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【発明の名称】 刈払機の安全装置
【発明者】 【氏名】飯倉 貴充

【氏名】川口 暁夫

【要約】 【課題】部品点数を少なくしてコスト上昇を抑制してしかも操作を簡単に行える構成を備えた刈払機の安全装置を提供する。

【解決手段】クラッチケースに軸支された遠心クラッチの回転ドラムの外周面には突部13Bを形成し、クラッチケースには突部13Bと対応する位置に、係合部14Cが突部13Bの回転軌跡Sに対して偏心回転することで係合部材14を回転ドラムの軸方向と平行して摺動可能に設け、係合部材14をクラッチケース内部に向け摺動させることで係合部14Cを偏心回転させて突部13Bの回転軌跡Sから退避させて係合部14Cと突部13Bとの係合を解除し、係合部材をクラッチケースの外方に向け摺動させることで係合部14Cを偏心回転させて突部13Bの回転軌跡S内に進入させて係合部14Cを突部13Bに係合させ、回転ドラムの回転を阻止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刈刃に回転駆動力を断接する遠心クラッチ(9)を備えた刈払機(1)のエンジン始動時に上記刈刃への駆動力の伝達を一時的に阻止する安全装置において、エンジン(7)のクラッチケース(8)に上記遠心クラッチ(9)の回転ドラム(13)を軸支させ、該回転ドラム(13)の外周面には該回転ドラム(13)の外方に突出する突部(13B)を設け、上記クラッチケース(8)には上記突部(13B)と対応する位置に、係合部(14C)が上記突部(13B)の回転軌跡(S)に対して偏心回転することで進退可能な係合部材(14)を上記回転ドラム(13)の軸方向と平行して摺動可能に設け、上記係合部材(14)を上記クラッチケース(8)内部に向け摺動させることで上記係合部(14C)を偏心回転させて上記突部(13B)の回転軌跡(S)から退避させることにより上記係合部(14C)と上記突部(13B)との係合を解除し、上記係合部材(14)を上記クラッチケース(8)の外方に向け摺動させることで上記係合部(14C)を偏心回転させて上記突部(13B)の回転軌跡(S)内に進入させることにより上記係合部(14C)を上記突部(13B)に係合させ、上記回転ドラム(13)の回転を阻止することを特徴とする刈払機の安全装置。
【請求項2】 上記係合部材(14)は、軸方向一端に操作つまみ部(14B)を有する軸部(14A)と、該軸部(14A)の軸方向において上記操作つまみ部(14B)と反対側に位置して軸心位置から偏心した位置に形成されている係合部(14C)とを備え、上記軸部(14A)の外周面には軸方向に平行する溝(14D1)とこの溝(14D1)に連続して周方向に沿った溝(14D2)とを有する平面視形状がL字状の係合溝(14D)が形成され、この係合溝(14D)には、上記クラッチケース(8)に支持されているピン(15)を嵌入させて上記係合部材(14)を軸方向および周方向にガイドさせ、上記操作つまみ部(14B)と上記クラッチケース(8)との間には、上記係合部材(14)を周方向および軸方向に付勢するトルクスプリング(16)を配置したことを特徴とする請求項1記載の刈払機の安全装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、刈払機の安全装置に関し、さらに詳しくは、刈払機の始動時等の非作業時にエンジンの駆動力が不用意に伝達されるのを防止するための安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、刈払機では、小型エンジン側の出力軸と刈刃側の駆動軸との間に遠心クラッチを配置し、小型エンジンの回転数に応じて遠心クラッチによる駆動力の断接を行うようになっている。ところで、刈払機に装備されている小型エンジンを始動する際には、例えば、地面に刈払機を置いた状態でリコイルスタータを用いてクランクシャフトを手動で回転させるようになっているが、始動直後にはエンジンの回転数が急上昇してしまい、結果として、遠心クラッチを介して地面に位置する刈刃が不用意に回転駆動されてしまう虞がある。そこで、従来では、始動時に限ってエンジンの回転上昇による刈刃の回転を阻止する機構が提案されている(例えば、本出願人の先願に係る実用新案登録第2526270号)。
