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【発明の名称】 走行式甘薯蔓処理機
【発明者】 【氏名】辻 輝治

【要約】 【課題】走行式甘薯蔓処理機は、溝内にある蔓を分草板ですくうだけなので、処理後の溝には枯れた葉や千切れた茎葉等のゴミが残ってしまい、作業終了後に熊手等で再度掃除をしなければならず手間がかかっていた。

【解決手段】甘薯の蔓を走行しながら引き抜いて排出する走行式甘薯蔓処理機において、機体より下側方に溝処理装置40を突出し、該溝処理装置を構成する熊手45を畝側部の溝に位置させ、前記熊手を機体への取付部に対して上下回動可能に支持し、該熊手を溝側へ弾性部材であるバネ47で付勢し、また、前記溝処理装置を構成する熊手を上方へ回動した退避位置に固定可能に構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 甘薯の蔓を走行しながら引き抜いて排出する走行式甘薯蔓処理機において、機体より下側方に溝処理装置を突出し、該溝処理装置を構成する熊手を畝側部の溝に位置させたことを特徴とする走行式甘薯蔓処理機。
【請求項2】 前記熊手を機体への取付部に対して上下回動可能に支持し、該熊手を溝側へ弾性部材で付勢したことを特徴とする請求項1記載の走行式甘薯蔓処理機。
【請求項3】 前記溝処理装置を構成する熊手を上方へ回動した退避位置に固定可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の走行式甘薯蔓処理機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高畝栽培や平畝栽培された甘薯の芋蔓を根元から引きちぎって、搬送装置により掻上げ、該畝から離れた畝の側に集めることの出来る走行式甘薯蔓処理機において、畝両側の溝に残る葉や茎等を処理する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、甘薯の蔓を走行しながら引き抜いて排出する走行式甘薯蔓処理機は公知となっている。該走行式甘薯蔓処理機は、走行フレームの先端に配置した分草板を、芋畝と芋畝の間の溝の部分に位置し、該溝内で土中に埋まったような状態の芋蔓を掘り起こして、芋蔓処理機構の側を構成する芋蔓搬送フレームの先端に支持された掻込装置に搬送し、芋畝押えローラー機構により芋畝の芋を押しつけることにより、芋蔓の元の部分を引きちぎり、その引きちぎった芋蔓を搬送装置により掻上げ、該芋畝から離れた芋畝または溝の側に集めるような構成とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記甘薯蔓処理機は、溝内にある蔓を分草板ですくうだけなので、処理後の溝には枯れた葉や千切れた茎葉等のゴミが残ってしまい、作業終了後に熊手等で再度掃除をしなければならず手間がかかっていたのであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。即ち、甘薯の蔓を走行しながら引き抜いて排出する走行式甘薯蔓処理機において、機体より下側方に溝処理装置を突出し、該溝処理装置を構成する熊手を畝側部の溝に位置させたものである。
【0005】また、前記熊手を機体への取付部に対して上下回動可能に支持し、該熊手を溝側へ弾性部材で付勢したものである。
【0006】また、前記溝処理装置を構成する熊手を上方へ回動した退避位置に固定可能に構成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。図1は走行式甘薯蔓処理機の全体側面図、図2は同じく全体平面図、図3は溝処理装置の部分平面図、図4は同じく後面断面図、図5は溝処理装置の間欠作動機構を示す部分側面図、図6は溝処理装置の回動機構を示す側面断面図、図7は図6の、固定ピンを固定孔より抜いた際の側面断面図、図8は溝処理装置の上方への回動を示す全体側面図である。
