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【発明の名称】 苗移送装置
【発明者】 【氏名】加藤 哲

【要約】 【課題】苗植機を高速化してホルダから押し出す苗の速度を早くすると、押し出された苗のホルダからの飛び出し位置が不規則になり、苗の植込深さや植付姿勢が乱れるおそれがある。

【解決手段】押し込まれた苗27の根鉢27aを保持する筒状のホルダ49がキャリア47に設けられ、そのホルダ49は出没する爪50を備え、その爪50は苗27をホルダ49から押し出すときにも根鉢27aに浅く突き刺さるように設けられている苗移送装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 押し込まれた苗27の根鉢27aを保持する筒状のホルダ49がキャリア47に設けられ、そのホルダ49は出没する爪50を備え、その爪50は苗27をホルダ49から押し出すときにも根鉢27aに浅く突き刺さるように設けられている苗移送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、一株分がポットで独立して育った苗を移植する苗植機に用いるものである。
【0002】
【従来の技術】上記の苗植機は、ポットから押し出された苗の根鉢がキャリアのホルダに押し込まれ、その苗がキャリアで所定の位置に運ばれると、苗の根鉢がホルダから押し出されて圃場に移植されるようになっている。そして、そのホルダは出没する爪を備え、押し込まれた根鉢にその爪が刺さって抜け出すことなく運ばれ、所定の位置に到達すると、爪が根鉢から抜け出して苗が円滑にホルダから取り出されるようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】能率の向上を図るため、苗植機の高速化が進んでいる。すると、苗の根鉢もホルダから高速で押し出される。このとき、ホルダと根鉢の間の抵抗が小さいと、必要以上に飛び出す根鉢があって、ホルダから押し出された苗が乱れ、移植された苗の姿勢や深さが均一化しないおそれがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、この発明は、押し込まれた苗27の根鉢27aを保持する筒状のホルダ49がキャリア47に設けられ、そのホルダ49は出没する爪50を備え、その爪50は苗27をホルダ49から押し出すときにも根鉢27aに浅く突き刺さるように設けられている苗移送装置とした。
【0005】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施例を説明する。走行車体1の後に、苗植装置2が装着されてポット式の苗植機(図は田植機)となっている(図1,図2)。走行車体1がつぎのように構成されている。主歯車箱3と後輪歯車箱4がフレーム5の前後に設けられ、それぞれの外側に一対の前輪6と一対の後輪7が配置されている。エンジン8がフレーム5の上に設けられ、その動力が主歯車箱3内の変速機を経由して前輪6と後輪7に伝わり、これらが水田の耕盤上で回転して走行車体1が前進するように出来ている。カバー9でエンジン8が被われ、その上に座席10が設けられている。ハンドルフレーム11の上にステアリングホイル12が配置され、その操作で前輪6が操縦されて走行車体1の進路が変わるようになっている。支柱13がフレーム5の後部から上に伸び、これとその後の昇降枠14が、横から見て上下で平行な一対のリンク15で連結されている。昇降シリンダ16の前部がフレーム5に取付けられ、これから斜後上に突出したピストンロッド17の突端が、上のリンク15から下に伸びたアーム18の下端に接続し、ピストンロッド17の出没で昇降枠14が昇降するように出来ている。
【0006】苗植装置2がつぎのように構成されている。横長のパイプフレーム19が昇降枠14の後下に取付けられ、これに4個の苗植ユニット20が横並びに配置されている。それぞれの苗植ユニット20がつぎのように出来ている。歯車箱21がパイプフレーム19から斜前上に突出し、その両横に伝動ケース22が上向きに固定されている(図3)。横杆23で左右の伝動ケース22の上部が連結され、その中央から上に伸びた支柱24が途中で前倒れに曲がっている。上下一対の苗載台25が支柱24の上に後下りの斜に固定されている。