【0003】上記公報には以下の構成が開示されている。すなわち、図5は、上記公報に開示されている構成の一部を示す図であり、同図において、遠心クラッチの従動側をなす回転ドラム221の外周面に突片部からなる係合体222を設ける一方、回転ドラム221の近傍には係合体の回転軌跡中に進退可能なピン251を有する駒体250と、該駒体250に嵌合する操作つまみ240を設け、図6に示すように、前記駒体250は、その外周面に平面視形状が凹字状の溝252が形成されると共にその溝252内に係止ピン272を嵌入させることで凹字状溝252の形状に沿って回転および軸方向の移動に応じてピン251を係合体222の回転軌跡に対して進退させるようになっている。さらに図5において、駒体250は、クラッチケース230の凹部231内に嵌入させてある筒部243内で摺動可能に支持されており、その筒部243内に配置された圧縮バネ293によって上記係合体222の回転軌跡中から離間する習性が付与されていると共に、図6に示すように、トルクバネ290によって上記係止ピン272に対して上記凹字状溝252のうちの周方向の溝部が係合する方向の回転習性が付与されている。トルクバネ290は筒部243に介装されており、その一端が上記クラッチケース230側に係止され、他端がキャップ244に一体化されている係止レバー241(図6参照)に掛け止められている。係止レバー241は、その先端に有する係合片242を、図7に示すように、エンジンが旋回自在に支持されている背負い枠側に配置された不動の係止部材110に対向させてあり、エンジンを旋回させた際に係合片242が係止部材110に衝突することでキャップ244を回転させて操作つまみ240を回転させるようになっている。
【0004】上記構成においては、トルクバネ290による付勢に抗して操作つまみ240を回転させることにより、駒体250に形成されている凹字状溝252とこれに係合する係止ピン272との係合位置が変化して軸方向の溝に係止ピン272が位置し、この状態で操作つまみ240をそのピン251が回転ドラム221の係合体222の回転軌跡中に入り込む方向に押し動かすと再度凹字状溝252のうちの周方向の溝部に係止ピン272が係合することで回転ドラム221の係合体222を衝止した状態を維持してエンジン側の回転に関係なく刈刃側への回転駆動力を断状態に設定することができる。一方、始動後、エンジンの回転が上昇してアイドリング状態になると、エンジンを垂直軸まわりに回転させて不動の係止部材110と係合片242とを衝突させると、操作つまみ240が回転し、これに伴って凹字状溝252と係止ピン272との係合位置がそれまでの位置である周方向の溝部から軸方向の溝部に変化し圧縮バネ293の付勢によって駒体250のピン251が回転ドラム221の係合体222の回転軌跡から外れ、係止ピン272が他方の周方向の溝部に係止されるので、回転ドラム221の回転を許容して遠心クラッチによるエンジンからの回転駆動力を刈刃側に伝達することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記構成には次のような問題がある。すなわち、回転ドラムの回転規制を行うための部品点数がきわめて多く、加工や管理に要するコストが上昇する。特に、操作つまみ240および駒体250の支持構造として、クラッチケース230に形成されている凹部231内に筒部243を配置したうえで駒体250をその筒部243内に挿嵌した構造となっており、凹部231への筒部243および駒体250の挿嵌作業という多くの組付け手順を必要とする。しかも、駒体250には、これの摺動位置を規定するための凹字状溝252が必要となることから加工が面倒である。また、回転ドラム221の係合体222に対するピン251の係合および係合解除は、上記凹字状溝252のうち、周方向の溝252a、252bに係止ピン272を位置させるための操作、つまり、操作つまみ240を回転させてから駒体250の押圧操作が必要となり操作性が悪い。
