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【発明の名称】 水田作業車
【発明者】 【氏名】越智 竜児

【要約】 【課題】苗植付装置が対機体上昇作動する程、水田作業車全体の重心位置が高くなることを考慮して、警報装置を作動させる基準となる設定角を苗植付装置の対機体高さに応じて変更して、適切な警報装置の作動を行うことのできる水田作業機を提供する点にある。

【解決手段】走行機体の左右傾斜を検出する傾斜角検出センサを設け、この検出センサの傾斜角α検出結果が設定角βを越えた場合にブザーを鳴らすようにするとともに、苗植付装置Aが対機体上昇すると上昇する前の状態に比べて、設定角βを小さくするようにしてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作業装置を取り付けた走行機体の左右傾斜角を検出する検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記作業装置の走行機体に対する姿勢が基準姿勢より大きく変化した場合は、姿勢変化が小さい場合に比べて前記設定角を小さくする制御手段を設けてある水田作業車。
【請求項2】 作業装置を昇降自在に取り付けた走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記作業装置の走行機体に対する高さを検出する高さ検出手段の検出結果に基づいて前記作業装置が高位置にある場合は、低位置にある場合に比べて前記設定角を小さくする制御手段を設けてある水田作業車。
【請求項3】 作業装置を昇降自在に取り付けた走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記作業装置の走行機体に対する高さを検出する高さ検出手段の検出結果に基づいて前記作業装置が上昇限位置にある場合は設定角を小設定角にし、前記作業装置の接地状態を検出する接地状態検出手段の検出結果に基づいて前記作業装置が接地位置にある場合は前記小設定角より大きな大設定角にし、前記作業装置が前記上昇限位置と前記接地位置との中間位置にある場合には、前記設定角を前記小設定角と大設定角との中間の中設定角に設定する制御手段を設けてある水田作業車。
【請求項4】 作業装置を昇降自在に取り付けた走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記作業装置の走行機体に対する高さ位置を変更して前記作業装置を作業状態と非作業状態とに切り換える人為的操作具を設け、前記人為的操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段の作業状態検出結果に基づいて前記設定角を非作業状態の場合に比べて大きく設定する制御手段を設けてある水田作業車。
【請求項5】 作業装置を昇降自在に取り付けた走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記走行機体の走行状態を検出する走行状態検出手段を設け、前記走行状態検出手段が高速走行状態を検出したならば、低速走行状態の場合に比べて前記設定角を小さくする制御手段を設けてある水田作業車。
【請求項6】 作業装置を取り付けている走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、補助作業装置を装着した場合に、前記補助作業装置を装着しない場合に比べて前記設定角を小さくする制御手段を設けてある水田作業車。
【請求項7】 走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記走行機体の走行車輪に対して補助車輪を取り付けた場合に、補助車輪を取り付けない場合に比べて前記設定角を大きくする制御手段を設けてある水田作業車。
