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【発明の名称】 施肥機構における流動性肥料の供給器
【発明者】 【氏名】梶谷 博正

【氏名】近藤 健一

【要約】 【課題】肥料袋内の流動性肥料を清潔に、且つ効率よく排出せしめる施肥機構における流動性肥料の供給器を提供する。

【解決手段】流動性肥料が収容された肥料袋18から肥料タンク17に肥料を供給するの供給器19から肥料袋18を引き抜く際に、肥料袋18に押接して肥料袋18内の流動性肥料を絞り出す絞りスクレーパ52を、肥料袋18の引き出し方向に交差する肥料袋18の幅方向に延出させ、肥料袋18の引き出し方向Aに対して傾斜せしめて前記供給器19側に設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流動性肥料を充填した肥料タンク(17)を備え、前記流動性肥料が収容された肥料袋(18)を内装し、該肥料袋(18)から上記肥料タンク(17)に肥料を供給する供給器(19)を肥料タンク(17)側に設け、上記供給器(19)が流動性肥料排出後の肥料袋(18)を所定の一方向に引き抜き可能に内装する構造である施肥機構において、肥料袋(18)の供給器(19)からの引き抜き時に、肥料袋(18)に押接して肥料袋(18)内の流動性肥料を絞り出す絞りスクレーパ(52)を肥料袋(18)の引き出し方向に交差する肥料袋(18)の幅方向に延出させて前記供給器(19)側に設け、上記絞りスクレーパ(52)を肥料袋(18)の引き出し方向(A)に対して傾斜せしめてなる施肥機構における流動性肥料の供給器。
【請求項2】 供給器(19)に装着された肥料袋(18)の下方側に、肥料袋(18)に付着した流動性肥料を肥料袋(18)の引き出しに伴って拭き取る清掃スクレーパ(54)を肥料袋(18)に当接せしめて設けた請求項1の施肥機構における流動性肥料の供給器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は移動農機等に装着され、流動性肥料を圃場に施肥する施肥機構における流動性肥料の供給器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来田植機等の移動農機には、走行機体の走行に伴って圃場に流動性肥料を施肥する施肥機構が備えられている機種があるが、該施肥機構として流動性肥料を充填した肥料タンクを備え、流動性肥料が収容された肥料袋を内装し、該肥料袋から上記肥料タンクに肥料を供給する供給器を肥料タンク側に設け、上記供給器が流動性肥料排出後の肥料袋を所定の一方向に引き抜き可能に内装する構造のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記供給器は、供給器内に装着された肥料袋の下方側をカッタ等により切り、流動性肥料の自重により肥料袋から流動性肥料を排出させる構造のものが一般的であり、肥料袋内に流動性肥料が残るという欠点や、肥料袋側に流動性肥料が付着し、肥料袋が汚れるという欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するための本発明の施肥機構における流動性肥料の供給器は、第1に流動性肥料を充填した肥料タンク17を備え、前記流動性肥料が収容された肥料袋18を内装し、該肥料袋18から上記肥料タンク17に肥料を供給する供給器19を肥料タンク17側に設け、上記供給器19が流動性肥料排出後の肥料袋18を所定の一方向に引き抜き可能に内装する構造である施肥機構において、肥料袋18の供給器19からの引き抜き時に、肥料袋18に押接して肥料袋18内の流動性肥料を絞り出す絞りスクレーパ52を肥料袋18の引き出し方向に交差する肥料袋18の幅方向に延出させて前記供給器19側に設け、上記絞りスクレーパ52を肥料袋18の引き出し方向Aに対して傾斜せしめてなることを特徴としている。
