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【発明の名称】 コンバインの分草装置
【発明者】 【氏名】前田 一郎

【要約】 【課題】刈取部分を外方に位置させての畦際刈りの際の未刈り地側分草杆の畦への接触を回避できるようにする。

【解決手段】脱穀装置2を搭載した自走機体4の前部に刈取部5を連結し、刈取部5を自走機体4に対して左右方向に設定範囲内で一体的に位置変更操作自在に構成し、未刈り地側分草杆10を左右外方に張り出した分草作用姿勢と自走機体4の側面に沿う状態で起立した格納姿勢とに揺動姿勢変更操作自在に構成し、分草作用姿勢と格納姿勢とにわたる揺動範囲で未刈り地側分草杆10を各姿勢に摩擦保持する姿勢保持手段を設け、未刈り地側分草杆10を、未刈り地側に位置変更した状態で格納姿勢を越えて自走機体4側に揺動操作自在に構成し、揺動範囲に位置する未刈り地側分草杆10に付与する摩擦保持力よりも弱い摩擦保持力を格納姿勢を越えて揺動した未刈り地側分草杆10に付与するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脱穀装置を搭載した自走機体の前部に刈取部を連結し、刈取部のうち、植立穀稈を分草する分草具と、分草された植立穀稈を引き起こす引起し装置と、引き起こされた植立穀稈を株元部で切断する切断装置と、切断された刈取穀稈を前記脱穀装置に搬送する穀稈搬送装置と、未刈り地側の分草具から自走機体の走行装置にまでわたる未刈り地側分草杆とを自走機体に対して左右方向に設定範囲内で一体的に位置変更操作自在に構成し、前記未刈り地側分草杆を左右外方に張り出した分草作用姿勢と自走機体の側面に沿う状態で起立した格納姿勢とに揺動姿勢変更操作自在に構成し、分草作用姿勢と格納姿勢とにわたる揺動範囲で未刈り地側分草杆を各姿勢に摩擦保持する姿勢保持手段を設けてあるコンバインにおいて、前記未刈り地側分草杆を、未刈り地側に位置変更した状態で格納姿勢を越えて自走機体側に揺動操作自在に構成し、前記姿勢保持手段として、前記揺動範囲に位置する未刈り地側分草杆に付与する摩擦保持力よりも弱い摩擦保持力を前記格納姿勢を越えて揺動した未刈り地側分草杆に付与する手段を設けてあるコンバインの分草装置。
【請求項2】 前記姿勢保持手段を構成するに、未刈り地側分草杆を摩擦板に弾性的に押し付けるスプリングを設け、未刈り地側分草杆の揺動姿勢に応じてスプリングによる押し付け力を変更するカム機構を設けてある請求項1記載のコンバインの分草装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの分草装置で、詳しくは、脱穀装置を搭載した自走機体の前部に刈取部を連結し、刈取部のうち、植立穀稈を分草する分草具と、分草された植立穀稈を引き起こす引起し装置と、引き起こされた植立穀稈を株元部で切断する切断装置と、切断された刈取穀稈を前記脱穀装置に搬送する穀稈搬送装置と、未刈り地側の分草具から自走機体の走行装置にまでわたる未刈り地側分草杆とを自走機体に対して左右方向に設定範囲内で一体的に位置変更操作自在に構成し、前記未刈り地側分草杆を左右外方に張り出した分草作用姿勢と自走機体の側面に沿う状態で起立した格納姿勢とに揺動姿勢変更操作自在に構成し、分草作用姿勢と格納姿勢とにわたる揺動範囲で未刈り地側分草杆を各姿勢に摩擦保持する姿勢保持手段を設けてあるコンバインの分草装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のコンバインによるときは、分草具・引起し装置・切断装置・穀稈搬送装置・未刈り地側分草杆の全体(以下刈取部分と称する。)を自走機体に対して未刈り地側(外方側)に突出するように位置させて回り刈りを行うことにより、走行装置の植立穀稈からの距離を十分にとって植立穀稈の泥かぶりや倒れを抑制でき、他方、刈取部分を自走機体に対して内方側に位置させて中割り作業を行うことにより、その中割り作業を良好に行うことができる。
