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【発明の名称】 草刈作業車両のカバー構造
【発明者】 【氏名】吉野 潤一

【要約】 【課題】草刈機のフロントカバーの支持構造を改良、及びエンジン吸気装置への塵埃の侵入を防止する車体カバーに改良する。

【解決手段】草刈作業車両において、カッタケース12の左右側面に回動自在に取着する左右一対のリンク13と、この左右一対のリンク13の先端部を1つの軸24により開閉自在に取着するフロントカバー20とを備えた構成としたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体前方に配設される草刈機のカッタと、このカッタを覆うカッタケースと、このカッタケースの前方の草に応じて昇降自在に配設されるフロントカバーとを備えた草刈作業車両のカバー構造において、前記カッタケース(12)の左右側面に回動自在に取着する左右一対のリンク(13)と、この左右一対のリンク(13)の先端部を1つの軸(24)により昇降自在に取着するフロントカバー(20)とを備えたことを特徴とする草刈作業車両のカバー構造。
【請求項2】 請求項1記載の草刈作業車両のカバー構造において、前記フロントカバー(20)は、カッタケース(12)と、カッタケース(12)の左右側面の下方部に配設されるソリ(30)との隙間を覆うようにした左右側面板(21)を設けたことを特徴とする草刈作業車両のカバー構造。
【請求項3】 車体前方に配設される草刈機のカッタと、このカッタを覆うカッタケースと、このカッタケースの前方の草に応じて昇降自在に配設されるフロントカバーとを備えた草刈作業車両のカバー構造において、カッタケース(12)の左右側面の下方部にソリ(30)を配設するとともに、カッタケース(12)に対してソリ(30)を一方側で第1ブラケット(31)に回動自在に取着し、かつ、他方側で第2ブラケット(33)の長孔(34)により上下方向に調整可能に取着したことを特徴とする草刈作業車両のカバー構造。
【請求項4】 請求項1および3記載の草刈作業車両のカバー構造において、前記第1ブラケット(31)は、前記カッタケース(12)の左右側面に回動自在に取着する左右一対のリンク(13)の下げ側のストッパとして用いられることを特徴とする草刈作業車両のカバー構造。
【請求項5】 草刈機を装着した作業車両の車体に載置される作動油タンク、燃料タンク、ラジエータおよびエンジンを覆うカバーを備えた草刈作業車両のカバー構造において、車体に載置される作動油タンク(40)、燃料タンク(41)、ラジエータ(43)、エンジン(42)およびエンジンの吸気装置(45)を覆う開閉自在な一体の車体カバー(50)を設けたことを特徴とする草刈作業車両のカバー構造。
【請求項6】 請求項5記載の草刈作業車両のカバー構造において、前記車体カバー(50)は、作動油タンク(40)、および燃料タンク(41)を載置する収納室と、ラジエータ(43)、およびエンジン(42)を載置する収納室から、エンジンの空気吸入通路(54)を仕切る隔壁(53)を設けたことを特徴とする草刈作業車両のカバー構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、草刈機を車体前方に装着した草刈作業車両に係り、特に、草刈機のフロントカバー、および車体に載置されるエンジン等を覆う車体カバーを改良した草刈作業車両のカバー構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の草刈り用のカッタ刃を用いた草刈機(以下、ハンマナイフ式草刈機と言う。)を車体前方に備えた、一例として特開平8−37875号が出願されている。この出願内容を図8により説明する。図8に示す、クローラ式の走行装置61を有する車体62の前方にはハンマナイフ式の草刈機63が昇降自在に取着されている。草刈機63のカッタケース64の下部にはソリ65がボルト66により締着されており、ソリ65の下面はハンマナイフ式カッタ11の外径DよりSだけ下方に位置している。また、カッタケース64の前部の左右両側面には回動アーム70の一端部が回動自在に取着され、回動アーム70の他端部はフロントカバー71の側面板72に回動自在に取着されている。したがって、フロントカバー71はカッタケース64に対して昇降可能である。回動アーム70の上方にはフロントカバー71の上端部とカッタケース64とを連結するコイルバネ73が設けられ、フロントカバー71を下方向に押し下げる方向に付勢している。フロントカバー71の上端縁とカッタケース64の前部上端縁には互いに当接する係合部(図示せず)が設けられ、係合部が当接することによりフロントカバー71の最下位置が規定される。フロントカバー71は最下位置において、その左右の側面板72の下縁部とソリ65との間に隙間Xを有する。車体62のほぼ中央部にはエンジン80および駆動装置81が搭載され、後方にはオペレータシート82および操縦装置83が搭載されている。