【0006】本発明の目的は、上記従来の刈払機の安全装置における問題に鑑み、部品点数を少なくしてコスト上昇を抑制してしかも操作を簡単に行える構成を備えた刈払機の安全装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、請求項1記載の発明は、刈刃に回転駆動力を断接する遠心クラッチ(9)を備えた刈払機(1)のエンジン始動時に上記刈刃への駆動力の伝達を一時的に阻止する安全装置において、エンジン(7)のクラッチケース(8)に上記遠心クラッチ(9)の回転ドラム(13)を軸支させ、該回転ドラム(13)の外周面には該回転ドラム(13)の外方に突出する突部(13B)を設け、上記クラッチケース(8)には上記突部(13B)と対応する位置に、係合部(14C)が上記突部(13B)の回転軌跡(S)に対して偏心回転することで進退可能な係合部材(14)を上記回転ドラム(13)の軸方向と平行して摺動可能に設け、上記係合部材(14)を上記クラッチケース(8)内部に向け摺動させることで上記係合部(14C)を偏心回転させて上記突部(13B)の回転軌跡(S)から退避させることにより上記係合部(14C)と上記突部(13B)との係合を解除し、上記係合部材(14)を上記クラッチケース(8)の外方に向け摺動させることで上記係合部(14C)を偏心回転させて上記突部(13B)の回転軌跡(S)内に進入させることにより上記係合部(14C)を上記突部(13B)に係合させ、上記回転ドラム(13)の回転を阻止することを特徴としている。
【0008】請求項2記載の発明は、上記係合部材(14)は、軸方向一端に操作つまみ部(14B)を有する軸部(14A)と、該軸部(14A)の軸方向において上記操作つまみ部(14B)と反対側に位置して軸心位置から偏心した位置に形成されている係合部(14C)とを備え、上記軸部(14A)の外周面には軸方向に平行する溝(14D1)とこの溝(14D1)に連続して周方向に沿った溝(14D2)とを有する平面視形状がL字状の係合溝(14D)が形成され、この係合溝(14D)には、上記クラッチケース(8)に支持されているピン(15)を嵌入させて上記係合部材(14)を軸方向および周方向にガイドさせ、上記操作つまみ部(14B)と上記クラッチケース(8)との間には、上記係合部材(14)を周方向および軸方向に付勢するトルクスプリング(16)を配置したことを特徴としている。
【0009】
【作用】請求項1および2記載の発明では、偏心回転することで突部に対して進退可能な係合部を有する係合部材をクラッチケースの内部に向け摺動させると上記係合部が突部の回転軌跡から退避して上記係合部と上記突部との係合が解除でき、そして係合部材をクラッチケースの外方に向け摺動させると上記係合部が突部の回転軌跡中に進入して上記係合部と上記突部とが係合し、回転ドラムの回転を阻止することができる。特に、上記係合部と突部との係合および係合解除は、L字状の係合溝とピンとの位置関係およびトルクスプリングの付勢を用いた係合部材の回転あるいは摺動のみで設定できるので、多重な操作を要することなく刈刃側の回転阻止および回転可能な状態を簡単に設定することができる。さらに係合部材は、操作つまみを操作することで直接回転あるいは摺動できるようになっているので、回転や摺動の際の伝達機構を要しないですむ。
【0010】
【実施例】以下、図示実施例により本発明の詳細を説明する。図1は、刈払機用エンジンを作業者の背中に背負うようにした背負い式刈払機の側面図であり、同図において背負い式刈払機1は、作業者の背面に当たる背当て2が取り付けられた側面視形状略L字状の背負い枠3を備えている。背負い枠3の下部側には必要箇所に複数のダンパ4が取り付けられ、そのダンパ4の上面には支持筒5が中央に位置する支持板6が支承されている。支持板6には支持筒5が固定され、該支持筒5には、この支持筒5によって回転自在の支持軸7Aが設けられ、該支持軸7Aの上部に固定されている載置板6’にエンジン7が搭載されて固定されている。エンジン7には、その出力部にクラッチケース8が設けられている。
【0011】クラッチケース8には、エンジン7の出力軸側に取り付けられているシュー(図示せず)を備えた出力側機構(図示せず)と、後で詳しく説明するが、エンジンの出力軸の回転数に応じてシューが内周面に当接する回転ドラム13とが備えられており、これら両部材によって遠心クラッチ9を構成している。遠心クラッチ9は、回転ドラム13に連動して刈刃(図示せず)を駆動するためのフレキシブル伝動軸(図示せず)を備え、このフレキシブル伝動軸はクラッチケース側から延長されたフレキシブルシャフト(図示せず)の内部に配置されている。また、エンジン7には、詳細を説明しないが、マフラやリコイルスタータが設けられている。背負い枠3には、エンジン7の上方に一体化されている支持パイプ3Aにより燃料タンク10が設けられており、燃料タンク10は、燃料パイプ11を介してエンジン7に燃料を供給できるようになっている。
