トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 作物の収穫機
【発明者】 【氏名】伊藤 宰

【氏名】金井 芳秀

【氏名】岡田 幹夫

【氏名】千葉 博之

【氏名】高橋 貞之

【氏名】福留 和章

【要約】 【課題】引抜搬送装置により玉ねぎの茎葉部を挟持して後上方に搬送して玉ねぎを引抜きながら、位置決め搬送装置により引抜き後の玉ねぎの上昇を規制して位置決めすると共に茎葉部の株元を挟持して後方に搬送し、上昇規制した後に茎葉部を上下位置変更調節自在な駆動式カッターで所定長さに切断するようにした収穫機において、切断されて切り離された茎葉部の後処理を良好に行えるようにすると共に、カッターの位置変更軌跡を自由に採ることができるよう考慮する。

【解決手段】カッター54を一端側に取り付けた第1アーム69と、機体側に一端側が左右軸廻りに回動自在に支持されると共に、他端側が第1アーム69の他端側に左右軸廻りに回動自在に枢支連結された第2アーム74とを備え、カッター54を、下方移動させるにしたがって前方移動するように位置変更調節自在とすると共に、前記第1、第2アーム69,74に、駆動源からの動力をカッターに伝達する動力伝達機構77,78を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作物の茎葉部を挟持して後上方に搬送することで作物の鱗茎部又は根部を引き抜く第1の搬送装置と、この第1の搬送装置による挟持部分よりも下側の茎葉部を挟持して後方に搬送する第2の搬送装置とを備え、この第2の搬送装置によって、該第2の搬送装置に対する鱗茎部又は根部の上昇を規制すると共に、この鱗茎部又は根部の上昇規制後に、第1の搬送装置による挟持部分と第2の搬送装置による挟持部分との間で茎葉部を駆動式カッターによって切断するようにした作物の収穫機において、前記カッターを一端側に取り付けた第1アームと、機体側に一端側が左右軸廻りに回動自在に支持されると共に、他端側が第1アームの他端側に左右軸廻りに回動自在に枢支連結された第2アームとを備え、カッターを、下方移動させるにしたがって前方移動するように位置変更調節自在とすると共に、前記第1、第2アームに、駆動源からの動力をカッターに伝達する動力伝達機構を設けたことを特徴とする作物の収穫機。
【請求項2】 カッターが円弧状の軌跡上を移動するようにしたことを特徴とする請求項1記載の作物の収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、玉ねぎ、ニンニク、ショウガ、ユリ等の鱗茎作物、又は、ニンジン、ダイコン、ゴボウ等の根菜作物の収穫機に関し、主として、玉ねぎ収穫機に採用される。
【0002】
【従来の技術】圃場に植生している作物の茎葉部を挟持して後上方に搬送することで鱗茎部を圃場から引き抜く引抜搬送装置と、この引抜搬送装置による挟持部分よりも下側の茎葉部を挟持して後方に搬送する位置決め搬送装置とを備え、前記位置決め搬送装置によって、該搬送装置に対する鱗茎部の上昇を規制すると共に、この鱗茎部の上昇規制後に、引抜搬送装置による挟持部分と位置決め搬送装置による挟持部分との間で茎葉部をカッターで切断するようにした収穫機は、特開平9−32号公報で公知である。
【0003】このものにあっては、切断されて切り離された茎葉部を引抜搬送装置によって挟持されたまま終端まで搬送し、引抜搬送装置の終端部で排出装置によって機体の側方に排出するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の収穫機にあっては、カッターを上下方向に位置変更調節自在として、茎葉部の鱗茎部からの切断位置を自由に変更できるようにしている。このものにあっては、引抜搬送装置は後方に向かうにしたがって上方に移行するように傾斜状に配置され、位置決め搬送装置は引抜搬送装置の下部から後方に延びるように配置され、引抜搬送装置と位置決め搬送装置との間隔は後方に向かうにしたがって漸次大きくなっているので、カッターの上下方向の移動域を大きく採るために、カッターは位置決め搬送装置の終端側に配置されている。
