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【発明の名称】 乗用型田植機
【発明者】 【氏名】八木澤 俊夫

【氏名】児島 祥之

【氏名】山下 真

【要約】 【課題】圃場面に車輪跡等の凹凸が残っている虞れのある畦際等での苗植付も良好に行うことができる乗用型田植機を提供する。

【解決手段】植付泥面を整地する整地ローラ21を、苗植付装置9における泥面位置検出用の整地フロート16Bの前方で、走行機体の左右一対の車輪2,2間に位置させて配設してある乗用型田植機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植付泥面を整地する整地ローラを、苗植付装置における泥面位置検出用の整地フロートの前方で、走行機体の左右一対の車輪間に位置させて配設してある乗用型田植機。
【請求項2】 前記整地ローラは、前記苗植付装置におけるフィードケース及び苗植付機構への伝動ケースを支持する左右方向に沿って長尺に構成される支持フレームに装備してある請求項1に記載の乗用型田植機。
【請求項3】 前記整地ローラは、横軸芯周りで上下揺動自在に支持するとともに、前記整地ローラを、その揺動の下限を設定する状態で、かつ下方向きに弾性付勢してある請求項1又は2に記載の乗用型田植機。
【請求項4】 前記整地ローラは、非作業時には作業位置より退避可能に構成してある請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乗用型田植機。
【請求項5】 前記整地ローラは、一部に泥水の前後での通り抜けを許す環状の凹部を形成してある請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乗用型田植機。
【請求項6】 前記苗植付装置の昇降に伴って前記整地ローラとの相対位置が変わる前記苗植付装置への伝動軸の配置位置に対応して、前記凹部を前記整地ローラに設けてある請求項5に記載の乗用型田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、苗植付装置に整地フロートを設けて、その整地フロートで整地した後に苗植付するように構成した乗用型田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の乗用型田植機にあっては、苗植付を行う前の泥面の整地は整地フロートのみで行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、圃場の中央側箇所においては農作業車の走行や方向転換によって生じる車輪跡が少ないので、比較的整地は良好になされるものの、畦際近くの圃場では農作業車が方向転換等を行うため、苗植付に影響を与える虞れのある車輪跡等の凹凸が圃場面に残っている虞れが高い。従って、上記従来の乗用型田植機では、通常の代かきをした後でも畦際近くの整地が十分でなく、その状態のまま苗植付作業すると、苗が深く植えられたり逆に浅く植えられたりする等の植付不良が生じる虞れが高かった。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、圃場面に車輪跡等の凹凸が残っている虞れのある畦際等での苗植付も良好に行うことができる乗用型田植機の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】(構成) 本発明の請求項1にかかる乗用型田植機は、植付泥面を整地する整地ローラを、苗植付装置における泥面位置検出用の整地フロートの前方で、走行機体の左右一対の車輪間に位置させて配設してあることを特徴構成とする。
【0006】(作用) 本発明の請求項1にかかる構成によれば、先に整地ローラで整地し、さらに整地フロートで整地した後に苗植付することになるから、その苗植付を行う圃場面は単に整地フロートのみで整地するよりも均された状態となっていることもあって、苗が深く植えられたり、逆に浅く植えられたりする等の不具合を回避できるものとなっている。また、機体走行時には、車輪間に位置する整地ローラが泥水が後方に流れていくのを抑制してその整地ローラの横側端より横方へ押し出すようになっているので、その泥水が整地フロート衝突したり、苗植付の妨げとなったりすることの抑制が図られることになる。尚、整地ローラとは別に整地可能な構造としてレーキを設けることも考えられるが、レーキの場合は、圃場上の夾雑物がレーキの歯に引っ掛かる虞れが高く、その夾雑物の引っ掛かりによって整地機能が低下する虞れがあるが、整地ローラであるとそのように夾雑物を引っ掛けること自体少ないとともに、例えローラに引っ掛かるようなことがあっても整地している途中で夾雑物のその引っ掛かりが解除され易いものである。
【0007】(効果) 従って、本発明の請求項1にかかる構成によれば、整地フロートの前方に整地ローラを配設するという簡単な改造により、畦際等の圃場面の比較的荒れた所に苗植付する場合でも、苗が深くあるいは浅く植え付けられるという不具合が生じることを抑制しながら、良好に苗植付できるに至った。
【0008】(構成) 本発明の請求項2にかかる乗用型田植機は、請求項1に記載のものにおいて、前記整地ローラは、前記苗植付装置におけるフィードケース及び苗植付機構への伝動ケースを支持する左右方向に沿って長尺に構成される支持フレームに装備してあることを特徴構成とする。
