のバラの切り花栽培方法では、1つの株から採花母枝となるシュートを2本以上得ることができない場合もあり、手間がかかる割に収量が上がらないという問題がある。また、挿木を利用する場合には、定植後に根を充分且つ確実に生長させることができる決定的な方法はないのが現状であった。

【解決手段】接木又は挿木をしたバラの苗木1を定植し、最初に伸びた枝27の花23および芽25をピンチして、2日間〜5日間放置した後に萌芽位置から3cm〜20cm先端方向の範囲で枝を捩じり曲げて倒伏させ、捩じり曲げ部位の下方に発生する複数のベーサルシュートから採花母枝を決定し採花する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】接木又は挿木をしたバラの苗木を定植し、最初に伸びた枝の花および芽をピンチするピンチ工程と、前記ピンチ工程後、所定期間放置した後に萌芽位置から3cm〜20cm先端方向の範囲で枝を捩じり曲げて倒伏させる倒伏工程と、前記倒伏工程終了後、捩じり曲げ部位の下方に発生する複数のベーサルシュートから採花母枝を決定する採花母枝決定工程と、前記採花母枝から採花する採花工程とを有することを特徴とするバラの切り花栽培方法。
【請求項2】前年度に生長した枝を、2年目以降は、1年経過した枝の萌芽位置から3cm〜20cm先端方向の範囲で枝を捩じり曲げて倒伏させる倒伏工程と、前記倒伏工程終了後、捩じり曲げ部位の下方に発生する複数のベーサルシュートから採花母枝を決定する採花母枝決定工程と、前記採花母枝から採花する採花工程とを有することを特徴とするバラの切り花栽培方法。
【請求項3】請求項1または2に記載したバラの切り花栽培方法において、前記倒伏工程終了後、捩じり曲げ部位の下方に発生するベーサルシュートが1本である場合は、その根元からカットするか、または捩じり曲げて倒伏させることを特徴とするバラの切り花栽培方法。
【請求項4】請求項2に記載したバラの切り花栽培方法において、ベーサルシュートに花および芽が付いている場合は、花および芽をピンチして、所定期間放置した後に捩じり曲げて倒伏させることを特徴とするバラの切り花栽培方法。
【請求項5】採花が終了した採花母枝の1本のみを残して所定の高さでカットし、所定期間経過後に、前記残しておいた1本の採花母枝をカットして2年目以降の剪定を行うことを特徴とするバラの切り花栽培方法。
【請求項6】請求項1から5のバラの切り花栽培方法において、水耕栽培により行うことを特徴とするバラの切り花栽培方法。
【請求項7】挿木用のバラの枝を挿木ブロックにさし発根させる発根工程と、発根工程終了後、前記挿木ブロックを栽培槽内に配置されたベース上に並べる配置工程と、前記配置工程終了後、水耕栽培用の水又は液体肥料を挿木ブロックへ供給する工程とを有するバラの切り花栽培方法において、前記栽培槽内の水又は液体肥料のレベルを、所定期間に除々に下げることを特徴とするバラの切り花栽培方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はバラの切り花栽培方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、バラの切り花栽培方法としては、台木に接木したバラの苗木を定植して30日間〜40日放置すると枝が生長して花ができる。そして枝の下部にある5枚葉を2枚残して、花と上部の5枚葉を1枚〜2枚ピンチし、ピンチした付近から新しいシュートを発生させる。このシュートは細く、葉が少ししかない枝から発生しているので、生長させても枝としては細く、これを採花母枝とすることはできない。このため、このシュートの花を上部の5枚葉とともにピンチし、そこから発生するシュートを採花母枝として生長させて採花するようにしていた。
【0003】また、上記した接木を利用する他、挿木によってバラの切り花栽培方法も行われているが、定植後において根の生長が不十分であると、収穫に悪影響を及ぼすことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のバラの切り花栽培方法では、1つの株から採花母枝となるシュートを2本以上得ることができない場合もあり、手間がかかる割に収量が上がらないという問題がある。また、挿木を利用する場合には、定植後に根を充分且つ確実に生長させることができる決定的な方法はないのが現状であった。
