| 【発明の名称】 |
コンバインにおける刈高さ制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 隆史
【氏名】中川 渉
【氏名】戸波 照喜
【氏名】水倉 泰治
【氏名】梶岡 律子
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| 【要約】 |
【課題】超音波センサによる検出結果が不安定となっても、刈取前処理装置の昇降制御を安定させる。
【解決手段】超音波センサにて検出された複数のサンプル値を移動平均法にて得た基準値と刈高さ設定器にて設定した目標刈高さ設定値との比較から、目標刈高さ設定値に接近するように刈取前処理装置を昇降制御する行程中(S3)において、安定判別手段により、超音波センサによる検出結果が不安定であると判断されたときには(S5:yes )、予め設定された目標刈高さ設定値に対応する昇降ポジションセンサの検出値となるように刈取前処理装置を昇降制御する(S7)。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刈取前処理装置を走行機体に対して油圧シリンダを介して昇降駆動するように構成し、刈取前処理装置と走行機体との対機体昇降位置を検出するための昇降ポジションセンサと、刈取前処理装置の対地高さを検出する非接触式刈高さセンサと、該非接触式刈高さセンサによる刈高さ検出の安定判別手段と、目標刈高さ設定値を予め設定する刈高さ設定器とを備え、非接触式刈高さセンサの検出値に基づいて前記目標刈高さ設定値に接近するように刈取前処理装置を昇降制御する行程中において、前記安定判別手段により、検出結果が不安定であると判断されたときには、前記刈高さ設定器にて予め設定された目標刈高さ設定値に対応する昇降ポジションセンサの検出値となるように刈取前処理装置を昇降制御することを特徴とするコンバインにおける刈高さ制御装置。 【請求項2】 目標刈高さ設定値が所定値より大きく、且つ前記安定判別手段により、非接触式刈高さセンサの検出結果が不安定であると判別されたときには、刈取前処理装置の昇降制御を一定時間だけ中止すると共に、不安定になる直前の刈高さ位置を維持し、前記昇降制御の中止を報知する報知手段を作動させるように制御することを特徴とする請求項1に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置。 【請求項3】 前記非接触式刈高さセンサの検出結果を複数個ずつ抽出してその移動平均値を演算する演算手段と、前記目標刈高さ設定値の高低を判別する高低判別手段とを備え、前記目標刈高さ設定値を高くするにつれて、前記抽出すべき検出結果の個数を増大させて移動平均値を演算するように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの走行機体の前部に刈取前処理装置を昇降可能に装着し、圃場面からの穀稈の刈高さを、予め設定された目標刈高さ設定値に近づくように刈取前処理装置を昇降制御するための刈高さ制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、例えば、特開昭63−56763号公報や特開平6−303817号公報等において、刈取前処理装置には、その対地高さ(刈高さ)を検出するための非接触式刈高さセンサとしての超音波センサを設け、この検出値が、刈高さ設定器にて予め設定された目標刈高さ設定値に近づくように、刈取前処理装置を昇降制御するものが開示されている。 【0003】ところで、超音波センサでは、超音波の発信波を短い時間間隔毎に地面に向かって発射し、超音波の発信時からその反射波を受信器にて受信する迄の時間長さの計測にて、対地高さ(刈高さ)を検出するから、1回だけの受信結果(検出結果)で刈取前処理装置の昇降制御を実行すると誤作動となり易いから、前記の各先行技術では、複数回の検出結果の平均値の移動平均値を利用する。即ち、平均値の演算に際して、新たに追加入力する検出結果の数だけ古い検出結果を除去する手法を採用している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、目標刈高さ設定値を高く設定すると、必然的に超音波センサの対地高さ位置も高くなり、超音波の地面等からの乱反射が酷くなって、反射波が受信器にて受信し難く(受信波の信号の電圧値が低く)なり、受信結果(検出結果)が不安定となり、酷い場合には、反射波が受信できないから、前述のような移動平均の演算処理の結果を利用しても、刈高さの高低変動の度合いが大きくなって精度の良い刈高さ制御が実行できなくなるという問題があった。 