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【発明の名称】 コンバインにおける刈高さ制御装置
【発明者】 【氏名】山田 隆史

【氏名】中川 渉

【氏名】戸波 照喜

【氏名】水倉 泰治

【氏名】梶岡 律子

【要約】 【課題】超音波センサ20にて対地高さを検出して刈取前処理装置を昇降制御するものでありながら、走行機体が前後方向にピッチングする程度が大きいとき、刈取前処理装置の下端が圃場面に衝突しないような昇降制御を実行する。

【解決手段】走行機体の前端に刈取前処理装置を油圧シリンダ9を介して昇降可能に設け、走行機体側にその前後方向のピッチングに関する変動量を検出できるようにしたピッチングセンサ92を設ける一方、刈取前処理装置には地面との高さを検出する超音波センサ20を設ける。ピッチングセンサ92の検出結果(S1)からピッチング変動量が所定値を越えると(S2:yes )、所定時間内だけ(S4:yes )、走行機体のピッチングの方向度逆方向に刈取前処理装置を昇降させるピッチング関連昇降制御を実行する(S3)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刈取前処理装置を走行機体の前部に対して昇降駆動手段により昇降可能に構成し、前記刈取前処理装置の対地高さを検知する非接触式刈高さセンサの検出信号により前記昇降駆動手段を作動するように構成したコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記走行機体には、当該走行機体の前後方向のピッチングに関する変動量を計測可能なピッチングセンサを設け、該ピッチングセンサの検出結果によるピッチングに関する変動量が所定値以上であると判別されたときには、前記非接触式刈高さセンサの検出信号に基づく昇降制御に優先させて、前記走行機体のピッチング方向に対して逆方向に前記昇降駆動手段を作動制御するように構成したことを特徴とするコンバインにおける刈高さ制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの走行機体の前部に刈取前処理装置を昇降可能に装着し、非接触式刈高さセンサの検出信号と走行機体に装着した前後方向のピッチング量との両者を考慮して圃場面からの刈取高さを自動調節する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、コンバインにおける刈高さセンサ装置として、特公昭63−32410号公報、特開平6−300833号公報等に開示されている非接触式センサ装置である超音波センサは、圃場面との対地高さの検出範囲を広く設定できるけれども、圃場面にある藁屑等を感知して圃場面の高さと誤感知する等信頼性に不安が残るという問題がある。
【0003】他方、実開昭51−153227号公報や特開平7−274650号には、接地式の刈高さセンサ装置の構成が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、接地式センサ装置にあっては、リミットスイッチ等のセンサ体に関連させる感知レバーを後下向きに延長し、その後端に接地部(橇部)を配置した形態であったから、橇部の上下動の一定範囲のうちに、リミットスイッチをON→OFFもしくはOFF→ONとなる高さ位置を検出できるだけであり、例えば、圃場内の畝を越えたり、凹所に嵌まり込む等して走行機体が前方にのめった状態でも、前記接地式センサ装置が地面に接触しないと刈取前処理装置を上向きに上昇作動させないから、その上昇作動のタイミングが遅れてしまい、接地式センサ装置の接地体や刈取前処理装置の下端の部品等がこわれ易いという問題があった。勿論、前記超音波センサによっても圃場の急激な凹凸を検出することが困難であった。