【請求項8】 走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記走行機体に積載される作業用消費材の積載重量、又は、操縦者の体重が小さい場合は、大きな場合に比べて前記設定角を大きくする制御手段を設けてある水田作業車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体に作業装置を取り付けている水田作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】水田作業車においても、転倒角が30度以内でしかない場合には、警報装置を取り付けて、転倒を未然に防止する観点より警報装置を作動させることが法的に義務付けられることになった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】警報装置を作動させる際に、予め一定の設定角を設定し、走行機体の傾斜角がその設定角を越えた場合に警報装置を作動させることにすると、警報装置の作動タイミングが決まってしまうことになる。しかし、走行機体が施肥装置等を並設する場合には、並設しない場合に比べて走行機体が傾斜し易い状態にあることが確かであるが、上記したように、一定角度を基準として警報装置を作動させるだけでは、走行機体の傾斜し易さ等が反映されない面があった。
【0004】本発明の目的は、走行機体の作業装置が備える条件、つまり、施肥装置等の補助装置を備えているか否か、又は、作業装置の積載重量が重いか軽いか等の条件が変化しても、その影響を考慮した警報装置の作動を行うことのできる水田作業車を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕請求項1にかかる発明による特徴構成は、作業装置を取り付けた走行機体の左右傾斜角を検出する検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記作業装置の走行機体に対する姿勢が基準姿勢より大きく変化した場合は、姿勢変化が小さい場合に比べて前記設定角を小さくする制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0006】〔作用〕ここでは、作業装置の走行機体に対する姿勢が変化する場合にも対応した警報装置の作動制御を構築する。つまり、作業装置の走行機体に対する姿勢、例えば、昇降姿勢又はローリング姿勢が基準姿勢より離れる程、走行機体の姿勢安定性が悪化する。そこで、姿勢変化が大きい場合には設定角を小さくして、傾斜角が小さな状態で警報装置を作動させるようにする。
【0007】〔効果〕これによって、作業装置を含めた水田作業車全体として傾斜し易いか否かという傾向に対応した警報装置の作動タイミングを設定できて、走行安定性を確保できるに至った。
【0008】請求項2にかかる発明の目的は、請求項1と同様である。
【0009】〔構成〕請求項2にかかる発明による特徴構成は、作業装置を昇降自在に取り付けた走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記作業装置の走行機体に対する高さを検出する高さ検出手段の検出結果に基づいて前記作業装置が高位置にある場合は、低位置にある場合に比べて前記設定角を小さくする制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】〔作用効果〕この発明においては、作業装置を上昇作動させる場合には走行機体の安定性が悪化することになるので、設定角を小さく採って、小さな傾斜角の段階で警報装置を作動させ、走行機体傾斜が修正不能な状態に陥ることを阻止する。これによって、作業装置の昇降作動があっても、それに対応した警報装置の作動を確保することができるに至った。
【0011】〔構成〕請求項3にかかる発明による特徴構成は、作業装置を昇降自在に取り付けた走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記作業装置の走行機体に対する高さを検出する高さ検出手段の検出結果に基づいて前記作業装置が上昇限位置にある場合は設定角を小設定角にし、前記作業装置の接地状態を検出する接地状態検出手段の検出結果に基づいて前記作業装置が接地位置にある場合は前記小設定角より大きな大設定角にし、前記作業装置が前記上昇限位置と前記接地位置との中間位置にある場合には、前記設定角を前記小設定角と大設定角との中間の中設定角に設定する制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】〔作用効果〕この発明においては、作業装置が上昇限位置にあるとき、接地状態にあるとき、上昇限位置と接地状態との中間に位置する状態にあるときで、設定角を変更する。つまり、畦越え時に作業装置が上昇限位置に有る場合には、設定角を小設定角にして傾斜角の小さい内に警報装置を作動させて操縦者の修正措置を早期に行えるようにするとともに、走行機体の安定性が高い接地状態に近い程設定角を中設定角、大設定角にして、頻繁な警報作動があるのを阻止する。
