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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】松沢 宏樹

【要約】 【課題】設定が困難なディレイタイムを利用すること無く、特に、畦際の刈取にも適した扱深さ調節のための装置を備えた作業機を提供することである。

【解決手段】コンバインが畦際制御域にはいると、制御装置は短稈が検出される以前から徐々に扱深さ調節手段(例えば、供給刈取装置30)を普通扱深さ位置から深扱ぎ位置側に調節を開始し、その調節のための移動速度は刈高さ上昇とともに増大させ、刈取り停止刈高さでは連続して深扱ぎ側へ調節すると共に、穀稈の長さ検出手段(例えば、短稈検出センサS3)で短稈が検出されれば、ただちに扱深さ調節手段をもっとも深扱ぎ位置に調節することができる。脱穀装置は適正扱深さで脱穀処理し、分離選別も適正に行うことができて、穀粒の回収効率の向上、排藁の減少、脱穀装置の詰まり故障防止などが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 穀稈を刈取り搬送する昇降自在の刈取前処理装置と、該刈取前処理装置の上昇量の検出手段と、該刈取前処理装置から搬送されてきた穀稈の扱深さを調節する扱深さ調節手段と、該扱深さ調節手段により扱深さを調節された穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記刈取前処理装置の上昇量の検出手段の検出量に応じて、扱深さ調節手段の新たな調整位置への移動速度を可変する制御装置を備えたことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、穀類の収穫作業を行うコンバインなどの農業用の自走式作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】コンバインは刈取脱穀作業を開始すると、圃場の穀稈は刈取装置の前端下部にある分草具によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置の引起し作用によって倒伏状態から直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、穀稈の供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。穀稈の供給搬送装置の後部では扱深さを調節して、フィードチェンから脱穀装置に供給され、脱穀装置において回転する扱胴の扱歯によって脱穀される。そして、脱穀処理物は選別室で選別処理され、脱穀選別した穀粒はグレンタンクに一時貯留し、貯留量が蓄積したらオーガによりコンバインの外部に搬出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】コンバインを用いることにより圃場の穀物の収穫作業、すなわち刈取り、脱穀作業は省力化されかつ能率化されてきた。圃場自体も農地整備事業によりコンバイン作業に適した大規模化、平面形状の整形が進められてきている。しかしながら、水稲を栽培するために圃場の周囲には圃場に湛水するための圃場面よりも高い畦を必要とし、この圃場周辺部分の畦により形成される枕地付近に植立する穀稈はコンバインでは刈取りにくく手刈を余儀なくされていた。
【0004】従来のコンバインでは扱深さ調節のための装置を設け、扱深さ調節をできるようにしていたので、畦際を高刈した場合に発生するごく短い短稈まで深扱ぎ脱穀処理ができるようになり、畦際のコンバインによる機械刈が可能である。
【0005】上述のコンバインでは、平坦な圃場において通常の刈取作業を行う場合は、穂先を検出するセンサと株元を検出するセンサの検出信号により扱深さの調節を自動制御して扱深さを調節した穀稈を脱穀装置に搬送しており、また畦際の高刈作業を行う場合は、オペレータが畦際スイッチを投入することによりあらかじめ扱深さ調節のための装置を中程度の深扱ぎ側に設定しておき、かつ穀稈の長さを検出するセンサの検出信号で短稈が検出されれば扱深さ調節のための装置をもっとも深扱ぎ位置に調節し、短稈を深扱ぎ位置で搬送し脱穀装置に供給するようにしていた。
【0006】このとき、畦際の高刈作業を行う場合の扱深さ調節に関しては、穀稈の検出センサの検出信号の変動とハンチィングなど不安定な制御動作の防止のために設ける、タイムディレイ回路(時間遅延回路)のディレイタイム経過後に扱深さ位置の調節をしていた。
