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【発明の名称】 球葱収穫機
【発明者】 【氏名】吉田 道一

【要約】 【課題】球葱収穫機において、各種の装置の駆動系統を簡略化するものである。

【解決手段】駆動軸(42)に、下部搬送装置(25)に動力伝達する結束入力軸(44)、上部搬送装置(24)を駆動する上部搬送駆動軸(47)(47)を連動連結すると共に、掘取装置(28)を往復駆動するクランク(50)(50)を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自走車輛(10)に装設する作業部(11)の掘取装置(28)と、上部搬送装置(24)及び下部搬送装置(25)により根菜作物(27)を挟持して揚上移送する移送装置(26)と、移送途上の根菜作物から茎葉部(27a)を切り離す切断装置(31)と、機体後部に搭載するエンジン(12)で駆動する球葱収穫機であって、前記エンジン(12)に連動する作業出力軸(40)を前方に延設して作業部(11)側の駆動軸(42)に連動結合し、該駆動軸(42)に、下部搬送装置(25)に動力伝達する結束入力軸(44)、上部搬送装置(24)を駆動する上部搬送駆動軸(47)(47)を連動連結すると共に、掘取装置(28)を往復駆動するクランク(50)(50)を設け、前記上部搬送装置(24)は、左右に並設した搬送ケース(32)(32)に軟弾性の搬送無端帯(33)(33)をそれぞれ掛回張設し、両搬送無端帯(33)(33)間に形成される挟持移送経路(A1)により、前記根菜作物(27)の茎葉部(27a)の先端寄り部分を挟持して移送すべく構成し、挟持移送経路(A1)の移送始端側には、弾性搬送突起付の無端帯(34)(34)を備えた左右一対の掻込装置(35)(35)が装設し、該掻込装置(35)(35)の進行方向前方部位には、畝に植立する複数列の根菜作物(27)の茎葉部(27a)を左右に分け捌くための縦回し型分草装置(36)を装設したことを特徴とする球葱収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、球葱や人参などのような根菜作物を圃場から掘り取り、掘り取った根菜作物を揚上搬送して収集処理する自走型の収穫機(以下、球葱収穫機という)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】植立している球葱や人参等の根菜作物を圃場から掘り上げる掘取装置と、掘取装置から送給される根菜作物を受け継いで揚上搬送する移送装置と、移送途上の根菜作物から茎葉部を切り離す切断装置とを備え、茎葉部をタッピング除去した後の根菜作物をコンベア等の手段によって収集処理するようにした自走型の球葱収穫機が知られている(例えば、実開昭62−104632号公報、実開昭57−192120号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記刊行物にみられる従来の球葱収穫機は、圃場に植立する根菜作物を掘り上げ、不要な茎葉部を切除して収集する一連の作業を自動的に行えるものではあったが、収穫作業装置、殊に、収穫作業装置の種種の作動部を駆動する伝動構造が複雑で収穫機全体の複雑大型化を余儀なくされるものであった。また、茎葉部を切除した後も根菜作物が個々バラバラに取り扱われるものであったから事後作業での取扱いも容易ではないという問題があった。そこで、本発明は、収穫作業装置の各部を駆動する伝動構造が簡潔でありながら、根菜作物を掘り上げて不要な茎葉部を切除して収集する一連の作業を効率的に行うことができ、しかも根菜作物の事後取扱いも容易になるようにした球葱収穫機を得ることを目的として実施したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明と上記の課題を解決する為に、次の如く構成したものである。