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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】吉邨 文夫

【氏名】高木 真吾

【氏名】飯泉 清

【要約】 【課題】コンバインは、畦際に達して枕地の刈取に移ると、刈取前処理装置を順次上昇させて圃場面より高く盛り上がっている畦に分草杆を衝突させないために、高刈りに移行するため必然的に穀稈丈が極端に短くなるが、扱深さ制御装置は、穀稈を高刈りして刈取穀稈丈が極端に短稈になると、調節距離が不足して対応できない。

【解決手段】少なくとも刈取前処理装置3の刈り高さを制御する昇降制御と、走行車体2の進行方向を制御する進行方向制御と、走行車体2の車速を制御する車速制御と、刈り取った穀稈の長さが所定以下の場合に、扱深さ調節装置6とは別個に設けた供給調節装置7を深扱ぎ側に作動して穀稈を脱穀装置1に供給する短稈制御とを備え、該短稈制御を行っている場合は、前記昇降制御、進行方向制御、車速制御の中で何れか一の制御又はこれらの制御を二以上行わないことを特徴とするコンバイン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも刈取前処理装置3の昇降制御と、走行車体2の進行方向制御と、走行車体2の車速制御と、刈り取った穀稈の長さが所定以下の場合に、扱深さ調節装置6とは別個に設けた供給調節装置7を深扱ぎ側に作動して穀稈を脱穀装置1に供給する短稈制御とを備え、該短稈制御を行っている場合は、前記昇降制御、進行方向制御、車速制御の中で何れか一の制御又は複数の制御を行わないことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圃場の穀稈を刈り取って脱穀するコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から稲は、地域差(例えば、西南暖地と北海道)・品種の違い・成育の度合の差等によって穀稈丈に長短の差があり、これに対応するために扱深さ制御装置を装備したコンバインが普及している。コンバインの扱深さ制御装置は、広く知られているように、刈取前処理装置に穀稈丈に応じて自動制御される扱深さ調節チエンが設けられ、脱穀装置のフィ−ドチエン始端部に、稈身方向に受渡し位置を変更調節しながら、扱胴と穀稈穂部との関係位置を脱穀効率の高い位置に合わせる構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の刈取前処理装置に装備されている扱深さ調節チエンは、刈り取られて搬送されてきた穀稈丈を扱深さセンサで検出して、その検出結果に基づいて扱深さ制御が行われている。この構成は、通常の作業状態には充分に対応でき、調節範囲(調節距離)も穀稈丈に対応できて正確な受継搬送により刈取脱穀作業が行われている。
【0004】しかしながら、従来の扱深さ制御装置は、一つの扱深さ調節チエンを穀稈丈に応じて制御調節しながら作業を行う構成であるから、必然的に調節範囲(調節距離)が限定され、例えば、コンバインが畦際に達して枕地の刈取に移ると、適確な扱深さ制御ができない問題がある。すなわち、コンバインは、畦際に達して枕地の刈取に移ると、刈取前処理装置を順次上昇させて圃場面より高く盛り上がっている畦に分草杆を衝突させないために、高刈りに移行するため必然的に穀稈丈が極端に短くなるが、扱深さ制御装置は、穀稈を高刈りして刈取穀稈丈が極端に短稈になると、調節距離が不足して対応できない。
