| 【発明の名称】 |
コンバインにおける刈高さ制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 隆史
【氏名】中川 渉
【氏名】戸波 照喜
【氏名】水倉 泰治
【氏名】梶岡 律子
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| 【要約】 |
【課題】超音波センサ20にて対地高さを検出して刈取前処理装置を昇降制御する場合、超音波センサ20による検出結果の不安定性を無くする。
【解決手段】刈取前処理装置4における穀稈引起装置6の裏面側に略垂直状に立設したネジ軸104に支持ブラケット107を螺合させ、制御モータ105の作動にて超音波センサ20を昇降可能に構成し、刈高さ設定器にて設定した目標刈高さ設定値が予め制御装置70にて記憶させた基準値より大きいと判断されると、超音波センサ20を下位置センサ109の位置まで下降させて、超音波センサ20と地面103との距離を短くするように変更制御する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刈取前処理装置を走行機体の前部に対して昇降駆動手段により昇降可能に構成し、前記刈取前処理装置の対地高さを検知する非接触式刈高さセンサの検出信号と、刈高さ設定器による目標刈高さ設定値との比較により前記昇降駆動手段を作動するように構成したコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記非接触式刈高さセンサの配置高さを昇降調節するためのセンサ昇降手段を設け、前記刈高さ設定器による目標刈高さ設定値を基準値より高く設定した場合には、前記センサ昇降手段により非接触式刈高さセンサの配置高さを低い方向に移動制御する制御手段を備えたことを特徴とするコンバインにおける刈高さ制御装置。 【請求項2】 前記制御手段は、前記基準値を記憶する記憶手段と、前記記憶された基準値に応じて、前記センサ昇降手段を作動させる作動量を演算する演算手段と、前記非接地式刈高さセンサの配置位置高さを変更した高さ変更量に応じて、前記非接触式刈高さセンサによる検出信号の値を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置。 【請求項3】 前記非接触式刈高さセンサを反射式超音波センサにて構成し、前記センサ昇降手段には、超音波の発射及び受信の方向が地面に対して略垂直になるように補正する姿勢補正手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置。 【請求項4】 刈取前処理装置を走行機体の前部に対して昇降駆動手段により昇降可能に構成し、前記刈取前処理装置の対地高さを検知する非接触式刈高さセンサの検出信号と、刈高さ設定器による目標刈高さ設定値との比較により前記昇降駆動手段を作動するように構成したコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記刈高さ設定器による目標刈高さ設定値を基準値より高く設定した場合には、前記検出信号による刈高さ検出値が目標刈高さ設定値より高いと判断されても、刈取前処理装置の下降制御を禁止する制御を実行するように構成した制御手段を備えたことを特徴とするコンバインにおける刈高さ制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの走行機体の前部に刈取前処理装置を昇降可能に装着し、非接触式刈高さセンサの検出信号と刈高さ設定器による目標刈高さ設定値とを比較して、刈取前処理装置を、その刈高さ位置が前記目標刈高さ設定値に追従するように昇降制御し、圃場面からの刈取高さを自動調節する技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、この種のコンバインにおける刈高さセンサ装置として、特開平6−300833号公報等には超音波式の非接触式刈高さセンサ装置の構成が開示されている。