【0005】したがって、このものにおいて、カッターを低い位置に配置した場合、茎葉部は位置決め搬送装置の終端側で切断されるため、茎葉部が比較的短い場合には、切断される前に茎葉部が引抜搬送装置から外れてしまい、切り離された茎葉部がカッターや位置決め搬送装置上に堆積し、トラブルの原因になっている。そこで本発明は、前記問題点に鑑みて、茎葉部の、鱗茎部又は根部からの切断寸法を長く採る場合でも、短く採る場合でも、切断されて切り離された茎葉部の後処理を良好に行えるよう考慮することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明が前記目的を達成するために講じた技術的手段は、作物の茎葉部を挟持して後上方に搬送することで作物の鱗茎部又は根部を引き抜く第1の搬送装置と、この第1の搬送装置による挟持部分よりも下側の茎葉部を挟持して後方に搬送する第2の搬送装置とを備え、この第2の搬送装置によって、該第2の搬送装置に対する鱗茎部又は根部の上昇を規制すると共に、この鱗茎部又は根部の上昇規制後に、第1の搬送装置による挟持部分と第2の搬送装置による挟持部分との間で茎葉部を駆動式カッターによって切断するようにした作物の収穫機において、前記カッターを一端側に取り付けた第1アームと、機体側に一端側が左右軸廻りに回動自在に支持されると共に、他端側が第1アームの他端側に左右軸廻りに回動自在に枢着された第2アームとを備え、カッターを、下方移動させるにしたがって前方移動するように位置変更調節自在とすると共に、前記第1、第2アームに、駆動源からの動力をカッターに伝達する動力伝達機構を設けたことを特徴とする。
【0007】また、カッターが円弧状の軌跡上を移動するようにしたことも特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。全体構成を側面視で示している図2及び平面視で示している図3において、本実施の形態に係る収穫機1は、歩行型の玉ねぎ収穫機を例示しており、畝Aを跨いで畝長手方向に走行(前進・後進)自在であって、機体1Aの左右両側に駆動輪(後輪)2L,2Rを備えているとともに、機体1Aの左右の一方、図示では右側のみにゲージ輪(従動輪,前輪)3を備えている。
【0009】この収穫機1の機体1Aは、その前部から後部にかけて、分草装置4、掻込み装置5、引抜搬送装置(第1の搬送装置)6、位置決め搬送装置(第2の搬送装置)7及び引抜搬送装置6と位置決め搬送装置7間に備えた切断装置8並びに整列排出装置9を配置すると共に、これらを機体フレーム12に取付支持して主構成されている。また、ゲージ輪3の近傍には引き抜きを容易にするため畝Aを膨軟化する左右対のサブソイラ10が備えられている。
【0010】なお、左右一対のサブソイラ10は正背面視L形の直刃であって、引抜搬送装置6の下部近傍側方に位置しており、上部の、左右方向の軸心を中心として往復動して前後に振動することで作物Bの下方位置で畝Aを切削振動し該畝Aを膨軟化しており、引き抜きを助長している。また、ゲージ輪3は、サブソイラ10と分草装置4との中間位置一側方に配置されており、操縦ハンドル51の手元側から屈折部を有する伝動軸52を手元ハンドル53で操作することで高さ調整(ゲージ調整)自在とされている。
【0011】機体フレーム12の後部にはエンジン11が搭載されており、図8に示すように、該エンジン11の出力軸11aは、機体フレーム12に搭載されたミッションケース13内に導入され、該出力軸11aからギヤ伝動機構14を介してミッションケース13内の主軸15に動力が伝動され、この主軸15からベベルギヤ伝動機構16を介してミッションケース13から前方に突出されたPTO軸17に動力が伝動されると共に、巻掛け伝動機構18、変速機構、左右の伝動ケース19L,19R内の巻掛け伝動機構等を介して左右の駆動輪2L,2Rに動力が伝動されるように構成されている。
【0012】左右対の伝動ケース19L,19Rの一方、図では左側の伝動ケース19Lは機枠12の後部に備えている左右方向の拡縮案内機構20および入れ子構造の伸縮伝動筒16等を介して左右方向に伸縮(拡縮)自在であり、畝Aの幅に応じてトレッドが調整可能とされていて、左右一対の駆動輪2L,2Rが畝溝A1上を転動可能である。
