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【発明の名称】 携帯式動力作業機
【発明者】 【氏名】長島 彬

【要約】 【課題】出力操作部材と制動操作部材の誤操作による装置の破損やエネルギーロス等を防止することができ、しかも、操作桿の延び方向に沿ったコンパクトな構成の、携帯式動力作業機を提供する。

【解決手段】操作桿1に設けた制動操作部材59から、制動作用部材駆動力伝達部材55と制動操作連動部材駆動力伝達部材76とを、操作桿1に沿って互いに逆方向へと引き出し、制動操作連動部材71と出力操作連動部材30とに、動力作業部材2が制動状態にあるときに、出力操作部材14,15による前記動力作業部材2への出力制御操作を規制する、出力操作規制部85,86を対にして設けるとともに、前記動力作業部材2が前記原動機3の出力により駆動状態にあるときに、前記制動操作部材59による前記動力作業部材2の制動操作を規制する、制動操作規制部83,84を対にして設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 動力作業部材(2)の操作桿(1)と、前記動力作業部材(2)を駆動する原動機(3)と、前記動力作業部材(2)への前記原動機(3)の出力を制御するための出力操作部材(14,15)と、該出力操作部材(14,15)の操作と互いに連動する出力操作連動部材(30)と、前記動力作業部材(2)の動作を停止せしめる制動作用部材(57)と、前記操作桿(1)を握ったままの手指で操作し得る位置に配設された制動操作部材(59)と、該制動操作部材(59)の操作と互いに連動する制動操作連動部材(71)と、前記制動操作部材(59)から前記操作桿(1)に沿う一方向へと引き出されて前記制動作用部材(57)に作動上連結された制動作用部材駆動力伝達部材(55)と、前記制動操作部材(59)から前記操作桿(1)に沿う他方向へと引き出されて前記制動操作連動部材(71)に作動上連結された制動操作連動部材駆動力伝達部材(76)と、を備え、前記制動操作連動部材(71)と前記出力操作連動部材(30)とに、前記動力作業部材(2)が制動状態にあるときに、互いに当接して前記出力操作部材(14,15)による前記動力作業部材(2)への出力制御操作を規制する、出力操作規制部(85,86)を対にして設けるとともに、前記動力作業部材(2)が前記原動機(3)の出力により駆動状態にあるときに、互いに当接して前記制動操作部材(59)による前記動力作業部材(2)の制動操作を規制する、制動操作規制部(83,84)を対にして設けてなる、携帯式動力作業機。
【請求項2】 前記制動操作部材(59)は、その一端部(66)で枢止されてその他端部側が揺動操作部(63)とされるとともに、その揺動屈曲部(68)に、前記制動作用部材駆動力伝達部材(55)と前記制動操作連動部材駆動力伝達部材(76)とが作動上連結されてなる、請求項1に記載の携帯式動力作業機。
【請求項3】 前記操作桿(1)を握ったままの手指で操作し得る位置に前記出力操作部材(14,15)を配設するとともに、該出力操作部材(14,15)による前記原動機(3)の出力制御量を拡大せしめる出力制御量拡大機構(27)を備えてなる、請求項1または2に記載の携帯式動力作業機。
【請求項4】 前記出力操作部材(14,15)と前記原動機(3)の出力制御部材(12a)とを可撓性連動部材(35)を介して作動上互いに連結し、該可撓性連動部材(35)を折り返し部材(28)に巻き掛け、該折り返し部材(28)を移動させて任意の位置に保持せしめる折り返し部材位置調節機構(38)を設けてなる、請求項1,2または3に記載の携帯式動力作業機。
【請求項5】 前記原動機として内燃エンジン(3)を備えるとともに、前記一対の出力操作規制部(85,86)の間に、前記動力作業部材(2)が制動状態にあるときに、該動力作業部材(2)は動作されないが前記エンジン(3)の始動を円滑にし得る程度に、該エンジン(3)の気化器(12)のスロットルバルブ(12a)を所定量のみ開作動させることができるように、前記出力操作部材(14,15)の動きを許容するエンジン始動補助隙間(S)を設けてなる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の携帯式動力作業機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯式動力作業機に関し、詳しくは、動力作業部材を操作桿で操作しながら作業を行う携帯式動力作業機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】前記の如き携帯式動力作業機の一種として、一本の棒状の操作桿の前端部に支持された動力作業部材としての刈刃を、前記操作桿の後端部に設けた原動機で駆動するようにしてなる携帯式刈払機が知られている。作業者は、前記原動機の出力を制御する出力操作部材を操作して前記刈刃を駆動し、前記操作桿をそれぞれの手で握って前記刈刃を左右に揺動させながら刈払作業を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】こうした従来の刈払機においては、刈払作業を中断または中止しようとするときに、作業者が前記出力操作部材を操作して前記刈刃への前記原動機の出力を停止しても、前記刈刃は、慣性力で動き続けようとする。そこで、該刈刃の動きを必要に応じて急速に停止せしめる制動作用部材を設け、該制動作用部材を制動操作部材により手元で操作できるようにして、安全性を向上せしめた刈払機とすることが考えられる。
【0004】しかしながら、こうした刈払機においては、前記出力操作部材と前記制動操作部材との連係操作を誤ると、装置の破損等につながる場合がある。例えば、前記刈刃が駆動されるように前記出力操作部材を操作したままで、誤って、該刈刃を急速に停止せしめる前記制動操作部材を操作してしまうと、装置の駆動系および制動系に無理がかかり、装置が破損等してしまうほか、エネルギーロスが生ずる等の問題がある。また、前記制動操作部材により前記刈刃を制動操作したままの状態で、誤って、前記出力操作部材を出力増大方向に操作した場合も、同様である。
