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【発明の名称】 コンバインの油圧装置
【発明者】 【氏名】吉邨 文夫

【氏名】渡辺 均

【要約】 【課題】同一の油圧ポンプによって、車体の姿勢制御、刈高制御、操向制御、オ−ガ旋回制御等を行なえるものとして、コンバインを安価なものとして提供する。

【解決手段】同一油圧ポンプPによる油圧回路66に、左右のクロ−ラ式走行装置を車体10に対して独立的ないし一体的に上下動させて車体10を所定の姿勢に維持制御する車体上下油圧シリンダ2,2,8と、刈取装置昇降用の刈取上下シリンダ48と、車体操向用の操向シリンダ70,70と、穀粒排出オ−ガ移動用のオ−ガ移動シリンダ73,74とを設ける。以上より成るコンバインの油圧装置の構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 同一油圧ポンプPによる油圧回路66に、左右のクロ−ラ式走行装置を車体10に対して独立的ないし一体的に上下動させて車体10を所定の姿勢に維持制御する車体上下油圧シリンダ2,2,8と、刈取装置昇降用の刈取上下シリンダ48と、車体操向用の操向シリンダ70,70と、穀粒排出オ−ガ移動用のオ−ガ移動シリンダ73,74とを設けたことを特徴とするコンバインの油圧装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、作業車輌の姿勢制御装置に関するもので、クロ−ラ形態の走行装置を有するコンバイン、運搬車等の移動農機や建設機械等に利用できる。
【0002】
【従来の技術】従来より、コンバインにおいては、車体を水平姿勢に維持制御するために、車体と左右のクロ−ラ式走行装置との相対的上下位置を変更するロ−リング制御や、ピッチング制御等の行なえる姿勢制御装置を備え、更に走行方向を制御する操向制御や、刈取装置を車体に対して上下動する刈高制御をも行なえる構成としている。
【0003】そして、これら姿勢制御、操向制御、刈高制御用の、車体上下油圧シリンダ、刈取上下シリンダ、操向シリンダを、同一の油圧ポンプによる油圧回路に設けている。しかしながら、先願となる特願昭63−124196号や特願平3−135883号のように、穀粒排出オ−ガを昇降ないし旋回させるためのオ−ガ移動シリンダは、前記車体上下油圧シリンダ、刈取上下シリンダ、操向シリンダを設けた油圧回路には設けられていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の、特願昭63−124196号や特願平3−135883号のように、穀粒排出オ−ガを昇降ないし旋回させるためのオ−ガ移動シリンダを、車体上下油圧シリンダ、刈取上下シリンダ、操向シリンダを設けた油圧回路に設けない場合、このオ−ガ移動シリンダを作動させるための油圧回路を別途設けなければならず、安価なものとして提供することができない。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上述の如き課題を解決するため、以下のような技術的手段を講じる。すなわち、同一油圧ポンプPによる油圧回路66に、左右のクロ−ラ式走行装置を車体10に対して独立的ないし一体的に上下動させて車体10を所定の姿勢に維持制御する車体上下油圧シリンダ2,2,8と、刈取装置昇降用の刈取上下シリンダ48と、車体操向用の操向シリンダ70,70と、穀粒排出オ−ガ移動用のオ−ガ移動シリンダ73,74とを設けたことを特徴とするコンバインの油圧装置の構成としたものである。
【0006】この構成により、油圧ポンプPの駆動によって、油圧回路66に設けられる車体上下油圧シリンダ2,2,8、刈取上下シリンダ48、操向シリンダ70,70、オ−ガ移動シリンダ73,74へ送油可能な状態となり、油圧回路66に設ける制御弁を介して、各油圧シリンダ2,2,8,48,70,70,73,74が伸縮作動する。
【0007】しかして、車体上下油圧シリンダ2,2,8の油圧による伸縮によって、左右のクロ−ラ式走行装置が車体10に対して上下動し、これによって、車体10が昇降されて、左右又は前後の傾斜姿勢が変更され、この車体10を水平状の姿勢に維持可能となる。また、刈取上下シリンダ48の油圧による伸縮によって、刈取装置の高さを適宜調節可能となる。
【0008】また、操向シリンダ70,70の油圧による伸縮によって、車体10の走行方向を適宜操向可能となる。また、オ−ガ移動シリンダ73,74の油圧による伸縮によって、穀粒排出オ−ガを適宜昇降ないし旋回調節可能となる。
