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【発明の名称】 脱穀機における扱胴
【発明者】 【氏名】中島 茂

【氏名】川村 芳弘

【氏名】木村 敦

【要約】 【課題】脱穀性能が低下することなく脱穀負荷が小さくなる扱胴を提供することを課題としている。

【解決手段】分割形成された扱胴2の前方側の第1扱胴6と後方側の第2扱胴7とを、第1扱胴6の扱歯3a先端の周速V1が単胴型の扱胴を基準とした所定の基準周速Vより小さくなるように、第2扱胴7の扱歯3b先端の周速V2が上記所定の基準周速Vより大きくなるように駆動した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扱室(1)内に軸支された扱胴(2)を前後に分割形成し、前方側の第1扱胴(6)と後方側の第2扱胴(7)とを、各扱胴(6),(7)に突設された扱歯(3a),(3b)先端の周速(V1),(V2)が異なるように回転駆動した脱穀機において、第1扱胴(6)と第2扱胴(7)とを同一の周速で回転させた場合の脱穀に対する仕事量と、扱歯先端の周速が上記周速と同一となるように回転させた場合の脱穀に対する仕事量が略同一である単胴型の扱胴の脱穀時にかかる負荷が許容最大量以下となる最大の周速を基準周速(V)として、上記第1扱胴(6)を周速(V1)が前記基準周速(V)より小さくなるように駆動されるものとし、第2扱胴(7)を周速(V2)が前記基準周速(V)より大きくなるように駆動されるものとした脱穀機における扱胴。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はコンバインやハーベスタ等に設けられた脱穀機の扱胴に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】一般的にコンバインやハーベスタ等に設けられた脱穀機の扱室内には、回転駆動されることにより脱穀及び脱穀と同時に発生する穂切れやわら屑等を処理する扱胴が軸支されている。このとき扱胴は周面に上記作業を行う扱歯が突設されており、穂切れ,わら屑等を持ち回り細分処理するためには前述の扱歯先端の周速をできるだけ大きくすることが望ましいが、この周速の増加に伴って始端部での脱粒量が増加するので、わら屑等の発生や損傷粒の発生が増加し、脱穀時の負荷が増大するという問題点があった。
【0003】このため従来扱胴は、扱胴の脱穀時にかかる負荷が許容最大量以下となり、脱穀時の負荷の低減と細分処理の性能をともに妥協するような周速で回転駆動されており、脱穀時の負荷がより低く、且つ脱穀性能(細分処理性能)がより高くなる扱胴が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するための本発明の脱穀機における扱胴は、扱室1内に軸支された扱胴2を前後に分割形成し、前方側の第1扱胴6と後方側の第2扱胴7とを、各扱胴6,7に突設された扱歯3a,3b先端の周速V1,V2が異なるように回転駆動した脱穀機において、第1扱胴6と第2扱胴7とを同一の周速で回転させた場合の脱穀に対する仕事量と、扱歯先端の周速が上記周速と同一となるように回転させた場合の脱穀に対する仕事量が略同一である単胴型の扱胴の脱穀時にかかる負荷が許容最大量以下となる最大の周速を基準周速Vとして、上記第1扱胴6を周速V1が前記基準周速Vより小さくなるように駆動されるものとし、第2扱胴7を周速V2が前記基準周速Vより大きくなるように駆動されるものとしたことを特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】図1,図2は本発明の扱胴を応用したコンバインの脱穀機の要部断面図及び扱胴及びフィードチェーンの伝動系統図であり、従来同様脱穀機における扱室1内には、回転駆動されることにより脱穀及び脱穀と同時に発生する穂切れやわら屑等を処理する扱胴2が前後方向に軸支されているとともに、該扱胴2の外周面に複数の扱歯3が突設されており、また脱穀機の外側方には刈取穀稈を上記扱胴2に送り込むべく扱室1に沿って搬送するフィードチェーン4が設けられている。
【0006】このとき前記扱胴2は従来同様前後方向に同心で配置された前方側の第1扱胴6と後方側の第2扱胴7とにより構成されているとともに、第1扱胴6が第1扱胴軸8に、第2扱胴7が第2扱胴軸9にそれぞれ軸支されているが、第2扱胴軸9は中間部分が両端部分に比較して大径な筒状の筒軸9aにて構成されており、同じく筒状の筒軸にて構成されている第1扱胴軸8に同心で前方側が挿通されいる。
【0007】そして上記第2扱胴軸9の前端部がベアリング11を介して第1扱胴軸8に、後端部が扱室1の後壁1aにベアリング12を介してそれぞれ回転自在に支持されているとともに、第1扱胴軸8の前端部が扱室1の前壁1bに固定された伝動ケース13に、後端部が第2扱胴軸9の筒軸9aにベアリング14,16を介してそれぞれ回転自在に支持されており、これにより第1扱胴6と第2扱胴7とが同心に軸支されている。
【0008】一方上記伝動ケース13側には突出端に入力プーリ17が設けられている入力軸18が回転自在に突設されているが、該入力軸18が伝動ケース13内において傘歯車19を介して中間軸21に連接されているとともに、該中間軸21には一体回転するように駆動大スプロケット22及び該駆動大スプロケット22より小径な駆動小スプロケット23が取り付けられており、且つ上記駆動大スプロケット22が第2扱胴軸9に回転自在に軸支された従動小スプロケット24に、駆動小スプロケット23が第1扱胴軸8に一体回転するように軸支された従動大スプロケット26にそれぞれチェーン27,28を介して連動連結されている。