【0005】本発明は上記した従来の問題点に鑑みて為されたものであり、1つの株から採花母枝となるシュートを2本以上得ることができ、また挿木をした場合、定植後の根を充分且つ確実に生長させることができるバラの切り花栽培方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、接木又は挿木をしたバラの苗木を定植し、最初に伸びた枝の花および芽をピンチするピンチ工程と、前記ピンチ工程後、所定期間放置した後に萌芽位置から3cm〜20cm先端方向の範囲で枝を捩じり曲げて倒伏させる倒伏工程と、前記倒伏工程終了後、捩じり曲げ部位の下方に発生する複数のベーサルシュートから採花母枝を決定する採花母枝決定工程と、前記採花母枝から採花する採花工程とを有することを特徴とするバラの切り花栽培方法である。
【0007】請求項2の発明は、前年度に生長した枝を、2年目以降は、1年経過した枝の萌芽位置から3cm〜20cm先端方向の範囲で枝を捩じり曲げて倒伏させる倒伏工程と、前記倒伏工程終了後、捩じり曲げ部位の下方に発生する複数のベーサルシュートから採花母枝を決定する採花母枝決定工程と、前記採花母枝から採花する採花工程とを有することを特徴とするバラの切り花栽培方法である。
【0008】請求項3の発明は、請求項1または2に記載したバラの切り花栽培方法において、前記倒伏工程終了後、捩じり曲げ部位の下方に発生するベーサルシュートが1本である場合は、その根元からカットするか、または捩じり曲げて倒伏させることを特徴とするバラの切り花栽培方法である。
【0009】請求項4の発明は、請求項2に記載したバラの切り花栽培方法において、ベーサルシュートに花および芽が付いている場合は、花および芽をピンチして、所定期間放置した後に捩じり曲げて倒伏させることを特徴とするバラの切り花栽培方法である。
【0010】請求項5の発明は、採花が終了した採花母枝の1本のみを残して所定の高さでカットし、所定期間経過後に、前記残しておいた1本の採花母枝をカットして2年目以降の剪定を行うことを特徴とするバラの切り花栽培方法である。
【0011】請求項6の発明は、請求項1から5のバラの切り花栽培方法において、水耕栽培により行うことを特徴とするバラの切り花栽培方法である。
【0012】請求項7の発明は、挿木用のバラの枝を挿木ブロックにさし発根させる発根工程と、発根工程終了後、前記挿木ブロックを栽培槽内に配置されたベース上に並べる配置工程と、前記配置工程終了後、水耕栽培用の水又は液体肥料を挿木ブロックへ供給する工程とを有するバラの切り花栽培方法において、前記栽培槽内の水又は液体肥料のレベルを、所定期間に除々に下げることを特徴とするバラの切り花栽培方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のバラの切り花栽培方法に係るを図面に示した各実施の形態に従って説明する。図1から図8は、本発明の実施の形態を示すものである。図1に示すように、バラの挿木用の枝を挿木ブロック3にさし、所定期間管理して発根させ、バラの苗木1を得る。この挿木ブロック3はロックウールによって構成されている。
【0014】次いで、図2に示すように挿木ブロック3を水耕栽培装置5に移して定植を行う。水耕栽培装置5の構成について説明する。栽培槽7の底には排出パイプ9が取り付けられている。また、栽培槽7内には、ロックウール製のマット11が配置されている。このマット11上に、挿木ブロック3を配置して定植する。なおマット11の挿木ブロック3を配置部分以外の部分は、発泡スチロール板、樹脂シート等で被覆する。水又は液体肥料の供給ノズル13は、支持軸15に固定され、この支持軸15は挿木ブロック3に差し込まれている。供給ノズル13にはホース17が接続され、所定量の水又は液体肥料が供給される。なお、以下の説明において水又は液体肥料と記載するが、バラの品種、栽培条件、生長度合い等によって、水を供給するか液体肥料を供給するかを決定し、さらに液体肥料の種類、濃度を調整する。
【0015】供給ノズル13から供給された水又は液体肥料は、挿木ブロック3に浸透し、さらに余剰の水又は液体肥料はマット11に吸収されて、栽培槽7に貯容される。栽培槽7内の水又は液体肥料は排出パイプ9から排出され、一定の水又は液体肥料のレベルが保たれる。定植後の1週間から3週間は、水又は液体肥料のレベルをマット11の上面と同じレベルになるように上げて、そのレベルを保つ定水管理を行う。これにより栽培槽1内の水又は液体肥料の濃度及び量を安定させ、バラの苗木1の生長が阻害されることのないようにする。また、定水管理後の所定期間は栽培槽7内の水又は液体肥料が除々に抜けるようにして、根19の伸長を促す。即ち、排出パイプ9に僅かな隙間があくキャップ21を取り付け、この隙間から水又は液体肥料が除々に排出され、水又は液体肥料の水位を、10日間〜15日の間に除々に下げ、この水又は液体肥料を追いかけるように根が伸びるようにして、根19の伸長を促進させる。この期間は1週間から3週間の範囲で調整する。
