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【発明の名称】 コンバインの選別制御装置
【発明者】 【氏名】川村 芳弘

【要約】 【課題】コンバインの回行時において、穀粒の選別精度の悪化を防ぐとともに、穀粒が損傷を受けること及び穀粒の機外排出ロスを防止する。

【解決手段】自動脱穀装置1における穀粒漏下量の制御を、チャフシーブ23の開度を調節する目塞ぎ板42、及び第2扱胴3下方に配置されその揺動角が調整されるスイングシーブ41により行う。コンバインの回行等に起因する穀稈の供給量の減少をセンサで検知したときは、制御手段77は、一定時間経過後に前記スイングシーブ41及び目塞ぎ板42を閉塞し、更に一定時間経過後に再び所定の開口量に戻す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刈取り部、走行装置及び自動脱穀装置を備えてなるコンバインにおいて、前記自動脱穀装置の選別部における穀粒の漏下量を制御する穀粒漏下量制御手段と、前記刈取り部から前記自動脱穀装置への穀稈の供給が停止したことを検知する検知手段と、該検知手段による穀稈の供給停止検知から一定時間後、前記穀粒漏下量制御手段の開度を所定位置に閉塞し、更に該閉塞から所定時間後、前記穀粒漏下量制御手段を所定設定開度に開くように制御する制御手段と、を備えることを特徴とするコンバインの選別制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンバインの選別制御装置に係り、詳しくは自脱形コンバイン等の回行時における選別部の作動を制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、コンバインの自動脱穀装置における穀粒の選別精度は、選別部に供給される穀粒の量(単位時間当りの供給量)に依存することが知られており、例えば、コンバインの回行時に作物の刈り取りが停止し、前記選別部へ供給される穀粒の供給量が減少した場合には、わら等の不要物が穀粒と共に選別網を漏下し易くなって選別精度が悪化してしまうことが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる問題を回避するため、作物の刈り終りから再度刈り始めるまで、コンバインが回行している間中ずっと(一般的に15秒程度)選別部の作業を停止する方法が提案されている。しかし、これでは選別部の作動停止時間が長くなるため、脱穀の終った穀粒が再び脱穀装置に送られていわゆる2番還元によって損傷を受けたり、或は穀粒が機外へ排出されてしまうという問題があった。
【0004】そこで、本発明は、コンバインの回行時において穀粒の選別精度が著しく悪化することを防止すると共に、穀粒の2番還元による損傷等も防ぐことができるようにしたコンバインの選別制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述事情に鑑みてなされたものであって、刈取り部、走行装置及び自動脱穀装置(1)を備えてなるコンバインにおいて、前記自動脱穀装置(1)の選別部における穀粒の漏下量を制御する穀粒漏下量制御手段(40)と、前記刈取り部から前記自動脱穀装置(1)への穀稈の供給が停止したことを検知する検知手段(73,75)と、該検知手段(73,75)による穀稈の供給停止検知から一定時間後、前記穀粒漏下量制御手段(40)の開度を所定位置に閉塞し、更に該閉塞から所定時間後、前記穀粒漏下量制御手段(40)を所定設定開度に開くように制御する制御手段(77)と、を備えることを特徴とする。
【0006】
【作用】以上構成に基づき、コンバインにおいて、例えば回行時に刈取り部から自動脱穀装置(1)への穀稈の供給が停止した場合に、前記検知手段(73,75)がそれを検知して信号を発すると、かかる信号を受けた制御手段(77)は、穀稈の供給停止検知から一定時間経過後に穀粒漏下量制御手段(40)の開度を所定位置まで閉塞し、前記自動脱穀装置(1)の選別部における穀粒の漏下量を抑える。また、該閉塞から所定時間経過後には、前記制御手段(77)は、前記穀粒漏下量制御手段(40)を所定設定開度に開き、もとの状態に戻す。
【0007】
