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【発明の名称】 根菜作物の収穫機
【発明者】 【氏名】金光 幹雄

【氏名】太田 智彦

【氏名】大久保 定明

【氏名】三戸 実

【氏名】蒲田 義明

【氏名】東 宏信

【氏名】末鶴 正明

【氏名】杉岡 将人

【要約】 【課題】大根を引き抜き易くするソイラー装置の土切り刃を浮上させて走行し易くしつつ該刃を土中に侵入し易くする。

【解決手段】ソイラー装置12の土切り刃13を昇降駆動体14にて昇降させるとき、不等辺四節リンク15を介在して昇降することで、刃13を後下り状にして浮上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圃場に植えられた根菜の茎葉を引起す前処理装置と、圃場に切目を形成する土切り刃を有するソイラー装置と、前記前処理装置で引起した茎葉を挟持して後上り傾斜状に搬送することで根菜を圃場から引き抜く引き抜き搬送装置と、を備えている根菜作物の収穫機において、前記ソイラー装置を昇降動作する昇降駆動装置を備え、ソイラー装置を昇揚させて土切り刃を圃場より浮上して非作業姿勢としたとき、該土切り刃の下端を後ろ下り方向に倒伏する姿勢変向手段を備えていることを特徴とする根菜作物の収穫機。
【請求項2】 昇降駆動装置は、前処理装置とソイラー装置および引き抜き搬送装置を昇降動作するとともに、引き抜き搬送装置上昇操作時その上昇に伴い土切り刃を前側に有する姿勢変更手段を連動して上昇させると共に、該土切り刃の下端を後方上方に浮上して格納することを特徴とする請求項1記載の根菜作物の収穫機。
【請求項3】 昇降駆動装置は、前処理装置とソイラー装置とを一体として昇降動作するとともに、姿勢変更手段は、不等辺四節リンクで構成されていることを特徴とする請求項1記載の根菜作物の収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大根,人参,ごぼう等の根菜作物を収穫するものに関する。
【0002】
【従来の技術】圃場に植えられた根菜の茎葉を引起す前処理装置と、圃場に切目を形成する土切り刃を有するソイラー装置と、前記前処理装置で引起した茎葉を挟持して後上り傾斜状に搬送することで根菜を圃場から引き抜く引き抜き搬送装置と、を備えている根菜作物の収穫機において、は公知であり、例えば、特開平6−308340号公報で開示されている。
【0003】該公報で開示の収穫機は、当該公報の段落番号〔0035〕に記載されているように、「図1,図2に示すように、油圧式の昇降シリンダ61で駆動されるリフトアーム59と引抜きフレームFとを連結リンク60を介して連動連結するとともに、引抜きフレームFと切刃フレーム38とをターンバックル62を介して連動連結してある。ターンバックル62上部と引抜きフレームFとの連結点R1と第1揺動支点Xとの距離よりも、ターンバックル62下部の切刃フレーム38との連結点R2と第2揺動支点Yとの距離が十分に短いので、引抜きフレームFの昇降量に比べて切刃フレーム38の昇降量が著しく大きくなる不等辺リンク機構に構成されている。従って、土切り刃2が土中深く位置する作業姿勢(図1参照)から、昇降シリンダ61を伸長駆動させて、引抜きフレームFを上昇させると切刃フレーム38はより大きく上昇されて、土切り刃2下端が十分に対地浮上した非作用姿勢(図2参照)となるように構成されている。」ものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述公報で開示の従来技術にあっては、土切り刃を非作用姿勢にしたとき、該土切り刃の下端が前下り方向になるため、対地浮上量が前処理装置によって制約されるし、また、土切り刃の下端が前下り方向となると、非作業姿勢で走行中に土切り刃の下端が障害物(例えば畝等)に遭遇すると、該障害物を乗りきることが困難になるという課題があった。
【0005】また、土切り刃は走行車体の前進によって圃場に切目を形成するものであるから、その刃身の前縁に刃部が形成されており、このような土切り刃を非作用姿勢から作用姿勢(圃場(畝・植土)に侵入させる)にするとき、前下り方向から後方へ揺動して起立することとなって、これでは刃部が形成されていない部分から土中に侵入することから、侵入抵抗が過大になるという課題があった。
