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【発明の名称】 落花生収穫機
【発明者】 【氏名】塚本 勇吉

【氏名】塚本 和男

【要約】 【課題】収穫する農産物によっては、選別や箱詰めをするだけでなく、堀取った農産物を圃場に残して天日乾燥する必要のものもある。然し乍ら、単に農産物を放置するだけでは、例えば、落花生のように、地中の豆が地上にある葉茎部に覆われることがあって、豆に乾燥のバラツキを生じ易く、また、乾燥に長時間かかるため、品質や作業能率の低下の原因になる。

【解決手段】堀取り装置1によって堀取られた落花生を搬送装置2が搬送し、該搬送装置2によって搬送されてきた落花生を葉茎部が下側に位置し豆が上側に位置する姿勢で圃場に置いていくよう排出する構成とした落花生収穫機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 堀取り装置1によって堀取られた落花生を搬送装置2が搬送し、該搬送装置2によって搬送されてきた落花生を葉茎部が下側に位置し豆が上側に位置する姿勢で圃場に置いていくよう排出する構成の落花生収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、圃場に植生している落花生を収穫する落花生収穫機に関する。
【0002】
【従来の技術】堀取り装置で堀取った農産物を搬送装置により所定場所に搬送し、その後この農産物をコンテナに箱詰めする調整作業を行う収穫機がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、収穫する農産物によっては、選別や箱詰めをするだけでなく、堀取った農産物を圃場に残して天日乾燥する必要のものもある。然し乍ら、単に農産物を放置するだけでは、例えば、落花生のように、地中の豆が地上にある葉茎部に覆われることがあって、豆に乾燥のバラツキを生じ易く、また、乾燥に長時間かかるため、品質や作業能率の低下の原因になる。そのため、収穫機に農産物の品質や作業能率を高める方策を講じる必要がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記課題を解決するものであって、つぎのような技術的手段を講じた。すなわち、堀取り装置1によって堀取られた落花生を搬送装置2が搬送し、該搬送装置2によって搬送されてきた落花生を葉茎部が下側に位置し豆が上側に位置する姿勢で圃場に置いていくよう排出する構成の落花生収穫機とする。
【0005】
【作用】まず、落花生収穫機の駆動源を起動して機体の回転各部を駆動し、機体を移動して作業を開始する。すると、堀取り装置1によって堀取られた落花生は、搬送装置2によって後方に搬送され、葉茎部が下側に位置し地中の豆が上側に位置する姿勢で圃場に排出される。
【0006】
【効果】葉茎部が地面側に位置して豆を支えた状態になるので、豆が日光や風が当たり易くなり、乾燥ムラによる品質の低下の防止及び作業能率の向上を図ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、その構成について説明すると、落花生収穫機3は、機体の前進方向に向かって、左右方向に所定の間隔を置いて配置した走行装置(実施例ではクロ−ラ型であるが、車輪又は車輪とクロ−ラとの組合わせによる構成としてもよい)4を具備する車台5の前部に掘り取り側よりも搬送終端側を後方上方に位置し且つ任意の高さに調節できる昇降手段(実施例では油圧シリンダであるが、電動モ−タでもよい)6によって昇降自在に設けた堀取り搬送装置7と、該堀取り搬送装置7の横方向の一側部に設けた操縦部8と、堀取り搬送装置7の後方に設けた作業部9とを設けている。
【0008】該堀取り搬送装置7は左右方向に所定の間隔を置いて相対向させ、機体の進行方向に長く形成した側枠10の前端部に取付け具(例えばボルト、ナット等、図示せず)により着脱自在に取付けた左右方向に広幅に形成した堀取り装置(実施例では板体の刃)1と、該堀取り装置1の背面近くに搬送始端部を位置し後方に向けて機体の進行方向に長く形成した堀取り装置1と略同等の左右幅を有する搬送装置2と、左右の側枠10から前方に向けて突出したブラケット11に収穫対象畝の長さ方向に沿って機体の移動と共に移動する畝追従装置12とを設けている。