【0013】〔構成〕請求項4にかかる発明による特徴構成は、作業装置を昇降自在に取り付けた走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記作業装置の走行機体に対する高さ位置を変更して前記作業装置を作業状態と非作業状態とに切り換える人為的操作具を設け、前記人為的操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段の作業状態検出結果に基づいて前記設定角を非作業状態の場合に比べて大きく設定する制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】〔作用効果〕作業装置は作業状態では非作業状態に比べて走行機体に対して低い位置にあるので、走行安定性が高い。したがって、人為的操作具の操作位置を検出することによって、作業状態であれば設定角を大きくして、頻繁な警報装置の作動を抑えるとともに、走行安定性が悪化する非作業状態においては、設定角を小さくして、作業装置の作業状態に対応した警報制御が可能になる。
【0015】〔構成〕請求項5にかかる発明による特徴構成は、作業装置を昇降自在に取り付けた走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記走行機体の走行状態を検出する走行状態検出手段を設け、前記走行状態検出手段が高速走行状態を検出したならば、低速走行状態の場合に比べて前記設定角を小さくする制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0016】〔作用効果〕走行状態が高速になる程、走行機体の機体安定性が悪くなるので、その点を考慮して、警報装置を作動させる設定角を、走行状態が高速になる程小さくして、走行状態に対応した警報制御が可能になる。
【0017】〔構成〕請求項6にかかる発明による特徴構成は、作業装置を取り付けている走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、補助作業装置を装着した場合には、前記補助作業装置を装着しない場合に比べて前記設定角を小さくする制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0018】〔作用効果〕補助作業装置を取り付けると、水田作業車としての嵩が大きくなるとともに補助作業装置の分だけ重量が嵩み、さらに、重心等が高くなることになるので、機体の安定性は悪化する。そこで、補助作業装置を取り付ける場合には、前記設定角を小さくして、早期に警報装置を作動させることによって、対応措置を適切な時期に行えるようにする。
【0019】〔構成〕請求項7にかかる発明による特徴構成は、走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記走行機体の走行車輪に対して補助車輪を取り付けた場合に、補助車輪を取り付けない場合に比べて前記設定角を大きくする制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0020】〔作用効果〕水田作業時の推進力を大きくする為に、補助車輪を取り付ける場合があるが、この場合には、推進力が大きくなることは勿論であるが、機体安定性の面からもその補助車輪が有効に働き、機体の安定性は良化する。そこで、補助車輪を取り付ける場合には、前記設定角を大きくして、警報装置の頻繁な作動を阻止して、限界傾斜状態になった時に適切な対応措置を行えるようにする。
【0021】〔構成〕請求項8にかかる発明による特徴構成は、走行機体の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させるとともに、前記走行機体に積載される作業用消費材の積載重量、又は、操縦者の体重が小さい場合は、大きな場合に比べて前記設定角を大きくする制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0022】〔作用効果〕補助作業装置以外に作業用消費材や操縦者の体重増も、水田作業車全体からみて機体重量増になるので、この場合には、重心位置が変動して機体安定性が低下することもある。