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【発明の名称】 回転刃式草刈機
【発明者】 【氏名】堀 和義

【要約】 【課題】互いに逆方向に回転する2枚の回転刃を使用し、小型で田圃の畦道にも容易に導入でき、作業負担が小さくしかも切断力の大きな草刈機を得る。

【解決手段】斜め上方に延びる手押しハンドルを取り付けたフレーム1と、このフレームの両側に位置する車輪4と、フレームの先端部に軸支した垂直軸まわりに回転する上側回転刃及び下側回転刃とを備え、フレーム1を手押し移動したときの車輪4の回転を駆動源として上側回転刃及び下側回転刃を互いに反対方向に回転させる。フレームの両側の車輪4は、前進方向の回転を車輪軸7に伝達する一方向クラッチ8を備え、前記垂直軸の下端には垂直軸の回転を反転させる遊星歯車装置が設けられている。2枚の回転刃は互いに数の異なる奇数の放射方向の切刃を備え、一方の切刃は回転方向に中凸状であり、他方の切刃は回転方向に中凹状である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 斜め上方に延びる手押しハンドルを取り付けたフレーム(1)と、このフレームの両側に位置する車輪(4) と、フレームの先端部に軸支した垂直方向の軸まわりに回転する上刃(25)及び下刃(18)とを備え、フレーム(1) を手押し移動したときの車輪(4) の回転を駆動源として上刃(25)及び下刃(18)を互いに逆方向に回転させることを特徴とする、回転刃式草刈機。
【請求項2】 フレームの両側に位置する車輪(4) は、フレーム(1) に装着した車輪軸(7) に各回転自在に装着されており、各車輪と車輪軸(7) との間に車輪(4) の前進方向の回転を車輪軸(7) に伝達する一方向クラッチ(8) が設けられており、車輪軸(7) の回転をフレーム前方の垂直軸(12)に伝達する回転伝達手段(6,9,11)を備え、垂直軸(12)の下端には垂直軸の回転を反転させる遊星歯車装置(15)が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の回転刃式草刈機。
【請求項3】 2枚の回転刃(25,18) は互いに数の異なる奇数の放射方向の切刃(26,27) を備え、一方の切刃(27)は回転方向に中凸状であり、他方の切刃(26)は回転方向に中凹状であることを特徴とする、請求項1または2記載の回転刃式草刈機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、互いに逆方向に回転する2枚の回転刃で草を切断する草刈機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】回転刃を用いる草刈機として、エンジン刈払機が広く使用されている。エンジン刈払機は、1枚の回転刃を高速回転させて、鎌で草を刈るようにして草を切断するものである。一方、櫛歯状の固定刃と移動刃とを設けて鋏で草を剪断するように草を切断する装置が、例えば芝刈機などに用いられている。また芝刈機の中には、固定刃と水平軸まわりに回転する螺旋状の刃を備えた回転刃との間で、草を剪断するものもある。エンジン芝刈機は、刃を駆動する動力源としてガソリンエンジンを用いているが、2枚の刃で草を剪断する芝刈機の多くは手押し式で、手押し移動により回転する車輪の回転を駆動源として刃を往復動ないし回転させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】エンジン刈払機は、回転刃を用いているが、草を刈るためには回転刃を高速回転させる必要があり、ガソリンエンジンを搭載した手持ちないし肩掛け式のものであるから、取扱いに注意が必要で重労働であり、高齢者などには作業負担が大きい。回転刃をエンジン駆動する装置で車輪の付いた自走式ないし手押し式の草刈機も提供されているが、装置が大型で、広い公園や河川敷の草刈りには便利であるが、例えば田圃の畦道の草を刈る場合など、装置が大きすぎて現場へ持ち込むことができない。また、エンジン付きの装置は作業時に大きな騒音を発する欠点がある。
