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【発明の名称】 脱穀装置
【発明者】 【氏名】田中 祐二

【氏名】仲谷 章一

【氏名】水本 雅也

【氏名】柏野 信三

【氏名】瀬川 卓二

【氏名】文野 裕一

【要約】 【課題】受網からの穀粒の漏下率を上げる。

【解決手段】受網19と、扱胴17の扱歯28の先端回転軌跡Rとの間隔がその受網19の全周長にわたってほぼ同一になるように、受網19をほぼ全周長にわたって扱胴17の周方向に沿う円弧状に形成し、さらに、受網19を周方向に3分割以上の複数に分割してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 受網と、扱胴の扱歯の先端回転軌跡との間隔がその受網の全周長にわたってほぼ同一になるように、前記受網をほぼ全周長にわたって扱胴の周方向に沿う円弧状に形成し、さらに、前記受網を周方向に3分割以上の複数に分割してある脱穀装置。
【請求項2】 左右の側板のうち機体の最外側がわの側板を開閉自在に構成し、この側板の開放により形成される開放空間側の第1分割受網を、受網支持部に対して前記開放空間側から着脱自在に構成し、前記第1分割受網を前記受網支持部から取り外した状態で、他の分割受網を前記開放空間側からそれらの収容空間側に受網ガイドを介して挿抜自在に構成してある請求項1記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脱穀装置に関する。
【0002】
【従来の技術】脱穀装置には、特開平9‐187151号公報の図面の図2に開示されているように、扱胴の周方向に沿う状態に形成した受網を周方向で2分割したものがあり、例えば前記公報の図面の図2における紙面左側の分割受網8Aを第1,第2受網支持部12,16に装着する場合、天板1aを開放しておいて、分割受網8Aを、扱胴3の軸芯方向視で前記分割受網8Aとほぼ同一形状の受網ガイド側に上から押し込んで前記受網ガイド上をスライド移動させ、その分割端部側の連結板を下側の受網支持部16に取付け、別の第3の受網支持部14に一端部を取り付けた紙面右側の分割受網8Bの分割端部に、前記分割受網8Aの分割端部を突き合わせ連結し、さらに、前記第2受網支持部12に分割端部とは反対側の端部を連結している。
【0003】この場合、各分割受網と受網ガイドとが全周長にわたって円弧状に形成してあると、分割受網を受網支持部に取付けるに当たり、分割受網の下側の分割端部を受網ガイドの上端側のガイド面に当て付けるとともに、分割受網を上側の扱胴部分の周方向に沿う姿勢にした状態で、扱胴の周方向に沿う力を加えてスライド移動させ始めなければならず、スライド移動に当たって分割受網をこのような姿勢するのは、分割受網の上側の端部(分割端部とは反対側の端部)が別の分割受網の収容空間側まで周り込むようになることからほとんど不可能である。
【0004】そこで従来では、前記公開公報に開示されているように、(両分割受網を連結した状態の)受網を、扱胴の周方向に沿う円弧状の受網部分と、周方向における両端側の、上下方向に沿う受網部分とから成るU字状に形成して、分割受網の受網支持部側へのスライド移動に当たっては、分割受網を上側の扱胴部分の周方向に沿う姿勢にするとともに、その下側の分割端部を、上下方向に沿うガイド部分と円弧状の受網ガイド部分との境界部分のガイド面に当て付けた状態、すなわち、分割受網の上側の端部を、扱胴の周方向でできるだけ扱胴の頂点に対応する側に近づけた状態にして、この状態からスライド移動を開始できるようにしてあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の構成によれば、受網の周方向における両端側の上下方向に沿う受網部分と扱歯の先端回転軌跡との間隔が広くなり、扱歯が処理物を受網側に押さえつける力が弱くなって穀粒の漏下率が低下するという問題があった。
【0006】本発明の目的は受網からの穀粒の漏下率を上げる点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1による発明の構成・作用・効果は次の通りである。
【0008】〔構成〕受網をほぼ全周長にわたって扱胴の周方向に沿う円弧状に形成するとともに、周方向に3分割以上の複数に分割してある。
【0009】〔作用〕