【0007】しかしながら、前記検出信号回路のディレイタイムの設定は必ずしも容易でなく、ことに畦際の刈取に適したディレイタイムの設定は極めて困難であり、ディレイタイムの設定を誤れば扱深さ調節のための装置を不適切な扱深さ位置に調節することになる。ディレイタイムが長すぎて短稈検出に対して深扱ぎ位置の設定が遅れれば、脱穀装置に穀稈を送り込むフィードチェンへの穀稈の引き継ぎが不十分となり、いわゆる稈こぼれが発生し、また脱穀装置内で扱残しが発生するし、反対にディレイタイムが短すぎて、普通長さの穀稈を搬送中に短稈が検出されて、扱深さ調節のための装置を深扱ぎ位置に設定するのが早過ぎると、脱穀装置内で穀稈折れの発生、多量の排藁の発生、これに伴う穀粒分離効率の低下および脱穀装置の故障が発生するなど、ディレイタイムの設定による制御方法では良好な扱深さ調節を行うことが困難であった。
【0008】そこで、本発明の課題は設定が困難なディレイタイムを利用すること無く、特に、畦際の刈取にも適した扱深さ調節のための装置を備えたコンバインを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次の構成により解決される。すなわち、穀稈を刈取り搬送する昇降自在の刈取前処理装置と、該刈取前処理装置の上昇高さの検出手段(本発明の実施の形態の位置検出センサS9、超音波センサS10など)と、該刈取前処理装置から搬送されてきた穀稈の扱深さを調節する扱深さ調節手段(本発明の実施の形態の扱深さ調節装置26と供給調節装置30など)と、該扱深さ調節手段により扱深さを調節された穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記刈取前処理装置の上昇高さの検出手段の検出量に応じて、扱深さ調節手段の新たな調整位置への移動速度を可変する制御装置を備えたコンバインである。
【0010】上記本発明は、例えば畦際の穀稈等の植立穀稈を刈取る場合(このような場合の制御を畦際制御と言うことがある)に特に望ましく用いられるものであり、その場合の前記制御装置は、前記上昇高さ検出手段が検出した値が、穀稈の刈高さに相当するので、この値が所定高さより高くなると、刈取装置で刈取った穀稈の長さ検出手段が短稈を検出する以前から扱深さ調節手段の深扱ぎ側への調節を開始し、該扱深さ調節手段の扱深さ調節のための移動速度を刈取前処理装置の上昇高さ検出手段が検出した刈高さ相当値に従って変化させる構成とする。
【0011】本発明の刈取前処理装置の上昇高さの検出手段は、下記の実施の形態の位置検出センサS9、超音波センサS10などが相当し、扱深さ調節手段は下記の実施の形態の扱深さ調節装置26と供給調節装置30などが相当する。
【0012】刈取前処理装置の上昇高さ検出手段が検出した刈り高さに従って変化させる扱深さ調節手段の扱深さ調節のための移動速度は、無段階的(連続的)または段階的に行う。
【0013】また、この扱深さ調節手段の深扱ぎ側への移動速度は刈取装置で刈取った穀稈の長さ検出手段が短稈を検出する以前から行うことで、穀稈の長さに迅速に追従して扱深さ調節手段の深扱ぎ側への調節ができる。
【0014】このように制御することにより作業機が畦際制御域に入ると、制御装置は短稈が検出される以前から徐々に扱深さ調節手段(例えば、供給刈取装置30)を普通扱深さ位置から深い方へ調節を開始し、その調節のための移動速度を刈高さ上昇とともに増大させ、刈取り停止高さまで連続的または段階的に深扱ぎ側へ移動速度を調節すると共に、穀稈の長さ検出手段(例えば、短稈検出センサS3)で短稈が検出されれば、ただちに扱深さ調節手段を最も深扱ぎ位置に調節することができる。
【0015】こうして、例えば畦際制御域に入ると、扱深さ調節手段による扱深さ調節が同時に開始され、扱深さ調節が円滑となり、扱深さ調節量は刈取装置の刈高さの上昇による穀稈の稈長変化量にほぼ等くなり、脱穀装置は適正扱深さで脱穀処理し、分離選別も適正に行うことができて、穀粒の回収効率の向上、排藁の減少、脱穀装置の詰まりなどの故障防止が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面により説明する。図1に本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの側面図を示し、図2はその内部の刈取装置、脱穀装置の一部を示す側面略図であり、図3は図1の内部の刈取装置、脱穀装置の一部を示す平面略図であり、図4は図3の刈取装置、脱穀装置の一部を示す平面略図であり、図5は供給調節装置、脱穀装置の一部を示す平面略図であり、図6はコンバインの側面図においてセンサおよびアクチュエータの配置を示す概略図であり、図7はコンバインの刈取装置の動力伝動、自動停止機構の概略図であり、図8は畦際の高刈作動を示す説明側面図である。