【0005】本発明は、この問題を解決すべくなされたものであって、安定した刈高さ制御を実行できるコンバインにおける刈高さ制御装置を提供することを目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のコンバインにおける刈高さ制御装置は、刈取前処理装置を走行機体に対して油圧シリンダを介して昇降駆動するように構成し、刈取前処理装置と走行機体との対機体昇降位置を検出するための昇降ポジションセンサと、刈取前処理装置の対地高さを検出する非接触式刈高さセンサと、該非接触式刈高さセンサによる刈高さ検出の安定判別手段と、目標刈高さ設定値を予め設定する刈高さ設定器とを備え、非接触式刈高さセンサの検出値に基づいて前記目標刈高さ設定値に接近するように刈取前処理装置を昇降制御する行程中において、前記安定判別手段により、検出結果が不安定であると判断されたときには、前記刈高さ設定器にて予め設定された目標刈高さ設定値に対応する昇降ポジションセンサの検出値となるように刈取前処理装置を昇降制御するものである。 【0007】また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置において、目標刈高さ設定値が所定値より大きく、且つ前記安定判別手段により、非接触式刈高さセンサの検出結果が不安定であると判別されたときには、刈取前処理装置の昇降制御を一定時間だけ中止すると共に、不安定になる直前の刈高さ位置を維持し、前記昇降制御の中止を報知する報知手段を作動させるように制御するものである。 【0008】さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記非接触式刈高さセンサの検出結果を複数個ずつ抽出してその移動平均値を演算する演算手段と、前記目標刈高さ設定値の高低を判別する高低判別手段とを備え、前記目標刈高さ設定値を高くするにつれて、前記抽出すべき検出結果の個数を増大させて移動平均値を演算するように制御するものである。 【0009】 【発明の実施の形態】次に本発明を具体化した実施形態について説明すると、図1はコンバインの走行機体1の側面図、図2は走行機体1の平面図、図3はコンバインの正面図、図4は昇降ポジションセンサの側面図、図5は昇降ポジションセンサの平面図、図6は動力伝達のスケルトン図、図7は油圧回路と制御装置の機能ブロック図である。 【0010】走行クローラ2aが備えられた左右一対の走行装置2を有するコンバインの走行機体1の進行方向に向かって左側には脱穀装置3を搭載し、走行機体1の前部には単動式の油圧シリンダ9により昇降動可能な刈取前処理装置4を配置する。刈取前処理装置4の下部フレームの下部側にはバリカン式の刈刃装置5を、前方には6条分の穀稈引起装置6が配置され、穀稈引起装置6と脱穀装置におけるフイードチェン7前端との間には穀稈搬送装置8が配置され、穀稈引起装置6の下部前方には分草体10が突出している。走行機体1の右側前部に運転室11が配置され、その後側に穀粒タンク12が配置されている。 【0011】図4及び図5に示すように、刈取前処理装置4に先端を装着した前方下向き傾斜状の昇降筒フレーム14の基端を水平筒15に固着し、該水平筒15を走行機体1の前部に設けた複数の軸受ブラケット16(一方を図示省略)に回動自在に軸支し、走行機体1上のエンジン35からの動力を前記水平筒15及び昇降筒フレーム14の各々の内径部に配置した伝動軸17と19、傘歯車対18等を介して刈取前処理装置4の各部に動力伝達される。そして、昇降筒フレーム14の中途部と走行機体1との間に装架した昇降油圧シリンダ9にて刈取前処理装置8を昇降駆動させるものである。 【0012】コンバインの動力伝達系を示すスケルトン図(図6)に示すように、エンジン35からの出力の一方は、クラッチ36を介して穀粒タンク12内の底コンベヤ37及び縦コンベヤ38に動力伝達し、次いで排出オーガ28内のスクリューコンベヤ(図示せず)に伝達される。エンジン35からの他の出力は、動力分岐用ミッション39を介して扱胴駆動軸40、選別駆動軸41、走行用の油圧ポンプ油圧モータ式(HST式)走行駆動部42への駆動軸43及び刈取前処理装置4への定速回転駆動軸44に動力伝達される。