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【発明の名称】 乗用田植機
【発明者】 【氏名】井上 信一郎

【氏名】増留 淳

【氏名】藤田 佳久

【要約】 【課題】苗植付け装置のローリング調整を確実容易に行うことができるようにする。

【解決手段】乗用走行機体4の後部に昇降リンク機構6を介して苗植付け装置7を昇降自在に連結するとともに、前記昇降リンク機構6に対して前記苗植付け装置7をローリング自在に連結し、傾斜センサ35の検出結果に基づいて前記苗植付け装置7をローリング制御するよう構成した乗用田植機において、乗用走行機体4の後部に備えた運転座席3の後方にローリング調整用の操作ユニット36を配備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 乗用走行機体の後部に昇降リンク機構を介して苗植付け装置を昇降自在に連結するとともに、前記昇降リンク機構に対して前記苗植付け装置をローリング自在に連結し、傾斜センサの検出結果に基づいて前記苗植付け装置をローリング制御するよう構成した乗用田植機において、乗用走行機体の後部に備えた運転座席の後方にローリング調整用の操作ユニットを配備してあることを特徴とする乗用田植機。
【請求項2】 前記昇降リンク機構の後端に備えたローリング支点部材の上部に前記操作ユニットを配備してある請求項1記載の乗用田植機。
【請求項3】 前記昇降リンク機構の後部にローリング制御用の駆動ユニットを配備するとともに、この駆動ユニットに近接して前記操作ユニットを配備してある請求項1記載の乗用田植機。
【請求項4】 前記駆動ユニットと前記ローリング操作ユニットとを一体化してある請求項3記載の乗用田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用走行機体の後部に昇降リンク機構を介して苗植付け装置を昇降自在に連結するとともに、前記昇降リンク機構に対して前記苗植付け装置をローリング自在に連結し、傾斜センサの検出結果に基づいて前記苗植付け装置をローリング制御するよう構成した乗用田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】苗植付け装置をローリング制御するよう構成した乗用田植機においては、苗植付け装置のローリング姿勢を設定したり任意に調整固定する操作ユニットが装備されるのが一般的であり、従来では、運転座席の横脇などに装備されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記ローリング調整用の操作ユニットを操作する場合、運転者は苗植付け装置を見るために身体を後方に向けながら運転座席横脇の操作ユニットの操作を行うことになり、操作ユニットのスイッチやダイヤルの操作が行いにくかったり、これらを見ないで操作するために誤操作をもたらすこともあった。
【0004】本発明は、このような点に着目してなされたものであって、苗植付け装置のローリング調整を確実容易に行うことができるようにすることを主たる目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0006】(構成) 請求項1に係る発明は、乗用走行機体の後部に昇降リンク機構を介して苗植付け装置を昇降自在に連結するとともに、前記昇降リンク機構に対して前記苗植付け装置をローリング自在に連結し、傾斜センサの検出結果に基づいて前記苗植付け装置をローリング制御するよう構成した乗用田植機において、乗用走行機体の後部に備えた運転座席の後方にローリング調整用の操作ユニットを配備してあることを特徴とする。
【0007】(作用) 上記構成によると、ローリング調整操作を行う場合、運転者は後向きになった体勢で苗植付け装置および操作ユニットを見て調整操作を行うことができる。
【0008】(効果) 従って、請求項1に係る発明によれば、苗植付け装置と操作ユニットを同じ体勢で見ることができるので、操作ユニットが運転座席横脇に在る場合に比較して、ローリング調整操作を楽な姿勢で誤操作なく的確容易に行えるようになった。
【0009】〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0010】(構成) 請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、前記昇降リンク機構の後端に備えたローリング支点部材の上部に前記操作ユニットを配備してある。
