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【発明の名称】 動力切断手段のカバー
【発明者】 【氏名】赤池 隼一

【氏名】島田 光雄

【要約】 【課題】切断した植物の排出作用を有効に維持しつつ、安全性の向上を図った動力切断手段のカバーを提供する。

【解決手段】動力切断手段9を覆うカバー7であって、その進行方向後部が開放されたカバー本体20と、該カバー本体20の後部開放部21を覆って前記カバー本体20の外方へのみ開くことができるスカート22と、を備え、該スカート22は、前記カバー本体20の前記後部開放部21を覆った状態において、少なくとも、作業者の体の一部37が非意図的に前記後部開放部21から前記カバー本体20内に突入することを阻止し得る程度の剛性を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 動力切断手段(9)を覆うカバー(7)であって、その進行方向後部が開放されたカバー本体(20)と、該カバー本体(20)の後部開放部(21)を覆って前記カバー本体(20)の外方へのみ開くことができるスカート(22)と、を備え、該スカート(22)は、前記カバー本体(20)の前記後部開放部(21)を覆った状態において、少なくとも、作業者の体の一部(37)が非意図的に前記後部開放部(21)から前記カバー本体(20)内に突入することを阻止し得る程度の剛性を有してなる、動力切断手段のカバー。
【請求項2】 前記スカート(22)を、前記カバー本体(20)に、左右方向に延びる軸線(X−X)を中心として回動自在に取り付けてなる、請求項1に記載の動力切断手段のカバー。
【請求項3】 前記スカート(22)の外方への最大開度を規制するストッパ(36)を備えてなる、請求項1または2に記載の動力切断手段のカバー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば草刈機に用いて好適な、動力切断手段のカバーに関するものであり、特に、進行しながら植物を切断する動力切断手段を覆って、切断された植物等の飛散を防止するとともに、前記動力切断手段から作業者を保護する動力切断手段のカバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】草刈機の一種として、地面上を移動自在な機体に動力切断手段としての回転刃を備え、前記機体から後方へ延びたハンドルを作業者が操作して、前記機体を進行させながら、前記回転刃で草刈り作業を行うようにしたものが知られている。
【0003】前記の如き草刈機においては、刈草や小石等の飛散を防止するとともに、前記回転刃から作業者の足先等を保護するため、前記回転刃の周囲を覆うカバーを設けることが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、該カバーには、前記機体の前進にしたがって刈草が後方へ円滑に排出されるように、刈草排出用の開放部を設けることが必要である。
【0005】しかし、該開放部を開放したままの状態にしておくと、安全上好ましくない。かといって、前記刈草排出用開放部を塞いでしまうと、前記カバー内に刈草が渋滞してしまい、前記回転刃による刈払作用が阻害される等の問題がある。
【0006】本発明はこうした事情に鑑みてなされたもので、切断した植物の排出作用を有効に維持しつつ、安全性の向上を図った、動力切断手段のカバーを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明に係る動力切断手段のカバーは、その進行方向後部が開放されたカバー本体と、該カバー本体の後部開放部を覆って前記カバー本体の外方へのみ開くことができるスカートと、を備え、該スカートは、前記カバー本体の前記後部開放部を覆った状態において、少なくとも、作業者の体の一部が非意図的に前記後部開放部から前記カバー本体内に突入することを阻止し得る程度の剛性を有してなる構成としたものである。
【0008】本発明によれば、前記動力切断手段が植物を切断しながら進行するとき、切断された植物は、前記カバー本体の前記後部開放部から相対的に前記スカートを外方へ押し開き、その後方へと自然に排出される。したがって、切断された植物が前記カバー本体内に渋滞し過ぎて前記動力切断手段による切断作用が低下する等の問題はない。
【0009】また、前記作業者の体の一部が非意図的に前記スカートに接触しても、該スカートは、前記カバー本体の内方へは回動せず、しかも、前記所定の剛性を備えているので、前記作業者が損傷する危険はない。
【0010】請求項2に記載の本発明に係る動力切断手段のカバーは、請求項1に記載のものにおいて、前記スカートを、前記カバー本体に、左右方向に延びる軸線を中心として回動自在に取り付けたものである。
【0011】また、請求項3に記載の本発明に係る動力切断手段のカバーは、請求項1または2に記載のものにおいて、前記スカートの外方への最大開度を規制するストッパを設けたものである。このようにすれば、前記スカートが必要以上に開くことが防止され、安全性が一層向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の好適な一実施の形態を説明する。