【0009】そして上記従動小スプロケット24と従動大スプロケット26の対向面にはクラッチ爪が設けられているとともに、第2扱胴軸9における両スプロケット24,26間には爪クラッチ29が摺動自在にスプライン嵌合されており、該爪クラッチ29を従動小スプロケット24のクラッチ爪に噛合させると従動小スプロケット24を介して、従動大スプロケット26のクラッチ爪に噛合させると従動大スプロケット26を介して入力プーリ17により入力軸18に入力される駆動力が第2扱胴軸9に伝動されて第2扱胴7が回転駆動される。
【0010】このとき従動大スプロケット26が第1扱胴軸8と一体回転する構造となっているため、従動大スプロケット26経由で第2扱胴7を回転駆動せしめると第1扱胴6と第2扱胴7は一体的に回転駆動され、また従動小スプロケット24経由で第2扱胴7を回転駆動せしめると、第1扱胴6が従動大スプロケット26によって回転駆動させられ且つ第1扱胴6とは独立して第2扱胴7が従動小スプロケット24によって回転駆動せしめられる。
【0011】なお第2扱胴7を従動小スプロケット24経由で(第1扱胴6から独立して)回転せしめると、従動大スプロケット26経由で(第1扱胴6と一体的に)回転せしめる場合に比較して高速回転となるように、駆動大スプロケット22,従動小スプロケット24,駆動小スプロケット23,従動大スプロケット26の歯数(変速比)が設定されている。つまり第2扱胴7を従動小スプロケット24経由で回転させると、第2扱胴7が第1扱胴6より高回転数で回転駆動され、第2扱胴の扱歯3bの先端の周速V2が、第1扱胴6の扱歯3aの先端の周速V1より高速となる。
【0012】また第2扱胴7を従動小スプロケット24経由で回転せしめる場合、第1扱胴6と第2扱胴7とを同一の回転数(扱歯3a及び3bの先端の周速V1とV2が同一となる)で回転させたときの脱穀に対する仕事量と、扱歯先端の周速が上記周速V1及びV2と同一となるように回転させた場合の脱穀に対する仕事量が略同一である単胴型の扱胴の脱穀時にかかる負荷が許容最大量以下となる最大の周速を基準周速Vとすると、V1<V,V2>Vとなるようにも設定されている。
【0013】そして第1扱胴6の軸心方向の長さをL1,第2扱胴7の軸心方向の長さをL2とし、L1+L2=L(第1扱胴6の軸心方向の長さと第2扱胴7の軸心方向の長さとの和)とすると、図3に示されるようにL1/L=0.2のとき1.08V≦V2≦1.2V,L1/L=0.5のとき1.2V≦V2≦1.5Vを満たすように、第2扱胴7の回転数(第2扱胴7の周速V2)が両扱胴6,7の軸心方向の長さの和Lに対する第1扱胴6の軸心方向の長さL1の比に比例して増加するように構成されている。
【0014】このとき本実施形態では上記基準周速Vが13〜14m/sであり、第1扱胴6の扱歯先端の周速V1がVの0.7〜0.95倍(9.1≦V1≦13.3m/sで、第1扱胴6の回転数が約320〜440rpm)、第2扱胴7の扱歯先端の周速V2がVの1.08〜1.5倍(14.4≦V2≦21m/sで、第2扱胴の回転数が約500〜740rpm)となるように設定されており、実用上0.2≦L1/L≦0.8で使用される。また周速差率(V2/V1)は、前記駆動小スプロケット23と従動大スプロケット26の歯数比及び駆動大スプロケット22と従動小スプロケット24の歯数比を選択により変更することで設定することが可能となるように構成されている。
【0015】これにより脱穀時は、まず比較的(基準周速Vに比較して)低速に回転駆動される第1扱胴6によって脱粒が行われるが、第1扱胴6(扱歯3a先端)の周速V1が上記のように比較的低いため第1扱胴6の全長ほぼ全体で脱粒が行われ、その結果比較的低い負荷で脱穀作業が行われるとともに、わら屑等の発生及び損傷粒の発生が減少する。
【0016】そしてその後第2扱胴7によって第1扱胴6の脱穀(脱粒)により発生するわら屑や穂切れ等の処理が行われるが、第2扱胴7は前述のように第1扱胴6の長さに比例して高速に回転させられるため、上記わら屑や穂切れ等の処理に十分な処理性能を有し、これらのわら屑や穂切れ等を容易且つより確実に処理し、つまり上記構造の扱胴2によって脱穀性能が低下することなく脱穀負荷が減少する。なお第1扱胴6を370rpm,第2扱胴7を580rpm回転させると、比較的効果が高いということが実験されている。
【0017】一方前記第2扱胴軸9の後端に取り付けたスプロケット31は、ギヤケース32,カウンタシャフト33,チェーン34,スプロケット36,37及びフィードチェーン駆動軸38を介して前記フィードチェーン4を駆動するように構成されており、上記構造によりフィードチェーン4の駆動速度は第2扱胴7の速度に依存し、第2扱胴7の処理性能に応じたフィードチェーン4の速度を得ることができるように構成されている。
【0018】
【発明の効果】以上のように構成される本発明の構造によれば、基準周速に比較して第1扱胴の周速が低速且つ第2扱胴の周速が高速であるため、第1扱胴は全長のほぼ全体で脱粒を行ない、その結果比較的低い負荷で脱穀作業を行うことができるとともに、わら屑等の発生及び損傷粒の発生が減少し、また第2扱胴は第1扱胴の脱穀により発生するわら屑や穂切れ等の処理を行うに十分な処理性能を有し、脱穀性能を低下させることなく脱穀負荷を減少させることができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
【公開番号】 特開平11−206237
【公開日】 平成11年(1999)8月3日
【出願番号】 特願平10−29271