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【発明の名称】 コンバインの刈取部支持装置
【発明者】 【氏名】日田 定範

【氏名】阪辻 隆雄

【要約】 【課題】刈取主フレームが接当する受け部の片減り現象を改善させ、円滑な横スライド状態と刈取主フレームの耐久性向上とを得る。

【解決手段】刈取部4を支持する主フレーム9を揺動可能、かつ、横スライド可能に機体に支承し、主フレーム9を駆動揺動させる昇降機構を備えてあるコンバインの刈取部支持装置において、左右向きの軸心Q回りで揺動自在に機体に枢支され、かつ、主フレーム9を相対横移動可能に受止め支持する揺動フレーム70と、この揺動フレーム70を駆動揺動させるアクチュエータ3aとで昇降機構を構成する。揺動フレーム70における主フレーム9が載置される受け部70Aを左右一対のボルトでフレーム本体70Bに取付けてあり、左右向き軸心X回りの位置変更、及び左右反転させての付換えの夫々が自在とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刈取部を支持する主フレームを左右向き支点回りで揺動可能に機体に支承し、前記支点部分において前記主フレームを機体に対して横移動可能に構成し、かつ、前記主フレームの駆動揺動によって前記刈取部を昇降可能な昇降機構を備えてあるコンバインの刈取部支持装置であって、前記昇降機構を、左右向きの軸心回りで揺動自在に機体に枢支され、かつ、前記主フレームを相対横移動可能に受止め支持する揺動フレームと、この揺動フレームを駆動揺動させるアクチュエータとで構成し、前記揺動フレームにおける前記主フレームを受け止める横向きの受け部を、該揺動フレームに対する左右向き軸心回りの位置変更が可能に揺動フレーム本体に支持させてあるコンバインの刈取部支持装置。
【請求項2】 刈取部を支持する主フレームを左右向き支点回りで揺動可能に機体に支承し、前記支点部分において前記主フレームを機体に対して横移動可能に構成し、かつ、前記主フレームの駆動揺動によって前記刈取部を昇降可能な昇降機構を備えてあるコンバインの刈取部支持装置であって、前記昇降機構を、左右向きの軸心回りで揺動自在に機体に枢支され、かつ、前記主フレームを相対横移動可能に受止め支持する揺動フレームと、この揺動フレームを駆動揺動させるアクチュエータとで構成し、前記揺動フレームにおける前記主フレームを受け止める横向きの受け部を、左右反転可能に揺動フレーム本体に支持させてあるコンバインの刈取部支持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの刈取部支持装置に係り、詳しくは、刈取部を機体に対して横スライド可能に、かつ、昇降可能に支持させる部分の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記技術としては、特開平9−233927号公報に示されたもののように、刈取主フレーム(符号12)を横支点(符号X)で揺動可能、かつ、横移動可能に機体に支承し、刈取主フレームに下方から接当して駆動揺動させる揺動フレーム(符号23)を設けてあった。つまり、油圧シリンダで駆動昇降される揺動フレームで刈取主フレームを駆動上昇及び自重下降させるとともに、揺動フレームに備えた電動ネジ送り機構によって刈取主フレームを横スライドさせるように構成してあり、刈取主フレームを直接受ける門型の受け部(符号23b )の左右幅は、横スライド量をカバーする長さに設定されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】コンバインでは、通常は刈取部を左に寄せた回り刈り形態であり、刈取部を右に寄せるのは中割り刈り等の頻度の少ないものである。従って、刈取主フレームを常に受け部材の左側部分に位置しているような状態で昇降駆動されるので、その左側部分が早期に磨耗し易い傾向にあった。そうなると、磨耗によって受け部に段差が付き、横スライド移動の抵抗が増えるとともに、段差通過時に振動が出る等円滑な横スライドの妨げになる。又、部品交換するには揺動フレーム全体を交換することになって不経済である等、刈取部支持装置としては改善の余地が残されていた。