【0005】こうした問題を解決するためには、出力操作系と制動操作系との間に動作上の機械的関連づけを行い、前記出力操作部材を前記刈刃への出力が停止する方向へ操作した後でなければ、前記制動操作部材の制動操作が不能となるようにするとともに、該制動操作部材を前記制動作用部材による制動作用が解除される方向へ操作した後でなければ、前記出力操作部材による前記刈刃への出力開始操作が不能となるようにするのがよい。
【0006】ただし、この場合、前記刈払機が携帯式であること、および、該刈払機は前記操作桿を揺動させながら作業を行うものであること等、から、その全体構成を、前記操作桿の延び方向に沿ったコンパクトなものとすることが必要不可欠である。
【0007】本発明は、こうした事情に鑑みてなされたもので、動力作業部材の動作を急速に停止せしめることができるとともに、出力操作部材と制動操作部材の誤操作による装置の破損やエネルギーロス等を防止することができ、しかも、操作桿の延び方向に沿ったコンパクトな構成の、携帯式動力作業機を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明に係る携帯式動力作業機は、動力作業部材の操作桿と、前記動力作業部材を駆動する原動機と、前記動力作業部材への前記原動機の出力を制御するための出力操作部材と、該出力操作部材の操作と互いに連動する出力操作連動部材と、前記動力作業部材の動作を停止せしめる制動作用部材と、前記操作桿を握ったままの手指で操作し得る位置に配設された制動操作部材と、該制動操作部材の操作と互いに連動する制動操作連動部材と、前記制動操作部材から前記操作桿に沿う一方向へと引き出されて前記制動作用部材に作動上連結された制動作用部材駆動力伝達部材と、前記制動操作部材から前記操作桿に沿う他方向へと引き出されて前記制動操作連動部材に作動上連結された制動操作連動部材駆動力伝達部材と、を備えている。そして、前記制動操作連動部材と前記出力操作連動部材とに、前記動力作業部材が制動状態にあるときに、互いに当接して前記出力操作部材による前記動力作業部材への出力制御操作を規制する、出力操作規制部を対にして設けるとともに、前記動力作業部材が前記原動機の出力により駆動状態にあるときに、互いに当接して前記制動操作部材による前記動力作業部材の制動操作を規制する、制動操作規制部を対にして設けたものである。
【0009】請求項1に記載の本発明によれば、前記制動操作部材を操作することにより、前記制動作用部材駆動力伝達部材を介して、前記制動作用部材が作動せしめられる。これにより、前記動力作業部材を急速に停止せしめことができるので、安全である。
【0010】しかも、以下の通り、前記出力操作部材と前記制動操作部材の誤操作を生ずる余地がないので、装置の破損やエネルギーロス等の問題がない。
【0011】すなわち、作業者が、前記出力操作部材を出力増大方向に操作すると、前記出力操作連動部材が連動するとともに、前記動力作業部材への前記原動機からの出力が開始される。この状態では、誤って前記制動操作部材を制動方向に操作しようとしても、前記出力操作連動部材と前記制動操作連動部材とに対にして設けられた前記制動操作規制部が互いに当接するので、前記制動操作部材の操作はできず、前記制動作用部材は作動しない。作業者は、該制動操作部材を制動方向へ操作しようとするときには、その前に、前記出力操作部材を出力停止方向に戻す動作を強制される。よって、装置の破損が防止されるほか、無駄な出力がなされることもない。
【0012】一方、作業者が、前記制動操作部材を制動方向に操作すると、前記制動操作連動部材が連動するとともに、前記制動作用部材が作動し、前記動力作業部材が制動される。この状態では、誤って前記出力操作部材を出力増大方向に操作しようとしても、前記出力操作連動部材と前記制動操作連動部材とに対にして設けられた前記出力操作規制部が互いに当接するので、前記出力操作部材の操作はできず、前記動力作業部材への前記原動機の出力が開始されることはない。作業者は、該出力操作部材を出力増大方向へ操作しようとするときには、その前に、前記制動操作部材を制動解除方向に戻す動作を強制される。よって、装置の破損が防止されるほか、無駄な出力がなされることもない。
【0013】また、請求項1に記載の本発明によれば、前記操作桿を握ったままの手指で前記制動操作部材を操作できるので、該制動操作部材の操作に当って前記操作桿の支持が失われることがなく、安全である。
【0014】さらに、前記制動作用部材駆動力伝達部材と、前記制動操作連動部材駆動力伝達部材とを、前記制動操作部材から前記操作桿に沿って互いに逆方向へとそれぞれ引き出すようにしているので、前記操作桿の外方への張り出しを極力小さくして、装置全体を前記操作桿の延び方向に沿ったコンパクトな構成とすることができる。
【0015】請求項2に記載の本発明に係る携帯式動力作業機は、請求項1に記載のものにおいて、前記制動操作部材の一端部を枢止するとともにその他端部側を揺動操作部とし、こうした揺動操作部材の揺動屈曲部に、前記制動作用部材駆動力伝達部材と前記制動操作連動部材駆動力伝達部材とを作動上連結したものである。
【0016】請求項3に記載の本発明に係る携帯式動力作業機は、請求項1または2に記載のものにおいて、前記操作桿を握ったままの手指で操作し得る位置に前記出力操作部材を配設するとともに、該出力操作部材による前記原動機の出力制御量を拡大せしめる出力制御量拡大機構を設けたものである。
【0017】このようにすれば、前記出力操作部材を小さな範囲内で操作しただけで、前記原動機の出力量を大きな範囲に拡大して制御することができるので、装置の小型軽量化が図られ、作業性や操作性も向上する。