【0003】そのようなコンバインにおいて、従来では、刈取部分を外方に位置させて畦際刈りを行う際、未刈り地側分草杆を格納姿勢に位置させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技術によるときは、畦が低い場合には未刈り地側分草杆の畦への接触を回避し易いのであるが、畦が高い場合、未刈り地側分草杆が畦に接触し、畦がコンクリート製の場合、分草杆が損傷するおそれがあった。
【0005】本発明の目的は、刈取部分を外方に位置させての畦際刈りの際の未刈り地側分草杆の畦への接触を回避できるようにする点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本第1発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0007】〔特徴〕脱穀装置を搭載した自走機体の前部に刈取部を連結し、刈取部のうち、植立穀稈を分草する分草具と、分草された植立穀稈を引き起こす引起し装置と、引き起こされた植立穀稈を株元部で切断する切断装置と、切断された刈取穀稈を前記脱穀装置に搬送する穀稈搬送装置と、未刈り地側の分草具から自走機体の走行装置にまでわたる未刈り地側分草杆とを自走機体に対して左右方向に設定範囲内で一体的に位置変更操作自在に構成し、前記未刈り地側分草杆を左右外方に張り出した分草作用姿勢と自走機体の側面に沿う状態で起立した格納姿勢とに揺動姿勢変更操作自在に構成し、分草作用姿勢と格納姿勢とにわたる揺動範囲で未刈り地側分草杆を各姿勢に摩擦保持する姿勢保持手段を設けてあるコンバインにおいて、前記未刈り地側分草杆を、未刈り地側に位置変更した状態で格納姿勢を越えて自走機体側に揺動操作自在に構成し、前記姿勢保持手段として、前記揺動範囲に位置する未刈り地側分草杆に付与する摩擦保持力よりも弱い摩擦保持力を前記格納姿勢を越えて揺動した未刈り地側分草杆に付与する手段を設けてある点にある。
【0008】〔作用〕本第1発明によるときは、未刈り地側分草杆として、刈取部分を未刈り地側に位置変更した状態で格納姿勢を越えて自走機体側に揺動操作自在なものを設けてあるから、刈取部分を外方に位置させて畦際刈りを行う際、未刈り地側分草杆を格納姿勢を越えて自走機体側に揺動操作しておくことにより、未刈り地側分草杆を畦から離隔位置させて、未刈り地分草杆の畦への接触を回避することができる。
【0009】そして、揺動範囲に未刈り地側分草杆を揺動位置させた状態では、植立穀稈からの反力に抗してその姿勢を維持するように摩擦保持力を十分なものとしておくのであるが、そのような場合、刈取部分を外方側に位置させ、未刈り地側分草杆を格納姿勢を越えた姿勢にしてある状態において、刈取部分を内方側に位置変更すると、未刈り地側分草杆が脱穀装置の側壁など自走機体の側面に衝突し、未刈り地側分草杆や自走機体の損傷を招来するおそれがある。
【0010】上記の点に着目して、格納姿勢よりも自走機体側に揺動した姿勢では、その姿勢保持のための摩擦保持力を弱くしてあるから、未刈り地側分草杆が格納姿勢よりも自走機体側に揺動していることを忘れて、誤って未刈り地側分草杆を自走機体の側面に衝突させた際、その衝突に伴い未刈り地側分草杆が格納姿勢側に揺動して衝突時における衝撃を緩和することができる。
【0011】〔効果〕従って、本第1発明によれば、畦との接当による未刈り地側分草杆の損傷を防止でき、しかも、そのために未刈り地側分草杆が自走機体に衝突することによる損傷も極力回避できるコンバインの分草装置を提供できるようになった。
【0012】請求項2に係る本第2発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0013】〔特徴〕上記本第1発明の特徴において、前記姿勢保持手段を構成するに、未刈り地側分草杆を摩擦板に弾性的に押し付けるスプリングを設け、未刈り地側分草杆の揺動姿勢に応じてスプリングによる押し付け力を変更するカム機構を設けてある点にある。
【0014】〔作用〕本第2発明によるときは、カム機構設けて、未刈り地側分草杆の揺動姿勢に応じて摩擦保持力の元となるスプリングの押し付け力を自動的に変更するようにしてあるから、摩擦保持力を未刈り地側分草杆の揺動姿勢に応じたものに確実に変更することができる。
【0015】〔効果〕従って、本第2発明によれば、未刈り地側分草杆を揺動範囲に位置させての作業時には、未刈り地側分草杆を確実にその姿勢に保持して良好な分草を行えながらも、知らずに刈取部分を内方側に誤って位置変更した際の未刈り地側分草杆及び自走機体の損傷を極力回避できるようになった。