一般に、反射式超音波センサでは、発信器(送波器)から発射された超音波が被検出部(地面)にて反射されたのち受信器(受波器)にて受信するまでの時間の長さが長い程、反射式超音波センサから被検出部(地面)までの距離が長い、即ち、刈高さが大きいと判断するものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、反射式超音波センサから地面迄の高さ(距離)が大きいと、音波の伝搬媒質(空気)により、発射された超音波のエネルギーが(吸収される)減衰する比率が高くなり、受信器で検出される検出信号のエネルギーが低くなり易い。特に、コンバインによる刈取脱穀作業に使用するとき、圃場面にある藁屑等や圃場の土面の凹凸等により、前記発射された超音波が乱反射され易いから、受信器で検出される検出信号のエネルギーが低くなり易く、従って、超音波センサから地面までの高さ(刈高さに比例する距離)が大きすぎるときには、検出信号値(通常電圧値)が小さくなって、検出結果に不安定性が増大する。 【0004】従って、刈取前処理装置に装着された超音波センサの設置高さが大きいと、前記検出信号が不安定になり易い、即ち、前記検出信号値により刈高さが高いと判断しても、実際には刈取り部から地面までの高さが低すぎているという等の誤まりの感知が発生し易くなって、刈取前処理装置の下端が地面に突っ込み易くなり、機器の破損や土を刈取穀稈と一緒に脱穀部に搬入してしまうという問題があった。 【0005】そこで、本発明は、前記問題を解決すべく、非接触式センサ装置による検出結果の安定性を向上させたコンバインにおける刈高さ制御装置を提供することを目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のコンバインにおける刈高さ制御装置は、刈取前処理装置を走行機体の前部に対して昇降駆動手段により昇降可能に構成し、前記刈取前処理装置の対地高さを検知する非接触式刈高さセンサの検出信号と、刈高さ設定器による目標刈高さ設定値との比較により前記昇降駆動手段を作動するように構成したコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記非接触式刈高さセンサの配置高さを昇降調節するためのセンサ昇降手段を設け、前記刈高さ設定器による目標刈高さ設定値を基準値より高く設定した場合には、前記センサ昇降手段により非接触式刈高さセンサの配置高さを低い方向に移動制御する制御手段を備えたものである。 【0007】また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記制御手段は、前記基準値を記憶する記憶手段と、前記記憶された基準値に応じて、前記センサ昇降手段を作動させる作動量を演算する演算手段と、前記非接地式刈高さセンサの配置位置高さを変更した高さ変更量に応じて、前記非接触式刈高さセンサによる検出信号の値を補正する補正手段とを備えたものである。 【0008】さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記非接触式刈高さセンサを反射式超音波センサにて構成し、前記センサ昇降手段には、超音波の発射及び受信の方向が地面に対して略垂直になるように補正する姿勢補正手段を備えたものである。そして、請求項4に記載の発明のコンバインにおける刈高さ制御装置は、刈取前処理装置を走行機体の前部に対して昇降駆動手段により昇降可能に構成し、前記刈取前処理装置の対地高さを検知する非接触式刈高さセンサの検出信号と、刈高さ設定器による目標刈高さ設定値との比較により前記昇降駆動手段を作動するように構成したコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記刈高さ設定器による目標刈高さ設定値を基準値より高く設定した場合には、前記検出信号による刈高さ検出値が目標刈高さ設定値より高いと判断されても、刈取前処理装置の下降制御を禁止する制御を実行するように構成した制御手段を備えたことを特徴とするものである。 【0009】 【発明の実施の形態】次に本発明を具体化した実施形態について説明すると、図1は走行クローラ2aが備えられた左右一対の走行装置2を有するコンバインの走行機体1の側面図であり、図2は走行機体の正面図、図3は走行機体1の平面図、図4は刈取前処理装置と走行機体との対機体昇降位置を検出するための昇降ポジションセンサの側面図、図5は昇降ポジションセンサの正面図、図6は動力伝達のスケルトン図、図6は油圧回路と制御装置の機能ブロック図、図8は超音波センサの昇降手段の側面図である。 