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【発明の名称】 コンバインの脱穀装置
【発明者】 【氏名】宮本 彰

【氏名】中矢 昭彦

【氏名】日高 茂實

【要約】 【課題】刈取穀稈の株元部をフィードチエンで把持して搬送しながら、穂先部の穀粒を扱胴に植設した多数の扱歯で脱穀するコンバインの脱穀装置において、扱室内部における脱穀物の流動と、扱室からの排出を円滑にする。

【解決手段】上記扱胴を、刈取穀稈搬送の上流側を小径、下流側を大径とした略円錐台形状に形成し、同扱胴の軸芯を、刈取穀稈搬送の上流側を低位置、下流側を高位置とした傾斜状態に軸支して、扱胴の外周面下部を、同扱胴を収容した扱室の内底面を形成するクリンプ網と略平行に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刈取穀稈の株元部をフィードチエン(30)で把持して搬送しながら、穂先部の穀粒を扱胴(20)に植設した多数の扱歯(24)で脱穀するコンバインの脱穀装置(A) において、上記扱胴(20)を、刈取穀稈搬送の上流側を小径、下流側を大径とした略円錐台形状に形成し、同扱胴(20)の軸芯(23)を、刈取穀稈搬送の上流側を低位置、下流側を高位置とした傾斜状態に軸支して、扱胴(20)の外周面下部(22)を、同扱胴(20)を収容した扱室(21)の内底面を形成するクリンプ網(28)と略平行に配置したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【請求項2】 上記扱胴(20)の外周面に多数の扱歯(24)を扱胴(20)の軸芯(23)に直角に植設したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの脱穀装置。
【請求項3】 刈取穀稈の株元部をフィードチエン(30)で把持して搬送しながら、穂先部の穀粒を扱胴(20)に植設した多数の扱歯(24)で脱穀するコンバインの脱穀装置(A) において、フィードチエン(30)の上流側を扱胴(20)の軸芯(23)よりも低位置、下流側を同軸芯(23)よりも高位置として配置したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【請求項4】 扱胴(20)の下流側に、脱穀物を再度脱穀処理を行うための処理胴(40)を配置したコンバインの脱穀装置(A) において、上記処理胴(40)の軸芯(42)を脱穀物搬送の上流側を低位置、下流側を高位置とした傾斜状態に軸支したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの脱穀装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンバインの脱穀装置は、刈取穀稈の株元部をフィードチエンで把持して搬送しながら、穂先部の穀粒を扱胴に植設した多数の扱歯で脱穀するようにしており、上記扱胴は略円筒形状の外周面に多数の扱歯を植設している。
【0003】また、上記扱胴で脱穀した脱穀物のうち、扱室内底面に張設したクリンプ網上に残留した枝梗を脱穀処理するために、扱胴の下流側に処理胴を設けたコンバインの脱穀装置ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記扱胴が略円筒形状であるため、脱穀物の量が上流側から下流側に向かって次第に増加するにも拘らず、扱胴外周面と扱室内周面との間隙が、上流側から下流側にかけて一定であるため、脱穀物の流動や排出が円滑に行われないという問題がある。
【0005】また、扱胴の下流側に処理胴を設けた脱穀装置では、処理胴が軸芯を水平にして軸支されているため、選別部の唐箕からの選別風が通りにくく、穀粒と藁屑との分離が不十分であり、選別部の負担が大きくなるという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、刈取穀稈の株元部をフィードチエンで把持して搬送しながら、穂先部の穀粒を扱胴に植設した多数の扱歯で脱穀するコンバインの脱穀装置において、上記扱胴を、刈取穀稈搬送の上流側を小径、下流側を大径とした略円錐台形状に形成し、同扱胴の軸芯を、刈取穀稈搬送の上流側を低位置、下流側を高位置とした傾斜状態に軸支して、扱胴の外周面下部を、同扱胴を収容した扱室の内底面を形成するクリンプ網と略平行に配置したことを特徴とするコンバインの脱穀装置を提供せんとするものである。
