| 【発明の名称】 |
コンバインの過負荷防止装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】川渕 博史
【氏名】藤本 俊徳
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| 【要約】 |
【課題】自動的にエンジンへの負荷を解消し、円滑に脱穀作業を続けられるようにしたコンバインの過負荷防止装置を提供する。
【解決手段】共通のエンジン13で、コンバインの走行と脱穀部の動作を行わせ、エンジン出力を静油圧変速機14を介して、走行装置1に伝達するようにしたコンバインであって、エンジン回転数が定格を下廻る基準値以下であり、かつエンジン負荷が基準値以上になった過負荷状態か否かを判定し、過負荷状態では静油圧変速機14の変速制御部16を減速位置に操作し、過負荷状態が解消すると変速制御部16を元の定速位置に戻し操作するようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】共通のエンジンで、コンバインの走行と脱穀部の動作を行わせ、該エンジンの定格出力を最高出力時の回転数を少し越えた回転数に設定し、この定格回転数で作業中に負荷がある程度増減しても定格回転数を維持するように制御しており、このエンジン出力を静油圧変速機を介して、車体走行装置に伝達するようにしたコンバインにおける過負荷防止装置であって、該過負荷防止装置が、エンジン回転数が定格回転数を下廻る基準値以下であり、かつエンジン負荷が基準値以上になった過負荷状態か否かを判定する判定手段を備え、過負荷状態では前記静油圧変速機の変速制御部を減速位置に操作し、過負荷状態が解消すると前記変速制御部を元の定格位置に復帰操作することを特徴とするコンバインの過負荷防止装置。 【請求項2】前記過負荷制御装置が、前記静油圧変速機の変速制御部を減速操作している間と復帰操作している間、モニターランプを点灯させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの過負荷防止装置。 【請求項3】前記静油圧変速機の変速制御部が、コンバインの運転室に設けられた手動変速レバーと別系統の制御系として設けられており、過負荷制御装置による前記変速制御部の操作が手動変速レバーを動作させないことを特徴とする請求項1または2記載のコンバインの過負荷防止装置。 【請求項4】前記過負荷防止装置が、前記減速操作によってコンバインが減速運転状態になったとき、なお過負荷状態か否かを判定する第2判定手段を有し、この第2判定手段によって過負荷と判定されている間、ブザーを鳴動させることを特徴とする請求項1、2または3記載のコンバインの過負荷防止装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの過負荷防止装置に関する。さらに詳しくは、穀稈を刈り取って脱穀し、穀粒を貯蔵する作業を自動で行うコンバインの過負荷防止装置に関する。 【0002】 【従来の技術】コンバインは、走行装置で前進させながら刈取部で次々と穀稈を刈り取っていき、搬送装置で穀稈を脱穀部に送り、脱穀部で脱穀するように構成されている。したがって、コンバインの前進速度が早いと穀稈の刈り取り量が多くなるので、脱穀部での負荷量は増えることになる。 【0003】一方、コンバインは能率よく作業するため、従来より、エンジンを最高出力付近で作動させてコンバインを前進させ脱穀部を駆動させる自動制御が実行されるようになっている。この場合、エンジンは定格回転数を維持するよう自動制御される。 【0004】上記の制御内容をさらに具体的にみると、エンジン出力(馬力またはトルク)の最高出力値を少し越えた回転数を定格回転数として設定しており、この定格出力で作業中、多少は負荷が増減してもエンジンを定格回転数に維持するよう燃料噴射量が制御される。そして、少し位なら負荷が増えて(すなわち、穀稈の量が増えて)、エンジン回転数が落ちても、最大馬力(または最大トルク)で作業を続けられるようになっている。すなわち、定格自動運転である。もちろん、通常よりも穀稈の量が過大に多くなると、エンジンがストップしてしまうので、この場合は、通常コンバイン運転者が手動で車速を下げ、負荷量(穀稈量)を少なくして、過負荷を解消しようとする。このように、手動で過負荷を解消できればよいが、手動操作が間に合わなかったり、余りにも刈り取った穀稈量が多いと、やはりエンジンは停止してしまう。