【0018】請求項4に記載の本発明に係る携帯式動力作業機は、請求項1,2または3に記載のものにおいて、前記出力操作部材と前記原動機の出力制御部材とを可撓性連動部材を介して作動上互いに連結し、該可撓性連動部材を折り返し部材に巻き掛け、該折り返し部材を移動させて任意の位置に保持せしめる折り返し部材位置調節機構を設けたものである。
【0019】この場合、動滑車として作用する前記折り返し部材を移動させると、その移動量の二倍の長さ分だけ、前記可撓性連動部材を介して、前記原動機の前記出力制御部材が動作される。このように、前記折り返し部材を小さな範囲内で操作しただけで、前記原動機の出力量を大きな範囲に拡大して制御することができるので、この場合にも、装置の小型軽量化が図られ、作業性や操作性も向上する。
【0020】請求項5に記載の本発明に係る携帯式動力作業機は、請求項1乃至4のいずれかに記載のものにおいて、前記原動機として内燃エンジンを備えるとともに、前記一対の出力操作規制部の間に、前記動力作業部材が制動状態にあるときに、該動力作業部材は動作されないが前記エンジンの始動を円滑にし得る程度に、該エンジンの気化器のスロットルバルブを所定量のみ開作動させることができるように、前記出力操作部材の動きを許容するエンジン始動補助隙間を設けたものである。
【0021】この場合において、前記エンジンを始動させるときには、安全のため、前記制動操作部材を操作して、前記動力作業部材を制動状態にしておく。そして、前記エンジン始動補助隙間に対応する範囲内で、必要に応じて、前記出力操作部材を操作して、前記スロットルバルブを開作動せしめる。このようにすれば、前記エンジンを始動させやすくなる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の好適な一実施の形態を説明する。
【0023】図1は、本発明の一実施形態に係る携帯式動力作業機の一例としての刈払機を示す全体概略斜視図である。該刈払機は、前記従来技術の項で述べたものと同様に、前後方向に真っ直ぐに延びた操作桿1の前端部に、動力作業部材としての回転刈刃2を有するとともに、前記操作桿1の後端部に、原動機として、例えば、小型空冷二サイクル内燃エンジン3を備えている。該エンジン3による駆動力は、前記操作桿1内に挿通された伝動軸4を介して、前記刈刃2に伝達される。前記エンジン3と前記伝動軸4との間には、適当な形式の遠心クラッチ5が介装されていて、前記エンジン3の回転速度が所定値を超えたときに、その回転駆動力が前記刈刃2へと出力されるようになっている。
【0024】前記操作桿1の前記エンジン3に近い部分には、吊金具6が取り付けてある。該吊金具6に図示しない肩掛ベルトを掛けることによって、作業者は、前記刈払機を肩掛けで保持することができる。
【0025】また、前記操作桿1上には、それぞれ振動吸収性の良いゴムを主体として用いた、前後二つのグリップ部7,8が配設されている。通常は左手で握られる前記前グリップ部7の近傍には、該前グリップ部7を握ったままの手指で制動解除操作し得る位置に、前記刈刃2を制動操作するためのブレーキレバー装置9が取り付けられている。一方、通常は右手で握られる前記後グリップ部8の近傍には、該後グリップ部8を握ったままの手指で前記エンジン3の増減速操作し得る位置に、スロットルレバー装置10が取り付けられている。
【0026】該スロットルレバー装置10は、図1に示すように、スロットル操作用ボーデンケーブル11を介して、前記エンジン3の出力制御部材である、気化器12のスロットルバルブ12aに作動上連結されている。ここでは、該スロットルバルブ12aが、アイドル回転開度に自動的に戻される方向に常時付勢されていて、それに接続されている前記スロットル操作用ボーデンケーブル11のインナーワイヤ13(図4参照)が、前記スロットルレバー装置10の握り操作により非操作状態から所定長以上引っ張られると、前記インナーワイヤ13の遊びが無くなって、前記スロットルバルブ12aが前記アイドル回転開度から前記エンジン3の増速(出力増大)方向に開き始めるようになっている。
【0027】本実施形態では、図2の全体斜視図に示すように、前記スロットルレバー装置10として、形式の異なる二つのスロットルレバー14,15を備えたものを採用している。これら二つのスロットルレバー14,15は、いずれも、前記スロットルバルブ12aの開閉を制御して、前記刈刃2への前記エンジン3の出力を制御するための出力操作部材である。ここでは、前記一方のメインスロットルレバー14を自動復帰式とし、前記他方のサブスロットルレバー15を、回動操作位置固定式としている。すなわち、前記メインスロットルレバー14は、それを握っていた手を離すと、自動的に、前記スロットルバルブ12aとともに元のアイドル回転開度位置(図2参照)に復帰する形式であり、前記サブスロットルレバー15は、所望の回動操作位置に不動状態で保持し得る形式である。このように、形式の異なる前記二つのスロットルレバー14,15を設けたのは、自動復帰式の前記メインスロットルレバー14を、前記刈刃2への出力レベルにかかわらず、常に前記後グリップ部8と一緒に手指で握りしめて使用することができるようにして、前記スロットルレバー装置10の操作性をよくするとともに、前記刈払機の安全性を高めるためである。
【0028】すなわち、従来、スロットルレバーの形式として、自動復帰式のものと回動操作位置固定式のものとが提案されており、それらのいずれにも、長所と短所とがあった。
【0029】具体的には、前記自動復帰式のレバーによれば、手を離すことにより自動的にエンジンがアイドリング状態へと戻るので安全である、等の長所があるが、その反面、刈払作業中は、前記レバーを常時指で保持して所望の回動操作位置に維持しなければならないので、中間開度で使用する場合に、指が疲れるほか、前記刈刃への出力が一定しない、等の欠点がある。