【0009】そして、該搬送装置2は搬送始端部及び搬送終端部の左右両端部にそれぞれ回転可能に設けている輪体13に巻き掛けた無端チェ−ン14に、落花生22に付着している土は落下することができるが落花生22の豆21は落下しない程度の間隙を設けて搬送方向に搬送体15を多数設けたチェ−ンコンベアである。前記畝追従装置12は前後・左右に所定間隔を置いて配置した機枠1を枠組みして畝追従フレ−ム16を構成し、該畝追従フレ−ム16の堀取り装置1よりも前方に位置する部位の左右両端部から下方前方に向けて設けた車輪フレ−ム17の下端部に、収穫対象畝の左右の傾斜部に接すると共に左右一対のキャンバ−角を有し回動可能な車輪18を対向させている。なお、該車輪18は上下調節ハンドル19の操作により上下位置調節でき、さらに車輪フレ−ム17を畝追従フレ−ム16の前機枠に対して横方向に移動することにより左右方向に位置変更自在に構成している。
【0010】また、左右の各側枠10と車輪との間には、側面視において、上下及び前後方向に広幅に形成すると共に、基部を側枠10の前端部に取付け具(ボルト、ナット等)19により着脱自在に取付け、先端上部を横外方に向けて屈曲して車輪18に近づけている葉茎案内板20を配置している。なお、堀取り搬送装置7は図1に示すように、搬送装置2の中間部で上方に折畳できるように構成しており、搬送装置2の搬送始端部、掘取り装置1、車輪18と、茎案内板20等が一体に機体内側に収納できるので、機体の全長を短くでき運搬の利便性を高め得る。
【0011】前記堀取り搬送装置7の搬送終端側には搬送されてくる落花生22の葉茎部23を押さえる葉茎押さえ装置24を設けている。該葉茎押さえ装置24は、平面視において搬送装置2の中心部より左側部と右側部に位置し且つ案内始端部が搬送装置7の搬送中間部に位置し、案内終端部が搬送装置7の搬送終端部に位置する葉茎ガイド25と、葉茎ガイド25の上方に位置して前後方向に間隔を置いて設けた一対の葉茎ガイド支持体26,27とを連結体28を介して一体に構成している。なお、実施例では、葉茎ガイド25を左右一対の棒体で形成したが、左右方向に幅を有する1個または複数個の板でそり状に形成したものでもよい。
【0012】そして、該葉茎ガイド支持体26の左右両端部は、軸心が縦方向で下部に抜け止めピン29を挿通し掘取り搬送装置7の側枠10に取り付けた案内棒30に上下方向に摺動可能に挿通し、葉茎ガイド支持体27の左右両端部は、軸心が縦方向で下部に抜け止めピン29を挿通し掘取り搬送装置7の側枠10に取り付けた案内棒31に上下方向に摺動可能に挿通している。なお、該葉茎ガイド支持体26,27と抜け止めピン29との間には、下側から案内棒30,31に挿通した受け板32と弾機(実施例ではコイルバネだが、ゴム体等弾力性を有するものでもよい)33を介在している。
【0013】34は前記案内棒30,31の上端部に挿通した抜け止めピン、35は抜け止めピン34の下側で案内棒30,31に挿通した受け板であって、該受け板35と葉茎ガイド支持体26,27との間に弾機(実施例ではコイルバネだが、ゴム体等弾力性を有するものでもよい)36を介在している。操縦部8は操作パネル37と座席38を備えており、前側の操作パネル37の右側端部に、機体の前進方向に向かって前側に倒すと堀取り搬送装置7を下降し、後側に倒すと堀取り搬送装置7を上昇し、左側に倒すと機体を左側に旋回し、右側に倒すと機体を右側に旋回する各操作を行い得るパワステレバ−39を設けている。なお、図示していないが、パワステレバ−39の操作により油圧バルブを切り替えて前記動作を行う構成である。