【0006】この侵入抵抗が過大になることは、土切り刃の耐久性、該土切り刃を支持している部材の耐久性および昇降駆動装置(例えば流体(油圧)シリンダ)の負担が大きくなること等々を誘発するという課題があった。本発明は、従来の技術の前述したような課題を、ソイラー装置を昇揚させて非作業姿勢にするとき、土切り刃の下端を後下り方向に倒伏させることによって解決した根菜作物の収穫機を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、圃場に植えられた根菜の茎葉を引起す前処理装置と、圃場に切目を形成する土切り刃を有するソイラー装置と、前記前処理装置で引起した茎葉を挟持して後上り傾斜状に搬送することで根菜を圃場から引き抜く引き抜き搬送装置と、を備えている根菜作物の収穫機において、前述の目的を達成するために、次の技術的手段を講じている。
【0008】すなわち、本発明に係る根菜作物の収穫機は、前記ソイラー装置を昇降動作する昇降駆動装置を備え、ソイラー装置を昇揚させて土切り刃を圃場より浮上して非作業姿勢としたとき、該土切り刃の下端を後ろ下り方向に倒伏する姿勢変向手段を備えていることを特徴とするものである。このような構成を採用したことによって、ソイラー装置を非作業姿勢として畝越え、路上走行等するとき、土切り刃は後下り方向に倒伏していることから、該土切り刃の下端が障害物(例えば畝等)に遭遇しても乗りきることができるし、また、対地浮上量が前処理装置に制約されることがないので浮上量を大きくできるのである。
【0009】一方、非作業姿勢から作業姿勢にするためソイラー装置の土切り刃を圃場に侵入させるとき、該土切り刃は前方移動しながら起立することとなって、土切り刃の刃縁で軽快に裂くことができここに土中侵入抵抗は少なくなるのである。このことは、土切り刃等の耐久性を大幅に向上できるとともに、昇降駆動装置の負荷も軽減できて、該装置が油圧シリンダであるときの油洩れも少なくなるのである(請求項1)。
【0010】なお、前述の昇降駆動装置は、前処理装置とソイラー装置および引き抜き搬送装置を昇降動作するとともに、引き抜き搬送装置上昇操作時その上昇に伴い土切り刃を前側に有する姿勢変更手段を連動して上昇させると共に、該土切り刃の下端を後方上方に浮上して格納することが望ましく(請求項2)、また、前述の昇降駆動装置は、前処理装置とソイラー装置とを一体として昇降動作するとともに、姿勢変更手段は、不等辺四節リンクで構成されていることが望ましい(請求項3)。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、大根,人参等を対象とする根菜作物の収穫機の正面図である図1、同じく平面図である図2、同じく側面図である図3、引き抜き搬送装置の一部拡大正面図である図4、同じく搬送装置の一部拡大平面図である図5、根菜類の搬送説明図である図6に基いて説明する。
【0012】本発明に係る収穫機は、左右対のクローラ走行装置で例示する走行装置1により自走可能な走行車体2と、この走行車体2の左右一方側端部、この実施形態では左側端部に備えた引き抜き搬送装置3と、該引き抜き搬送装置3の右側で走行車体2の前側寄りに搭載されている操縦部4と、前記引き抜き搬送装置3および操縦部4の後方において走行車体2の上面から後方に延伸した作業床5とを備えて主構成されている。
【0013】走行車体2の前後方向中央部位の側端部には支点軸受部6が備えられ、該軸受部6に左右方向(走行車体の進行方向と交差する方向をいう)の軸心廻りで上下揺動自在として支持フレーム(昇降フレーム)7の下端側後方寄りを枢着しており、該支持フレーム7が前後方向に延伸されているとともい、当該支持フレーム7の上部に引き抜き搬送装置3が備えられている。
【0014】引き抜き搬送装置3は、前半の左右一対の搬送無端体からなる引抜き処理部8と後半の搬送無端体および茎葉切断刃からなる茎葉処理部9とによって構成されていて、引抜き処理部8の前方には圃場(畝)Dに植えられた根菜作物Aの茎葉ALを引起す前処理装置10が配置されており、該前処理装置10は、支持フレーム7の前端に上下のリンク11A,11Bを介して装着されている。
【0015】前処理装置10のやや後方で引抜き処理部8の引抜き開始部位近傍の右側には、ソイラー装置12が走行車体2の前端左側に昇降自在として装着されており、該ソイラー装置12は圃場に切目を形成する前面視にてほぼL形とされている土切り刃13を有し、該土切り刃13は帯板材からなる刃身(直刃爪)の前縁に刃部13Aが形成されている。