【0017】また、図9は本発明の実施の形態の制御回路のブロック図であり、図10は本発明の実施の形態の制御のフローを示す図であり、図11は本発明の実施の形態の刈取装置刈高さと供給調節装置の扱深さを制御するパルスオフタイムとの関係を示す図であり、図12は本発明の実施の形態の刈取装置刈高さの変化による扱深さ制御パルスオフタイムの変化の例を示す図である。
【0018】図1に示すコンバイン1の車体フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料材を素材として無端帯状に成型したクローラ4を駆動スプロケット4aと複数の遊動転輪4bとに巻回し、乾田はもちろんのこと、湿田においても沈下しないで走行できる構成の走行装置3を備え、車体フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、車体フレーム2の上部には脱穀装置15を搭載する。脱穀装置15は、フィードチェン14を有し、上側に扱胴16を軸架した扱室15aを配置し(図4参照)、下側に選別室を設け、供給された刈取穀稈を脱穀選別する。
【0019】図3に示すように、脱穀装置15にはフィードチェン14の内側に沿わせて補助フィードチェン17を設け、始端部をフィードチェン14から伝動される伝動スプロケット17aに巻回し終端部を扱室15aへの供給口の近くまで延長して設け、後述する供給調節装置30から受け継いだ穀稈をフィードチェン14と共同して、又は、単独で扱室15aへ供給する(図4参照)。また、車体フレーム2の上部側部で刈取装置6と脱穀装置15との間に操縦台20を設ける構成としている(図1参照)。
【0020】刈取装置6は、図2に示すように車体フレーム2の前部に設けた刈取支持台7に前方下方へ延長した刈取支持フレーム13の後部を上下に回動自由に枢着して、この刈取支持フレーム13に刈刃11や後述の各穀稈搬送、調節装置を装着している。刈取装置6は、前端下部に分草具8を、その背後に傾斜状にした穀稈引起し装置9を、その後方底部には刈刃11を、さらに図3に示すようなその刈刃11と前述のフィードチェン14及び補助フィードチェン17の始端部との間に、掻込搬送装置21と、前部搬送装置22と、扱深さ調節装置26と、供給調節装置30とを順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置して、かつ前述の刈取支持フレーム13に取り付けて伝動可能に構成している。
【0021】掻込搬送装置21は、図2ないし図4に示すように、下部の掻込輪体21aと上部の掻込無端帯21bとからなり、各刈取穀稈条列ごとに前記刈刃11の上方に設け、穀稈を後方へ掻込搬送する構成としている。
【0022】前部搬送装置22は、株元搬送チェン22aと穂先搬送ラグ22bとからなり、その始端部を前記掻込搬送装置21の終端部に受継可能に臨ませ、多条の刈取穀稈を後方上方へ搬送して終端部分において左右の搬送穀稈を合流する構成としている。図4に示すように前記穂先搬送ラグ22bは平面視において、進行方向に向かって前部の右側からフィードチェン14の始端部側に傾斜して設けた一方側を刈取装置6の後部まで延長して設け、連続状態で穀稈穂部を搬送する構成としている。
【0023】掻込搬送装置21は、図2ないし図4に示すように、下部の掻込輪体21aと上部の掻込無端帯21bとからなり、各刈取穀稈条列ごとに前記刈刃11の上方に設け、穀稈を後方へ掻込搬送する構成としている。
【0024】前部搬送装置22は、株元搬送チェン22aと穂先搬送ラグ22bとからなり、その始端部を前記掻込搬送装置21の終端部に受継可能に臨ませ、多条の刈取穀稈を後方上方へ搬送して終端部分において左右の搬送穀稈を合流する構成としている。図4に示す前記穂先搬送ラグ22bは、平面視において進行進行方向に向かって前部の右側からフィードチェン14の始端部側に傾斜して設けた一方側を刈取装置6の後部まで延長して設け、連続状態で穀稈穂部を搬送する構成としている。
