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【発明の名称】 切断排藁の拡散装置
【発明者】 【氏名】西浦 雅仁

【氏名】相坂 衛

【要約】 【課題】中・大型のコンバインにおいては、排藁切断装置の幅は機体の全幅よりも短く、未刈り側に偏って配置されているので、既刈り側には切断藁が放出されない部分ができていた。

【解決手段】コンバインの後部に排藁切断装置Cを配置した構成において、エンジンEの排気口に排気パイプ22を連通し、該排気パイプ22を後方に延設し、該排気パイプ22の後端をマフラー23と接続し、該マフラー23の吐出口に吐出管25を連通し、該吐出管25の吐出口を排藁切断装置の穂先側下方に向けて位置させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンバインの後部に排藁切断装置を配置した構成において、エンジンの排気口に排気パイプを連通し、該排気パイプを後方に延設し、該排気パイプの後端をマフラーと接続し、該マフラーの吐出口に吐出管を連通し、該吐出管の吐出口を排藁切断装置の穂先側下方に向けて位置させたことを特徴とする切断排藁の拡散装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの後部に配設する排藁切断装置の下方に設ける切断藁の拡散装置、特に、5条刈り以上の中・大型のコンバインの切断藁の拡散装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からコンバインの後部に排藁切断装置を装着して、脱穀後の排藁を切断処理し、圃場上に放出することは行われており、従来の排藁切断装置においては、切断藁が一か所に筋状にかたまって放出されないようにしたり、未刈り側に排藁が放出されないように、切断刃の下方にスパイラが配設されていた。つまり、一か所に筋状にかたまって放出されると、排藁は腐り難くなり田植えのときに浮き藁が多くなり植付時の邪魔になったり、筋状に養分が多くなって作物の収穫にバラツキが生じたりする。また、未刈り側に排藁が放出されると、次の刈取工程で排藁が分草板や搬送装置に詰まったり、刈刃部分に排藁が堆積して切断性能が低下することがあった。
【0003】そこで、切断刃(ディスクカッター)の下方に、切断刃の回転軸と平行にスパイラを配置し、未刈り側から既刈り側へ切断藁を搬送しながら放出して、圃場上には拡散して放出されるようにしていたのである。例えば、実開昭61−100951号や実公平6−39562号の技術である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実開昭61−100951号の技術はスパイラによって既刈り側へ切断藁を搬送するだけで、拡散性は劣っていた。また、実公平6−39562号の技術は排藁切断装置の幅内においては拡散して放出されるのであるが、中・大型のコンバインにおいては、排藁切断装置の幅は機体の全幅よりも短く、未刈り側に偏って配置されているので、既刈り側には切断藁が放出されない部分ができてしまうのである。そこで、本発明はエンジンからの排気を利用して既刈り側にも切断藁が放出されて機体幅全体にわたり切断藁が拡散するようにするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。即ち、コンバインの後部に排藁切断装置を配置した構成において、エンジンの排気口に排気パイプを連通し、該排気パイプを後方に延設し、該排気パイプの後端をマフラーと接続し、該マフラーの吐出口に吐出管を連通し、該吐出管の吐出口を排藁切断装置の穂先側下方に向けて位置させたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明する。図1はコンバインの全体側面図、図2は排藁切断装置の側面図、図3は同じく平面図、図4は同じく後面図である。
【0007】図1において6条刈りのコンバインの全体構成から説明する。コンバインはクローラー式走行装置1上に機体フレーム2を載置し、該機体フレーム2の前部に刈取・引き起し装置Aが配置され、その後部に搬送装置Bを配置して、分草板3によって分草した穀稈を刈取・引き起し装置Aによって引き起し、刈刃4によって株元を刈り取り、搬送装置Bによって後方へ搬送して、フィードチェーン7に受け渡し脱穀装置Dに搬送し、脱穀装置Dの扱胴の回転によって脱粒し、脱粒後の穀粒は脱穀装置D下方に配置した揺動選別装置によって選別されて、精粒は脱穀装置D右側に配置したグレンタンク5に貯留する。該グレンタンク5の前方にはキャビン20が配設されて運転部を覆い、この運転部の座席下方にエンジンEが配置されている。
【0008】前記脱穀装置Dによって脱粒された後の排藁は、フィードチェーン7からその後部に配置した排藁チェーン9に受け継がれて後方に搬送される。該排藁チェーン9の前下方には排塵ファン21が配設され(図2)、選別装置によって選別後の塵や埃や藁屑等を吸引して下部後方へ排出するようにしている。また、前記排藁チェーン9の後下方には排藁切断装置Cが配設され、該排藁切断装置Cは左右方向に平行に横架した回転軸上にディスク刃を設け、その下方にスパイラを配置している。
【0009】即ち、図2、図3、図4に示すように、前記カッター装置Cの側板6L・6Rに上から低速回転軸10、高速回転軸11、スパイラ軸12が順次平行に回転自在に横架され、該低速回転軸10、高速回転軸11、スパイラ軸12の一端は前記側板6より外側に突出して、低速回転軸10上には入力プーリーを固設して、エンジンからの動力をベルトを介して伝え、更に歯車を介して高速回転軸11に伝えている。また、低速回転軸10又は高速回転軸11よりベルトまたはチェーンを介してスパイラ軸12に動力を伝えている。
