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【発明の名称】 ミッドマウント型芝刈機のモーア伝動構造
【発明者】 【氏名】上村 勝彦

【氏名】冨山 芳雄

【氏名】村川 正剛

【氏名】黒原 一明

【氏名】永井 宏樹

【要約】 【課題】ミッドマウント型芝刈機における走行機体に対するモーアの着脱作業を容易に行えるようにする。

【解決手段】ミッドマウント型芝刈機のモーア伝動構造において、ベルトテンション式に構成されたモーア用伝動機構Bを走行機体1の前後中間部に配備するとともに、モーア用伝動機構Bにおけるテンションバネ22の一端を支持するバネ受け具23を走行機体1に、テンションバネ22を緊張させる作用姿勢とテンションバネ22を弛緩させる非作用姿勢とに姿勢切り換え可能に取り付け、かつ、バネ受け具23から操作ロッド25を左右の後輪11の間を通して後方に向けて延出するとともに、操作ロッド25の延出端25Aを、延出端25Aとの係合によりバネ受け具23を作用姿勢に保持するよう走行機体1の後部に配備された被係合具Cに対して前後操作で係脱自在となるように形成してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベルトテンション式に構成されたモーア用伝動機構を走行機体の前後中間部に配備するとともに、前記モーア用伝動機構におけるテンションバネの一端を支持するバネ受け具を前記走行機体に、前記テンションバネを緊張させる作用姿勢と前記テンションバネを弛緩させる非作用姿勢とに姿勢切り換え可能に取り付け、かつ、前記バネ受け具から操作ロッドを左右の後輪の間を通して後方に向けて延出するとともに、前記操作ロッドの延出端を、該延出端との係合により前記バネ受け具を前記作用姿勢に保持するよう前記走行機体の後部に配備された被係合具に対して前後操作で係脱自在となるように形成してあるミッドマウント型芝刈機のモーア伝動構造。
【請求項2】 前記操作ロッドを、後車軸を下方から迂回する上向き開放のコの字状に屈曲形成するとともに、前記延出端の上端部が前記被係合具に係合するよう形成してある請求項1記載のミッドマウント型芝刈機のモーア伝動構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベルトテンション式に構成されたモーア用伝動機構を走行機体の前後中間部に配備してあるミッドマウント型芝刈機のモーア伝動構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のようなミッドマウント型芝刈機のモーア伝動構造においては、例えば特開平7‐16013号公報などで開示されているように、機体側の出力プーリとモーア側の入力プーリとに亘って回し掛けられた伝動ベルトをテンションプーリを介して緊張付勢するテンションバネの一端を、機体フレームの前後中間位置に固着したバネ受け具に係合するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ミッドマウント型芝刈機は、走行機体の前後中間位置においてモーアが機体の横幅から左右に大きく張り出すとともに、そのモーアの前後に走行機体の前後輪が位置するようになっている。そのため、上記従来技術のように機体フレームの前後中間位置にバネ受け具を固着すると、例えばモーアのメンテナンスなどのためにモーアを走行機体から取り外す際の前作業として、テンションバネの一端をバネ受け具から取り外して伝動ベルトのテンションを弛めようとしても、モーアや前後輪が邪魔になってバネ受け具やテンションバネに対して手が届き難くなっていることから、テンションバネの一端をその付勢に抗してバネ受け具から取り外すことにかなりの困難をきたすようになっており、その結果、走行機体に対するモーアの着脱作業にかなりの手間を要するようになっていた。
【0004】本発明の目的は、ミッドマウント型芝刈機における走行機体に対するモーアの着脱作業を容易に行えるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、ミッドマウント型芝刈機のモーア伝動構造において、ベルトテンション式に構成されたモーア用伝動機構を走行機体の前後中間部に配備するとともに、前記モーア用伝動機構におけるテンションバネの一端を支持するバネ受け具を前記走行機体に、前記テンションバネを緊張させる作用姿勢と前記テンションバネを弛緩させる非作用姿勢とに姿勢切り換え可能に取り付け、かつ、前記バネ受け具から操作ロッドを左右の後輪の間を通して後方に向けて延出するとともに、前記操作ロッドの延出端を、該延出端との係合により前記バネ受け具を前記作用姿勢に保持するよう前記走行機体の後部に配備された被係合具に対して前後操作で係脱自在となるように形成した。