【0005】本発明は、超音波センサ等の非接触式センサにおける検出結果の信頼性の低さを、走行機体の前後方向の変動であるピッチングに関する変動量の検出により補って、刈取前処理装置の昇降制御に遅れが発生せず、且つ刈取前処理装置の部品等の損傷が発生しないようにしたコンバインにおける刈高さ制御装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明のコンバインにおける刈高さ制御装置は、刈取前処理装置を走行機体の前部に対して昇降駆動手段により昇降可能に構成し、前記刈取前処理装置の対地高さを検知する非接触式刈高さセンサの検出信号により前記昇降駆動手段を作動するように構成したコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記走行機体には、当該走行機体の前後方向のピッチングに関する変動量を計測可能なピッチングセンサを設け、該ピッチングセンサの検出結果によるピッチングに関する変動量が所定値以上であると判別されたときには、前記非接触式刈高さセンサの検出信号に基づく昇降制御に優先させて、前記走行機体のピッチング方向に対して逆方向に前記昇降駆動手段を作動制御するように構成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】次に本発明を具体化した実施形態について説明すると、図1は走行クローラ2aが備えられた左右一対の走行装置2を有するコンバインの側面図であり、図2はコンバインの平面図、図3はコンバインの正面図、図4は刈取前処理装置と走行機体との対機体昇降位置を検出するための昇降ポジションセンサの側面図、図6は動力伝達のスケルトン図、図7は油圧回路と制御装置の機能ブロック図である。
【0008】図1〜図3に示すように、走行機体1の進行方向に向かって左側には従来から公知の構成の脱穀装置3を搭載し、走行機体1の前部には単動式の油圧シリンダ9により昇降動可能な刈取前処理装置4を配置する。刈取前処理装置4の下部フレームの下部側にはバリカン式の刈刃装置5を、前方には6条分の穀稈引起装置6が配置され、穀稈引起装置6と脱穀装置3における扱胴3aに穀稈を供給するためのフイードチェン7の前端との間には穀稈搬送装置8が配置され、穀稈引起装置6の下部前方には6条分の分草体10が突出している。走行機体1の右側前部に運転室11が配置され、その後側に穀粒タンク12が配置されている。前記穀稈搬送装置8では、穀稈引起装置6引き起こされた穀稈の株元部を挟持しながら搬送してフィードチェン7の前端部に株元部を受け継がせる。
【0009】図4及び図5に示すように、刈取前処理装置4に先端を装着した前方下向き傾斜状の昇降筒フレーム14の基端を水平筒15に固着し、該水平筒15を走行機体1の前部に設けた複数の軸受ブラケット16(一方を図示省略)に回動自在に軸支し、走行機体1上のエンジン35からの動力を前記水平筒15及び昇降筒フレーム14の各々の内径部に配置した伝動軸17と19、傘歯車対18等を介して刈取前処理装置4の各部に動力伝達される。そして、昇降筒フレーム14の中途部と走行機体1との間に装架した昇降油圧シリンダ9にて刈取前処理装置8を昇降駆動させるものである。
【0010】コンバインの動力伝達系を示すスケルトン図(図6)に示すように、エンジン35からの出力の一方は、クラッチ36を介して穀粒タンク12内の底コンベヤ37及び縦コンベヤ38に動力伝達し、次いで排出オーガ28内のスクリューコンベヤ(図示せず)に伝達される。エンジン35からの他の出力は、動力分岐用ミッション39を介して扱胴駆動軸40、選別駆動軸41、走行用の油圧ポンプ油圧モータ式(HST式)走行駆動部42への駆動軸43及び刈取前処理装置4への定速回転駆動軸44に動力伝達される。そして、エンジン35からの他の出力は、動力分岐用ミッション39内の脱穀クラッチ48aを介して動力伝達のON・OFFを実行し、扱胴駆動軸40または選別駆動軸41を介して扱胴13及び処理胴29、一番受樋のスクリューコンベヤ26a、唐箕フアン27、二番受け樋のスクリューコンベヤ26b及び二番還元コンベヤ25、排藁チェン31、吸引フアン30及び排藁カッタ33に伝達される。
