トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 コンバインの刈取部
【発明者】 【氏名】新保 喜崇

【要約】 【課題】コンバインの刈取部に前下がり傾斜状に左右に複数配置する下部搬送装置で、刈取穀稈の株元側を挟扼搬送してフィードチェーン側に受け継ぎ、脱穀部に穂先側を投入して脱穀する際に、フィードチェーンで挟扼した穀稈層の下部が脱穀部内に引き込まれても、脱穀性能が悪くならないようにする。

【解決手段】前記フィードチェーン7側に受け継ぎ時に最下部層を形成する穀稈層を搬送する下部層形成用の下部搬送装置5Rの前下がり傾斜角度を他の下部搬送装置5L・5Cの前下がり傾斜角度とを異なる角度に構成し、下部搬送装置の始端部を他の下部搬送装置の始端部より高くした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刈取部の左右複数条を掻き込んで株元を挟持して搬送する下部搬送装置を複数配置し、縦搬送装置を介してフィードチェーン側に受け継いで脱穀部で脱穀するコンバインにおいて、前記複数の下部搬送装置の傾斜角度をそれぞれ異なる角度に構成したことを特徴とするコンバインの刈取部。
【請求項2】 前記下部搬送装置において、前記フィードチェーンでの挟持時に下部層となる下部搬送装置の傾斜角度を、他の下部搬送装置の傾斜角度よりも緩傾斜状に配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈取部。
【請求項3】 前記下部搬送装置において、前記フィードチェーンでの挟持時に下部層となる下部搬送装置を、他の下部搬送装置よりも下側に配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈取部。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、刈取装置の刈刃で複数の条の穀稈を一度に刈取って、中央側に集めて搬送し、脱穀時には穂先側を揃えて脱穀させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、複数の条(例えば6条)の穀稈を刈り取るために、刈取部の前部に複数の引起し装置を配置して穀稈を引き起こし、下部に配置した掻込み装置によって掻き集めた穀稈の下部を刈刃装置によって切断し、株元側を挟扼して搬送する下部搬送装置と、穂先側をガイドしながら搬送する上部搬送装置等の複数の搬送装置によって、立状する穀稈を水平状に傾倒させて搬送し、穀稈の株元をフィードチェーンに受け継いで、穂先を脱穀部内に案内する構成の刈取部を有するコンバインは公知となっている。前記上部搬送装置と下部搬送装置は側面視で前低後高に配設され、6条用の刈取装置においては、右下部搬送装置、中央下部搬送装置、左下部搬送装置とで各搬送装置で2条ずつ株元側の同じ高さ位置を挟持して中央側に集め、6条の穀稈を層状として後方の縦搬送装置に受け継ぎ、フィードチェーンを介して脱穀装置に搬送していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記技術では、フィードチェーンに受け継がれた6条の穀稈は株元が揃えられ、脱穀装置内に穂先を揃えて投入されているのだが、フィードチェーンで後方に搬送されていくにつれて、6条の穀稈層の内で下部の層が脱穀装置の扱胴の回転に引き込まれ、引き込まれた穀稈の層が深扱となり扱残しを生じて脱穀性能が悪くなっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。即ち、刈取部の左右複数条を掻き込んで株元を挟持して搬送する下部搬送装置を複数配置し、縦搬送装置を介してフィードチェーン側に受け継いで脱穀部で脱穀するコンバインにおいて、前記複数の下部搬送装置の傾斜角度をそれぞれ異なる角度に構成したものである。また、前記下部搬送装置において、前記フィードチェーンでの挟持時に下部層となる下部搬送装置の傾斜角度を、他の下部搬送装置の傾斜角度よりも緩傾斜状に配置したものである。