【0030】一方、前記回動操作位置固定式のレバーによれば、所望の回動操作位置に手放しでも不動状態で保持しておくことができるので、手指が自由となり作業性がよいほか、手指が疲れない、等の利点があるが、その反面、刈刃への出力を停止する場合に、前記レバーに指を掛けてアイドル位置へと戻す操作が必要であるので、不測の事態に対応して即座に前記刈刃への出力を停止させることができず、安全性の面で前記自動復帰式のものに劣る、等の問題があった。
【0031】そこで、本実施形態においては、前記自動復帰式のレバーと前記回動操作位置固定式のレバーとを組み合わせて、それらの長所のみを生かすことにより、操作性が良く安全性も高いスロットルレバー装置としたのである。
【0032】図2に示すように、前記スロットルレバー装置10は、前記メインスロットルレバー14と前記サブスロットルレバー15とを揺動自在に支持するスロットルレバーケース部材16を備えている。該スロットルレバーケース部材16は、前記操作桿1を左右から挟み付けるようにして複数のねじ17で互いに結合せしめられる左側カバーケース18と右側カバーケース19とからなり、前記後グリップ部8の前方にそれと隣接して位置している。前記左側カバーケース18と前記右側カバーケース19は、図3の分解斜視図に示すように、いずれもほぼ角皿状の外観を有していて、装置の軽量化の観点から、それぞれ、例えば合成樹脂等の、比重の比較的小さい材料で作製されている。
【0033】前記メインスロットルレバー14の操作部20は、図2に示すように、前記スロットルレバーケース部材16の後部の下部位置から前記後グリップ部8の下方へと斜め下向きに延び出している。前記メインスロットルレバー14は、前記後グリップ部8から下方へ最も離れた図2のアイドル開度位置に前記操作部20が保持されるように、前記スロットルバルブ12aの戻しばね(図示せず)により常時付勢されている。
【0034】前記後グリップ部8の下部には、前記メインスロットルレバー14の前記操作部20が下から嵌り込むレバー収納用凹溝21が形成されている。作業者が、前記後グリップ部8を前記メインスロットルレバー14の前記操作部20と一緒に握ると、該操作部20は、上方へ回動して前記レバー収納用凹溝21内に嵌り込み、前記後グリップ部8の外形を含む断面ほぼ縦長楕円形の輪郭内に納まるようになっている。このため、握り操作性が良い。
【0035】前記スロットルレバーケース部材16には、前記エンジン3の点火プラグ22(図1参照)への通電を短絡して前記エンジン3を停止させるためのスライド式停止スイッチ23が設けられている。該スイッチ23から延びる図示しない電導コードは、前記スロットルレバーケース部材16の内部から、前記スロットル操作用ボーデンケーブル11とともに、前記後グリップ部8の内部を貫通して、前記エンジン3側へ向けて後方へ引き出されている。
【0036】図3において、前記メインスロットルレバー14は、前記操作部20のほかに、その枢止軸24を相対回動自在に受け入れる筒部25と、該筒部25の部分から前上方へと湾曲して延びたレバー作用部26と、を備えている。該レバー作用部26は、前記操作桿1の外周形状との干渉を避けるように、左右方向へも適宜湾曲した形状にすると、前記スロットルレバー装置10がコンパクトとなり好適である。前記メインスロットルレバー14の前記枢止軸24は、左右方向に水平に延びていて、その左右両外端部を、前記左右のカバーケース18,19に圧入状として支持されている。
【0037】ここでは、前記メインスロットルレバー14の前記操作部20を前記後グリップ部8側へと上向きに回動せしめる操作により、前記スロットル操作用ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13が、出力制御量拡大機構27と折り返し部材としての滑車28とを介して、前記操作桿1の前方へと引っ張られるようになっている。
【0038】前記出力制御量拡大機構27は、前記メインスロットルレバー14および前記サブスロットルレバー15の操作量に対応する前記スロットルバルブ12aの開閉量を拡大せしめるものであり、これを設けたのは、前記メインスロットルレバー14と前記サブスロットルレバー15の回動操作用占有面積を小さくせしめ、前記スロットルレバー装置10をできだけコンパクトにするためである。
【0039】前記出力制御量拡大機構27は、例えば、図4に示すように、上下方向に延びる支軸29で水平揺動自在に支持されたてこ部材30を備えている。該てこ部材30の前記支軸29は、その上下両端部を、前記右側カバーケース19の内側に支持されている(図3参照)。
【0040】図3および図4に示すように、前記てこ部材30の左半身となる長尺側揺動腕31の先端部(左端部)には、前記スロットル操作用ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13の前端部に取り付けられた端金具32が嵌め込まれて係止されている。また、図示してはいないが、前記スロットル操作用ボーデンケーブル11のアウターチューブ33の前端部は、前記スロットルレバーケース部材16に適当な方法で止着されている。
【0041】一方、前記てこ部材30の右半身となる短尺側揺動腕34の先端部(右端部)には、可撓性連動部材としての折り返し用ワイヤ35の一方の端金具36が嵌め込まれて係止されている。そして、前記折り返し用ワイヤ35は、前記滑車28に下から巻き掛けられて前方へと折り返され、その他方の端金具37を、前記メインスロットルレバー14の前記レバー作用部36の先端部に嵌め込まれて係止されている。