【発明の効果】以下説明したように、本発明によると作物の刈取りの一時的な停止に伴なって前記穀粒漏下量制御手段(40)の開度を所定位置に閉塞するタイミングは、前記検知手段(73,75)による穀稈の供給停止検知と同時でなく一定時間経過後である。従って、刈取りが停止しても選別部の穀粒量がほとんど変化しない一定時間は、選別が通常通り行われているため、穀粒が機外に排出されてしまったり、2番還元による損傷を回避できる。
【0008】また、前記穀粒漏下量制御手段(40)の閉塞は一定時間に限られ、選別作業が長く停止されることもない。従って、比較的軽いわら等の不要物は機外に排出されるが、穀粒の排出はほとんどなく、また穀粒の2番還元による損傷も少ないという効果を奏する。
【0009】なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するものであるが、本発明の構成を何等限定するものではない。
【0010】
【実施例】以下、図面に沿って、本発明の実施例について説明する。
【0011】まず、自脱形コンバインの自動脱穀装置1の一般的構造を図1に沿って説明する。
【0012】自脱形コンバインの自動脱穀装置1は第1及び第2扱胴2,3を備えており、両扱胴2,3は穀稈の送給方向(図1の右方向)に沿った回転軸のまわりに回転自在にそれぞれ支持されている。これら2つの扱胴2,3は外周面に扱歯を有しており、その外周面から所定の距離だけ離れたところには扱胴2,3の略下方を覆うように受網5,6がそれぞれ配設されている。また、前記第1扱胴2の近傍にはその回転軸方向に沿ってフィードチェーン7が設けられており、該フィードチェーン7は、その一端が株搬送チェーン(図示しない)の一端に近接するよう設けられており、また他端は排わらチェーン8の一端に近接するよう設けられている。
【0013】一方、前記第1扱胴2の下方には、揺動流穀板20が設けられており、また前記第2扱胴3の下方及びその下流側にはストロラック22及びチャフシーブ23等が配設されている。該揺動流穀板20,21、チャフシーブ23は、図示しない駆動源により揺動されるよう構成されており、チャフシーブ23は穀粒を漏下すべく網状形状をしている。また、揺動流穀板20の下方には、図示しない駆動源により回転駆動される唐みファン30が配置されており、ストロラック22の上方には同じく回転駆動される吸入ファン55が配置され、またストロラック22の下方には排塵ファン54が配置されている。これらのファン30,54,55は、穀粒よりも軽い不要物を自動脱穀装置1外へ排出すべく唐みファン30から吸入ファン55及び排塵ファン54の方向への風を起こしている。
【0014】一方、チャフシーブ22の下方には1番ラセン32が配置されており、該1番ラセン32には揚穀ラセン31が連係されている。これらのラセン31は、不図示の駆動源により回転駆動されるラセン状の歯をもつ軸状のものであり、チャフシーブ23等から漏下してきた穀粒をグレンタンク(不図示)へ搬送する。また、この1番ラセン32の右方には、該ラセン32と平行に2番ラセン35が配置されており、該2番ラセン35には第2の扱胴3部分に連通する縦送りラセン36が連係されている。
【0015】次に、本発明に係るコンバインの選別制御装置の構造につき説明する。
【0016】穀粒漏下量制御手段40は、スイングシーブ41及び目塞ぎ板42を有しており、スイングシーブ41は、第2の扱胴3部分から漏下する穀粒の量を制御し、また目塞ぎ板42は、チャフシーブ23の上面を所定量塞ぎ、揺動流穀板20から搬送される穀粒及びスイングシーブ41から流下する穀粒の漏下量を制御する。
【0017】このうち、スイングシーブ41は、上端縁が枢支された回動自在のフィンが多数設けられてなるルーバー状のもので、不図示のモータ及びリンク機構により開閉される。かかるスイングシーブ41の1つのフィンの下端には、後端がポテンショメータ44(以下、フィンポテンショという)に連結されたワイヤ47の一端が取り付けられている。
【0018】一方、目塞ぎ板42は、前記チャフシーブ23の上面に載置されており、全閉時にはチャフシーブ23を覆う形状のものである。この目塞ぎ板42は、一端縁にブラケットを介して取り付けられたラック50がチャフシーブ23の上方でかつ該シーブ23と平行に移動することにより、チャフシーブ23の塞ぎ量(開度)を調整する構成となっている。このラック50にも、前記フィンと同様に、後端がポテンショメータ45(以下、目塞ぎポテンショという)に連結されたワイヤ47の一端が取り付けられている。