また、前記下部搬送装置において、前記フィードチェーンでの挟持時に下部層となる下部搬送装置を、他の下部搬送装置よりも下側に配置したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同じく全体平面図、図3は刈取部の側面図、図4は同じく刈取部の各搬送装置を示す平面図、図5は下部搬送装置の平面図、図6は右側上部搬送装置の後部搬送部のガイド棒を示す平面図、図7は進行方向の右側の下側連結フレームを示す側面図、図8は刈取部昇降用のセンサーを有す下側連結フレームの部分側面図一部断面図、図9は同じく側面図一部断面図、図10は進行方向の左側の下側連結フレームに配置した分草ガイド板の側面図、図11は最外側の分草フレームに配置した分草ガイド板の側面図、図12は外側より二番目の分草フレームに配置した分草ガイド板の側面図、図13は左右中央の分草フレームに配置した分草ガイド板の側面図、図14は引起こしケースの正面図一部断面図、図15は縦搬送装置で穀稈の株元側を挟扼した状態を示す断面図、図16はフィードチェーンで穀稈の株元側を挟扼した状態を示す断面図、図17は別形態の下部搬送装置を有する刈取部の側面図である。
【0006】まず、図1、図2を用いてコンバインの全体構成の概略を説明する。クローラー式走行装置29上にフレーム11を取り付け、その上は、機体左右の一側に脱穀部27及び選別部、他方に運転席10及び穀粒を貯留するグレンタンク23が載置されている。刈取部26は脱穀部27の前方で、機体の最前部に位置されており、刈取部26の各穀稈搬送装置は、脱穀部27側部のフィードチェーン7に向けて刈り取った穀稈を搬送するものである。8は扱胴である。
【0007】前記運転席10側方のフレーム11前部には、図1に示すように刈取部26を回動自在に連結する図示せぬ載置台が形成され、該載置台上部に刈取部26の各搬送装置を支持する刈取フレーム後部の回動基部12が枢支されている。
【0008】また、前記フレーム11前部と刈取フレームを構成する縦フレーム13途中部との間に刈取昇降シリンダー30が介装され、該刈取昇降シリンダー30を伸縮駆動させることで、縦フレーム13(刈取部26)を前記回動基部12を中心として昇降回動させて刈取り高さを調整している。
【0009】次に、前記刈取部26の各搬送装置を支持する刈取フレームの構成について図3を用いて説明する。刈取フレーム後部の前記回動基部12は、筒状のフレームであり、内部に図示せぬ駆動軸が軸支され、エンジンの動力がプーリを介して入力されている。前記回動基部12の右側より前下方に前記縦フレーム13を伸延し、該縦フレーム13下端に左右横方向に伸延する筒上の下側横フレーム14の途中部を連通連結し、該下側横フレーム14の左側端部より前上方へ向けて筒状の立ち上がりフレーム15を立ち上げるとともに、下側横フレーム14の右側端部より前上方へ向けて図示せぬ支持フレームを立ち上げて、両フレーム15の上端間に上側横フレーム16を横架し、上側横フレーム16の右端部と前記縦フレーム13途中部との間に上方へ凸状に湾曲する上側連結フレーム17を横架している。更に、前記下側横フレーム14の左右側部よりそれぞれ前方へ向けて左右一対の下側連結フレーム18・18を延設している。
【0010】また、前記刈取フレームには、図3、図4に示すように刈取部26の各搬送装置を配置している。本実施例におけるコンバインは6条刈りであり、刈取部26の下側連結フレーム18の最前部に分草板19を取り付け、その後部に穀稈を立状態として取り入れるための引起こし装置1を立状に配設している。この引起こし装置1にて穀稈を引起こし、掻込み装置2にて掻き込んで、刈刃装置3にて穀稈の株元を刈る。そして、前記刈刃装置3上方に、刈刃装置3にて刈り取った穀稈の株元を挟扼し脱穀部27側に搬送する下部搬送装置5を配し、該下部搬送装置5の上方に穀稈の上部を支持して搬送する上部搬送装置4を配し、該上部搬送装置4の上方に穂先を後上方に搬送する穂先搬送装置20を配設している。
【0011】そして、前記下部搬送装置5にて搬送される穀稈の株元は縦搬送装置21にて受け継がれ、穀稈上部を上部搬送装置4にて挟持したまま後方に搬送し、立状態の穀稈を水平状に傾倒して、前後の補助搬送装置31・32(補助搬送装置30)を介して、脱穀部27のフィードチェーン7へと受け継ぐものである。該縦搬送装置21は、図4の如く、搬送角度を調節可能で、この角度調整にてフィードチェーン7への穀稈挟扼位置を決定して扱深さ調整を行うのである。この扱深さを検知するために、補助搬送装置30の上方に図示せぬ扱深さ検出センサーを配設している。