【0009】(作用) 本発明の請求項2にかかる構成によれば、整地ローラが、苗植付装置における支持フレームに装備されているから、苗植付装置のローリングや昇降に連動して整地ローラも変位するものとなっているとともに、強度部材である支持フレームに整地ローラが設けられることで、整地ローラの支持強度を高くできる。
【0010】(効果) 従って、本発明の請求項2にかかる構成によれば、苗植付装置の姿勢変更に連動して整地ローラの姿勢も変更されるので、整地面と植付箇所とが傾くようなずれが生じないようにできるとともに、整地ローラの支持強度を高く維持できる。
【0011】(構成) 本発明の請求項3にかかる乗用型田植機は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記整地ローラは、横軸芯周りで上下揺動自在に支持するとともに、前記整地ローラを、その揺動の下限を設定する状態で、かつ下方向きに弾性付勢してあることを特徴構成とする。
【0012】(作用) 本発明の請求項3にかかる構成によれば、整地ローラは、横軸芯周りで上下揺動自在に支持するとともに、整地ローラを、その揺動の下限を設定する状態で、かつ下方向きに弾性付勢してあるから、例えば泥中に石があって、その石に整地ローラが接触した場合でも、整地ローラは下方への付勢力に抗して上方に逃げることによって、その石との強い衝突を回避できるので、整地ローラが破損したり傷付いたりするのを抑制できるとともに、制限なく下方に揺動するものでなく、整地ローラが一定の下限位置までしか揺動できないことで、圃場における泥の硬軟の変化にかかわらず一定の均平面を形成できるようになっている。
【0013】(効果) 従って、本発明の請求項3にかかる構成によれば、圃場面を一定の均平面に形成できるとともに、整地ローラが石等に衝突してもそれによって破損したり傷付いたりすることを抑制できる利点がある。
【0014】(構成) 本発明の請求項4にかかる乗用型田植機は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のものにおいて、前記整地ローラは、非作業時には作業位置より退避可能に構成してあることを特徴構成とする。
【0015】(作用) 本発明の請求項4にかかる構成によれば、整地ローラは、非作業時には作業位置より退避可能に構成してあるから、例えば単に整地フロートのみの整地で植付しても良い場合や、植付作業自体行わないような場合には、整地ローラを整地作業する作業位置より退避させることができる。
【0016】(効果) 従って、本発明の請求項4にかかる構成によれば、整地ローラが常時整地位置にあるのでなく、整地位置から退避することも可能となっているから、整地ローラによる整地が不要な場合に、整地ローラを整地位置より退避しておくことで、その整地に要する走行負荷を軽減できる等の利点がある。
【0017】(構成) 本発明の請求項5にかかる乗用型田植機は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のものにおいて、前記整地ローラは、一部に泥水の前後での通り抜けを許す環状の凹部を形成してあることを特徴構成とする。
【0018】(作用) 本発明の請求項5にかかる構成によれば、整地ローラは、一部に泥水の前後での通り抜けを許す環状の凹部を形成してあるから、整地する際に泥水を押してその整地ローラの横端から横外側に逃がされる泥水の量を少なくできるので、整地ローラから横外方へ押し出される泥水が既植苗に対して不当に強く当たるようなことも抑制できるものとなっている。
【0019】(効果) 従って、本発明の請求項5にかかる構成によれば、既植苗を横側から押すような泥水の流れが生じるのを抑制できることで、既植苗が泥水によって倒伏する等の不具合が生じることを回避できる。
【0020】(構成) 本発明の請求項6にかかる乗用型田植機は、請求項5に記載のものにおいて、前記苗植付装置の昇降に伴って前記整地ローラとの相対位置が変わる前記苗植付装置への伝動軸の配置位置に対応して、前記凹部を前記整地ローラに設けてあることを特徴構成とする。
【0021】(作用) 本発明の請求項6にかかる構成によれば、苗植付装置の昇降に伴って整地ローラとの相対位置が変わる苗植付装置への伝動軸の配置位置に対応して、凹部を整地ローラに設けてあるから、苗植付装置を昇降させる際に、伝動軸は整地ローラの凹部に入り込めるようになっていることで、伝動軸が不当に整地ローラと干渉することを回避できるものとなっている。
【0022】(効果) 従って、本発明の請求項6にかかる構成によれば、苗植付装置の昇降時にも不当に整地ローラと伝動軸とが干渉しないものとなっているから、昇降が円滑に行えるとともに、伝動軸と整地ローラとの接触による破損を招くような不具合の発生も回避できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、乗用型田植機の一例を示している。この乗用型田植機は、左右一対の前車輪1,1及び後車輪2,2に支持された機体フレーム3に、エンジン4、搭乗運転部5及びミッションケース6等を搭載装備するとともに、その機体フレーム3の後端部に、油圧シリンダ7で昇降操作されるリンク機構8を介して苗植付装置9を装着して構成している。