【0004】本発明の目的は、揺動フレームにおける刈取主フレームが接当する受け部の片減り現象を改善させて、円滑な横スライド状態が得られるとか刈取主フレームの耐久性が向上するといった刈取部支持装置を実現させる点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕第1発明は、刈取部を支持する主フレームを左右向き支点回りで揺動可能に機体に支承し、支点部分において主フレームを機体に対して横移動可能に構成し、かつ、主フレームの駆動揺動によって刈取部を昇降可能な昇降機構を備えてあるコンバインの刈取部支持装置において、昇降機構を、左右向きの軸心回りで揺動自在に機体に枢支され、かつ、主フレームを相対横移動可能に受止め支持する揺動フレームと、この揺動フレームを駆動揺動させるアクチュエータとで構成し、揺動フレームにおける主フレームを受け止める横向きの受け部を、揺動フレームに対する左右向き軸心回りの位置変更が可能に揺動フレーム本体に支持させてあることを特徴とする。
【0006】第2発明は、刈取部を支持する主フレームを左右向き支点回りで揺動可能に機体に支承し、支点部分において主フレームを機体に対して横移動可能に構成し、かつ、主フレームの駆動揺動によって刈取部を昇降可能な昇降機構を備えてあるコンバインの刈取部支持装置において、昇降機構を、左右向きの軸心回りで揺動自在に機体に枢支され、かつ、主フレームを相対横移動可能に受止め支持する揺動フレームと、この揺動フレームを駆動揺動させるアクチュエータとで構成し、揺動フレームにおける主フレームを受け止める横向きの受け部を、左右反転可能に揺動フレーム本体に支持させてあることを特徴とする。
【0007】〔作用〕請求項1の構成によれば、主フレームを受け止める横向きの受け部を、揺動フレームに対する左右向き軸心回りの位置変更が可能に揺動フレーム本体に支持させてあるから、受け部を左右軸心回りに位置変更することで、主フレームが載置される箇所(面)を多く取れるようになる。従って、従来のように局部的に磨耗することがなくなり、受け部に段差の生じることが抑制されて円滑に横スライドできるとともに、1個の受け部の使用時間を延ばすことができて、耐久性が改善されるようになる。又、部品交換する場合には受け部のみで良く、従来のように揺動フレーム全体を交換するに比べて経済的である。
【0008】請求項2の構成によれば、主フレームを受け止める横向きの受け部を、左右反転可能に揺動フレーム本体に支持させてあるから、受け部の反転により、主フレームが載置される箇所(面)を増やすことができるようになる。従って、従来のように局部的に磨耗することがなくなり、受け部に段差の生じることが抑制されて円滑に横スライドできるとともに、1個の受け部の使用時間を延ばすことができて、耐久性が改善されるようになる。又、部品交換する場合には受け部のみで良く、従来のように揺動フレーム全体を交換するに比べて経済的である。
【0009】〔効果〕その結果、請求項1又は2に記載の刈取部支持装置では、揺動フレーム受け部の小規模な改造工夫により、主フレームとの接触部を増大できて、刈取部横スライドの円滑化や揺動フレームの耐久性向上が得られ、かつ、交換部品が少なくその交換作業性並びに経済性に優れたものとして提供することができた。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は2条刈りの自脱型コンバインの側面を示しており、左右一対のクローラ走行装置1を備えた機体2の前部に、横軸支点Pを中心にして油圧シリンダ3で上下に駆動揺動可能に、刈取前処理装置である刈取部4が連結されるとともに、機体2には脱穀装置5、操縦部6、穀粒ホッパ−7、エンジン(図示せず)等が搭載されている。
【0011】刈取部4には、横軸支点Pを中心に上下揺動可能に支持された刈取部主フレーム9、並列配備された左右一対の引起し装置10a,10b、引起こされた穀稈の株元を刈取るバリカン型の刈取装置11、刈取り穀稈を刈り幅中間に掻込み合流する左右一対のパッカー12,12、各パッカー上部から斜め前方に片持ち状に延出された左右一対の補助搬送装置13,13、刈取り穀稈を後方上方に搬送して横倒し姿勢で脱穀装置5のフィードチェーン14に受け渡す縦搬送装置15等が備えられている。