【0012】前記刈刃装置3は、図7、図10に示すように下側連結フレーム18・18の前後途中部の下部間に、取付ステー59を介して刈刃支持フレーム35が横設され、該刈刃支持フレーム35より前下方にアーム36を突設して刈刃装置3を取り付けている。即ち、前記アーム36前部に刈刃装置3の固定刃37を支持し、該固定刃37上に可動刃38を左右に摺動自在に載置し、固定刃37に対して可動刃38を左右にスライドさせて穀稈の株元を切断するようにしている。
【0013】また、前記刈刃支持フレーム35の一定間隔毎に図11〜図13に示すように、分草フレーム39・39・・・後部が固設され、6条用においては5本が突設されている。この分草フレーム39・39・・・前部と前記下側連結フレーム18・18前部とに前記分草板19・19・・・が固設され、図4に示すように分草板19・19・・・が合計7個が配設され、6条の穀稈を分草し、引起こし装置1に案内するようにしている。
【0014】また、前記分草フレーム39・39・・・及び下側連結フレーム18・18は、前記刈刃装置3の上方を通過して前方に突設されている。各分草フレーム39・39・・・及び下側連結フレーム18・18の前後途中部の下面には、分草ガイド板55・55’・・・が固設されている。該分草ガイド板55・55’・・・は、側面視で後下がり傾斜状に形成して下部を刈刃装置3の直前方に位置させて、穀稈を左右に分草するようにしている。
【0015】そして、本実施例において、図7、図10に示す下側連結フレーム18と、図11に示す左右両側の分草フレーム39と、図13に示す左右中央部の分草フレーム39に固設する分草ガイド板55’・55’・・・の後部を刈刃装置3前部の上方まで延出させている。この分草ガイド板55’・55’・・・によって、下側連結フレーム18及び分草フレーム39と刈刃装置3との間の隙間を極力少なくし、この部分に土や藁屑等が堆積することを防いでいる。下側連結フレーム18に固設した分草ガイド板55’では、側方より藁屑や泥等が刈刃装置3上に侵入することを防いでいる。
【0016】尚、前記分草フレーム39の内で左右両側より二個目の分草フレーム39に固設するガイド板55は、図12に示すように側面視で直角三角形状に形成した単純な形状とし、製作コストを抑えたものとしている。この部分には、前記掻込み装置2・2の被作用側の後方であり、穀稈の搬送経路となっておらず、藁屑が堆積することが少ないのである。
【0017】また、図8、図9に示すように、進行方向の右側の下側連結フレーム18は、前後途中部で後方側の固定側フレーム18aと前方側の回動フレーム18bとに分割されている。前記固定側フレーム18a前部に「コ」字状のブラケット40が固設され、該ブラケット40の開放面を下方に向け、左右に軸芯を有する支点軸41が着脱自在に軸支されている。
【0018】該支点軸41外周面に円筒状のボス42が回動自在に外嵌され、該ボス42下部に前記回動フレーム18b後部が固設され、回動フレーム18b前部に前記分草板19が固設さ、支点軸41を中心に回動フレーム18bと分草板19が上下に回動される。また、前記ボス42後部に側面視逆L型のアーム43の一端が固設され、多端を回動フレーム18b前上方に延出し、上端部を左右方向に屈曲させて当接面43aを形成している。この回動フレーム18bとアーム43とがボス42を介して一体的に形成され、支点軸41を用いてブラケット40に容易に装着することができ、組立性を向上している。
【0019】一方、前記固定側フレーム18a上部には昇降センサー44が配置され、該昇降センサー44のセンシングロッド44aが前方に突出され、前記アーム43の当接面43aに当接可能に配置されている。
【0020】従って、前記回動フレーム18b前部が圃場面に沿わせながら作業を行い、圃場が水平で回動フレーム18bが略水平状となっている場合には、アーム43の当接面43aがセンシングロッド44aの直前方に待機されている。そして、圃場が隆起を検出して前記刈取昇降シリンダー30を伸縮駆動させて刈取り高さを調整している。