【0005】このような場合、脱穀装置への穀稈の扱深さをさらに深くできる手段、すなわち、短稈制御を備えると上記課題を解決することが可能であるが、コンバインは昇降制御や方向制御や車速制御等を備えているので、短稈制御を行っているときに、例えば、昇降制御を行うと、刈取前処理装置が下降する不具合を生じる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題を解決するために次の如き技術手段を講じた。すなわち、少なくとも刈取前処理装置3の昇降制御と、走行車体2の進行方向制御と、走行車体2の車速制御と、刈り取った穀稈の長さが所定以下の場合に、扱深さ調節装置6とは別個に設けた供給調節装置7を深扱ぎ側に作動して穀稈を脱穀装置1に供給する短稈制御とを備え、該短稈制御を行っている場合は、前記昇降制御、進行方向制御、車速制御の中で何れか一の制御又は複数の制御を行わないことを特徴とするコンバインとした。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を具体的に説明する。まず、その構成について述べる。走行車体2は、ゴム材を素材とするクロ−ラ8を駆動スプロケット9と複数の遊動転輪10とに巻回し、乾田はもちろんのこと、湿田においても沈下しないで走行できる構成としている。なお、該走行車体2はエンジン(図示せず)の回転動力を駆動源とする流体静圧無段変速機(以下「HST」という)及び駆動スプロケット9を回転する伝動機構等により変速・停止でき、従来と同様の構成である。
【0008】そして、脱穀装置1は、フィ−ドチエン4を有し、上側に扱胴を軸架した扱室を配置し下側に選別室を設け、供給された刈取穀稈を脱穀選別する構成として走行車体2上に搭載している。そして、補助搬送装置5は、フィ−ドチエン4の内側に沿わせて設け、始端部をフィ−ドチエン4から伝動される伝動スプロケット11に巻回し終端部を扱室への供給口の近くまで延長して設け、後述する供給調節装置7から受け継いだ穀稈をフィ−ドチエン4と共同して、又は、単独で扱室へ供給する構成としている。
【0009】つぎに、刈取前処理装置3は、走行車体2の前部に設けた支持台12に、前方下方へ延長した刈取フレ−ム13の後部を上下に回動自由に枢着して、この刈取フレ−ム13に刈取装置14や後述の各穀稈搬送装置を装着して構成している。すなわち、刈取前処理装置3は、前端下部に分草杆15を、その背後に傾斜状にした穀稈引起し装置16を、その後方低部には刈取装置14を、更に、その刈取装置14と前述のフィ−ドチエン4及び補助搬送装置5の始端部との間に、掻込搬送装置17と、前部搬送装置18と、扱深さ調節装置6と、供給調節装置7とを順次穀稈の受け継ぎ搬送ができるように配置して前記した刈取フレ−ム13に取り付け伝動可能に構成している。
【0010】なお、19は刈取昇降シリンダ−であって、油圧装置によって刈取フレ−ム13を昇降する構成としている。掻込搬送装置17は、下部の掻込輪体20aと上部の掻込無端帯20bとからなり、各刈取穀稈条列ごとに前記刈取装置14の上方に設け、穀稈を後方に掻込搬送する構成としている。前部搬送装置18は、株元搬送チエン21aと穂先搬送ラグ21bとからなり、その始端部を前記掻込搬送装置17の終端部に受継可能に臨ませ、多条の刈取穀稈を後方上方に搬送して終端部分において左右の搬送穀稈を合流する構成としている。
【0011】なお、実施例に示す前記穂先搬送ラグ21bは、進行方向に向かって前部の右側からフィ−ドチエン4の始端部側に平面視において傾斜して設けたものを刈取前処理装置3の後部まで延長して設け、連続状態で穀稈穂部を搬送する構成としている。つぎに、扱深さ調節装置6は、搬送チエン6aと挾持杆6bとからなり、始端部を前記前部搬送装置18の終端部に搬送穀稈の株元を受継可能に臨ませて設け、後方上方に延長して終端部を後述する供給調節装置7の始端部に臨ませて設けている。そして、扱深さ調節装置6は、始端部を刈取フレ−ム13に枢着して終端側が搬送穀稈の稈身方向に沿って上下に揺動する構成としている。扱深さ制御モ−タ−22は、正逆転可能なモ−タであって、実施例にあっては前記扱深さ調節装置6の近傍位置で上側に装備しており、連杆23を介してその扱深さ調節装置6に連動可能に連結して設け、後述するコントロ−ラ24から出力される操作信号に基づいて駆動され、扱深さ制御を行う構成としている。