【0007】この苗載台25には、つぎの苗箱26(図4)が載る。可撓性の樹脂板26aに円筒形の空洞を有する複数のポット26bが一体に設けられて苗箱26となっている。ポット26bは、14個が横並びに配置され、その中間が若干開いている。前後のポット26bと同じピッチで樹脂板26aの両横に送り孔26cが設けられている。ポット26bの空洞は、下に行くに従って若干狭くなり、その底は、後記の押出ピン42が突入し得る弁に構成されている。それぞれの空洞に床土を入れ、その上に種もみを蒔いて覆土し、潅水しながら所定の日数が経過すると、種もみから芽が出て苗27(図8)が育つ。
【0008】これと同時に伸びた根がポット26b内で絡まって、根鉢27a(図8)が形成される。苗27を上に向けた苗箱26がそれぞれの苗載台25に載る。それぞれの苗載台25の両横から後下に伸びたレール28が途中で一体になり、U字形に曲がって支柱24の下の受枠29に達している。左右のレール28は、苗箱26の両横を抱えるように断面がL形に形成されて下部が伝動ケース22の内面に固定され、これから前方が一対の杆で構成されている。
【0009】箱送軸30が歯車箱21から横に突出し、エンジン8の動力で揺動するように出来ている。ベルクランク31の一端がロッド32で箱送軸30のアーム30aに連結され、上記の揺動が伝わっている。送爪33がベルクランク31の他端にピン34で揺動自在に取付けられ、ばね35(図5)で引き回されてその爪先が穴28aからレール28内に突入している。止爪36の中間がレール28にピン37で回動自在に取付けられ、上端がばね(図示していない)で、右(図3)から見て時計方向に押され、下端の爪先が穴28aからレール28内に突入している。そして、苗載台25から供給された苗箱26は、下端の送り孔26cに送爪33と止爪36の爪先が突入すると、その下降が停止する。そののち、送爪33がベルクランク31の揺動で下降すると、その爪先が苗箱26を引き下げる。このとき、止爪36は、送り孔26cから抜け出し、苗箱26の上記の引き下げで上の送り孔26cに移ってその上昇を止める。つづいて、送爪33が上昇すると、その爪先が上の送り孔26cに移る。この繰り返しで、苗箱26が間欠的に送られるようになっている。
【0010】押出軸38が歯車箱21から横に突出し、エンジン8の動力で回転するように出来ている。揺動軸39のアーム39aとそのアーム38aがロッド40で連結されている。横杆41が前後に移動するように支持され、揺動軸39がピニオンやラックなど(図示していない)でこれに連結されている。14本の押出ピン42が横杆41に横並びに設けられ、中間が案内板43(図5)で摺動自在に支持されて、押出軸38の回転で前後に移動するように出来ている。そして、後に移動すると、押出ピン42が横並びのそれぞれのポット26bに突入して根鉢27aを押し、その苗27を苗箱26から後に押し出すようになっている。押出ピン42は、そののち、前に移動してポット26bから抜け出す。すると、苗箱26が、前記のように、送爪33で繰り下げられる。
【0011】苗送軸44が歯車箱から横に突出し、エンジン8の動力で回転するように出来ている。揺動軸45のアームと苗送軸44のアームがロッド46で連結されている。キャリア47の両横がそれぞれ上下一対のリンク48で伝動ケース22に取付けられて、その揺動で、同じような姿勢を保ってレール28の後と下の間を移動するようになっている。リンク48の軸と揺動軸45が歯車(図示していない)で連結され、苗送軸44の回転でキャリア47が往復移動する。
【0012】14個のホルダ49がキャリア47に横並びに設けられている。それぞれのホルダ49は、後向きに倒れた筒状に構成され、上部が開放されるとともに、出没する爪50を下部に備えている。そして、キャリア47が上端に来ているとき、押出ピン42が後に移動し、その移動でポット26bから押し出された苗27の根鉢27aがその空洞部に刺し込まれるようになっている。それぞれのホルダ49に上記のように根鉢27aが刺し込まれると、キャリア47が下降する。キャリア47は、リンク48に案内されて下端で前方に向かってほぼ直進する。このとき、それぞれの押出片51(図8)が上の開放部からホルダ49の空洞部に入り、根鉢27aをキャリア47の後に掻き落すようになっている。
【0013】一対のベルトコンベア52が横並びに配置され、それぞれ7個の押し出された苗27を載せて外側に送るようになっている。伝動フレーム53がそれぞれのベルトコンベア52の外でパイプフレーム19から後に伸び、その後部の内側にドラム54が設けられている。植込杆55がドラム54から突出し、図1においてエンジン8の動力で反時計方向に回転するようになっている。そして、その植込杆55は、前方に突出した水平姿勢のときに、その下面で、ベルトコンベア52の端に送られて来た根鉢27aを受け、旋回しながら起立してその苗27を直立させて泥土に押し込み、つづいて上に抜け出してこれを移植するようになっている。