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記のようにエンジンが過負荷でストップすると、コンバイン各部に無理な力がかかり損傷の原因になる。また、過負荷を人手によって解消するのは、面倒でもあり、完全に解消できるものではない。 【0006】本発明はかかる事情に鑑み、定格自動運転中に過大な負荷がかかると自動的にエンジンへの過負荷を解消し、円滑に脱穀作業を続けられるようにしたコンバインの過負荷防止装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】請求項1のコンバインの過負荷防止装置は、共通のエンジンで、コンバインの走行と脱穀部の動作を行わせ、該エンジンの定格出力を最高出力時の回転数を少し越えた回転数に設定し、この定格回転数で作業中に負荷がある程度増減しても定格回転数を維持するように制御しており、このエンジン出力を静油圧変速機を介して、車体走行装置に伝達するようにしたコンバインにおける過負荷防止装置であって、該過負荷防止装置が、エンジン回転数が定格回転数を下廻る基準値以下であり、かつエンジン負荷が基準値以上になった過負荷状態か否かを判定する判定手段を備え、過負荷状態では前記静油圧変速機の変速制御部を減速位置に操作し、過負荷状態が解消すると前記変速制御部を元の定格位置に復帰操作することを特徴とする。請求項2のコンバインの過負荷防止装置は、前記過負荷制御装置が、前記静油圧変速機の変速制御部を減速操作している間と復帰操作している間、モニターランプを点灯させるようにしたことを特徴とする。請求項3のコンバインの過負荷防止装置は、前記静油圧変速機の変速制御部が、コンバインの運転室に設けられた手動変速レバーと別系統の制御系として設けられており、過負荷制御装置による前記変速制御部の操作が手動変速レバーを動作させないことを特徴とする。請求項4のコンバインの過負荷防止装置は、減速操作によってコンバインが減速運転状態になったとき、なお過負荷状態か否かを判定する第2判定手段を有し、この第2判定手段によって過負荷と判定されている間、ブザーを鳴動させることを特徴とする。 【0008】請求項1の発明によれば、エンジン回転数が基準値以下に落ちエンジン負荷が基準値以上になったとき、過負荷制御装置が自動的に過負荷と判定して静油圧変速機の変速制御部を減速位置に操作するので、コンバインの前進速度が遅くなる。このため、穀桿の刈取り搬送量が減るので負荷が減少し、過負荷が解消される。過負荷が解消されると自動的に適正負荷と判断されて静油圧変速機の変速制御部を元の定速位置に戻すので、コンバインの前進速度が早くなる。これにより、定格自動運転が再開される。このようにして、本発明によれば過負荷が自動的に解消されるので、コンバインの損傷を与えたり、人手をわずらわすことなく、能率よく脱穀作業をすることができる。請求項2の発明によれば、過負荷状態にあって減速運転していることをモニターランプの点灯で作業者に知らせることができ、作業者が現状を把握できるという利点がある。請求項3の発明によれば、過負荷状態となり自動的に減速運転しても、静油圧変速機の手動変速レバーには動作が伝わらないので、手動変速レバーが作業者の意図と無関係に動いて作業者を驚かせるといった不自然さが解消される。請求項4の発明によれば、過負荷を解消する自動減速操作を行っても、なお過負荷が解消しないとき、ブザーが鳴るので、運転者はそれによって手動操作で車速を下げると、過負荷を確実に解消することができる。 【0009】 【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態に係る過負荷制御装置のブロック図、図2は過負荷防止制御のフローチャート、図3はコンバインの車速と過負荷制御信号のタイムチャート、図4は本発明が適用されるコンバインの概略側面図、図5は同コンバインの概略平面図、図6は同コンバインの駆動系のブロック図である。 【0010】まず、図4〜6に基づき、本発明が適用されるコンバインの基本構成を説明する。図4〜5において、1はクローラ等の走行装置で、該走行装置1の上面には機台2が取り付けられている。機台2の前方には刈取部3と搬送部4が取り付けられ、機台2の上面にはフィードチェーン5、扱胴6、処理胴7からなる脱穀部、脱穀された殻粒を貯える殻粒タンク8、殻粒タンク8内の殻粒を搬出する排出オーガ9、運転操作部10と運転席11を備える運転キャビン12、コンバインの動力源であるエンジン13などを搭載している。なお、図示しないが、選別部とわら処理部も有している。