【0016】ソイラー装置12を昇降動作する昇降駆動装置14が本実施形態では伸縮形流体(油)シリンダとして図7および図8で示すように、走行車体2の前左側に左右方向のピン(軸)14Aを介して枢着されており、該シリンダのピストンロッドエンドが姿勢変更手段15に左右方向のピン(軸)14Bを介して枢着され、本実施形態ではシリンダ(昇降駆動装置14)を伸長することで降下動にて土切り刃13が土中に侵入して作業姿勢(図7参照)となり、一方、縮小することで昇揚動にて土切り刃13が圃場より浮上して非作業姿勢(図8参照)となるように構成されている。
【0017】姿勢変更手段15は図7及び図8で示すように、不等辺四節リンクで構成されており、具体的には上リンク15Aの長さに対して下リンク15Bの長さを短くして上・下リンク15A,15Bの後端部を走行車体2に固着した上・下ブラケット16,17にそれぞれ左右方向のピン(軸)16A,17Aにて枢着し、上・下リンク15A,15Bの前端部を土切り刃13の取付第18Aを有する連結リンク18の上下にそれぞれ左右方向のピン(軸)18B,18Cにて枢着している。
【0018】すなわち、前記ソイラー装置12を昇降動作する昇降駆動装置14を備え、ソイラー装置12を昇揚(持上げ)させて土切り刃13を圃場Dより浮上して非作業姿勢としたとき、該土切り刃13の下端を後ろ下り方向に倒伏する姿勢変向手段15を備えているのであり(図8参照)、このような構成を採用したことによって、畝,畦等を乗り越えて走行したり、一般路上を走行したりするとき、土切り刃13が障害物(畝等)に遭遇したとしてもその障害物との接触抵抗は、該刃13を前下り方向又は垂直方向にしたものに比較して明らかに抵抗は軽減されるのであり、ここに、畝越え等が軽快にできるのである。
【0019】一方、非作業姿勢から作業姿勢(図7参照)に移行させるときは、後下り方向に倒伏(格納)されていた土切り刃13はその下端が前方に揺動(姿勢変更)し、このとき、土切り刃13の刃部13Aが前縁側にあることから、土中挿入抵抗は、後方揺動に比較して明らかに軽減され、ここに、土中侵入が軽快になるとともに、負荷は軽減されるのである。
【0020】なお、土切り刃13はその取付台18Aに上下方向に長いか上下方向に間隔を有する取付孔を形成しておいて、ピン等の抜き差しによって取付位置を上下に変更することで切込み深さが調節自在であるとともに、土中に侵入して切目を形成するとき、土切り刃13を前後方向に振動させることにとて切削抵抗が軽減できるようにされている。
【0021】姿勢変更手段15における下リンク15Bの中途には、図7および図8で示すように連動杆19の下端が枢着され、該連動杆19の上端に支持フレーム7から上向に突設した棒状部材20の端部を枢着している。このような構成を採用したことによって、昇降駆動装置14は、前処理装置10とソイラー装置12および引き抜き搬送装置3を一体として昇降動作するとともに、引き抜き搬送装置3の上昇操作時その上昇に伴い土切り刃13を前側に有する姿勢変更手段15を連動して上昇させると共に、該土切り刃13の下端を後方上方に浮上して格納するようにされている。
【0022】このように、前処理装置10とソイラー装置12とを一体として昇降動作することによって、作業高さ(深さ)を作物の大小等によって調整した後であっても昇降動作によって調整量は変動しないのである。また、姿勢変更手段15を連動して昇降することによって、前処理装置10の昇降量に較べてソイラー装置12の昇降量を大きくすることで、対地浮上を充分に確保しているのである。
【0023】前処理装置10は、複数の突起21を左右方向の軸心回りで回転移動させて地中にある根菜の茎葉を引起こす縦回し式引起し機構22と、複数の突起23を前後方向の軸心回りで回転移動させて地中にある根菜の茎葉を引起こす横回し式引起し機構24とを備えて構成されていて、これら両機構の位置を一体的に上下調節可能にする調整ハンドル手段25を備えている。
【0024】このような構成を採用することで四方八方に倒れている茎葉を起こすことができるのである。すなわち、どの方向に延びた茎葉も残すこと無く引起しでき、掴め損ねた茎葉の悪影響が少なくより良好な根菜引抜きに寄与する前処理装置を、圃場や根菜の種類、品種の違いに適合できる状態で実現することがきるのである。
【0025】縦回し式引起し機構22は、図9で示している上下一対の輪体26,27に無端ベルト28を巻回して構成され、突起21はベルト28の面に対してほぼ垂直に突出されており、該突起21は合成樹脂又はゴム等の弾性材製とされていて、図9の矢符Bの方向の循環回走するものとして左右対で備えられている。横回し式引起し機構24は、図9及び図11で示している上下一対の輪体29,30に無端ベルト31を巻回して構成されており、図11で示す矢符Cの方向に循環回走するものとして左右対で備えられており、突起23はベルト31の面に対して後傾斜して列設されているとともに、縦回し式引起し機構22の突起21よりも断面形状が小形でかつ硬度が低く(柔らかく)されており、これによって、突起23の弾性変形により、引起し中において茎葉を傷めたり、根菜本体を傷つけたりすることが無いようにしながら、前後左右に延びている茎葉を良好に引起すことができるようになる。