そして、扱胴駆動軸40または選別駆動軸41を介して扱胴13及び処理胴29、一番受樋のスクリューコンベヤ26a、唐箕フアン、二番受け樋のスクリューコンベヤ26b及び二番還元コンベヤ25、排藁チェン31、吸引フアン30及び排藁カッタ33に伝達される。 【0013】他方、前記(HST式)走行駆動部42より出力する刈取同調駆動軸45から、(走行駆動部の正回転時のみ伝達可能な)ワンウエイクラッチ45a及び同調クラッチ46を介して刈取軸47に動力伝達させ、フイードチェン7に直接伝達する。また、刈取軸47に設けた刈取前処理部クラッチ49を介して刈取前処理装置4への動力伝達をON・OFFするように構成されている。それぞれの同調クラッチ46,刈取クラッチ48,刈取前処理部クラッチ49をON・OFF操作するには、それぞれのクラッチに対応する電磁ソレノイド等のクラッチアクチュエータをON・OFF動作するように構成されている。なお、同調クラッチ46はベルトのテンションを緊張・緩和することにより動力継断するテンションクラッチであっても良い。従って、後述するように、車速同調制御を禁止(中止)する場合等で、動力分岐用ミッション39の定速回転駆動軸44を介して刈取軸47に動力伝達し、HST式走行駆動部42より出力する刈取同調駆動軸45の回転数が前記定速回転駆動軸44からの回転数より低い場合や、刈取同調駆動軸45がコンバインの後退方向に回転する場合には、ワンウエイクラッチ45aが空回りする。 【0014】なお、前記HST式(2油圧モータ2油圧ポンプによる無段階変速機構内に機械的変速機構を組み込んだもの)走行駆動部42の各油圧ポンプ等の斜板を調節して車速を無段階変速するための主変速レバー85は前後回動し、ほぼ垂直姿勢の中立位置(停止位置)に対して前に倒すと前進位置であり、垂直に対する傾斜角度が大きいほど車速が速くなる。後方に傾斜させると後退となり、その傾斜角度が大きいほど車速が速くなる。 【0015】副変速レバー86は、HST式走行駆動部42内に設けた機械的変速機構(図示せず)を操作する伝動モータ等のアクチュエータを制御するためのものであり、副変速レバーを路上走行モード、標準作業モード、低速作業モードの各位置に切換えると、コンバインに搭載したマイクロコンピュータ式の制御装置(コントローラユニット)70の指令により、前記各作業モード時に適応する走行駆動部42の出力(馬力)及び回転数を所定のレンジに設定保持することができる。 【0016】なお、走行機体1を前進走行させながら通常の刈取脱穀作業を実行するとき(低速作業モード時及び標準作業モード時)には、動力分岐用ミッション39における刈取クラッチ48をOFF(動力遮断)し、車速の同調クラッチ46及び刈取前処理部クラッチ49はON(動力接続)の状態にし、燃料噴射量センサ及び車速センサの検出値を監視しながら、走行駆動部42の出力に同調させた回転数の刈取同調駆動軸45を介して刈取軸47を駆動させて刈取前処理装置4及びフイードチェン7を同調駆動する一方、扱胴駆動軸40及び選別駆動軸41を駆動させて、扱胴13、処理胴29、送風フアン、唐箕フアン20、揺動選別機構等を駆動させるのである。 【0017】また、圃場内での刈取脱穀作業途中において走行機体を方向転換等を実行するに際して、走行機体1を停止または後退させるとき、刈取前処理装置4とフイードチェン7との駆動を停止する時には、同調クラッチ46及び刈取クラッチ48をOFFにする。フイードチェン7のみ駆動するには、刈取前処理部クラッチ49をOFFにする。この場合、刈取前処理装置4への動力伝達はなく、動力分岐用ミッション39から刈取軸47を介してフイードチェン7にのみ動力伝達される。 【0018】なお、圃場内で、走行機体1を停止させたままで、刈取前処理装置4とフイードチェン7とを駆動させ、刈取前処理装置4の穀稈搬送部に、手で刈取りした穀稈を挿入し、フイードチェン7を介して脱穀部3に持ち込んで脱穀する作業を実行するには、前記走行駆動部42の出力と同調しないように、同調クラッチ46をOFFとする一方、エンジン35からの動力を動力分岐用ミッション39内の脱穀クラッチ48a及び刈取クラッチ48、刈取前処理部クラッチ49を各々電気的にONとする。刈取軸47からフイードチェンクラッチと刈取前処理部クラッチとに二股に分割してフイードチェン7と刈取前処理装置4とに動力伝達するとき、刈取前処理部クラッチモータのON回路とフイードチェンクラッチモータのOFF回路とに各々遅延リレー等の遅延回路を設けることにより、刈取前処理部クラッチより若干早くONさせてフイードチェン7の始動を刈取前処理装置4の始動より早める。