【0012】そして、扱深さセンサ25は、穂先センサ25aと株元センサ25bとからなり、前述した穂先搬送ラグ21bの後方に延長した側のカバ−上方に位置する連結機枠26から穀稈の搬送通路に垂下して設け、搬送中の穀稈丈を検出し、その検出信号を後述するコントロ−ラ24に入力する構成としている。つぎに、供給調節装置7は、チエン7aと挾持杆27とによって穀稈を挾持して搬送するように設け、扱深さ調節装置6の終端部から受け継いだ穀稈を補助搬送装置5(フィ−ドチエン4)の始端部に受け渡して供給調節を行う構成としている。
【0013】具体的に説明すると、チエン7aは、前述の刈取フレ−ム13の基部で補助搬送装置5(フィ−ドチエン4)側に連結している伝動ボックス28の上面に軸架した駆動スプロケット29と、搬送側を内面から案内する可動チエンレ−ル30に軸架した転輪31と、それらより前側に位置してテンション機能を持つテンションロ−ラ32とに巻回して構成している。
【0014】そして、可動チエンレ−ル30は、上述のとおりチエン7aの搬送側を内面から案内するもので、前記伝動ボックス28から斜め前方側に突出して延長した固定の支持ア−ム33の前部に回動自由に支持して設け、先端部の前記転輪31側が、補助搬送装置5の始端部に対して遠近移動できる構成としている。更に、テンションロ−ラ32は、前記支持ア−ム33の中間部に固着した固定機枠35から延長したテンションア−ム36に軸着して設け、テンションスプリング37によって外側(チエン7を張る方向)に張圧して構成している。
【0015】そして、供給制御モ−タ−34は、正逆転可能なモ−タであって、供給調節装置7の下方において、一方側を刈取フレ−ム13側に固着し、他方側を前記した固定機枠35に取り付けて装備し、ロッド38を介して前記可動チエンレ−ル30に連結して設け、コントロ−ラ24から出力される操作信号に基づいて駆動され、供給調節制御を行う構成としている。
【0016】以上のように、供給制御モ−タ−34は、前述の扱深さ制御モ−タ−22と接近した位置に配置され、その上方には後方まで延長されている穂先搬送ラグ21bのケ−スが位置した関係になっている。そして、挾持杆27は、供給調節が行われる供給調節チエン7aの穀稈搬送面に常時沿って張圧状態で搬送穀稈を挾持できるように、前後2つの張圧ばね39a、張圧ばね39bとによって張圧させて構成している。そして、後側の張圧ばね39bは、前側の張圧ばね39bより張圧ストロ−クを長くして挾持杆27の調節距離が長く取れるようにして、チエン7aの後部の移動に充分追従できる構成としている。
【0017】つぎに、各センサとマイクロコンピュ−タ−を利用したコントロ−ラ24について説明する。まず、上部穀稈センサ40aと下部穀稈センサ40bは、穀稈引起し装置16の背面の上部と下部とにそれぞれ配置して設けられ、刈取穀稈の穂先側と株元側とを検出する構成としている。
【0018】そして、コントロ−ラ24は、入力側に、扱深さ制御を選択する扱ぎ深さ制御スイッチ41、上部穀稈センサ40a、下部穀稈センサ40b、穂先センサ25a、株元センサ25b、方向制御作業の入り切り及び感度調節可能な方向制御スイッチ42、刈り高さ制御作業の入り切り及び刈り高さを選択可能な刈り高さ制御スイッチ43、車速制御作業の入り切り及び車速を選択可能な車速制御スイッチ44、短稈制御(畦際制御とも呼ばれている)スイッチ45、方向センサ46、刈取前処理装置3の対地高さを検出する刈取前処理装置対地高さセンサ(以下「刈り高さセンサ」と呼ぶ)47、負荷センサ48等を接続している。
【0019】コントロ−ラ24の出力側は、予め設定記憶された情報及び各種の入力情報に基づいて出力する側に、扱深さ制御モ−タ−22、供給制御モ−タ−34、操向用電磁弁49、刈り高さ用電磁弁50及び変速用正逆転モ−タ−51等を接続している。そして、短稈制御スイッチ45を入りにすると、コントロ−ラ−24は方向センサ46から出力される方向情報、刈り高さセンサ47から出力される高さ情報及び負荷センサ48から出力される負荷情報が入力されても、操向用電磁弁49、刈り高さ電磁弁50及び変速用正逆転モ−タ−51に作動指令信号を出力しない構成としている。すなわち、短稈制御スイッチ45が入りになっている場合は、方向制御、昇降制御及び車速制御が行われない構成である。