【0010】図1〜図3に示すように、走行機体1の進行方向に向かって左側には従来から公知の構成の脱穀装置3を搭載し、走行機体1の前部には単動式の油圧シリンダ9により昇降動可能な刈取前処理装置4を配置する。刈取前処理装置4の下部フレームの下部側にはバリカン式の刈刃装置5を、前方には6条分の穀稈引起装置6が配置され、穀稈引起装置6と脱穀装置3における扱胴に穀稈を供給するためのフイードチェン7の前端との間には穀稈搬送装置8が配置され、穀稈引起装置6の下部前方には6条分の分草体10が突出している。走行機体1の右側前部に運転室11が配置され、その後側に穀粒タンク12が配置されている。前記穀稈搬送装置8では、穀稈引起装置6にて引き起こされた穀稈の株元部を挟持しながら搬送してフィードチェン7の前端部に株元部を受け継がせる。 【0011】図4及び図5に示すように、刈取前処理装置4に先端を装着した前方下向き傾斜状の昇降筒フレーム14の基端を水平筒15に固着し、該水平筒15を走行機体1の前部に設けた複数の軸受ブラケット16(一方を図示省略)に回動自在に軸支し、走行機体1上のエンジン35からの動力を前記水平筒15及び昇降筒フレーム14の各々の内径部に配置した伝動軸17と19、傘歯車対18等を介して刈取前処理装置4の各部に動力伝達される。そして、昇降筒フレーム14の中途部と走行機体1との間に装架した昇降油圧シリンダ9(図1参照)にて刈取前処理装置8を昇降駆動させるものである。 【0012】コンバインの動力伝達系を示すスケルトン図(図6)に示すように、エンジン35からの出力の一方は、クラッチ36を介して穀粒タンク12内の底コンベヤ37及び縦コンベヤ38に動力伝達し、次いで排出オーガ28内のスクリューコンベヤ(図示せず)に伝達される。エンジン35からの他の出力は、動力分岐用ミッション39を介して扱胴駆動軸40、選別駆動軸41、走行用の油圧ポンプ油圧モータ式(HST式)走行駆動部42への駆動軸43及び刈取前処理装置4への定速回転駆動軸44に動力伝達される。そして、エンジン35からの他の出力は、動力分岐用ミッション39内の脱穀クラッチ48aを介して動力伝達のON・OFFを実行し、扱胴駆動軸40または選別駆動軸41を介して扱胴13及び処理胴29、一番受樋のスクリューコンベヤ26a、唐箕フアン、二番受け樋のスクリューコンベヤ26b及び二番還元コンベヤ25、排藁チェン31、吸引フアン30及び排藁カッタ33に伝達される。 【0013】他方、前記(HST式)走行駆動部42より出力する刈取同調駆動軸45から、(走行駆動部の正回転時のみ伝達可能な)ワンウエイクラッチ45a及び同調クラッチ46を介して刈取軸47に動力伝達させ、フイードチェン7に直接伝達する。また、刈取軸47に設けた刈取クラッチ49を介して刈取前処理装置4への動力伝達をON・OFFするように構成されている。脱穀クラッチ48a,同調クラッチ46,流込みクラッチ48,刈取クラッチ49をそれぞれON・OFF操作するには、それぞれのクラッチに対応する電磁ソレノイド等のクラッチアクチュエータをON・OFF動作するように構成されている。なお、同調クラッチ46はベルトのテンションを緊張・緩和することにより動力継断するテンションクラッチであっても良い。従って、後述するように、車速同調制御を禁止(中止)する場合等で、動力分岐用ミッション39の定速回転駆動軸44を介して刈取軸47に動力伝達し、HST式走行駆動部42より出力する刈取同調駆動軸45の回転数が前記定速回転駆動軸44からの回転数より低い場合や、刈取同調駆動軸45がコンバインの後退方向に回転する場合には、ワンウエイクラッチ45aが空回りする。 【0014】なお、前記HST式(2油圧モータ2油圧ポンプによる無段階変速機構内に機械的変速機構を組み込んだもの)走行駆動部42の各油圧ポンプ等の斜板を調節して車速を無段階変速するための主変速レバー85は、図8に示すように、前記運転室11内の座席11aの側方操作部にて前後回動し、ほぼ垂直姿勢の中立位置(停止位置)に対して前に倒すと前進位置であり、垂直に対する傾斜角度が大きいほど車速が速くなる。後方に傾斜させると後退となり、その傾斜角度が大きいほど車速が速くなる。 