【0009】
【発明の効果】以上のように、この発明は、同一油圧ポンプPによる油圧回路66に、左右のクロ−ラ式走行装置を車体10に対して独立的ないし一体的に上下動させて車体10を所定の姿勢に維持制御する車体上下油圧シリンダ2,2,8と、刈取装置昇降用の刈取上下シリンダ48と、車体操向用の操向シリンダ70,70と、穀粒排出オ−ガ移動用のオ−ガ移動シリンダ73,74とを設けたことを特徴とするコンバインの油圧装置としたので、同一の油圧ポンプPによって、車体上下油圧シリンダ2,2,8と、刈取上下シリンダ48と、操向シリンダ70,70と、オ−ガ移動シリンダ73,74とを作動させて、車体10の姿勢制御、刈高制御、操向制御、オ−ガ旋回制御等が行なえるようになり、コンバインを安価なものとして提供することができた。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。ピッチングフレ−ム1の左右両側部には、このピッチングフレ−ム1に設けるロ−リング油圧シリンダ(車体上下油圧シリンダ)2及び平行的に昇降するロ−リングリンク機構3によって、各クロ−ラ4を張設する転輪5を有した左右一対のクロ−ラフレ−ム6を、各々独立的に昇降自在に設け、又、このピッチングフレ−ム1の上部には、前後いずれか一端部側のピッチング軸7回りに他端部側を上下回動自在とし、かつこの上下回動のためのピッチング油圧シリンダ(車体上下油圧シリンダ)8及びピッチングリンク機構9を有した車体10を設ける。
【0011】ピッチングフレ−ム1は、左右一対の縦フレ−ム11間を前後の連結フレ−ム12で一体的に連結し、更にこの縦フレ−ム11の前端部間はピッチング軸7で連結し、後端部間はロ−リングア−ム軸13で連結する。これら前後のピッチング軸7とロ−リングア−ム軸13とには、左右一対のロ−リングリンク機構3を構成するロ−リングア−ム14,15を回動自在に設ける。左右の各前後ロ−リングア−ム14,15の下端部にクロ−ラフレ−ム6の前部側と後部側とを枢支軸16,17で枢着し、ピッチングフレ−ム1の前部上に突出したブラケット18に取付けたロ−リング油圧シリンダ2の油圧ピストン19を、この後部ロ−リングア−ム15の上端部に連結して、このロ−リング油圧シリンダ2の伸縮により、ピッチングフレ−ム1に対して左右のクロ−ラフレ−ム6を各上下に移動する構成としている。20は前後のロ−リングア−ム14,15間を連結して連動するためのロッドである。
【0012】左右の各クロ−ラフレ−ム6に、クロ−ラ4を張設する転輪5を設ける。この転輪5には前後中間部と後端部とに、スプロケット転輪21,22を設けて、クロ−ラ4の中央部に沿って設ける駆動穴に咬合させて案内回転させる。このうち後端のスプロケット転輪22は、クロ−ラフレ−ム6の後端部に対して前後に伸縮する案内フレ−ム24と張棒23に設けられ、この張棒23の伸縮調節によってクロ−ラ4を常時張圧する構成としている。
【0013】ピッチングフレ−ム1の縦フレ−ム11の前部ピッチング軸7上には、このピッチング軸7の回りに回動自在の回動ボス25を設け、この回動ボスに対して車体10前端部のブラケット26をボルト、ナット等によって着脱自在に構成し、又、この車体10をこのピッチング軸7の回りに上下回動自在に構成している。又、ピッチングフレ−ム1の左右縦フレ−ム11の後部上には、リンクピン27を設け、該車体10に設けるピッチングリンク機構9のリンク28の先端部を回動自在に嵌合支持する。
【0014】車体10は、左右一対の縦フレ−ムを主体として、この縦フレ−ム間を横フレ−ム29で前後適数個所連結して一体構成し、前端部には、ブラケット26によって、駆動スプロケット30のスプロケット軸31を軸受カバ−するアクスルハウジング32を取付けて支持する構成としている。この車体10に設けるピッチングリンク機構9は、後部のピッチングア−ム軸33回りに回動自在の左右一対のア−ムリンク34と、このア−ムリンク34の先端に対して枢支ピン35で枢着されたリンク28と、これらア−ムリンク34と一体として回動するア−ム36等からなり、このア−ム36を、車体10に取付けたピッチング油圧シリンダ8の油圧ピストン37と連結して、このピッチング油圧シリンダ8の油圧伸縮によって、リンク28をピッチングフレ−ム1のリンクピン27回りに回動することにより、これらリンク28及びア−ムリンク34で車体10を、ピッチング軸7回りに上下回動する構成としている。