【0008】まず、図1より全体構成から説明する。走行式甘薯蔓処理機1の走行機構21は左右の走行車輪11・11とエンジン23と操向ハンドル25を主体として構成されている。該エンジン23の進行方向の左側面にミッションケース27が固設されており、エンジン23のクランクシャフトが該ミッションケース27の内部に動力を伝達する。該ミッションケース27の内部で変速の後に、走行駆動ケース13を介して走行車輪11に動力が伝達されている。
【0009】走行駆動ケース13の前端は、走行フレーム19から下方に突出した車輪高さ調整フレーム17に対して、ボルトにより上下取付位置を調整可能としており、走行駆動ケース13の後端は、ミッションケース27に対して上下回動可能に枢支部18で枢支されている。故に、該走行駆動ケース13と車輪高さ調整フレーム17の取付位置を上下に調整することにより、走行機構21の地面に対する高さを調整可能としている。これにより、芋畝の高さに対して、芋蔓処理機構20と走行機構21の高さを調整することが可能となっている。
【0010】また、エンジン23及びミッションケース27は一体的に固定されており、該エンジン23とミッションケース27の部分から前方に、前述の走行フレーム19が突出されている。該走行フレーム19の先端に分草板16・16と芋蔓切断装置22が支持されている。また芋蔓搬送フレーム91・91に回動中心ギアケース26が配設されており、該回動中心ギアケース26の部分に枢支点28が構成されている。
【0011】また、前記走行フレーム19より後上方に向かって、操向ハンドル25が突出されている。該操向ハンドル25はエンジン23の上方まで延出されている。前記ミッションケース27の前部から、PTO軸が突出されており、該PTO軸にPTOジョイント軸15が連結されている。該PTOジョイント軸15の前端は、走行フレーム19に配置された回動中心ギアケース26の部分に動力伝達している。
【0012】次に、図1と図2において、芋蔓処理機構20の構成を説明する。該芋蔓処理機構20の主たる部分は掻込装置14・14と芋畝押えローラー機構29と芋蔓挟持搬送ベルト機構24の部分である。分草板16・16と芋蔓切断装置22の部分は、前述の如く走行フレーム19の側に支持されているので、走行機構21を構成することとなる。前記芋蔓処理機構20の先端に、縦方向のタインにより構成された掻込装置14・14が配置されている。該走行機構21を構成する走行フレーム19の先端に配置された分草板16・16は、芋畝と芋畝の間の溝の部分に位置し、該溝内で土中に埋まったような状態の芋蔓を掘り起こして、芋蔓処理機構20の側を構成する芋蔓搬送フレーム91の先端に支持された掻込装置14・14に搬送するような構成とされている。
【0013】前記走行機構21の側の分草板16・16により埋設状態から引上げ、芋蔓処理機構20の側の掻込装置14・14により掻き込んで、芋蔓処理機構20の側の芋蔓挟持搬送ベルト機構24により後方へ挟持しながら搬送し、芋畝押えローラー機構29により、芋畝の芋を押し付けることにより、芋蔓の元の部分を引きちぎるのである。該芋蔓の元の部分をカッターで切断することも出来るが、芋を傷める可能性があるので、芋畝押えローラー機構29で押えて芋蔓挟持搬送ベルト機構24が引っ張るという作用で引きちぎるべく構成したものである。
【0014】前記分草板16・16で分草し、掻込装置14・14で掻き込む場合において、隣の芋畝にまで繁茂したり、隣の芋畝から芋蔓が出てきて、もつれている場合があり、これをそのまま引っ張ると、隣の芋畝の芋を掘りあげる可能性があるので、これを阻止すべく、走行フレーム19の側に芋蔓切断装置22が配置されている。該芋蔓切断装置22は、上下方向に刃を前方に向けて配置された往復動刃により構成されており、芋蔓切断装置クラッチレバー81を設けて、動力を断接すべく構成している。前記芋蔓切断装置22を駆動するクランク部が回動中心ギアケース26の部分の側方に構成されており、クランク連動リンク12を介して、芋蔓切断装置22が駆動される構成とし、前記回動中心ギアケース26の部分に、芋蔓切断装置22の駆動クラッチ機構が配置されている。