【0011】他方、前記(HST式)走行駆動部42より出力する刈取同調駆動軸45から、(走行駆動部の正回転時のみ伝達可能な)ワンウエイクラッチ45a及び同調クラッチ46を介して刈取軸47に動力伝達させ、フイードチェン7に直接伝達する。また、刈取軸47に設けた刈取クラッチ49を介して刈取前処理装置4への動力伝達をON・OFFするように構成されている。脱穀クラッチ48a,同調クラッチ46,流込みクラッチ48,刈取クラッチ49をそれぞれON・OFF操作するには、それぞれのクラッチに対応する電磁ソレノイド等のクラッチアクチュエータをON・OFF動作するように構成されている。なお、同調クラッチ46はベルトのテンションを緊張・緩和することにより動力継断するテンションクラッチであっても良い。従って、後述するように、車速同調制御を禁止(中止)する場合等で、動力分岐用ミッション39の定速回転駆動軸44を介して刈取軸47に動力伝達し、HST式走行駆動部42より出力する刈取同調駆動軸45の回転数が前記定速回転駆動軸44からの回転数より低い場合や、刈取同調駆動軸45がコンバインの後退方向に回転する場合には、ワンウエイクラッチ45aが空回りする。
【0012】なお、前記HST式(2油圧モータ2油圧ポンプによる無段階変速機構内に機械的変速機構を組み込んだもの)走行駆動部42の各油圧ポンプ等の斜板を調節して車速を無段階変速するための主変速レバー85は、図3に示すように、前記運転室11内の座席11aの側方操作部にて前後回動し、ほぼ垂直姿勢の中立位置(停止位置)に対して前に倒すと前進位置であり、垂直に対する傾斜角度が大きいほど車速が速くなる。後方に傾斜させると後退となり、その傾斜角度が大きいほど車速が速くなる。
【0013】同じく座席11aの側方操作部に配置した副変速レバー86は、HST式走行駆動部42内に設けた機械的変速機構(図示せず)を操作する伝動モータ等のアクチュエータを制御するためのものであり、副変速レバー86を路上走行モード、標準作業モード、低速作業モードの各位置に切換えると、コンバインに搭載したマイクロコンピュータ式の制御装置(コントローラユニット)70の指令により、前記各作業モード時に適応する走行駆動部42の出力(馬力)及び回転数を所定のレンジに設定保持することができる。
【0014】なお、走行機体1を前進走行させながら通常の刈取脱穀作業を実行するとき(低速作業モード時及び標準作業モード時)には、動力分岐用ミッション39における流込みクラッチ48をOFF(動力遮断)し、脱穀クラッチ48a,同調クラッチ46及び刈取クラッチ49はON(動力接続)の状態にし、燃料噴射量センサ及び車速センサの検出値を監視しながら、走行駆動部42の出力に同調させた回転数の刈取同調駆動軸45を介して刈取軸47を駆動させて刈取前処理装置4及びフイードチェン7を同調駆動する一方、扱胴駆動軸40及び選別駆動軸41を駆動させて、扱胴13、処理胴29、送風フアン、唐箕フアン27、揺動選別機構等を駆動させるのである。
【0015】また、圃場内での刈取脱穀作業途中において走行機体を方向転換等を実行するに際して、走行機体1を停止または後退させるとき、刈取前処理装置4とフイードチェン7との駆動を停止する時には、同調クラッチ46及び流込みクラッチ48をOFFにする。フイードチェン7のみ駆動するには、刈取クラッチ49をOFFにする。この場合、刈取前処理装置4への動力伝達はなく、動力分岐用ミッション39から刈取軸47を介してフイードチェン7にのみ動力伝達される。
【0016】刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを検出して刈高さを検出するための非接触式の刈高さセンサとしての超音波センサ20は、前記穀稈引き起こし装置6の裏面側に設けたブラケット(図示せず)に配置し、図7に示すように、超音波センサ20における発信器20aの発信部(ホーン部)と受信器20bの受信部とを圃場面に向けるように配置する。超音波センサ20の設置高さと刈刃5の設置高さとが異なる場合には、超音波センサ20の検出値から所定の換算により、刈高さ検出値を求めるようにしている。
【0017】他方、昇降ポジションセンサ22は、走行機体1と刈取前処理装置4との相対高さを検出するためのものであり、本実施例では、図4及び図5に示すように、前記軸受ブラケット16に固定した回動ポテンショメータ式の昇降ポジションセンサ22の感知回動アーム23を、水平筒15の外面に固着したセンサ軸24に当接させ、水平筒15の回動角度θを検出することにより、昇降筒フレーム14の回動角度、ひいては走行機体1に対する刈取前処理装置4の相対的な昇降位置(対機体昇降位置)を検出できるようになっている。後述する刈高さ設定器73による設定値は、前記昇降ポジションセンサ22の検出値における所定値に対応するようになっている。