【0016】定植後、最初に伸びた枝27が生長して、開花から満開までの間に図3に示すように、花23及び芽25を全てピンチ(フラーリング及びリシューティング)してピンチ工程を行う。ピンチ工程終了後、2日間から5日間放置してから、図4に示すように枝27を、萌芽位置から3cm〜20cm、先端方向の範囲で捩じり曲げて倒伏工程を行う。このように所定期間放置するのは開花や芽25の生長のため、枝27の先端側に移動した養分を枝27の基端部側に戻す期間が必要だからであると考えられる。なお、枝27を捩じる曲げ方向は枝の周方向の螺旋状の繊維を巻き込む(閉じる)方向として、枝29が折れるのを防止する。枝27を倒伏させると副芽の生長が促進され、ベーサルシュート29が発生する。ベーサルシュート29が2本以上である場合は、採花母枝を決定して採花する。
【0017】図5に示すように倒伏工程後、発生したベーサルシュート29が1本であり、5cm〜10cm程度である場合は、このベーサルシュート29を根元付近でピンチして、他の副芽の生長を促進させ、複数のベーサルシュート29を発生させるようにする。
【0018】図6に示すように倒伏工程後、発生したベーサルシュート29が1本のみで、ツボミが付くまで生長したものは、開花する直前に花および芽25をピンチして、2日間〜5日間放置した後、捩じり曲げて倒伏させ再処理を行い、複数の新たなベーサルシュート29を発生させるようにする。図6で説明した再処理を行ったにもかかわらず、図7に示すように発生したベーサルシュート29が1本である場合には、節31の部分で花をカットするナックル採花を行い、副芽の生長を促進させ新たなベーサルシュートの発生を促す。
【0019】なお上記の説明では倒伏工程後、発生したベーサルシュート29が1本である場合にピンチし、2本である場合に採花母枝としているが、発生させるベーサルシュートで採花母枝とする本数は2本に限定されるものではなく、3本以上であってもよい。採花開始後、マット11内の根19の順調な育成が保てなくなった場合には、排水パイプ9に栓をして、水又は液体肥料にマット11が充分に浸る状態とした後、排水パイプ9の栓を抜いて、マット11の下面より1cm〜3cmの高さになるように水又は液体肥料のレベルを調整する。これにより、マット11内の根19の発育を促し、順調な育成が保つことができる。
【0020】図8によって、採花終了後の2年目以降に行う剪定方法について説明する。ベーサルシュート29を一定の高さになるように切り揃える場合、ベーサルシュート29を1本だけ残してカットし、所定期間経過した後に残っているベーサルシュート29をカットする。これにより根19から吸い上げられた水分の相当量を、カットせずに残したベーサルシュート29へ逃がして、カット部分から水分が吹くのを防止する。
【0021】さらに、2年目以降は、生長した枝を、1年目と同様にして1年経過した枝の萌芽位置から3cm〜20cm先端方向の範囲で枝を捩じり曲げて倒伏させ、さらに倒伏工程終了後、捩じり曲げ部位の下方に発生する複数のベーサルシュートから採花母枝を決定する採花母枝決定工程を行い、次いで採花母枝から採花する採花工程を行う。
【0022】以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更などがあっても本発明に含まれる。例えば、上記実施の形態では、挿木による場合を示したが、接木による場合に適用することも可能である。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明のバラの切り花栽培方法にあっては、1つの株から採花母枝となるシュートを2本以上得ることができ、収量を上げることができるようになる。また、請求項7の発明では、挿木を利用する場合には、定植後に根を充分且つ確実に生長させることができるようになる。
【出願人】 【識別番号】597090262
【氏名又は名称】有限会社古柳販売
【出願日】 平成9年(1997)6月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司 (外1名)
【公開番号】 特開平11−44
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−169486