【0013】本実施形態は、本発明に係る動力切断手段のカバーを、一輪駆動式の自走式草刈機について適用したものである。
【0014】まず、前記草刈機の概要について、図1および図2を参照して説明する。
【0015】図示した自走式草刈機は、主として畦草刈用のものである。この草刈機によれば、畦の上面とその法面とに生えている草を、走行しながら同時に刈り取ることができる。
【0016】前記草刈機の機体1は、基体部分Aと、この基体部分Aを基準として水平状態から適度な角度の間を上下に傾動する傾動部分Bとからなる。この傾動部分Bは、法面刈刃装置を備え、一方、前記基体部分Aは、走行装置と、平面刈刃装置と、これらの装置の操縦装置及び駆動装置と、を備えている。
【0017】前記基体部分Aは、その前部と後部とに、前記走行装置を構成する自由転輪である前輪2と駆動後輪3とをそれぞれ一輪づつ備えている。また、前記基体部分Aの下部には、前記前輪2と前記後輪3との間に、ほぼ水平面内で図1および図2の矢印方向に回転する細長い板状の回転刃4(以下、「平面刈刃」という。)が設けられている。該平面刈刃4は、その下部が開放された、本発明の一実施形態に係る固定カバー6の下方に位置しており、この固定カバー6は、前記基体部分Aの一部を構成している。前記固定カバー6の前部には、前方へ突出せしめてフットガード16が設けられている。
【0018】前記基体部分Aの左右いずれか一側(図示例では前記基体部分Aの進行方向に向って左側)には、前記傾動部分Bを構成する、本発明の一実施形態に係る傾動カバー7が設けられている。この傾動カバー7は、前後方向に延びる枢支軸8を介して、前記基体部分Aの左側部に枢支されている。そして、前記傾動カバー7は、前記基体部分Aに対して水平状態で固定できるとともに、該水平状態と下方への所定の最大傾斜状態(例えば、下向き60°の傾斜状態)との間を自由に上下に傾動できる。必要に応じて、適宜の範囲内で、上方へも傾動できるように設けてもよい。
【0019】前記傾動カバー7の下方にも、図1および図2の矢印方向に回転する細長い板状の回転刃9(以下、「法面刈刃」という。)が設けてある。この法面刈刃9は、前記傾動カバー7の傾動にしたがって傾動し、前記平面刈刃4と協働しての平面刈りのほか、前記畦の法面の草刈りを行う。前記傾動カバー7の前部にも、前方へ突出せしめてフットガード16が設けられている。
【0020】前記傾動カバー7は、自由転輪である補助輪10を備えている。この補助輪10は、前記傾動カバー7の左端前部から前方斜め下方へ延びる補助輪支持腕17の前端部に転動自在に固着されて地面GLに接しており、前記機体1の走行にしたがって転動する。そして、前記補助輪10は、前記法面刈刃9が常に前記法面等の草刈面にほぼ平行に臨むように、草刈面に追従して前記傾動カバー7を変更自在な所定の地上高に保持せしめる作用をする。
【0021】前記基体部分A側には、刈刃駆動源及び走行駆動源として、例えば空冷4サイクルガソリンエンジン11が搭載されている。このエンジン11は、前記後輪3と前記二つの回転刃4,9とを駆動する。前記エンジン11は、前記機体1の操作性を良くするため、前記駆動後輪3の付近に配置されている。
【0022】また、前記基体部分Aには、後方へ左右二股状に延びる機体操作ハンドル12が設けられている。この機体操作ハンドル12には、走行クラッチレバー13,スロットルレバー14,刈刃クラッチレバー15,傾動部分ロック解除レバー50等の操縦装置が設けられている。作業者は、前記機体操作ハンドル12と各種の前記レバー13,14,15,50等とからなる前記操縦装置を操作し、畦上で前記機体1を走行させながら、前記二つの回転刃4,9で畦の上面とこれに連続した下向き傾斜面である法面との草刈りを同時に行うことができる。
【0023】なお、前記傾動カバー7を、前記基体部分Aに対して水平状態で使用すれば、前記二つの回転刃4,9で平面の広幅草刈りを効率的に行うことができる。
【0024】次に、主として図2乃至図4を参照して、本発明の一実施形態に係るカバーについて説明する。前記固定カバー6も前記傾動カバー7も、本発明の一実施形態に係るものであり、本発明の目的を達成するための基本的構成は互いに同一である。そこで、ここでは、前記傾動カバー7を取り上げて、その構成および作用について詳細に説明する。なお、以下の説明中の「左」、「右」は、ここまでと同様に、前記機体1の進行方向を基準としたものである。
【0025】前記傾動カバー7は、動力切断手段としての前記法面刈刃9を覆って、刈草の飛散を防止するとともに、前記法面刈刃9から作業者を保護するものである。
【0026】前記傾動カバー7は、カバー本体20と、該カバー本体20の後部開放部21を覆う蝶番式の揺動スカート22とを備えている。
【0027】前記カバー本体20は薄鋼板よりなり、図2に示すように、薄板状の天井部23と、該天井部23の左右両側にそれぞれ下向きに連設された固定スカート24,25と、を有している。前記天井部23は、その左右両側に、前記法面刈刃9の回転中心を中心とする円弧状の縁部26,27を有するとともに、その前部に、前上りの傾斜部28(図1および図4参照)を備えている。前記左側固定スカート24は、前記天井部23の前記左側円弧状縁部26と前記前上り傾斜部28の左縁部とから下向きに連設されている。
