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【発明の名称】 コンバインの水平制御装置
【発明者】 【氏名】山 田 隆 史

【氏名】水 倉 泰 治

【氏名】中 川 渉

【氏名】梶 岡 律 子

【氏名】戸 波 照 喜

【要約】 【課題】機体回向後の刈初め作業を良好に行うことを可能とさせる。

【解決手段】機体の左右傾きの検出に基づいて機体を水平に制御する水平制御手段を備えたコンバインの水平制御装置において、刈取クラッチの入切を作業者の手元で行う手元操作スイッチ(63)(64)を設け、該操作スイッチ(63)(64)による刈取クラッチの切時に水平制御を停止させるように設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の左右傾きの検出に基づいて機体を水平に制御する水平制御手段を備えたコンバインの水平制御装置において、刈取クラッチの入切を作業者の手元で行う手元操作スイッチを設け、該操作スイッチによる刈取クラッチの切時に水平制御を停止させるように設けたことを特徴とするコンバインの水平制御装置。
【請求項2】 機体の左右傾きの検出に基づいて機体を水平に制御する水平制御手段を備えたコンバインの水平制御装置において、車速の一定以上を検出する車速センサと、刈取クラッチの入動作を検出する刈取スイッチと、刈取部に取入れる穀稈を検出する穀稈センサとを設け、車速の一定以上で刈取クラッチが入で穀稈センサが穀稈の非検出時に、水平制御を停止させるように設けたことを特徴とするコンバインの水平制御装置。
【請求項3】 機体の左右傾きの検出に基づいて機体を水平に制御する水平制御手段を備えたコンバインの水平制御装置において、各種作業スイッチの操作で刈取作業の刈初めを検出する刈初め検出手段を設け、刈初め検出時に機体を設定水平姿勢に戻すように設けたことを特徴とするコンバインの水平制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンバイン機体の左右両側をクローラなど走行部に支持高さ調節自在に支持して機体を水平に維持するコンバインの水平制御装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、機体の左右傾きを振り子式の傾斜センサで検出する手段のもので、機体の回向時にも該傾斜センサの検出に基づいて機体の水平制御を行う構成のものにあっては、例えば機体の左回向時に傾斜センサには右外方の遠心力が発生して、機体を左下り姿勢に制御する結果、回向後の刈初め時には刈取部の左下端部が圃場に突込んで損傷するなどの不都合がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、機体の左右傾きの検出に基づいて機体を水平に制御する水平制御手段を備えたコンバインの水平制御装置において、刈取クラッチの入切を作業者の手元で行う手元操作スイッチを設け、該操作スイッチによる刈取クラッチの切時に水平制御を停止させて、例えば左手で操向ハンドルを、右手で走行の変速を行う主変速レバーを操作して機体の旋回を行うものにあって、旋回時にはその都度操向ハンドル或いは主変速レバーから手を離し刈取クラッチレバーを切操作するなどして、水平制御を中断させる手間の煩わしさなく、操向ハンドル或いは主変速レバーに設ける手元操作スイッチによって、ハンドル或いはレバー操作時に手元操作スイッチを同時に操作して、回向後の刈初め時に刈取部を圃場に突っ込ませることのない良好な刈取作業を可能とさせるものである。
【0004】また、機体の左右傾きの検出に基づいて機体を水平に制御する水平制御手段を備えたコンバインの水平制御装置において、車速の一定以上を検出する車速センサと、刈取クラッチの入動作を検出する刈取スイッチと、刈取部に取入れる穀稈を検出する穀稈センサとを設け、車速の一定以上で刈取クラッチが入で穀稈センサが穀稈の非検出時に、水平制御を停止させて、例えば高速で刈取場を刈り抜けて回向するときも、水平制御に伴う機体の傾斜を防止して回向後の良好な刈取作業を可能とさせるものである。