【0007】また、次のような特徴を併せ有するものである。
【0008】上記扱胴の外周面に多数の扱歯を扱胴の軸芯に直角に植設したこと。
【0009】刈取穀稈の株元部をフィードチエンで把持して搬送しながら、穂先部の穀粒を扱胴に植設した多数の扱歯で脱穀するコンバインの脱穀装置において、フィードチエンの上流側を扱胴の軸芯よりも低位置、下流側を同軸芯よりも高位置として配置したこと。
【0010】扱胴の下流側に、脱穀物を再度脱穀処理を行うための処理胴を配置したコンバインの脱穀装置において、上記処理胴の軸芯を脱穀物搬送の上流側を低位置、下流側を高位置とした傾斜状態に軸支したこと。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は、外周面に多数の扱歯を扱胴の軸芯に直角に植設した扱胴を、刈取穀稈搬送の上流側を小径、下流側を大径とした略円錐台形状に形成し、同扱胴の軸芯を刈取穀稈搬送の上流側を低位置、下流側を高位置とした傾斜状態に軸支して、扱胴の外周面下部と扱室の内底面を構成するクリンプ網とが略平行になるようにして、上流側から下流側に向かって次第に扱室の断面積が大きくなって、脱穀物の流動・排出が円滑に行えるようにしている。
【0012】また、フィードチエンを上流側を扱胴の軸芯よりも低位置、下流側を同軸芯よりも高位置として架設し、扱深さが最初は浅く次第に深くなるようにして、刈取穀稈の扱室内部への取込みと穀稈の流れとを良くし、しかも、扱ぎ残り無いようにしている。
【0013】また、脱穀物を再度脱穀処理する処理胴を、上流側を低位置、下流側を高位置とした傾斜状態に軸支して、同処理胴下方の空間を下流側に行くに従って広げることで、唐箕からの選別風の通りを良くして、穀粒と藁屑との分離を良好にしている。
【0014】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0015】図1は、本発明に係る脱穀装置Aを具備するコンバインBを示しており、同コンバインBは、クローラ式の走行部1の上方に、略水平に枠状の車体フレーム2を配設し、同車体フレーム2の上方にキャビン3、脱穀装置A、揺動選別部4、原動機部5、グレンタンク6、排藁処理部7等を装備した車体Cを載設し、同車体Cの前方に刈取部8を昇降自在に連結している。
【0016】そして、原動機部5からの動力をミッションケース9を介し走行部1に伝達して圃場を走行しながら、刈取部8の下方に配設した刈刃装置10で穀稈を刈取り、刈取った穀稈を穀稈搬送装置11で脱穀装置Aに搬送し、脱穀装置Aで脱穀処理して穀粒を揺動選別部4で選別し、選別された精穀をグレンタンク6に移送して一時貯溜し、脱穀後の排藁や揺動選別部4からの排塵を排藁処理部7を介して機外に排出するようにしている。図中、12は上記グレンタンク6中に一時貯溜した精穀をトラック等に移送するための排出オーガである。
【0017】脱穀装置Aは、扱胴20と、同扱胴20を収容した扱室21とで構成されている。
【0018】扱胴20は、図1〜図3で示すように、前側、即ち、刈取穀稈搬送の上流側を小径に、後側、即ち、刈取穀稈搬送の下流側を大径とした略円錐台形状に形成されており、同扱胴20の外周面下部22が略水平になるように、軸芯23を角度θだけ前低後高に傾斜させて軸支している。
【0019】扱胴20の外周面には、多数の扱歯24を植設しており、同扱歯24は、図2で示すように、扱胴20の外周面に軸芯23と平行の円筒面25を階段状に複数形成し、同円筒面25に対して直角に多数の扱歯24を植設して、各扱歯24を軸芯23に直交させている。即ち、軸芯23と平行の円筒面25に各扱歯24の基部を直角に挿通し、同基部に形成したフランジ26と扱歯24の基部に螺着したナット27との締結により、扱歯24を扱胴20の外周面に固定している。
【0020】このように扱歯24を軸芯23に直交させたことで、刈取穀稈と扱歯24の運動軌跡とが平行になり、稈切れを防止して徒に脱穀物が増加するのを防止することができ、更に、扱胴20の外側面にリング状の円筒面25を複数形成しているので、リブ効果により扱胴20の強度及び剛性を高めることができる。
【0021】上記扱胴20の下方には、扱室21をの内底面を構成するクリンプ網28を、略水平に張設しており、このようにしたことで、扱胴20の外周面と、多数の扱歯24の先端を連ねた線と、クリンプ網28とが略平行に配置されたことになる。