【0010】また、前記低速回転軸10上にはディスク状の低速回転刃が一定間隔をおいて固定され、高速回転軸11上にもディスク状の高速回転刃が一定間隔をおいて固定されて、前記低速回転刃と高速回転刃は交互に配設されている。その低速回転刃と高速回転刃の間に搬送された排藁が低速回転刃と高速回転刃によって切断されて、回転刃の間隔に合わせた長さに切断されるのである。
【0011】そして、前記スパイラ軸12上にはスクリュー羽根13・14が直列に固定され、株元側のスクリュー羽根13は径方向の長さが、穂先側のスクリュー羽根14より小さく構成している。つまり、排藁は中央部から穂先部のボリュームが株元部よりも大きいので、中央部から穂先側の切断藁をより多く搬送できるように径を大きくしている。
【0012】そして、前記株元側(左側)の側板6Lの下端には排藁ガイド15の上端が左右回動可能に支持され、出荷時にコンバインの刈取条数に合わせて回動固定される。つまり、6条刈りのコンバインの場合には15の位置に、5条刈りのコンバインの場合には15’の位置に、7条刈りのコンバイン場合には15”の位置にそれぞれ固定されて出荷され、部品の共通化を図っている。また、穂先側(右側)の側板6Rの下端には排藁ガイド16の上端が回動可能に取り付けられ、該排藁ガイド16は作業に応じて左右方向に回動して固定できるようにしている。即ち、切断藁を拡散して圃場に放出するときには、排藁ガイド16を右側(外側)に回動して固定し、中割り作業や、切断藁を集めて飼料等に使用したり、燃やしたりする場合には排藁ガイド16を左側(内側)に回動して固定し(16’の位置)、切断藁を機体中央部に放出するようにしている。そして、排藁切断装置Cの後板の下部より下部カバー17が下方に延設され、埃や小さな切断藁等が周囲に飛散することを防止している。該下部カバー17の内側には図4に示すように整流板19が固定されて、排藁の拡散状態を整えている。
【0013】そして、本発明は、前記エンジンEの排気風を後方まで導いて切断藁の拡散を助長するようにしている。即ち、5条刈り以上のコンバインの場合には、機体左右幅よりも排藁切断装置Cの幅が短く、排藁切断装置Cは未刈り側(フィードチェーン側)に偏って配置されるので、機体左右幅と排藁切断装置Cの幅の差の部分に切断藁が放出されないのである。そこで、本発明は前記エンジンEの従来のマフラーの取付部に排気パイプ22の一端を固定して、該排気パイプ22の他側を下方に延出してから、機体フレーム2の下部位置に沿って、クローラー式走行装置1のクローラー1a・1aの間を後方へ延出する。そして、排気パイプ22の後端部にマフラー23を接続し、該マフラー23はプレート24を介して機体フレーム2またはクローラー式走行装置1のトラックフレームに固定して、前記マフラー23の吐出口に吐出管25を連通している。
【0014】該吐出管25の吐出口はクローラー1a・1aの後部の間に位置し、その吐出方向は排藁切断装置Cの穂先側下方に向けられ、より詳しくは、後面視及び平面視において、機体後端の6条目(5条刈りでは5条目、7条刈りでは7条目)の切り株に向かって吐出するように角度が設定されている。側面視においては機体後端よりも後方に向けて吐出するように設定している。
【0015】そして、穀稈には長稈や短稈があるために、吐出管25の吐出方向も穀稈長さに合わせて変更できるようにしている。即ち、マフラー23の吐出口への吐出管25取付部は角度変更可能に構成されており、例えば、吐出管25を回転させて吐出方向を変更したり、蛇腹に構成して任意に曲げられるようにして、拡散状態を任意に変更可能としている。また、吐出管25は着脱可能に構成されており、先端形状の異なる吐出管25と取り替え可能とし、メンテナンスも容易にできるようにしている。吐出管25の先端形状としては、扇形として幅広く拡散したり、先細として固まって落ちる部分に集中的に排風して拡散させたり、吐出部分を回転させて渦状に吐出して乱流とし、ランダムに拡散するように構成することもできる。
【0016】このような構成において、脱穀後の排藁が排藁チェーン9によって排藁切断装置Cへ送られて切断されて落下すると、スクリュー羽根13・14の回転によって、拡散されながら圃場上に落下され、ボリュームのある穂先側の切断藁は、その落下途中でエンジンEからの排気風によって飛ばされ、その飛ばされる方向は既刈り側に向けて、機体幅全体にわたって拡散して排出されるようになるのである。
【0017】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、次のような効果を奏するものである。即ち、エンジンの排気口に排気パイプを連通して、マフラーを介して連通した吐出管の吐出口を排藁切断装置の下方に位置させ、エンジンの排気風により切断藁を拡散すべく構成したので、従来全く活用されていなかったエンジンの排気エネルギーを、極めて簡単な構成で排藁の拡散に有効に利用できるようになり、排藁切断装置に設けたスパイラによる拡散と排気風による拡散の相乗効果により、地上高の高い位置に配置された排藁切断装置であっても切断藁を均一に拡散できるようになったのである。また、排気が機体後部より排出されるので、エンジンの排気音が運転席からは殆ど聞こえないくらいに小さくなり、また、追い風や側方からの風等で排気が運転席まで回り込むこともなくなったのである。
【出願人】 【識別番号】391025914
【氏名又は名称】八鹿鉄工株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−38
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−157247