【0015】ピッチングフレ−ム1の前後に設ける各ロ−リングア−ム14,15は、正面視でクランク状に形成された内側ア−ム38と、直板状の外側ア−ム39とを、ボルト40で締付けて一体的構成とし、これら内側ア−ム38の中間部と外側ア−ム39の先端部とで、ロ−リングア−ム軸7,13の端部をカラ−41,42を介在させて回動自在に設けている。縦フレ−ム11は、このカラ−41を固定して、ロ−リングア−ム軸7,13上方に位置する車体10と共に、内外側両ア−ム38と39との間隔内に位置させて設ける。内側ア−ム39の下端部に枢支軸16,17によって設けるクロ−ラフレ−ム6は、このロ−リングア−ム14,15の外側に位置して取付けている。
【0016】車体10は、上側に横フレ−ム29、及びこの横フレ−ム29の左右両横端を前後に亘る縦フレ−ム43等を有し、上側に、例えばコンバインの場合では、脱穀装置や、エンジン、操縦装置等を搭載し、又刈取装置を支持する構成としている。44は駆動スプロケット30を伝動する走行伝動装置を内装した伝動ケ−スで、ブラケット26,45や、アクスルハウジング32等を介して車体10の前端部又は後端部に一体的に取付けている。クロ−ラ4は、この駆動スプロケット30と、各転輪5との間に亘って巻掛けて張設し、この駆動スプロケット30の駆動によって回転し走行することができる。車体10のブラケット26は、スプロケット30を最前端の転輪5よりも前方に位置させて、車体10のピッチングによりピッチング軸7回りに上下回動するが、クロ−ラ4の張圧駆動を維持する関係に構成されている。46はエンジンの排気筒、47はそのマフラ−カバ−である。
【0017】第8図、第9図において、走行装置の制御構成を説明する。ロ−リング油圧シリンダ2、ピッチング油圧シリンダ8、及び刈取装置を車体10に対して上下する刈取上下シリンダ48等を油圧作動する油圧ポンプPの油圧回路66が第8図のように設けられる。刈取上下シリンダ48の油圧回路67には、刈取上昇用の刈取上制御弁49、及び刈取下降用の刈取下制御弁50等を電磁的に作動するように設ける。ピッチング油圧シリンダ8の油圧回路68には、車体10をピッチング軸7回りに回動させて後下方向にピッチング回動させたり、又この逆に後上方向に回動させるように切換えるピッチング制御弁51を設ける。又左右一対のロ−リング油圧シリンダ2の油圧回路69には、各々ロ−リング制御弁52を設け、左側又は右側のクロ−ラフレ−ム6を独立的に、又は同時に上下動するように切換える。53はアンロ−ドバルブである。
【0018】油圧回路66には、上記の他に、左右のクロ−ラ4の伝動クラッチ、及びブレ−キ等を操作して走行方向を左右へ操向する操向シリンダ70の油圧回路71を設け、操向レバ−の操作で電磁的に切換連動される操向制御弁72を有する。又、脱穀して収穫された籾を籾タンクから取出すためのオ−ガを、左右や上下に回動させて取出位置を選択するオ−ガ旋回シリンダ73、及びオ−ガ上下シリンダ74等の油圧回路75を設け、操作レバ−によって電磁的に切換連動されるオ−ガ制御弁76,77を設けている。
【0019】第9図において、マイクロコンピュ−タを有するコントロ−ラ54には、入力側に、手動傾斜レバ−スイッチ55を設け、このレバ−スイッチ55及び手動傾斜レバ−は操縦装置に設け、この手動傾斜レバ−の操作で傾斜することにより、この傾斜方向によって各傾斜レバ−スイッチをONして、ピッチング制御弁51、ロ−リング制御弁52を切換出力して、車体10をピッチング作動したり、左側又は右側のクロ−ラフレ−ム6を上下動してロ−リング作動する関係に構成している。
【0020】又、車高上下レバ−スイッチ56、及びこの上下レバ−スイッチ56を切換える車高上下レバ−は、操縦装置に設けられ、この上下レバ−スイッチ56の車高上げ側へ操作すると、左右のロ−リング制御弁52が上げ側へ切換えられて、車高を上昇し、又、車高下げ側へ操作すると、左右のロ−リング制御弁52が下げ側へ切換えられて、車高を下降するように制御出力される。
【0021】又、刈取レバ−スイッチ57は、刈取上下制御弁49,50を切換えるもので、刈取上制御弁49によって刈取装置を上昇制御し、刈取下制御弁50によって下降制御する。車体水平スイッチ58は、ピッチングフレ−ム1の左右ロ−リング制御、及び前後ピッチング制御等を行わせるものである。穀稈センサ59は、刈取装置によって穀稈が刈取られる状態にあることを検出するもので、これによって上記のような各制御を行わせる前後傾斜センサ60、左右傾斜センサ61、これらの各ストロ−クセンサ62,63,64を設けている。各傾斜センサ60,61やストロ−クセンサ62,63,64等にはこれらの感度を変更する感度変更手段65を設けている。