【0028】前記天井部23の前記前上り傾斜部28は、前記左側固定スカート24の前部24aとともに、前記傾動カバー7内への草取り込み口29を画定している。該草取り込み口29には、前記前上り傾斜部28の前縁部28aから、安全用の柔軟なゴム板30を垂下せしめている。
【0029】前記揺動スカート22は前記カバー本体20と同じ材料よりなり、該カバー本体20の前記後部開放部21を覆うように、かつ、前記カバー本体20の外方(後方)へのみ開くことができるように、前記天井部23の後端部23aの上面をストッパとして利用し、前記機体1の左右方向に延びる軸線X−Xを中心として揺動自在に取り付けられている。前記揺動スカート22は、図示例では、自重で垂れ下がることにより、常時は前記カバー本体20の前記後部開放部21を覆っていて、前記カバー本体20の内方から後方へ向けて外力が作用したときにのみ、この外力にしたがってその下部側が後方へ揺動して、前記後部開放部21を所定量だけ開放するようになっている。
【0030】また、前記揺動スカート22は、図3に示すように、その一部22a(左端部)が前記カバー本体20の一部(左端部)20aの上に重なるように配置されていて、これにより、前記揺動スカート22の自重による垂下状態から前記カバー本体20の内方(前方)への揺動が確実に規制されている。
【0031】前記揺動スカート22は、前記カバー本体20の前記後部開放部21を覆った状態において、少なくとも、前記作業者の体の一部37(図4参照)が非意図的に接触したときに、前記カバー本体20内に前記作業者の体の一部37が突入することを阻止し得る程度の剛性を有している。ここでは、前記揺動スカート22の全体を、前記所定の強度を有する薄鋼板で成形しているが、その他、前記所定の強度を有するプラスチック材等で成形してもよい。なお、金属を材料とする場合には、刈草の排出効率向上の観点から、小さな力で後方へと開き易いように、比較的軽量とせしめることが望ましい。
【0032】次に、前記カバー本体20に対する前記揺動スカート22の取付方法について述べると、前記揺動スカート22の枢止軸31は、図3に示すように、その左右両端部を互いに同一構成の支持部材32,32で支持されていて、該各支持部材32は、前記カバー本体20の前記天井部23の後部に、上からねじ33でそれぞれ固着されている。
【0033】前記揺動スカート22は、横長の長方形の板状のスカート本体部34の上部に、前記枢止軸31への取付部として、左右一対の取付用筒部35,35を一体的に備えていて、該左右一対の取付用筒部35,35には、前記枢止軸31が挿通されている。
【0034】また、前記揺動スカート22と前記カバー本体20との間には、互いに当接して前記スカート本体部34の後方への最大開度を規制するストッパが設けられている。図示例では、図3および図4に示すように、前記スカート本体部34に、前記左右一対の取付用筒部35,35の間から前記枢止軸31の下を通って斜め前方へと延びる舌状部36を一体形成している。そして、図4に想像線で示したように、前記スカート本体部34が後方への所定の最大開度θに達したときに、前記舌状部36が前記カバー本体20の前記天井部23の上面に当接して、前記スカート本体部34のそれ以上の上方への揺動が規制されるようになっている。
【0035】なお、前記揺動スカート22の後方への最大開度は、前記傾動カバー7内にたまる刈草の排出効率と、前記機体1を操作する作業者への安全性とを勘案して、適宜に設定すればよい。
【0036】前記傾動カバー7は、次のように作用する。図4に示すように、前記法面刈刃9を回転させながら前記機体1を前進させると、前記傾動カバー7内において、前記法面刈刃9で所定高さに草が刈り払われる。切断されて前記傾動カバー7内に蓄積する刈草は、前記機体1が図4の矢印方向へ前進することにより、相対的に、前記揺動スカート22を後方へ押し開き、前記機体1の前進に応じて、前記傾動カバー7の後方へと次々と排出される。このため、前記傾動カバー7内に、所定許容量以上の刈草が蓄積することはなく、したがって、前記法面刈刃9による刈払効率が低下することはない。
【0037】ところで、前記法面刈刃9の回転中に、前記作業者のつま先37が、誤って、非意図的に前記揺動スカート22に接触しても、該スカート22は、前記カバー本体20の内方へは回動せず、しかも、前記所定の剛性を備えているので、前記作業者のつま先37が前記傾動カバー7内に入り込むことはなく、したがって、前記作業者が損傷する等の危険はない。
【0038】また、本実施形態に係る傾動カバー7によれば、前記ストッパ36によって前記揺動スカート22の後方への最大開度が規制されるので、より一層安全である。
【0039】なお、図1および図2に示した前記固定カバー6も、その後部に、前記と同一の構成の揺動スカート22を備えていて、前記と同様に作用する。
【出願人】 【識別番号】000141990
【氏名又は名称】株式会社共立
【出願日】 平成9年(1997)11月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
【公開番号】 特開平11−137044
【公開日】 平成11年(1999)5月25日
【出願番号】 特願平9−323793