【0021】また、前記ボス42の直前方の回動フレーム18b上部に取付台45が固設され、該取付台45上面にナット47を固設し、取付台45上方より調整ボルト46をナット47に螺入させて調整ボルト46頭部の高さを調整し、この調整ボルト46頭部とブラケット40上部の下面との間の距離を調整して回動フレーム18bの上方回動を規制している。
【0022】更に、前記ボス42後下方にステー48を突設し、該ステー48下面にナット49を固設し、ステー48上方より調整ボルト50をナット49内に螺入し、調整ボルト50頭部の高さをかえ、この調整ボルト50頭部とブラケット40上部の下面との間の距離を調整して回動フレーム18bの下方回動を規制している。上方回動を規制する調整ボルト46と下方回動を規制する調整ボルト49との二個を別々に配置して調整を容易にしている。この構成は、ブラケット40に開口を設けて回動フレーム18b側に突設したロッドを挿入し、開口の上下両側のロッド上に当接用のナットを設ける構成に比べて、前記ブラケット40の開口が腐食等により老朽化することがなく、本実施例の調整ボルト46・50を回動フレーム18b側に配設する構成は耐久性に優れている。
【0023】次に、前記引起こし装置1について説明する。前記引起こし装置1は、左右に隣接する分草板19・19間の直後方位置に上下方向に伸延する引起こしケース22・22・・・を立設している。図14に示すように、前記引起こしケース22内の上部の作用面側に駆動スプロケット53を配置し、逆の非作用側に従動スプロケット55を配置し、引起こしケース22内の下部に下部スプロケット54を配置し、これらのスプロケット53・54・55に多数の引起タイン33・33・・・を取り付けているチェーン56を巻回している。
【0024】そして、本実施例において前記従動スプロケット55を駆動スプロケット53より非作用側上方に配置しており、引起こしケース22より作用面側に突出した引起タイン33が駆動スプロケット53位置で上側方に移動しながら引起こしケース22内に収納され、この位置での引起タイン33の角度の変化を緩やかとし、引き起こされた穀稈が引起タイン33に引き込まれることを防いでいる。
【0025】また、図3、図4に示すように、前記引起こし装置1の各引起こしケース22の直後方位置に、掻込み装置2を構成するタイン付掻込みベルト24とスターホイル25とを上下に配置し、穀稈を掻き込んで刈刃装置3で株元側より刈り取って、株元を下部搬送装置5で挟扼するようにしている。
【0026】また、前記下部搬送装置5は、図4、図5に示すように、機体の進行方向に対して左側部に二条分の穀稈の下部を挟扼して内側後方の合流部P1へ搬送する左側下部搬送装置5Lと中央部の二条分の穀稈の下部を挟扼して内側後方の合流部P2へ搬送する中央下部搬送装置5Cと、右側部の二条分の穀稈の下部を挟扼して内側後方の合流部P1・P2へ搬送する右側下部搬送装置5Rとを具備している。これらの搬送装置5L・5C・5Rにより搬送されて合流部P1・P2で合流した穀稈の株元側は、縦搬送装置21にて挟扼して後上方に搬送し、補助搬送装置30へ搬送するようにしている。そして、これらの搬送装置5L・5R・5Cは、搬送チェーンとこれらの搬送チェーンの各穀稈搬送路と対向させて配置した挟扼体とから構成しており、縦搬送装置21も同様に構成している。
【0027】また、前記上部搬送装置4は、左側部の二条分の穀稈の上部を掻き上げて内側後方の合流部P1へ搬送する左側上部搬送装置4Lと、中央部の二条分の穀稈の上部を掻き上げて内側後方の合流部P2へ搬送する中央上部搬送装置4Cと、右側部の二条分の穀稈の上部を掻き上げて内側後方の合流部P1・P2へ搬送する右側上部搬送装置4Rを具備している。また、前記右側上部搬送装置4Rは前部搬送部4Raと後部搬送部4Rbとに二分割して形成している。そして、これらの搬送装置4L・4R・4Cは、多数の搬送タインを前後方向に回動可能に取り付けると共に、各搬送タインは後方移動時に突出し、かつ、前方移動時に収納すべく取り付けている。
【0028】そして、前記左側上部搬送装置4Lは左側下部搬送装置5Lと、中央上部搬送装置4Cは中央下部搬送装置5Cと、前部搬送部4Raは右側下部搬送装置5Rと、後部搬送部4Rbは縦搬送装置21と、それぞれ上下に配置して、穀稈の上下を確実に保持して搬送するようにしている。更に、前記後部搬送部4Rbの後部と脱穀部27との間位置に補助搬送装置30を配置して、該補助搬送装置30と後部搬送部4Rbとが協働して穀稈をフィードチェーン7へ受け渡すことができるようにしている。