そこで、作業用消費材や操縦者の体重等を考慮して、機体重量減になる場合には前記設定角を大きくして、警報装置の頻繁な作動を阻止して、限界傾斜状態になった時に適切な対応措置を行えるようにする。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施の形態)図1に示すように、ステアリング操作される駆動型の前輪1、及び、駆動型の後輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4を搭載すると共に、走行機体3の中央部にステアリングハンドル5、操縦席6を配置し、走行機体3の後端部に対しリフトシリンダ7で駆動昇降する平行四連リンク機構8を介して作業装置としての苗植付装置Aを連結して水田作業車としての田植機を構成する。
【0024】苗植付装置Aは苗載せ台9に載置されたマット状苗Wを機体の走行速度と同期して回転するロータリケース10に備えた植付アーム11によって切出して圃場面に植え付ける作動を行う系を備えると共に、下部に複数の整地フロート12を備えて4条植え用に構成されている。この田植機においては、苗植付装置Aの後方に施肥装置Bとさらにその後方に薬剤散布装置Cを搭載可能であり、エンジン4をカバーする運転ボンネット26の両側方位置には、予備苗載せ台27を取り付けてある。後輪2には、その後輪2を支持する回転軸に対して補助車輪28を取り付けることができるようにしてあり、その補助車輪28を並設できるようにしてある。
【0025】走行操作用として次のような操作具が設けてある。まず、図1及び図7に示すように、エンジン4の下方にミッションケース29を配置し、これらに亘ってベルト無段変速装置30を掛け渡して副変速装置を形成し、操縦席6の左側方に副変速レバー31を設けてある。前後進を切り換える主変速装置をミッションケース29内に設け、運転ボンネット26の左側面に主変速レバー32を設けてある。操縦席6の右側には、ミッッションケース29内の植付クラッチ33を切り操作するとともに、苗植付装置Aの昇降を行う昇降バルブ34を制御する人為的操作具としての植付クラッチレバー35を設けてある。この植付クラッチレバー35は、図7に示すように、苗植付装置Aを植付位置、下降位置、上昇位置に任意に設定するように構成されており、自動位置に設定すると、苗植付装置Aを強制的に上限位置と植付位置とに切り換える強制昇降操作具36の操作が可能な構成を採っている。
【0026】センサの構造について説明する。図2及び図7に示すように、苗植付装置Aの植付深さを一定に維持する昇降制御について説明する。整地フロート12の中間位置に設けたフロートを昇降制御用のセンサフロート12Aとして、後支点周りで上下揺動可能に支持し、センサフロート前端部の揺動量を検出してセンサフロート12Aと苗植付装置Aの植付ケース37との上下間隔を一定に維持する昇降制御用の検出手段を設ける。この検出手段をフロートセンサ38と称する。このフロートセンサ38の対植付ケース37との相対高さを決めて昇降制御の感度を設定する昇降用感度設定器39を設けてある。一方、昇降用平行四連リンク機構8に対しては、そのリンク機構8の昇降作動量を検出するリンクセンサ40と、リンク機構8が上限位置に至ったことを検出するリンク上限スイッチ41とを設ける。リンクセンサ40及びリンク上限スイッチ41を苗植付装置Aの対機体高さを検出する高さ検出する手段と称する。走行変速位置を知るために、副変速レバー31の操作位置を検出する走行変速位置検出センサ42を設ける。
【0027】次に補助作業装置を装着しているかいないかを判断するセンサ構造について説明する。このセンサとしては、図7に示すように、施肥装置Bが装着された否かを検出する施肥装置装着スイッチ43、薬剤散布装置Cが装着された否かを検出する薬剤散布装置装着スイッチ44、補助車輪28が装着されているか否かを検出する補助車輪装着センサ45を設ける。また、作業用消費材が存在するか否か又はどれ位消費しているか否かを検出するセンサ構造について説明する。ここで検出の対象になるものは、苗載せ台9上の苗量、予備苗載せ台27上の予備苗量、施肥装置Bの貯留ホッパ内の肥料量、薬剤散布装置Cの貯留ホッパ内の薬剤量、を夫々検出するセンサ46,47,48,49を設け、さらに、作業用消費材ではないが、操縦者の体重を検出するセンサ50も設ける。これらに使用されるセンサとしては、圧電素子等の感圧式センサを用いることができる。苗載せ台9上に苗が存在するか否かの判断については、従来より、苗載せ台9には、苗補給のタイミングを図る為に、苗載せ台上の苗に接触してその存否を図る接触センサがある。したがって、苗の存在の有無のみによって設定角を変更する場合には、このセンサを兼用してもよい。
