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【発明の名称】 軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置
【発明者】 【氏名】松村 鋼司

【氏名】栗田 裕之

【氏名】斎木 雅宏

【氏名】岩田 勝人

【要約】 【課題】傾斜地の傾斜に沿って畝間移動台車を移動させる場合においても、作業労力を軽減させ、かつ作業精度を向上させた軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置を提供する。

【解決手段】軌道式茶葉摘採機を、一つの茶樹畝から別の茶樹畝に移動させるための畝間移動装置において、畝間移動台車1の台車枠3に係脱可能な連結手段16を備え、複数の転輪13C、13Dを備えた車台13Aに装備されてスイッチ操作により駆動・停止する巻取ウインチ14および、同巻取ウインチから繰り出されるワイヤ19を備えて前後進可能な牽引車13を有し、上記畝間移動台車1の台車枠3に上記連結手段16が連結された際に、牽引車の巻取ウインチから繰り出されたワイヤを、巻取ウインチの巻取り,巻戻しのスイッチ操作により牽引して台車上に備える補助レール7と畝間に敷設したレール21とが対応する位置に畝間移動台車を移動・停止させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茶樹畝の畝間に敷設されたレールの端部に位置して軌道式茶葉摘採機を、一つの茶樹畝から別の茶樹畝に移動させるための畝間移動台車を有する畝間移動装置において、上記畝間移動台車の台車枠に係脱可能な連結手段を備え、複数の転輪を備えた車台と、この車台に装備されてスイッチ操作により駆動・停止する巻取ウインチおよびこの巻取ウインチ用発電機とを備えると共に、上記巻取ウインチから繰り出されるワイヤを備えて前後進可能な牽引車を有し、上記畝間移動台車の台車枠に上記連結手段が連結された際に、牽引車の巻取ウインチから繰り出されたワイヤを、ウインチの巻取り,巻戻しのスイッチ操作により牽引して台車上に備える補助レールと畝間に敷設したレールとが対応する位置に上記畝間移動台車を移動・停止させることを特徴とする軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置。
【請求項2】 請求項1記載の軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置において、上記牽引車は、上記畝間移動台車から連結を解除されると畝間移動台車とは独立して運搬可能であることを特徴とする軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置。
【請求項3】 請求項1記載の軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置において、上記連結手段は、上記畝間移動台車に連結される連結部を垂直方向、水平方向および上記畝間移動台車の移動方向と直角な垂直面内で揺動する方向の少なくとも一つの方向に態位調整可能であることを特徴とする軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置。
【請求項4】 請求項1記載の軌道式茶葉摘採機の畝間移動台車において、上記転輪は、上記牽引車の移動方向で少なくとも3輪設けられ、そのうち、上記移動方向で上記畝間移動台車と対面する側に一対で設けられていることを特徴とする軌道式機茶葉摘採機の畝間移動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置に関する。さらに詳しくは、列状に栽植された茶樹畝の各畝間に単一のレールが敷設され、茶樹畝を挟む左右の畝間の敷設レールを一対の軌道として走行しながら茶樹畝の全面にわたり茶葉の摘採,せん枝,防除等の茶園管理作業が行える軌道式の茶葉摘採機を、一つの茶樹畝での作業が終えた後に、他の茶樹畝に移動させる場合の茶畝移動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上述のような軌道式の茶葉摘採機は、従来より公知のものであり、例えば特開平1−174301号公報、特開平4−91716号公報等に記載された先行技術が知られており、また本出願人においても先に特開平4−320613号公報に記載された先行技術を提案している。