【0016】
【発明の実施の形態】コンバインは、図1,図2,図5,図6に示すように、左右一対のクローラ式の走行装置1を備えかつ脱穀装置2と搭乗運転部3とを搭載した自走機体4の前部に刈取部5を、揺動昇降操作及び左右方向設定範囲内で位置変更操作自在に連結して構成されている。
【0017】前記刈取部5は、左右方向に並置して植立穀稈を分草する複数の分草具6と、左右方向に並置して分草された植立穀稈を引き起こす左右一対の引起し装置7と、引き起こされた植立穀稈を株元部で切断するバリカン型の切断装置8と、切断された刈取穀稈を前記脱穀装置2に搬送する穀稈搬送装置9と、未刈り地側の分草具6から走行装置1にまでわたる未刈り地側分草杆10とを、自走機体4に左右向き軸芯P周りに揺動昇降自在にかつ左右方向に位置変更自在に取り付けた刈取フレーム11に組み付けて構成されている。
【0018】前記刈取フレーム11を昇降操作する昇降手段は、図3に示すように、刈取フレーム11を左右方向に摺動自在に載置した状態で左右向き軸芯Q周りに上下揺動することにより刈取フレーム11を左右向き軸芯P周りに上下揺動させる揺動枠12を自走機体4に取付け、この揺動枠12を上下に駆動揺動する油圧シリンダ利用の昇降シリンダ13を設けて構成されている。
【0019】前記刈取フレーム11を左右方向に位置変更操作する変更手段は、図4に示すように、刈取フレーム11を自走機体4及び揺動枠12に対して左右に位置変更させるネジ送り機構14を設け、このネジ送り機構14を駆動する電動モータ15を設けて構成されている。
【0020】前記未刈り地側分草杆10は、図1,図2,図5,図6に示すように、前端部と前後中間部とにおいて後ろ倒れ軸芯p周りで揺動自在に刈取フレーム11に装着されており、図6に示すように、未刈り地側(外方側)に位置変更した状態では、その揺動により、左右外方に倒伏状態で張り出した分草作用姿勢と、自走機体4の側面に沿う状態で起立した格納姿勢と、格納姿勢を越えて自走機体4側に寄った畦際姿勢とに姿勢変更操作されるように構成されており、図5に示すように、内方側に位置変更した状態では、揺動により、左右外方に倒伏状態で張り出した分草作用姿勢と、自走機体4の側面に沿う状態で起立した格納姿勢とに姿勢変更操作されるように構成されている。
【0021】そして、コンバインは、図7,図8に示すように、分草作用姿勢と畦際姿勢とにわたる全揺動範囲で未刈り地側分草杆10を各揺動姿勢に摩擦保持する姿勢保持手段と、未刈り地側分草杆10の格納姿勢を越えての畦際姿勢側への揺動を接当阻止する阻止姿勢と阻止を解除する解除姿勢とに切り換え操作自在なストッパー16とを備えている。
【0022】前記姿勢保持手段は、前記全揺動範囲のうち分草作用姿勢と格納姿勢とにわたる主揺動範囲Aに揺動位置する未刈り地側分草杆10に付与する摩擦保持力よりも弱い摩擦保持力を格納姿勢よりも畦際姿勢側の副揺動範囲Bに揺動位置する未刈り地側分草杆10に付与する手段であって、具体的には、図7,図8に示すように、未刈り地側分草杆10の前後中間の取付け部10aを摩擦板17に弾性的に押し付けるスプリング18を設け、未刈り地側分草杆10の揺動姿勢に応じてスプリング18による押し付け力を変更するカム機構19を設けて構成されている。前記主揺動範囲Aに位置する未刈り地側分草杆10に付与する摩擦保持力は、分草時に植立穀稈から受ける反力に抗して未刈り地側分草杆10をその姿勢に維持するに足りる力であり、副揺動範囲Bに位置する未刈り地側分草杆10に付与する弱い摩擦保持力は、刈取部5の内方側への位置変更に伴い自走機体4の側面に衝突した際、その衝突に伴い後退揺動できる程度の力である。前記摩擦板17は、前記取付け部10aをボルト利用の支軸20を介して揺動自在に支持する支持板を兼用している。前記スプリング18は、摩擦板17に形成した後ろ倒れ軸芯p周りの円弧状長孔21に挿通することで未刈り地側分草杆10の揺動を案内するボルト利用のガイドピン22をスプリングガイドとして設置されている。