【0012】縦搬送装置15は、穀稈株元側に作用する株元挟持搬送機構15aと穀稈穂先側に作用する穂先係止搬送機構15bから成り、この縦搬送装置15が横軸支点Pを中心にして上下に揺動されることで扱き深さ調節を行うことができるよう構成されている。
【0013】図3、図6に示すように、機体2の前部に立設した刈取部支持台18には、刈取部の揺動支点となる横軸支点Pと同芯状に原動軸19がブラケット20を介して横架されている。そして、刈取部主フレーム9の基端ボス部9aが原動軸19に沿って横スライド可能に支持されるとともに、この基端ボス部9aには、原動軸19にトルク伝達可能かつ横スライド自在に外嵌したベベルギヤ24、及びこのベベルギヤ24に咬合するベベルギヤ25が基端ボス部9aと共に横移動可能に装着されている。又、基端ボス部9aからは前後向き伝動軸26を挿通支持したパイプフレーム27が前方に向けて延出されるとともに、前後向き伝動軸26の後端にベベルギヤ25が連結されている。
【0014】図3、図6に示すように、縦搬送装置15における株元挟持搬送機構15aと穂先係止搬送機構15bとの共通する駆動軸50が、原動軸19の左端部に横軸心Pを中心に回動可能に装着した回動ケース51に備えられており、穀稈長さ検出センサに検出結果に基づいて縦搬送装置15を図示しない電動式の駆動機構で上下揺動することで、稈長に関わらず扱深さ量を一定に維持する扱深さ制御が実行されるようになっている。
【0015】次に、刈取部4の支持構造について説明する。図3〜図5、及び図7、図8に示すように、左右向きの軸心Q周りで上下揺動自在に機体に枢支される揺動フレーム70と、この揺動フレーム70を駆動揺動させる油圧シリンダ(アクチュエータの一例)3とで、刈取部4を駆動昇降する昇降機構Aが構成されている。
【0016】揺動フレーム70は、刈取部支持台である左右のブラケット18,18に支軸55を介して両持ち支承される支点パイプ70aと、左右のアーム部70b,70bと、連結パイプ70cとを固着一体化させたフレーム本体70Bと、主フレーム9に下方から接当する左右に長い丸パイプ製の受け部70Aとで構成されている。受け部70Aは、左右のアーム部70b,70b先端の潰し部に2本のボルト16,16で取付けられており、ボルト16操作によって、左右向き軸心X回りの位置変更が自在であるとともに、左右反転させての付換えも自在であり、主フレーム9との接当箇所を増やして耐久性を向上させてある。
【0017】支点パイプ70aに、これのほぼ全幅に亘る長さの板材で成る補強部材52を溶着し、その補強部材52は両アーム部70b,70bの後端部夫々にも溶着してあり、フレーム本体70Bの強度を十分なものとしてある。主フレーム9における受け部70Aと接当する範囲の下面には、摺接補強部材71が取付けられている。
【0018】そして、主フレーム9の横移動位置の如何に拘らずに主フレーム9の揺動フレーム70に対する若干の上昇移動を許容し、かつ、それ以上の上昇を阻止する上昇規制機構Dを設けてある。上昇規制機構Dは、主フレーム9の上側を通る左右に長尺のピン79を、左右のステー80,81を介して揺動フレーム70に取付けて構成されている。ピン79は、各ステー80,81の貫通突出側に装着したベータピン82によって抜け止めされており、ベータピン82を取ればピン79を揺動フレーム70から抜き去ることが可能である。
【0019】図5に示すように、主フレーム9上面とピン79との間には僅かな間隙αが存在するように各部を寸法設定してあり、これによって刈取部4が機体に対して若干の上昇移動が可能になっている。間隙αの寸法は僅かであるが、レバー比の関係により、刈取部4の先端部分では明確に上方へ逃げ変位できるものとなっている。従って、自走による圃場への移動走行時や、トラックに搭載されての運搬移動時に機体が大きく上下に揺れるような場合には、主フレーム9の上方への逃げ移動によって多少のショックは吸収することができ、ピン79に作用する荷重による変形おそれが極力ないようにしてある。