【0015】同じく座席11aの側方操作部に配置した副変速レバー86は、HST式走行駆動部42内に設けた機械的変速機構(図示せず)を操作する伝動モータ等のアクチュエータを制御するためのものであり、副変速レバー86を路上走行モード、標準作業モード、低速作業モードの各位置に切換えると、コンバインに搭載したマイクロコンピュータ式の制御装置(コントローラユニット)70の指令により、前記各作業モード時に適応する走行駆動部42の出力(馬力)及び回転数を所定のレンジに設定保持することができる。 【0016】なお、走行機体1を前進走行させながら通常の刈取脱穀作業を実行するとき(低速作業モード時及び標準作業モード時)には、動力分岐用ミッション39における流込みクラッチ48をOFF(動力遮断)し、脱穀クラッチ48a,同調クラッチ46及び刈取クラッチ49はON(動力接続)の状態にし、燃料噴射量センサ及び車速センサの検出値を監視しながら、走行駆動部42の出力に同調させた回転数の刈取同調駆動軸45を介して刈取軸47を駆動させて刈取前処理装置4及びフイードチェン7を同調駆動する一方、扱胴駆動軸40及び選別駆動軸41を駆動させて、扱胴11、処理胴29、送風フアン20、唐箕フアン19、揺動選別機構15等を駆動させるのである。 【0017】また、圃場内での刈取脱穀作業途中において走行機体を方向転換等を実行するに際して、走行機体1を停止または後退させるとき、刈取前処理装置4とフイードチェン7との駆動を停止する時には、同調クラッチ46及び流込みクラッチ48をOFFにする。フイードチェン7のみ駆動するには、刈取クラッチ49をOFFにする。この場合、刈取前処理装置4への動力伝達はなく、動力分岐用ミッション39から刈取軸47を介してフイードチェン7にのみ動力伝達される。 【0018】昇降ポジションセンサ22は、走行機体1と刈取前処理装置4との相対高さを検出するためのものであり、本実施例では、図3及び図4に示すように、前記軸受ブラケット16に固定した回動ポテンショメータ式の昇降ポジションセンサ22の感知回動アーム23を、水平筒15の外面に固着したセンサ軸24に当接させ、水平筒15の回動角度θを検出することにより、昇降筒フレーム14の回動角度、ひいては走行機体1に対する刈取前処理装置4の昇降位置(対機体昇降位置)を検出できる構成である。 【0019】刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを検出して刈高さを検出するための非接触式の刈高さセンサとしての超音波センサ20は、本実施形態では、前記刈取前処理装置4における下部の前端に突出させて配置した複数の分草体10のうち前進方向に向かって最右端に配置された分草体10の裏面に位置する前記穀稈引き起こし装置6の裏面側に設けた上下のブラケット100,101間に設けたセンサ昇降手段102を介して昇降調節可能に装着されている。即ち、前記下部ブラケット101が地面103と略平行状となる刈取前処理装置4の最下降姿勢において、ネジ軸104がほぼ垂直となるように上下ブラケット100,101間にて回動のみ可能に立設し、該ネジ軸104の上端には、正逆回転可能なステップモータ等の制御モータ105が取りつけられている。また、ネジ軸104に螺合したナットから突出する支持ブラケット107は前記ネジ軸104と平行な案内軸106に被嵌し、昇降のみ可能とされている。そして前記支持ブラケット107には、図8に示すように、超音波センサ20における発信器20aの発信部(ホーン部)と受信器20bの受信部(ホーン部)との各軸線が地面103に対してほぼ垂直となるように配置する。なお、刈取前処理装置4の昇降に応じて前記ネジ軸104は地面103に対して垂直線から傾斜するので、この傾斜に拘らず、前記ホーン部の軸線が常時地面103に対して垂直となるように、傾斜センサ及び姿勢制御モータ(共に図示せず)を超音波センサ20と支持ブラケット107との間に介挿しても良い。 【0020】そして、前記ネジ軸104の上下中途部及び下部には、前記支持ブラケット107の高さ位置ひいては超音波センサ20の設置高さを検出するリミットスイッチ等の位置センサ108,109を設ける。