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【発明の名称】 草刈り装置の支持構造
【発明者】 【氏名】大島 博

【氏名】冨山 芳雄

【氏名】林 正樹

【氏名】村川 正剛

【要約】 【課題】草刈り装置において、簡易な改造により、車体が地面に対して左右方向で傾くような状態で刈取作業を行う場合でも、地面に対してほぼ平行な刈取面で刈り取ることができるようにする。

【解決手段】草刈り装置7を、左右一対の吊り下げ具16,16を介して昇降リンク機構18に吊り下げ支持するとともに、前記各吊り下げ具16を前記昇降リンク機構18に対して前後方向に沿う軸芯X周りで左右揺動自在に設け、前記吊り下げ具16,16における前記草刈り装置7との連結位置を、それぞれの前記軸芯X,X位置よりも左右横幅方向において横外側に偏位させて設定してある草刈り装置の支持構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 草刈り装置を、左右一対の吊り下げ具を介して昇降リンク機構に吊り下げ支持するとともに、前記各吊り下げ具を前記昇降リンク機構に対して前後方向に沿う軸芯周りで左右揺動自在に設け、前記吊り下げ具における前記草刈り装置との連結位置を、それぞれの前記軸芯位置よりも左右横幅方向において横外側に偏位させて設定してある草刈り装置の支持構造。
【請求項2】 前記左右の吊り下げ具の各外方への揺動限界を接当規制する当たり部を備えてある請求項1に記載の草刈り装置の支持構造。
【請求項3】 前記左右の吊り下げ具をそれぞれ内方に向けて弾性付勢する付勢手段を設けてある請求項1又は2に記載の草刈り装置の支持構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体に草刈り装置を吊り下げ支持した草刈り装置の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の草刈り装置の支持構造にあっては、例えば特開平9‐327223号公報に開示されているように、草刈り装置の接地輪で刈取対象の草が不当に倒されたり地面が凹む痕が残ったりしないようにするため、走行機体に設けた昇降リンク機構に左右一対の垂下姿勢の吊り下げ具により吊り下げ支持するものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来構造の草刈り装置の支持構造にあっては、草刈り装置を、単に機体から左右一対の吊り下げ具により吊り下げ支持するだけの構成となっていたから、凹凸のない平地を走行しての作業では、その作業地に対して刈取面が平行面となる水平に維持されるものとなっているものの、例えば傾斜地の等高線方向に沿って草刈り作業する場合に、下位に位置する側の車輪の方に荷重が大きくかかることで、その車輪の方が上位に位置する側の車輪よりも地面に沈み込む状態で走行したり、下位側のタイヤの有効径が少し小さくなる状態で走行したりする場合には、機体と平行に配置した草刈り装置の刈取面が地面に対して下側ほど地面に近づく斜めになる刈取状態となり、その状態で等高線に沿う往復走行で刈取作業をすると、刈り跡が段状になるという不具合を有していた。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、草刈り装置において、簡易な改造により、車体が地面に対して左右方向で傾くような状態で刈取作業を行う場合でも、地面に対してほぼ平行な刈取面で刈り取ることができるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】(構成) 本発明の請求項1にかかる草刈り装置の支持構造は、草刈り装置を、左右一対の吊り下げ具を介して昇降リンク機構に吊り下げ支持するとともに、前記各吊り下げ具を前記昇降リンク機構に対して前後方向に沿う軸芯周りで左右揺動自在に設け、前記吊り下げ具における前記草刈り装置との連結位置を、それぞれの前記軸芯位置よりも左右横幅方向において横外側に偏位させて設定してあることを特徴構成とする。
【0006】(作用) 本発明の請求項1にかかる構成によれば、走行機体が水平のときには、左右一対の吊り下げ具のそれぞれを左右に揺動自在に支持する2つの前後軸芯と、左右一対の吊り下げ具における草刈り装置との2つの連結箇所とを結ぶと正面視で台形となるように、草刈り装置を吊り下げ具で吊り下げ支持しているから、図3(イ)に示すように、水平な地面上を草刈り作業する場合には、左右一対の吊り下げ具16,16がそれぞれ草刈り装置7に連結される姿勢が左右に等しいものとなって両吊り下げ具16,16(16b,16b)での草刈り装置7の支持高さが左右に同一高さになっているので、左右方向で刈取面が地面に平行な状態に維持されるので、刈取高さが均一なものとなる。