【0026】また、図11で示すように、左右一対の横回し式引起し機構24の下部は互いに近づき、上部は離れるようになっているから、引起し下部においては左右の突起23による良好な茎葉引起し作用が得られるとともに、搬送装置等の後工程に根菜が移送される所となる引起し上部においては広い左右間隔によって根菜や茎葉が引っ掛かったりすることなく円滑にする抜けることが可能になっている。
【0027】引き抜き搬送装置3における引抜き処理部8は、図9で示すように、左右一対の弾性エンドレスベルト(搬送無端体)32を前部上流側を下方、後部下流側を上方に位置させた斜めに配設され、ベルト対向面は互いに左右から対向して前部下方から後部上方に移動しエンドレス回転する。この処理部8の先端部は、図6で示すように引き抜き開始部であり、左右の弾性エンドレスベルトの対向面によって根菜類Aの茎葉部ALを挟持し斜め上方へ引き抜くとともに、そのまま茎葉部ALを挟持して斜め後方へ搬送する。弾性エンドレスベルトは、合成樹脂、ゴム、スポンジ等の弾性のある素材で形成することが望ましく、また、図9で示すように、ベルト32の対向面にはベルト幅方向で2段の突条32Aがベルト長手方向に連続して形成されることによって、茎葉部ALを確実に挟持して搬送中に落下しないようになっており、ベルト32は前下位の従動輪体33と後上位の駆動輪体34に巻回されている(図9参照)。
【0028】引き抜き搬送装置3における後半の茎葉処理部9は、図4および図6並びに図9で示しているように、位置決め搬送体35、根部搬送体36、茎部搬送体37および茎葉切断刃38等から構成されている。位置決め搬送体35は、引き抜き処理部8の後部下方に、搬送下流側にいくほど間隔を広げるように角度を有して、引き抜き処理部8より水平方向の角度で設けられる。この実施の形態では引き抜き処理部8は、作業中地上面とは約45度の角度を有しており、位置決め搬送体35は引き抜き処理部8から約25度角水平方向に傾斜する。位置決め搬送体35は左右一対の弾性エンドレスベルトのベルト対向面を左右から対向して接してなる。エンドレスベルトの対向面の対向力、すなわち茎葉部ALの挟持力はスプリング、板バネ等の弾性体の付勢力によって考えられており、挟持力の強弱は弾性体によって調整される。位置決め搬送体35は、引き抜き処理部8によって茎葉部AL上部を挟持されて搬送されてくる根菜類Aの茎葉部AL下部を挟持して、引き抜き処理部8と一緒に搬送しつつ、根菜類Aの根部AR上端を位置決め搬送体35の下面位置に揃える。
【0029】位置決め搬送体35のベルト対向面の挟持力は、引き抜き処理部8のベルト対向面の挟持力より弱い、あるいは緩い挟持力である。搬送下流側にいくほど間隔が広くなるように角度を有して上下に重なって配設されている引き抜き処理部8の下流側と位置決め搬送体35は、挟持力の強い引き抜き処理部8によって根菜類は斜め上方へ搬送され、位置決め搬送体35に挟まれる茎葉部ALは、挟まれつつ上方へずり上がりながら移動し、根部ARの肩が位置決め搬送体35の下面に当接する。そのため根菜類は、引き抜き処理部8によって引き抜かれ時に、茎葉部の上下のどの位置をエンドレスベルトが挟持していても、上方の挟持力の強い引き抜き処理部8と、比較的挟持力の弱い位置決め搬送体35によって、根菜類Aは位置決め搬送体35の下面位置に根部AR上端を揃えて整列されることができる。
【0030】なお、位置決め搬送体35の下面は根部上端を揃えて位置決めするものであることから、図12で示しているようにベルト(弾性材製)の下面が膨隆した弾性膨隆部35Aがベルト長手方向に連続して形成してある。根部搬送体36は、位置決め搬送体35と同方向の下流側延長位置に配設され、より後部に長く延びており、一対の弾性エンドレスベルトのベルト対向面を左右から対向して接してなる。根部搬送体36は、駆動軸である上流側プーリ軸39を位置決め搬送体35の駆動軸である下流側側プーリ軸39と同じくし、根部搬送体36の上流側先端部分と位置決め搬送体35の下流側後端部分とが重なり合うように配設されている。