【0028】次に、苗植付装置Aのローリング制御について説明する。図3に示すように、平行四連リンク機構8の後リンク8Aに対してボス部8aを介して苗植付装置Aのフィードケース16をローリング作動自在に連結して、苗植付装置Aをローリング作動自在に支持する。苗植付装置Aにおいては、苗載せ台9をスライド移動自在に支持する支持フレーム18を設け、支持フレーム18にスライド自在に載置された苗載せ台9の補強フレーム9Aの左右端と、縦リンク8Aに設けたローリング駆動機構19とを付勢バネ20、20で連結する。ローリング駆動機構19は、縦リンク8Aに固定したブラケット19Aと、ブラケット19Aに掛け渡したネジ軸19Bと、ネジ軸19Bをその軸芯周りに駆動するモータ19Dと、ネジ軸19Bに螺合してスライド移動する移動体19Cとからなる。移動体19Cに左右の付勢バネ20,20を連結し、移動体19Cの左右移動に伴って移動方向に苗植付装置Aを傾斜させるように構成してある。上記のように構成された支持フレーム18に苗植付装置Aのローリング作動を検出するローリングセンサ15を取り付けるとともに、苗植付装置Aの左右傾斜姿勢を設定するローリング設定器17を設け、ローリング設定器17での傾斜設定値となるようにローリング駆動機構19を作動させて、苗植付装置Aのローリング姿勢を設定する。
【0029】走行機体3の構造について説明する。図1及び図4に示すように、左右一対のメインフレーム13,13を機体前後方向に亘って配置し、左右向き姿勢の複数の継ぎフレーム14によって左右のメインフレーム13,13を連結して基本的な枠組を構成している。メインフレーム13は、前端より中間部までは一定高さで形成され、その中間部より後端に亘っては上端縁を大きく立ち上げた高さの嵩高部分に形成されており、一枚板で一体型成形して作られている。メインフレーム13の下端部13Aは、前後端に亘って一定高さのチャンネル状断面部に膨出形成されており、このチャンネル部分に同様のチャンネル断面形状の補強部材13Bを抱き合わせ固定して、箱型状の断面部を形成し、板製ではあるが強度を高める構成を採っている。
【0030】次に、走行機体3の転倒を回避する制御構造について説明する。図4に示すように、メインフレーム13の嵩高部分の上端部に操縦席6を取り付けるとともに、操縦席6の下方で左右のメインフレーム13,13同士を連結する継ぎフレーム14上に、走行機体3の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段としての重錘式の左右傾斜センサ21を取り付けてある。転倒を回避する制御を行う為の制御機器として、警報音を発生させるブザー(警報装置の一例)22を設けるとともに、左右傾斜センサ21の検出結果が一定角度を越えた場合に、ブザー22を鳴らすことにするが、前記した一定角度を設定する傾斜角設定器23を設けて、任意に操縦者が設定できるようにする。傾斜角設定器23としては、ポテンショメータ式のものが使用される。警報装置としてはブザーを鳴らすようにしてあるが、鳴らし方としては連続音だけでなく間欠的に鳴らすものでもよい。それから、ブザーだけでなく、操縦部の操作パネル25に文字や図柄を表示する方法も併用する。
【0031】田植機において、左右傾斜が大きくなって転倒に至る時点での走行機体3の左右傾斜角つまり転倒角が30度以内のものについては、警報装置を作動させる等の何らかの措置を採ることが法的に要求されているが、ここでは15度を設定角として15度を越える場合には操縦者に注意を喚起すべく下記のような制御を行うこととする。図8に示すように、基本的な制御形態としては、傾斜センサー21の傾斜角αと傾斜角設定器23の設定角βとを制御手段としての制御装置24で比較して、傾斜角αが設定角βを越えると、警報装置22を作動させる制御を行う(#100、102、#107、#108)。