【0022】車体10のピッチング制御については、前後傾斜センサ60が車体10の前後方向の傾斜を検出すると、これによってピッチング制御弁51を後下又は後上に切換えて、ピッチング油圧シリンダ8を伸縮し、このピッチング油圧シリンダ8に設けられる前後ストロ−クセンサ62で検出してフィ−ドバック制御することにより、車体10を前後水平状態に制御維持する構成としている。
【0023】ピッチングフレ−ム1のロ−リング制御については、車体10又はピッチングフレ−ム1の左右の傾斜を左右傾斜センサ61が検出することにより、左ロ−リング制御弁52、又は右ロ−リング制御弁52を切換えて、左右のロ−リング油圧シリンダ2を伸縮し、この各ロ−リング油圧シリンダ2の伸縮量を左右のストロ−クセンサ63,64で検出しながらフィ−ドバック制御することにより、ピッチングフレ−ム1を左右水平状態に制御維持する構成としている。
【0024】又、ピッチングフレ−ム1の高さ制御は、これらロ−リング制御と同時、又は優先して行われ、ピッチングフレ−ム1の土壌面に対する高さを検出する高さセンサによって、左右のロ−リング制御弁52、及びロ−リング油圧シリンダ2を伸縮して、一定の高さに維持するように制御する。なお、高さセンサとしては、ロ−リング制御のストロ−クセンサ63,64による平均値によって高さを検出するもよい。
【0025】第8図〜第10図において、ロ−リング油圧シリンダ2及びピッチング油圧シリンダ8と、他の刈取上下シリンダ48等との作動制御関係について、ロ−リング油圧シリンダ2又はピッチング油圧シリンダ8が、ロ−リング制御弁52又はピッチング制御弁51等によって、伸び出す方向、即ちクロ−ラ4を押し下げて、車体10を押し上げる方向に作動するときに、同時に刈取上下シリンダ48が刈取上制御弁49によって伸び出して刈取装置を上昇したり、又は、操向シリンダ70が操向制御弁72によって伸縮作動されて操向するときは、このロ−リング制御弁52及びピッチング制御弁51を中立位置に停止させて、ロ−リング油圧シリンダ2及びピッチングシリンダ8の伸び出しによる車体10の押し上げを停止する。又、この間に該刈取上制御弁49による刈取上下シリンダ48の伸び出し、又は操向制御弁72による操向シリンダ70の作動が完了することによって、上記ロ−リング制御弁52又はピッチング制御弁51等を出力させる。
【0026】このように、刈取上下シリンダ48や操向シリンダ70等は、優先制御シリンダとして、ロ−リング油圧シリンダ2、又はピッチング油圧シリンダ8等の作動と競合するときは、これらの油圧シリンダ2,8等に対して、優先して出力作動するものである。又、これらロ−リング油圧シリンダ2、及びピッチング油圧シリンダ8は、車体10を押し上げる方向の作動行程において、作動制限されれば足り、車体10の押し上げ側はもとより同時に下げ側の作動制御をも停止するように牽制制御するもよい。
【0027】なお、第8図の場合、オ−ガ制御シリンダ(オ−ガ移動シリンダ)73,74は優先制御シリンダとはしない。このため、これらのオ−ガ制御シリンダ73,74の作動と同時にロ−リング油圧シリンダ2やピッチング油圧シリンダ8等の伸び出し制御が行われることがある。第11図〜第13図は、コントロ−ラ54を、ロ−リング制御、及びピッチング制御等を行う車体水平制御用のコントロ−ルボックスAと、操向制御、及び刈取装置を上下動する刈高制御等を行うコントロ−ルボックスBとに区分して、各コントロ−ルボックスA,Bから独立に出力制御する構成とし、これらのコントロ−ルボックスA,B間に、前記のような油圧作動出力を牽制する牽制用の信号線78を設け、パルス信号によって牽制通信する構成としている。
【0028】第12図、第13図のように非牽制状態Cから、牽制状態Dになると、パルス信号によって車体水平制御のロ−リング制御弁52、及びピッチング制御弁51のソレノイド出力がOFFとなり、ロ−リング制御及びピッチング制御が一時停止され、この間に操向制御弁72、又は刈取上制御弁51、刈取下制御弁50等による制御が完了すると、車体水平制御が開始される状態となる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成1年(1989)11月16日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−4616
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平10−141570