【0031】根部搬送体36は、位置決め搬送体35から搬送されてくる根菜類Aの茎葉部ALの下部位置を挟持し、この根部搬送体36の挟持力は、位置決め搬送体35の挟持力より強くされている。根部搬送体36の下流側端部の下方に水平方向のローラあるいはバー材等からなる倒伏体40および受台41をその順序で設け、根部ARの下方部を倒伏体40に当接させ、根部ARを横向きに倒し、受け台41に並べ易くしている。
【0032】ここで、倒伏体40は根部ARが当接するものであるから、スポンジ,ゴム等の弾褥材製で構成することが商品(大根)の傷みを防止する点で有利であり、また、図9で示しているように、倒伏体40をローラ形としたときには、矢符Eの方向に強制駆動させることによって、受台41への移し替えが良好になるので有利である。
【0033】更に、受台41は図12で示すように桶形の基台41Aを形成し、この表面にスポンジ,ゴム等の弾褥体よりなる緩衝体41Bを貼着しており、受け渡された作物Aの傷みが防止されている。また、図12で示しているように、受台41はその後方側が尻上がり傾斜状でかつ内方側が尻下がり状に傾斜されることによって、作業床4にいる作業者、B2の方向に流れて作業者B2のつかみ動作をすばやくできるようにされている。
【0034】茎葉部搬送体37は、根部搬送体36の上方位置に切断装置38である回転カッターを設けることが可能な間隔を空けて配設される。茎葉部搬送体37は、一対の弾性エンドレスベルトのベルト対向面を左右から対向して接してなり、下流側プーリ軸42を駆動軸としている。茎葉部搬送体37の上流側プーリ軸43は、位置決め搬送体35と根部搬送体36の共通の駆動軸39よりもやや上流側で、かつ互いに接近した位置に配送され、図5で示すように位置決め搬送体35の茎葉離脱位置Fより、茎葉部搬送体37の茎葉第1挟持位置Gを上流側に位置させて配設されている。この実施の形態では茎葉部搬送体37の上流側プーリ(従動プーリ)の径は、根部搬送体36の上流側プーリ(従動プーリ)の径より小径である。
【0035】茎葉部搬送体37の下流側に、根部搬送体36との間に切断装置38である回転カッターを設け、回転カッターの回転刃の位置を茎葉部搬送体37と根部搬送体36の弾性エンドレスベルトのベルト対向面が接する位置に設ける。根部搬送体36の搬送速度は、茎葉部搬送体37の搬送速度により速く設定しており、この実施の形態の搬送速度比は、根部搬送体:茎葉部搬送体=18/15であり、約1.2倍前後が好ましい。この搬送速度比は、根部搬送体36と茎葉搬送体37の水平面との成す角度によって微調整されるが、搬送される茎葉部ALが回転カッター38Aの回転刃面に対してほぼ直角に当たる搬送速度比であればよい。この実施の形態として根部搬送体36の搬送速度は0.689m/s、茎葉部搬送体37の搬送速度は0.574m/sである。
【0036】茎葉部搬送体37の上方には、茎葉部排出体44が設けられており、この茎葉部排出体44は、爪付きエンドレスベルトからなり、切断装置38によって切断された上部の茎葉部AL0のみを爪に引っかけて、茎葉部排出装置45に搬送するように構成されており、切断された茎葉部AL0は、茎葉部排出装置45から圃場に排出されるようになっている。
【0037】排出装置45は、操縦部4の左脇において前方に延伸されているシュート45Aとこのシュート面を形成する平コンベア45Bとで構成されているとともに、該排出装置45は引き抜き搬送装置3を畝越え等のためその前部(前処理装置)持上げたとき、シュート45Aの先端(前端)が前上り傾斜状に連動して上昇可能とされており、これによって、排出装置45に停留されている茎葉部AL0を畝越え中等において不測に放出するのが防止されている一方で、作業姿勢(収穫作業中)においては茎葉部AL0を前方に強制放出可能としている。
【0038】図9および図10を参照すると、引抜き処理部8、茎葉処理部9および前処理装置10等に対する動力(駆動力)の伝達手段が例示されている。この伝達手段は、図9・図10で示しているように、前記引き抜き搬送装置3の下方でかつ走行車体2の側部に駆動入力部46を設け、作物通過経路(左右対の搬送体(エンドレスベルト)の挟持部に相当する)の下方位置に、前記駆動入力部46からの駆動力を前後左右に分配する分配伝導部47を設け、該分配伝導部47の前後左右に前記引き抜き処理部8と茎葉処理部9に対する伝動体48A,48B,49A,49Bを備えている。
【0039】具体的に説明すると、駆動入力部46は走行車体2に搭載しているトランスミッションの出力部50からチェーン、タイミングベルト等の巻掛伝動体51から入力されており、一方、動力受入部52は支持フレーム7の右側に装着固定されていて、入力部46と受入部52とを両端に屈折部53Aを有する伝動軸53によって連動連結されている。