【0018】走行機体1に搭載して、当該走行機体1の前後方向の上下の傾きの変動量であるピッチングに関する変動量(ピッチング量(走行機体の前後方向に関する上下回動量)や単位時間当たりのピッチングの変動量(ピッチング角速度))を計測するためのピッチングセンサ92は、操縦室11内等に設置する。該ピッチングセンサ92は、走行機体1の前後方向回動や揺動を計測できるものであれば良く、例えば、2枚のピエゾ圧電素子を使用した角速度センサを使用するときは、ピッチング角速度は検出値そのままを利用でき、ピッチング量はピッチング角速度を時間的に積分した値を利用すれば良い。ジャイロ式角速度センサ、圧電型加速度センサ、サーボ型加速度センサ、ひずみゲージ型加速度センサ、半導体拡散型加速度センサの検出値を時間的に積分した値はピッチング角速度として利用でき、さらに積分するとピッチング量が得られる。
【0019】図7は、刈高さ制御を実行するための制御装置70の機能ブロック図を示し、該制御装置70は、マイクロコンピュータ等の電子式制御装置であり、図示しないが各種演算処理や制御を実行するための中央処理装置(CPU)や、制御プログラムを記憶させた読み出し専用メモリ(ROM)、各種の検出値、データ等を一時的に記憶させる随時読み書き可能メモリ(RAM)、制御装置の電源をOFFとしても記憶データを保持するための不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)、タイマ機能としてのクロック、インターフェイス、バスなどを備える。
【0020】超音波センサ20における発信器20aには制御装置70からの指令により発信駆動回路71を介して適宜時間間隔T1にて超音波を発信し、被検出物等にて反射された反射波は受信器20bで受信し、その検出信号は受信増幅回路72を介して制御装置70に入力する。前記昇降ポジションセンサ22の検出信号もA/D変換器を介して前記時間間隔T1ごとに制御装置70に入力する。
【0021】また、前記ピッチングセンサ92、可変抵抗式(ボリューム式)の刈高さ設定器73、刈取脱穀作業を手動モードで行うときの3位置検出型の手動スイッチ76、同じ作業を自動制御モードにするときの自動スイッチ75、さらに前記手動で実行するとき刈取前処理装置4の昇降量及び又は昇降速度を小さい側に変更するため、オペレータが足で踏み込んでON・OFF操作するフットスイッチ74の各信号もそれぞれ制御装置70に入力される。前記超音波センサ20の刈高さ検出値は数値として表示できるように制御装置70からの出力にて作動する液晶パネル等の表示部を運転室11内の座席に座るオペレータから見える操作パネル部に設置されている。
【0022】前記制御装置70では、所定の演算結果に応じて所定の昇降指令信号を第1駆動回路77と第2駆動回路78とに出力し、第1駆動回路77からの出力に応じて油圧回路79における油圧切換弁80の電磁ソレノイド80a,80bを作動させる一方、第2駆動回路78からの出力に応じて高速応答電磁弁の一例である電磁比例減圧弁50の電磁ソレノイド50aを作動させて、刈取前処理装置4の昇降のための単動油圧シリンダ9を作動させるのである。
【0023】図7に示す油圧回路79では、前記単動式の昇降油圧シリンダ9及び左右の走行装置3と走行機体1との左右相対車高を制御するための左右一対のローリング制御用油圧シリンダ(図示せず)に対する油圧制御弁51等にも圧油を供給する。この場合、油圧回路79の油圧ポンプ52から油圧切換弁49への給油路53中に、リリーフ弁54を介挿する。4ポート3位置切換電磁式の油圧切換弁80の出力ポートから単動油圧シリンダ9への油圧管途中には、逆止弁55、及びスローリターンチェック弁56を接続する。なお、油圧切換弁80の他の出力ポートからは他の油圧制御弁51に同時に給油するように構成されている。
【0024】前記油圧管の逆止弁55とスローリターンチェック弁56との間に接続した戻油管57には、前記単動油圧シリンダ9のピストンロッド下降用の可変絞り弁58と緊急下降弁59とを並列接続する。この可変絞り弁58は、2ポート2位置切換型のバルブであって、そのパイロットポートには、前記の高速応答電磁弁の1例としての、電磁比例減圧弁50の出力ポートを接続する。