【0006】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、走行機体の後方から、走行機体の後方に向けて延出された操作ロッドの延出端側を持って、テンションバネの付勢に抗して操作ロッドを後方に向けて引っ張ることによって、操作ロッドの延出端をバネ受け具を作用姿勢に保持する被係合具から離脱させることができ、この離脱状態を維持しながら、テンションバネや伝動ベルトの付勢により操作ロッドの延出端を被係合具の前方へ移動させることによって、バネ受け具の姿勢を、テンションバネを緊張させる作用姿勢から弛緩させる非作用姿勢に切り換えることができ、もって、機体側の出力プーリとモーア側の入力プーリとに亘って回し掛けたモーア用伝動機構の伝動ベルトを緩めることができるようになる。又逆に、走行機体の後方から操作ロッドの延出端側を持って、テンションバネや伝動ベルトの付勢に抗して操作ロッドを後方に向けて引っ張ることによって、バネ受け具の姿勢を、テンションバネを弛緩させる非作用姿勢から緊張させる作用姿勢に切り換えることができ、又、この状態で操作ロッドの延出端を被係合具に係合させることによって、バネ受け具を作用姿勢で保持することができて、モーア用伝動機構の伝動ベルトを緊張状態で維持することができるようになる。
【0007】つまり、走行機体の横幅から左右に大きく張り出すモーアや、そのモーアの前後に位置する走行機体の前後輪が邪魔になる走行機体の横側方から作業を行わなくても、走行機体の後方から操作ロッドを操作することによって、モーア用伝動機構の伝動ベルトを緊張状態と弛緩状態とに容易に切り換えることができ、もって、走行機体に対するモーアの着脱作業も容易に行えるようになる。
【0008】〔効果〕従って、ミッドマウント型芝刈機における走行機体に対するモーアの着脱作業を容易に行えるようにすることができるようになった。
【0009】本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記操作ロッドを、後車軸を下方から迂回する上向き開放のコの字状に屈曲形成するとともに、前記延出端の上端部が前記被係合具に係合するよう形成した。
【0010】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、バネ受け具を作用姿勢に保持してモーア用伝動機構の伝動ベルトを緊張状態に維持する操作ロッドと被係合具の係合位置を高い位置に設定できることから、それらの係合部が走行中に他物に接触して破損することを防止し易くなる。しかも、走行機体の後方から操作ロッドを操作する際には、操作ロッドにおける延出端の立ち上がり部を把手として利用することができ、これによって、モーア用伝動機構の伝動ベルトを緊張状態と弛緩状態とに切り換えるための操作ロッドの前後操作が更に行い易くなることから、走行機体に対するモーアの着脱作業も更に容易に行えるようになる。
【0011】〔効果〕従って、ミッドマウント型芝刈機における走行機体に対するモーアの着脱作業をより一層容易に行えるようにしながらも、操作ロッド及び被係合具の他物との接触による破損を抑制できるようになった。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】図1には芝刈機の全体側面が示されており、この芝刈機は、走行機体1の前後中間位置に平行四連形式の昇降リンク機構2を介してモーア3を昇降自在に連結することによってミッドマウント型に構成されている。走行機体1は、左右一対の主フレーム4Aなどからなる機体フレーム4、機体フレーム4の前部に搭載されたエンジン5、エンジン5の後方に配置されたラジエータ6、機体フレーム4の前部に支持された車軸フレーム7、機体フレーム4の後部に支持された静油圧式無段変速装置8と車軸ケース9、車軸フレーム7の左右両端に夫々装着された操向輪としての前輪10、車軸ケース9の左右両端に夫々装着された駆動輪としての後輪11、前輪10に連係されたステアリングハンドル12、及び機体フレーム4の後部上方に配置された運転座席13、などによって乗用型に構成されている。