【0020】また、該実施例では、短稈制御スイッチ45を入りにすると、方向制御、昇降制御及び車速制御が行われないように構成したが、それらの制御の中で、一制御のみあるいは複数の制御を行わないように構成してもよい。さらに、前記刈取フレ−ム13の後端部にポテンショメ−タPを設け、刈取フレ−ム13の回動による刈取前処理部3の高さを検出した情報を、コントロ−ラ−24が取り込む構成としている。したがって、短稈制御スイッチ45を入りの状態で、刈取前処理部3が所定以上の高さに位置すると、短稈制御が機能することになる。
【0021】なお、前記扱ぎ深さ制御スイッチ41、方向制御スイッチ42、刈り高さ制御スイッチ43、車速制御スイッチ44及び短稈制御(畦際制御とも呼ばれている)スイッチ45は、操縦部52の前進方向に向かって左側の左操作パネル53に整列して配置している。また、座席54の前側にある前操作パネル55の右寄りにはパワステレバ−56及びエンジンスイッチ57を設けている。
【0022】そして、扱深さ制御モ−タ−22は、扱ぎ深さ制御スイッチ41が入りの状態において、扱深さセンサ25の検出情報に基づいて制御され、穂先センサ25aと株元センサ25bとが共に穀稈の検出状態にあるときには扱深さ制御モ−タ−22を正転して浅扱ぎ側に制御し、両センサ25a、25bが共に非検出状態にあるときには扱深さ制御モ−タ−22を逆転して深扱ぎ側に制御し、穀稈穂部の先端が穂先センサ25aと株元センサ25bとの間を通過する位置をニュ−トラルゾ−ンとして扱深さ制御モ−タ−22を駆動せず適正な扱深さ位置と判断する構成としている。
【0023】そして、供給制御モ−タ−34は、上部穀稈センサ40aと下部穀稈センサ40bとの検出情報に基づいて制御され、両センサ40a、40bが共に穀稈を検出しているときには、供給調節装置7を補助搬送装置5に近い待機位置に保持し、下部穀稈センサ40bが検出状態にあって上部穀稈センサ40aが非検出状態になると、正転して供給調節装置7を深扱ぎ側に調節する構成としている。
【0024】そして、下部穀稈センサ40bが検出状態で上部穀稈センサ40aが非検出状態の状態から、上部穀稈センサ40aと下部穀稈センサ40bとが共に穀稈を検出状態になると、供給制御モ−タ−34は逆転して、供給調節装置7を補助搬送装置5に近い待機位置に復帰する構成としている。方向センサ46は横方向に一対の感知部を有し、コントロ−ラ−24は、感知部と穀稈との接触圧力があらかじめ設定した適正範囲から外れるているとの情報を入力すると、操向用電磁弁49を作動して左側又は右側の操向クラッチを入り切りし、直進する走行車体2の進行方向を左側又は右側に修正する従来のものと同様な構成であって分草杆15の前端部に設けている。なお、感知部と穀稈との接触圧力が所定以下になると、操向用電磁弁49は元の状態に戻って、操向クラッチを入りにするので、走行車体2は直進する。
【0025】刈り高さセンサ47は、実施例では超音波を利用しており、前記穀稈引起し装置16の近くにおける分草杆15に着脱自在に設け、圃場までの距離が所定以下又は所定以上を検出すると、この情報を入力したコントロ−ラ−24は刈り高さ用電磁弁50を作動して前記刈取昇降シリンダ−19を伸縮し、刈取前処理装置3を昇降し、あらかじめ設定した高さの範囲内に位置する構成である。なお、刈取前処理装置3がその適正範囲の高さになると、刈り高さ用電磁弁50は元の状態に戻って、その高さにある刈取前処理装置3を支持する構成である。
【0026】負荷センサ48は脱穀装置1の扱胴(図示せず)の扱胴軸58の軸端部に設けており、該負荷センサ48からの回転情報を取り込んだコントロ−ラ−24が、扱胴の回転数が設定回転数の適正範囲から外れていると判断すると、変速用正逆転モ−タ−51を正転しHSTを作動する変速レバ−59を低速側に移動する構成である。なお、コントロ−ラ−24が適正回転数であると判断すると、変速用正逆転モ−タ−51は逆転して、変速レバ−59を設定した走行速度の位置に戻す。