前記刈取部3は、引起装置3aと刈取装置3bと掻込み装置3cとからなり、搬送部4は、下部搬送部4aと縦搬送部4bと搬送タイン4cを有している。 【0011】図6はコンバインの動力系のブロック図であり、エンジン13の出力は、走行クラッチCL1 を介して静油圧変速機14に伝えられ、静油圧変速機14の2本の主力軸のうち1本は刈取クラッチCL2 を介して刈取部3(引起装置3a、刈取装置3b、掻込み装置3c)および搬送装置4に動力を伝達し、静油圧変速機14の別の1本の出力軸は走行装置1に動力を伝達している。また、エンジン13の出力は脱穀クラッチCL3 を介して扱胴6や処理胴7へ動力が伝達され、さらにクラッチCL4 を介してフィードチェーン5へ、クラッチCL5 を介してオーガ9へ動力が伝達されている。 【0012】上記のように、エンジン13は走行用と脱穀各部の駆動用とが兼用されている。そして、コンバインの前進速度が早いと穀桿を多く刈り取って搬送し、脱穀するので、脱穀負荷が多くなる。また、コンバインの前進速度が遅いと、穀桿の量が少なくなるので、脱穀負荷が少なくなるのである。 【0013】つぎに、過負荷制御装置の詳細を図1〜3に基づき説明する。図1に示すように、前記エンジン13は、定格運転するための専用のエンジンコントローラ21で、最高出力回転数を少し越えた定格回転数(例えば、2800rpm )で回転するように制御されるようになっている。すなわち、コントローラ21の制御信号によって、燃料噴射装置22のラック23の位置を変えることにより、燃料噴射量を変え負荷が多少増減変動しても噴射燃料を増減させて、エンジン回転数を定格付近に維持するようにしている。なお、負荷が、つまり穀桿の量が多少増えた場合、エンジン回転数が多少低下するが、ちょうどその回転数がエンジンの最高出力域になるので、エンジンは簡単にはストップせず、ねばりを発揮して多少多目の穀桿を脱穀することができるのである。24はラック23の位置を検出することによりエンジンの現状負荷率を検知する負荷センサである。25はエンジン13の回転数を検知する回転数センサである。 【0014】前記エンジン13の出力は、既述のごとく静油圧変速機14を介して走行装置1に伝達されるようになっており、静油圧変速機14には、手動操作用の主変速レバー15と自動制御用の変速制御部16が取り付けられている。静油圧変速機14は、エンジン13で駆動されるアキシャルプランジャ型のポンプ14a とこのポンプ14a に油圧回路で接続されたモータ14b からなる公知の無段変速機であり、ポンプ14a の斜板14c の角度を変えるとポンプ14a の吐出量が変わり、モータ14b の出力回転数が変わるようになっている。 【0015】この静油圧変速機14の斜板14c の角度は、斜板14c に固定されたトラニオンレバーを直接揺動させて行ってもよいが、油圧サーボ機構を用いて油圧力を介して斜板14c の角度を変えるようにしてもよい。この場合、油圧サーボ機構を静油圧変速機14に内蔵しておき、油圧サーボ機構の油路を切り換える外部操作可能なレバー等を前記主変速レバーまたは変速制御部16によって切換操作できるように連結し、油圧サーボ機構の出力端を前記トラニオンレバーに連結しておけばよい。このような油圧サーボ機構を内蔵しておくと、斜板14c を非常に軽い操作力で角度変更できるので、とりわけ自動操作が円滑に行えるという利点がある。 【0016】そして本実施形態では、前記主変速レバー15の操作または変速制御部16のいずれかの動作によって、前記斜板14c の角度が変えられるようになっている。すなわち、主変速レバー15の制御系と変速制御部16の制御系は別個独立しており、それぞれ単独で静油圧変速機13の変速制御ができるようになっている。また一方の操作・動きは、他方の動きに影響を与えることはない。なお、主変速レバー15は、図5において運転席11の横に設置され、運転者が左手で操作するようになっている。 【0017】図1において、20はマイクロコンピュータ等を用いたコントローラであり、過負荷制御装置の第1、第2の判定手段と制御信号出力手段を実行する機能実現手段である。このコントローラ20のROMには、過負荷制御のプログラムが格納されており、RAMには各センサからの入力情報等が一時格納される。CPUはROMのプログラムに基づき、RAMに格納した情報を用いて演算し、各制御信号を出力する。また、コントローラ20の入力ポートには、前記負荷センサ24、回転数センサ25、走行装置1に取り付けた車速センサ26の検知信号が入力するようになっており、出力ポートからは、モニターランプ27とブザー27d の駆動回路28と前記静油圧変速機14の変速制御部16の駆動回路29に制御信号が出力するようになっている。 