逆に作業終了に際して、刈取前処理装置4の停止が早くフイードチェン7の停止が遅いことにより、穀稈の流れを円滑にすることができるのである。 【0019】刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを検出して刈高さを検出するための非接触型刈高さセンサとしての超音波センサ20は、運転室11に近い側の前記穀稈引き起こし装置6の裏面側に設けたブラケット(図示せず)に配置し、図6に示すように、超音波センサ20における発信器20aの発信部(ホーン部)と受信器20bの受信部とを圃場面に向けるように配置する。超音波センサ20の設置高さと刈刃5の設置高さとが異なる場合には、超音波センサ20の検出値から所定の換算により、刈高さ検出値を求めるようにしている。 【0020】昇降ポジションセンサ22は、走行機体1と刈取前処理装置4との相対高さを検出するためのものであり、本実施例では、図4及び図5に示すように、前記軸受ブラケット16に固定した回動ポテンショメータ式の昇降ポジションセンサ22の感知回動アーム23を、水平筒15の外面に固着したセンサ軸24に当接させ、水平筒15の回動角度θを検出することにより、昇降筒フレーム14の回動角度、ひいては走行機体1に対する刈取前処理装置4の昇降位置(対機体昇降位置)を検出できるようになっている。 【0021】図7は、刈高さ制御等を実行するための制御装置70の機能ブロック図を示し、該制御装置70は、マイクロコンピュータ等の電子式制御装置であり、図示しないが各種演算処理や制御を実行するための中央処理装置(CPU)や、制御プログラムを記憶させた読み出し専用メモリ(ROM)、各種の検出値、データ等を一時的に記憶させる随時読み書き可能メモリ(RAM)、制御装置の電源をOFFとしても記憶データを保持するための不揮発性メモリ、タイマ機能としてのクロック、インターフェイス、バスなどを備える。 【0022】超音波センサ20における発信器20aには制御装置70からの指令により発信駆動回路71を介して適宜時間間隔T1にて超音波を発信し、被検出物等にて反射された反射波は受信器20bで受信し、その検出信号は受信増幅回路72を介して制御装置70に入力する。前記昇降ポジションセンサ22の検出信号もA/D変換器を介して前記時間間隔T1ごとに制御装置70に入力する。 【0023】また、刈高さ設定器73、刈取脱穀作業を手動モードで行うときの手動スイッチ74、同じ作業を自動制御モードにするときの自動スイッチ75、さらに前記手動で実行するとき、刈取前処理装置4を手動にて細かく昇降操作するためのジョイスティック76の各信号もそれぞれ制御装置70に入力される。ジョイスティック76の操作レバーは前後傾動可能で中立位置に自動復帰するように付勢され、操作レバーを前方向に傾倒している間は最小速度で下降継続し、後傾している間は最小速度で上昇継続する。 【0024】また、前記制御装置70では、後述する所定の演算結果に応じて所定の昇降指令信号を第1駆動回路77と第2駆動回路78とに出力し、第1駆動回路77からの出力に応じて油圧回路79における油圧切換弁80の電磁ソレノイド80a,80bを作動させる一方、第2駆動回路78からの出力に応じて高速応答電磁弁の一例である電磁比例減圧弁50の電磁ソレノイド50aを作動させて、刈取前処理装置4の昇降のための単動油圧シリンダ9を作動させるのである。 【0025】図7に示す油圧回路79では、前記単動式の昇降油圧シリンダ9及び左右の走行装置3と走行機体1との左右相対車高を制御するための左右一対のローリング制御用油圧シリンダ(図示せず)に対する油圧制御弁51等にも圧油を供給する。この場合、図7に示すように、油圧回路79の油圧ポンプ52から油圧切換弁49への給油路53中に、リリーフ弁54を介挿する。4ポート3位置切換電磁式の油圧切換弁80の出力ポートから単動油圧シリンダ9への油圧管途中には、逆止弁55、及びスローリターンチェック弁56を接続する。なお、油圧切換弁80の他の出力ポートからは他の油圧制御弁51に同時に給油するように構成されている。 【0026】前記油圧管の逆止弁55とスローリターンチェック弁56との間に接続した戻油管57には、前記単動油圧シリンダ9のピストンロッド下降用の可変絞り弁58と緊急下降弁59とを並列接続する。