【0025】扱深さ調節装置26は、搬送チェンと挟持杆とからなり、始端部を前記前部搬送装置22の終端部に搬送穀稈の株元を受継可能に臨ませて設け、後方上方に延長して終端部を後述する供給調節装置30の始端部に臨ませて設けている。該扱深さ調節装置26は、始端部を刈取支持フレーム13に枢着して終端側が搬送穀稈の稈身方向に沿って上下に揺動する構成としている(図2参照)。扱深さ調節モーターM1(アクチュエータM1に相当する。以下同じ)は、図3および図5に示すように前記扱深さ調節装置26の近傍で上側に装備しており、連杆27を介してその扱深さ調節装置26に連動可能に連結して設け、図9に示すような制御装置100のCPU101から出力される操作信号に基づいて駆動され、扱深さ調節を行う構成としている。
【0026】供給調節装置30は図2ないし図5に示すように、根元チェン31と挟持杆32とによって穀稈を挟持して搬送するように設け、扱深さ調節装置26の終端部から受け継いだ穀稈をフィードチェン14および補助フィードチェン17の始端部に受け渡して供給調節を行う構成としている。そして、供給調節装置制御モーターM2(アクチュエータM2)は、根元チェン31の下方において、一方側を刈取支持フレーム13側に固着し、他方側を固定機枠42に取り付けて装備し、ロッド45を介して可動チェンレール38に連結して設け、制御装置100のCPU101から出力される操作信号に基づいて駆動され、扱深さ調節装置26と共同して、あるいは供給調節装置30単独で扱深さ調節を行う。
【0027】供給調節装置30をより具体的に説明すると、供給調節装置30は、図5に示すように、前述の刈取支持フレーム13の基部からフィードチェン14および補助フィードチェン17側へ位置している一体の伝動ボックス36の上面に軸架した駆動スプロケット37と、根元チェン31の搬送側を内面から案内する可動チェンレール38に軸架した転輪39と、それらより前側に位置してテンション機能を持つテンションローラ40とに根元チェン31を巻回して構成している。
【0028】そして、可動チェンレール38は、上述の通り、根元チェン31の搬送側を内面から案内するもので、前記伝動ボックス36から斜め前方側に突出して延長した固定の支持アーム41の前部に回動自由に支持して設け、先端部の前記転輪39側が、補助フィードチェン17の始端部に対して遠近移動できる構成としている。さらに、テンションローラ40は、前記支持アーム41の中間部に固着した固定機枠42に一端を回動自由に枢着したテンションアーム43の他端に回転自由に取り付け、テンションアーム43をテンションスプリング44によって外側(根元チェン31を張る方向)に張圧して構成している。
【0029】供給調節装置制御モーターM2は、根元チェン31の下方において、一方側を刈取支持フレーム13側に固着し、他方側を前記した固定機枠42に取り付けて装備し、ロッド45を介して前記可動チェンレール38に連結して設け、制御装置100のCPU101から出力される操作信号に基づいて駆動され、供給調節制御を行う構成としている。
【0030】以上のように、供給調節装置制御モーターM2は、図3および図5に示すように、前述の扱深さ調節モーターM1と接近した位置に配置され、その上方には後方まで延長されている穂先搬送ラグ22bのケースが位置した関係になっている。
【0031】そして、挟持杆32は、図5に示すように、供給調節が行われる根元チェン31の穀稈搬送面に常時沿って張圧状態で搬送穀稈を挟持できるように、前後2つの張圧ばね46a、張圧ばね46bとによって張圧させて構成している。後側の張圧ばね46bは、前側の張圧ばね46aより張圧ストロークを長くして挟持杆32の調節距離が長く取れるようにして、根元チェン31後部の移動に充分追従できる構成としている。
【0032】つぎに各検出手段と、マイクロコンピューターCPU101を利用した制御装置100について、主として図9および図6に基づいて説明する。まず、位置検出センサS9は、ポテンショメーターを利用して刈取支持フレーム13の回動角度を検出して刈取装置6の高さ位置を計測できるように刈取支持フレーム13の基部に設けている。前部穀稈センサS1と後部穀稈センサS2(穀稈の有無検出手段)は、穀稈引起し装置9の裏側の低位置と、後方まで延長させた穂先搬送ラグ22bのカバー下側位置とにそれぞれ設け、前部搬送装置22の搬送経路の始端部分と終端部分とにおいて、搬送穀稈の有無を検出する構成としている。前部穀稈センサS1は図4に示すように、左右一対のセンサS1a、S1bからなる。
【0033】短稈センサS3(稈長検出手段)は、前記穀稈引起し装置9の裏側に設け、刈取直後の穀稈の稈長を検出できる構成とし、穂先センサS4と株元センサS5(稈長検出手段)は、前述した後方まで延長させた穂先搬送ラグ22bのカバー上方に位置する連結機枠47から穀稈の搬送通路に垂下して設け、搬送中の穀稈丈を検出する構成としている。超音波センサS10は、穀稈の圃場からの刈高さを検出する。