【0040】駆動入力部46および動力受入部52と、支持フレーム7の支点軸受部6とは近接配置されており、これによって支持フレーム7が支点軸受部6を中心として昇降動作されたとき、伝動軸53の屈折部53Aが追従することとなり、ここに、昇降動作が伝動軸53等によって障害(抵抗)となることが少なくされている一方で伝動軸53等による動力伝達ロスが少なくされているのである。
【0041】支持フレーム7は走行車体2の前後方向に延伸する左右一対の杆体54A,54Bとこの左右杆体の前後を互いにつなぐ継体55A,55Bを備えて構成されており、動力受入部52はその伝動ケースが左右一対の杆体54A,54Bの右杆体54Aにブラケット56を介して取着されている。動力受入部52の伝動ケース内にはギア伝動体が内蔵されており、その出力部は左右方向に突出していて大小スプロケット52A,52Bが左右方向に並べて固定されている。
【0042】前後左右の伝動体48A,48B,49A,49Bは、左右の前伝動体48A,48Bが引き抜き処理部8および前処理部10に対する中継伝動部とされており、左右の後伝動体49A,49Bが茎葉処理部9に対する中継伝動部とされており、それらの伝動ケースは左右一対の杆体54A,54Bの前後に距離(間隔)をおいて取付けてあるとともに、該ケース内にはギヤ伝動体がそれぞれ内蔵されている。
【0043】前後の継体55A,55Bには、駆動力を左右に分配するための伝動軸56A,56Bが内挿されてその軸心廻りで回転自在に支持されており、該伝動軸56A,56Bの端部にはそれぞれ駆動力を前後に分配するためのスプロケット56C,56D,56E,56Fが固着されている。動力受入部52の大スプロケット52Aと前伝動軸56Aのスプロケット56Cにエンドレスチェーンで例示する巻掛伝動体57Aが巻回されており、前伝動軸56Aの左右スプロケット56D,56Eと左右の前伝動体48A,48Bに備えた左右のスプロケット48C,48Dにエンドレスチェーンで例示する巻掛伝動体57B,57Cが巻回され、一方、動力受入部52の小スプロケット52Bと後伝動軸56Bに備えたスプロケット56Fとにエンドレスチェーンで例示する巻掛伝動体57Dが巻回されている。
【0044】ここに、支持フレーム7は、走行車体2の前後方向に延伸する左右一対の杆体54A,54Bとこの左右杆体の前後を互いにつなぐ継体55A,55Bとで構成されていて、作物通路経路の平面視投影面に杆体54A,54Bが左右の間隔をおいて配置されているとともに、該支持フレーム7が分配伝導部47を支えているのであり、このように構成したことにより、吊持状として後方に挟持搬送されている作物Aは図9にて符号Qで示すような空間を前後方向に通過するので各伝動体(チェーン57A〜57D)との接触するおそれは少なく、これ故に、作物の摺り傷等がなく商品価値が良好となるだけでなく、作物Aを搬送中に落下等する土・枯葉等の異物が伝動体57A〜57D等に絡みつくことが少なく図10で示している支持フレーム7の左右間隔Jを介して異物を圃場に投下させ、しかも、空間Qおよび間隔Jを通じての動力受入部52、伝動体57A〜57D等の保守点検作業が容易となっているのであり、なお、各伝動体57A〜57D等においては着脱自在なチェンケースで覆っていることは勿論である。
【0045】更に、左右の前伝動体48A,48Bには前上り傾斜状として両端に屈曲部58Aを有する入れ子構造(スプライン軸)とされた伸縮自在な連動軸58が接合されており、この左右一対の連動軸58によって引き抜き処理部8の左右搬送体32、前処理装置10の左右搬送体28、31等をそれぞれ循環回走するように構成されている。
【0046】すなわち、引き抜き処理部8の左右伝動ケースに連動軸58に接合した中継伝動ケース59をそれぞれ設け、該伝動ケース59の前下方に別の中継伝動ケース60を設け、中継伝動ケース59には大小スプロケット59A,59Bを備え、別の中継伝動ケース60にはギヤ伝動体60Aとスプロケット60Bを備えている。
【0047】而して、中継伝動ケース59の小スプロケット59Bと輪体34上に設けたスプロケット34Aとをエンドレスチェーンで例示する巻掛伝動体61で連動させ、中継伝動ケース59の大スプロケット59Aと別の伝動ケース60のスプロケット60Bとを巻掛伝動体62にて連動させ、前処理装置10の各輪体26,29に自在軸又は撓み軸等による伝動軸63,64で連動連結しているのである。