自走車輛(10)に装設する作業部(11)の掘取装置(28)と、上部搬送装置(24)及び下部搬送装置(25)により根菜作物(27)を挟持して揚上移送する移送装置(26)と、移送途上の根菜作物から茎葉部(27a)を切り離す切断装置(31)と、機体後部に搭載するエンジン(12)で駆動する球葱収穫機であって、前記エンジン(12)に連動する作業出力軸(40)を前方に延設して作業部(11)側の駆動軸(42)に連動結合し、該駆動軸(42)に、下部搬送装置(25)に動力伝達する結束入力軸(44)、上部搬送装置(24)を駆動する上部搬送駆動軸(47)(47)を連動連結すると共に、掘取装置(28)を往復駆動するクランク(50)(50)を設け、前記上部搬送装置(24)は、左右に並設した搬送ケース(32)(32)に軟弾性の搬送無端帯(33)(33)をそれぞれ掛回張設し、両搬送無端帯(33)(33)間に形成される挟持移送経路(A1)により、前記根菜作物(27)の茎葉部(27a)の先端寄り部分を挟持して移送すべく構成し、挟持移送経路(A1)の移送始端側には、弾性搬送突起付の無端帯(34)(34)を備えた左右一対の掻込装置(35)(35)が装設し、該掻込装置(35)(35)の進行方向前方部位には、畝に植立する複数列の根菜作物(27)の茎葉部(27a)を左右に分け捌くための縦回し型分草装置(36)を装設したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明による球葱収穫機の全体側面図、図2は同じく球葱収穫機の全体平面図、図3は本発明による球葱収穫機の伝動系統図、図4は本発明の球葱収穫機の作業状態説明図、図5は本発明の球葱収穫機の作業後状態を示す説明図である。
【0006】実施例の球葱収穫機は、歩行型になっており、自走車輛(10)と作業部(11)とで構成されている。自走車輛(10)は、エンジン(12)と、その出力部に連動する伝動機構を内装したミッションケース(13)と、ミッションケース(13)から左右に延設する伝動ケース(14)(15)および各々の伝動ケースに連設する左右のフアイナルケース(16)(17)と、それぞれのフアイナルケース(16)(17)に軸支する駆動車輪(18)(19)と、ミッションケース(13)及び右のフアイナルケース(16)(17)に支持して前方に延設するフレーム(20)と、一方の駆動車輪(18)の前方延長線上に配置してフレーム(20)に昇降調節可能に取り付けるゲージホイル(21)と、フレーム(20)から後上方に延設する操縦ハンドル(22)などで構成されている。
【0007】なお、左右のフアイナルケース(16)(17)とそれぞれに軸支される駆動車輛(18)(19)のうちの一(17)(19)は、図2及び図4にみられるように、他方のフアイナルケース及び駆動車輪(16)(18)よりも大きく横側方に偏寄して設けることによって、双方の駆動車輪(18)(19)が畝(23)の両側の谷部を移行できるようにしてあるが、場合によっては、一方のフアイナルケース及び駆動車輪(17)(19)を支持擦る伝動ケース(15)とそに内蔵される伝動機構を伸縮自在なものにすることによって、畝(23)幅の異なりに応じて駆動車輪(19)の位置を調節できるようにしてもよい。
【0008】自走車輛(10)のフレーム(20)は、エンジン(12)及びその横側部に配置されるミッションケース(13)から適宜前方に離間して設けられる水平横向きの筒上ケース(20a)と、筒上ケース(20a)から前延されパイプ材(20b)とで組成されており、このフレーム(20)に種々の構成要素を組付けて作業部(11)が構成される。
【0009】作業部(11)の構成要素は、前低後高に傾設される上部搬送装置(24)と上部搬送装置(24)の下方にあって上部搬送装置(24)よりも緩い傾斜角度で設けられる下部搬送装置(25)とからなる移送装置(26)、畝(23)に列状に植立する根菜作物(27)群を掘り取る掘取装置(28)、下部搬送装置(25)の移送終端部に集束通路(29)を連絡させて配設する結束装置(30)、結束装置(30)の上方で上部搬送装置(24)よりも下方部位に配設する切断装置(31)等であり、上述したフレーム(20)の筒状ケース(20a)は、結束装置(30)の後部上方で、且つ、上部搬送装置(24)の後端寄りの下側部位に位置している。