【0004】一方、手押し式で車輪の回転により刃を駆動して草を刈る芝刈機などは、芝のような柔らかい草を刈ることはできるが、稲科の雑草のように茎が太くて強靭な雑草を刈ることは困難である。そのため庭先の芝生の手入れ等には適しているが、田圃の畦道に生えた雑草を刈ることはできない。
【0005】田圃の畦の草刈作業は、エンジン刈払機を用いて行うのが普通であるが、農業人口の高齢化に伴い、より軽い作業負担で畦道の除草を行うことができる装置が要望されている。そこでこの発明は、小型で田圃の畦道にも容易に導入でき、作業負担が小さくしかも切断力の大きな草刈機を得ることを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の回転刃式草刈機は、斜め上方に延びる手押しハンドルを取り付けたフレーム1と、このフレームの両側に位置する車輪4と、フレームの先端部に軸支した垂直方向の軸まわりに回転する上刃25及び下刃18とを備え、フレーム1を手押し移動したときの車輪4の回転を駆動源として上刃25及び下刃18を互いに反対方向に回転させることを特徴とするものである。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の回転刃式草刈機において、フレームの両側に位置する車輪4がフレーム1に自由回転可能に装着した車輪軸7に自由回転可能に装着され、各車輪と車輪軸7との間に車輪4の前進方向の回転を車輪軸7に伝達するラチェット等の一方向クラッチ8が設けられており、車輪軸7の回転をフレーム前方の垂直軸12に伝達する回転伝達手段6、9、11を備え、垂直軸12の下端には垂直軸の回転を反転させる遊星歯車装置15が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の回転刃式草刈機において、2枚の回転刃25、18は互いに数の異なる奇数の放射方向の切刃26、27を備え、一方の切刃27は回転方向に中凸状であり、他方の切刃26は回転方向に中凹状であることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】手押し式のフレーム1の先端に、垂直軸まわりに互いに逆方向に回転する2枚の回転刃18、25を設けたこの発明の草刈機は、比較的大きな切刃を回転刃に設けることができ、草を2枚の切刃で両側から挟み込んで剪断作用により切断するので、切断力が強く強靭な稲科の雑草も比較的軽い力で切断できる。特に請求項3に記載した切刃の構造を採用することにより、同時に複数枚の刃が噛み合って回転刃に大きな切断抵抗を生じることがなく、上下の切刃の間に導かれた雑草が切刃の間から逃げるのも防止でき、さらに湾曲した切刃により雑草の茎に斜めに切り込まれるので、より軽い力で雑草の茎を切断することができる。
【0010】そして軽い力で雑草を切断できるようにしたので、手押し式の車輪を駆動源として回転刃を回転させても、畦道に生える程度の雑草であれば、それを切断するための充分な駆動力を得ることができる。フレームに自由回転可能に装架した車輪軸にフレームの両側の車輪をそれぞれ自由回転可能に装着し、各車輪と車輪軸との間に一方向クラッチを設けて車輪軸の回転を回転刃に伝達する構造は、手押し移動中に一方の車輪が浮いたときなど、他方の車輪に掛かる重量に基づく駆動力が回転刃を回転させるから、不整地を走行する場合にも回転刃の駆動力が大きく変動するのを防止できる。