【0013】PTO軸17は、機体フレーム12側に支持された伝動ケース22内に入力され、このPTO軸17の動力はクラッチ機構23及びベベルギヤ伝動機構24を介して伝動ケース22内の駆動軸25に断接自在に伝達されるようになっている。また、この駆動軸25からベベルギヤ伝動機構26及び伝動軸27を介して分草装置4に動力が伝達されると共に、ウォーム及びウォームホイールからなるギヤ伝動機構28を介して出力軸29に動力が伝達され、この出力軸29から巻掛け伝動機構等を介して引抜搬送装置6に動力が伝達され、ここから掻込み装置7と位置決め搬送装置7へと動力が伝達され、さらに、位置決め搬送装置7から整列排出装置9へと動力が伝達されるように構成されている。
【0014】分草装置4は、図2乃至図6に示すように、機フレーム12の先端に立設した分草伝動ケース30とこのケース30の上下部に軸支されていて左右軸心廻りで回転するスプロケットホイール31,32と、このホイール31,32に巻掛けている無端チェーン33と、このチェーン33の長手方向に起倒自在として付設されているタイン34と、分草伝動ケース30の下部に備えられていて前方に延伸している分草部材(デバイダ)35等から構成されている。
【0015】分草伝動ケース30は前下り傾斜状で左右方向に間隔をおいて本例では3個が並設されており、畝Aの肩部A2にひとつと作物Bの条間の2つにそれぞれ対応していて、作物Bの左右両側に位置しており、図4の矢示X方向にチェーン33を循環移送(回走)することで、タイン34が前側では上方移動し後側では下方移動するように循環移送され、このタイン34によって、隣の作物条に向かって横たわるように倒伏した茎葉部B1又は畝Aからはみだす(肩部A2を越えて垂れ下がる)ように倒伏した茎葉部B1を、下から掬い上げることで、該茎葉部B1を引っ掛けて、引き上げ、前後方向(主として、前倒し)に整列可能とし、掻込み装置5によって掻込み易いように茎葉部B1の姿勢を整えるようにしていると共に、引き抜く作物Bの茎葉部B1と引き抜かない作物Bの茎葉部B1とを分草する。
【0016】分草装置4における分草部材35は、各分草伝動ケース30の下部近傍から前下り傾斜状に延伸されていてタイン34で掬い上げる準備として左右方向に向っている茎葉部B1を徐々に持上げて分草するようになっている。ここで、各分草部材35は、その基部(ケースに対する取付部)の近傍において二股部35Aとされていて伝動ケース30の下部を左右両側から取囲んでおり、タイン34の掬い上げ開始部に茎葉部B1を分草案内するようにされており、畝Aの肩部A2に対応する分草部材35が他の(畝A上にほぼ接触する)分草部材35よりもその延伸長さが長大とされていて(図4参照)、肩部A2を越えて垂れ下っている茎葉部B1と条間上で倒伏している茎葉部B1を徐々に持ち上げるようになっている。
【0017】また、肩部A2と対応する分草部材35には左右方向外方に張出するとともに側面視で「へ」の字状に折曲形成した分草カバー35Bが備えられていて、該分草カバー35Bはゲージ輪3を上方からほぼ覆うようになっていて、倒伏されていた長大な茎葉部B1が分草部材35で持上げられて再倒伏されたとき、ゲージ輪3で踏込むのを防止している。
【0018】すなわち、分草装置4は、収穫機1を畝Aに沿って走行させるとき、畝Aに横たわっている茎葉部B1を分草部材35で徐々に持上げるとともにタイン34で掬い上げ(払い上げ)することでその茎葉部B1を図3で示すように前後方向に整姿して掻込み装置5で左右から抱き込み状にするのであり、ここに、分草装置4は畝A上において倒伏して複雑に絡み合っている作物Bの茎葉部B1を前後方向に分草整姿して次の掻込み装置5への準備処理をしている。
【0019】ここで、図4で示すように、タイン34は、チェーン33の下側のホイール巻掛け部における下端位置では、畝Aの頂面(上面)と上下方向に符号H1で示す所定間隔があけられており、この間隔H1は、掻込み装置5の下端部と畝Aの頂面との上下方向の間隔H2よりも大とされており、タイン34の外周軌跡の下端部が、後述する掻込み装置5の掻込み爪40の外周軌跡の下端部よりも上方に位置している。
【0020】これによって、タイン34は茎葉部B1を比較的高い位置で引っ掛けるので、茎葉部B1を過度な力で掬い上げるのを少なくしており、タイン34により比較的低い位置から茎葉部B1を引っ掛けて、必要以上に茎葉部B1を引っ掛けすぎ、該タイン34により作物Bを引き抜いてしまうといった事態を極力防止している。