【0034】つぎに、制御装置100は、マイクロコンピューターCPU101を利用した制御手段であって、基本的には入力側に各センサ類を接続して検出情報を入力し、予め設定記憶させている情報と各センサからの入力情報に基づいて、出力側に接続している各モーターM1、M2、M3の動作を制御しながら、伝動自動停止制御、扱深さ調節、高刈制御を行う構成となっている。
【0035】すなわち、制御装置100のCPU101は図9に示すように、入力側に前部穀稈センサS1、後部穀稈センサS2、短稈センサS3、穂先センサS4、株元センサS5、刈取クラッチセンサS6、脱穀クラッチセンサS7、車速センサS8、位置検出センサS9、超音波センサS10などをそれぞれ接続している。そして、制御装置100のCPU101は、出力側に扱深さ調節モーターM1、供給調節装置制御モーターM2、自動停止モーターM3を接続している。
【0036】扱深さ調節モーターM1は、短稈センサS3、穂先センサS4と株元センサS5の検出情報に基づいて制御され、基本的には穀稈穂部の先端が穂先センサS4と株元センサS5との間を通過する位置をニュートラルゾーンとして最適の扱深さ位置と判断して調節する構成としている。
【0037】供給調節装置制御モーターM2は、前部穀稈センサS1と短稈センサS3との検出情報に基づいて制御され、前部穀稈センサS1が検出状態にあって、短稈センサS3が非検出状態(短稈検出状態)になると、制御作動して供給調節装置30を深扱ぎ側に調節する構成としている。
【0038】図6に示すセンサおよびアクチュエータのうち、位置検出センサS9(位置検出手段、以下同じ)は、ポテンショメーターを利用して刈取支持フレーム13の回動角度を検出して刈取装置6の高さ位置を計測できるように刈取支持フレーム13の基部に設けている。前部穀稈センサS1と後部穀稈センサS2(穀稈の有無検出手段、以下同じ)は、穀稈引起し装置9の裏側の低位置と、後方まで延長させた穂先搬送ラグ22bのカバー下側位置とにそれぞれ設け、搬送経路の始端部分と終端部分とにおいて、搬送穀稈の有無を検出する。
【0039】制御装置100はマイクロコンピューターCPU101を利用した制御手段であって、基本的には入力側に各センサ類を接続して検出情報を入力し、予め設定記憶させている情報と各センサからの入力情報に基づいて、出力側に接続している各モーターM1、M2、M3の動作を制御しながら、伝動自動停止制御、扱深さ調節、高刈制御を行う構成とする。
【0040】図7および図10に示す穀稈の扱深さ調節の手順を含め、本実施例の形態のコンバイン1の作動は次のように行われる。まず、エンジン(図示せず)を始動して、刈取クラッチ装置50や脱穀クラッチ装置を入り操作して機体の回転各部を伝動しながら、コンバイン1を前進走行に操作すると、制御装置100のCPU101は、刈取クラッチセンサS6、脱穀クラッチセンサS7、車速センサS8からそれぞれ作業開始の信号が入力されて立ち上がり、制御作動を開始する(図2参照)。コンバイン1が刈取脱穀作業を開始すると、圃場の穀稈は、刈取装置6の前端下部にある分草具8によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置9の引起し作用によって倒伏状態から直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃11に達して刈取られ、掻込搬送装置21の掻込輪体21aと掻込無端帯21bとの作用を受けて掻込まれ、前部搬送装置22に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される(図2参照)。
【0041】穀稈は左右の前部搬送装置22によって、多数の条列が集められて搬送されて前部搬送装置22の後部で合流し、扱深さ調節装置26から供給調節装置30に順次連続状態で受け継がれ、フィードチェン14の始端部に達して脱穀装置15に供給される(図4参照)。
【0042】脱穀装置15において、穀稈は、株元がフィードチェン14に挟持された状態で搬送されながら、穂先部分が扱室15a内に挿入されて通過する過程で、回転する扱胴16の扱歯によって脱穀される。そして、脱穀処理物は、下方の選別室に達して選別風と揺動選別装置の作用を受けて選別処理され、脱穀選別した穀粒はグレンタンク(図示せず)に一時貯留され、貯留量が蓄積したらオーガ19(図1)によりコンバイン1の外部に搬出する。