【0011】(作用・効果) 上記構成によると、操作ユニットをローリング作動しない高位に配備でき、後方を向いての調整操作が楽に行える。
【0012】〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕
【0013】(構成) 請求項3に係る発明は、請求項1記載の発明において、前記昇降リンク機構の後部にローリング制御用の駆動ユニットを配備するとともに、この駆動ユニットに近接して前記操作ユニットを配備してある。
【0014】(作用・効果) 上記構成によると、両ユニット間の配線接続距離が短いものとなり、断線事故などの発生を抑制して安全性を高めることができる。
【0015】〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕
【0016】(構成) 請求項4に係る発明は、請求項3記載の発明において、前記駆動ユニットと前記ローリング操作ユニットとを一体化してある。
【0017】(作用・効果) 上記構成によると、配線を露出させることなく両ユニットの電気的接続を行うことができるので、他物との接触による断線やショート事故を無くすことができ、一層安全性に優れたものとなる。また、一体ユニットとして取り扱うことができるので、機体への組付け作業性にも優れたものとなる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1に、乗用田植機の全体側面図が示されている。この乗用田植機は、操向前輪1と後輪2とを備えるとともに、後部に運転座席3を備えた4輪駆動型の乗用走行機体4の後部に、油圧シリンダ5よって駆動される平行四連リンク構造の昇降リンク機構6が備えられ、この昇降リンク機構6の後端に4条植えの苗植付け装置7が連結された構造となっている。
【0019】前記苗植付け装置7は、4条分の苗を載置して一定ストロークで往復横移動される苗のせ台8と、この苗のせ台8の下端から1株分づつ苗を切り出して圃場面に植付けてゆく4条分の回転式植付け機構9と、各植付け面を整地するべく並列配備された3つの整地フロート10とを備えている。
【0020】なお、この苗植付け装置7の下部には角パイプ状の主フレーム11が横架されるとともに、その左右両端部から支柱12が立設され、支柱12の上端に設けたスライダ13が苗のせ台8の背面上部に横架された補強ステー14に横スライド可能に係合されており、横移動する苗のせ台8の荷重が左右の支柱12で受け止め支持されるようになっている。
【0021】周知の構成であるために詳細な構造は省略するが、並列された3つの整地フロート10のうちの中央の整地フロート10(S)は、乗用走行機体の浮沈や前後傾斜にかかわらず苗植付け装置7を圃場面Tに対して所定高さに維持する昇降制御を行うためのフロートセンサとして利用されるものであり、接地圧の変動によってフロートセンサ10(S)が後部支点a周りに上下揺動変位すると、この変位が前記油圧シリンダ5の制御弁にワイヤを介して伝達され、フロートセンサ10(S)の上下変位方向と同方向に苗植付け装置7を昇降作動させるよう構成されている。例えば、苗植付け装置7が圃場面に沈下しかかるとフロートセンサ10(S)が上方に揺動変位し、昇降リンク機構6を上昇させるように油圧シリンダ5が短縮駆動される。また、苗植付け装置7が圃場面から浮上しかかるとフロートセンサ10(S)が下方に揺動変位し、昇降リンク機構6を下降させるように油圧シリンダ5が伸長駆動され、もって、常に苗植付け装置7が圃場面Tに対して所定高さに維持されるようになっている。
【0022】また、前記昇降リンク機構6は、前端がそれぞれ機体側に枢支連結されたアッパーリンク21およびロアーリンク22と、これらの後端同志を枢支連結する縦リンク23とからなり、この縦リンク23の下端部に連設したボス24に、前記苗植付け装置7が前後支点P周りにローリング自在に支持されている。また、縦リンク23の上部には苗のせ台8と略平行にブラケット25が上方に向けて延出され、その上端部に苗植付け装置7のローリング制御を行う駆動ユニット26が取付けられている。
【0023】図2に示すように、前記駆動ユニット26は、電動モータ27と、これによって正逆に回転駆動される横向きのネジ軸28と、このネジ軸28の正逆回転に伴って左右にネジ送り移動される可動体29、からなり、苗のせ台8の背面に設けた前記補強ステー14の両端と前記可動体29とが左右一対のバネ30を介して連結されている。そして、可動体29が左右にネジ送り移動されることで、苗植付け装置7全体がバネ30を介して左右に引き動かされて支点P周りにローリングするよう構成されている。なお、電動モータ27およびネジ軸28の周囲はカバーケース31,32で覆われている。