【0005】さらに、機体の左右傾きの検出に基づいて機体を水平に制御する水平制御手段を備えたコンバインの水平制御装置において、各種作業スイッチの操作で刈取作業の刈初めを検出する刈初め検出手段を設け、刈初め検出時に機体を設定水平姿勢に戻して、例えば回向後に刈取下降スイッチや自動刈高さスイッチなどの操作で、刈取部が所定刈高さ位置まで下降して刈初め状態となるときなどには、水平制御による機体の左右傾きを防いで良好な刈取作業を可能とさせるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は制御回路図、図2はコンバインの全体側面図、図3は同平面図であり、図中(1a)(1b)は走行部である左右走行クローラ(2a)(2b)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1a)(1b)に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀部、(8)は刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は刈取フレーム(12)を介して刈取部(8)を昇降させる油圧刈取昇降シリンダ、(13)は排藁チェン(14)終端を臨ませる排藁処理部、(15)は脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(16)を介して搬入する穀物タンク、(17)は前記タンク(15)の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、(18)は操向ハンドル(19b)など運転操作部(19)及び運転席(20)を備える運転キャビン、(21)は運転キャビン(18)下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0007】図4乃至図5に示す如く、左右の前記走行クローラ(2a)(2b)は機台(3)側のミッションケース(22)に取付く駆動スプロケット(23)と、前記トラックフレーム(1a)(1b)に取付く複数のトラックローラ(24)及びイコライザ転輪(25)及び遊動輪(26)とで支持すると共に、前記トラックフレーム(1a)(1b)を前後横枢支軸(27)(28)及び前後ベルクランクリンク(29)(30)を介して上下昇降自在に機台(3)に支持させている。前記クランクリンク(29)(30)は機台(3)下部の前後連結横フレーム(31)(32)に各軸受(33)(34)及び支軸(35)(36)を介して中間をそれぞれ揺動自在に支持させ、前記枢支軸(27)(28)を該リンク(29)(30)の一端側に可回動に支持すると共に、前後クランクリンク(29)(30)の他端側間を軸(37)(38)及びロッド(39)を介し相互に連動連結させ、機台(3)にブラケット(40)を介し基端を枢支する左右の油圧昇降シリンダ(41)(42)のピストンロッド(41a)(42a)先端に前記後クランクリンク(30)の他端を枢軸(43)を介して連結させて、左右走行クローラ(2a)(2b)にそれぞれ備える前記シリンダ(41)(42)のピストンロッド(41a)(42a)を適宜伸縮動作させることにより機台(3)に対し左右のトラックフレーム(1a)(1b)を各別に上下動させて、左右走行クローラ(2a)(2b)による機台(3)の支持高さつまり車高(H)を可変させるように構成している。
【0008】また、前記車高(H)を検出する左右の車高センサ(44a)(44b)を機台(3)に設けるもので、機台(3)のアーム軸(45)に一体揺動自在に第1及び第2揺動アーム(46)(47)の基端を支持させ、第1揺動アーム(46)の先端と前記軸(38)間を第1検出ロッド(48)で連結させると共に、機台(3)のセンサケース(49)内に設置するポテンショメータ(50)のメータアーム(51)と第2揺動アーム(47)の先端間を第2検出ロッド(52)で連結させて、左右昇降シリンダ(41)(42)の伸縮動作でもってクランクリンク(30)が揺動つまり車高(H)が変化するとき、この変化量をポテンショメータ(50)で検出するように構成している。