【0048】一方、茎葉処理部9に対しては、後左右の伝動体49A,49Bと左右の駆動軸42に対して両端に屈折部65Aを有する上向の連動軸65が連動連結されており、実質的に、連動軸65は支持フレーム7に備えている伝動7ケース66内のギヤ伝動体に連結連動されており、該伝動ケース66内の伝動体によってカッタ38および位置決め装置35の駆動軸35等を駆動している。
【0049】なお、倒伏体40を矢符E方向に強制駆動するときには、伝動軸56Bの軸端にスプロケット67を固着し、巻掛伝動体68によって駆動するようにされる(図9・10参照)。図1〜3において、走行車体2の右側前方位置に設けた操縦部4に作業員(運転者)B1が座って走行車体2を走行させるとともに引き抜き搬送装置3を前述したように運転可能とされている。
【0050】操縦部4の後部にはクレーン装置69が着脱自在に立設されており、該クレーン装置69は、走行車体2の後部に設けた作業フロア5上の前部、すなわち走行車体2の前後方向の中央部に図13で示すように支持台70を水平に設け、支持台70に垂直方向に旋回柱71が着脱自在に立設されている。図2・13において、旋回柱71には、該旋回柱71を中心軸として360度回転可能なブーム72が起伏自在に備えられブーム72は、旋回柱71との間に起伏シリンダ73を設け、旋回柱71上部を回動支点として上下に回動する。ブーム72の先方部分は、油圧シリンダからなる伸縮シリンダ74によって伸縮自在である。ブーム72の先端に伸縮自在のワイヤ75を垂直方向に長さ寸法自在に垂下させ、該ワイヤ75の先端にフック76が設けてあり、クレーン装置69は制御部によって制御される。
【0051】クレーン装置69は、引き抜き搬送装置3を走行車体2の左脇に配置しかつ前処理装置10等を前方突出状に配置したことから、該クレーン装置69を右側寄りでかつ後側寄りに具備させることによって走行車体2全体(前後左右)の重量バランスをとって作業性の安定化を図っている。而して、自走形収穫機においてクレーン装置69を必要としない需要者もあることから、このクレーン装置69を取去ったときは、図13で示すように支持台70にウェイト77を格納装着することで該クレーン装置69を具備しない自走形収穫機においても全体の重量バランスを確保するように構成されている。
【0052】作業床5には上開口のコンテナ78が着脱自在に載置してあり、該コンテナ78はクレーン装置69によって作業床5と地上との間で吊持移動自在であり、作業床5に1人または2人の作業者(補助者)が搭乗可能である。図1および図14において、圃場(畝)Dに被せたマルチフィルム(シート)1Fを切断する切断装置78が支持フレーム7の下部側に昇降自在として備えてある。
【0053】該切断装置78は縦軸支持部79とこの支持部79に起伏自在に備えた支持アーム80と、支持アーム80の自由端に横軸廻りに転動自在として備えた円盤カッタ81等を備えて構成されており、操作レバー82の操作をケーブル83等を介して支持アーム80に伝達することで作業姿勢を非作業姿勢とに昇降自在としている。
【0054】切断装置78はソイラー装置12の後方位置でかつ作物Aを挟んで両装置78,12が左右に配置されており、図14(1)に示すように作物(図では左側の作物)Aを堀り取り収穫するとき、ソイラー装置12の切刃13によって土を膨軟化して引き抜きを容易としつつシート1Fはソイラー装置12との反対側において切断装置78で切断するようにされ、これによってマルチシート1Fが作物Aの引き抜き障害とならないようにされている。
【0055】一方、図14(1)で示した前工程において作物Aを収穫した後、隣りの作物(図14(1)では右側)Aを収穫するときは、分断されたシート端縁F1がめくれ上ってこれが引き抜き障害となって作物A等の傷要因となることがある。このため、図14(2)で示すように、シート端縁F1を押え体84によって踏み付けておくことにより、シート1Fのめくれ上りを防止しているのである(このとき切断装置78は浮上させておく場合もある)。
【0056】図14で示した実施形態では押え体84はクローラ装置1であるが、このクローラ装置2とは別に、走行車体2等にローラ又は橇形の押え体を具備させても良く、このとき(別に設けたとき)は、該押え体を手元操作で昇降自在にすることが望ましい。すなわち、引き抜き搬送装置3の前寄りの一側に、圃場に切目を形成する土切り刃13を有するソイラー装置12を設け、該土切り刃13の後方で引き抜き搬送装置3の側方にマルチシート1Fの押え体84を設け、引き抜き搬送装置3の他側部後方にマルチシート1Fの切断装置78を設けているのであり、図示では押え体84は走行車体2の走行装置1であり、該走行装置1は前工程において前記切断カッタ81で分断されたマルチシート端縁F1を押える位置に配置してあるのである。なお、図12において、符号90は弾性タレであって、搬送中の根部両側にあってこれを保護し、傷付き等を防止している。