この可変絞り弁58は、2ポート2位置切換型のバルブであって、そのパイロットポートには、前記の高速応答電磁弁の1例としての、電磁比例減圧弁50の出力ポートを接続する。 【0027】そして、刈取前処理装置昇降用の油圧シリンダ9の作動制御は次のように実行する。即ち、電磁式の油圧切換弁80を切換て油圧シリンダ9を伸長させる場合には、電磁ソレノイド80aをパルス幅変調制御(PWM)にて作動させると、電磁比例減圧弁50によって適宜油圧に調整されたパイロット圧が可変絞り弁58に作用し、可変絞り弁58の絞り度合いが任意に変化し、戻油管57から油タンク60にドレンされる。その場合、可変絞り弁58の絞り度合いに応じて油圧シリンダ9の作動速度が調節される。また、油圧シリンダ9を縮小させる場合には、油圧切換弁80を中立にし、電磁比例減圧弁50を前記と同様にパルス幅変調制御(PWM)方式にて作動させ、そのパイロット圧の調節にて可変絞り弁58の絞り開度を調節し、これにより油圧シリンダ9の作動速度を調節する。 【0028】次に、本発明の刈高さ制御について説明する。目標刈高さ設定値Hsmを決めるための刈高さ設定器73は、可変抵抗器等のアナログ式であっても良いし、デジタル式であっても良い。本発明の第1実施形態では、超音波センサ20の検出値に基づいて前記目標刈高さ設定値Hsmに接近するように刈取前処理装置4を昇降制御するに際して、図9のメインフローチャートに示すように、制御のスタートに続き、S1にて、前記目標刈高さ設定値Hsmを読出し、S2にて超音波センサ20による刈高さ検出値Hsxの複数ずつを読出してメモリ(RAM)に記憶させ、次いでS3にていわゆる移動平均値による刈高さ制御を実行する。即ち、図8に示すように、ΔT1ごとにサンプリングした超音波センサ20による刈高さ検出値Hsxの複数ずつ抽出(入力・記憶)して平均値を制御装置70の演算部にて演算する。そして、つぎの平均値を求める場合、新たに抽出し、追加入力した刈高さ検出値の個数だけ古い検出値を順に除去するというようにして移動平均値を求める。この移動平均値が予め設定された設定刈高さ(目標刈高さ設定値Hsm)に対して±ΔHf (不感帯幅)の範囲から外れるように変動したか否かを判別し、目標刈高さ設定値Hsmに対して±ΔHf の不感帯の範囲から外れたときには、刈取前処理装置4を昇降作動させる、移動平均値Himが不感帯幅内にあるときには、前記刈取前処理装置4の昇降は非作動とするという、移動平均値Himに基づく刈高さ制御を実行する(S3)。 【0029】そして、この刈高さ制御中において、超音波センサ20の発信器から間欠的に超音波を発信しているにも拘らず、受信器で反射波を受信していないか否を判別する(S4)。受信器で反射波を受信している場合(S4:yes )、次に、後述する安定判定手段により超音波センサ20の検出結果が安定しているか否かを判別し(S5)、超音波センサ20の検出結果が安定しているときには(S5:no)、S3に戻って、移動平均値に基づく刈高さ制御を実行する。 【0030】他方、受信器で反射波を受信していない場合(所定の入力電圧を得られず、反射波無しと判断される場合)(S4:no)には、刈取前処理装置4の下端に設けた接地式対地高さセンサの検出結果を優先させて刈取前処理装置4を昇降制御する(S6)。接地式対地高さセンサの検出結果を利用すれば、刈取前処理装置4の下端(先端)が地面に突っ込むのを確実に防止することができる。 【0031】また、超音波センサ20の検出結果が不安定な場合には(S5:yes )、昇降ポジションセンサ22の検出結果に基づいて刈取前処理装置4の昇降制御を実行する(S7)。なお、前記超音波センサ20の刈高さ検出結果が不安定であるか安定であるかの安定判定手段は、制御装置70に予め格納された制御プログラム(図10に示すサブルーチンフローチャート参照)にて実行する。 【0032】このサブルーチンフローチャートにおいて、スタートに続き、Lc=0、tc=0及びZ=0の初期値設定する(S10)。ここで、Lcはコンバインの刈高さ走行距離(単位ミリメートル)、tcは後述する現象の継続時間(単位ミリ秒)、Zは後述する現象の発生回数である。コンバインの刈取脱穀作業開始後の刈高さ検出値Hsxを複数ずつ読み込む(S11)。次に、移動平均値演算を実行する(S12)。そして、演算された移動平均値Himのうちの最初のものを基準値Hstaoとしてメモリ(RAM)に記憶させる(S13)。 