そして、後述するように、刈高さ設定器73にて目標刈高さ設定値を変更調節するに際して、予め設定した基準値より目標刈高さ設定値が低いときには、高い方の位置センサ108の箇所に超音波センサ20が位置するように、制御装置70は制御モータ105を駆動させる。基準値以上に目標刈高さ設定値を変更したときには、低い位置の位置センサ109の箇所に超音波センサ20が位置するよう制御モータ105駆動させるように制御するのである。なお、前記基準値は制御装置70におけるROMやRAM(メモリ)に記憶させておく。 【0021】図7は、刈高さ制御やオートクラッチ制御を実行するための制御装置70の機能ブロック図を示し、該制御装置70は、マイクロコンピュータ等の電子式制御装置であり、図示しないが各種演算処理や制御を実行するための中央処理装置(CPU)や、制御プログラムを記憶させた読み出し専用メモリ(ROM)、各種の検出値、データ等を一時的に記憶させる随時読み書き可能メモリ(RAM)、制御装置の電源をOFFとしても記憶データを保持するための不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)、タイマ機能としてのクロック、インターフェイス、バスなどを備える。前記基準値は前記不揮発性メモリに記憶させるのが好ましい。 【0022】超音波センサ20における発信器20aには制御装置70からの指令により発信駆動回路71を介して適宜時間間隔T1にて超音波を発信し、被検出物等にて反射された反射波は受信器20bで受信し、その検出信号は受信増幅回路72を介して制御装置70に入力する。前記昇降ポジションセンサ22の検出信号もA/D変換器を介して前記時間間隔T1ごとに制御装置70に入力する。 【0023】また、可変抵抗式(ボリューム式)の刈高さ設定器73、刈取脱穀作業を手動モードで行うときの3位置検出型の手動スイッチ76、同じ作業を自動制御モードにするときの自動スイッチ75、さらに前記手動で実行するとき刈取前処理装置4の昇降量及び又は昇降速度を小さい側に変更するため、オペレータが足で踏み込んでON・OFF操作するフットスイッチ74の各信号もそれぞれ制御装置70に入力される。前記超音波センサ20の刈高さ検出値は数値として表示できるように制御装置70からの出力にて作動する液晶パネル等の表示部を運転室11内の座席に座るオペレータから見える操作パネル部に設置されている。 【0024】また、前記制御装置70では、所定の演算結果に応じて所定の昇降指令信号を第1駆動回路77と第2駆動回路78とに出力し、第1駆動回路77からの出力に応じて油圧回路79における油圧切換弁80の電磁ソレノイド80a,80bを作動させる一方、第2駆動回路78からの出力に応じて高速応答電磁弁の一例である電磁比例減圧弁50の電磁ソレノイド50aを作動させて、刈取前処理装置4の昇降のための単動油圧シリンダ9を作動させるのである。 【0025】図7に示す油圧回路79では、前記単動式の昇降油圧シリンダ9及び左右の走行装置3と走行機体1との左右相対車高を制御するための左右一対のローリング制御用油圧シリンダ(図示せず)に対する油圧制御弁51等にも圧油を供給する。この場合、図7に示すように、油圧回路79の油圧ポンプ52から油圧切換弁49への給油路53中に、リリーフ弁54を介挿する。4ポート3位置切換電磁式の油圧切換弁80の出力ポートから単動油圧シリンダ9への油圧管途中には、逆止弁55、及びスローリターンチェック弁56を接続する。なお、油圧切換弁80の他の出力ポートからは他の油圧制御弁51に同時に給油するように構成されている。 【0026】前記油圧管の逆止弁55とスローリターンチェック弁56との間に接続した戻油管57には、前記単動油圧シリンダ9のピストンロッド下降用の可変絞り弁58と緊急下降弁59とを並列接続する。この可変絞り弁58は、2ポート2位置切換型のバルブであって、そのパイロットポートには、前記の高速応答電磁弁の1例としての、電磁比例減圧弁50の出力ポートを接続する。 【0027】そして、刈取前処理装置4の昇降用の油圧シリンダ9の作動制御は次のように実行する。即ち、電磁式の油圧切換弁80を切り換えて油圧シリンダ9を伸長させる場合(刈取前処理装置4を上昇駆動する場合)には、電磁ソレノイド80aをパルス幅変調制御(PWM)にて作動させると、電磁比例減圧弁50によって適宜油圧に調整されたパイロット圧が可変絞り弁58に作用し、可変絞り弁58の絞り度合いが任意に変化し、戻油管57から油タンク60にドレンされる。