【0011】また、遊星歯車を用いて上刃と下刃との間の逆方向回転を得る構造は、コンパクトかつ簡単な構造で2枚の回転刃を互いに逆方向に駆動できる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1及び図3は、この発明の実施例を示したものである。手押ハンドル28を備えたフレーム1には、支軸2が水平に装着されており、その支軸の両側に外周にタイヤ3を備えた車輪4がそれぞれニードル軸受5で自由回転可能に装着されている。支軸2の略中央には、傘歯車6が固定されている中空の車輪軸7が支軸2にニードル軸受で自由回転自在に設けられている。各車輪の内側と車輪軸7との間には一方向クラッチを構成するラチェット8が設けられている。このラチェット8は各車輪4の前進方向の回転を車輪軸7に伝達し、従って両側の車輪の回転数が異なる場合には、より速く回転する側の車輪の回転力を車輪軸7に伝達する。車輪軸7に固定された傘歯車6と噛み合う傘歯車9がフレームの前方に延びる中間軸11に固定されている。中間軸11は両端の軸受5でフレームに回転自在に軸着されている。
【0013】フレーム1の前端には軸受ブッシュ29が垂直方向に装着されており、軸受ブッシュ29にはニードル軸受5、5で垂直軸12が回転自在に装着されている。垂直軸12の上端には傘歯車13が固定され、前記中間軸11の前端に固定した傘歯車14と噛合している。垂直軸12の下方には遊星歯車装置15の太陽歯車16が固定され、さらにその下方に下刃ブラケット17が固定され、下刃ブラケット17に下側回転刃18が固定されている。
【0014】遊星歯車装置の遊星歯車19は、軸受ブッシュ29に植立した軸ピン21に自由回転可能に軸支されている。遊星歯車19は円周を三等分する位置に配置されている。遊星歯車装置15の外周歯車22は、軸受ブッシュ29に軸受メタル23で回転自在に装着された上刃ホルダ24の内側に形成されており、この上刃ホルダ24の下端に上側回転刃25が固定されている。
【0015】上側回転刃25は図4に示すように、放射方向に円周を七等分する方向に延びる7枚の切刃26を備えており、切刃26は図4に矢印で示す回転刃の回転方向に対して中凹状の円弧切刃となっている。外周側が回転刃の回転方向に進出した中凹状の切刃26は、切刃の間に導入された草が回転刃の外側に逃げるのを防止する。
【0016】下側回転刃18は、図5に示すように、円周を五等分する放射方向に延びる5枚の切刃27を備えており、各切刃は図に矢印で示す回転刃の回転方向に対して先端が後退する方向に斜めに延び、かつその切刃27は中凸状の円弧切刃となっている。先端が後退した中凸状の円弧切刃は、切刃の間に導入された草の茎に斜めに当接して、剪断力をより有効に作用させる。
【0017】上記構成の草刈機は、手押ハンドル28を押してフレームを前進させたとき、両側の車輪4の回転力がフレーム先端の垂直軸12に伝達され、その垂直軸の下端に設けた2枚の回転刃18、25を互いに逆方向に回転させる。図の構造では、下刃が速く回転し上刃はそれより遅く回転する。フレームの前進により2枚の回転刃の切刃の間に導入された雑草は、2枚の切刃によって両側から挟まれて剪断作用により切断される。切刃が共に回転するので、切刃の噛み合う位置が変化し、また湾曲した比較的大きな切刃で剪断作用を付与するため、軽い力で大きな切断力が発揮される。
【0018】また車輪と車輪軸の間に設けた一方向クラッチの作用により、一方の車輪が浮き上がっても、他方の車輪から一方の車輪が浮き上がったことによる支持重量の増加に見合う力の駆動力が回転刃に与えられるので、田圃の畦道のような不整地を走行しながら草刈りを行う場合でも、回転刃に安定した駆動力を与えることができる。
【0019】なお、上下の回転刃の刃数は、図の実施例では7枚と5枚にしたが、9枚と7枚、9枚と5枚など、他の組合せを用いることも可能である。
【0020】
【発明の効果】本発明の回転刃式草刈機によれば、比較的大きな2枚の互いに逆回転する切刃で雑草を両側から挟み込んで剪断作用により切断するので、切断力が強く比較的軽い力で切断できると共に、不整地を走行する場合にも回転刃の駆動力が大きく変動するのを防止できる。
【出願人】 【識別番号】397068849
【氏名又は名称】堀 和義
【出願日】 平成9年(1997)10月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】西 孝雄
【公開番号】 特開平11−127654
【公開日】 平成11年(1999)5月18日
【出願番号】 特願平9−315900