【0010】上部搬送装置(24)は、左右に並設した搬送ケース(32)(32)に軟弾性の搬送無端帯(33)(33)をそれぞれ掛回張設し、両搬送無端帯(33)(33)間に形成される挟持移送経路(A1)前記根菜作物(27)の茎葉部(27a)の先端寄り部分を挟持して移送するように構成されており、挟持移送経路(A1)の移送終端部は、図2にみられるように平面視で横側方に屈曲形成して、結束装置(30)の集束通路(29)から送出されてくる根菜作物束(27c)が落下する空間部(54)に対して位置を異ならせてある。なお、根菜作物束(27c)が落下する空間部(54)は、図2にみられるようにエンジン(12)及びミッションケース(13)より前方で、結束装置(30)の集束通路(29)の下手側に確保されている。
【0011】また、挟持移送経路(A1)の移送始端側には、弾性搬送突起付の無端帯(34)(34)を備えた左右一対の掻込装置(35)(35)が装設されるとともに、掻込装置(35)(35)の進行方向前方部位には、畝に植立する複数列の根菜作物(27)の茎葉部(27a)を左右に分け捌くための縦回し型分草装置(36)が装設されており、さらに、挟持移送経路(A1)の移送始端部の下方部位には、縦回し型分草装置(36)間に導入される根菜作物(27)の地中部分の適宜下方部位を掘削しながら進行する掘取装置(28)が設けられ、その掘取装置(28)は、平面視(図2参照)で前方の凸のくの字状を呈する振動ブレードを備えている。
【0012】一方、移送装置(26)の下部搬送装置(25)は、軟弾性搬送無端帯(37)(37)が形成する挟持移送経路(A1)によって前記根菜作物(27)の首部(27b)を挟持して移送するように構成されるものであり、挟持移送経路(A2)の移送終端部は、前記フレーム(20)の所定位置に横向きに搭載装備される結束装置(30)の集束通路(29)に入り込み位置されて、移送終端部の下手側に結束装置(30)のドア(38)が位置されている。
【0013】なお、図示のドア(38)は、縦方向の回動軸心を中心にして側方に開放回動するものにしてあるが、横方向の回動軸心を中心にして下方に開放回動するように構成してもよく、場合によっては、集束通路(29)の後方位に連設される束放出案内板(39)にドアを兼ねさせてもよい。また、結束装置(30)の上方で上部搬送装置(24)よりも下方の部位には、下部搬送装置(25)により首部(27b)を挟持されると共に上部搬送装置(24)によって茎葉部(27a)を挟持されている根菜作物(27)の茎葉部(27a)の先端部を切り離すための切断装置(31)が配設されるのであるが、該切断装置(31)は、図示のもののように固定刃であってもよく、また、回転刃あるいはレシプロ刃等の駆動型切断刃であってもよい。
【0014】以上のように組成される作業部(11)の構成要素のうち、動力で駆動されるもの、すなわち、移送装置(26)の上部搬送装置(24)と下部搬送装置(25)、および移送装置(26)の前部に連係装設される掻込装置(35)(35)と縦回し型分草装置(36)、掘取装置(28)、結束装置(30)、などは、図3に示すような伝動構造でもって駆動される。図において、ミッションケース(13)からクラッチ(39)を介して前方に延設される作業出力軸(40)が、前後方向の伝動筒(41)内を経てフレーム(20)の筒状ケース(20a)内に突入され、筒状ケース(20a)に軸受支承されている駆動軸(42)に連動連結される。
【0015】そして、駆動軸(42)にベベルギア機構(43)を介して連動結合させた結束入力軸(44)を下向きに延設し、この結束入力軸(44)を経て伝達される動力でもって結束装置(30)を所期のように駆動するように構成するとともに、結束装置(30)に設けられている常時回転軸(45)(45)でもって下部搬送装置(25)の左右一対の軟弾性搬送無端帯(37)(37)をそれぞれ所定の方向に回転駆動するようにしている。
【0016】一方、前記駆動軸(42)にベベルギア機構(43)を介して連動連結した上部搬送駆動軸(47)(47)を上向きに突設し、これらの上部搬送駆動軸(47)(47)でもって上部搬送装置(24)における左右一対の軟弾性搬送無端帯(33)(33)を各々所定の方向に回転駆動するように構成している。また、掻込装置(35)(35)は、前記軟弾性搬送無端帯(33)(33)を掛回る輪体を備えた前方軸(48)(48)で共通に回転駆動するようにしてあり、縦回し型分草装置(36)も一方の前方軸(48)に連動連結した伝動機構(49)でもって回転駆動するように構成している。