【0014】そして、横側の操作パネル37の前部に、車台5に搭載した原動機40の回転動力により駆動する流体静圧変速機(HST)41や歯車伝動機構等を介して前記走行装置4の速度を変速操作する変速レバ−42を設け、該変速レバ−42の後方に、搬送装置2や後述する選別コンベア43の回転・停止の操作を行う作業クラッチレバ−44、搬送装置2や選別コンベア43の駆動途中部に設けた無段変速機構(図示せず)を作動して回転速度を変速操作する作業変速操作レバ−45等を設けている。46は前記原動機40を起動又は停止を切り替え操作するエンジンスイッチである。
【0015】作業部9は前記搬送装置2の後方に配置し、左右幅が搬送装置2と略同等に設けて収穫物を後方に搬送し得る選別コンベア43を回転可能に設けている。該選別コンベア43の左右両側部に、下端部が選別コンベア43の上部内側にのぞむ斜め案内板47を機体に着脱自在に設けている。なお、実施例では、選別コンベア43をベルト型を実施しているが、ロ−ラ−型や網型でもよい。
【0016】シュ−タ−48は収穫物が落下しない間隔で棒体を左右方向に複数個設けて一体に構成し、案内始端部を前記選別コンベア43の搬送終端部に近接し、案内終端部を後方下方で地面側に近づけている。なお、該シュ−タ−48は機体に着脱(折畳でもよい)自在に設け、しかも案内終端側部を機体側に折り曲げている。なお、該シュ−タ−48は実施例のように固定の案内手段を使用したが、振動を与え、また、駆動する搬送手段(例えばバケットコンベア)により圃場に豆が上側になるように排出する構成としてもよい。
【0017】手摺り49は選別コンベア43を跨ぐように棒体を折り曲げて略水平の水平部51を形成し、さらに両自由端側を下側に折り曲げて下端部を車台5の後部に取付け、一方略水平部の連続部側を上方に折り曲げて形成している。そして、該水平部51は機体の側面視において選別コンベア43の上面よりも高い所に位置している。
【0018】前記座席38は横方向に回動して操作パネル37のパワステレバ−側および選別コンベア側に対向するべく位置変更可能に設け、選別コンベア43を挾んで座席38に対向する位置に第2座席50を設けている。なお、52は機体の回転各部を駆動する伝動機構の一部である。また、実施例では、搬送装置2はをチェ−ンコンベアを使用したが、図6に示すように、落花生22が落下しない程度の網目を有するネットコンベアで、搬送方向の所定間隔置きに左右方向に長い落下防止板53を設けたコンベアでもよい。 つぎに、その落花生の収穫作業について説明する。
【0019】まず、別の作業者は第2座席50の所に位置し、運転者は操縦部8の座席38に座り、駐車ブレ−キペダルを踏み込んでエンジンスイッチ46を入りしてエンジンを起動すると、エンジンから出力された動力は伝動機構を介して機体の回転各部に伝動される。そして、スロットルレバ−を回動してエンジンを所定回転数に選択すると共に、作業レバ−44を入りにし、作業変速操作レバ−45を操作して搬送装置2および選別コンベア43の回転数を選択し、パワステレバ−39を前側または後側に倒して油圧シリンダ6を介して掘取り搬送装置7を昇降し所望の高さにする。
【0020】収穫作業の準備を終えると、駐車ブレ−キペダルの踏み込みを解除し、つづいて変速レバ−42を前側に回動して機体を前進させると共にパワステレバ−39を左側または右側に倒して機体の前進方向を修正し、畝追従装置12に設けた左右一対の車輪18が圃場に埴生している収穫を対象とする落花生22の畝を挾んで移動するように合わせ作業を開始する。このとき、畝の幅と車輪幅が適正でない場合には、車輪フレ−ム17を畝追従フレ−ム16の前機枠に対して横方向に移動して調節し、車輪の高さが適正でない場合には上下調節ハンドル19を操作して適正な高さに調節する。
【0021】すると、機体の移動に関連して、落花生22の葉茎部23の下部は葉茎案内板20によって案内され、一方、地中にある豆は掘取り装置1によって掘り取られる。このとき、葉茎部23が左側または右側、あるいは左右両側に広がっている場合には、左側の葉茎案内板20または右側の葉茎案内板20あるいは左右両側にある葉茎案内板20によって、機体内側に案内されるので、搬送装置2は掘り取った落花生22を一株ずつ円滑に引き継ぎ搬送できる。