【0029】また、穀稈の穂先側を後方に搬送する後部搬送部4Rbには、図6に示すようにガイド棒60・61・62が配置されている。該ガイド棒60・61・62は上下に略平行状に配置され、左側上部搬送装置4L後部に取付けられている。即ち、前記左側上部搬送装置4L後部にステー63・64を立設し、該ステー63・64上部にガイド棒60とガイド棒61の前部を固設し、前記合流部P1より後部搬送部4Rbの搬送面に沿ってガイド棒60とガイド棒61が配置されている。そして、左側上部搬送装置4L後部に直接に第三のガイド棒62下部を固設し、後部搬送部4Rbの搬送面の下方外側に配置されている。この第三のガイド棒62によって、穀稈の稈長が長く株元側を挟持する前記縦搬送装置21が後下方に回動して左側上部搬送装置4Lとの距離が離れている場合にも、穀稈を上方に膨らませることなくガイドして、穂先側が左側上部搬送装置4Lの搬送面から外れることがないようにしている。
【0030】尚、前記ガイド棒60・61・62後部を、刈取部26の前部より後方に延出させた図1に示すフレーム65にアーム66等を介して連結して、各ガイド棒60・61・62を二点で支持し、ガイド棒60・61・62の撓みを抑えて穂先側を確実にガイドするようにしている。
【0031】次に、刈取穀稈の株元を挟扼する各下部搬送装置5で挟扼する位置を変え、フィードチェーン7に株元側をずらして受け継ぐ構成について説明する。図5に示すように、前記下部搬送装置5では、右側下部搬送装置5Rの搬送経路上に、他の中央下部搬送装置5Cと左側下部搬送装置5Lとの終端部を臨ませて合流部P1・P2が形成されている。従って、前記下部搬送装置5の合流部P2では、右側下部搬送装置5Rで搬送された右側2条の穀稈の上に、中央下部搬送装置5Cで搬送された中央側2条の穀稈が重ねられている。そして、前記合流部P1において、この重ねられた4条の穀稈にさらに左側下部搬送装置5Lで搬送された左側2条の穀稈が重ねられており、縦搬送装置21以降の補助搬送装置30で挟扼する穀稈の層は、下方より右側の2条、中央側の2条、左側の2条の順に重ねられている。従って、前記右側下部搬送装置5Rは、この重ねられた6条の最下部層の穀稈を搬送しており、下部層形成用の搬送装置となっている。尚、下部層形成用の前記右側下部搬送装置5R終端部と他の中央下部搬送装置5C及び左側下部搬送装置5Lの終端部との位置を上下にずらして縦搬送装置21への受け継ぎの合流部を等しくすることもできる。
【0032】そして、本発明においては、図3に示すように、右側下部搬送装置5Rの前下がり傾斜角度を他の中央下部搬送装置5C及び左側下部搬送装置5Lの前下がり傾斜角度とを異なる角度としている。即ち、合流部P1・P2側となっている各下部搬送装置5R・5C・5L後部側の高さ位置を変えずに、右側下部搬送装置5Rの傾斜角度を緩傾斜として、右側下部搬送装置5R前端部の高さを中央下部搬送装置5C及び左側下部搬送装置5L前端部の高さ位置より上方に配置している。
【0033】このように構成することによって、右側下部搬送装置5Rで挟扼する穀稈の株元位置は、他の中央下部搬送装置5C及び左側下部搬送装置5Lで挟扼する位置よりも高い位置で挟扼することになる。従って、縦搬送装置21以降の補助搬送装置30では、図15に示すように挟扼した下部の層(右側下部搬送装置5Rで搬送した右側2条の層)が他の4条の層より下方(外側)に飛び出された状態で搬送される。この状態でフィードチェーン7に受け継がれ、穂先側を脱穀部27に投入すると、飛び出ていた下部の層が扱胴8の回転に引き込まれて図16に示すように株元側が揃うのである。従って、脱穀時に株元側が揃うとともに穂先側が揃うので、穀稈の下部の層が扱胴8に深く引き込まれて深扱となることがなく、深扱による扱胴8の駆動馬力をロスすることがない。また、脱穀部27内の穂先が揃って穀稈の穂先を脱穀に適した位置に案内することができ、脱穀性能を高く保つことができる。
【0034】尚、前記右側下部搬送装置5Rの傾斜角度を緩傾斜として、右側下部搬送装置5Rの挟扼位置を他の下部搬送装置5C・5Lより高い位置を挟扼するようにしているが、他の下部搬送装置5C・5Lの前下がり傾斜角度を急傾斜として右側下部搬送装置5Rとの挟扼位置を変える構成としてもよい。この場合には、他の下部搬送装置5C・5Lで挟扼する位置が低くなっても、切断した穀稈の下端部よりある程度高い位置を挟扼させる必要がある。