【0042】図4に示した前記出力制御量拡大機構27において、前記メインスロットルレバー14の前記操作部20を前記後グリップ部8に向けて上方へ回動操作すると、前記てこ部材30の前記短尺側揺動腕34が前記折り返し用ワイヤ35を介して後方へ向けて引っ張られ、前記てこ部材30は上から見て時計回り方向に回転し、それに伴い、前記てこ部材30の前記長尺側揺動腕31により前記スロットル操作用ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13が前方へ向けて引き出される。この場合、前記てこ部材30のレバー比により、前記メインスロットルレバー14による前記スロットル操作用ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13の引張量が拡大され、前記メインスロットルレバー14による前記スロットルバルブ12aの開閉制御量が拡大される。このため、前記スロットルバルブ12aの開閉制御を前記メインスロットルレバー14の小幅の操作で行うことができ、装置の小型軽量化が図られる。
【0043】また、本実施形態においては、前記滑車28を前記スロットル操作用ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13を引っ張る方向およびこれを緩める方向(前後方向)に強制的に移動させて、任意の調節位置で不動状態に保持する滑車位置調節機構38を設けている。
【0044】該滑車位置調節機構38は、例えば、図5に示すように、前記滑車28を回動自在に支持するとともにそれ自身も揺動自在な揺動体39と、該揺動体39を揺動操作するための前記サブスロットルレバー15と、を備えている。
【0045】前記揺動体39は、前記右側カバーケース19の内部に、左右方向へ延びる軸線Xを中心として前後方向に揺動自在に支持されている。ここでは、前記右側カバーケース19に形成した軸受部40により前記揺動体39の右側軸部41を支持せしめるとともに、前記右側カバーケース19とは別体の中間部材42に形成した軸受部43によって、前記揺動体39の左側軸部44を支持せしめ、前記中間部材42を前記右側カバーケース19に取り付けている。
【0046】前記サブスロットルレバー15は、前記右側カバーケース19から右外方へ突出している前記揺動体39の前記右側軸部41に対して固定されている。図示例では、前記揺動体39の前記右側軸部41の先端部外周にセレーション部45を形成するとともに、それと嵌合するセレーション部46を前記サブスロットルレバー15にも形成し、前記両セレーション部45,46同士を互いに嵌め合わせて、前記サブスロットルレバー15を前記揺動体39に対してねじ47で一体に固定している。
【0047】前記滑車28は、前記揺動体39に形成された滑車収納部48内に収納されている。前記滑車28の支持軸49は、前記揺動体39に圧入支持されていて、該揺動体39の枢支軸線X−Xと平行に、かつ、前記揺動体39の前記枢支軸線X−Xに対してその中心軸線Yを上方へ所定の距離Dだけはずれた位置に偏心せしめて、配置されている。このため、前記サブスロットルレバー15を前後方向に揺動操作することにより、前記滑車28が前後方向へ移動し、前記スロットル操作用ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13の引き操作および戻し操作を行うことができる。
【0048】前記サブスロットルレバー15の上部には、図5に示すように、押ボタン50が上下方向に摺動自在に設けられている。該押ボタン50は、前記サブスロットルレバー15に一体形成された押ボタンスリーブ51内に挿通されていて、該押ボタンスリーブ51内に介装された圧縮コイルばね52によって上方へ常時付勢され、その上端部50aは、前記押ボタンスリーブ51から上方へ突出している。また、前記押ボタン50の下端部は、前記押ボタンスリーブ51から下方へ突出して左側へと屈曲していて、ここには、鋸歯状の可動側歯部53が上向きに一体形成されている。一方、前記右側カバーケース19の上部には、前記可動側歯部53が噛合する鋸歯状の固定側歯部54が下向きに一体形成されている。該固定側歯部54は、図3に示すように、前記サブスロットルレバー15の前記回動軸線X−Xを中心とする円弧を描くように前後方向に向けて形成されている。
【0049】図5に示した前記滑車位置調節機構38において、前記押ボタン50を押圧すると、前記可動側歯部53と前記固定側歯部54との噛合状態が解かれる。そこで、前記押ボタン50を押したままで前記サブスロットルレバー15を後方へ回動操作すると、前記滑車28が前記スロットル操作用ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13を引っ張る方向(前記操作桿1の後方)へと移動する。この状態で、前記押ボタン50の押圧を解除すると、前記可動側歯部53が前記固定側歯部54の新たな位置で該固定側歯部54へと再び噛合し、前記サブスロットルレバー15と前記滑車28とがそのときの回動操作位置にて保持される。
【0050】前記滑車28は動滑車として作用するので、該滑車28を移動させると、その移動量の二倍の長さ分だけ、前記スロットル操作用ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13が引っ張られる。よって、前記出力制御量拡大機構27の作用に加えて一層前記スロットルバルブ12aの開閉制御量が拡大されるので、前記スロットルバルブ12aの開閉制御を前記サブスロットルレバー15の小幅の操作で行うことができ、装置の小型軽量化が図られる。
【0051】次に、前記ブレーキレバー装置9について詳細に説明する。
【0052】図1に示すように、前記ブレーキレバー装置9は、ブレーキ駆動力伝達部材としての制動操作用ボーデンケーブル55を介して、ブレーキ装置56に作動上連結されている。該ブレーキ装置56の形式は任意である。図示例のブレーキ装置56は楔式のものであり、制動作用部材として、前記刈刃2の板面を上方から押圧するように付勢された楔形のブレーキシュー57を備えている。前記制動操作用ボーデンケーブル55のインナーワイヤ58(図6参照)は、前記ブレーキシュー57に与えられた図示しないばねによる制動位置へ向けての付勢力によって、前記刈刃2側へと常時引張付勢されている。そして、前記ブレーキレバー装置9のブレーキレバー59が解放されているとき(図6参照)には、前記ブレーキシュー57が前記刈刃2の上面に当接して該刈刃2が制動状態にあり、作業者が前記前グリップ部7へ添わせるように前記ブレーキレバー59を握ると、前記制動操作用ボーデンケーブル55の前記インナーワイヤ58が前記操作桿1の後方へ引かれて、前記ブレーキシュー57が前記刈刃2の上面から離れた制動解除位置へと退避操作されるようになっている。