【0024】そして、図1及び図2に示すように、苗植付装置9は、ミッションケース6より後方に延出される伝動軸10を介して動力入力がされるフィードケース11と、このフィードケース11によって左右に往復動可能に支持される苗のせ台12と、苗のせ台12から苗を取り出して圃場に植え付ける苗植付機構13と、この苗植付機構13に伝動する伝動ケース14と、該伝動ケース14及び前記フィードケース11を連結固定して支持する角パイプ製の支持フレーム15と、さらに前記伝動ケース14に対して連結支持される左右に3つ並設した整地フロート16C,16B,16Aとで構成している。従って、6条植え可能に左右に6つの苗植付機構13を並設しているのである。また、各整地フロート16A,16B,16Cに設けた作溝器17には、前記搭乗運転部5の後部箇所に配設装備した施肥装置18から繰り出されてブロワ19によってホース20を介して送り込まれた肥料が供給されるようにしている。
【0025】また、図1乃至図5に示すように、左右一対の後車輪2,2間に位置する状態で、植付け深さの自動調節を行うための泥面位置検出用の中央の整地フロート16Bよりも前方に、整地ローラ21を配設している。詳述すると、前記支持フレーム15の前面部にボルト22で連結固定された左右一対の取付バー23,23の前端部に、横軸芯P1周りで揺動自在にそれぞれ軸支した支持アーム24,24の前端部に横軸芯P2周りで揺動自在に揺動アーム25,25を軸支している。そして、両揺動アーム25,25の遊端部間にわたってローラ支軸26を架設するとともに、このローラ支軸26に遊転自在に外嵌する状態で左右一対の合成樹脂製のローラ体27L,27Rを小間隙28を間において左右に位置規制される状態で設けている。この小間隙28は、ローラ支軸26周りに環状の凹部を成している。前記両揺動アーム25,25のローラ体27L,27Rが設けられる側とは反対側の遊端部と、支持アーム24,24の前記横軸芯P1より後側の遊端部とにわたって、各揺動アーム25,25を下方向きに弾性付勢するための引っ張りスプリング29,29を張設している。さらに、前記支持アーム24,24のうち右側のものには、前記ローラ体27L,27Rの下限位置を設定するための、下限位置設定用レバー30を、前記横軸芯P2と同軸芯周りで揺動自在に設けているとともに、該下限位置設定用レバー30を所定位置に保持するための係止溝31を形成した板金製のガイド部材32を前記横軸芯P2より少し後方箇所で、前記支持アーム24に溶接して取り付けている。図3乃至図5に示すように、下限位置設定用レバー30の遊端部には、前記各揺動アーム25,25の下方への揺動を位置規制するためのフランジ状の受け止め部33を設けている。又、この下限位置設定用レバー30の係止溝31との係止箇所は係合用のフランジ部を設けており、そのフランジ部が係止溝31に弾性的に係合するように、下限位置設定用レバー30を板バネ部材で構成している。従って、係合溝31との係合を解除する側に操作した状態で前記横軸芯P2周りで、下限位置設定用レバー30を揺動操作して別の係合溝31に係合させることで、整地ローラ21の下限位置を変更できるようにしている。
【0026】そして、図3に示すように、植付深さを調節するための手動調節レバー34と、前記支持アーム24,24とをリンク部材35,36を介して連動連結している。これによって、この手動調節レバー34による植付深さの調節に連動してローラ体27L,27Rの接地位置も設定変更されるようになっている。すなわち、植付深さを深い側に設定するほど、整地ローラ21の整地位置、つまり整地フロート16Bの底面位置との相対位置が高くなるように設定しているのである。尚、整地ローラ21の位置は、整地フロート16Bの底面位置近くになるように設定している。
【0027】そして、図2に泥水の流れを矢印で示すように、前記左右のローラ体27L,27Rの間の小間隙28は、整地時に泥水がその間を後方に通り抜けることができる凹部を構成するものであるとともに、図6に示すように、苗植付装置9を上昇させる際に、伝動軸10がローラ体27L,27Rと干渉しないよう、その小間隙28内に伝動軸10が入り込むように位置設定して設けている。
【0028】また、図3に想像線で示すように、下限位置設定用レバー30を前記係止溝31のうち最も前側の係止溝31に係止するようにすれば、ローラ体27L,27Rが整地を行わないよう圃場泥面より浮上した姿勢となって保持されることになる。
【0029】〔別の実施の形態〕
■ 上述した実施の形態では、整地ローラの整地位置変更を苗植付深さの調節と連動するようにしたり、下限位置設定用レバーによって位置設定したりするものが例示しているが、例えば、電動モータによって揺動アームの揺動位置を変更調節可能に構成しても良い。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)5月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−332336
【公開日】 平成11年(1999)12月7日
【出願番号】 特願平10−145573