【0021】また、チェーン33の下部のホイール巻掛け部においては、タイン34の周速は掻上げ直線部(図4の前側でタイン34が起立している部位)の周速よりは早いことから、タイン34の軌跡の下端側で茎葉部B1を引っ掛けないように、タイン34の軌跡の下端側の左右両側に分草部材35の作用部分が配置され、分草部材35で徐々に茎葉部B1の絡み合いを解きほぐしタイン34による茎葉部B1の過度の掻上げを防止して作物Bの不測の引き抜きを防止している。
【0022】また、分草装置4のチェーン33は、後述する掻込み装置5の無端回走体38よりも緩速(遅速)で循環移送しており、これによっても、タイン34による茎葉部B1の過度の掻上げを防止して作物Bの不測な引き抜きを防止している。分草装置4のタイン34を循環移送するチェーン33に列設したことにより、長短茎葉部B1が混在していても確実に分草整姿するものとされており、該タイン34は上部の巻回部より反転すると、チェーン33にほぼ沿うように倒伏するものとされており、ここに、分草装置4に後続する掻込み装置5との前後間隔をできるだけ少なくして前後方向に分草整姿された直後の茎葉部B1を左右方向から掻込み得るようにされている。
【0023】掻込み装置5は、図3および図4で示すように上部の駆動プーリー36と下部の従動プーリー37とに亘って無端ベルトで示す無端回走体38を循環移送自在として巻掛けて内蔵している左右対の伝動ケース39L,39Rで構成されていて、無端ベルトで示す無端回走体38には移送方向に対して後退角を有して傾斜して列設されている掻込み爪40を突出して有し、該掻込み爪28の先端が分草装置4における中央の分草ケース30と対応する後方位置において互いに交叉している。
【0024】そして、左右の無端回走体38を図4矢示Y方向に循環移送することで、掻込み爪40が左右方向内方側では上方移動し、外方側では下方移動するように循環移送され、分草装置4によって前後方向に分草整姿されている2条の茎葉部B1を左右から抱込み状に持上げることで直線状に引き伸ばして後続する引抜搬送装置6に対する受継(受け渡し)を円滑かつ確実にしている。
【0025】ここで、分草装置4のタイン34が硬質樹脂製であるのに対し、掻込み装置5の掻込み爪40はゴム等のように軟質弾性材で形成されていて茎葉部B1にソフトタッチし、作物Bの痛みを極力防止している。掻込み装置5の掻込み開始部位(従動プーリー26への巻掛部)において、掻込み爪40の先端は作物Bの茎葉部B1の株元近傍に位置しており、ここに、分草装置4において分草整姿された茎葉部B1の付け根部分から、確実に左右方向にて抱込み得るようにされている。
【0026】引抜搬送装置6は、図2、図3、図6及び図7に示すように、前下がり傾斜状として配置されている左右対の伝動ケース41のそれぞれに、上部の駆動プーリー42と、下部の従動プーリー43とを前方に向かうにしたがって上方に傾斜状とされた軸心廻りに回動自在に軸支して備え、両プーリー42,43にゴムベルトで示す搬送ベルト44L,44Rを図7矢示Z方向に循環移送自在に巻き掛けてなる。
【0027】したがって、この引抜搬送装置6は前部の引き抜き開始部位(従動プーリー43への巻掛け部)より後方に向かうにしたがって上方に移行するように後上がり傾斜状として配置されている。前記掻込み装置5は、前記引抜搬送装置6の後上り傾斜に対して後上り傾斜が大きくされており、該掻込み装置5における前部の掻込み開始部位の近傍に、具体的にはやや上方に、引抜搬送装置6における引き抜き開始部位が近接して配置されている。
【0028】このような構成を採用したことにより、図7で示すように引き始き開始部位のフトコロFが広くされており、搬送ベルト44L,44Rが図7の矢示Z方向に循環移送するときの作用範囲が広くなって確実かつ円滑に茎葉部の挟持とこれに後続する引き抜き作用を確実化しているとともに、掻込み装置5に近接していることから、直線状に伸長された茎葉部B1の外方逃げが防止されている。