【0022】上記のように、扱胴20が後側を大径とした略円錐台形状であるから、側面視において扱胴20外周面とクリンプ網28との間隔が前後等しくても、脱穀物流動のための断面積が後側になるに従って拡大することになり、脱穀物の扱室21内の流動・排出を円滑にすることができる。
【0023】図4は、フィードチエン30の配置状態を示しており、同フィードチエン30は、前後プーリ31,32 、駆動プーリ33及びアイドルプーリ34の外周に無端状のフィードチエン30を巻回しており、前後プーリ31,32 間のフィードチエン30の上面と、同フィードチエン30の上方に所定間隔を設けて配置した挟扼杆(図示せず)との間に、刈取穀稈の株元を把持し、穂先を扱室21内部の扱胴20に接触させた状態で、前側から後側に向かって搬送するようにしている。
【0024】特に、本実施例では、側面視において、上記フィードチエン30の上部上面と扱胴20前端部とが交差する位置を軸芯23よりも高低差h1だけ低位置とし、上部上面と扱胴20後端部とが交差する位置を軸芯23よりも高低差h2だけ高位置とした前傾状態に設置して、穂先の扱室21内部への導入を良好にし、更に、扱深さが最初は浅く終了時には深くなるので、脱穀処理に要する動力が軽減し、穂切れを防止することができる。
【0025】図5は、穀粒混じりの脱穀物を再度脱穀処理する処理胴40の配置状態を示しており、本実施例では、略円筒状に形成し、外周面に螺旋41を形成した処理胴40の軸芯42を前低後高の傾斜状態に設置して、同処理胴40の下方を通過する唐箕43からの選別風44の通りを良好にして、処理胴40で処理した穀粒と藁屑との分離及び藁屑の排出を良好にしている。
【0026】即ち、唐箕43からの選別風44は、揺動選別部4のフィードパン45の下方を通過し、チャフシーブ46の隙間を通過して処理胴40の下方を後方向に流れる際に、処理胴40からの排出物を穀粒と藁屑とに分離するのであるが、処理胴40の後部が高位置にあって選別風44が通過する空間が次第に広くなり、選別風44の通りが良好になる。
【0027】なお、本発明のフィードチエン30及び処理胴40の配置は、上述した略円錐台形状の扱胴20を具備する脱穀装置Aに限らず、略円筒形状の扱胴を具備する従来の脱穀装置にも適用することができる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば次のような効果を得ることができる。
【0029】請求項1記載の発明では、刈取穀稈の株元部をフィードチエンで把持して搬送しながら、穂先部の穀粒を扱胴に植設した多数の扱歯で脱穀するコンバインの脱穀装置において、上記扱胴を、刈取穀稈搬送の上流側を小径、下流側を大径とした略円錐台形状に形成し、同扱胴の軸芯を、刈取穀稈搬送の上流側を低位置、下流側を高位置とした傾斜状態に軸支して、扱胴の外周面下部を、同扱胴を収容した扱室の内底面を形成するクリンプ網と略平行に配置したことによって、脱穀物流動のための断面積が上流側から下流側に向かって、次第に拡大することになり、扱室内部における脱穀物の流動と、扱室からの排出を円滑にすることができる。
【0030】請求項2記載の発明では、上記扱胴の外周面に多数の扱歯を扱胴の軸芯に直角に植設したことによって、刈取穀稈と扱歯の運動軌跡が略平行になり、稈切れを防止して、徒に脱穀物が増加するのを防止することができる。
【0031】請求項3記載の発明では、刈取穀稈の株元部をフィードチエンで把持して搬送しながら、穂先部の穀粒を扱胴に植設した多数の扱歯で脱穀するコンバインの脱穀装置において、フィードチエンの上流側を扱胴の軸芯よりも低位置、下流側を同軸芯よりも高位置として配置したことによって、刈取穀稈穂先の扱室内部への導入を良好にし、更に、扱深さが最初は浅く終了時には深くなるので、脱穀処理に要する動力が軽減し、穂切れを防止することができる。
【0032】請求項4記載の発明では、扱胴の下流側に、脱穀物を再度脱穀処理を行うための処理胴を配置したコンバインの脱穀装置において、上記処理胴の軸芯を脱穀物搬送の上流側を低位置、下流側を高位置とした傾斜状態に軸支したことによって、処理胴後部下方の空間が拡大し、唐箕からの選別風の通りが良好になり、処理胴で処理した穀粒と藁屑との混合物の分離と、藁屑の排出とを良好にすることができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開平11−262318
【公開日】 平成11年(1999)9月28日
【出願番号】 特願平10−67050