【0043】図A7には刈取装置6の動力伝動と停止機構の装置を示す。刈取装置操作レバー20cを「入」にすると、刈取クラッチ50が入り、走行トランスミッション装置5の動力の一部が、プーリ49からプーリ48に伝達され、プーリ48は刈取装置支持フレーム13内に設けられた図示しない駆動軸から刈取装置6へ伝達される。ここで、パワステレバー20dを手前に引いて刈取り装置を上昇させると、自動停止モータ51が作動して、刈取クラッチ50を切りとして刈取装置6の駆動を停止させる。このとき、レバー20cは「入」のままである。
【0044】平坦な圃場において、通常の刈取脱穀作業が行われているとき、刈取装置6は、図8に示す下部の通常作業位置aの高さに保持されており、刈取装置支持フレーム13の位置が位置検出センサS9および超音波センサS10から制御装置100のCPU101に入力され、前部穀稈センサS1及び後部穀稈センサS2は、それぞれ搬送穀稈が検出されて入力され、また、短稈センサS3は穀稈丈を検出して入力しているが、扱深さ調節装置26(図2)は、穂先センサS4と株元センサS5からの検出出力が制御装置100のCPU101に入力され、それに基づいて制御装置100のCPU101から出力される操作信号によって扱深さ調節モーターM1が制御作動され、連杆27(図2)を介して自動的に扱深さが調節されている。この場合、制御装置100のCPU101は、搬送穀稈の穂先位置が穂先センサS4と株元センサM5との間を通過する位置が最も適する扱深さの位置と判断し、その位置に扱深さ調節装置26の調節位置を合わせるように制御している。
【0045】つぎに、コンバイン1が圃場の畦際に達して枕地の刈取に移ると、分草具8の先端を圃場の端に隆起している畦に衝突させないために、図8に示すように刈取昇降シリンダー13a(図1、図2)を伸長して刈取装置6をaからcまで上昇しながら穀稈の高刈作業に移る。なお、図8のbは路上走行などにおける刈取装置6の上昇位置を示し、この上昇位置では刈取装置6および脱穀装置15の運転を停止する。
【0046】すなわち畦際の高刈作業において、刈取装置6を図8の位置aから位置cまで上昇させ、枕地の穀稈刈取りを開始すると、制御装置100のCPU101には、位置検出センサS9からの刈取装置6の位置(高刈位置c)情報と、前部穀稈センサS1からの穀稈が送り込まれている検出情報が入力される。ここで、制御装置100のCPU101に、短稈センサS3からの穀稈検出情報が入力されると、基準値より長い穀稈丈と判断して扱深さ調節装置26のみの制御を行い、また、短稈センサS3からの穀稈検出情報が入力されない(非検出情報)ときは、基準値より短い穀稈丈と判断して扱深さ調節装置26と供給調節装置30との両装置による制御を同時に行い、最も深扱ぎの位置に調節され、ごく短い穀稈を脱穀装置15に供給できるようにする。この場合、ごく短い穀稈はフィードチェン14では挟持できないので、補助フィードチェン17によって搬送され、そのまま扱室15aに全稈が投入され、脱穀選別される。
【0047】通常の平坦な圃場において、上述のようにコンバイン1により連続的に刈取脱穀作業が行われているとき、刈取装置6は、図8の下側に示す通常作業位置aの高さに保持されており、その位置は位置検出センサS9および超音波センサS10から制御装置100のCPU101に入力されている。そして、前部穀稈センサS1および後部穀稈センサS2からそれぞれ搬送穀稈が検出されて入力され、短稈センサS3は、穀稈丈が規定以上の穀稈を検出して入力している。
【0048】扱深さ調節装置26は、穂先センサS4と株元センサS5からの検出情報が制御装置100のCPU101に入力され、それに基づいて制御装置100のCPU101から出力される操作信号によって扱深さ調節モーターM1が制御作動され、連杆27を介して自動的に扱深さが調節されている。この場合、制御装置100のCPU101は、搬送穀稈の穂先位置が穂先センサS4と株元センサM5との間を通過する位置が最も適する扱深さの位置と判断し、その位置に扱深さ調節装置26の調節位置を合わせるように調節制御していて、通常は扱深さの調節を扱深さ調節装置26だけで行い、供給調節装置30による調節は必要としない。
【0049】つぎに、コンバイン1が圃場の畦際に達して枕地の刈取りに移ると、分草具8の先端を、圃場の端に隆起している畦に衝突させないために、オペレータが図示しない畦際制御スイッチをONして手動により刈取昇降シリンダー37を伸長して、刈取装置6を図8に示す位置aから位置cまで上昇しながら穀稈の高刈作業に移る。