【0032】そして、苗植付装置Aの対走行機体高さによって設定角βを変更して、苗植付装置Aの高さが高くなる程、走行安定性が悪くなる傾向に対応する制御形態を構築する。その為の制御を(#102〜#106)に記載する。つまり、苗植付装置Aが上昇した場合には、(#103)で示すように、リンクセンサの検出値である苗植付装置Aの高さに基づく後記する差分が正となるので(#106)、設定値βより補正値f(γ)を減じて、警報装置22を小さな傾斜角においても作動させるようにして所謂制御感度を鈍感にするようにする。反対に、苗植付装置Aが下降した場合には、差分が負となるので(#103、#104)設定値に補正値f(γ)を加えて、警報装置22を傾斜角が大きくならなければ作動しないようにして、所謂制御感度を鈍感にするようにする。ここで、苗植付装置Aが上昇した場合、又は、下降した場合を判断するには、#103で示すΔγ:差分によって行うが、Δγ:差分とは、測定する際のリンクセンサ40値γ1とそれより以前に測定した値γ2との差分Δγ=γ1−γ2をいう。補正値f(γ)については、図6に示すように、苗植付装置Aの高さに応じて一次関数として与えられるが、補正値をマップデータとして保有していてもよい。
【0033】(第2実施の形態)この制御では、整地フロート12が接地している場合つまり植付作業中である場合、圃面上に苗植付装置Aが位置する場合、さらに苗植付装置Aが上昇限にある場合の三段階に分けて、設定角βを設定する方法を示す。整地フロート12が接地しているか否かは、前記したフロートセンサ38を利用する。図9に示すように、リンク上限スイッチ41が作動して、苗植付装置Aが上限にあるか否かをみて、上限にあるならば設定角βより補正値2を減じて、傾斜角が小さなうちに警報を作動させるようにする(#203、#207〜#209)。フロートセンサ38がセンサフロート12Aの接地状態を検出したならば、設定角βを補正しないで使用する(#206)。尚、センサフロート12Aの接地状態は、センサフロート12Aが前上がり状態を示した場合に接地しているとする。リンク上限スイッチ41もセンサフロート12Aも作動していない場合には、圃面上に苗植付装置Aがあるものとして、設定角βに補正値1を減じて設定角βとβ−補正値2の中間の値を採るように設定する(#204、#205)。
【0034】(第3実施の形態)この制御においては、作業状態と、非作業状態で苗植付装置Aが圃面より上昇している状態とで設定角βを切り換える構成について説明する。つまり、図10に示すように、植付クラッチレバー35への操作によって苗植付装置Aを昇降させて、作業状態と非作業状態とを切り換えることができるので、この植付クラッチレバー35への操作位置を検出する植付クラッチレバーセンサ35Aを設けて、植付クラッチレバー35の操作位置より苗植付装置Aの高さを判断する。植付クラッチレバー35の操作位置が、「下降」「植付」にある場合、また、「自動」において強制昇降操作具36が「下げ」の場合には、苗植付装置Aが作業状態にあると判断して、設定角βをその儘使用する(#300〜#303、#305)。植付クラッチレバー35の操作位置が、「下降」「植付」以外の場合、また、「自動」において強制昇降操作具36が「上げ」の場合には、苗植付装置Aが非作業状態にあると判断して、設定角βを補正値で減じて使用する(#303、#304)。
【0035】(第4実施の形態)次に、水田作業車の作業走行速度により設定角βを減少させる場合の制御について説明する。図11に示すように、作業走行速度の検出については、前後輪1,2の回転速度を直接回転センサで測定する方法も可能であるが、ここでは、作業速度を設定する副変速レバー31の操作位置を検出する走行変速位置検出センサ42を設けて、この検出結果にもとづいて設定角βの変更制御を行う。副変速レバー31の操作位置が高速位置であれば設定角βをその儘利用し、操作位置が低速位置であれば設定角βに補正値を加えて、頻繁には警報装置22が作動しないようにする(#403〜#407)。前後輪1,2の回転速度を直接検出する回転センサ、及び、副変速レバー31の操作位置を検出するセンサ、及び、主変速レバー32等の変速位置を検出するセンサを総称して、走行状態検出手段と称する。
【0036】(第5実施の形態)図12に示すように、ここでは、施肥装置B等の補助作業装置を装着しているか否かによって、設定角を変更する制御について説明する。補助作業装置等を装着した場合においては、転倒し易くなるので、設定角βをその儘使用し、補助作業装置等を装着していない場合には、転送し易さが多少緩和されるので、設定角βに補正値を加えて設定角βを大きくして、警報装置22の作動制御に使用する。装着される補助作業装置としては、図12に示すように、#502の判断要素として次のようなものを挙げることができる。