一方、図3(ロ)に示すように、傾斜地を等高線に沿って草刈り作業する場合には、例え下位側の車輪2が地面に沈んだり、下位側の車輪2の有効径が小さくなったりして、車体が傾斜地の左右方向での傾斜角度より傾いても、その傾きにより、左右一対の吊り下げ具16,16(16b,16b)のうち下位側に位置するものが前後軸芯Xを通る垂直線に近い状態からその垂直線より横外方へ離れるように揺動し、上側に位置するものが前後軸芯を通る垂直線に比較的離れた位置から近づく側に揺動するので、左右方向でみて下位側に位置する吊り下げ具の方の左右方向での移動量が上位側に位置する吊り下げ具より大きくなって、車体の傾きよりも地面の傾きに近い刈取面となる姿勢に草刈り装置が支持されることになる。よって、草刈り装置の刈取面がその傾斜面に対して平行な面に近い状態での刈取作業がなされるので、段刈りを抑制できることになる。
【0007】(効果) 従って、本発明の請求項1にかかる構成によれば、傾斜地を等高線に沿って草刈り作業する場合に、下位側の車輪が地面に幾分沈んだり、或いはその車輪の有効径が小さくなったりして、車体の左右傾斜が傾斜面の傾斜角度より傾くようなことがあっても、草刈り装置は傾斜地の傾斜面にほぼ沿う姿勢に吊り下げ具の吊り下げ姿勢の変更で自動的に修正されるから、草刈り装置の姿勢の人為的な調節を行わなくても、段刈りが抑制された状態で良好な草刈り作業を行える。
【0008】(構成) 本発明の請求項2にかかる草刈り装置の支持構造は、請求項1に記載のものにおいて、前記左右の吊り下げ具の各外方への揺動限界を接当規制する当たり部を備えてあることを特徴構成とする。
【0009】(作用) 本発明の請求項2にかかる構成によれば、水平地を走行しているときで、機体を操向する際の遠心力で草刈り装置が左右に大きく傾きそうな場合でも、草刈り装置が地面と接触しないよう、当たり部で左右の吊り下げ具の各外方への揺動が規制されるから、草刈り装置が一定傾斜姿勢以上に左右に傾かないようになっている。
【0010】(効果) 従って、本発明の請求項2にかかる構成によれば、草刈り装置が一定以上左右に傾かないようになっているので、機体の操向時に草刈り装置が遠心力で傾く場合でも不当に大きく傾かないようにできて、その草刈り装置が地面と接触するような不具合も回避できるものとなっている。
【0011】(構成) 本発明の請求項3にかかる草刈り装置の支持構造は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記左右の吊り下げ具をそれぞれ内方に向けて弾性付勢する付勢手段を設けてあることを特徴構成とする。
【0012】(作用) 本発明の請求項3にかかる構成によれば、水平地を走行しているときで、機体を操向する際の遠心力で草刈り装置が左右に大きく傾きそうな場合でも、草刈り装置が地面と接触しないよう、各吊り下げ具が内方に付勢手段で弾性付勢されているから、草刈り装置が大きく左右に傾かないよう抵抗が与えられることになる。
【0013】(効果) 従って、本発明の請求項3にかかる構成によれば、左右の吊り下げ具にそれぞれ設けられる内方への弾性付勢力を与える付勢手段によって、草刈り装置が大きく左右に傾かないようになっているので、機体の操向時に草刈り装置が遠心力で傾く場合でも不当に大きく傾かないようにできて、その草刈り装置が地面と接触するような不具合も回避できるものとなっている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に、乗用型芝刈機を示している。この乗用型芝刈機は、左右一対の前車輪1,1と後車輪2,2とで支持される機体フレーム3の前側にエンジン4を搭載し、機体フレーム3の後部側に搭乗運転部5を配備し、エンジン4からの動力が伝達されるミッションケース6を機体後部側に配設し、このミッションケース6からの動力で駆動される草刈り装置の一例の芝刈装置7を、前車輪1,1と後車輪2,2との間で機体下腹部空間に配設して構成している。
【0015】そして、図1に示すように、芝刈装置7は、前記ミッションケース6からベルト伝動機構8を介して伝動されるとともに、ハウジングケース9に内装された3枚のブレード刈刃10a,10b,10cがそれぞれ縦軸芯周りで回転駆動されるように構成されている。ハウジングケース9における前縁部箇所には、図2に示すように、多数のスクレーパ部材11を左右に並設している。このスクレーパ部材11は、棒状部材で構成されているとともに、刈取対象の刈芝を一定の横倒れ姿勢にするものであって、そのように横倒れ姿勢となった芝Kがハウジングケース9内に入ってきた状態で、図6に示すように、向かい刈りが各ブレード刈刃10a,10b,10cによって行われるようになっている。従って、確実性高く向かい刈りができるようになっているので、刈り残しが生じにくくなっている。