【0057】次に、この発明の実施の形態の作用について説明する。走行車体2は操縦部4の作業員(運転者)B1によって走行される。圃場に到着し作業する直前に、支持フレーム7を降下させ引き抜き搬送装置3の先端を圃場面近くに下げる。このとき、ソイラー装置12の土切り刃13は後下りに倒伏(格納)されているので、該土切り刃13を前方に揺動させながら、土中に侵入させるが、この土中侵入抵抗は前述したように差程大きくなく、刃13の下端を根部下方に位置させて望ましくは揺動させる。
【0058】圃場に植えられている1列の大根等の根菜類Aは、まず先端の前処理装置10によって前後左右に倒れている茎葉部ALを上方に引き起す。引き起こされた茎葉部ALは、引き抜き搬送装置3の左右一対の弾性エンドレスベルトの上流側端部の引き抜き開始部によって茎葉部ALの比較的上部を挟持されて引き抜かれ、そのまま斜め後方へ搬送される。このとき引き抜き開始部の側部に位置するソイラー装置12によって、植土を振動させ根部ARを引き抜き易くするとともにマルチシートFは切断装置78によって走行方向に沿って切断される。
【0059】引き抜き搬送装置3によって茎葉部AL上部を挟持され搬送される根菜類Aは、位置決め搬送体35によって茎葉部AL下部をも挟持しつつ、引き抜き搬送装置3によって、より上方に引き上げられるため根部ARの上端である肩が位置決め搬送体35の下面に当接する。そのため搬送される根菜類Aは、茎葉部ALの上下位置が決まり、すべての根菜類Aの茎葉部切断装置が根部AR上端から一定になる。
【0060】根菜類Aは、位置決め搬送体35の下流側の茎葉部離脱位置より上流側に位置する茎葉部搬送体37の茎葉部第1挟持位置によって挟持されるため、落下することがなく、そのまま茎葉部搬送体37によって茎葉部AL上部を挟持され、根部搬送体36によって茎葉部ALの下部を挟持されて搬送される。そのまま、根菜類Aは下流側に搬送され、根部搬送体36と茎葉部搬送体37の間に位置する回転カッター38によって切断される。このとき根部搬送体36の搬送速度は、茎葉部搬送体37の搬送速度より速い。そのため、根部ARは、自重により垂直方向を向いても、茎葉部ALの向きは斜めになり、回転カッター38の回転刃に対して茎葉部ALがほぼ直角に当たる。そのため茎葉部ALの切断角度が根菜類長手方向と直角となり、根部ARに残る数cmの茎葉の切断面は根菜類長手方向とは直角面となり、茎葉の長さはほぼ一定に揃う。したがって根菜類Aの商品価値が向上する。
【0061】切断された茎葉部上部AL0は、茎葉部搬送体37から茎葉部排出体44によって茎葉部排出シート45に配送され、圃場に排出される。茎葉部ALの上部が切断された根菜類Aの根部ARは、根部搬送体36の弾性エンドレスベルトによって受台41上方位置まで搬送され、倒伏体40に当たり横向きにされてから受台41に並べられ、この受台41が前右下り状に傾斜していることから、作業員B2の方向に移動しやすく、すぐに受台41から根菜収納コンテナ78に収納されている。
【0062】さらに、根菜収納コンテナ78に根部ARが溜まった状態になると、走行車体2を一旦停止させ、走行車体2から降りて運転者である作業員B1が、クレーン装置69の制御部を操作する。クレーン装置69のフック76の位置は旋回柱71を中心に、上下前後左右自在に移動させることが可能であり、旋回柱71は、根菜類の収納機の重心位置に近接して設けられているので、根菜収納コンテナ78に根菜が充満して重量があっても、根菜類の収穫機の周囲の任意の場所に安全に根菜収納コンテナ78を積み降ろすことができる。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、ソイラー装置の土切り刃が畝越え、路上走行中において障害となることが少なく、しかも、該土切り刃を土中に侵入させることも容易である。
【出願人】 【識別番号】000195568
【氏名又は名称】生物系特定産業技術研究推進機構
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)3月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開平11−243740
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−50724