【0019】また、揺動流穀板20の上方には、中央部が装置全体に回転自在に支持されたフロートセンサ51が配設されている。このフロートセンサ51の一端にはローラ51aが回転自在に支持されており、他端は別のポテンショメータ52が連係されている。前記ローラ51aは供給される穀粒層の上面を転がり、かつ該穀粒の量(積載された穀粒の層厚)に応じて該ローラ51aが上下し、その穀粒の量をポテンショメータ52が検知する。
【0020】制御手段77は、図2の詳示するように、コンバインの走行速度(以下、機体速度とする)に応じた制御を行う制御部77aと、コンバインの回行時における制御を行う制御部77bとを有する。具体的には、自動スイッチ71及び作業機スイッチ72によってON−OFFされるものであり、穀稈センサ73、前処理回転センサ75、ポテンショメータ44,45,52からの信号が入力されるようになっている。そして、かかる信号に応じてフィン角度調節モータ76及び目塞ぎ板調節モータ46を駆動制御する。
【0021】また、制御手段77には、機体速度に応じたフィンポテンショ44の目標値及び目塞ぎポテンショ45の目標値がメモリされている。かかる目標値は、図3(a)及び(b)に示す如く機体速度の増加に応じてステップ状に増加する。具体的には、前処理回転センサ75により検知される機体速度がV1,V2,V3と増加すると、フィンポテンショ44の目標値F0からF1,F2,F3へと増加し、また目塞ぎポテンショ45の目標値はM0から、M1,M2,M3へと増加する。
【0022】ついで、上記実施例の作用について説明する。
【0023】図1の左方向にある前処理部(刈取り部)にて刈り取られた作物は、まず株搬送チェーンにより自動脱穀装置1の入口まで搬送される。その後、前記作物の穀稈はフィードチェーン7により挟持され、穂が第1扱胴2にかまされた状態で図1の右方へ搬送される。これにより穂は脱穀され、脱穀処理の終ったわらは別の排わらチェーン8により後処理装置(図示せず)に搬送される。
【0024】前記第1扱胴2において脱穀作用を受け揺動流穀板20上に落ちた穀粒は、揺動流穀板20上を図1右方に移動しチャフシーブ23の開口部から漏下して1番ラセン32の方へ落ちる。かかる穀粒は、1番ラセン32の回転に伴ないその軸方向に送られ、次に揚穀ラセン31の回転に伴ないその軸に沿って押し上げられる。このような搬送により、穀粒はグレンタンク(不図示)に貯えられる。
【0025】このとき、ストロラック22は不図示の駆動装置により揺動運動をし、また唐みファン30及び吸引ファン55は前述の如く風を一定方向に発生させるため、完全に穀粒、くず、わらを選別する。不要なわら等は、吸引ファン55より自動脱穀装置1外部に排出される。
【0026】一方、前記第1扱胴2によっては完全に脱穀が終わっていない穂及びしいなは、前記受網5から漏下しないため第1扱胴2の回転に伴ない受網5の上を移動し、第2扱胴3に送られる。そして、これらの穂等は第2扱胴3によって再び処理され、該処理された穀粒はスイングシーブ41、チャフシーブ23を漏下して1番ラセン32へ落ち、前記と同様にグレンタンクに貯えられる。処理の終わっていない穂等は、2番ラセン35、縦送りラセン36により、再び第2扱胴3に戻される。
【0027】次に、機体速度による開度制御部77aの作用を、図4に沿って説明する。
【0028】まず、オペレータは、刈り取る作物の種類に応じてダイヤルを設定する(S1)。フロートセンサ51のポテンショメータ52には一定の電圧(例えば5V)が印加されており、出力電圧は0Vよりも大きく該一定の電圧よりも小さくなるはずである。従って、ポテンショメータ52の出力電圧(以下、フロートセンサ値とする)がこの間の電圧を示すときは正常と判断する(S2)。
【0029】このようにポテンショメータ52が正常と判断された場合は、フロートセンサ値(H)がしきい値H1以上か否かを判断し(S3)、しきい値H1以下の場合は、ランクアップフラグは0であり、機体の走行速度V1,V2,V3に応じて(S4)、スイングシーブ41のフィン位置をF1,F2,F3に制御し、目塞ぎ板42の目塞ぎ位置をM1,M2,M3に制御する(S6,S7,S8)。このような制御は、作物の刈り取りが進みフロートセンサ値がしきい値H1を超えたと判断した後(S5)も一定時間(タイマーT3により決められる)だけ行われる。ここで、前記フロートセンサのしきい値H1は、前記ダイヤル設定に応じて変わるものである。選別精度上最適な穀粒の量は、作物の種類によって異なるためである。