【0035】更に、図17に示すように、各下部搬送装置5R・5C・5L前部(始端部)の高さを合わせて、他の下部搬送装置5C・5Lの前下がり傾斜角度を右側下部搬送装置5Rの前下がり傾斜角度に対して急傾斜状とし、右側下部搬送装置5R後部(終端部)を他の下部搬送装置5C・5L後部(終端部)より低い位置となるようにしている。この構成においても、縦搬送装置21以降の搬送装置で挟扼した下部の層(右側下部搬送装置5Rで搬送した右側2条の層)が他の4条の層より下方(外側)に飛び出された状態で搬送され、脱穀時の扱胴20の引き込み作用が働いた後には穀稈の株元及び穂先を揃えることができる。この場合には、下部層形成用の前記右側下部搬送装置5R終端部と他の中央下部搬送装置5C及び左側下部搬送装置5Lの終端部との位置を上下にずらし、合流部P1・P2での受け継ぎが悪くならないように複数のガイド部材をさらに配置する必要がある。
【0036】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、次のような効果を奏するものである。即ち、請求項1記載のように、刈取部の左右複数条を掻き込んで株元を挟持して搬送する下部搬送装置を複数配置し、縦搬送装置を介してフィードチェーン側に受け継いで脱穀部で脱穀するコンバインにおいて、前記複数の下部搬送装置の傾斜角度をそれぞれ異なる角度に構成したので、例えば、下部層形成用の下部搬送装置の前下がり傾斜角度を他の下部搬送装置より緩傾斜状としたり、また、下部層形成用の下部搬送装置の前下がり傾斜角度に対して他の下部搬送装置より急傾斜状として、各下部搬送装置からフィードチェーン側への受け継ぎ時に、各下部搬送装置で搬送される穀稈の層毎に株元の挟扼位置を脱穀時の引き込みに合わせて調整することができ、脱穀部内の適所位置に案内することができ、脱穀性能を高く保つことができる。
【0037】また、請求項2記載のように、前記下部搬送装置において、前記フィードチェーンでの挟持時に下部層となる下部搬送装置の傾斜角度を、他の下部搬送装置の傾斜角度よりも緩傾斜状に配置したので、下部層形成用の下部搬送装置の始端部で挟扼する穀稈の株元側位置を他の下部搬送装置より高い位置を挟扼することができ、この下部層形成用の下部搬送装置で搬送される穀稈層の株元側の挟扼位置を下方(脱穀部より離れる側)に位置をずらして飛び出た状態で受け継ぐことができる。従って、この状態で穂先側を脱穀部に投入すると、外側に飛び出ていた下部の層が扱胴の回転に引き込まれて株元側を揃えることができ、フィードチェーンによる搬送を安定させることができる。更に、株元側を揃えられるとともに、穂先側が揃うので、穀稈の下部の層が扱胴に深く引き込まれて深扱となることがなく、深扱による扱胴の駆動馬力をロスすることがない。また、脱穀部内の穂先が揃って穀稈の穂先を脱穀に適した位置に案内することができ、脱穀性能を高く保つことができる。
【0038】また、請求項3記載のように、前記下部搬送装置において、前記フィードチェーンでの挟持時に下部層となる下部搬送装置を、他の下部搬送装置よりも下側に配置したので、この下部層形成用の下部搬送装置からフィードチェーン側に受け継ぎ時に、この下部層形成用の下部搬送装置で搬送される穀稈層の株元側の挟扼位置を下方(脱穀部より離れる側)に位置をずらして飛び出した状態で受け継ぐことができる。従って、この状態で穂先側を脱穀部に投入すると、外側に飛び出ていた下部の層が扱胴の回転に引き込まれて株元側を揃えることができ、フィードチェーンによる搬送を安定させることができる。更に、株元側を揃えられるとともに、穂先側が揃うので、穀稈の下部の層が扱胴に深く引き込まれて深扱となることがなく、深扱による扱胴の駆動馬力をロスすることがない。また、脱穀部内の穂先が揃って穀稈の穂先を脱穀に適した位置に案内することができ、脱穀性能を高く保つことができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−332350
【公開日】 平成11年(1999)12月7日
【出願番号】 特願平10−149466