【0003】図8に示す草刈作業車両は、草刈り作業を行うときに、草刈機63の高さを調整することで草の刈り取り高さを調整し、カッタ11を回転させて車両を前進させる。刈られた草は草刈機63の後方から排出される。フロントカバー71は草の高さが低い場合には最下位置にあって前面開口部の開口量を最小に保ち、石等が草刈機63の前方に飛び出すのを防止する。また、草の高さが高い場合にはフロントカバー71は押し上げられ、前面開口部の開口量は大きくなって多量の草をカッタケース64の前面開口部から取り込めるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成においては、以下のような問題点がある。
(1) フロントカバーの左右の側面板はカッタケースの側面にそれぞれ個別に回動アームにより回動自在に取着されているため、フロントカバーの左右いずれか一方が押し上げられた場合にフロントカバーに捩じれが発生し、昇降作動がスムースに行われない場合がある。
(2) フロントカバーの側面板の下縁部とソリとの間の隙間から刈った草、塵埃や小石等が飛散する場合がある。
(3) カッタ外径とソリとの距離は地形等に合わせて簡単に調整できるものが望まれている。
(4) フロントカバーの最下位置を規定するために、フロントカバーの上端縁とカッタケースの前部上端縁とに係合部を設けており、構造複雑でコストが高い。
(5) カッタにより刈った細かい草茎が後方に飛散して、エンジン等の動力装置に付着するため簡単に排除出来るものが望まれている。
【0005】本発明は上記の問題点に着目し、フロントカバーの昇降作動がスムースであり、フロントカバーの下部から石等が飛散することがなく、カッタ外径とソリとの距離を調整して各種地形に対応することができるようにするとともに、エンジンおよびエンジンの吸気装置を覆う一体の車体カバーを設けた草刈作業車両のカバー構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用および効果】上記の目的を達成するために、本発明に係る草刈作業車両のカバー構造の第1発明は、車体前方に配設される草刈機のカッタと、このカッタを覆うカッタケースと、このカッタケースの前方の草に応じて昇降自在に配設されるフロントカバーとを備えた草刈作業車両のカバー構造において、前記カッタケースの左右側面に回動自在に取着する左右一対のリンクと、この左右一対のリンクの先端部を1つの軸により昇降自在に取着するフロントカバーとを備えた構造としたものである。上記構成によれば、フロントカバーを支持する左右のリンクの先端部は1つの軸により取着されているため、フロントカバーの左右いずれか一方が押し上げられて偏荷重が加わってもフロントカバーは捩じれることなく昇降作動することができる。したがって、フロントカバーの昇降作動が良好となるので作業性が向上するとともに、フロントカバーの変形等の発生がないので耐久性が向上する。
【0007】第2発明は、第1発明の構成において、前記フロントカバーは、カッタケースと、カッタケースの左右側面の下方部に配設されるソリとの隙間を覆うようにした左右側面板を設けた構成としたものである。上記構成によれば、カッタケースと、カッタケースの左右側面の下方部に配設されるソリとの隙間を覆うフロントカバーの左右側面板を設けたので、草刈り作業中にフロントカバーの側面から刈り取った草茎や小石等が草刈機から外側に飛散することが少なくなる。したがって、草刈り作業が安全にしかも効率良く行うことができる。
【0008】第3発明は、車体前方に配設される草刈機のカッタと、このカッタを覆うカッタケースと、このカッタケースの前方の草に応じて昇降自在に配設されるフロントカバーとを備えた草刈作業車両のカバー構造において、カッタケースの左右側面の下方部にソリを配設するとともに、カッタケースに対してソリを一方側で第1ブラケットに回動自在に取着し、かつ、他方側で第2ブラケットの長孔により上下方向に調整可能に取着した構成としたものである。上記構成によれば、ソリを第1ブラケットの回動中心を中心として回動させることによりカッタケースとソリとの相対位置を調整することができる。したがって、カッタ外径とソリの下面との距離を非常に簡単に調整することが可能となり、河川敷、山間部の傾斜地およびスキー場等の草刈り作業を行うのに有用である。
【0009】第4発明は、第1発明および第3発明の構成において、前記第1ブラケットは、前記カッタケースの左右側面に回動自在に取着する左右一対のリンクの下げ側のストッパとして用いる構成としたものである。上記構成によれば、第1ブラケットはフロントカバーの最下位置を規定するストッパの役目を兼ねることにより、構造が簡素化されコストが安価となる。