■ 施肥装置Bを併設しているか否か。
■ 薬剤散布装置Cを併設しているか否か。
■ マット状苗Wが苗載せ台9上にあるか否か。
■ 貯留ホッパ内に施肥用の肥料又は薬剤が存在するか否か。
■ 予備苗が予備苗載せ台27上に存在するか否か。
■ 補助車輪28を装着しているか否か。
■ 操縦者の体重の軽重。
以上挙げた判断要素において、それら補助作業装置が取付けられている場合には、設定角βをその儘使用する。つまり、補助作業装置が取付られていない場合に比べて、設定角を小さくして、浅い傾斜角で警報装置22を作動させて、早期に対応を採ることができるようにする。尚、フローとして明記してはいないが、■については、センサが貯留肥料等の減少状態を連続的に検出できるものであるならば、減少量に対応して、設定角βを徐々に大きくしていく制御も可能である。また、■〜■までの判断要素の複数個を選定して、それらの結果に基づいて制御を行うものでもよい。
【0037】〔別実施の形態〕
■ 傾斜センサ21の設置位置を操縦席6の下方位置に定めたものについて示したが、走行機体3に対してローリング作動する苗植付装置Aに取付け、傾斜センサ21を、苗植付装置Aのローリング作動状態を検出するローリングセンサ15で兼用する形態について説明する。苗植付装置Aを上昇限まで上昇させると、ローリング作動を規制して、苗植付装置Aと走行機体3とが一体化した動きをする。この場合の一体化手段としては、次のようなものである。図5に示すように、四連リンク機構8の縦リンク8Aとロアーリンク8Bとの連結部位近傍において、ロアーリンク8Bの先端部に、連結用ロッド51の上端部をピン連結する。連結用ロッド51の下端をフィードケース16に取り付けたブラケット52を貫通させて下方に臨ませてある。そして、ブラケット52と連結用ロッド51の中間受け板との間に第1付勢バネ53を設け、ブラケット52と連結用ロッド51の下端との間に第2付勢バネ54を設け、第1,第2付勢バネ53,54とによって、連結用ロッド51を中立付勢している。そして、図5に示すように、四連リンク機構8が上昇作動すると、ロアーリンク8Bの先端が図示するように揺動して前記した連結部位より上方に移動するので、連結用ロッド51がブラケット52に対して相対的に上方に引き上げられることになり、下側の第2付勢バネ54が圧縮されて、連結用ロッド51とブラケット52との相対移動が規制される。このような連結用ロッド51と付勢バネ53,54とからなる機構は四連リンク機構8の左右ロアーリンク8B,8Bに対応して設けてあり、この左右配置されて連結用ロッド51,51が移動を規制されることによって、苗植付装置Aのローリング作動が規制される。これによって、苗植付装置Aは走行機体3と一体になって左右に傾斜するので、ローリングセンサ15を警報装置22作動用の傾斜検出手段として兼用できる。
【0038】■ 傾斜センサ21としては、振り子とこの振り子の揺動角を検出するポテンショメータ、ロータリエンコーダ、ホール素子とを組み合わせたものでもよい。
■ 警報装置22としては、ブザーを使用する。ブザーの鳴らし方としては、連続的に鳴らしてもよいが、間欠的に鳴らしてもよい。
■ 警報装置22としては、操作パネル25に現時点の傾斜角や他の表示を表示しかつ点滅させることによって操縦者に注意を促すようにしてもよい。また、ブザーと併用してもよい。
■ 設定角βに補正値を加減して補正する形態としては、図6に示すように、関数値を使用して補正する形態を示したが、補正値をマップデータとして保有して、適宜選択して使用するようにしてもよい。
■ 上記した実施例においては、作業中であっても走行機体3に対して苗植付装置Aが上昇した場合、及び、ローリング作動した場合には、走行機体3に対する姿勢変化があるので、その姿勢変化の変化量をリンクセンサ40及びローリングセンサ15によって検出し、その変化量が大きくなると警報装置22の作動基準となる設定角βを小さく変更するようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)5月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−332334
【公開日】 平成11年(1999)12月7日
【出願番号】 特願平10−146965