【0003】この種の装置は、茶樹畝を挟む左右両側の畝間に敷設されているレールを一対の軌道として、レールに沿って移動する左右の軌道台車間に、茶樹畝を跨ぐ門形のフレームを架設させ、この門形フレームに茶樹畝の全面にわたる刈取部および袋受部を備えた摘採装置を上下動可能に装着している。茶葉の摘採作業を行うときは、刈刃を茶樹畝の摘採深さまで下降させた状態で軌道台車を前進させ、この前進により茶葉の摘採作業を行うと共に摘採した茶葉を袋に収容しつつ進行し、所定経路の摘採作業が終わると、刈刃を所定の高さ上昇させた状態にして摘採作業開始端まで高速で戻り、収容した茶葉袋を交換して次の摘採作業に移るようにしている。
【0004】そして、一つの茶樹畝における作業が終了すると、軌道式の茶葉摘採機を他の畝間に敷設したレールに移動させなければならないが、このような移動作業を行うために、例えば実開平4−77706号公報に記載されたような茶畝間の移動装置が提案されている。この茶畝間の移動装置は、畝間に敷設されたレールの端部に位置して、レール間を結ぶ方向に茶畝移動用のレールを敷設し、このレール上を移動する台車の上に軌道式茶葉摘採機を乗り込ませて移動させるものである。そしてその台車には長方形の台車枠に、軌道式茶葉摘採機を乗り込ませる2本の補助レールを所定の間隔で略平行に配置させ、その補助レールを台車枠に対してスライド自在に装着している。
【0005】従来の茶畝間の移動作業は次の手順による。まず、軌道式茶葉摘採機が畝間に敷設されたレールの端に到着する前に、茶畝移動台車を、茶畝移動用レールに沿って移動させ、茶畝移動台車に備える一本の補助レールを、軌道式茶葉摘採機が乗っているレールの一本に近接する位置に停止させる。そして茶畝移動台車の補助レールと畝間レールとが一直線上になるように台車枠上で補助レールの位置を調節し、前記の両レールを接続具で連結する。しかる後に作業者が、レールの端部に到着した軌道式茶葉摘採機の片側を持ち上げて、軌道式茶葉摘採機の一方の脚部車輪を、連結した茶畝移動台車側の補助レール上に乗り込ませる。そして連結した補助レールを、もう一方の補助レールに対して平行にかつ所定間隔になるように戻し、作業者が持ち上げた側の脚部車輪をもう一方の補助レール上に乗せる。その後、軌道式茶葉摘採機を乗せた茶畝移動台車を、移動しようとする茶樹畝の前まで移動させ、上述と反対の手順により軌道式茶葉摘採機を畝間に敷設したレール上に乗せ替える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のような茶畝間の移動台車を用いた軌道式茶葉摘採機の畝間移動作業は、傾斜地の傾斜に沿った方向に畝間移動台車を移動させる場合に、次のような問題点があった。
【0007】つまり、上述したように軌道式茶葉摘採機の畝間移動作業を行うには、畝間に敷設されたレールと畝間移動台車の補助レールの位置とを合わせるために畝間移動台車を所望の位置に停止させることが必要となるが、傾斜地で傾斜に沿って軌道式茶葉摘採機の乗った畝間移動台車を、所望の位置に移動・停止させるのは非常に困難かつ危険な作業となる。これは、軌道式の茶葉摘採機の重量が100Kgを超えるため、傾斜の低位側から高位側に向けての移動作業は不可能で、傾斜の高位側から低位側に向けての移動作業となり、この場合、従来の畝間移動台車では、移動台車を所望の位置に停止させる操作を、2個のブレーキ付タイヤを手元レバーで操作して行っているが、必要とされる精度で所望の位置に移動台車を停止させることは非常に困難を伴い、また停止させようとした位置より低位側に台車が滑ってしまった場合は、それを高位側に戻すには移動台車を傾斜の低位側で支える補助作業員を必要とし非常に危険を伴う作業となるからである。
【0008】このように従来の畝間移動台車は、傾斜地で使用する場合には補助作業者を含めて2人以上の作業者が必要となり、かつ危険な作業となるため、高価な設備投資を要する軌道式茶葉摘採機の利点を損なう結果となっていた。
【0009】また、畝間移動台車は、茶葉摘採機を搭載して移動することができる強度を確保しなければならないことから、比較的剛性が高い構造物であり、このことから、重量も重く、運搬の際の労力負担が大きくなる虞があった。近年、人手不足や老齢化により、重量物の運搬を強いることは好ましいとはいえず、運搬性の改善も望まれている。