【0012】遠心クラッチ9は、その詳細が図2に示されている。図2は、後で詳しく説明する係合部材14に設けられている係合部が回転ドラム13に設けられた突部13Bの回転軌跡から退避して回転ドラム13の回転を許容する状態を示しており、同図において遠心クラッチ9は、軸受け12を介してクラッチケース8により回転自在に支持されている横向きキャップ状の回転ドラム13を備えている。回転ドラム13の外周面には、端板13Aを後述する係合部材14に向け切り起こすことで回転ドラム13の外方に突出するように構成された突部13Bが設けられている。なお、この突部13Bは、別部材を回転ドラム13に固設することにより構成してもよい。クラッチケース8には、その一部に軸方向に沿った長手方向を有する筒状部8Aが形成されており、その筒状部8A内には係合部材14が直接嵌合させてある。
【0013】係合部材14は、クラッチケース8の筒状部8A内で摺動可能な軸14Aを備えており、図3に示すように、その軸部14Aの軸方向一端、つまり、回転ドラム13の突部13Bと対面する端部とは反対側の端部に操作つまみ14Bが、そして軸方向他端、つまり、突部13Bと対面する側の端部には軸心位置から偏心して回転ドラム13の突部13Bの回転軌跡S(図4参照)に対して進退可能な係合部14Cがそれぞれ形成されている。軸部14Aの外周面には、軸方向に平行する溝14D1とこの溝14D1に連続して周方向に沿った溝14D2とを有する平面視形状がL字状の係合溝14Dが形成されており、この係合溝14Dには、図2に示すように、不動部に相当する筒状部8Aに形成されているネジ孔8A1にねじ込まれるピン15の先端が嵌入させてある。ピン15は、係合部材14を軸方向での移動および回転の際のガイド部として用いられるようになっている。
【0014】係合部材14には、図3に示すように、操作つまみ14Bの折り曲げ部14B1と筒状部8Aとの間に各端部が係止されているトルクスプリング16が設けられている。トルクスプリング16は、伸縮方向で係合溝14Dにおける軸方向の溝14D1の末端にピン15を係合させるように係合部材14を軸方向に移動させる習性を備え、また係合溝14Dにおける周方向の溝14D2の末端にピン15を係合させるように係合部材14を回転させる習性を備えている。このため、係合溝14Dにおける軸方向の溝14D1とピン15とが対応した際には、係合部材14が操作つまみ14B側に向け軸方向に移動することができ、また、係合溝14Dにおける周方向の溝14D2にピン15が対応すると係合部材14が周方向の溝14D2の末端にピン15が当接するまで回転して突部13Bの回転軌跡(図4中、符号Sで示す軌跡)内に進入することができる。係合部材14は、通常、ピン15が軸方向の溝14D1に対応している状態を設定されており、このときの係合部14Cは、図4(Aー1)、(Aー2)に示すように、突部13Bの回転軌跡Sから退避した状態とされる。
【0015】本実施例は以上のような構成であるから、係合部材14の軸部14Aにトルクスプリング16を挿嵌したうえでクラッチケース8の筒状部8A内に係合部材14を挿入し、トルクスプリング16の端部を操作つまみ14Bの折り曲げ部14B1と筒状部8Aに係止するとともに、係合部材14の係合溝14Dに対してピン15を係合させることで係合部材14を筒状部8Aに対して摺動可能および回転可能に支持する。
【0016】図4(Aー1)および(Aー2)は、係合部材14の通常状態を示しており、この状態では、トルクスプリング16の付勢によって係合溝14Dにおける周方向の溝14D2の末端にピン15が係合している。係合溝14Dにおける周方向の溝14D2の末端にピン15が係合しているときには、係合部材14の係合部14Cが回転ドラム13の突部13Bの回転軌跡Sから退避した状態となり、回転ドラム13は回転を許容される。回転ドラム13が回転できる際には、遠心クラッチ9が接状態に相当しているので、エンジン7の回転駆動力が刈刃側のフレキシブル伝動軸に伝達されて刈刃が回転する。