【0010】第5発明は、草刈機を装着した作業車両の車体に載置される作動油タンク、燃料タンク、ラジエータおよびエンジンを覆うカバーを備えた草刈作業車両のカバー構造において、車体に載置される作動油タンク、燃料タンク、ラジエータ、エンジンおよびエンジンの吸気装置を覆う開閉自在な一体の車体カバーを設けた構成としたものである。上記構成によれば、作動油タンク、燃料タンク、ラジエータ、エンジンおよびエンジンの吸気装置を覆う一体の車体カバーを設けたので、車体カバーのみを開くことにより、点検整備が容易となるとともに、エンジンやタンク類が露出していないので、刈り取った草茎等がエンジン室やタンク室等入ることがなく、外部の障害物との接触による破損するようなこともないので、安全に作業することができる。
【0011】第6発明は、第5発明の構成において、前記車体カバーは、作動油タンク、および燃料タンクを載置する収納室と、ラジエータ、およびエンジンを載置する収納室から、エンジンの空気吸入通路を仕切る隔壁を設けた構成としたものである。上記構成によれば、第5発明の作用効果に加えて、車体カバーは、作動油タンク、および燃料タンクを載置する収納室と、ラジエータ、およびエンジンを載置する収納室から、エンジンの空気吸入通路を仕切る隔壁を設け、エンジンの空気吸入通路は車体カバー内に形成されるので、塵埃等がエンジンの吸気装置に侵入することがないのでエンジンの耐久性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係る草刈作業車両のカバー構造について、図1〜図7により説明する。図1は草刈作業車両の側面図、図2は草刈作業車両の平面図である。図1に示すように、クローラ式の走行装置2を有する車体3の前部にはピン4により、ハンマナイフ式カッタを備えた草刈り作業機10(以下、草刈機10と言う。)が図示しないリフトシリンダにより上下方向に揺動自在に取着されている。図3は草刈機10の側面図、図4は草刈機10の正面図である。先ず、図3,図4に示すハンマナイフ式のカッタ11を覆うカッタケース12の両側面にはリンク13の基端部がボルト14により回動自在に取着されている。リンク13の先端部にはフロントカバー20の側面板21が回動自在に取着されている。フロントカバー20の上端部に設けられたピン22にはコイルバネ23の一端部が回動自在に取着されている。カッタケース12の側面にはコイルバネ23の他端部が回動自在に取着されており、コイルバネ23はフロントカバー20をカッタケース12方向に付勢している。フロントカバー20に上向き外力が加わるとフロントカバー20は自重の力に抗して上昇する。この時フロントカバー20の上端部のピン22はカッタケース12の前方上縁部15に沿って移動する。すなわち、草の高さが低い場合にはフロントカバー20の前方の開口量は最小H1となって小石等が前方に飛散するのを防止し、草の高さが高い場合にはフロントカバー20は草に押されて最大H2まで上昇し、多量の草をカッタケース12内に取り込む。
【0013】カッタケース12の両側面の下方には左右一対のソリ30が配設され、ソリ30の前方側に固設された第1ブラケット31はボルト32によりカッタケース12の側面に回動自在に取着され、ソリ30の後方側に固設された第2ブラケット33に設けられた長孔34はボルト35によりカッタケース12の側面に締着されている。ソリ30の下面はカッタ11の外径DよりLだけ下方に位置している。ソリ30は長孔34の範囲内で第1ブラケット31のボルト32を中心として揺動可能であり、カッタ外径Dとソリ30の下面との距離Lは調整可能である。したがって、各種の地形に対応して所定の距離Lを選択できる。図3に示すようにフロントカバー20が最下位置にある時、フロントカバー20を支持するリンク13の下面は第1ブラケット31の上面に当接して位置決めされ、最小開口量H1となる。この状態においてフロントカバー20の側面板21はソリ30の内側まで覆っており、刈り取った草茎や小石等の側方への飛散を防止している。上述のように第1ブラケット31はフロントカバー20の最下位置の位置決めストッパを兼ねており、構造が簡素化されコストも安価である。
【0014】図5は図3のA−A断面図で、左右対称の片側のみを示している。カッタケース12の側面にはリンク13の基端部がカラー16を介してボルト14により回動自在に取着されている。リンク13の先端部に固設された筒状部材17には軸24の一端部が嵌入され、固定ピン25により固着されている。軸24はフロントカバー20の側面板21の前端部に固設されたパイプ材26に回動自在に挿入されている。左右のリンク13は軸24およびピン25により互いに連結されているため、フロントカバー20の左右いずれか一方にのみ外力が加わった場合でも捩じれることはなく、したがって、フロントカバー20の開閉作動は良好に行うことができる。