前記カム機構19は、摩擦板17に段部23を形成して引っ張り力大カム面19aと引っ張り力小カム面19bとを形成し、これら引っ張り力大カム面19aと引っ張り力小カム面19bとに摺動するカムフォロア19Aとして取付け部10aをボルトの頭と摩擦板17との間に介装し、未刈り地側分草杆10が主揺動範囲Aに揺動位置するときカムフォロア19Aを引っ張り力大カム面19aに接当させることで前記ガイドピン22の引っ張り量を多くしてスプリング18を大きく圧縮変形させることにより付与摩擦保持力を強くする一方、未刈り地側分草杆10が畦際姿勢側の副揺動範囲Bに揺動位置するときカムフォロア19Aを引っ張り力小カム面19bに接当させることでガイドピン22に対する引っ張り量を少なくしてスプリング18の圧縮変形量を少なくすることにより付与摩擦保持力を弱くするように構成されている。
【0023】前記ストッパー16は、揺動により阻止姿勢(図7(イ)参照)と解除姿勢(図7(ロ)参照)とに切り換わるものであって、つるまきバネ24を介して阻止姿勢に揺動付勢されている。そして、阻止姿勢において格納姿勢にある未刈り地側分草杆10に直交する方向から接当することで未刈り地側分草杆10の畦際姿勢側への揺動を阻止し、阻止姿勢から少し持ち上げ揺動操作された状態において格納姿勢側に揺動する未刈り地側分草杆10に押圧されて解除姿勢に切り換わる、つまり、未刈り地側分草杆10の格納姿勢側への揺動を許容するものである。
【0024】上記の構成によれば、図6に示すように、刈取部5を外方側に位置させ、主揺動範囲A内で未刈り地側分草杆10の揺動姿勢を植立穀稈の倒伏状況などに応じて調整して、回り刈りを行い、図2,図5に示すように、刈取部5を内方側に位置させ、主揺動範囲A内で未刈り地側分草杆10の揺動姿勢を植立穀稈の倒伏状況などに応じて調整して、中割り作業を行い、刈取部5を外方側に位置させ、未刈り地側分草杆10を畦際姿勢に揺動位置させて畦際刈りを行うのであって、阻止姿勢に揺動付勢されたストッパー16を設けて、未刈り地側分草杆10を畦際姿勢に揺動操作するときには、ストッパー16を解除姿勢に切り換える必要性を発生させるようにしてあるから、未刈り地側分草杆10が畦際姿勢にあることを作業者に意識付けし易く、これにより、未刈り地側分草杆10を格納姿勢や分草作用姿勢に切り換えずに刈取部5を内方側に位置変更操作して、未刈り地側分草杆10を脱穀装置2の側壁など自走機体4の側面に衝突させてしまう事態を回避し易く、しかも、刈取部5を内方側に位置させた状態で未刈り地側分草杆10を畦際姿勢に誤って揺動操作してしまうことも防止し易い。かつ、未刈り地側分草杆10が畦際姿勢にある状態で刈取部5を内方側に位置変更操作した場合であっても、未刈り地側分草杆10が主揺動範囲Aに揺動位置するときの摩擦保持力よりも未刈り地側分草杆10が畦際姿勢にあるときにその姿勢を保持するための摩擦保持力を弱くしてあるから、主揺動範囲Aにおいては、未刈り地側分草杆10を植立穀稈からの反力に抗して確実に姿勢保持しての良好な分草を行いながらも、未刈り地側分草杆10の衝突に伴いその未刈り地側分草杆10が後退揺動することで衝突に伴う衝撃が緩和されて、未刈り地側分草杆10や自走機体4の損傷を極力抑制することができる。
【0025】〔別実施形態〕上記実施の形態では、未刈り地側分草杆10の揺動姿勢に応じて摩擦保持力を自動変更するようにしたが、人為操作により摩擦保持力を調整するようにして実施しても良い。
【0026】上記実施の形態では、刈取部5の全体を左右方向に位置変更操作自在に構成したが、刈取フレームを、自走機体4に対して昇降操作自在な昇降フレームとこの昇降フレームに対して左右方向に位置変更操作自在なスライドフレームとに分割構成し、スライドフレームに、分草具6・引起し装置7・切断装置8・穀稈搬送装置9・未刈り地側分草杆10を取り付けて、これらをスライドフレームのスライドにより左右方向に一体に位置変更操作自在に構成して実施しても良い。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)2月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−239409
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−45247