【0053】なお、前記制動操作用ボーデンケーブル55は、図1に示すように、前記操作桿1を左右に揺動させながら行う刈払作業の障害とならないように、前記操作桿1にぴったりと添わせて配設されている。
【0054】図6の全体斜視図に示すように、前記ブレーキレバー装置9は、前記ブレーキレバー59を揺動自在に支持するブレーキレバーケース部材60を備えている。該ブレーキレバーケース部材60は、前記操作桿1を左右から挟み付けるようにして互いに結合する左側カバーケース61と右側カバーケース62とからなり、前記前グリップ部7の前方にそれと隣接して位置している。前記左側カバーケース61と前記右側カバーケース62は、図7の分解斜視図に示すように、いずれもほぼ角皿状の外観を有していて、装置の軽量化の観点から、それぞれ、例えば合成樹脂等の、比重の比較的小さい材料で作製されている。
【0055】図6に示すように、前記ブレーキレバー59の操作部63は、前記ブレーキレバーケース部材60の後部の下部位置から前記前グリップ部7の下方へと斜め下向きに延び出している。前記ブレーキレバー59は、前記前グリップ部7から下方へ最も離れた図6の制動時位置に前記操作部63が保持されるように、前記ブレーキシュー57の図示しない前記制動付勢用ばねにより常時付勢されている。
【0056】図7に示すように、前記前グリップ部7の下部には、前記ブレーキレバー59の前記操作部63が下から嵌り込むレバー収納用凹溝64が形成されている。作業者が、前記前グリップ部7を前記ブレーキレバー59の前記操作部63と一緒に握ると、該操作部63は、上方へ回動して前記レバー収納用凹溝64内に嵌り込み、前記前グリップ部7の外形を含む断面ほぼ縦長楕円形の輪郭内に納まるようになっている。このため、握り操作性が良い。
【0057】図7において、前記ブレーキレバー59は、前記操作部63にほかに、その枢止軸65を相対回動自在に受け入れる筒部66と、該筒部66の部分から下向きに延びて前記操作部63へと連続する縦腕部67と、を備えている。すなわち、前記ブレーキレバー59は、横から見てほぼL字状の形状を有していて、その上端部に前記筒部66を備えている。ここでは、前記縦腕部67を、前記操作桿1の外周形状との干渉を避けるように、左右方向へ湾曲せしめ、前記ブレーキレバー装置9をコンパクトにしている。前記ブレーキレバー59の左右方向水平に延びる前記枢止軸65は、前記左右のカバーケース61,62を互いに結合せしめるボルトを兼ねていて、前記左右のカバーケース61,62の上部に挿通されている。
【0058】図7に示すように、前記ブレーキレバー59において、前記操作部63と前記縦腕部67との間の屈曲部68には、前記制動操作用ボーデンケーブル55の前記インナーワイヤ58の後端部に固着された端金具69が嵌め込まれて係止されている。前記制動操作用ボーデンケーブル55は、図8に示すように、そのアウターチューブ82の後端部を前記ブレーキレバーケース部材60に止着され、前記操作桿1に沿って前方へ引き延ばされて、前記ブレーキシュー57(図1参照)に作動上連結されている。
【0059】図1において、前記スロットルレバー装置10から前記スロットルバルブ12aへと至る出力操作系としてのスロットル操作系と、前記ブレーキレバー装置10から前記ブレーキシュー57へと至る制動操作系との間には、次に述べる制御連係機構70が介装されている。
【0060】該制御連係機構70は、図4に示すように、前記メインスロットルレバー14および前記サブスロットルレバー15の回動操作と互いに連動する出力操作連動部材としての前記てこ部材30と、該てこ部材30の前方にそれと近接して配置されて前記ブレーキレバー59の回動操作と互いに連動する制動操作連動部材71と、を備えている。図示例では、前記制御連係機構70の上下の厚みを極力小さくするため、前記てこ部材30と前記制動操作連動部材71とを、互いに同一平面内で回動するように配設している。
【0061】前記てこ部材30は、前記スロットルバルブ12aの開度が前記アイドル回転開度であるときに、図9に示す所定のアイドル回転時姿勢を保持している。そして、作業者が、前記メインスロットルレバー14または前記サブスロットルレバー15を出力増大方向へと回動操作すると、その動作に連動して、前記てこ部材30は、上から見て時計回り方向へと揺動し、例えば図10に示す出力時姿勢となる。
【0062】一方、前記制動操作連動部材71は、図3に示すように、上下方向に延びる支軸72によって、制動操作連動部材収納用ケース73内に、水平回動自在に支持されている。該制動操作連動部材収納用ケース73は、前記スロットルレバーケース部材16の前部に小さく一体形成されていて、前記操作桿1の下に位置している(図2参照)。ここでは、前記制動操作連動部材収納用ケース73を、互いに適合する上側カバーケース74と下側カバーケース75とから形成し、前記上側カバーケース74を前記スロットルレバーケース部材16の前記左側カバーケース18に一体形成するとともに、前記下側カバーケース75を前記スロットルレバーケース部材16の前記右側カバーケース19に一体形成している。
【0063】前記制動操作連動部材71は、図1に示すように、押し引き操作自在な制動操作連動部材駆動用ボーデンケーブル76を介して、前記ブレーキレバー59と作動上互いに連結されている。