〔イ〕例えば天板を開放して、分割受網を、扱胴の軸芯方向視で分割受網とほぼ同一形状の受網ガイド側に、上から押し込んで受網ガイド上をスライド移動させてから、その連結部を受網支持部に取付ける構造のものでは、分割受網を受網支持部に取付けるに当たり、分割受網の下側の分割端部を受網ガイドの上端側のガイド面に当て付けるとともに、分割受網を上側の扱胴部分の周方向に沿う姿勢にした状態で、扱胴の周方向に沿う力を加えてスライド移動させ始めることになるが、請求項1の構成によれば受網を周方向に3分割以上の複数に分割してあるから、分割受網の下側の分割端部を受網ガイドの上端側のガイド面に当て付けた状態で、その分割受網の上側の端部が上側の開放空間側に表れ、例えば2分割構造のもののように、分割受網の上側の端部(分割端部とは反対側の端部)が別の分割受網の収容空間側まで周り込むといったようなことがなくなる。
【0010】なお、受網を4分割以上した分割構造のものでは、分割受網の数が多くなって、各分割受網の受網支持部への取付け作業に手間がかかるとともに、製作及び管理にも手間がかかるが、3分割の構造にすると、前記取付け作業に手間がかかることがなく、製作及び管理の面でも有利である。
【0011】〔ロ〕そして、受網をほぼ全周長にわたって扱胴の周方向に沿う円弧状に形成してあるから、受網と扱歯の先端回転軌跡との間隔が全周長にわたってほぼ一定になり、従来のように、扱歯が処理物を受網側に押さえつける力が受網の周方向両端側で弱くなるという不具合を回避できる。
【0012】〔効果〕従って、扱歯が処理物を受網側に押さえつける力を受網の全体にわたって強くすることができて、受網からの穀粒の漏下率を上げることができた。なお、受網を3分割構造に構成した場合は製作コスト及び管理コストを低廉化できる。
【0013】請求項2による発明の構成・作用・効果は次の通りである。
【0014】〔構成〕左右の側板のうち機体の最外側がわの側板を開閉自在に構成し、この側板の開放により形成される開放空間側の第1分割受網を、受網支持部に対して前記開放空間側から着脱自在に構成し、前記第1分割受網を前記受網支持部から取り外した状態で、他の分割受網を前記開放空間側からそれらの収容空間側に受網ガイドを介して挿抜自在に構成してある。
【0015】〔作用〕
〔ハ〕受網を装着する場合、前記側板を開放し、その開放により形成される開放空間側から、前記他の分割受網をそれらの収容空間側に受網ガイドを介して挿入し、その後に前記開放空間側の第1分割受網を受網支持部に支持させる。メンテンスのために受網を取外す場合は、側板を開放して第1分割受網を受網支持部から取外し、前記他の分割受網を、受網ガイドにガイドさせながら前記開放空間側に引き抜く。
【0016】つまり各分割受網を、側板の開放により形成される開放空間側からそれらの支持部に着脱できるので、例えば天板を開放して形成される上側の開放空間側からそれらを着脱する場合に比べると、作業者が脱穀装置の上側の高い箇所まで登らなくてもよくなる。
【0017】従来の技術のように、一方の分割受網を機体の側面側から、他方の分割受網を、天板を開放して機体の上方側から装着するといったように、各分割受網を異なる箇所から装着する構造のものでは、作業者は一つの分割受網の装着が終わったら、別の分割受網に対応した箇所まで移動しなけばならないが、請求項2の構成では、前記開放空間側の1か所から全ての分割受網を装着するので、上記のような移動が不要になる。
【0018】〔ニ〕そして、受網を全周長にわたって扱胴の周方向に沿う円弧状に形成してあるから、上記作用〔ロ〕と同様の作用を奏することができる。
【0019】〔効果〕従って、扱歯が処理物を受網側に押さえつける力を受網の全体にわたって強くすることができて、受網からの穀粒の漏下率を上げることができ、しかもメンテナンス性を向上させることができた。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に全稈投入型のコンバインを示している。この全稈投入型のコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1に支持させた走行機体2に脱穀装置3を搭載し、刈取前処理部4と刈取り穀稈搬送用のフィーダー5とを一体に連結した状態で、フィーダー5の後端部を走行機体2に横軸芯O周りに揺動自在に支持させ、運転座席6を備えたキャビン7をフィーダー5の右外方に位置する状態に走行機体2に配備し、フィーダー5の右外方からキャビン7の後部側の下方にわたって原動部としてのエンジン8を配備し、脱穀装置3の右外方でキャビン7の後方にグレンタンク9を配設し、脱穀装置3の後方に、ワラ屑を切断して機外に排出するチョッパー51と排塵ファン58を設けて構成してある。
【0021】前記刈取前処理部4は、植立穀稈を引起こしながら機体後方に掻込むリール10と、掻込まれた穀稈を刈取るバリカン型刈取装置11と、刈取った穀稈を刈り幅の一箇所に集めるオーガー13とを設けて構成し、前記フィーダー5はオーガー13で集めた穀稈を脱穀装置に搬送するコンベア14をカバー15で覆って構成してある。