【0022】搬送装置2に引き継がれた落花生22は、下側にある大部分の豆21を搬送面に載った姿勢で搬送方向である後部上方に向けて移動し、その後搬送装置2の搬送終端から選別コンベア43に排出されるが、この搬送作業において、落花生が搬送装置2の搬送中間部に運ばれてきたとき、その葉茎部23が葉茎ガイド25に当たって抵抗を受け、一方搬送面に載っている豆21は後方に搬送されるので、落花生22が前倒しの状態、すなわち、豆21が葉茎部23よりも搬送方向側に位置する姿勢(落花生の条件によっては天地返しになることもある)で搬送される。
【0023】搬送装置2が掘り取った落花生22を搬送するとき、落花生22に付着し、あるいは落花生22とともに持ち上げられた土や砂を下方に落下することができるので、作業部9での作業を衛生的に行い得ると共に豆21への付着を防止できる。 作業部9の第2座席50にいる作業者は、落花生22が搬送装置2から排出されるときに先行して移動して来る豆21を掴んで葉茎部23を下側に位置させ選別コンベア43に置く、あるいは、選別コンベア43に落下した場合には、落花生22の豆21を掴んで前記と同様に葉茎部23を下側に位置させて選別コンベア43に置く。この作業において、作業者は機体に振動や横振れが生じても、手摺り49を持つことにより落下せず安全である。
【0024】落花生22を選別コンベア43に置くとき、搬送装置2の搬送終端部では豆21が葉茎部23よりも先行しているので、作業者は落花生22を掴み易い上、豆21を上側に位置させることも楽に簡単にでき、作業能率を高め得る。なお、車輪19が畝に沿った状態にあって、機体が略所定の進路を移動する場合には、座席38を作業部9に向くように変更し、運転者自身が搬送装置2により搬送されてきた落花生を選別コンベア43に置くこともできる。
【0025】そして、葉茎ガイド45は葉茎部23を押さているので、落花生22の揺動、おどり等を防止し、円滑に搬送できる。また、葉茎部23の層厚が増大し上方への負荷が大きくなった場合には、葉茎ガイド45は弾機36の力に坑して上側に移動して通路を広くするので、落花生22の移動が円滑になり、停滞や詰まりを防止し得る。さらに、葉茎ガイド45を支持する葉茎ガイド支持体26,27は前後および左右に設けた案内棒30,31を上下方向に摺動するものであるから、左右あるいは前後にこぜることがなく円滑に上下動し、搬送装置2によって搬送されて来る落花生22の上下の厚みの変動に対する反応速度を速めることができる。
【0026】そして、葉茎ガイド45による葉茎部23の押えを、搬送装置2の搬送中間部から開始しているので、葉茎部23の倒しを向上しながらも、豆21の損傷を防止することができる。その後、選別コンベア43によって後方に搬送された落花生22は、この搬送終端からシュ−タ−48に乗り移って傾斜に沿って滑り落ち、そして、圃場に落下したときは葉茎部23が地面に接地し、豆21が上側に位置する。
【0027】したがって、地中にあった豆21は地面より高い位置にあるので、日光や風当たりがよく、乾燥ムラを防止すると共に豆21の乾燥を速め収穫作業能率を高め得る。また、落花生22を圃場に排出した後に雨が降っても、水は地面側に落下するので、豆21が水に浸漬して湿度が大きくならず乾燥を速くすることができる。
【0028】なお、実施例では、作業者が落花生22をシュ−タ−48に置いたが、圃場に直接置くこともでき、そして、作業者が落花生22の葉茎部23を下側に位置するようにしたが、搬送装置2や選別コンベア43の搬送途時あるいは搬送装置2から選別コンベア43に乗り移る間、または、シュ−タ−48を移動する間に葉茎部23を下側に位置する自動変更装置を設けてもよい。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月3日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−103632
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平9−271461