【0064】ここでは、図7に示すように、前記ブレーキレバー59の前記屈曲部68に、前記制動操作連動部材駆動用ボーデンケーブル76のインナーワイヤ77の前端部に固着された端金具78を嵌め込んで係止し、前記制動操作連動部材駆動用ボーデンケーブル76を前記操作桿1に沿って後方へと引き延ばして、図3および図4に示すように、前記インナーワイヤ77の後端部に固着された端金具79を、前記制動操作連動部材71の揺動一端部80(揺動右端部)に嵌め込んで係止している。そして、前記制動操作連動部材駆動用ボーデンケーブル76のアウターチューブ81の前端部と後端部とを、前記ブレーキレバーケース部材60と前記制動操作連動部材収納用ケース73とにそれぞれ止着している(図8および図9参照)。
【0065】その結果、図8に想像線で示したように、前記ブレーキレバー59が解放されているとき(前記ブレーキ装置56が作動状態にあるとき)には、前記制動操作連動部材駆動用ボーデンケーブル76の前記インナーワイヤ77が前方へ所定量だけ引っ張られ、これに対応して、前記制動操作連動部材71は、常時、図9に実線で示す所定の制動時姿勢に保持されている。
【0066】そして、図8に実線で示したように、前記ブレーキレバー59の前記操作部63を前記前グリップ部7へ向けて上方へ回動操作すると、前記ブレーキレバー59の前記屈曲部68が後方へと移動するので、前記制動操作用ボーデンケーブル55の前記インナーワイヤ58が前記操作桿1の後方へ引かれて前記ブレーキ装置56が解除されるとともに、前記制動操作連動部材駆動用ボーデンケーブル76の前記インナーワイヤ77が前記アウターチューブ81内で後方へと押し戻される。これにより、前記制動操作連動部材71が、上から見て時計回り方向へと所定角度だけ回動して、図10に示す所定の制動解除時姿勢へと移行する。
【0067】なお、図7および図8に示すように、前記制動操作連動部材駆動用ボーデンケーブル76は、作業の邪魔にならないように、前記前グリップ部7内を貫通して配設されている。
【0068】出力操作連動部材としての前記てこ部材30と前記制動操作連動部材71は、所定のときに互いに当接して相手方の部材の動きを規制することにより、前記ブレーキレバー59の制動方向への操作と、前記メインスロットルレバー14および前記サブスロットルレバー15の出力増大方向への操作とを交互に規制する、制動操作規制部83,84および出力操作規制部85,86をそれぞれ対にして備えている。
【0069】すなわち、該出力操作規制部85,86として、図9に示すように、前記制動操作連動部材71の揺動他端部87(揺動左端部)には、該制動操作連動部材71が前記制動時姿勢にあるときに前記てこ部材30の回動範囲内に位置するとともに前記制動操作連動部材71が前記制動解除時姿勢へと移行することにより前記てこ部材30の回動範囲外へと退避するスロットルレバー動作規制部85を設け、これに対応して、前記てこ部材30の前記長尺側揺動腕31には、前記メインスロットルレバー動作規制部85への当接部86を設けている。このため、前記ブレーキ装置56により前記刈刃2が制動状態にあるときには、誤って前記メインスロットルレバー14または前記サブスロットルレバー15を出力増大方向に移動させようとしても、前記てこ部材30の前記当接部86が前記制動操作連動部材71の前記スロットルレバー動作規制部85に当接するので、前記エンジン3の回転が所定値以上となり前記遠心クラッチ5がつながって前記刈刃2への出力が開始されるほどには、前記スロットルバルブ12aは開かない。
【0070】なお、本実施形態では、図9に示すように、前記出力操作規制部85,86の間に、前記てこ部材30の所定の揺動角度α分だけ、エンジン始動補助隙間Sを設けている。該隙間Sは、前記ブレーキ装置56により前記刈刃2が制動状態にあるときに、該刈刃2は動作されないが、前記エンジン3の始動を円滑にし得る程度に前記スロットルバルブ12aを開作動させることができるように、前記メインスロットルレバー14および前記サブスロットルレバー15の出力増大方向への若干の動きを許容するものである。
【0071】この場合において、前記エンジン3を始動させるときには、前記ブレーキレバー59を解放して、前記刈刃2を制動状態にしておく。そして、前記エンジン始動補助隙間Sに対応する範囲内で、必要に応じて、例えば前記メインスロットルレバー14を出力増大方向に操作して、前記スロットルバルブ12aを開作動せしめる。このようにすれば、前記エンジン3を始動させやすい。
【0072】また、前記制動操作規制部83,84として、図10に示すように、前記てこ部材30には、該てこ部材30が前記出力時姿勢にあるときに前記制動操作連動部材71の回動範囲内に位置するとともに前記てこ部材30が前記アイドル回転時姿勢へと移行することにより前記制動操作連動部材71の回動範囲外へと退避するブレーキレバー動作規制部83を設け、これに対応して、前記制動操作連動部材71には、前記ブレーキレバー動作規制部83への当接部84を設けている。このため、前記遠心クラッチ5がつながって前記刈刃2に出力されるほど前記スロットルバルブ12aが開いた状態にあるときには、作業者が誤って前記ブレーキレバー59だけを解放しても、前記制動操作連動部材71の前記当接部84が前記てこ部材30の前記ブレーキレバー動作規制部83に当接するので、前記ブレーキ装置56が作動するほどには前記ブレーキレバー59は動かない。
【0073】本実施形態のものでは、図6に示すように、前記制動操作連動部材駆動用ボーデンケーブル76と前記制動操作用ボーデンケーブル55とを、いずれも前記ブレーキレバー59に接続し、前記二本のボーデンケーブル55,76を前記ブレーキレバー59から前記操作桿1の延び方向に沿って互いに前後逆方向へと引き出しているので、前記ブレーキレバー装置9を、前記操作桿1の左右外方向への出っ張りの極力小さいコンパクトな形状とすることができる。
【0074】以上のように構成される本実施形態に係る刈払機は、例えば、次のようにして使用する。
【0075】まず、前記エンジン3を始動するときには、作業者は、前記ブレーキレバー59には手を触れず、該ブレーキレバー59を解放状態のままにして、前記ブレーキ装置56を作動させたままにしておく。