【0017】図4(B−1)および(B−2)は、トルクスプリング16の付勢に抗して係合溝14における周方向の溝14D2から軸方向の溝14D1にピン15を係合させる向きに係合部材14を回転させた場合を示しており、この状態では、係合部材14の係合部14Cが回転ドラム13の突部13Bの回転軌跡S中に進入する。一方、係合部材14は、トルクスプリング16の軸方向の付勢により、係合溝14Dにおける軸方向の溝14D1の末端にピン15が係合するように軸方向に移動してクラッチケース8の外方に向け摺動しているので不用意に回転するのが防止される。このため、図4(Cー1)および(C−2)に示すように、係合部材14は、係合溝14Dにおける軸方向の溝14D1の末端にピン15が係合する状態を維持されることになるので、係合部14Cを突部13Bの回転軌跡S中に進入させた状態に維持される。係合部材14の係合部14Cが突部13Bの回転軌跡S中に進入した際には回転ドラム13の回転が阻止されるので、エンジン7の回転駆動力が刈刃側のフレキシブル伝動軸に伝達されない。このため、エンジン7の始動時には、図1において二点鎖線で示すように、係合部材14の操作つまみ14Bを回転させるだけで動力伝達を断状態に設定することができる。
【0018】図4(Cー1)および(C−2)に示したように、係合部材14の係合部14Cを突部13Bの回転軌跡S中に進入させて動力伝達を断状態に維持した状態から接状態に復帰させる際には、図1において二点鎖線で示した状態から実線で示す状態に係合部材14の操作つまみ14Bを復動させる。つまり、図4(C−1)、(C−2)に示すように、係合溝14Dにおける軸方向の溝14D1の末端にピン15が係合している状態からトルクスプリング16の軸方向の付勢に抗して係合部材14を軸方向に押し動かしてクラッチケース8の内部に向け摺動させる。これにより、いままで係合溝14Dにおける軸方向の溝14D1の末端に係合していたピン15は係合溝14Dにおける周方向の溝14D2に対面することになるので、係合部材14がトルクスプリング16の周方向の付勢により回転すると係合溝14Dにおける周方向の溝14D2の末端に係合することになる。この結果、回転ドラム13の回転阻止は、係合部材14をトルクスプリング16の付勢に抗して押し動かすだけの操作によって図4(Aー1)および(Aー2)の状態に設定することができる。なお、本実施例では、係合部材14の回転操作および押圧操作により操作つまみ14Bの向きが異なることを利用して動力伝達の断接状態を判別させるようにすることができる。つまり、図1に示すように、クラッチケース8側で操作つまみ14Bの向きに対応する位置にマーキング(図示されず)等を付記しておくことによりそのマーキングと操作つまみ14Bとの対応関係によって動力伝達の断接状態を表示できるようにする。
【0019】以上のような実施例によれば、トルクスプリング16の軸方向の付勢に抗して係合部材14を軸方向に押し動かし、クラッチケース8の内部に向け係合部材14を摺動させた場合に回転ドラム13の回転阻止が解除されるので、刈払い作業中において、係合部材14に外力が作用して不用意に押し動かされても回転ドラム13の回転が阻止されないようにすることができる。これにより、刈払い作業が中断されるような事態を生じることがないので、作業性を悪化させないようにすることが可能になる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1および2記載の発明によれば、偏心回転することで突部に対して進退可能な係合部を有する係合部材をクラッチケースの内部に向け摺動させると上記係合部が突部の回転軌跡から退避して上記係合部と上記突部との係合が解除でき、そして係合部材をクラッチケースの外方に向け摺動させると上記係合部が突部の回転軌跡中に進入して上記係合部と上記突部とが係合し、回転ドラムの回転を阻止することができる。特に、上記係合部と突部との係合および係合解除は、L字状の係合溝とピンとの位置関係およびトルクスプリングの付勢を用いた係合部材の回転あるいは摺動のみで設定できるので、多重な操作を要することなく刈刃側の回転阻止および回転可能な状態を簡単に設定することができる。さらに係合部材は、操作つまみを操作することで直接回転あるいは摺動できるようになっているので、回転や摺動の際の伝達機構を要しないですむ。これにより、部品点数の低減が可能になるので、加工や管理コストを上昇させないようにすることができる。
【出願人】 【識別番号】000237215
【氏名又は名称】富士ロビン株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月15日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳
【公開番号】 特開平11−113345
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−281913