【0005】第2に供給器19に装着された肥料袋18の下方側に、肥料袋18に付着した流動性肥料を肥料袋18の引き出しに伴って拭き取る清掃スクレーパ54を肥料袋18に当接せしめて設けたことを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】図1及び図2は本発明の供給器を採用した施肥機構を搭載した乗用田植機の左側面図及び平面図である。走行機体1が前輪2及び後輪3に支持される機体フレーム4上に構成されており、該走行機体1には前方のボンネット内にエンジン(図示せず)が内装されているとともに、該エンジンの後方に座席6等を備えた運転席7が配設されている。そして該運転席7の後方には苗載せ台8を斜設した植付用の作業機(植付作業機)9が、アッパーリンク11a及びロアリンク11bで構成される昇降リンク11を介して昇降自在に、且つローリング可能に連結されている。
【0007】上記植付作業機9は従来の乗用田植機に付設されるものと同様の構造であり、昇降リンク11が下降した作業状態で、フロート12によって圃場面に接地支持され、植付ケース(プランタケ−ス)13に備えられた植付用の植付部(ロータリ植付部)14によって植付作業を行う構造となっている。なお本実施形態の乗用田植機は、プランタケース13が3つ設けられているとともに、各プランタケース13に2つのロータリ植付部14(合計6つのロータリ植付部14)が左右に設けられており、各ロータリ植付部14に対応してペースト肥料等の流動性肥料施肥用のノズル16が複数設けられている。
【0008】このとき上記ノズル16はロータリ植付部14の側方位置にフロート12側に支持されて設けられており、フロート12の接地に際して圃場内に挿入されるようにフロート12の下面から突出せしめられているが、走行機体1の前方左右には流動性肥料であるペースト肥料を充填した肥料タンク17が備えられているとともに、該肥料タンク17の上方には図3に示されるようにペースト肥料が収容された肥料袋18を内装し、該肥料袋18から上記肥料タンク17に肥料を供給する供給器19が設けられており、該供給器19により肥料タンク17内に充填されるペースト肥料を圃場内に施肥するように構成されている。
【0009】すなわち肥料タンク17内のペースト肥料を強制的に排出せしめるペーストポンプ21が肥料タンク17下方に設けられているとともに、該ペーストポンプ21と上記ノズル16との間に、ペースト肥料を排出せしめるノズル16を選択する(ペーストポンプ21からのペースト肥料を送るノズル16を選択せしめる)インジケータ22が設けられており、上記肥料タンク17,供給器19,ペーストポンプ21,インジケータ22,ノズル16等によりペースト肥料の施肥機構23が構成されている。
【0010】そして上記施肥機構23は、供給器19内の肥料袋18からペースト肥料を肥料タンク17内に供給し、肥料タンク17内のペースト肥料をペーストポンプ21によりインジケータ22に送り、インジケータ21によりペースト肥料を排出せしめるノズル16を選択し、この選択されたノズル16からペースト肥料を排出せしめて圃場に施肥する構造となっている。
【0011】次に上記供給器19の構造について説明する。図3〜5に示されるように供給器19は前述の肥料袋18を内装するボックス状の収容部26を外装ケースとして構成されており、該収容部26がステー27,28を介して走行機体1側に支持されて、上記供給器19が走行機体1側に取り付けられている。このとき上記収容部19の上方には開閉自在に蓋29が取り付けられており、供給器19は上記蓋29を開くことで収容部26内に肥料袋18を収容することができ、且つ肥料袋18の収容後は蓋29を閉じることができるように構成されている。
【0012】そして収容部26(蓋29)の先端部分は肥料袋18に備えられている取手部18aを外部に裸出させることができるように間隙が形成されており、後述するようにペースト肥料が放出せしめられた後の肥料袋18を、取手18aを持って引くことで上記間隙から引き抜くことができる構造となっている。なお収容部26の下端は下方に突出して開口した開口部31をなし、該開口部31を介して供給器19(収容部26)と肥料タンク17とが連通している。
【0013】また収容部26内には肥料袋18を後方側(取手18aの反対側)が下方に下がるように傾斜せしめて載置する載置台32が設けられているが、該載置台32の後端部分には肥料袋18の後端部分(底面)及び後方側側方を受けるプレート状の受け部33が設けられており、ペースト肥料が収容された肥料袋18は下面側が載置台32により、また底面及び後方側側方が受け部33にそれぞれ支持されて、収容部26内に載置収容される。そして蓋29を閉じることで先端の取手18aが上記間隙より外部に裸出させられる。