【0009】図6に示す如く、前記運転操作部(19)の操作パネル(19a)には手動操作により車高及び左右傾斜を調節する十字傾動式の優先手動スイッチ(53)と、走行速度を変速操作する主及び副変速レバー(54)(55)と、脱穀クラッチを入切操作する脱穀クラッチレバー(56)と、機台(3)の基準となる車高(H)を無段階に設定する車高設定ボリュム(57)と、機台(3)の基準となる左右傾斜角を無段階に設定する傾斜角設定ボリュム(58)と、車速など各種表示や設定操作を行う総合表示器(59)などを備えると共に、機台(3)の左右傾斜を検出する静電容量式などの傾斜角センサ(60)と、作業検出手段であるコントローラ(61)を操作パネル(19a)内に備えている。
【0010】また図7に示す如く、前記種変速レバー(54)のノブ(54a)前面に刈取部(8)の上下調節を行う刈取昇降スイッチ(62)を設けると共に、ノブ(54a)の運転席(20)側となる右側面に、刈取クラッチをオン及びオフ(入及び切)操作する刈取クラッチ手元オン及びオフスイッチ(63)(64)とを設けて、主変速レバー(54)を握った状態でこれらスイッチ(62)(63)(64)の手元操作を可能とさせるように構成している。
【0011】そして図1に示す如く、左右車高センサ(44a)(44b)と、傾斜角センサ(60)と、車高設定ボリウム(57)と、傾斜角設定ボリウム(58)と、上昇及び下降スイッチ(62a)(62b)を有する手動刈取昇降スイッチ(62)と、刈取クラッチ手元オン及びオフスイッチ(63)(64)と、刈取クラッチのオン(入)操作を検出する刈取スイッチ(65)と、刈取部(8)の穀稈引起しケースの裏側に取付けて刈取られる穀稈を検出する穀稈センサ(66)と、ミッションケース(22)の走行出力などより車速を検出する車速センサ(67)圃場(地上)面に対する刈刃(9)の支持高さである穀稈刈高さを検出する超音波式刈高さセンサ(68)と、基準刈高さを設定する刈高さセンサ(69)と、刈高さセンサ(69)の検出値に基づいて昇降シリンダ(11)を駆動して刈高さの一定維持制御を行う自動刈高さスイッチ(70)とを、コントローラ(61)に接続させると共に、前記昇降シリンダ(41)(42)を駆動制御する電磁切換弁(71)(72)の上昇及び下降用ソレノイド(71a)(71b)・(72a)(72b)と、前記昇降シリンダ(11)を駆動制御する電磁切換弁(73)の上昇及び下降用ソレノイド(73a)(73b)と、刈取クラッチをオン・オフ動作する刈取クラッチシリンダ(74)の電磁切換弁(75)の入操作ソレノイド(75a)とに前記コントローラ(61)を接続させて、機体の水平制御など行うように構成している。
【0012】而して刈取作業中前記主変速レバー(54)のノブ(54a)を握った状態のままで刈取昇降スイッチ(62)を操作して刈取部(8)を上昇及び下降させると共に、手元オン及びオフスイッチ(63)(64)によって刈取クラッチのオン・オフ(入切)を行うもので、図8に示す如く、刈取部(8)を下降させ、刈取クラッチをオンとさせての刈取作業中にあって、前記傾斜角センサ(60)が機体の左右傾きを検出するとき、前記シリンダ(41)(42)を駆動制御して機体を水平に維持させる水平制御を行うものである。
【0013】そして機体回向位置にあって前記昇降スイッチ(62)によって刈取部(8)を上昇させ、手元オフスイッチ(64)をオン操作するとき、刈取クラッチをオフとさせると同時に、水平制御の作動を停止させて機体を回向させ、機体回向後刈取部(8)を適正刈高さ位置まで下降させ手元オンスイッチ(63)をオン操作するとき、刈取クラッチをオンとさせると同時に、水平制御の作動も再開させるものである。このように刈初め時或いは刈終りに刈取クラッチレバーに握り替えて刈取クラッチをオン・オフ(入切)することなく手元のスイッチ(63)(64)で刈取クラッチのオン・オフ操作が行えると共に、回向時にはオフスイッチ(64)のオン操作(刈取クラッチがオフ)によって水平制御の作動が停止されて、回向後の刈初め時に機体の傾きによって圃場に刈取部(8)が突っ込むなどの事故が防止される。
