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【発明の名称】 脱穀機の送風ファン
【発明者】 【氏名】平野 達郎

【氏名】野波 和好

【要約】 【課題】送風ファン5の挿脱を良好に行なうとともに、送風ファン5の送風性能の向上を図ることができる脱穀機の送風ファンを提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扱室2で脱穀された脱穀物を、揺動選別体3及び送風ファン5により選別する脱穀機において、前記送風ファン5を複数の羽根板52を有する唐箕式のファンに形成し、脱穀機壁1aに開口されたファン挿入孔15から挿入して回転可能に軸支するとともに、上記ファン挿入孔15を吸風板6で覆って該ファン挿入孔15より小径な吸風口7を形成するように構成した脱穀機の送風ファン。
【請求項2】 脱穀機壁1aに送風ファン5の羽根板52数に対応した隅部を有するファン挿入孔15を開口するとともに、該隅部を覆って吸風口7を形成する吸風板6をファン室内に向けて屈曲させる請求項1の脱穀機の送風ファン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脱穀機の送風ファンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、扱室で脱穀された脱穀物を揺動選別体で受けて篩選しながら送風ファンで圧送される送風によって風選別をさせる脱穀機は、送風ファンを4枚程度の羽根板を放射状に回転軸に固定した唐箕方式のファンを採用している。ところで、この送風ファンは、その回転外径よりもやや大きく脱殻機壁に形成したファン挿入孔から挿脱可能に構成して、その組付けやメンテナンス作業等を行なうようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような従来の構成による脱穀機は、脱穀機壁に開口したファン挿入孔はそのまま吸風口を兼用しているため、かなり大きく開口されていることから、脱穀物が多量の時に、これを風選する際に静圧が上昇し、それに伴なって吸風口から送風の一部が吹き出し易い欠点があり、これを補うために送風ファンの回転を高回転域に設定しなければならない等構造上の問題やメンテナンス作業を複雑化させる等の問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記従来の問題を解決するために本発明の脱穀機の送風ファンは、扱室2で脱穀された脱穀物を揺動選別体3及び送風ファン5により選別する脱穀機において、前記送風ファン5を複数の羽根板52を有する唐箕式のファンに形成し、これを脱穀機壁1aに開口されたファン挿入孔15から挿入して回転可能に軸支するとともに、上記ファン挿入孔15を吸風板6(ベルマウス状のもの)で覆うことにより、このファン挿入孔15を縮小させて小径な吸風口7を形成し、更に吸引される空気が滑らかな流れを形成するように構成している。
【0005】また、脱穀機壁1aに送風ファン5の羽根板52数に対応した隅部を有するファン挿入孔15(角形となる)を開口するとともに、この隅部を覆って円形の吸風口7を形成する吸風板6をファン室内に向けて屈曲させて空気の流れを整流するようにしている。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係る脱穀機の送風ファンの実施の形態につき説明する。図1において、コンバイン等に搭載可能な脱穀機1は、扱胴2aを内装した扱室2と処理胴2bを内装した処理室2cを前後方向に配置し、これらの下方に脱穀物を受けて揺動選別する揺動選別体3を、左右の脱穀機壁1a,1aの間において、後述する送風ファン5と排塵ファン5aとを配置した選別風路中に支持している。
【0007】そして上記揺動選別体3の下方に前方から一番物を回収する一番樋2dと、補助選別風を送風する補助送風ファン2eと、二番物を回収して揺動選別体3に還元する二番樋2f等を従来の装置と同様な配置を以って構成している。次に図2〜図6を参照し、本発明に係る送風ファン5について説明する。
【0008】図示例の送風ファン5は、左右の脱穀機壁1aで形成される選別幅(機幅)内で従来の構造の唐箕ファン5F,5Fを2分割した状態で、回転軸50に左右一対となるように構成し、両者間に隔壁10,10を設けてこれらの間の吸風路11を形成してファンケース12を構成し、そして上記回転軸50の両端を脱穀機壁1aに着脱可能に固定した軸受板13に回転駆動可能に支持している。
【0009】上記唐箕ファン5Fは、回転軸50に取付部材(支持アーム)51を介して放射方向に等間隔に4枚の羽根板52を固定して構成しているとともに、各羽根板52の両側下辺部を内側に向けて斜めに切除して団扇状に形成している。そして脱穀機壁1a及び隔壁10,10には4枚の羽根板52の先端位置を隅部の頂点する4角形状のファン挿入孔15を開設している。そして唐箕ファン5Fをこのファン挿入孔15の隅部と羽根板52の先端とを位置合しながら脱穀機壁1aの一側から他側に向けて挿入し、あるいは抜き出すことができるようにしている。従って、このファン挿入孔15は円形ではなく、4枚の羽根板52が隅部に配置されて通過できるように四角形に形成されているのである。