【0014】一方上記受け部33の後方には左右方向{肥料袋18の引き出し方向Aに交差(略直交)する肥料袋18の幅方向}に杆状のスライドバー34が横設されているとともに、該スライドバー34にブラケット36がスライド自在に支持されており、該ブラケット36には肥料袋18を裂くことが可能なカッタ37が取り付けられている。これによりカッタ37はスライドバー34をガイドに左右にスライド可能に支持されているが、受け部33にはカッタ37のスライド方向にスリット38が形成されており、カッタ37は該スリット38を介して受け部33の中間部分において受け部33の内側(肥料袋18側)に突出している。
【0015】このときカッタ37が前後方向(肥料袋18の引き出し方向A)に対して平面視で所定の角度傾斜せしめら、肥料袋18の底面部に対して傾斜せしめられているとともに、受け部33が前述のように肥料袋18の後方側側方を受けるために両端部分が湾曲せしめられ、収容部26の側壁との間に所定の間隙S1,S2を形成させており、カッタ37はスライドバー34の左右両端部分では前記間隙S1,S2内に収納される。つまり上記間隙S1,S2によりカッタ37の収納部が形成せしめられている。
【0016】一方上記ブラケット36にはピン39が下方に突設されており、側面視で略L字形をなすプレート状の連結板41に設けられた長孔状の連結孔41aにスライド自在に挿入されているが、上記連結板41には載置台32の下方において前端部分が回動自在に軸支されたアーム42の後端部分が取り付けられており、上記アーム42の回動支点(支点軸)43側に揺動(回動)自在に設けられたレバー44を左右揺動させることでアーム42を介してブラケット36(カッタ37)がスライドせしめられるように構成されている。
【0017】すなわち上記レバー44の左右揺動によりアーム42が支点軸43を中心に揺動せしめられ、このアーム42の揺動によりピン39が連結孔41a内をスライドしながらブラケット36、すわちカッタ37がスライドバー34にガイドされて左右スライド移動する。このとき上記支点軸43にはねじりバネ46が取り付けられており、レバー44操作が行われない状態(初期位置)ではカッタ37が右側の収納部(間隙)S2に位置するようにアーム42を付勢している。
【0018】そして載置台32に肥料袋18を載置せしめ、上記レバー44を揺動操作し、カッタ37をS2からS1移動せしめると、上記カッタ37のスライドにより、カッタ37の受け部33から内部に突出した部分で肥料袋18の底面部分が裂かれ、肥料袋18の内部のペースト肥料が自重により収容部26内に放出せしめられ、この肥料袋18からのペースト肥料が収容部26から開口部31を介して肥料タンク17に供給される。このとき上記レバー44による肥料袋18の切断作業はねじりバネ46の付勢力に抗したものとなり、切断作業終了後レバーから手を離すことで、カッタ37は自動的に初期位置に戻る。
【0019】なおカッタ37は上記のように肥料袋18の底面18bに対して傾斜せしめられているため、肥料袋18のカッティングを上記傾斜角度によって容易に行うことができるが、このとき肥料袋18の底面18b部分が受け部33により直線的に受けられているため、肥料袋18が安定的に支持され肥料袋18のカッティングは、より安定的して容易に行われる。また肥料袋18の切断を上記のように容易に行うことができるため、カッタ37として通常市販されている「カッタ」の刃を使用することができ、これによりカッタ37の交換が容易であると共に、カッタ37のコストダウンとなる。
【0020】一方収容部26の先端側における内側には、収容部26内の肥料袋18における取手18a近傍に位置する部分を略水平に載置する座51が設けられており、肥料袋18は先端側が座51に載置された状態で、取手18aが収容部26の外部に裸出しているが、前述の蓋29の先端側で、且つ蓋29を閉じた場合に収容部26(供給器19)の内側に位置する部分には、肥料袋18を収容部26に載置した状態の時に、上記座51上で肥料袋18に上方側から押接する絞りスクレーパ52が、ステー53を介して肥料袋18の幅方向に延出して設けられている。このとき上記絞りスクレーパ52は肥料袋18の引き出し方向Aに対して平面視で傾斜(直交以外の角度)せしめられている。