【0014】図1〜4に示すように、機体フレーム4における車軸ケース9の前方には、ベベルギヤ式伝動機構(図示せず)を内蔵した伝動ケース14が配備されている。伝動ケース14は、その前部から前方に向けて突出する入力軸14aが伝動軸15などを介してエンジン5に伝動可能に連結されている。伝動ケース14の上部には、静油圧式無段変速装置8の入力プーリ8aに第一伝動ベルト16を介して伝動可能に連結される第一出力プーリ14bと、例えば走行機体1の後部に集草容器(図示せず)を装着した際にモーア3から集草容器に向けて刈り芝を流動させるブロワ装置(図示せず)に対して動力を供給するための第二出力プーリ14cとが上下に並列配備されている。伝動ケース14の下部には、モーア3の入力プーリ3aに第二伝動ベルト17を介して伝動可能に連結される第三出力プーリ14dが電磁クラッチ18を介して伝動切り換え可能に連結されている。第一伝動ベルト16は、第一テンションプーリ19を介した第一テンションバネ20の付勢によって緊張状態(伝動状態)に維持されるようになっている。第二伝動ベルト17は、第二テンションプーリ21を介した第二テンションバネ22の付勢によって緊張状態(伝動状態)に維持されるようになっている。つまり、走行機体1の後部には、伝動ケース14の第一出力プーリ14b、静油圧式無段変速装置8の入力プーリ8a、第一伝動ベルト16、第一テンションプーリ19、及び第一テンションバネ20、などによって構成されたベルトテンション式のHST用伝動機構Aが、又、走行機体1の前後中間部には、伝動ケース14の第三出力プーリ14d、モーア3の入力プーリ3a、第二伝動ベルト17、第二テンションプーリ21、及び第二テンションバネ22、などによって構成されたベルトテンション式のモーア用伝動機構Bが夫々配備されている。
【0015】モーア用伝動機構Bにおいて、第二テンションバネ22の一端は、伝動ケース14を支持するよう左右の主フレーム4Aに掛け渡された第一支持板4Bに縦軸芯P周りの揺動操作で第二テンションバネ22を緊張させる作用姿勢と第二テンションバネ22を弛緩させる非作用姿勢とに姿勢切り換え可能に取り付けられたバネ受け具23に連結支持されている。又、第二テンションバネ22の他端は、第二テンションプーリ21の操作アーム21Aに連結支持されている。バネ受け具23には、後車軸24を外囲する車軸ケース9の右端側を下方から迂回する上向き開放のコの字状に屈曲形成された操作ロッド25の一端が融通を有する状態で連結されている。操作ロッド25は、バネ受け具23から左右の後輪11の間を通って後方に向けて延出されている。操作ロッド25の延出端25Aにおける上端部25aは、左右の主フレーム4Aから車軸ケース9の両端部を支持するように外側方に向けて延設された左右の支持ブラケット26のうちの右側の支持ブラケット26の後端に形成された切欠部26aに対して、操作ロッド25の前後操作で係脱自在となるように形成されている。つまり、右側の支持ブラケット26は、操作ロッド25の上端部25aが係合される被係合具Cである。
【0016】以上の構成により、走行機体1の右後方から手を伸ばして、走行機体1の後方に向けて延出された操作ロッド25の延出端25A側を持って、第二テンションバネ22の付勢に抗して操作ロッド25を後方に向けて引っ張ることによって、操作ロッド25の上端部25aを被係合具Cである右側の支持ブラケット26の切欠部26aから離脱させることができ、この離脱状態を維持しながら、第二テンションバネ22や第二伝動ベルト17の付勢により操作ロッド25の上端部25aを、車軸ケース9を潜らせながら切欠部26aの前方へ移動させることによって、バネ受け具23の姿勢を、第二テンションバネ22を緊張させる作用姿勢から弛緩させる非作用姿勢に切り換えることができて、第二伝動ベルト17を緩めることができるようになっている。又逆に、走行機体の右後方から手を伸ばして操作ロッド25の延出端25A側を持って、第二テンションバネ22や第二伝動ベルト17の付勢に抗して操作ロッド25を後方に向けて引っ張ることによって、バネ受け具23の姿勢を、第二テンションバネ22を弛緩させる非作用姿勢から緊張させる作用姿勢に切り換えることができ、この状態で操作ロッド25の上端部25aを右側の支持ブラケット26の切欠部26aに係合させることによって、バネ受け具23を作用姿勢で保持することができて、第二伝動ベルト17を緊張状態で維持することができるようになっている。しかも、走行機体1の右後方から操作ロッド25を操作する際には、操作ロッド25の延出端25Aにおける立上部25bを把手として利用できることから、第二伝動ベルト17を緊張状態と弛緩状態とに切り換えるための操作ロッド25の前後操作が更に行い易くなっている。