【0010】また、この唐箕ファン5Fの挿入軸支状態において、ファン挿入孔15の各隅部には、図4に示す形状の吸風板6(あたかも円形のベルマウスを4分割したもの)を着脱自在に設けることにより、回転軸50を中心とする略円形状の吸風口7を前記ファン挿入孔15の直線状の各辺とほぼ同一な直径となるように構成してしている。(吸風口7の直径は、ファンの挿入孔15の直線状の各辺より若干小さくしても良い。)
また、上記のようにファン挿入孔15の隅部に吸風板6を設けて隅部を塞ぐことで、このファン挿入孔15よりも小径な吸風口7を形成することができ、送風ファン5の回転時においてこの吸風口7よりファン5の中心部に向けて外気の吸気を円滑に行なうとともに、羽根板52の両外周部分を閉塞していることから送風の漏れ出しを防止することができるようにしている。
【0011】また上記吸風板6は、同図に示すように塞板部60の外側の適所に脱穀機壁1aに取付ネジ8を挿通して取付けるための取付孔61を設けており、その内側に前記吸風口7に沿う半径でファンケース12(ファン室)内に向けて滑らかな湾曲面で屈曲させたガイド面62を形成させたベルマウス状に構成している。従って、この吸風板6は脱穀機壁1aに取付けた状態では、図2に示すように、ガイド面62の先端がファンケース12内に進入して羽根板52の根本に形成されている切欠部まで延長され、その側端下方で切欠部とラップする位置に臨ませている。
【0012】そしてこの吸風板6によって滑らかなガイド面が形成されていることから、外気の吸風をファンケース12内に向けて適切に誘導案内するとともに、吸い込まれた外気を羽根板52によってファンケース12の送風口16から圧送できる。そして送風ファン5が回転する時に発生する静圧等送風時の抵抗によって、吸風板6の入口面である吸風口7より流入する空気を押戻すような流れが発生するが、この流れは吸風板6の背後を流れて送流風を阻止することができるようにしているので、吸風及び送風の性能を高めてファン効率を格段に向上させることにより動力を軽減でき、また同じ風量を出すのに回転数を少なくできるので、騒音を減少できるものである。
【0013】ここで図6を参照し本発明による送風ファン5と冒述した従来の装置のものとの実験によって得られた性能について比較する。両者のファン回転数を同回転として運転させた場合の風量と静圧との特性線は、本発明による曲線A対し、従来の装置の曲線Bで示すように得られた。この実験結果から、両者のファンを同回転で運転した場合に、例えば送風吐出口を塞ぐ等の送風抵抗を与える等の手段によって静圧を上昇させると、曲線Aは曲線Bに対して静圧上昇に伴う風量低下が著しく発生しなく、高い送風特性(高静圧特性)を得ることが確認できた。また、曲線Cは「風路抵抗曲線」を示しており、脱殻機の選別風路に本発明によるファンを配置した場合には曲線Aと曲線Cの交点における選別風量が得られることを表している。
【0014】従って、本発明による吸風板6を有する送風ファン5はこの高静圧特性によって脱穀物の量が多い場合に静圧が上昇しても、これに伴う風量低下が生じ難いのでファン回転数を大幅に高くすることなく、定風量の選別風によって脱穀物の選別を安定して行なうことができることになり高性能な脱穀機を提供することができるものである。
【0015】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明による脱穀機の送風ファンは、脱穀機壁1aに送風ファン5を挿脱可能なファン挿入孔15を開口し、送風ファン5を挿入したのち該ファン挿入孔15を吸風板6で覆うことにより、小径な吸風口7を形成させることにより、大きなファン挿入孔15から送風ファン5の挿脱を簡単に行なうことができる。
【0016】また、送風ファン5の側方の中心部位から吸気を良好に行なうとともに、吸風口7からのふき出しを防止して良好な送風を行なうことができる。更に、送風ファン5の羽根板52に対応させた隅部を有するファン挿入孔15とすることにより、脱穀機壁1aに送風ファン5を挿脱する最小な孔を形成し、その隅部を吸風板6で覆って円形で、挿入孔15の面積を減少させた小さな吸風口7を簡単に形成することができる。特に、吸風板6の内周縁部を滑らかな屈曲面で形成することによって複数の吸風板6によって円形のベルマウスを形成することができ、吸気のふき出しを防止してファン効率を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開平11−262326
【公開日】 平成11年(1999)9月28日
【出願番号】 特願平10−68634