【0025】そして、刈取前処理装置4の昇降用の油圧シリンダ9の作動制御は次のように実行する。即ち、電磁式の油圧切換弁80を切り換えて油圧シリンダ9を伸長させる場合(刈取前処理装置4を上昇駆動する場合)には、電磁ソレノイド80aをパルス幅変調制御(PWM)にて作動させると、電磁比例減圧弁50によって適宜油圧に調整されたパイロット圧が可変絞り弁58に作用し、可変絞り弁58の絞り度合いが任意に変化し、戻油管57から油タンク60にドレンされる。その場合、可変絞り弁58の絞り度合いに応じて油圧シリンダ9の作動速度が調節される。
【0026】また、油圧シリンダ9を縮小させる場合(刈取前処理装置4を下降駆動する場合)には、油圧切換弁80を中立にし、電磁比例減圧弁50を前記と同様にパルス幅変調制御(PWM)方式にて作動させ、そのパイロット圧の調節にて可変絞り弁58の絞り開度を調節し、これにより油圧シリンダ9の作動速度を調節する。
【0027】次に、刈高さ制御について説明する。自動モードに設定するための自動スイッチ75をONさせている場合には、非接触式センサとしての超音波センサ20の検出値が制御装置70に入力され、刈高さ設定器73にて予め設定された刈高さ設定値と比較演算され、超音波センサ20の検出値のほうが高い場合には、前記油圧切換弁80及び電磁比例減圧弁50を介して刈取前処理装置4を下降動し、超音波センサ20の検出値のほうが低い場合には、刈取前処理装置4を上昇駆動し、いずれも設定刈高さとなるように、自動調節される。これらの場合、刈高さ設定値と超音波センサ20の検出値との偏差が大きいときには、連続駆動信号により油圧シリンダ9を速く駆動させ、刈取前処理装置4の昇降速度を大きくし、前記偏差が小さくなれば、パルス幅変調制御(PWM)方式にて油圧シリンダ9の駆動速度を小さくし、刈取前処理装置4の昇降速度を遅くして刈高さの微調整を可能としている。
【0028】ところで、圃場面の代掻きが不十分であったり、肥料や薬剤の散布、溝切り作業等で圃場面に凹凸ができる。また、図8に示すように、コンバインを畦を越えて圃場内に乗り入れるときには、最初は走行機体1の前が上向き、次いで、走行機体1が前下向きに傾くというように走行機体1が前後方向に大きくピッチングするから、走行機体1の前側において刈取前処理装置4は先に圃場面に接地してしまう。非接触式刈高さセンサとしての超音波センサ20は分草体10より後方に配置され、且つ検出結果にバラツキが発生し易い等のため、刈高さ制御遅れが発生したり、部分的凹凸部分や走行機体1の前後方向の姿勢の急激な変動による地面と超音波センサ20との上下間隔の急激な変化を超音波センサ20が検出できないから、分草体10の下端を圃場面にきわめて接近させていると、当該分草体10の先端が圃場面の凸部に突っ込むおそれがあった。
【0029】そこで、本発明では、前記超音波センサ20による刈高さ制御の実行に際して、走行機体1に搭載したピッチングセンサ92の検出結果からピッチングに関する変動量(ピッチング量ないしは単位時間当たりのピッチング変動量を計測してこの計測により前記変動量が所定値を越えるときには、走行機体1のピッチング方向と逆方向に刈取前処理装置4を昇降制御するものであり、この昇降制御は前記超音波センサ20による昇降制御に優先させるようにするものである。
【0030】この昇降制御を図9に示すフローチャートに従って簡単に説明すると、制御のスタートに続き、超音波センサ20及びピッチングセンサ92の検出値を一定時間間隔にて抽出する(S1)。次に、ピッチングセンサ92の検出結果によるピッチングに関する変動量が所定値以上(ピッチングセンサ92による検出値が所定値以上である場合を含む)か否かを判別する(S2)。そして、所定値以上であるときには(S2:yes )、前記ピッチングの方向と逆方向に刈取前処理装置4を昇降制御する(S3)。例えば、走行機体1が急激に前下向きにピッチングするときには刈取前処理装置4を上昇させて、走行機体の前端に対して刈取前処理装置4を相対的に上向き移動させる。逆に、走行機体1の前端が急激に上向くようにピッチングするときには、刈取前処理装置4を下降動させるのである。このような制御をピッチング関連昇降制御と称する。次に、所定時間経過したか否かを判断し(S4)、所定時間経過すれば(S4:yes )、通常の刈高さ制御を実行する(S5)。通常の刈取り脱穀作業時には走行機体の前後方向の急激なピッチング現象はあまり継続しないものと考えられるから、S3のように時間的に制限をつけてピッチング関連制御を実行することにより、通常の刈高さ制御に迅速に戻すことができるのである。
