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【発明の名称】 水田作業車
【発明者】 【氏名】谷 和典

【氏名】井上 信一郎

【氏名】森本 琢也

【氏名】小池 康三

【氏名】藤田 佳久

【要約】 【課題】走行車輪が拾う振動の影響を受けにくい位置に、走行機体の傾斜角検出手段を設け、傾斜角検出手段の検出作動を安定させ、走行機体の傾斜角を的確に把握して、操縦者による転倒防止処理を迅速に行える水田作業機を提供する点にある。

【解決手段】走行機体3の左右傾斜を検出する傾斜角検出センサ21を、前後車輪1,2の中間位置に設け、この検出センサ21の検出結果が設定角を越えた場合にブザー22を鳴らすようにしてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 4輪式走行機体における前後輪の中間位置に、走行機体の左右傾斜角を検出する検出手段を装備し、前記検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させる制御手段を設けてある水田作業車。
【請求項2】 前記左右後輪がローリング自在に走行機体に取り付けてある請求項1記載の水田作業車。
【請求項3】 走行機体に操縦席を設けるとともに、操縦席の下方又はその近傍に、走行機体の左右傾斜角を検出する検出手段を装備し、前記検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させる制御手段を設けてある水田作業車。
【請求項4】 走行車輪を装備し作業装置を連結した左右一対のメインフレームに亘って継ぎフレームを掛け渡し、継ぎフレームに、走行機体の左右傾斜角を検出する検出手段を装着し、前記検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させる制御手段を設けてある水田作業車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水田作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】水田作業車において、転倒を防止する観点より走行機体の左右傾斜角が30度以下のものにおいては、警報装置を装備することが法的に義務付けられることになったが、そのためには、走行機体の左右傾斜を検出する傾斜角検出手段を設ける必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】傾斜角検出手段は時々刻々変化する状態を細かく捉える必要があるところから、精密な機構で形成されるので、振動等の影響を受けやすい面がある。したがって、傾斜角検出手段の設置位置を慎重に選定する必要がある。
【0004】本発明の目的は、傾斜角検出手段の設置位置を合理的に選定し、振動等の影響を抑えて適切な検出状態を確保し、的確に警報を発生させて、転倒を未然に防止することのできる水田作業車を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕請求項1にかかる発明による特徴構成は、4輪式走行機体における前後輪の中間位置に、走行機体の左右傾斜角を検出する検出手段を装備し、前記検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させる制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0006】〔作用〕つまり、走行機体が左右傾斜してその傾斜角が設定角を越えると警報が発せられる。これを受けて操縦者は走行機体を停止するなり、進路を変更する等して、転倒を防止する対応策を採ることができる。しかも、傾斜角検出手段の設置位置は、前後車輪の中間位置に設定してあるので、振動源であるいずれの車輪からも離れた位置に設定されていることになり、振動の影響を受けにくい状況にある。したがって、傾斜角検出手段の誤作動が少なくなる。
【0007】〔効果〕これによって、走行機体の傾斜状態を正確に把握でき、操縦者の対応が遅れるといった点を抑えることができる。特に、水田作業車においてはラグ付車輪を装着してグリップ力の増大を図るものであるが、車輪の接地面がラグ取り付け部と他の部分とで異なり、走行機体の走行につれて車輪の振動(例えば、ゴトゴト音を伴った振動)が発生する。水田内での走行中においては車輪の振動はそんなに大きくはならないが、畦越え時等においては走行面が不整地状態にあるのでその振動が大きくなり、傾斜角検出手段に影響し検出性能を悪化させる。このように、ラグ付車輪を装着する場合においても、傾斜角検出手段を前後車輪の中間位置に設けてあるので、車輪からの振動が伝播しにくく、傾斜角検出手段の検出性能を維持できる。
【0008】請求項2にかかる発明の目的は、請求項1と同様である。
【0009】〔構成〕請求項2にかかる発明による特徴構成は、請求項1にかかる発明による特徴構成において、前記左右後輪がローリング自在に走行機体に取り付けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】〔作用効果〕左右後輪をローリング作動させて接地追従性を向上させることができるとともに、ローリング構造を採用することによって多少剛性が劣り振動を誘発し易いものであるが、左右後輪より離れた位置に傾斜角検出手段を設けてあるので、ローリング作動時のガタツキや振動等の影響は受けにくい。
【0011】〔構成〕請求項3にかかる発明による特徴構成は、走行機体に操縦席を設けるとともに、操縦席の下方又はその近傍に、走行機体の左右傾斜角を検出する検出手段を装備し、前記検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させる制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】〔作用効果〕検出手段の設置位置が操縦席の下方又はその近傍であるので、走行機体の傾斜に対して操縦席と検出手段とは同様の一体的な動きを示すことになる。したがって、操縦者が感じとる走行機体の傾斜感と実際の走行機体の傾斜との間に食い違いが少なく、操縦者の体感に近い制御が可能となる。