【0027】パワステレバ−56は前進方向に向かって左側又は右側に倒すと、スイッチが入って前記操向用電磁弁49を作動して左側又は右側の操向クラッチを入り切りし、直進する走行車体2の進行方向を左側又は右側に修正する構成としている。60は刈取前処理装置3への伝動を入り切り操作をする刈・脱クラッチレバ−であって、左操作パネル53に設けた前後方向に長い溝に沿って、切り位置から中間部まで移動すると、まず脱穀装置1への伝動を入りにし、さらに前端部に移動すると脱穀装置1と刈取前処理装置3とを入りにすることができる。
【0028】なお、手動で行うパワステレバ−56による進行方向の修正及び刈取前処理装置3の昇降操作は、前記方向制御及び昇降制御の自動制御に対して優先し、手動で行う変速レバ−59の操作は車速制御の自動制御に対して優先する構成としている。61は左操作パネル53の前端部に設けたスロットルレバ−である。つぎにその作用について説明する。
【0029】まず、座席54に座った運転者は、エンジンスイッチ57を入りにしてエンジンを始動し、スロットルレバ−61を操作してエンジンの回転数を調節し、そして、扱ぎ深さ制御スイッチ41と方向制御スイッチ42と刈り高さ制御スイッチ43と車速制御スイッチ44とを入りにすると共に、方向制御の感度、刈り高さ及び車速を選択する。
【0030】そして、運転者は刈・脱クラッチレバ−61を操作して刈取前処理装置3と脱穀装置1に伝動し、さらに変速レバ−59を操作して走行車体2を前進させる。また、必要があるならば、パワステレバ−56を左右又は前後に操作して走行車体2の進行方向の修正や刈取前処理装置3の高さを選択し、収穫する穀稈に条合わせを行って作業を開始する。
【0031】そして、圃場の穀稈は、前進する走行車体2の前端下部にある分草杆15によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置16の引起し作用によって倒伏状態から直立状態に引き起こされ、株元が刈取装置14に達して刈り取られ、掻込輪体20aと掻込無端帯20bとの作用を受けて掻込まれ前部搬送装置18に受け継がれて順次連続状態で上方に搬送される。
【0032】このようにして、穀稈は、広幅で多数の条列が同時に刈り取られ、左右の前部搬送装置18によって搬送されて後部で合流し、扱深さ調節装置6から供給調節装置7に順次連続状態で受け継がれ、フィ−ドチエン4の始端部に達して脱穀装置1に供給される。そして、穀稈は、株元がフィ−ドチエン4に挾持された状態で搬送されながら、穂先部分が扱室内に挿入されて通過する過程で、回転されている扱胴によって脱穀される。そして、脱穀処理物は、下方の選別室に達して選別風と揺動選別装置の作用を受けて選別処理されるものである。
【0033】以上のように、コンバインは、連続的に刈取脱穀作業を行い、脱穀選別した穀粒を収穫してグレンタンクに収集貯留する。このような作業中において、扱深さ調節装置6は、扱深さセンサ25を構成している穂先センサ25aと株元センサ25bからの検出情報がコントロ−ラ24に入力され、それに基づいてコントロ−ラ24から出力される操作信号によって扱深さ制御モ−タ−22が制御作動され、連杆23を介して調節される。
【0034】この場合、コントロ−ラ24は、搬送穀稈の穂先位置が穂先センサ25aと株元センサ25bとの間を通過する位置が最も適する扱深さの位置と判断し、その位置に扱深さ調節装置6の調節位置を合わせるように調節制御している。また、走行車体2は方向センサ46の検出により左又は右クラッチの入り切りし進行方向を修正しながら前進するので穀稈の踏み倒しがない。刈り高さセンサ47の検出により刈取昇降シリンダ−19を伸縮して刈取前処理装置3を昇降するので穀稈の刈り取り高さを略一定にできる。