【0010】本発明は、上述の問題点に鑑み提案されたものであり、傾斜地の傾斜に沿って畝間移動台車を移動させるような軌道式茶葉摘採機の畝間移動作業を行う場合においても、作業労力を軽減させ、かつ作業精度及び安全性さらには畝間移動台車の運搬性を向上させた軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、茶樹畝の畝間に敷設されたレールの端部に位置して軌道式茶葉摘採機を、一つの茶樹畝から別の茶樹畝に移動させるための畝間移動台車を有する畝間移動装置において、上記畝間移動台車の台車枠に係脱可能な連結手段を備え、複数の転輪を備えた車台と、この車台に装備されてスイッチ操作により駆動・停止する巻取ウインチおよびこの巻取ウインチ用発電機とを備えると共に、上記巻取ウインチから繰り出されるワイヤを備えて前後進可能な牽引車を有し、上記畝間移動台車の台車枠に上記連結手段が連結された際に、牽引車の巻取ウインチから繰り出されたワイヤを、ウインチの巻取り,巻戻しのスイッチ操作により牽引して台車上に備える補助レールと畝間に敷設したレールとが対応する位置に上記畝間移動台車を移動・停止させることを特徴としている。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載の軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置において、上記牽引車は、上記畝間移動台車から連結を解除されると畝間移動台車とは独立して運搬可能であることを特徴としている。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1記載の軌道式茶葉摘採機の畝間移動装置において、上記連結手段は、上記畝間移動台車に連結される連結部を垂直方向、水平方向および上記畝間移動台車の移動方向と直角な垂直面内で揺動する方向の少なくとも一つの方向に態位調整可能であることを特徴としている。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項1記載の軌道式茶葉摘採機の畝間移動台車において、上記転輪は、上記牽引車の移動方向で少なくとも3輪設けられ、そのうち、上記移動方向で上記畝間移動台車と対面する側に一対で設けられていることを特徴としている。
【0015】
【作用】請求項1および2記載の発明では、軌道上を移動することができる畝間移動台車は牽引車によって畝間を移動することができるので、移動のための駆動源を搭載する必要がないので、軽量化することができる。牽引車は、連結手段を用いて畝間移動台車に連結されると巻取ウインチから繰り出されたワイヤを、巻取ウインチの巻き取りあるいは巻き戻しによって牽引することで畝間移動台車を移動させることができ、さらに連結手段により連結が解除されると、牽引車をのみを運搬することができるので、畝間の所定位置に畝間移動台車を移動させることができると共に、畝間移動台車と関係なく牽引車を所定位置に移動させることができる。
【0016】請求項3記載の発明では、連結手段が連結部を垂直、水平の各方向および移動台車の移動方向と直角な垂直面内で揺動する方向に態位を調整できるので、畝間移動台車と牽引車との間での高低差に相当する段差や枕地の傾斜さらには畝間移動台車と牽引車との進行方向が異なっていても牽引車によって畝間移動台車を案内レールに沿って牽引移動させる状態を設定することができる。
【0017】請求項4記載の発明では、牽引車の車台に有する転輪が少なくとも3輪設けられているので、車台の移動に際しての安定性を確保して牽引走行を容易にすることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る畝間移動装置に用いられる畝間移動台車の全体を示し、符号1は畝間移動台車、符号2は畝間に敷設されたレールの端部に位置して各レール間を結ぶ方向に敷設された1本の畝間移動用案内レールである。
【0019】畝間移動台車1は、長方形の台車枠3を有し、この台車枠3には案内レール2に沿う一方の側辺に、案内レール上を遊動する2個の遊動輪4が車軸支持枠41によって装着されている。この車軸支持枠41は長穴43によって台車枠3に螺子止めされており、調整ねじ42を回動操作することによって遊動輪4の高さが上下に調整可能に取付けられている。また台車枠3の他方の側辺には、地上を走行する2個の接地輪10が軸支金具12によって台車枠3に装着されており、軸支金具12は、ハンドル11を回転させることによってねじ軸13を作用させ接地輪10を上下に調整できる機構を具備している。また必要に応じて、台車枠3の一辺に取付けた操作枠(図示されず)に備えるレバーの操作によってワイヤ14を介して接地輪10にブレーキ操作を行う機構を設けることができる。また台車枠3は中央に屈折部31を有し運搬時に折り曲げて小型化することができる。