【0050】畦際制御スイッチをONにすると、制御装置100は扱深さの調節を、穂先センサS4と株元センサS5からの検出情報によって制御することを停止し、前部穀稈センサS1と短稈センサS3からの検出情報を基準として、扱深さ調節装置26および供給調節装置30の両者を調節制御して行う。
【0051】すなわち、本発明の実施の形態は図10の制御のフローに示すように、畦際制御中に、前部穀稈センサS1がONで穀稈が刈取搬送中であり、位置検出センサS9が畦際制御域を検出しており、短稈センサS3がOFFでなければ、超音波センサS10の刈高さHを読み込み、以下に述べる図11の関係に従う刈高さHに基づくパルスオフタイムtを演算し、供給調節装置30の扱深さをパルスにより調節する制御を行う制御装置100を備えたことを特徴とする。
【0052】図10の制御のフローの中で、前部穀稈センサS1がONで穀稈が刈取搬送中であり、位置検出センサS9が畦際制御域を検出しており、短稈センサS3がOFFであれば、供給調節装置30をもっとも深い扱深さ位置に調節する。
【0053】図10の制御のフローの中で、前部穀稈センサS1がONでなく穀稈の搬送が行われていない場合、および前部穀稈センサS1がONで穀稈が刈取搬送中であっても、位置検出センサS9が畦際制御域を検出していない場合には、制御のフローをリターンする。
【0054】コンバイン1は次のようにして扱深さ調節を行う。すなわち、コンバイン1による畦際の刈取り制御中に、穀稈が刈取られて搬送中であり、前部穀稈センサS1がONを検出し、畦際の高刈のため刈取装置6を上昇して位置検出センサS9が畦際制御域を検出しており、まだ高刈開始直後で普通長さの穀稈が搬送されるため短稈センサS3がONのとき、超音波センサS10の検出した刈高さHの読み込み値に従って、図11の刈高さHとパルスオフタイムtとの関係、つまり刈高さHが低い間はパルスオフタイムtを長く、刈高さHの上昇とともにパルスオフタイムtを短くする。また、刈高さHが刈取り停止位置に達するとパルスオフタイムtをゼロにするようにパルスオフタイムtを演算し、刈高さHが小でパルスオフタイムtが長ければ一定値のパルス周期T中のパルスオンタイムT−tが短くなり(図12(a))、供給調節装置30の扱深さ調節時間が短く、扱深さのための移動速度も小さくする。反対に刈高さHが大でパルスオフタイムtが短かければ一定値のパルス周期T中のパルスオンタイム(T−t)が長くなり(図12(b))、供給調節装置30の扱深さ調節時間が長く、扱深さ調節速度が大になるように制御する。
【0055】このように制御することによりコンバイン1が畦際制御域にはいると、制御装置100は短稈が検出される以前から徐々に供給刈取装置30を普通扱深さ位置から深扱ぎ位置側に調節を開始し、その扱深さ調節のための移動速度を刈高さ上昇とともに増大させ、刈取り停止刈高さまでは深扱ぎ側へ調節すると共に、短稈検出センサS3で短稈が検出されれば、ただちに供給調節装置30をもっとも深扱ぎ位置に調節するように作用するので、扱深さ調節が畦際制御域にはいると同時に開始され、扱深さ調節が円滑となり、扱深さ調節量は刈高さの上昇による穀稈の稈長変化量にほぼ等くなり、脱穀装置15は適正扱深さで脱穀処理し、分離選別も適正に行うことができて、穀粒の回収効率の向上、排藁の減少、脱穀装置15の詰まり故障防止などの効果を奏する。
【0056】上述の扱深さ位置の調節制御の対象は、供給調節装置30に限らず、扱深さ調節装置26でも差し支えなく、また扱深さ調節装置26と供給調節装置30の両者であっても差し支えない。
【0057】図13に示す制御のフローは、短稈センサS3が短稈を検出してから供給調節装置30をもっとも深い扱深さ位置に調節する方法だと調節遅れのために短稈に追従できず、短稈を深扱ぎ位置で処理しないために短稈の稈こぼれを発生していた不具合を防止するというものである。
【0058】前部穀稈センサS1がONであり、刈取りポジションが畦際域であり、短稈センサS3がON(普通長さ穀稈検出)であれば、供給調節装置30の扱深さ調節をパルスで断続的に調節を行い、短稈センサS3がOFF(短稈検出)であれば、扱深さがもっとも深くなる位置まで供給調節装置30の扱深さ調節を連続して行う制御を特徴とする。前部穀稈センサS1がONでないか、前部穀稈センサS1がONであっても刈取りポジションが畦際域でないときは、制御のフローはリターンする。