【0029】引抜搬送装置6における右側の終端部位の上下には図2、図3及び図6で示すように、スターホイールで例示する茎葉部放出回転体45が備えられており、切断屑である茎葉部を畝A間に投下するようにされている。また、引抜搬送装置6の移送中途まで掻込み装置5の掻込み作用部が位置していることから、長い茎葉部B1の移送中の倒れを防止している。
【0030】引抜搬送装置6の下部(始端側)には位置決め搬送装置7が後方に延びるように備えられている。この位置決め搬送装置7は、図1、図2、図6及び図7で示すように、無端ベルトからなる左右一対の搬送ベルト46L,46Rを備えて構成されていて、前部の受継部位より移送方向後方へ向かってほぼ水平方向に延伸して配置されており、引抜搬送装置6における引き抜き開始部位の近傍に、位置決め搬送装置7の受継開始部位が近接して配置されている。
【0031】左右一対の搬送ベルト46L,46Rのそれぞれは、図7に示すように、上下方向の軸心廻りに回動自在な駆動プーリー47L,47Rと従動プーリー48L,38R、テンションプーリー49L,49R及びガイドプーリー50L,50Rに図7矢示Q方向に循環移送自在に巻き掛けられており、駆動プーリー47L,47Rが図7の矢示Q方向に回転駆動することにより、作物Bを後方に移送可能であり、その移送中途において茎葉部B1を所定長さを残して切断装置8によって切断可能とされている。
【0032】すなわち、前記構成のものにあっては、掻込み装置5でほぼ直線状に伸長されている茎葉部B1を引抜搬送装置6の左右搬送ベルト44L,44Rによって挟みつけて後方に移送するとき、該ベルト44L,44Rが後上り傾斜であることから、2条の作物Bは畝Aから徐々に引き抜かれる。そして、引き抜き開始後に、位置決め搬送装置7の左右搬送ベルト46L,46Rによって、茎葉部B1の、引抜搬送装置6による挟持部分よりも下側が挟持されて後方に搬送される。
【0033】このとき、引抜搬送装置6の左右搬送ベルト44L,44Rによって作物Bが持上げられて鱗茎部(根菜作物であれば根部)B2が左右搬送ベルト46L,46Rの下面側に接当すると、鱗茎部B2の位置決め搬送装置7に対する上昇が規制されて位置決めされ、この鱗茎部B2の上昇が規制された後は、引抜搬送装置6による茎葉部B1の挟持部分にすべりが生じて、作物Bは畝A上面から略一定高さの位置で且つ引抜搬送装置6と位置決め搬送装置7との間で茎葉部B1が張った状態で後方に搬送されるようになっている。
【0034】そして、茎葉部B1の上部を挟持する引抜搬送装置6の搬送ベルト44L,44Rと、茎葉部B1の株元を挟持する位置決め搬送装置7の搬送ベルト46L,46Rとに亘って茎葉部B1を伸長状態にして両者のフトコロ(三角形状空間)Sに配置した切断装置8にて茎葉部B1が切断され、切断後は、位置決め搬送装置7によって茎葉部B1の株元が挟持された状態で鱗茎部B2が後方に搬送され、一方、切断された茎葉部B1の上部は、前記葉部放出回転体45によって、右側に放出されるようになっている。
【0035】前記位置決め搬送装置7の左右搬送ベルト46L,46Rの茎葉部挟持部分は、始端側が所定の間隔があけられ、終端側が密着され(又は始端側よりも狭い間隔があけられ)ていて、左右搬送ベルト46L,46Rの茎葉部挟持部分の始端側の間隔が終端側よりも大きくされている。また、左右搬送ベルト46L,46Rの茎葉部挟持部分の中途部分は、ガイドプーリー50L,50Rによって切断装置8による茎葉部切断位置の前方側で密着され(又は始端側よりも狭い間隔があけられ)ており、左右搬送ベルト46L,46Rの対向間隔Cが、始端から切断位置に向かって徐々に狭くされており、茎葉部切断位置から終端に向かって密接状(又は若干の隙間がある状態)とされている。
【0036】したがって、左右搬送ベルト46L,46Rの茎葉部挟持部分の始端から鱗茎部B2の上昇が規制されるまでは、搬送ベルト46L,46Rによる茎葉部B1の挟持力は弱く、茎葉部切断位置から終端までは、該挟持力は強くなっている。このように構成したのは、位置決め搬送装置7によって茎葉部B1を挟持して後方に搬送する途中、鱗茎部B2が搬送ベルト46L,46Rに接当してその上昇が規制されるまでは、鱗茎部B1の上昇を許容すべく、搬送ベルト46L,46Rと茎葉部B1間にすべりが生じなければならないが、茎葉部B1を切断した後は、鱗茎部B2が落下しないように茎葉部B1の株元を確りと挟持しなければならないからである。