【0035】さらに、負荷センサ48の検出により車速を変速するので、脱穀装置1への供給量を自動制御でき、例えば、脱穀負荷が大きくなっても元の正常な負荷への復帰を速め作業能率の向上を図れる。つぎに、圃場の枕地に達して分草杆15の先端を近くの畦に衝突させないためや圃場の穀稈が極めて短い場合は、短稈制御スイッチ45を入りにしておき、パワステレバ−56を後側に移動して、刈取昇降シリンダ−19を大きく伸長して刈取前処理装置3を上昇しながら穀稈の高刈作業に移る。このようにして枕地の刈取作業を行うと、穀稈は、極端に短稈の状態に刈り取られて掻込輪体20aと掻込無端帯20bに掻き込まれるが、そのとき、下部穀稈センサ40bには接触するが上部穀稈センサ40aには届かず接触しないまま後方上方に搬送される。
【0036】すると、コントロ−ラ24は、一方の下部穀稈センサ40bから検出信号が入力され、他方の上部穀稈センサ40aから非検出信号が入力されるから、搬送穀稈が極端に短いと判断して、供給制御モ−タ−34に深扱ぎ側に作動するように制御信号を出力する。その結果、供給調節装置7は、供給制御モ−タ−34からロット38を介して、可動チエンレ−ル30が、枢着部を支点にして先端の転輪31側が補助搬送装置5から遠ざかる方向の深扱ぎ側に調節制御される。
【0037】そのとき、供給調節装置7のチエン7aは、転輪31が定位置の駆動スプロケット29側に近ずいて緩み状態になるが、テンションスプリング37とテンションア−ム36によって張圧されているテンションロ−ラ32が外側に作用してその緩みが吸収され、適度の張力のもとに駆動スプロケット29によって伝動されている。また、挾持杆27は、調節幅の大きい転輪31側が、張圧ストロ−クの長い後側の張圧ばね39bによって張圧しているから、供給調節チエン7aに追従して移動し確実に穀稈の挾持ができる。
【0038】以上のように調節制御された供給調節装置7は、扱深さ調節装置6の終端部から受け継いだ極く短い穀稈を補助搬送装置5に供給するが、このとき、株元がフィ−ドチエン4の挾持位置に届かない短い穀稈は、補助搬送装置5によって搬送され、そのまま供給側から全稈が扱室に投入されることになる。このように、供給調節装置7は、コントロ−ラ24の操作信号に基づいて適確に制御されるから極端に短い穀稈に対しても対応することができ、枕地の刈取もコンバインによって行うことが可能になった。
【0039】そして、短稈制御スイッチ45を入りにすると、これに関連して、昇降制御、進行方向制御および車速制御を行わない。したがって、刈取前処理装置3を高くしていても、刈取前処理装置3を自動降下するので、刈取前処理装置3の上昇操作が行いにくい。また、刈取前処理装置3が高い位置にあると、方向センサ46の検出位置も高くなるので、穀稈の株元検出精度が低下して誤作動を生じ易いが、この誤作動を防止できる。
【0040】さらに、刈取前処理装置3が高い位置にあるとき、通常は低速で作業を行うが、この場合、脱穀負荷が小さいので、走行車体2を増速するが、そのため、コンバインが畦に衝突する不具合を生じ易いが、この不具合も防止できる。
【0041】
【発明の効果】本発明は、脱穀装置1を搭載した走行車体2の前部に、刈取前処理装置3を支架して構成したコンバインにおいて、前記脱穀装置1は、フィ−ドチエン4の搬送始端部の供給部に沿わせて内側に補助搬送装置5を設け、前記刈取前処理装置3には、刈取穀稈の合流搬送位置より後方に設けた扱深さ調節装置6の終端部と、前記脱穀装置1の供給部に設けている補助搬送装置5の始端部との間に供給調節装置7を設け、該供給調節装置7は、前記扱深さ調節装置6と関連して、又は、独立して供給穀稈の稈身方向に移動して供給深さの調節を可能にしたものであるから、扱深さ制御装置は、刈取穀稈丈が極端に短くなっても対応することができて、従来、手刈を常識としていた枕地の刈取も機械による自動刈取を可能にした特有の効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月30日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−215908
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−19237