【0020】油圧シリンダ3のピストンロッド3a先端部は、連結パイプ70cに固着されたコ字形状の取付ブラケット72に枢支されるとともに、この取付ブラケット72の下面に螺着されるストッパーディスク73、及びこのストッパーディスク73に接当可能な接当部材74を油圧シリンダ3の本体3bに固定してある。つまり、接当部材74とストッパーディスク73との接当によって油圧シリンダ3の短縮限界、すなわち刈取部4の下降限界が決まるものであり、ストッパーディスク73の形状は、これのネジを緩めての回動操作によって接当部材74との接当位置を可変調節できるように、その径を略渦巻き状に変化させてある。従って、ストッパーディスク73の位置調節により、刈取部4の下限位置を上下に調節できる下限調節機構Bが構成されている。
【0021】そして、主フレーム9に係合されてこれと一体で左右移動する横送り部材75と、これに螺合する状態で左右のアーム部70b,70bに架設配備されるネジ軸76と、このネジ軸76を駆動回動するギヤードモータ77を備えることにより、主フレーム9を、すなわち刈取部4を強制横スライドさせる横送り機構Cを構成してある。
【0022】ネジ軸76の左側を軸支するアーム部70bのブラケット70dに、ギヤードモータ77を取付けてあるとともに、横送り部材75の回り止めを行うバー部材78を左右のアーム部70b,70bに固着してあり、そのバー部材78が、揺動フレーム70の強度・剛性向上に寄与する補強部材にもなっている。又、ギヤードモータ77へのリード線(ワイヤーハーネス)53は、揺動フレーム70の補強部材52の裏側を沿わして運転部6側に向けて配策してある。
【0023】図5に示すように、主フレーム9の荷重は必ず受け部70Aに作用させて、ネジ軸76には荷重が作用しないようにする都合上、正面視で略U字形状の横送り部材75の底部75aと、主フレーム9下面とには、これら両者が最も接近する状態においても上下に隙間ができる状態に設定してある。バー部材78によって横送り部材75を回り止めしてあるので、ネジ軸76を正回転と逆回転との反転駆動時に、横送り部材75前後の底端部75f,75rと主フレーム9下面とが接当することがなく、従ってその衝突音も発生しないようになっている。
【0024】主フレーム9は、揺動フレーム70に受止め載置されるので、揺動フレーム70の上下揺動に追従して上下動するとともに、地上の隆起物に乗り上がる場合には揺動フレーム70に対して刈取部4のみが離反して上昇できるようになっている。又、刈取部4は作業の形態によって以下のようにスライド調節される。
【0025】(回り刈り作業)機体1の左側を未刈り地として刈取り作業する通常の回り刈り時には、横送り機構Cを駆動して、図2(ロ)に示すように刈取部4を最大限左方にスライド変位させ、刈取り幅の左端が左側のクローラ走行装置1よりも未刈り地に突出する状態にする。このようにすることで、最も機体1に近い未刈り穀稈を左側のクローラ走行装置1から離すことができ、湿田作業において左側のクローラ走行装置1の沈下によって盛り上がった土が未刈り穀稈の株元を押したり、機体側に倒れ込んだ未刈り穀稈が左側のクローラ走行装置1に接触したり踏み倒されたりするのを未然に回避することができる。
【0026】(中割り作業)圃場の中間を突っきって刈取り走行する中割り作業時には、横送り機構Cを駆動して、図2(イ)に示すように刈取部4を最大限右方にスライド変位させ、刈取り幅が左右クローラ走行装置1の踏み幅内に収まる状態にする。このようにすることで、一対の引起し装置10a,10bで3条の穀稈を刈取り、左右(特に右側)クローラ走行装置1による踏み倒しなく全面刈りを行うことが可能となる。
【0027】〔別実施形態〕受け部70Aは、角パイプや棒材、或いは鋳物部材でも良い。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)3月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−275920
【公開日】 平成11年(1999)10月12日
【出願番号】 特願平10−79590