【0020】前記台車枠3には、軌道式茶葉摘採機(図示省略)を乗り込ませる一対の補助レール7が取付部材8によって台車枠3の側辺に装着されている。取付部材8には筒内に補助レール7をスライド可能に支持した円筒支持部材82が回動可能に設けられており、また取付部材8自体も台車枠3の側辺に対してスライド可能にノブ81によって装着され、補助レール7を台車枠3に対して破線で示したように角度調整,スライド調整が可能にしている。補助レール7には、軌道式茶葉摘採機が乗り込んできた時に所定の位置で停止させるストッパ73が所定の位置に調整可能に設けられ、このストッパ73には、軌道式茶葉摘採機が電動で走行する場合に、軌道式茶葉摘採機に備える停止リミットスイッチと接触するようなスイッチ操作部を設けることができる。さらに補助レール7には、畝間に敷設されたレールの端に、補助レール7の端を連結する連結部材71が設けられ、台車枠3の適所に設けられたレバー(図示されず)の操作によってワイヤ72を介して連結部材71を破線で示すように上下動させ得るようにしている。
【0021】一方、台車枠3には、これを案内レール2に沿って牽引走行させるための牽引車13が連結できるようになっている。図2は、牽引車13の全体構成を示す斜視図であり、同図において牽引車13は、フレーム構造からなる車台13Aと巻取ウインチ14および発電機15と連結手段16とを備えている。
【0022】車台13Aは、巻取ウインチ14および発電機15を搭載できる大きさのフレーム構造からなり、図3において矢印で示す牽引車13の牽引方向前側の一辺上部には作業者により把持可能な操作ハンドル13Bの基部が固定されており、下部における牽引方向前後位置には、牽引車13の幅方向両側にそれぞれ転輪13C、13Dが軸支されている。上記各転輪のうち、牽引車13の移動方向で畝間移動台車1に対面する側に相当する牽引方向後側に位置する転輪13Cは、牽引方向前側に位置する転輪13Dよりも大径のものが用いられ、牽引の際の駆動トルクを確保できるようになっており、転輪13Dは車台13Aに対して占有するスペースを小さくできるようになっている。
【0023】車台13Aの底枠には、巻取ウインチ14が搭載され、さらに上部枠には発電機15が搭載されている。巻取ウインチ14は電動ウインチが用いられ、このための電源として、発電機15が設けられている。巻取ウインチ14には、巻取、巻き戻し指令用の操作スイッチ17(図2、図3参照)が電気的接続されており、操作スイッチ17は、通常、操作ハンドル13Bに設けられている係止部13B1(図3参照)にコードと共に掛け止めされている。なお、発電機15は、車台13A上で図2および図3に示すように、バンド18によって固定保持されており、このバンド18を取り除くことで車台13Aから取り外すことができるようになっている。巻取ウインチ14のドラムに一端が固定されているワイヤ19は、巻取ウインチ14から繰り出され、図3および図4に示すように、牽引方向前側に位置する転輪13Dの支軸13D1に設けられているガイドプーリ13D2の外周面に掛け回され、その端末部には、図3に示すように、係止フック19Aが固定されている。なお、図4中、符号13D3は、ワイヤ19の脱落防止用ガード部材を示している。ワイヤ19は、その係止フック19Aを車台13Aに有する掛け止めフックに掛けてくことで、不使用時に車台13A側にて纏めておくことができ、さらに、繰り出した際には、例えば、後述する地面に立設された杭(図6において符号64で示す部材)などの固定部材に掛け止めることができるようになっている。なお、係止フック19Aは、図6に示すように、地上の杭64のみでなく、既設の電柱、あるいはトラックなどを対象として係合することが可能なものである。