【0021】また収容部26内における、上記のように供給器19に装着された肥料袋18の下方側であって、上記座51の前方側には、肥料袋18の下面側に当接せしめられる清掃スクレーパ54が、収容部26側に固定されて設けられている。このとき上記絞りスクレーパ52及び清掃スクレーパ54はゴム板等の所定の弾力を有する材料により形成せしめられており、絞りスクレーパ52は座51上で肥料袋18に弾力的に当接し、肥料袋18の引き出し時に所定のテンションを与えている。なお上記清掃スクレーパ54は肥料袋18の引き出し方向Aに対して平面視で略直交する。
【0022】そして肥料袋18からペースト肥料を排出せしめた後に、肥料袋18を供給器19から引き抜くと、まず座51の上で絞りスクレーパ52が肥料袋18を引き抜きに従って前方から順次押接して肥料袋18内に残存するペースト肥料を絞り出し、肥料タンク17に供給する。このとき肥料袋18の下面には上記絞りスクレーパ52による絞り作業時に残ったり垂れたりするペースト肥料や、座51に残るペースト肥料等が付着するが、肥料袋18の引き出しに伴って清掃スクレーパ54が肥料袋18の下面に前方側から順次当接し、肥料袋18に付着したペースト肥料を肥料袋18の引き出しに伴って拭き取る。
【0023】つまり肥料袋18を供給器19から引き抜く際に、絞りスクレーパ52により肥料袋18内に残存するペースト肥料が絞り出され、肥料袋18からペースト肥料が効率よく肥料タンク17に供給されるとともに、清掃スクレーパ54により肥料袋18の下方側に付着するペースト肥料等が肥料袋18の引き抜き時に取り除かれ、肥料袋18が清掃され、肥料袋18の引き抜き作業がより衛生的に行われる。
【0024】このとき上記のように絞りスクレーパ52等によって肥料袋18の引き出し時に所定の引き出し抵抗(テンション)が与えられ、引き出し作業のフィーリングが向上するとともに、特に上記のように絞りスクレーパ52が肥料袋18の引き出し方向Aに対して傾斜させられているため、引き出し(抜き)作業時の肥料袋18と絞りスクレーパ52との引っかかりが減少し、安定した肥料袋18の引き出し作業を行うことができる。すなわち供給器19の肥料タンク17へのペースト肥料の供給機構は以上に示されるように構成され、収容部26内に設けられている。
【0025】なお本実施形態は、肥料タンク17上方に設けられるペースト肥料供給用のキャップ56を孔空きのものとし、該キャップ56の孔56a内に収容部26の開口部31を挿入するように構成されており、通常供給器19が備えられていない機種にも供給器19を容易に取り付けることができる(オプション設定することができる)構造となっているが、特にステー27,28を用いずに供給器19を肥料タンク17のキャップ56側に支持せしめる構造とすることで、供給器19のオプション設定(取り付け)を更に容易に行うことができる。
【0026】
【発明の効果】以上のように構成される本発明の構造によれば、肥料袋を供給器から引き抜く際に、絞りスクレーパにより肥料袋内に残存する流動性肥料が絞り出されるため、肥料袋から流動性肥料が効率よく肥料タンクに供給されるという効果があるが、特に上記絞りスクレーパが肥料袋の引き出し方向に対して傾斜させられているため、肥料袋引き出し時の肥料袋と絞りスクレーパとの引っかかりが減少し、安定した肥料袋の引き出し作業を行うことができるという利点がある。
【0027】また供給器に装着された肥料袋の下方側に清掃スクレーパを設けることにより、肥料袋から肥料タンクへの流動性肥料の供給時等に肥料袋の下方側に付着する流動性肥料等が肥料袋の引き抜き時に取り除かれ、肥料袋が清掃されるので、肥料袋の引き抜き作業がより衛生的となる利点もある。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
【公開番号】 特開平11−318150
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−127031