【0017】さらに、駆動軸(42)の左右端部にクランク(50)(50)を設け、各々のクランクに後方端部を接続したピットマン(51)(51)の前端部を、掘取装置(28)の振動ブレードを支持する揺動腕(52)(52)に接続して振動ブレードを前後方向に往復振動するように構成しており、振動ブレードの両端部を支持する揺動腕(52)(52)は、支点軸(53)でもってフレーム(20)に取り付けられ、支点軸(53)を中心にしてその上方部分と下方部分とが背反に前後揺動するようになっている。また、図示の実施例では、切断装置(31)を固定刃としているため、切断装置(31)の駆動構造が示されていないが、駆動型の切断装置にした場合には前記駆動軸(42)から適宜の伝達手段で動力伝達仕手駆動するように構成すればよい。
【0018】以上のような構成になる球葱収穫機を、根菜作物(27)が植立している圃場において所定のように自走させると、移送装置(26)の上部搬送装置(24)によって根菜作物の茎葉部(27a)の先端寄り部位が挟持されるとともに、その根菜作物の地中部が掘取装置(28)によって掘り上げられる。そして、掘り上げられた根菜作物は、茎葉部(27a)の先端寄り部位が上部搬送装置(24)に挟持され続けると共に、首部(27b)が下部搬送装置(25)に挟持されて上下両搬送装置(24)(25)の移送作用でもって結束装置(30)の集束通路(29)に向けて抜き上げ搬送されるのであるが、この根菜作物は、その首部(27b)が下部搬送装置(25)に挟持されることによって上方に移動することがないように規制されるので、結束装置(30)の集束通路(29)に至った地点では首部から上部搬送装置までの茎葉部(27a)の長さが所定の長さに保たれる。
【0019】そして、そのような体勢でもって結束装置(30)の集束通路(29)に根菜作物が集収されると、その根菜作物の茎葉部の先端寄り部位が、結束装置(30)の上方で上部搬送装置(24)よりも下方部位に配設されている切断装置(31)でもって切り離される、つまり、首部から上部搬送装置までの長さの茎葉部を根側に残存させながら茎葉部の先端部分のみが切り離される。そして、切り離された茎葉部(27a)が引き続き上部搬送装置(24)によって搬送され、横側方に屈曲形成されている挟持移送経路(A1)の移送終端部に至って排出落下されるとともに、結束装置(30)の集束通路(29)に所定両集収された根菜作物群が結束されて、結束後の根菜作物束が空間部(54)から落下排出される。
【0020】次に、本発明による球葱収穫機は、エンジン(12)に連動する作業部出力軸(40)を前方に延設して作業部(11)側の駆動軸(42)に連動結合し、該駆動軸(42)に下部搬送装置(25)に動力伝達する結束入力軸(44)、上部搬送装置(24)を駆動する上部搬送駆動軸(47)(47)を連動連結すると共に、掘取装置(28)を往復駆動するクランク(50)(50)を設けているので、作業部の各作動部を駆動する伝動機構の纏まりがよくて簡潔コンパクトになり、結束装置(30)を備える故に、根菜作物を束状にして容易に取り扱うことができる。
【0021】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。本発明における球葱収穫機は、機体の後部に搭載したエンジン(12)に連動する作業出力軸(40)を前方に延設して作業部(11)側の駆動軸(42)に連動結合させ、この駆動軸(42)に、下部搬送装置(25)に動力伝達する結束入力軸(44)、上部搬送装置(24)を駆動する上部搬送駆動軸(47)(47)を連動連結するとともに、掘取装置(28)を往復駆動するクランク(50)(50)を設けているので、作業部(11)により収穫物の事後取扱いを容易にした収穫作業が行えながら、結束装置(30)を含む作業部(11)の種々の作動部を駆動する伝動構造が簡潔コンパクトに纏まって収穫機全体を簡潔化することができる。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成6年(1994)8月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−187729
【公開日】 平成11年(1999)7月13日
【出願番号】 特願平10−298766