【0016】図1乃至図4に示すように、ハウジングケース9の前側は、このハウジングケース9の前端部に設けたフック部12に係合される前側支持アーム13を介して機体フレーム3に上下揺動可能に支持している。一方、ハウジングケース9の後側は、機体フレーム3に片持ちされ、かつ遊端部を高さ調節具14に支持される左右一対のアーム15のそれぞれに、吊り下げ具16,16を介して、ハウジングケース9の上面部に設けたブラケット17が吊り下げ支持されている。ここで、高さ調節具14とアーム15は昇降リンク機構18を構成している。詳述すると、吊り下げ具16,16は、それぞれ、アーム15,15に対して横軸芯P1周りで揺動自在に上端部を軸支するとともに、その下端部をブラケット17に横軸芯P2周りで揺動自在に軸支している。そして、各吊り下げ具16,16は、その上下方向での中間で前後方向に沿う軸芯X周りで相対左右揺動自在に構成している。すなわち、吊り下げ具16は、アーム15に軸支される上側部分16aと、ブラケット17に軸支される下側部分16bとを蝶番構造により連結して、下側部分16bが前後軸芯X周りで相対的に左右揺動自在に構成している。さらに、図3に示すように、左右一対のアーム15,15における吊り下げ具16,16の軸支位置よりも、左右一対のブラケット17,17における吊り下げ具16,16の軸支位置が左右それぞれの横外側に偏位させている。このため、図3(イ)に示すように、機体が水平な状態のときには、吊り下げ具16の上側部分16aは垂直方向に沿う姿勢であって、下側部分16bは下方ほど横外側に位置する状態で機体の左右方向での中心に対して左右に対称となっている。そして、例えば、図3(ロ)に示すように、傾斜地を等高線方向に走行しながら芝刈作業をしているような場合で、左右の前車輪1及び後車輪2のうち下位にある側のダイヤ車輪の有効径が上位にある側のタイヤ車輪より小さくなっている状態で走行するような場合は、芝刈装置7の下位にある側の吊り下げ具16の下側部分16bは、上位にある側の吊り下げ具16の下側部分16bよりも横外方への揺動量が大きくなるので、芝刈装置7の刈取面の左右方向での傾斜角度は、走行機体の左右方向での傾斜角度よりも傾斜地の地面の傾斜に近いものとなって、その状態での刈取作業での段刈り現象を抑制できるものとなっている。尚、下側部分16bのブラケット17との軸支箇所は、この下側部分16bが左右にある程度傾けることができる融通構造となっている。
【0017】また、図3(イ),(ロ)に示すように、両吊り下げ具16の上側部分16aに、正面視くの字状のストッパー片Sを溶接により連設している。このストッパー片Sは、下側部分16bが軸芯X周りで上方側に揺動しようとしても一定角度以上揺動できないよう接当規制する当たり部を構成するものであって、ストッパー片Sにおけるくの字形状の下側傾斜部分が下側部分16bと当たるようになっている。
【0018】次に、エンジン4から機体後部のミッションケース6に軸伝動する構造について簡単に説明する。図4及び図5に示すように、エンジン4の後方に突出した出力軸4aの後端部には、ボールジョイント20を介してプロペラシャフト21を連動連結している。このボールジョイント20は、出力軸4aの後端部の凹入孔22の内面部に形成した4条のボール係合溝23‥のそれぞれに係合するボール24‥をスプリング25で外方に押圧される状態でプロペラシャフト21の先端部のボール支持体26にボール24‥を介して伝動可能に設けている。従って、各ボール24‥は外向きに押圧されてボール係合溝23‥に常時接触する状態にしているので、ボール24‥とボール係合溝23‥との間に遊びが生じないように密着させることで、そこでの騒音の発生も抑制している。
【0019】尚、上記とは別に、図8(イ),(ロ)に示すように、ボール支持体26側のボール24を係合しているボール係合用凹部27に弾性樹脂製のオーリング28を装着した状態でボール24を係合した構成にしても良い。このオーリング28の弾性力によってボール24がボール係合溝23に密着するものとなっている。
【0020】〔別の実施の形態〕
■ 図7に示すように、吊り下げ具16における下側部分16bに対して軸芯X周りでの内方向きの弾性付勢力を与える付勢手段としてのスプリング29を、吊り下げ具16の上側部分16aに溶接して設けた正面視くの字状のストッパー片Sに設けている。従って、ストッパー片Sによって、下側部分16bの左右揺動での外方への揺動限界が設定されているとともに、スプリング29によって下側部分16bの左右揺動での外方への揺動を抑制できるようにしているので、機体操向時における遠心力で芝刈装置7が不当に大きく左右方向で傾くことがないよう規制されるものとなっている。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)3月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−266646
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−75206