その場合、可変絞り弁58の絞り度合いに応じて油圧シリンダ9の作動速度が調節される。 【0028】また、油圧シリンダ9を縮小させる場合(刈取前処理装置4を下降駆動する場合)には、油圧切換弁80を中立にし、電磁比例減圧弁50を前記と同様にパルス幅変調制御(PWM)方式にて作動させ、そのパイロット圧の調節にて可変絞り弁58の絞り開度を調節し、これにより油圧シリンダ9の作動速度を調節する。 【0029】次に、刈高さ制御について説明する。自動モードに設定するための自動スイッチ75をONさせている場合には、非接触式センサとしての超音波センサ20の検出値が制御装置70に入力され、刈高さ設定器73にて予め設定された目標刈高さ設定値と比較演算され、超音波センサ20の検出値のほうが高い場合には、前記油圧切換弁80及び電磁比例減圧弁50を介して刈取前処理装置4を下降動し、超音波センサ20の検出値のほうが低い場合には、刈取前処理装置4を上昇駆動し、いずれも目標設定刈高さとなるように、自動調節される。これらの場合、目標刈高さ設定値と超音波センサ20の検出値との偏差が大きいときには、連続駆動信号により油圧シリンダ9を速く駆動させ、刈取前処理装置4の昇降速度を大きくし、前記偏差が小さくなれば、パルス幅変調制御(PWM)方式にて油圧シリンダ9の駆動速度を小さくし、刈取前処理装置4の昇降速度を遅くして刈高さの微調整を可能としている。 【0030】次に、コンバインによる刈高さ制御において、通常の株元側を刈取りする場合と高刈りする場合の前記刈高さ設定器73による目標設定刈高さ値Hsmを大小に変更設定した場合に、前記超音波センサ20の設置高さを変更調節する制御について説明する。なお、前記可変抵抗式(ボリューム式)の刈高さ設定器73における摘みの回りに、目標設定刈高さ値Hsmの目盛りが付されており、この目盛りはVR値(抵抗値)と比例するように設定されている。 【0031】図9(a)及び図9(b)に示すように、超音波センサ20の設置高さと刈刃5の設置高さとは一般に異なるので、超音波センサ20の検出値から所定の換算により、刈高さ検出値を求めるようにしている。例えば、図9(a)の左側の図は、刈刃5の対地高さを低い位置となるように刈取前処理装置4を下降させた状態であって、目標設定刈高さ値Hsmが基準値Hxoより小さい場合である。この場合には図9(b)の左側、つまり図8の実線状態の位置(高い位置)に超音波センサ20を設置する。ここで、刈高さ(刈刃5の対地高さ)をHsn1 、超音波センサ20の対地高さをHx1、刈刃5と超音波センサ20の高さの偏差値Hα1 とすると、Hsn1 =Hx1−Hα1 となる。 【0032】他方、目標設定刈高さ値Hsmが基準値Hxoより大きい場合には、図9(b)の右側、つまり図8の下部の位置センサ109の箇所に支持ブラケット107が位置するように超音波センサ20を下降させて設置する。ここで、刈高さ(刈刃5の対地高さ)をHsn2 、超音波センサ20の対地高さをHx2、刈刃5と超音波センサ20の高さの偏差Hα2 、超音波センサ20の元の高い位置からの下降量をHd とすると、Hα2 +Hd =Hα1 である。従って、Hsn2 =Hx2−Hα2 =Hx2−(Hα1 −Hd )となる。 【0033】しかして、制御装置70では、目標設定刈高さ値Hsmが基準値Hxoより小さいように刈高さ設定器73を設定した場合には、当該目標設定刈高さ値Hsmと前記Hsn1 の値とを比較し、Hsmに近づくように、刈取前処理装置4を昇降調節させるのである。他方、目標設定刈高さ値Hsmが基準値Hxoより大きい状態に刈高さ設定器73を設定した場合には、当該目標設定刈高さ値Hsmと前記Hsn2 の値とを比較し、Hsmに近づくように、刈取前処理装置4を昇降調節すれば良い。このとき、Hsn1 とHsn2 とを比較して理解できるよう、超音波センサ20を下降した変更量Hd だけ、刈高さ検出値を補正しておけばよいことになる。 