【0018】モニターランプ27は、1個のランプでもよいが例えば色付けされた3種のランプ、すなわち、グリーン27a 、黄色27b 、赤色27c を用いるのが好ましい。そして、グリーン27a は通常運転時に点灯し、黄色27b は定格自動運転時に点灯し、赤色27c は過負荷時に点灯させると、コンバインの各状態がよく判別できるという利点がある。 【0019】つぎに、図2に基づき、本発明の過負荷制御方法を説明する。本実施形態では、エンジン回転数の定格値、すなわち定格自動運転中の回転数が、例えば2800rpm とすると、2700rpm を基準値とし、エンジン負荷率は95%を基準値としている。前記定格自動運転か否かは、前記車速センサ26の検知信号に基づいて判断する。そして、定格自動運転で脱穀作業中に、エンジン回転数が2700rpm を下廻り(ステップ101 )、かつエンジン負荷率が95%を越えると(ステップ102 )、第1判定手段により過負荷状態と判定する。この判断は、エンジン13の負荷センサ24と回転数センサ25の検知信号に基づいて判断する。 【0020】過負荷状態と判断されると、制御信号が出力され(ステップ103 )、静油圧変速機14の変速制御部16を減速位置へ動かし、図3に示すように、例えば、15%車速を低下させる。この場合、図3に示すように、パルス的に制御信号を出力して、段階的に車速を元に戻すと、コンバインにショックを与えないので好ましい。また、この減速操作の間、制御信号によって、赤色の第3ランプ27c は点滅点灯し、より作業者の注意を惹くようにしている。よって、作業者が手動によって車速を下げる操作も可能である。この結果、コンバインは減速走行する状態となる(ステップ104 )。 【0021】このようにして、車速を低下させたことによって負荷が減少し、過負荷状態が解消すると(ステップ105 )、コントローラ20からの制御信号によって静油圧変速機14の変速制御部16を元の定格速度に復帰させる。そして、コンバインは定格自動運転に復帰し(ステップ107 )、モニターランプ27も黄色の第2ランプ27b を点灯させる。なお、ステップ105 の段階で、なお負荷が過大であると第2判定手段により判断されたときは、ブザー27d が鳴動して警告するので(ステップ108 )、このとき運転者が手動操作レバー15を減速方向に操作すればよく、それによって、15%の減速でも解消しえなかった過負荷を解消することができる。 【0022】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、過負荷状態では、自動的にコンバインの前進速度を遅くして過負荷を解消し、過負荷が解消されると自動的にコンバインの前進速度を定格運転に戻し、このようにして、過負荷が自動的に解消され、コンバインの損傷も防止される。請求項2の発明によれば、過負荷状態にあって減速運転していることをモニターランプの点灯で作業者に知らせることができ、作業者が現状を把握できるという利点がある。請求項3の発明によれば、過負荷状態となり自動的に減速運転しても、手動変速レバーが作業者の意図と無関係に動いて作業者を驚かせるといった不自然さが解消される。請求項4の発明によれば、過負荷を解消する自動減速操作を行っても、なお過負荷が解消しないとき、ブザーが鳴るので、運転者はそれによって手動操作で車速を下げると、過負荷を確実に解消することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005164 【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月7日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】山内 康伸
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| 【公開番号】 |
特開平11−137061 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月25日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−322146 |
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