【0022】図2に示すように前記脱穀装置3は、フィーダー5の終端に連通した扱室16に前後方向で水平に扱胴17を軸支し、扱室16の下方に選別部18を配置し、扱室16から選別部18に処理物を漏下供給する受網19を設けた構造となっている。前記扱胴17は、円筒ドラム45の外周面に螺旋状扱歯44を設けるとともに、螺旋状扱歯44に独立扱歯28を周方向に所定間隔おきに取付けて構成しれてある。選別部18には、揺動選別ケース20・主唐箕21・副唐箕39・1番物回収用スクリューコンベア22・2番物回収用スクリューコンベア23・2番物用唐箕38を設け、受網19から漏下供給される脱穀処理物を揺動選別ケース20により後方に揺動移送しながら篩い選別および風選別処理し、穀粒を1番物回収用スクリューコンベア22からバケットコンベア40(図1参照)を介してグレンタンク9に揚送するよう構成し、選別不十分な2番物を2番物回収用スクリューコンベア23から還元装置24を介して揺動選別ケース20に戻すよう構成してある。
【0023】図3に示すように、前記受網19と、扱胴17の扱歯28の先端回転軌跡Rとの間隔がその受網19の全周長にわたってほぼ同一になるように、受網19を全周長にわたって扱胴17の周方向に沿う円弧状に形成し、さらに、受網19を周方向に3分割してある。
【0024】そして図3,図4に示すように、左右の側板26,27のうち機体の最外側がわの左側板26を上側の前後方向に沿う軸芯P周りに揺動開閉自在に構成するとともに、開放状態に保持するガスシリンダ(図示せず)設け、この左側板26の開放により形成される開放空間S側の第1分割受網19Aの上端部を、受網支持部としての脱穀ケース33の左上部支持板29に、前記開放空間S側からつまみ付きのボルト25を介して着脱自在に構成し、第1分割受網19Aを左上部支持板29から取り外した状態で、他の第2及び第3分割受網19B,19Cを開放空間S側からそれらの収容空間側に受網ガイド30を介して挿抜自在に構成してある。
【0025】前記第1,第2,第3分割受網19A,19B,19Cは次のようにして脱穀ケース33に装着する。つまり、第3分割受網19Cと第2分割受網19Bとに設けた複数のローラ36が受網ガイド30上を転動するように、両分割受網19C,19Bを前記収容空間側に挿入する(図6参照)。受網ガイド30は、第3分割受網19Cに対応するガイド部分30Aを円弧状に、第2分割受網19Bに対応するガイド部分30Bを、2箇所で「く」の字状に折曲した折曲板状に形成したものになっている。
【0026】第3分割受網19Cと第2分割受網19Bとには、周方向の一端部(挿入方向で先端側)に複数のピン31を突設してあり、この第3分割受網19Cのピン31を、脱穀ケース33の右上部支持板35に形成した複数のピン孔に各別に挿通させて、前記一端部を右上部支持板35に当接させ、図5に示すように、第2分割受網19Bの複数のピン31を、第3分割受網19Cの他端部に形成した複数のピン孔に各別に挿通させて、前記第2分割受網19Bの一端部を第3分割受網19Cの前記他端部に当接させる。そして、第1分割受網19Aの周方向の一端部に突設した複数のピン31を、第2分割受網19Bの他端部に形成した複数のピン孔34に挿通させ、第1分割受網19Aの一端部を第2分割受網19Bの前記他端部に当接させるとともに、第1及び第2分割受網19A,19Bに設けた第1連結板32同士をそれらの周方向で重合してつまみ付きのボルト25で連結し(図3参照)、第1分割受網19Aの他端部に設けた第2連結板42を左上部支持板29につまみ付きのボルト25で連結する。
【0027】図3,図5に示すように、上記の装着状態では前記ローラ36が前記円弧状のガイド部分30Aと当接することなく、第3分割受網19Cの円弧状の縦枠43の背部がガイド部分30Aに当接する状態に、前記ガイド部分30Aの上端部と右上部支持板35との間隔を空けるとともに、前記ガイド部分30Aの下端部を扱胴17の径方向外方側に少しそらしてある。
【0028】〔別実施形態〕本発明は、開閉自在に構成した天板を開放した状態で、各分割受網を受網ガイド側に上方から装着するよう構成したものにも適用できる。
【0029】受網19は4分割以上の複数に分割してあってもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)12月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−155347
【公開日】 平成11年(1999)6月15日
【出願番号】 特願平9−332651