【0034】前記実施例では、目標設定刈高さ値Hsmが基準値より高いか否に応じて、リミットスイッチなどの位置センサ108,109を予め位置固定しておくことにより、超音波センサ20の昇降高さ変更量は決まっていたが、別の実施例として、前記制御モータ105もしくはネジ軸104の回動量を検出するロータリエンコーダ(図示せず)により、目標設定刈高さ値Hsmが基準Hxo値より高いか否に応じて、予め前記超音波センサ20の昇降量(作動量)を制御装置70の演算部にて演算し、この作動量分だけ制御モータ105を作動させて停止するように、ロータリエンコーダにて昇降量を検出する。そして、超音波センサ20を下降(上昇)した変更量だけ、刈高さ検出値を制御装置70にて補正するように構成しても良い。 【0035】いすれにしても、上記のように、目標刈高さ設定値Hsmが所定の基準値Hxo以上になれば、超音波センサ20の対地設置高さが大きくなりすぎて、検出信号(反射波の受信信号)が不安定になるので、超音波センサ20の設置高さを低い位置に変更調節した、超音波センサ20による検出結果を安定して、確実な刈高さ制御を実行することができるのである。 【0036】図10(a)及び図10(b)は、刈取前処理装置4を昇降させた場合に、超音波センサ20の向きが地面103とほぼ垂直になるように姿勢制御する姿勢補正手段と、前記センサ昇降手段とを一体化した1実施例を示し、刈取前処理装置4に基端を昇降用モータ114を介して上下回動可能に枢着された支持アーム110には、姿勢制御用の駆動モータ111を介して超音波センサ20を装着すると共に、傾斜角度センサ112及びコントローラ113を搭載する。 【0037】目標設定刈高さ値Hsmが基準値Hxoより低く設定するときには、図10(a)に示すように、支持アーム110を水平または超音波センサ20の設置位置を高くするように昇降駆動モータ114を作動させると共に、傾斜角度センサ112の検出結果から姿勢制御用の駆動モータ111を作動させて超音波センサ20の向きを地面103とほぼ垂直となるように保持する。 【0038】目標設定刈高さ値Hsmが基準値より高く設定するときには、図10(b)に示すように、支持アーム110の自由端側を下げるように昇降駆動モータ114を作動させると共に、傾斜角度センサ112の検出結果から姿勢制御用の駆動モータ111を作動させて超音波センサ20の向きを地面103とほぼ垂直となるように保持すれば良い。 【0039】なお、昇降用モータ114にロータリエンコーダを装着することにより、支持アーム110に装着された超音波センサ20の昇降変動量を検出して、前記実施例のごとくに超音波センサ20の検出値を補正するように制御しても良いのである。なお、上述のように超音波センサ20を昇降調節しない場合には、目標設定刈高さ値Hsmを基準値Hxoより高く設定すると、超音波センサ20の検出信号が不安定になるので、前記刈高さ設定器73による目標刈高さ設定値Hsmを基準値Hxoより高く設定した場合には、前記検出信号による刈高さ検出値が目標刈高さ設定値Hsmより高いと判断されても、刈取前処理装置4の下降制御を禁止する制御を実行するように構成した制御手段を備える。これにより、超音波センサ20の検出信号によれば刈高さが目標高さより高いと判断されても、実際には刈高さが低く、さらに刈取前処理装置4を下降すると、分草体10等が地面103に突っ込み部品を破損させたり、土を刈取り穀稈と共に脱穀装置に持ち込むような不都合を防止することができるのである。 【0040】前記各実施例では、非接触式刈高さセンサの例として超音波センサについて説明したが、赤外線を地面に向けて照射し、その反射量を検出することにより、刈高さを計測する赤外線センサであっても本発明と同じ問題を解決し、所定の同じ効果を奏することができる。 【0041】 【発明の効果】以上に詳述したように、請求項1に記載の発明のコンバインにおける刈高さ制御装置は、刈取前処理装置を走行機体の前部に対して昇降駆動手段により昇降可能に構成し、前記刈取前処理装置の対地高さを検知する非接触式刈高さセンサの検出信号と、刈高さ設定器による目標刈高さ設定値との比較により前記昇降駆動手段を作動するように構成したコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記非接触式刈高さセンサの配置高さを昇降調節するためのセンサ昇降手段を設け、前記刈高さ設定器による目標刈高さ設定値を基準値より高く設定した場合には、前記センサ昇降手段により非接触式刈高さセンサの配置高さを低い方向に移動制御する制御手段を備えたものである。 