【0015】掻込装置14・14と芋畝押えローラー機構29と芋蔓挟持搬送ベルト機構24により芋蔓処理機構20を構成しており、これらを回動中心ギアケース26の中心の軸の部分で枢支点28として枢支している。故に、芋畝押えローラー機構29により、芋畝の高さを検出して、芋蔓処理機構20の先端が上下すると、芋蔓処理機構20の全体が枢支点28を中心に上下に回動する。そして、芋蔓処理機構20と走行機構21との間にガススプリング機構30が介装されている。該ガススプリング機構30により、芋蔓処理機構20と走行機構21が構成する通常の高さ位置に戻るように構成している。
【0016】前記芋蔓挟持搬送ベルト機構24は、左右にその排出方向を切換可能としており、当該芋蔓切りをしている芋畝の後方に落下させることも出来るし、次の条の溝の中に排出することも出来るし、更に2条隣の条の溝に排出すべく、大きく芋蔓挟持搬送ベルト機構24の後端を回動させることも出来るのである。図2においては、進行方向の右側にのみ、2段階に回動した状態が図示されているが、これを左右対称とした左側の位置にも2段に回動可能であり、中央の位置を入れると、5段の位置に排出の切換調整が可能としている。但し、5段階に限定するものではなく、左右方向に多段階に排出位置を調整可能な構成であればよいのである。
【0017】また、操向ハンドル25の左側の部分に前後進行切換レバー8と走行クラッチレバー9が配設されている。また変速レバー31がミッションケース27の上部から突出されている。
【0018】次に、本発明の、溝に残った枯れ葉や千切れた茎葉等のゴミを処理するための溝処理装置について説明する。図1、図2に示すように、操向ハンドル25の左右両側に本発明の溝処理装置40が設けられている。但し、走行駆動ケース13や走行フレーム19等から左右の走行車輪11・11後方へ突出する構成とすることもできる。なお、前記溝処理装置40は機体に対して左右対称に設けられているため、進行方向に向かって左側について説明する。
【0019】図1乃至図5に示すように、前記溝処理装置40は、操向ハンドル25に取り付けるための取付部材41と、該取付部材41から側方へ突設したパイプ42と、該パイプ42に一端側を挿入し回動自在とされるパイプ43と、該パイプ43に上下位置調整可能に取り付けられるパイプ44と、該パイプ44に回動可能に取り付けられる熊手45から構成されている。前記取付部材41は、図4に示すように、半円形の2つ割り部材41a・41bより構成され、両者を操向ハンドル25上で合わせてボルト・ナット等により位置調整可能に固定可能であり、操向ハンドル25への取付及び取外作業が容易に行うことができ、後付けが可能であり、不要な場合には容易に取り外せるものである。なお、この取付部材41の形状を変更することによって、走行駆動ケース13等に取り付けることもできる。
【0020】そして、前記2つ割り部材41bの左側面より、パイプ42が左側方へ向けて突設されており、該パイプ42には、パイプ43が回動自在に、かつ、軸心方向に摺動可能に挿入(または外嵌)されている。該パイプ43の左端にはボス部43cを構成してパイプ44を上下方向に挿入して、ボルト55によって上下位置調整可能に固定している。また、図5に示すように、前記パイプ44の下端部には、溝に残った枯れ葉や千切れた茎葉等のゴミを集めるための熊手45を支持する杆部45aの中途部を枢支している。さらに、前記杆部45aの上端と前記パイプ44の中途部には、それぞれ係止部材46・46を固設し、該係止部材46・46の間に弾性部材であるバネ47を介装して、熊手45が溝側へ回動するように付勢している。
【0021】このような構成において、前記熊手45を畝と畝の間の溝内に位置させ、芋蔓を処理しながら、走行式甘薯蔓処理機を走行すると、前記熊手45によって溝内に残った枯れ葉や千切れた茎葉等のゴミが掻き集めるられ、従来のように、芋蔓の処理後に再度溝内の清掃を行う必要はなくなるのである。