【0017】要するに、走行機体1の横幅から左右に大きく張り出すモーア3や、そのモーア3の前後に位置する走行機体1の前後輪10,11が邪魔になる走行機体1の横側方から作業を行わなくても、走行機体1の右後方から操作ロッド25の立上部25bを持って操作ロッド25の前後操作を行うことによって、モーア用伝動機構Bの伝動ベルトである第二伝動ベルト17を緊張状態と弛緩状態とに容易に切り換えることができ、もって、例えばモーア3のメンテナンス作業などを行う際における走行機体1に対するモーア3の着脱作業を容易に行えるようになっている。又、操作ロッド25と支持ブラケット26の係合位置を高い位置に設定できることから、操作ロッド25の上端部25aと支持ブラケット26の切欠部26aの走行中での他物との接触による破損を抑制できるようになっている。
【0018】図1,図2及び図5に示すように、走行機体1の後部における運転座席13の下方には燃料タンク27が配備されており、この燃料タンク27と走行機体1の前部に位置するエンジン5とは供給ホース28及び還元ホース29などを介して連通接続されている。供給ホース28には、第一フィルタ30、電動式の燃料ポンプ31、及び第二フィルタ32が燃料タンク27側から順に介装されている。第一フィルタ30は燃料タンク27に連結されている。燃料ポンプ31は、断面コの字状の溝形に形成された左右一対の主フレーム4Aのうちの左側の主フレーム4Aに、その溝内に収まる状態で連結されている。第二フィルタ32はエンジン5に連結されている。供給ホース28における第一フィルタ30と燃料ポンプ31との間の部分、及び還元ホース29における燃料タンク27側の部分は、第一コルゲートチューブ33に挿通されるようになっている。又、供給ホース28における燃料ポンプ31と第二フィルタ32との間の部分、及び還元ホース29におけるエンジン5側の部分は、第二コルゲートチューブ34に挿通されるようになっている。第一コルゲートチューブ33と第二コルゲートチューブ34における燃料ポンプ31側の部分は、左側の主フレーム4Aに、その溝内に収まる状態で固定されている。
【0019】つまり、供給ホース28と還元ホース29とを第一コルゲートチューブ33と第二コルゲートチューブ34により纏めることによって、燃料タンク27と走行エンジン5とを接続する際の供給ホース28及び還元ホース29の取り扱いを容易にすることができ、又、供給ホース28と還元ホース29とを燃料ポンプ31と同様に左側の主フレーム4Aの溝内に容易に収められることから、組付けの容易化や配管スペースの省スペース化を図れるようになっている。
【0020】一方、図2に示すように、伝動ケース14の電磁クラッチ18及び燃料ポンプ31などに対するワイヤリングハーネス35は、右側の主フレーム4Aの溝内、第二テンションプーリ21を支持するよう左右の主フレーム4Aに掛け渡された第二支持板4Cの下方、及び左側の主フレーム4Aの溝内を通って、電磁クラッチ18や燃料ポンプ31などに接続されており、もって、配線の容易化や配線スペースの省スペース化を図れるようになっている。
【0021】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ バネ受け具23を、左側の主フレーム4Aに作用姿勢と非作用姿勢とに姿勢切り換え可能に取り付けるとともに、操作ロッド25を、バネ受け具23から走行機体1の左後部に向けて延出し、かつ、左側の支持ブラケット26の後端に切欠部26aを形成するようにしてもよい。
■ 操作ロッド25としては、バネ受け具23から後方に向けて一直線状に延出されたものであってもよく、又、後車軸24を上方から迂回する下向き開放のコの字状に屈曲形成されたものであってもよい。
■ 被係合具Cの配備箇所は、走行機体1の後部において種々の変更が可能なものであり、被係合具Cを走行機体1の後端側に配備するほど、操作ロッド25の操作性の向上を図れるようになる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)6月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−4615
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平9−160988