【0015】次に、車体構造について説明する。図1、図2において、車体3の前部には作動油タンク40および燃料タンク41が配設され、その後方にはエンジン42およびラジエータ43を収納したエンジン室44が設けられている。エンジン室44の上面には吸入空気を浄化するエアフィルタ45が載置され、車体3の外周側面部は外装46により覆われている。外装46の上部には車体の上部を覆い作動油タンク40、燃料タンク41、エンジン室44、エアフィルタ45を覆うようにした一体の車体カバー50が設けられ、前端部は外装46に蝶番51によって開閉自在に取着されている。
【0016】図6は車体カバー50を開いた状態を示す草刈作業車両1の側面図であり、図7は平面図である。図7に示すように矩形枠状に構成されたエアフィルタ45の内側のエンジン室44の天井板にはラジエータ43への通気口43aとエンジン吸入空気口52が設けられている。図1に示すように、車体カバー50には、車体カバー50を閉じたときに作動油タンク40および燃料タンク41を覆い、エンジン室44の上天板に接続する隔壁53が設けられ、車体カバー50内の上部に空気吸入通路54を形成している。車体カバー50の上部壁面には空気吸入口55が設けられている。空気吸入口55は図示しないが車体カバー50の前面のみならず後面および右側面にも設けられている。車体カバー50を開放するとエアフィルタ45の清掃、交換や、作動油タンク、燃料タンク回りの清掃等を容易に行うことができ、整備性が良い。
【0017】車体カバー50を閉じた状態でエンジン42を作動すると、車体前方側から吸入される空気は空気吸入口55から空気吸入通路54に入り、エアフィルタ45を通って浄化され、また、図示しないエアクリーナを通ってエンジン42に供給される。さらに、ラジエータ43を冷却する空気はラジエータへの通気口43aを通ってエンジン室44内に入って外装46の側面に設けた図示しない排気口から外部に排出される。したがって、エンジン室44には浄化された空気のみが供給され、エンジン42の耐久性が向上する。
【0018】以上の通り本発明の草刈作業車両のカバー構造によれば、カッタケースの左右側面に回動自在に取着する左右一対のリンクと、この左右一対のリンクの先端部と1つの軸により開閉自在に取着するフロントカバーとを備え、フロントカバーを支持する左右のリンクの先端部は1つの軸により取着されているため、フロントカバーの左右いずれか一方が押し上げられて偏荷重が加わってもフロントカバーは捩じれることなく開閉作動することができる。これにより、フロントカバーの開閉作動が良好となるので草刈り作業に支障がなく作業性が向上するとともに、フロントカバーの変形等の発生がないので耐久性が向上する。
【0019】また、カッタケースと、カッタケースの左右側面の下方部に配設されるソリとの隙間を覆うフロントカバーの左右側面板を設けたので、草刈り作業中にフロントカバーの側面から刈り取った草茎や小石等が草刈機から外側に飛散することがない。これにより、草刈り作業が安全にしかも効率良く行うことができる。
【0020】さらに、カッタケースの左右側面の下方部にソリを配設するとともに、カッタケースに対してソリを一方側で第1ブラケットに回動自在に取着し、かつ、他方側で第2ブラケットの長孔により上下方向に調整可能に取着したので、ソリを第1ブラケットの回動中心を中心として回動させることによりカッタケースとソリとの相対位置を非常に簡単に調整することができる。これにより、カッタ外径とソリの下面との距離を調整することが可能となり、河川敷、山間部の傾斜地およびスキー場等の草刈り作業を行うのに有用である。
【0021】さらにまた、第1ブラケットはフロントカバーの最下位置を規定するストッパの役目を兼ねることにより、構造が簡素化されコストが安価となる。
【0022】また、作動油タンク、燃料タンク、ラジエータ、エンジンおよびエンジンの吸気装置を覆う一体の車体カバーを設けたので、点検整備が容易となるとともに、エンジンやタンク類が露出していないので、刈り取った草茎等がエンジン室やタンク室等入ることがなく、外部の障害物との接触による破損するようなこともないので、安全に作業することができる。
【0023】そして、車体カバーは、作動油タンク、および燃料タンクを載置する収納室と、ラジエータ、およびエンジンを載置する収納室から、エンジンの空気吸入通路を仕切る隔壁を設け、車体前方側からのエンジンの空気吸入通路は車体カバー内に形成されるので、塵埃等がエンジンの吸気装置に侵入することがないのでエンジンの耐久性が向上する。
【出願人】 【識別番号】000184632
【氏名又は名称】小松ゼノア株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 統
【公開番号】 特開平11−225530
【公開日】 平成11年(1999)8月24日
【出願番号】 特願平10−54144