【0014】この繰返しで、苗箱26の苗27が泥面に8条に移植される。なお、隣り合った苗植ユニット20については、一つの伝動フレーム53が共用されている。フロート56がそれぞれの苗植ユニット20の下に配置され、走行車体1の前進で泥面を滑走するようになっている。
【0015】爪50がつぎのように出来ている。横軸57がキャリア47に回動自在に取付けられ、これに固定された爪50がその回動でそれぞれのホルダ49の空洞部に下から出没するようになっている(図6,図8)。爪50は、それぞれ一対の爪先を備え、後の爪先の丸みが他の爪先の丸みよりも大きくなっている(図8)。横軸57と爪50の間に遊びを設け、ばね57bでその遊びを殺すことができる。回動軸58がキャリア47に取付けられ、そのアーム58aと横軸57のアーム57aがリンク59で連結され、リンク59がばね60で後に引かれると、爪50が時計方向(図8)に回ってその爪先がホルダ49の空洞部内に突入するようになっている。ローラ61を備えたアーム58bが回動軸58から上に突出し、その回動で爪50が起伏するようになっている。
【0016】軸62が左右の伝動ケース22で支えられ、レバー63がこれに取付けられ、その下端63aが横杆41の後に当り、押出ピン42が前後に移動すると、レバー63が揺動するように出来ている(図7)。支持腕64が伝動ケース22から後に突出し、その後端で軸65が支持されている。レバー66の中間が軸65に取付けられ、その下端とレバー63の上端がロッド67で連結されている。中間に凹部68aを有するカム板68が、レール28から後に突出した支持板に軸69で回動自在に取付けられ、このカム板68とレバー66の上端がリンク70で連結されて、レバー63が揺動すると、カム板68が揺動するようになっている。
【0017】そして、リンク48の揺動でキャリア47が上昇し、押出ピン42が後に移動して根鉢27aがホルダ49から押し出されるとき、横杆41がレバー63を図7で反時計方向に押し回す。すると、ロッド67、レバー66およびリンク70がカム板68を図7の位置に回す。このカム板68でアーム58bが押し回されて、爪50が回り、後の爪先がホルダ49の空洞内に浅く突入する。そのため、押出ピン42でホルダ49に押し込まれる根鉢27bには、その爪先で軽い抵抗が当てられ、押し込んだときの勢いで後に飛び出すのが防止されている。
【0018】なお、カム板68の揺動で、その凹部68aがローラ61を通過すると、爪50が揺動する。すなわち、根鉢27aがホルダ49に押し込まれる前、爪50がこの凹部68aで揺動されるので、爪50に付着していた土や根がこの揺動(衝撃)で振り落され、爪50が根鉢27aを力強く保持する。そののち、リンク48の揺動でキャリア47が下降する。所定の位置にキャリア47が下降すると、ローラ61がカム板68から離れる。すると、ばね60でリンク59が引かれて爪50起立し、根鉢27a内に深く刺し込まれる。
【0019】カム板71がレール28の下部に取付けられ、キャリア47が下降して前向きのほぼ水平な移動に移ると、これにローラ61が当り、爪50が反時計方向に揺動してその後の爪先がホルダ49の空洞部に浅く突入する位置(図8)に後退するようになっている。ホルダ49は、この状態を保って前に移動し、根鉢27aが押出片51でベルトコンベア52上に掻き落される。
【0020】図9のように、一対のリンク48を不等辺又は非平行に構成し、キャリア47が下方でほぼ水平に移動するとき、ホルダ49が保持する苗27を若干後下りに傾斜させるように設けると、根鉢27aをホルダ49から抜くとき、抵抗が増加して根鉢27aの飛び出しが軽減した。「また、この構成によると、根鉢27aをホルダから抜くとき、苗の葉が傾斜してベルトコンベア52に接触しながら抜けるので、さらに根鉢27aの飛び出しを軽減させることができる。」
【0021】
【効果】以上のように、この発明によると、ホルダ49から苗27を抜くとき、その根鉢27aに爪50の先が浅く突き刺さっているので、その抵抗によって苗27の飛び出しが防止されて苗27が整然と乗り移る効果がある。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月18日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−318146
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−134992