【0076】作業者は、必要に応じて、例えば前記メインスロットルレバー14を出力増大方向に動かして、例えば、リコイルスタータ3a(図1参照)による前記エンジン3の始動操作を行う。この場合、前記メインスロットルレバー14は、図9に示す前記エンジン始動補助隙間Sに対応する角度だけ動き、これに対応して前記スロットルバルブ12aが前記アイドル回転開度から更に若干開くので、前記エンジン3を始動させ易くなる。
【0077】前記ブレーキレバー59を解放して前記ブレーキ装置56を作動せしめている状態の下では、前記メインスロットルレバー14および前記サブスロットルレバー15の出力増大方向への操作は、前記出力操作規制部85,86が互いに当接することにより、前記エンジン始動補助隙間Sに対応する範囲内に規制される(図9参照)。このため、作業者が前記メインスロットルレバー14または前記サブスロットルレバー15を出力増大方向に大きく動かそうとしても、該各スロットルレバー14,15は前記隙間S分しか動かず、前記遠心クラッチ5がつながって前記刈刃2への出力が開始されることはない。
【0078】前記エンジン3が始動してアイドリング状態となったら、作業者は、前記肩掛ベルトで前記刈払機を肩に掛け、前記前グリップ7と一緒に前記ブレーキレバー59を握り、前記ブレーキ装置56による前記刈刃2の制動を解除する。これにより、図10に示すように、前記制動操作連動部材71が上から見て時計回り方向へと揺動し、前記出力操作規制部を構成する前記スロットルレバー動作規制部85が退避せしめられるので、はじめて、前記メインスロットルレバー14または前記サブスロットルレバー15の出力増大方向への自由な操作が可能となる。
【0079】そこで、作業者は、図2に示すアイドル回転開度位置にある前記メインスロットルレバー14の前記操作部20を、前記後グリップ部8の前記レバー収納用凹溝21内に嵌り込むまで上方へ回動させる。すると、前記スロットル操作用ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13が、前記出力制御量拡大機構27と前記滑車28とを介して所定長引っ張られ、前記インナーワイヤ13の遊びが無くなって、前記スロットルバルブ12aが開き始める。
【0080】次いで、前記ブレーキレバー59の前記操作部63と前記メインスロットルレバー14の前記操作部20とを前記各グリップ部7,8側へといっぱいまで握ったまま、前記後グリップ部8を握っている手の親指で前記押ボタン50を押圧して、前記刈刃2への出力が所望のレベルとなるように、前記サブスロットルレバー15を、前記操作桿1の例えば後方へと傾動操作する。すると、前記滑車28が後方へと強制的に変位せしめられ、その移動量の二倍の長さ分だけ前記スロットル操作用ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13が引っ張られて、前記スロットルバルブ12aの開度が全開方向へと調節される。
【0081】前記サブスロットルレバー15は、前記可動側刃部53と前記固定側刃部54との噛合により所望の操作位置に不動状態で保持されるので、作業者は、前記サブスロットルレバー15による出力調整が終わったら、該サブスロットルレバー15から手指を離すことができる。よって、作業者の手指の負担が軽減される。作業者は、前記メインスロットルレバー14を常に前記後グリップ部8側へといっぱいに握り込んだ状態で、前記操作桿1を操作して前記刈刃2を左右に揺動させながら、刈払作業を行えばよい。
【0082】以上のようにして前記刈刃2へと出力されている状態の下では、前記てこ部材30は、図10に示す出力時姿勢をとっている。このため、前記ブレーキレバー59のみを解放することによる前記ブレーキ装置56の制動動作は、図10に示すように、前記一対の制動操作規制部83,84が互いに当接することにより規制される。よって、作業者が操作を誤ったり又は必要に迫られる等して、刈払作業中に前記ブレーキレバー59から手を離しても、前記ブレーキ装置56が作用することはなく、前記刈払機の駆動系や制動系に無理がかかることがない。
【0083】刈払作業を一時的に中断するため前記エンジンをアイドリング状態へと戻す場合には、まず、前記メインスロットルレバー14を解放する。すると、前記スロットルバルブ12aの前記アイドル回転開度へ向けての付勢力により、前記スロットル操作系ボーデンケーブル11の前記インナーワイヤ13が前記操作桿1の後方へと引かれて、前記てこ部材30が図9に示す前記アイドル回転時姿勢へと復帰するとともに、前記スロットルバルブ12aが前記アイドル回転開度へと戻り、前記遠心クラッチ5が切れて前記刈刃2への出力が停止する。前記てこ部材30が図9に示した前記アイドル回転時姿勢へと戻ることにより、前記制動操作規制部を構成する前記ブレーキレバー動作規制部83が退避せしめられるので、前記ブレーキレバー59の制動方向への自由な操作が可能となる。そこで、前記ブレーキレバー59を解放すれば、前記ブレーキ装置56が作動して、慣性力による前記刈刃2の回転を急速に停止させることができる。
【0084】前記エンジン3のアイドリング状態から刈払作業を再開する場合には、前記ブレーキレバー59を握って前記ブレーキ装置56による前記刈刃2の制動を解除し、前記メインスロットルレバー14の前記操作部20を、再び前記後グリップ部側へといっぱいまで握る。すると、自動的に、前記サブスロットルレバー15により設定したそれまでの出力と同じレベルのエンジン出力が得られ、それまでと同じ条件で刈払作業を再開することができる。
【出願人】 【識別番号】000141990
【氏名又は名称】株式会社共立
【出願日】 平成9年(1997)11月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
【公開番号】 特開平11−137046
【公開日】 平成11年(1999)5月25日
【出願番号】 特願平9−327120