【0031】なお、前記ピッチング関連昇降制御では、油圧シリンダ9を速い速度で昇降させるように電磁ソレノイドを連続的に励磁する。次に、手動モードにおける刈取前処理装置4の昇降制御の態様について説明する。手動スイッチ76の操作レバー76aは前後傾動可能で中立位置に自動復帰するように付勢され、操作レバー76aを前方向に傾倒している間は所定昇降速度Vo(例えば、電磁ソレノイドの連続的に励磁する状態の作動速度)で下降継続し、後傾している間は所定昇降速度Voで上昇継続する。
【0032】そして、手動モードにおいて、刈取前処理装置4の昇降速度を前記所定速度Voより遅い微速速度V2にて細かく昇降操作するための微調整用切換手段としては、フットスイッチ74のON・OFFのための踏み込み式ペタル87を図8に示すように座席11aの左前側方下方の床板に上向きに突出している。なお、前記流し込みクラッチ48をON・OFFするための流し込みペタル88は丸ハンドル89の下方の床板に突出させて配置されている。
【0033】フットスイッチ74がONの状態のとき、即ち、オペレータが微調整用切換手段を操作するものとして、踏み込みペタル87を押下したときには、その押下の間だけ微速の速度V2にて刈取前処理装置4を上昇または下降させる(上昇または下降は手動スイッチ76の上昇位置または下降位置に対応する)。この微速の速度V2は、前記パルス幅変調制御(PWM)方式にて油圧シリンダ9を作動させることにより実行している。
【0034】なお、手動スイッチ76を下降側にONして数百ミリ秒の間は、電磁弁58による下降方向への直通駆動を禁止し、パルス幅変調制御(PWM)方式にて流量制御にて微動下降を実行し、その後も手動スイッチ76が下降側にONのままであるときには、連続的下降駆動を実行させる。同様に、手動スイッチ76を上昇側にONして数百ミリ秒の間は、電磁弁58による上昇方向への直通駆動を禁止し、パルス幅変調制御(PWM)方式にて流量制御にて微動上昇を実行し、その後も手動スイッチ76が上昇側にONのままであるときには、連続的上昇駆動を実行させる。
【0035】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1に記載の発明のコンバインにおける刈高さ制御装置は、刈取前処理装置を走行機体の前部に対して昇降駆動手段により昇降可能に構成し、前記刈取前処理装置の対地高さを検知する非接触式刈高さセンサの検出信号により前記昇降駆動手段を作動するように構成したコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記走行機体には、当該走行機体の前後方向のピッチングに関する変動量を計測可能なピッチングセンサを設け、該ピッチングセンサの検出結果によるピッチングに関する変動量が所定値以上であると判別されたときには、前記非接触式刈高さセンサの検出信号に基づく昇降制御に優先させて、前記走行機体のピッチング方向に対して逆方向に前記昇降駆動手段を作動制御するように構成したものである。
【0036】従って圃場内で大きな凹凸部を通過するときや畦越えにて圃場内に乗り入れるとき等、走行機体が前後方向に上下に急激にピッチングするときには、非接触型センサの検出結果を利用すると昇降制御の反応が不能となったり、制御遅れが発生するから、走行機体のピッチングの大小の検出が迅速で且つ正確に把握できるピッチングセンサの検出結果を利用して、ピッチングの変動方向とは逆向きに刈取前処理装置を昇降させることで、当該刈取前処理装置の下端が地面に衝突することを確実に防止できるという効果を奏するのである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫 (外2名)
【公開番号】 特開平11−168936
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平9−342436