【0033】次いで、後に続いて演算される移動平均値Himが前記(初期の)基準値Hstaoに対して所定の変動量ΔHi 以上に増減したか否かを判別する(S14)。|Hsta −Him|≧ΔHi であるとき、即ち、後の移動平均値Himが前記基準値Hstaoに対して所定の変動量ΔHi 以上に増減したときには(S14:yes )は、続いて、前記変動状態が所定時間tco 以上継続しているか否かを判別する(S15)。この様子を図11に示す。 【0034】前記2つの条件を充足するときには(S14:yes 、且つS15:yes )、前記の基準値を更新して記憶する(S16)。即ち、更新後の基準値Hsta は、前記2つの条件を充足するとき(S14:yes 、且つS15:yes )の直後の超音波センサ20の刈高さ検出値Hsxとする。そして、この更新後の基準値Hsta を目標刈高さ設定値Hsmと比較して、前記S3の刈高さ制御を実行する(S17)。この状態が1回発生するごとに、Zを1つずつインクリメントする(S19)。前記回数Zが所定回数Zo以上発生すると(S20:yes )、計測距離Lcが設定値Lo(単位ミリメートル、実施例では200mm〜400mm)の範囲内のときには(S21:yes )、超音波センサ20の検出結果が不安定(フラグP=1)であると判定するのである(S22)。なお、その他の条件では検出結果は安定(フラグP=0)とする(S23)。 【0035】即ち、コンバインが所定距離(設定値Lo)走行する間に前記基準値Hsta の更新が回数Zo以上発生するときには、例えば図11のような移動平均値が単純増加傾向の変化状態の場合に、最新の移動平均値Himを更新された基準値Hstaとし、この更新後の基準値Hsta と目標刈高さ設定値Hsmとの偏差に基づいて、この偏差が大きいと刈取前処理装置の昇降制御速度を大きくするという刈高さ制御を実行すると、刈取前処理装置の下降速度が順次大きくなり、刈取前処理装置4の下端が圃場面に突っ込むおそれが高くなってしまう。そこで上記の状態を不安定と定義し、所定時間tco 直後の超音波センサ20の刈高さ検出値Hsxを更新後の基準値Hsta とする。 【0036】なお、前記変動状態が所定時間tco 以上継続していないときには(S15:no)、更新された基準値Hsta として後の(最新に演算された)移動平均値Himを採用する(S18)。超音波センサ20の対地設置高さが高いときや、圃場の凹凸、下草(雑草)、藁屑による超音波の乱反射等が多くなって、前記移動平均値の変動が大きくなる。このような状態は、超音波センサ20の検出結果不安定という。 【0037】このような不安定状態と判断されたとき、他の実施例として、前記の刈取前処理装置4の自動昇降制御を中断して、一定時間の間、前記不安定になる直前のセット位置(刈取前処理装置4の高さ位置)を保持するようにしても良い。この場合、前記自動昇降制御の中断(中止)をオペレータに報知するため、警報ブザーの鳴動、警報ランプの点滅等の報知手段を作動させるように制御する。 【0038】この報知手段の作動をオペレータが確認して、刈高さ設定器73の目標刈高さ設定値Hsmを下げると、超音波センサ20の対地設置高さも低くなり、超音波センサ20の検出結果が安定する確率が高くなる。また、オートセットボタンを押せば、元の目標刈高さ設定値Hsmを基準値とする自動昇降制御を始めからやり直すことになる。 【0039】さらに別の実施例として、前記検出結果が不安定状態と判断されたときには、超音波センサ20の検出結果を採用せず、前記刈高さ設定器73にて設定された値(目標刈高さ設定値)に基づいて刈取前処理装置4の昇降位置を決定するようにしても良い。この場合、刈取前処理装置4の対機体昇降位置の所定値Hphの設定に当たっては、図12に示すような関係式を制御装置70に備えた不揮発性メモリに格納し、該関係式から、目標刈高さ設定値Hsm1 、Hsm2 、Hsm3 を決めると、対応する所定値Hph1 、Hph2 、Hph3 を求め、所定の刈高さ制御時にこのデータ(所定値Hph)を読出して使用するようにしても良いし、前記関係式に代えて、各目標刈高さ設定値Hsmに対応するように所定値Hphを予め設定したマップを前記不揮発性メモリに格納し、所定の刈高さ制御時にこのデータ(所定値Hph)を前記マップから読出して使用するようにしても良い。 【0040】これらいずれの場合も、超音波センサ20の検出結果の安定・不安定の判別は実行しつづけ、検出結果安定と判別されたときには、通常の自動昇降制御に復帰させることが好ましい。