【0030】このようにフロートセンサ値Hがしきい値H1を超えて一定時間経過した後はタイマーT3のカウントが終了し(S10)、ランクアップフラグが“1”だけ増えるため(S11)、フィン及び目塞ぎ板の開度が開き気味に制御される。即ち、機体の走行速度V1,V2,V3に応じて、フィン位置はランクアップしてF2,F3,F4となるよう制御され、目塞ぎ位置はM2,M3,M4となるように制御される(S7,S8,S9)。この制御も、タイマーT4により一定時間保持され、この間はランクアップは行われない(S12)。
【0031】一方、フロートセンサ51のポテンショメータ52がショート等により所定の範囲外(例えば、0V)の電圧を出力したときは(S2)、フィン位置及び目塞ぎ位置は共に1段だけ開き側にランクアップされる(S13)。また、警報も発せられる(S14)。
【0032】前述した前処理回転センサ75は、前処理部(刈取り部)のギヤの回転速度を非接触で検出して信号を出力し、制御手段77は、該信号を機体速度として読み替えてフィンポテンショ44及び目塞ぎポテンショ45の目標値を決める。現実のフィン開度及び目塞ぎ板の開度はフィンポテンショ44及び目塞ぎポテンショ45からの信号により求まるため、制御手段77は、かかるポテンショ44,45からの信号が目標値に一致するように各モータ46,76を駆動制御する。
【0033】次に、コンバイン回行時制御部77bの作用を図5に沿って説明する。
【0034】刈取り作業をする場合には、オペレータが、作物の種類に応じて制御位置設定を行い設定ダイヤルを希望のモードにし(S20)、前記穀粒漏下量を制御するために制御手段の自動スイッチ71を「ON」にし(S21)、作業機クラッチ72を「入」にして作業機へ動力を伝える(S22)。かかる場合に穀稈センサ73がONとなり(S23)、前処理回転センサ75が前処理部のギヤが回転中であると検出すると(S24)、制御手段77のタイマーは作動せず、前述の如く通常の機体速度に応じた制御が行われる(S26,S27)。そして、刈取り作業が不要ないわゆる回行時に、前処理回転が停止すると、穀稈センサ73及び前処理回転センサ75が信号を発して(S23,S24)、制御手段77内のタイマー1がスタートする(S25)。但し、該タイマー1で所定の時間(4〜5秒間)が経過するまでは、通常のフィン制御(S26)と目塞ぎ制御(S27)とが継続して行われる。しかし前記タイマー1で所定の時間(4〜5秒間)が経過すると(S28,S29)、フィン及び目塞ぎ板は共に閉位置まで移動する(S30)と共に、別のタイマー2がカウントを開始する(S31)。そして、タイマー2によりカウントされる所定時間(4〜5秒間)はフィン及び目塞ぎ板共に閉位置の状態に保持され、タイマー2によるカウント終了後(S32)は再び通常のフィン制御及び目塞ぎ制御が行われる(S26,S27)。
【0035】これにより、作物の刈取りの一時的な停止に伴なって穀粒漏下量制御手段40の開度を所定位置に閉塞するタイミングは、前記穀稈センサ73及び前処理回転センサ75からの信号が制御手段60に入力されたと同時でなく一定時間経過後である。従って、刈取りが停止しても選別部の穀粒量がほとんど変化しない一定時間は、穀粒の選別が通常通り行われているため、穀粒が機外に排出されてしまったり、2番還元による損傷を回避できる。
【0036】また、前記穀粒漏下量制御手段40の閉塞は一定時間に限られ、選別作業が長く停止されることもない。従って、比較的軽いわら等の不要物は機外に排出されるが、穀粒の排出はほとんどなく、また穀粒の2番還元による損傷もほとんどないという効果を奏する。
【0037】なお、上記実施例においては、フィンポテンショ及び目塞ぎ板のポテンショの目標値を機体速度に合せて3段階にステップ状に変化させたが、これに限る必要はなく、もっと細かく変化させてもよい。
【0038】また、上記実施例においては穀粒漏下量制御手段40として、スイングシーブ41及び目塞ぎ板42を用いたが、いずれか一方でもよい。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成3年(1991)9月9日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−275942
【公開日】 平成11年(1999)10月12日
【出願番号】 特願平11−59568