【0022】そして、機体の操向によって、前記熊手45の先端側に枯れ葉等のゴミが一定量以上集まると、その重量及び抵抗によってバネ47によって熊手45を溝側へ押さえつけられなくなり、図5に示すように、該熊手45が二点鎖線で示すように上方へ回動し、該熊手45から枯れ葉等のゴミが放出され、そのゴミの放出後は、バネ47の付勢力により、熊手45は再び下方に回動して溝側へ押さえつけてゴミを集めるのである。このようにして、本機の走行を続けると、熊手45によって枯れ葉等のゴミが一定量ずつ溜めて溝内に放置され、熊手45自体は間欠的に上下方向に回動させることができ、ゴミを溝内の数カ所に一定量づつ集めることが可能となり、該ゴミの運搬作業等を行い易くなるのである。
【0023】次に、前記溝処理装置40の回動機構について説明する。図3、図6、図7に示すように、前記パイプ42の外周面から前方へ取付部材52を突設しており、該取付部材52の先端にはロックレバー48を枢支している。該ロックレバー48の前部と前記取付部材52前部には、係止部材50・50がそれぞれ固設され、該係止部材50・50をバネ51により連結して、ロックレバー48をロックする方向に付勢している。
【0024】また、前記ロックレバー48の中途部には、固定ピン49が下方へ向けて突設され、図6、図7に示すように、該固定ピン49が前記パイプ42に当接する位置に固定孔42aが開口され、更に、パイプ42内に挿入する前記パイプ43には、固定孔42aの位置に合わせて固定孔43aが開口され、前記固定ピン49を固定孔42a・43aに挿入することによって、熊手45が溝側へ回動した位置で固定される。
【0025】そして、前記パイプ43には固定孔43aから設定角度(本実施例では略120度)回動した位置に固定孔43bを開口しており、前記熊手45が溝側へ回動した位置からロックレバー48を上方へ回動し、前記固定ピン49を固定孔42a・43aより抜くことによって、パイプ43の固定を解除することができる。そして、前記熊手45を上方へ回動して、前記パイプ43の固定孔43bがパイプ42の固定孔42aと一致するまで回動して固定ピン49を両者に挿入することによって、図8に示すように、熊手45を上方へ回動した退避位置に固定することができる。
【0026】このようにして、ワンタッチで熊手45を上方へ回動して固定することができ、本機を旋回する際や反転する際、または端部の条の作業で不要な時に、熊手45、つまり溝処理装置40を上方に退避した状態で作業することができるのである。また、固定孔43aと同角度の位置で軸方向に一定間隔をおいてパイプ43に固定孔を開口することで、または、パイプ42に固定孔42aと同角度の位置で軸方向に一定間隔をおいて固定孔を開口することで、パイプ43を左右方向に摺動して固定ピン49で固定して、熊手45の左右位置を調整することができるようにすることもできる。但し、ピンを貫通させたり、ピンの代わりにボルトで固定することもできる。
【0027】
【発明の効果】以上のような構成により、次のような効果を奏する。即ち、甘薯の蔓を走行しながら引き抜いて排出する走行式甘薯蔓処理機において、機体より下側方に溝処理装置を突出し、該溝処理装置を構成する熊手を畝側部の溝に位置させたので、熊手で溝に残った枯れ葉や千切れた茎葉等のゴミを集めることができ、畝上の芋蔓処理を行いながら溝内の掃除を行うことができる。
【0028】また、前記熊手を機体への取付部に対して上下回動可能に支持し、該熊手を溝側へ弾性部材で付勢したので、溝に残った枯れ葉や千切れた茎葉等のゴミを集め、一定量溜まるとその抵抗によって熊手は上方へ回動して、ゴミの固まりとして溝内の数カ所にゴミを集めることができる。
【0029】また、前記溝処理装置を構成する熊手を上方へ回動した退避位置に固定可能に構成したので、本機を旋回する際や端の条等において、熊手を退避した位置固定でき、旋回や作業の邪魔になることがないのである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−196643
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平10−3389