別の実施例として、超音波センサ20の検出結果が不安定と判別されたときには、目標刈高さ設定値が大きいほど前記移動平均のためのサンプル数(もしくはサンプル採取のための時間)を増大させる、もしくは、前述の刈取前処理装置4の昇降制御のための不感帯の幅を大きくするように制御しても良い。この場合、図13や図14に示すような関係式もしくはマップを前記不揮発性メモリに格納し、所定の刈高さ制御時にこのデータを前記マップから読出して使用するようにしても良い。 【0041】 【発明の効果】以上に説明したように、請求項1に記載の発明のコンバインにおける刈高さ制御装置は、刈取前処理装置を走行機体に対して油圧シリンダを介して昇降駆動するように構成し、刈取前処理装置と走行機体との対機体昇降位置を検出するための昇降ポジションセンサと、刈取前処理装置の対地高さを検出する非接触式刈高さセンサと、該非接触式刈高さセンサによる刈高さ検出の安定判別手段と、目標刈高さ設定値を予め設定する刈高さ設定器とを備え、非接触式刈高さセンサの検出値に基づいて前記目標刈高さ設定値に接近するように刈取前処理装置を昇降制御する行程中において、前記安定判別手段により、検出結果が不安定であると判断されたときには、前記刈高さ設定器にて予め設定された目標刈高さ設定値に対応する昇降ポジションセンサの検出値となるように刈取前処理装置を昇降制御するものである。 【0042】このように制御すれば、昇降ポジションセンサの検出値により、走行機体と刈取前処理装置との相対高さが決定され、かつ刈高さ設定器にて予め設定された目標刈高さ設定値に対応する昇降ポジションセンサの検出値となるように刈取前処理装置を昇降制御すると、安全側に保持されるから、超音波センサのような非接触式刈高さセンサによる刈高さ検出結果が不安定であっても、刈取前処理装置の下端が圃場面に突っ込むおそれがなくなる。 【0043】また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置において、目標刈高さ設定値が所定値より大きく、且つ前記安定判別手段により、非接触式刈高さセンサの検出結果が不安定であると判別されたときには、刈取前処理装置の昇降制御を一定時間だけ中止すると共に、不安定になる直前の刈高さ位置を維持し、前記昇降制御の中止を報知する報知手段を作動させるように制御するものである。 【0044】このように制御すれば、検出結果が不安定な状態のまま、刈取前処理装置を昇降する場合のように刈り跡が大きく波うつような状態を防止でき、しかも、目標刈高さ設定値が所定値より大きいから、刈取前処理装置の昇降制御を一定時間だけ中止しても、当該刈取前処理装置の下端が圃場面に突っ込むおそれもない。さらに、自動昇降制御の中止を報知手段によりオペレータに知らせるから、オペレータが自動昇降制御であるとの誤解も無くなるという効果を奏する。 【0045】さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記非接触式刈高さセンサの検出結果を複数個ずつ抽出してその移動平均値を演算する演算手段と、前記目標刈高さ設定値の高低を判別する高低判別手段とを備え、前記目標刈高さ設定値を高くするにつれて、前記抽出すべき検出結果の個数を増大させて移動平均値を演算するように制御するものである。 【0046】非接触式刈高さセンサの検出結果が不安定な場合に、その検出値の移動平均値のサンプル数を増大させることにより、前記の不安定性を解消し易くなる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006851 【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月1日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】石井 暁夫 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−155332 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)6月15日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−330401 |
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