【0037】なお、位置決め搬送装置7は後方に向かって水平状とされていなくてもよく、引抜搬送装置6よりも緩い後傾状(後方に向かうにしたがって上方に移行するように傾斜状)とされていてもよい。また、搬送ベルト46L,46Rによる茎葉部B1の挟持力は、位置決め搬送装置7に対して鱗茎部B2が上昇規制されるまでが弱く、茎葉部切断位置以降強くなっていればよい。
【0038】また、図例では、位置決め搬送装置7は左右一対の搬送ベルトを備えてなる1つのベルトコンベアで構成されているが、これに限定されることはなく、鱗茎部B2が位置決め搬送装置7に対して上昇規制されるまで(又は茎葉部切断位置の手前まで)、茎葉部B1を挟持して搬送する前側のベルトコンベアと、鱗茎部B2の上昇規制後に、前側ベルトコンベアから茎葉部B1を受け継いで、該茎葉部B1を挟持して切断装置8を経て整列排出装置9へと搬送する後側のベルトコンベアとの2つのベルトコンベアで位置決め搬送装置7を構成してもよい。
【0039】また、搬送ベルト46L,46Rは作物Bの茎葉部B1の株元を挟持することから、鱗茎部B2の首部接触部位の痛みを少なくするため、無端ゴムベルトの外周面にスポンジベルト等を重着したものが望ましい。なお、引抜搬送装置6の搬送速度は位置決め搬送装置7の搬送速度よりも速く、作物Bの上下方向の姿勢が、一定となるように(又は大きく傾斜しないように)なっている。
【0040】切断装置8は、図1、図2、図6、図8及び図9に示すように、円板鋸歯状の回転式カッター54を備え、このカッター54は、基板55と当板56との間に挟持状とされてネジ57によって固定され、基板55にはボス部55Aが固定され、このボス部55Aは回転軸58に一体回転自在に取付固定され、回転軸58は支持ケース59にベアリング60を介して上下方向の軸心廻りに回転自在に支持されており、回転軸58の回転によりカッター54が上下方向の軸心廻りに回転駆動されるようになっている。
【0041】前記支持ケース59には伝動軸62がベアリング61を介して左右方向の軸心廻りに回転自在に支持されており、この伝動軸62は前記回転軸58とベベルギヤ伝動機構63を介して動力伝達が可能とされている。支持ケース59の左側方には機体フレーム12側に取付固定された支持板64が配置され、この支持板64には後方に向かうにしたがって上方に移行する傾斜状の長孔状とされたガイド溝65が形成され、前記支持ケース59には、前記ガイド溝65に摺動自在に嵌合される嵌合部59Aが形成されている。したがって、嵌合部59Aをガイド溝65に沿って摺動させることによって、支持ケース59が姿勢を保持したまま斜め方向に上下動し、カッター54が水平姿勢を保持したまま、下方移動するにしたがって前方移動するようになっている。
【0042】また、支持ケース59にはボルト挿通孔66が形成された固定部67が設けられ、支持板64には前記ガイド溝65に沿って形成された多数のボルト挿通孔68が形成され、前記ボルト挿通孔66,68に亘って挿通されるボルト及びこれに螺合されるナットによって、支持ケース59が支持板64に対して固定され、固定位置を変えることによって、カッター54の位置が変更調節自在とされている。
【0043】なお、前記ガイド溝65は、支持ケース59及びカッター54の上下位置を調節する際に便利であるが、かならずしも無くてもよく、また、支持板64に形成されるボルト挿通孔68は固定部67の移動域の上端から下端に亘る長孔状に形成されていてもよい。前記伝動軸62は支持ケース59から突出され、この伝動軸62の突出部分に第1アーム69の一端側がベアリング70を介して左右方向の軸心廻りに回転自在に支持されており、したがって、支持ケース59と第1アーム69とは伝動軸62の軸心廻りに相対回転自在とされている。また、第1アーム69の他端側には中継軸72がベアリング73を介して左右方向の軸心廻りに回動自在に支持されている。
【0044】一方、前記伝動ケース22に左右方向の軸心廻りに回転自在に支持された駆動軸25は、伝動ケース22から突出しており、この突出部分に第2アーム74の一端側がベアリング75を介して左右方向の軸心廻りに回転自在に支持されている。この第2アーム74他端側は前記中継軸72にベアリング76を介して左右方向の軸心廻りに回転自在に支持されており、したがって、第1アーム69と第2アーム74とは中継軸72の軸心廻りに相対回転自在とされている。