【0042】非接触式刈高さセンサの配置高さが高くなると、反射波の乱れが大きくなって、検出結果が不安定になるので、刈高さ設定器による目標刈高さ設定値を基準値より高く設定した場合には、センサ昇降手段を作動させて非接触式刈高さセンサの配置高さを低くして、前記不安定性を解消させるのである。また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記制御手段は、前記基準値を記憶する記憶手段と、前記記憶された基準値に応じて、前記センサ昇降手段を作動させる作動量を演算する演算手段と、前記非接地式刈高さセンサの配置位置高さを変更した高さ変更量に応じて、前記非接触式刈高さセンサによる検出信号の値を補正する補正手段とを備えたものである。 【0043】この構成によれば、非接地式刈高さセンサの配置位置高さを変更したときには、同じ対地高さを、前記センサにて検出した検出値と通常固定した位置の非接地式刈高さセンサによる検出値とに偏差が発生するから、前記補正手段により検出信号の値を補正することにより、非接地式刈高さセンサを昇降移動させても、常時正確な刈高さを検出することができるという効果を奏するのである。 【0044】さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記非接触式刈高さセンサを反射式超音波センサにて構成し、前記センサ昇降手段には、超音波の発射及び受信の方向が地面に対して略垂直になるように補正する姿勢補正手段を備えたものである。この発明によれば、刈取前処理装置が所定の回動支点を中心にして昇降すると、当該刈取前処理装置に装着された超音波センサの向きが変化して、刈高さの検出結果に誤差が発生し易いので、上述の姿勢制御により、対地高さ(刈高さ)を正確に検出できると言う効果を奏するのである。 【0045】そして、請求項4に記載の発明のコンバインにおける刈高さ制御装置は、刈取前処理装置を走行機体の前部に対して昇降駆動手段により昇降可能に構成し、前記刈取前処理装置の対地高さを検知する非接触式刈高さセンサの検出信号と、刈高さ設定器による目標刈高さ設定値との比較により前記昇降駆動手段を作動するように構成したコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記刈高さ設定器による目標刈高さ設定値を基準値より高く設定した場合には、前記検出信号による刈高さ検出値が目標刈高さ設定値より高いと判断されても、刈取前処理装置の下降制御を禁止する制御を実行するように構成した制御手段を備えたことを特徴とするものである。 【0046】非接触式刈高さセンサを昇降調節しない場合には、目標設定刈高さ値を基準値より高く設定すると、前記センサの検出信号が不安定になるので、前記刈高さ設定器による目標刈高さ設定値を基準値より高く設定した場合には、前記検出信号による刈高さ検出値が目標刈高さ設定値より高いと判断されても、刈取前処理装置の下降制御を禁止する制御を実行するように構成した制御手段を備える。これにより、前記センサの検出信号によれば刈高さが目標高さより高いと判断されても、実際には刈高さが低く、さらに刈取前処理装置を下降すると、その下端が地面に突っ込み部品を破損させたり、土を刈取り穀稈と共に脱穀装置に持ち込むような不都合を防止することができるのである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006851 【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月17日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】石井 暁夫 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−146717 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)6月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−315429 |
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