【0024】牽引車13の牽引方向後側には、台車枠3の一部に連結可能な連結手段16が設けられている。連結手段16は、図2および図5に示すように、車台13Aの下部枠における台車枠3と対面する側に設けられてチャンネル状のブラケット20に軸支されている角パイプで構成された支持基部部材21と、支持基部部材21の端部内に挿入されて垂直面内で回転可能なロッド状部材からなる中間支持部材22と、中間支持部材22に枢支されて水平面内で揺動可能で、かつ、台車枠3の一部を把持可能な一対の板部材で構成されているグリッパ23とを備えている。図5において支持基部部材21は、ブラケット20に対して垂直方向に挿通支持されている支軸20Aにより基部が枢支されて、図5中、符号Vで示すように上下動可能に支持されており、自由端の上面には牽引車13の牽引方向と直角な水平方向を長手方向とする長孔21Aが形成されている。支持基部部材21の長孔21Aには、支持基部部材21内に挿通されている中間支持部材22の端部の一方が対向しており、その端部には、長孔21Aの外側から挿通されたピン24が締結されている。中間支持部材22は、ピン24が長孔21Aの長手方向で摺動できることにより、図5中、符号Rで示すように、台車枠3の移動方向と直角な垂直面内で揺動可能に支持されている。
【0025】図5においてグリッパ23は、中間支持部材22の先端部近傍でブラケット20側の支軸20Aと平行した支点軸23Aに枢支されており、図5中、符号Hで示すように、水平方向で揺動可能に支持された側面視形状がアングル片状の部材が上下方向で一対に配置されて構成されている。対向するアングル片状部材で構成されているグリッパ23には、互いに対向する平面部に、複数の開口23Bが形成されている。開口23Bは、支点軸23Aを中心とする同一半径線上に並設されており、中間支持部材22を貫通する支持ピン25が開口部23B同士に挿通されることにより支点軸23Aを中心として水平方向に揺動したグリッパ23の位置保持が行えるようになっている。グリッパ23における台車枠3側の面には、対向するアングル状部材に向け挿通されるボルト26が配置されており、ボルト26を台車枠3に形成されている挿通孔(図示されず)に挿通した状態で対向するグリッパ23側で締結することで台車枠3と連結できるようになっている。
【0026】図5において連結手段23における支持基部部材21、中間支持部材22およびグリッパ23は、垂直方向(符号Vで示す方向)、畝間移動台車1の移動方向と直角な垂直面内での揺動方向(符号Rで示す方向)および水平方向(符号Hで示す方向)で変位することができ、これによって、台車枠3と牽引車13との位置関係を整合することができるようになっている。つまり、中間支持部材22は、基部に挿通されている支軸20Aを介して垂直方向に移動することができるので、台車枠3と牽引車13との間の高低差に相当する段差に対応することができ、中間支持部材22は支持基部部材21に形成されている長孔21Aの長手方向の範囲内で揺動できることにより枕地での台車枠3と牽引車13との間での傾斜角度のずれに対応することができ、さらに中間支持部材22の開口23Bに対する支持ピン25の挿通位置を選択することにより、枕地での牽引車13の向きと台車枠3の向きとの違いに対応することができるようになっている。
【0027】本実施例は以上のような構成であるから、台車枠3に牽引車13を連結することにより台車枠3を牽引することができる。図6は、軌道式茶葉摘採機を畝間に移動させる作業態様を説明するための図であり、同図において、茶樹畝の畝間に敷設されている畝間敷設レール21’の端部に位置して、レール間を結ぶ方向に畝間移動用の案内レール2が敷設されており、また該案内レール2は傾斜地の傾斜に沿った方向に敷設されている。畝間移動台車1の台車枠3には、連結手段16を介して牽引車13が連結される。牽引車13を畝間移動台車1に連結する際には、前述したように、牽引車13と台車枠3との間の枕地の高低差や傾斜度合いあるいは向きを連結手段16の支持基部部材21の垂直面内での変位、支持基部部材21に対する中間支持部材22の垂直面内での揺動あるいは中間支持部材22に対するグリッパ23の水平面内での揺動により整合することが行われる。
【0028】このような状況において、傾斜地の高位側の圃場に固定部材となる杭64を打ち込み、この杭64に牽引車13に装備した巻取ウインチ14のワイヤ19の先端に設けた係止フック19Aを係合させる。そして牽引車13に有する操作スイッチ17を操作してワイヤ19を巻取り操作することにより、牽引車13が傾斜面を上昇して矢印の方向に移動するのに連動して畝間移動台車1を牽引する。またワイヤ19を巻戻し操作することにより、牽引車13とともに畝間移動台車1が自重によって傾斜面を下って矢印方向に移動する。なお、操作スイッチ17は、コードを延長することにより牽引車13から取り外せるようにすることも可能であり、この場合には、遠隔操作によって巻取ウインチ14の巻取および巻き戻し制御を行うことができる。つまり、畝間移動台車1は案内レール2に沿って移動することができるので、牽引車13に作業者が付き添っていなくも牽引車13によるワイヤ19の巻取、巻き戻しによって案内レール2に沿って移動することができる。このため、牽引車13と案内レール2の近くで巻き取りウインチ14の操作を行うことができるので、牽引車13の前にいる場合に比べて牽引車13の移動の邪魔にならないようにすることができ、牽引車13および畝間移動台車1の円滑な移動が可能となる。