【0045】前記第1、第2アーム69,74はケース状に形成され、第1アーム69内には第1伝動体77が設けられ、第2アーム74内には第2伝動体78が設けられている。第1伝動体77は、伝動軸62に固定されたスプロケット77Aと、中継軸72に固定されたスプロケット77Bと、これらスプロケット77A,77Bに亘って掛装されたチェーン77Cとから構成され、第1伝動体78は、中継軸72に固定されたスプロケット78Aと、駆動軸25に固定されたスプロケット78Bと、これらスプロケット78A,78Bに亘って掛装されたチェーン78Cとから構成されている。
【0046】これら第1、第2伝動体77,78からなる動力伝達機構によって、駆動軸25からの動力が伝動軸62に伝達されるように構成されており、したがって、動力伝達機構はエンジン(駆動源)11からの動力をカッター54に伝達し、該カッター54を回転駆動させる。また、カッター54側と伝動ケース19とを、一端側が支持ケース59に枢支連結された第1アーム69と、一端側が伝動ケース22に枢支連結されると共に他端側が第1アーム69に枢支連結された第2アーム74とで連結し、これら第1、第2アーム69,74に駆動軸25からカッター54へと動力を伝達する第1、第2伝動体77,78からなる動力伝達機構を設けているので、支持ケース59の位置移動に伴って、第1アーム69が支持ケース59及び第2アーム74に対して相対回動すると共に、第2アーム74が駆動軸25廻りに揺動し、これら第1、第2アーム69,74及び第1、第2伝動体77,78が支持ケース59の位置移動に追従する。
【0047】位置決め搬送装置7の後部には整列排出装置9が備えられており、引き起こされて結束できる茎葉部B1を残して切断された作物Bを畝A上に整列して投入排出するようにしている。なお、ガイドローラ50L,50Rによる搬送ベルト46L,46Rの密着部分は、カッター54を最下端に位置させたときに、該カッター54の前方に位置するように設定される。また、ガイドローラ50L,50Rを搬送ベルト46L,46Rに沿って前後に移動調節可能としてもよい。
【0048】図6及び図7において、整列排出装置9は切断装置8の後方部位に配置されており、位置決め搬送装置7の搬送ベルト46L,46Rの上方にあってかつ該ベルト46L,46Rの挟持面(移送方向)に対して交叉配置されている前後方向に長い上部ガイド棒80と、搬送ベルト46L,46Rの下方にあってかつ前記上部ガイド棒80に対して交叉配置されている前後方向に長い2本の下部ガイド棒81を備え、該下部ガイド棒81の後端は下方に折曲されていてその一方の下部ガイド棒81には垂直板面を有するガイド板82が固着されており、2本の下部ガイド棒81の下方折曲部81Aに相対する後方には、上部の駆動プーリー83Aと下部の従動プーリー83B間い巻掛けられている突起84Aを有する排出ベルト84が備えられている。
【0049】更に、搬送ベルト46Rの従動プーリー48Rと同軸としてスターホイール85が回転可能に装着されていて矢示Q方向に移送する搬送ベルト46Rの移送力を受けてスターホイール85は排出方向に駆動されている。なお、排出ベルト84は搬送ベルト46Lの従動プーリー48Lの回転動力により図6の矢示T方向に循環移送自在である。
【0050】ここに、整列排出装置9は、切断装置8によって切断されて位置決め搬送装置7によって後方に搬送されている作物Bの茎葉部B1を上部ガイド棒80の案内作用とスターホイール85の回転力によって右側(ゲージ輪3側)に向かって方向転換させ、一方、鱗茎部B2は下部ガイド棒81とガイド板82によって左側に方向転換させながら後方へ移送し、下方折曲部81Aと排出ベルト84の突起84Aにて茎部B1を支えながらゆっくりと右側駆動輪2Aの内方における畝A上に落下排出しており、茎葉部B1が畝溝A1に向かうように横列状として畝Aに落下排出され、ここに、畝A上での作物Bの乾燥を促進しているとともに、数個を寄せ集めての人手による結束作業の容易さを確保している。