【0013】〔構成〕請求項4にかかる発明による特徴構成は、走行車輪を装備し作業装置を連結した左右一対のメインフレームに亘って継ぎフレームを掛け渡し、継ぎフレームに、走行機体の左右傾斜角を検出する検出手段を装着し、前記検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させる制御手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】〔作用効果〕左右一対のメインフレームと一体化された継ぎフレームに検出手段を取り付けているので、検出手段の取り付け対象を強度のあるフレームに設定できて、他の機器から伝達される振動の影響を受けにくい。しかも、検出手段と制御手段を連結するハーネス等の配置スペースを両メインフレームに求めることができ、ハーネスの分散配置構成が可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ステアリング操作される駆動型の前輪1、及び、駆動型の後輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4を搭載すると共に、走行機体3の中央部にステアリングハンドル5、操縦席6を配置し、走行機体3の後端部に対しリフトシリンダ7で駆動昇降する平行四連リンク機構8を介して苗植付装置Aを連結して水田作業車としての田植機を構成する。苗植付装置Aは苗載せ台9に載置されたマット状苗Wを機体の走行速度と同期して回転するロータリケース10に備えた植付アーム11によって切出して圃場面に植え付ける作動を行う系を備えると共に、下部に複数の整地フロート12を備えて4条植え用に構成されている。
【0016】走行機体3の構造について説明する。図3及び図4に示すように、左右一対のメインフレーム13,13を機体前後方向に亘って配置し、左右向き姿勢の複数の継ぎフレーム14によって左右のメインフレーム13,13を連結して基本的な枠組を構成している。メインフレーム13は、前端より中間部までは一定高さで形成され、その中間部より後端に亘っては上端縁を大きく立ち上げた高さの嵩高部分に形成されており、一枚板で一体型成形して作られている。メインフレーム13の下端部13Aは、前後端に亘って一定高さのチャンネル状断面部に膨出形成されており、このチャンネル部分に同様のチャンネル断面形状の補強部材13Cを抱き合わせ固定して、箱型状の断面部を形成し、板製ではあるが強度を高める構成を採っている。
【0017】メインフレーム13の後端部13Bにも、前記と同様の箱型状の断面部を形成してあり、そのメインフレーム13の後端部13Bより横側方に突出した支持ピン16を介してリンク機構8のロアーリンク前端を回動自在に支持するとともに、支持ピン16より上方に設けたボス部15を介してリンク機構8のアッパリンク前端を回動自在に支持して、メインフレーム13でリンク機構8を支持する構成を採っている。
【0018】図3及び図4に示すように、左右メインフレーム13の嵩高部分同士の下端部を左右方向で繋ぐ状態で、前後一対のブラケット17,17を設け、これらブラケット17,17に対して後輪2,2を備えている後車軸ケース18を機体前後軸芯X周りでローリング作動自在に支持している。後車軸ケース18は、前端部のボス部を前ブラケット17に内嵌枢支し、後端部のボス部内に支持軸20を内嵌して、ローリング作動自在に構成してある。左右一対のスプリング(図示せず)で後車軸ケース18を中立姿勢に付勢するようにしてある。
【0019】次に、走行機体3の転倒を回避する制御構造について説明する。図3及び図4に示すように、メインフレーム13の嵩高部分の上端部に操縦席6を取り付けるとともに、操縦席6の下方で左右のメインフレーム13,13同士を連結する継ぎフレーム14上に、走行機体3の左右傾斜角を検出する傾斜角検出手段としての重錘式の左右傾斜センサ21を取り付けてある。転倒を回避する制御を行う為の制御機器として、転倒を回避させる為のブザー音を発生させるブザー(警報装置の一例)22を設けるとともに、左右傾斜センサ21の検出結果が一定角度を越えた場合に、ブザー22を鳴らすことにするが、前記した一定角度を設定する傾斜角設定器23を設けて、任意に操縦者が設定できるようにする。傾斜角設定器23としては、ポテンショメータ式のものが使用される。警報装置としてはブザーを鳴らすようにしてあるが、鳴らし方としては連続音だけでなく間欠的にならすものでもよい。それから、ブザーだけでなく、操縦部の操作パネルに文字や図柄を表示するものを警報装置としてもよく、さらに、ブザーと表示とを併用するものを纏めて警報装置としてもよい。
【0020】田植機において、左右傾斜が大きくなって転倒に至る時点での走行機体3の左右傾斜角つまり転倒角が30度以内のものについては、警報装置を作動させる等の何らかの措置を採ることが要求されているが、ここでは15度を設定角として15度を越える場合には操縦者に注意を喚起すべく下記のような制御を行うこととする。図6に示すように、傾斜角検出手段21の検出値α1と傾斜角設定器23の設定値α2とを制御手段としての制御装置24で比較して、検出値α1が設定値α2を越えると、警報装置22を作動させる制御を行う。
【0021】〔別実施の形態〕
■ 振り子25とリミットスイッチ26とを利用した傾斜センサ21について説明する。図7乃至図9に示すように、前記した操縦席6の下方で前記嵩高部分の上端同士を連結する上端継ぎフレーム14に対して振り子25を機体前後軸芯周りで左右揺動自在に支持する。この振り子25の左右位置にリミットスイッチ26,26を配置し、振り子25でリミットスイッチ26を操作するようにしてある。振り子25には、左右一対の付勢バネ27,27を架張し、振り子25の振動抑制を図るとともに、振り子25の左右揺動端を規制する規制部28,28を設けてある。
■ 振り子25の振動抑制を図る為に、前記バネ27の代わりに、揺動軸芯位置にゴムや皿バネ等を装着してもよい。
■ 傾斜センサ21の設置位置を操縦席6の下方位置に定めたものについて示したが、前後輪1,2の中間位置にあればよい。
■ 左右後輪2がローリング自在である構成について説明したが、必ずしも、後輪2がローリング可能である必要はない。
■ 傾斜センサ21としては、振り子25とこの振り子25の揺動角を検出するポテンショメータ、ロータリエンコーダ、ホール素子とを組み合わせたものでもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)5月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−332332
【公開日】 平成11年(1999)12月7日
【出願番号】 特願平10−145572