【0029】図6おいて軌道式茶葉摘採機を別の茶畝に移動させるには、軌道式茶葉摘採機が畝間に敷設されている畝間敷設レール21’の端に到着するまでに、巻取りウインチ14を操作して畝間移動台車1を移動させ、畝間移動台車の補助レール7と畝間敷設レール21’の端が近接する位置に停止させる。そして、畝間移動台車1の補助レール7と畝間敷設レール21’の端を連結部材71を用いて連結し、軌道式茶葉摘採機を畝間移動台車1上に乗り込ませる。その後、再び巻取ウインチ14を操作して畝間移動台車1を次に作業する別の茶畝まで移動させる。このように畝間移動台車1の移動,停止に、巻取ウインチ14を用いることによって、傾斜地における移動作業でも迅速に作業ができ、しかも正確な位置に畝間移動台車1を停止させることができる。したがって畝間に敷設されている畝間敷設レール21’の間隔が一定であれば、畝間移動台車1に備える補助レール7をスライドさせる微調整を不用にできて作業能率が著しく向上する。また大重量の軌道式茶葉摘採機を乗せた畝間移動台車1の移動,停止も一人の作業者で簡単に行うことができ、作業労力を軽減すると共に作業の安全性を向上できる。
【0030】一方、茶園での作業が終了した場合あるいは作業を開始する場合には、畝間移動台車1の台車枠3を運搬する必要がある。この際、それ自体かなりの重量物である台車枠3に対してさらに重量増加を招く重量物である巻取ウインチ14や発電機15が搭載されていないので、運搬の際の労力を軽減することができる。巻取ウインチ14および発電機15は牽引車13に搭載されているが、牽引車13は、それらの部材のみを装備しているだけであり、しかも牽引方向前後において複数の転輪13C、13Dを備えているので自立することができ、運搬および放置した場合でも安定性を確保して運搬性を向上させることができる。なお、上述した転輪のうち、牽引車13の牽引方向前側に位置する小径の転輪13Dは牽引車13の幅方向両側に設けることに限らず、単一としても良く、この場合には、水平面内で揺動可能、いわゆる、首振りが可能な構造とすることで運搬の際の方向制御を容易にする。
【0031】
【発明の効果】請求項1および2記載の発明によれば、巻取ウインチを装備している牽引車を畝間移動台車に連結し、牽引車により畝間移動台車を牽引するようにしたので、傾斜地で傾斜に沿って軌道式茶葉摘採機の移動作業を行うような場合でも、一人の作業者が手元でスイッチを操作するだけで畝間移動台車を所望の位置に正確に停止させることができ、また畝間移動台車が、停止させようとした位置より低位側に行き過ぎても、手元のスイッチの操作で簡単に戻すことができる。これにより、作業労力を著しく軽減し、かつ作業精度及び安全性を向上させた軌道式茶葉摘採機の畝間移動作業を行うことが可能になる。しかも、軌道上を移動することができる畝間移動台車は牽引車によって畝間を移動することができるので、移動のための駆動源を搭載する必要がなく、軽量化することができる。これにより、畝間移動台車の運搬に要する労力負担を軽減することができ、摘採作業に直接関係のない作業内容である畝間移動台車の運搬作業性を向上させることが可能になる。
【0032】請求項3記載の発明によれば、連結手段が連結部を垂直、水平の各方向および畝間移動台車の移動方向と直角な方向で揺動する方向に態位を調整できるので、畝間移動台車と牽引車との段差や枕地の傾斜さらには畝間移動台車と牽引車との進行方向が異なっていても牽引車による畝間移動台車の牽引が行える状態を設定することができる。
【0033】請求項4記載の発明によれば、牽引車の車台に有する転輪が少なくとも3輪設けられているので、車台の移動に際しての安定性を確保して牽引走行を容易にすることができる。
【出願人】 【識別番号】000250270
【氏名又は名称】落合刃物工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳
【公開番号】 特開平11−308914
【公開日】 平成11年(1999)11月9日
【出願番号】 特願平10−119135