【0014】また図9に示す如く、刈取クラッチがオン(入)時で、車速が一定以上で、穀稈センサ(66)がオフ(穀稈を検出しない)となる機体が高速で刈取場を刈抜けて回向するときにも、水平制御の作動を停止させ、回向後の車速が一定以下の状態となったとき或いは穀稈センサ(66)が再度オン(穀稈を検出)となるとき、水平制御を再開させるもので、車速によって水平制御の作動及び作動停止を行って、高速回向時における水平制御による機体の傾きを防止すると共に、回向後の刈初め時には水平制御も自動的に再開させる状態とさせて、水平に戻るのが間に合わず刈取部(8)が圃場に突っ込むなどした事故を防いで、高速作業での作業性を向上させるものである。
【0015】図10、図11に示すものは、各種スイッチ(62)(65)(73)(74)(77)やセンサ(66)の入力に基づいて機体の作業状況を判断し、機体の左右水平制御など行うフローチャートを示すもので、手動昇降スイッチ(62)の操作でもって上昇スイッチ(62a)を一定時間継続してオン状態とさせるとき、或いは刈取クラッチのオン状態で上昇スイッチ(62a)がオンされたときの何れかのとき、機体の回向と判断し、また前記昇降スイッチ(62)の操作でもって下降スイッチ(62a)を一定時間以上継続してオンとするとき、或いは刈取クラッチのオン状態で下降スイッチ(62a)がオンされたとき、或いは刈取クラッチのオン状態で自動刈高さスイッチ(70)がオンされたときの何れかのとき、刈初めと判断し、さらに穀稈センサ(66)がオンとなってから一定距離以上走行するとき水平制御に復帰と判断する。
【0016】そして回向と判断したときには水平制御を禁止させ、また刈初めと判断したときには、左右昇降シリンダ(41)(42)で機体の左右を同一設定高さに戻して設定水平姿勢を保持させ、さらに復帰と判断したときには傾斜角センサ(60)の検出に基づき左右昇降シリンダ(41)(42)の駆動を行う通常の水平制御に復帰させて、回向時における傾斜角センサ(60)の誤作動による水平制御を防止するものである。
【0017】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、機体の左右傾きの検出に基づいて機体を水平に制御する水平制御手段を備えたコンバインの水平制御装置において、刈取クラッチの入切を作業者の手元で行う手元操作スイッチ(63)(64)を設け、該操作スイッチ(63)(64)による刈取クラッチの切時に水平制御を停止させるものであるから、例えば左手で操向ハンドル(19a)を、右手で走行の変速を行う主変速レバー(54)を操作して機体の旋回を行うものにあって、旋回時にはその都度操向ハンドル(19a)或いは主変速レバー(54)から手を離し刈取クラッチレバーを切操作するなどして、水平制御を中断させる手間の煩わしさなく、操向ハンドル(19a)或いは主変速レバー(54)に設ける手元操作スイッチ(63)(64)によって、ハンドル(19a)或いはレバー(54)操作時に手元操作スイッチ(63)(64)を同時に操作して、回向後の刈初め時に刈取部を圃場に突っ込ませることのない良好な刈取作業を可能とさせることができるものである。
【0018】また、機体の左右傾きの検出に基づいて機体を水平に制御する水平制御手段を備えたコンバインの水平制御装置において、車速の一定以上を検出する車速センサ(67)と、刈取クラッチの入動作を検出する刈取スイッチ(65)と、刈取部に取入れる穀稈を検出する穀稈センサ(66)とを設け、車速の一定以上で刈取クラッチが入で穀稈センサ(66)が穀稈の非検出時に、水平制御を停止させるものであるから、例えば高速で刈取場を刈り抜けて回向するときも、水平制御に伴う機体の傾斜を防止して回向後の良好な刈取作業を可能とさせることができるものである。
【0019】さらに、機体の左右傾きの検出に基づいて機体を水平に制御する水平制御手段を備えたコンバインの水平制御装置において、各種作業スイッチ(62)(65)(70)の操作で刈取作業の刈初めを検出する刈初め検出手段(61)を設け、刈初め検出時に機体を設定水平姿勢に戻したものであるから、例えば回向後に刈取下降スイッチ(62b)や自動刈高さスイッチ(70)の操作で刈取部(8)が所定刈高さ位置まで下降して刈初め状態となるときなどには、水平制御による機体の左右傾きを防いで良好な刈初め作業を可能とさせることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開平11−137059
【公開日】 平成11年(1999)5月25日
【出願番号】 特願平9−326951