【0051】なお、本発明に係る収穫機1による往路で2条の収穫が完了すると、操縦ハンドル51を持上げる等して駆動輪2A,2Bを起点に方向転換し、残りの2条を前述と同様に復路において収穫する。図10に示すものは、他の実施の形態を示し、カッター54の移動軌跡K1が円弧状となるように、支持ケース59の支持板64(図示省略)に対する固定位置を変更調節自在としたものである。この実施の形態にあっては、ガイド溝65は円弧状に形成され、支持ケース59の嵌合部59Aはガイド溝65に沿って摺動自在で且つ伝動軸62の軸心廻りに回転自在に嵌合される。
【0052】なお、図例では、中継軸72の軸心を中心として第1アーム69が揺動するように構成したが、これに限定されることはなく、円弧軌跡K1の中心及び半径は種種変更自在である。前記構成において、支持ケース59(カッター54)の位置移動に伴って、第1アーム69が支持ケース59及び第2アーム74に対して相対回動すると共に、第2アーム74が駆動軸25廻りに揺動し、これら第1、第2アーム69,74及び第1、第2伝動体77,78が支持ケース59の位置移動に追従するようになっているので、前述したようなカッター54の直線状又は円弧状の動きだけでなく、図11に例示するカッター54の軌跡K2,K3を採ることができ、カッター54のあらゆる動きに対応できるようになっている。
【0053】また、前記構成のものにおいて、カッター54及び支持ケース59を支持板64に固定するのではなく、第1、第2アーム69,74に支持させてもよい。すなわち、支持ケース59と第1アーム69とを、第1アーム69と第2アーム74とを、及び第2アーム74と伝動ケース22とを、それぞれ伝動軸62、中継軸72、駆動軸25の軸心廻りの回動が不能となるように固定可能とし、前記3か所を固定することで、カッター54の位置を固定し、前記3か所の固定を解除することで、カッター54の位置を移動可能とするようにしてもよい。
【0054】また、前記構成のものにあっては、第1、第2伝動体77,78として巻掛け伝動機構が採用されているが、シャフトとベベルギヤ等のギヤとを用いたギヤ伝動機構を採用してもよい。さらに、第1、第2アーム69,74は、本実施の形態では、ケース体で構成されているが、板体によって構成してもよい。
【0055】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、カッターが、下方移動するにしたがって前方移動するように位置調節可能であることから、カッターの位置を低くして作物の茎葉部を鱗茎部等から短い寸法で切断する場合、茎葉部が第1、第2の搬送装置の間隔の小さい位置で切断され、茎葉部の全体寸法が短いものであっても、切断されて切り離された茎葉部を第1の搬送装置によって挟持させることができ、切断されて切り離された茎葉部がカッター及び第2の搬送装置等に堆積することを防止できると共に、茎葉部を鱗茎部等から長い寸法で切断する場合にあっては、カッターが後方に移動するので、カッターの高さを十分に採ることができる。
【0056】また、本発明では、特に、カッターを一端側に取り付けた第1アームと、機体側に一端側が左右軸廻りに回動自在に支持されると共に、他端側が第1アームの他端側に左右軸廻りに回動自在に枢支連結された第2アームとを備え、これら第1、第2アームに、駆動源からの動力をカッターに伝達する動力伝達機構を設けているので、カッターの動きに対して、第1、第2アーム及び動力伝達機構が追従するので、カッターの移動軌跡を自由に採ることができる。
【0057】また、カッターが円弧状の軌跡上を移動するようにすることによって、カッターの位置が比較的高い所では第1の搬送装置に接近させて、挟持部分から近い所で切断でき、切断が良好に行えると共に、カッターの位置を低くするにしたがって、前方へは移動するが、第1の搬送装置に沿って直線状に移動させるものに比べ、下端部近傍では急激に下方移動するので、第2搬送装置の始端側から作物の上昇規制位置までの距離を十分に採ることができ、前後方向にコンパクトに構成できる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)7月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開平11−42008
【公開日】 平成11年(1999)2月16日
【出願番号】 特願平9−200582