【0059】すなわち、前部穀稈センサS1がONで穀稈の刈取り搬送が行われており、刈取りポジションが畦際域であれば、短稈センサS3がON(普通長さ穀稈検出)で、まだ短稈が検出されていない時点から、供給調節装置30の扱深さをパルスで断続的に調節するので、供給調節装置30の扱深さ調節は早期に開始され、かつ徐々に行われるので、畦際域の刈取りで徐々に短くなる穀稈をその穀稈稈長に適切な扱深さで、徐々に深扱ぎするとともに、短稈センサS3がOFF(短稈検出)であれば、扱深さがもっとも深くなる位置まで供給調節装置30を連続して調節するので、扱深さ調節が早期に開始され、扱深さ調節量は刈高さの上昇による穀稈の稈長変化量にほぼ等くなり、脱穀装置15には適正扱深さの穀稈が供給されて正常な脱穀処理が行われ、分離選別も適正に行うことができて、穀粒の回収効率の向上、排藁の減少、脱穀装置15の詰まり故障防止などの効果を奏することができる。
【0060】図14に示す制御のフローは、コンバイン1が畦際制御域で短稈を検出し、供給調節装置30を深扱ぎ側に調節する過程で、急に普通長さの穀稈が搬送されてきたような場合に、不適当な深扱ぎを防止するものである。
【0061】コンバイン1の畦際制御において、前部穀稈センサS1がONであり、畦際制御域にあり、短稈センサS3がOFFであり、短稈センサS3のOFF検出後のコンバイン1の走行距離が50cm走行したかをチェックしてYESであれば供給調節装置30を深扱ぎ位置に出力しリターンする。また、短稈センサS3のOFF検出後のコンバイン1の走行距離が50cm走行したかをチェックしてNOであれば、再び短稈センサS3のONをチェックして、YESであれば供給調節装置30を深扱ぎ側に断続的に調節出力し、短稈センサS3のOFF検出後のコンバイン1の走行距離が50cm走行したかをチェックしてNOであり、再び短稈センサS3のONをチェックしてNOであれば供給調節装置30の調節出力を停止する。
【0062】前部穀稈センサS1がOFFであり刈取り穀稈を搬送していない場合、前部穀稈センサS1がONで刈取り穀稈を搬送中であるが、畦際制御域にない場合、および前部穀稈センサS1がONで刈取り穀稈を搬送中であり、畦際制御域にあるが、短稈センサS3がONすなわち普通長さの穀稈を刈取り搬送中の場合には、いずれも制御のフローをリターンする。
【0063】コンバイン1の畦際制御において、前部穀稈センサS1がONであり、刈取り穀稈が搬送中に畦際制御域にあり、短稈センサS3がOFFすなわち短稈を刈取り搬送中であり、短稈センサS3のOFF検出後のオフディレイタイムとしてコンバイン1の走行距離が50cm走行したかをチェックしてYESであれば、畦際の短稈を検出してからディレイタイムを経過したので、供給調節装置30を深扱ぎ位置に出力する。また、短稈センサS3のOFF検出後のコンバイン1の走行距離が50cm走行したかをチェックしてNOであれば、ディレイタイムを経過していないので、再び短稈センサS3のONをチェックして、YESすなわち短稈であれば、ディレイタイム中に短稈が継続して刈取られているので、供給調節装置30を深扱ぎ側に断続的に調節出力し、徐々に深扱ぎ側へ調節する。
【0064】次に短稈センサS3のOFF検出後のコンバイン1の走行距離が50cm走行したかをチェックしてNOであり、再び短稈センサS3のONをチェックしてNO、すなわち普通長さの穀稈の搬送が認められた場合、つまり、作物の生育、畦際の状況などにより短稈検出後のオフディレイ中に、普通長さの穀稈が混合して来たような場合、供給調節装置30の調節出力を停止して、普通長さの穀稈に対して深扱ぎとならないようにする。
【0065】このように図14のフローによると、コンバイン1が畦際制御で短稈を検出し、供給調節装置30を深扱ぎ側に調節する過程で、急に普通長さの穀稈が搬送されてきたような場合でも、不適当な深扱ぎを防止することができるので、深扱ぎにともなう脱穀装置15内での穀稈折れ、大量の排藁の発生、これに伴う穀粒分離効率の低下、詰まりによる脱穀装置15の故障などの課題をすべて解決できる。
【0066】なお、本例中に示した数値は例示であり、圃場、作物種類、成育状況などにより変更可能であり、また権利範囲を限定するものではない。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、設定が困難なディレイタイムを利用すること無く、特に畦際の刈取にも適した扱深さ調節ができ、脱穀装置は適正扱深さで脱穀処理し、分離選別も適正に行うことができて、穀粒の回収効率の向上、排藁の減少、脱穀装置の詰まりなどの故障防止が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義
【公開番号】 特開平11−225549
【公開日】 平成11年(1999)8月24日
【出願番号】 特願平10−31297