【0024】なお、前記主フレーム11に連結された植付けフィードケース45の側面には、往復螺旋溝を備えた送り軸46が突出され、この送り軸46の一定方向回転に伴って往復移動される可動部材47が苗のせ台8の背面に連結されることで、苗のせ台8が一定ストロークで往復横移動されるようになっており、この苗のせ台8の横移動によって苗植付け装置7全体の支点P周りの左右重量バランスが崩れ、苗のせ台移動方向に向けて苗植付け装置7が傾動しようとするが、苗のせ台8の横移動によってその移動方向と反対側のバネ30が伸ばされ、このバネ30の弾性引張力による引き戻し作用で苗植付け装置7の左右重量バランスの崩れが修正され、苗のせ台8が横移動することによる不当な左右ローリングが抑制されるようになっている。
【0025】また、前記支柱12の一方には左右傾斜を電気的に連続検出する傾斜センサ35が設けられ、この傾斜センサ35での検出結果に基づいて前記駆動ユニット26を作動させるローリング制御が行われるようになっている。
【0026】つまり、苗植付け装置7が略左右水平状態にあると、傾斜センサ35の検出結果が水平を含む基準角度範囲にあり、この時、駆動ユニット26は停止されている。そして、乗用走行機体4が耕盤の凹凸や起伏などによって左右に傾斜する等して苗植付け装置7が左右いずれかに基準角度範囲を越えて傾斜すると、これが傾斜センサ35で検出され、基準角度範囲内に戻るよう駆動ユニット26が正あるいは逆に作動されるのである。
【0027】また、前記駆動ユニット26における電動モータ27とネジ送り機構部分軸部とがなす角部に、ローリング調整用の操作ユニット36が設けられている。この操作ユニット36は、その操作面が前方に向かう姿勢に設置され、その操作面には3つのボタンスイッチ37,38,39が備えられている。ここで、中央のボタンスイッチ37は自動ローリング制御起動用、左右のボタンスイッチ38,39はそれぞれ人為設定用であり、中央のボタンスイッチ37が押し操作されると自動ローリング制御モードとなり、苗植付け装置7は傾斜センサ35の検出結果に基づいて上記のように自動ローリング制御されて左右水平姿勢に維持される。また、左右いずれかのボタンスイッチ38,39が押し操作されると、その時点から手動ローリング調整モードとなり、ボタンスイッチ38またはボタンスイッチ39が押されている間だけ駆動ユニット26が正あるいは逆に強制作動されて、苗植付け装置7が左方あるいは右方に傾斜され、押し操作を解除したところで駆動ユニット26が停止して苗植付け装置7はその時の傾斜姿勢に保持される。そして、中央のボタンスイッチ37を押し操作すれば再び自動ローリング制御モードとなる。
【0028】また、操作ユニット36の操作面には、ボタンスイッチ37,38,39が不用意に操作されるのを防止するために揺動開閉可能なカバー40が備えられている。なお、この駆動ユニット26と操作ユニット36は一体化されて互いに内部配線で接続された構造となっており、図4に示すように、乗用走行機体4の電源と、苗植付け装置7の傾斜センサ35が操作ユニット36に内蔵された制御装置41に外部配線によって接続されている。
【0029】〔別実施形態〕本発明は、以下のような形態で実施することも可能である。
■ 駆動ユニット26と操作ユニット36とを別体構造とし、それぞれを互いに接近させてブラケット25に取付け、両ユニット26,36を短い外部配線で接続するよう構成してもよい。
■ 中央のセンサフロート10(S)の上下変位をポテンショメータなどの電気式センサで検知するとともに、昇降リンク機構6を駆動する油圧シリンダ5の制御弁を電磁制御弁で構成し、苗植付け装置7の自動昇降制御を電気式に行うよう構成した機種に本発明を適用することもできる。
■ ローリング制御を行う傾斜センサ35を乗用走行機体4側に設け、機体傾斜角に応じた角度だけ苗植付け装置7を傾斜修正する形態で自動ローリング制御を実施することもできる。
■ 操作ユニット36に、自動ローリング制御モードにおける制御目標となる基準角度を任意に調整設定するダイヤルなどの設定器を備えるもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)5月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−332330
【公開日】 平成11年(1999)12月7日
【出願番号】 特願平10−146962